2025年が始まりました。みなさま、素敵なお正月を迎えられましたでしょうか? さて、新年最初は神奈川県・三浦半島にある、海を目前で眺められる別荘をご紹介します。ジャグジーやウッドデッキのあるラグジュアリーな住宅は、エクステリアにもインテリアにもこだわりポイントが盛りだくさん! 普段はなかなか見られない住宅内部の様子もご案内します。
目次
トンネルを抜けると、そこには青い空と紺色の別荘

トンネルを抜けると、青空を背景に目の前に現れる紺色の別荘が、今回ご紹介する住宅。じつはその建設には、私も少しだけ関わらせていただきました。

2024年の4月初旬に携帯電話が鳴り、「三浦半島に別荘を建築するのですが、工務店の大工さんに口頭で説明してもうまく伝わらないので、大工さんに分かるように外回りや室内の絵を描いてほしい」との相談を受けました。それが、こちらの住宅。施主様は大変熱心で、住宅の外部や内部の仕上げ材から家具まで自ら調べあげて理解が深く、大変素晴らしい別荘が誕生しました。
今回は、そんなこだわりの詰まった別荘を、外観から内装までたっぷりご案内します。
紺色に白のラインがクリーンな外観

別荘の外壁は、木目調ラップサイディング。細長い板材を重ね張りしていくラップサイディングでは、壁に段差が生まれ、立体感や陰影を楽しめます。ビビッドな紺色の外壁に対し、屋根の破風(はふ)や鼻隠し(はなかくし)、サッシは真っ白で、その対比が鮮やかですね。ベースの色に対し、白いラインを入れるとシャープなイメージになり、清潔感が生まれます。今回のような紺色ベースにホワイトラインは、リゾート感の演出にぴったりです。
ちなみに破風は雨樋をつけない屋根側面を、鼻隠しは屋根の下にある垂木(たるき)の切り口を隠す部材のこと。
別荘の背景は緑に覆われ、空気が美味しく気持ちのよい環境です。

エントランスは赤いポストがワンポイント


階段を上ると、紺色の外壁に映える白い玄関ドアがあります。その脇には観葉植物ドラセナ・コンシンネの鉢植えと、赤い宅配ボックス付きポストが。ポストの赤と色を合わせたポインセチアを添えたワンシーンも素敵ですね。

エントランスの奥には外壁がくぼんだスペースがあります。エントランスからアクセスしやすいこの場所には、シャワーヘッドのついた水栓を設置。クルーザーに乗ったり、海で楽しんだ後は、建物内に入る前にシャワーを浴びることができて便利です。
住宅内へ! ささら桁階段のあるエントランスホール

それでは、いよいよ玄関ホールに入ってみましょう。壁には長い角を伸ばす真っ白なシカのオブジェが。そして、ホールが広く明るく見えるように、シースルーですっきりとしたささら桁階段を設置しています。階段の上部はロフト収納スペース。ヒノキの天井と、階段の踏み板の色を合わせて統一感を演出しています。
開放感あふれるリビング・ダイニング・キッチン



階段の左手のドアを開けた向こうは、広々としたLDK(リビング・ダイニング・キッチン)スペースです。屋根の勾配に合わせて斜めになった勾配天井が、オフホワイトにまとめた壁面とともに、開放感のあるリラックスした雰囲気。キッチンは特別に要望し、外壁と同じ紺色に揃えたこだわりカラーコーディネート。壁際の長いI型とアイランドキッチンで構成されています。

大きなプロペラファンが取り付けられた板張りの勾配天井は、見事なヒノキの梁をむき出しにして、高級感を演出。梁の下にはレール付きのスポットライトを設置していますが、その一部はじつは音響のスピーカー。スポットライトと同じ形をしているのがさりげなく、おしゃれですね。


南向きに開口部が広い折れ戸の掃き出し窓があり、部屋の隅にはシンプルでスッキリしたデザインの薪ストーブが設置されています。薪ストーブの熱を遮熱する石張りの壁には、ストーブより少し明るめの色の石を採用。微妙な石のテクスチャーが背景となり、主役の黒い薪ストーブを引き立たせています。
くつろげる最高のリゾート! ジャグジーが埋め込まれたこだわりのウッドデッキ


全開口の窓に切り取られた海と空の風景は、まるで刻々と変化する大きな額縁の絵のようです。窓から屋外へと結ぶウッドデッキは、室内の床と高さをフラットに揃えたことで、外周のフェンスが低く見え、海とウッドデッキの一体感が抜群! ウッドデッキにはパーゴラを設置し、さらにその下には夏の暑い日差しもしのいでくれる大きなパラソルを据えて、贅沢なくつろぎ空間が出来上がりました。
この空間のハイライトは、ウッドデッキに埋め込まれた純白のジャグジー。ジャグジーからの海の眺めも最高です。脇役のソテツが、リゾートの雰囲気を醸しながら一層景色を引き立てます。

ちなみに風水では、ソテツは細くとがった葉が邪気を払い、よい気を呼び入れるといわれています。また花は黄金色で、金運を呼ぶのだとか。ただしソテツには毒性があるので、赤ちゃんなどが誤って口にしないように注意しましょう。

ジャグジーの横にはリクライニングチェアが。高さが低くデッキに近いほどくつろぎや安らぎが生まれやすいため、角度を調整して身体をゆったりと伸ばせるリクライニングチェアは、ラグジュアリーなアウトドアのための最高のガーデンファニチャーです。


このウッドデッキにはピザ窯も用意されており、本格的な美味しいピザが楽しめます。選んだのは、移動がラクな小ぶりの窯。取材前日にも、知人のイタリアンシェフなどの仲間が集まり、シェフが腕を振るった窯焼きの出来立てピザとワインで盛り上がったのだそう。ステキなアウトドアライフを満喫していますね!
バレルサウナと水風呂のリラクゼーションスペース


建物の裏手に向かうと、ただいま大人気のバレルサウナがあり、手前には立水栓付きの水風呂の桶がありました。ここからも海が見えるよう、水風呂の配置が工夫されていることがよく分かります。
とっておきの風景がもう1つ。施主様から「屋根に上ってみませんか?」と誘われ、ハシゴをかけて上ってみると……海が広く見え、鳥にでもなったかのような何ともいえない景色です。ストレスも解消されそうですね!

海が眺められるバスルームや機能的なトイレ


最後に、バスルームも拝見。扉をあけると大きな鏡があり、浴槽は十和田石、浴槽の四方にはヒノキの板を張って、高級感のあるつくりです。十和田石の浴槽は、お湯を張ると水の色がグリーンに見え、温泉気分を味わえる仕掛けつき。参考までに、十和田石の浴槽は滑りにくく、しっとりした肌触りが特徴です。奇跡的に酸化されずに火山灰に閉じ込められたことで、緑色凝灰岩になったためにグリーンに見えるのだそうです。
こちらのバスルームからも、窓越しに海の眺めが楽しめます。

そして、トイレも拝見! 一見なんの変哲もないトイレなのですが、この壁面には、LIXILのエコカラットという壁材を使用。これは漆喰(しっくい)と同様に、ニオイ吸着効果がある壁材で、トイレに限らず、キッチンやお部屋など、あらゆるところに使用できます。この壁選び一つとっても、細やかな配慮が行き届いていることが分かりますね。
最後に…
今回ご紹介した、施主様がこだわり抜いた別荘。私自身も、建てる前からのお付き合いができたことは大変勉強になりました。大工さんも臨機応変に対応できる腕のよい職人さんで、在来工法のよさも体験できました。

取材前日に開催されたピザパーティーには、カマキリさんも参加していたようです。ナチュラルなライフスタイルは、心身ともに癒やされ、本来の人間の生き方を思い出させてくれますね。
皆さんも、ぜひ今年は自然と接する時間を作り、健康な毎日を送る余裕のあるライフスタイルを始めていきましょう!
プロデュース:大朝毅
施工:有限会社三和工務店 渡辺三郎

Credit
写真&文 / 松下高弘 - エムデザインファクトリー主宰 -

まつした・たかひろ/長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、大手ハウスメーカーやエクステリア業のセミナー企画、講師を行う。
2007年出版の『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』の改訂版として、新刊『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』が大好評販売中! 色の知識、住宅デザイン様式に合わせたエクステリア&ガーデンデザインとカラーコーディネート、プレゼンシートのレイアウト案など、多岐に渡る充実の内容! 書籍詳細はグリーン情報ホームページから。
著書
『住宅エクステリアのパース・スケッチ・イラストが上達する本』彰国社
『気持ちをつかむ住宅インテリアパース・スケッチ力でプレゼンに差をつける』彰国社
『住宅+エクステリア&ガーデンの色とデザイン』グリーン情報 など他多数
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