30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了された遠藤昭さん。帰国後は、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭でガーデニングを楽しんで20年になる遠藤さんに、庭で育てがいのあるオススメプランツを解説していただきます。

平成時代のガーデニングで欠かせない「平成園芸の三種の神器」といえば、イングリッシュローズ、クリスマスローズ、クレマチスだろう。今回は、花の少ない冬から春にかけて、ちょうど見頃を迎えるクリスマスローズを自身の体験とともにご紹介しよう。

日本で人気が高まった理由

クリスマスの頃に咲くのでクリスマスローズと呼ばれているが、そもそも、クリスマスローズといってもバラ科の植物ではない。ヘレボルス属の中のヘレボルス・ニゲル種(Helleborus niger)というクリスマスの季節に咲くヘレボルスの早咲き品種を指すものだった。しかし、日本ではヘレボルス属全体を呼ぶ総称となっている。

近年では、最も育ててみたい草花のトップがクリスマスローズだという。これほど人気になった一つの理由は、「クリスマスローズ」という名前だろう。「クリスマス」も「ローズ」も、日本人にとっては豊かさや憧れ感のある言葉だ。しかし、そんな名前だけでは人気は持続しない。

では何故、これほどまでの人気なのだろうか? その理由として、僕自身の体験から探り、「クリスマスローズ」の魅力をつづってみたいと思う。

20年前に栽培スタート

そもそも僕の興味の分野は「オーストラリアン・ガーデニング」なので、正直「平成園芸三種の神器」には興味があまりなかった。ところが、我が家が庭づくりをスタートした平成時代の初期から、妻が「平成三種の神器」に熱心だった。幸いクリスマスローズは、背が比較的高くなるオージープランツの足元を彩るグラウンドカバー的な植物として相性がよく、狭い庭でも共存できたのだ。

何よりも常緑だし、花の少ない冬から春にかけて、さまざまな色や形の花が庭を華やかにしてくれたのが魅力だった。育て始めてかれこれ20年以上になるが、小さかった苗が、やがて大株になり、株分けや、こぼれダネでたくさんの苗が育ち、知人・友人にプレゼントして喜ばれるのもクリスマスローズだ。

クリローファンを裏切らない魅力

では、僕がクリスマスローズに引き込まれた魅力は何だったのだろうか? まずは、人気のバラやクレマチスと同様に、じつに品種の数が多く、多様な花が楽しめるところだろう。毎年、春には全国で、「クリスマスローズ展」が開かれるが、毎回、見事な品種が誕生し発表され、クリローファンを裏切らない。

写真は左上から時計回りに、チャンピオン2、ピンクドット、黄色スポット、アトルルーベンス、ジョーカー、黒花。

進化がとまらないクリスマスローズ

クリスマスローズは品種の交配が比較的ラクにできるので、進化に限界が見えない。春に園芸店の店頭に並ぶさまざまなクリスマスローズの花を見ると、つい連れ帰ってしまう。こんなことを20年以上続けさせるほど、じつに多様な魅力があるのだ。

最近では、特に八重咲き系で、バラにも負けないほどの豪華で艶やかな品種も誕生している。もともとヘレボルスは、茶花にしていた地味な山野草的な存在だったが、交配で品種改良され、現代の人々が求める華やかさを備えてきたこともクリスマスローズの人気継続の理由だろう。

育てがいのある丈夫な性質

さらには、比較的育てやすく丈夫なので、誰もが手軽に長年にわたって「育てる楽しさ」という園芸の醍醐味を味わえるところも人気を後押ししていると思う。庭が狭い我が家でも、半日陰でも育つし、鉢植えでも2~3年に一度、鉢増しや株分けをすれば20年以上も咲き続けてくれる。

夏は半日陰、冬は日当たりのよい落葉樹の下が最適な栽培環境だ。大株に育てると、なかなか立派になる。こぼれダネも簡単に発芽して成長し、たくさん増える。また、2〜4月に小さな開花苗を購入し、数年かけて大株に仕立てたり、タネを採取して育てていくのも楽しい。

花が終わりかけたら根元から切り、生け花にしても楽しい。

クリスマスローズのタネの採取は、4月頃、花の中心の種房がサヤのように膨らんできたら、お茶パックをかけて、タネが飛び散らないようにホッチキスでとめておくと、5月下旬までには自然と袋の中にタネが落ちて採取できる(最短で花を咲かせる栽培法を解説した『Let’s チャレンジ! クリスマスローズを実生1年で開花させる方法』参照)。

購入時は少々値が張るクリスマスローズだが、長年楽しめることを考えると、コストパフォーマンスは優れているかもしれない。

オススメの苔玉づくり

実に可愛いクリスマスローズの苔玉づくりをご紹介したい。花の期間だけ楽しむ、簡易版のクリスマスローズの苔玉は、栽培に苦労がなく、初心者でも楽しめるのでチャレンジしてほしい。花後は苔玉を解体して根をほぐし、ひと回り大きな鉢に植え戻す。2月中には植え戻したいので、早咲きのニゲル種ならクリスマスシーズンから2月いっぱい楽しめる。

1.材料は、できるだけ小さなポット植え(3.5号)の開花株。ミズゴケ、ハイゴケ、細い針金やテグスやナイロン糸。マグアンプ、根腐れ防止剤。

2.ポット苗の上の余分な土を取り、根鉢はそのままにして、マグアンプと根腐れ防止剤を混ぜたミズゴケにくるみ、糸でぐるぐる巻いてとめる。次に、ハイゴケを裏にして、苔玉を乗せて手でくるみ、糸でとめる。

後々の管理は、苔が乾いたら霧吹きで湿らせ、1週間に1度程度、苔玉部分をバケツの水に浸けて湿らせるだけだ。

苔玉は一般的に、ケト土、赤玉土などを練って団子にするが、クロスマスローズは根張りが早く、また水はけのよい環境を好むので、苔玉の状態で長期間育てて楽しむには管理に手間暇がかかり、難易度も高いことが分かった。紹介した方法で、クリスマスやお正月にテーブル飾りとして花を身近に楽しんでほしい。

楽しみが多いクリスマスローズ。ぜひお気に入りの一株から栽培の楽しみを体験してほしい。

Credit

写真&文/遠藤 昭

30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。現在は、川崎市緑化センター緑化相談員を担当しながら、コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施。園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。