シンガポール「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」【花好きさんの旅案内】
ここは、シンガポール政府が2005年にコンペを呼びかけてプロジェクトがスタートした、植物と近未来の建造物を融合したアミューズメントパークです。70もの応募の中から英国のランドスケープデザイナー、アンドリュー・グラント氏の案が採用されて実現しました。敷地面積100万㎡、屋外に1,500種30万株の植物、温室には1,000種10万株という規模。こんなに広く充実した施設ですが、特別な場所以外は基本的に無料ということにも驚きます。写真は、世界各国の植物が展示されているガラスのドーム「フラワードーム」(有料施設)です。
ここでまず圧倒されるのは、高さ25〜50mもある巨大な人工木「スーパーツリー」。園内には18本のツリーが立っていて、その表面には生きたつる植物やシダ類など200種の植物が茂り、SF映画の森に迷い込んだような不思議な驚きがあります。ツリーはそれぞれソーラーパネルを備えていたり、レストランが入っていたり。夜は赤、青、緑と何色もの光でツリーが闇に浮かび上がり、一日中楽しめます。
有料ゾーンの巨大なガラスドーム「クラウドフォレスト」は、天井高が最高で54mという中に、高さ35mの人工の山が丸ごと入っています。何本もの滝が流れる山の斜面には標高1,000〜2,000mの植生が再現され、低地の植物まで一度に観賞できるというもの。「ロストワールド」と名付けられた頂上付近では、高山の珍しいランやシダが見られ、雲を思わせる霧を漂わせる演出まで。あたりは涼しくて温室にいることを忘れてしまいます。
クラウドフォレストには、山をぐるりと見学できる空中散策路があり、高い所はまるで渓谷の吊り橋のよう。ちょっと足がすくみます。滝壺の裏から水流を見上げることができたり、大興奮の演出があちこちにあります。
世界中の植物を集めて‘永遠の春’を表現している「フラワードーム」では、日本でも人気のビカクシダの巨大な株や、ここまで伸びるのか! と驚かせてくれる多肉植物の一群、バオバブやオリーブなどが。次々と現れる植物のバリエーションに、飽きずに散策ができます。外に比べて涼しく、温室内でも過ごしやすいのもよいところ。
形がユニークな食虫植物のコーナーでは、本物の植物に混じって鮮やかなオブジェが。よーく見ると、レゴブロックで作られていました。子どもも興味を持つようなユーモアのある展示法に、思わずパチリ。
家族連れなら、ぜひ行って欲しいのが「ベイ・サウス」。ゲートを入って、まっすぐ行くと「チルドレンズガーデン」に。ジャングルみたいに緑もたくさん茂った場所で、子どもたちがつい駆け出したくなるエリアです。
子ども心をくすぐる遊具が次々と現れる「アドベンチャー・トレイル」や、アスレチックのようなツリーハウスの「ザ・ツリーハウス」コーナー、噴水やシャワーで水しぶきが気持ちよいウォーターパークなど。地元の子どもたちはもちろん、観光客のキッズも一緒に思い思いに遊べる無料エリアです。
シンガポールは国土が東京23区ほどで、移動時間があまりかからない小さな都市。子どもたちと楽しめるスポットもあり、子連れ旅にオススメです。ちょっと足を伸ばせば「シンガポール動物園」や世界遺産の「ロイヤルボタニックガーデン」などがあり、花緑に触れながら休暇をゆったり過ごせます。初の子連れ海外旅に、ここを選ぶ人が増えているというのもうなずけます。
併せて読みたい
花の庭巡りならここ! エキゾチックな植物の宝庫「夢の島熱帯植物館」
オージーガーデニングのすすめ「オーストラリアの木生羊歯」
花好きさんの旅案内、シンガポール「ナショナル・オーキッド・ガーデン」