スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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樹木

セアノサスはカリフォルニアライラックとも呼ばれる青花の花木! 特徴と育て方をご紹介
セアノサスの基本情報 Brookgardener/Shutterstock.com 植物名:セアノサス学名:Ceanothus英名:California Lilacs和名:セアノサスその他の名前:カリフォルニアライラック科名:クロウメモドキ科属名:セアノサス属(ソリチャ属)原産地:北アメリカの熱帯、メキシコ形態:常緑性・落葉性低木 セアノサスの学名はCeanothus。クロウメモドキ科セアノサス属(ソリチャ属)の低木です。原産地は北アメリカ、中央アメリカ。耐寒温度はマイナス10℃くらいで、関東地方以南の暖地などでは地植えにしても越冬できます。一方で、高温多湿の日本の夏はやや苦手です。樹高は1〜3mの低木で、地際から多数の枝を立ち上げる株立ちの樹形が特徴です。常緑性が最も多いのですが、半落葉性、落葉性のものもあります。 セアノサスの花や葉の特徴 Alex Manders/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:4〜6月樹高:1〜3m耐寒性:やや弱い耐暑性:やや弱い花色:青、白、ピンク、紫 セアノサスの開花期は4〜6月。花色は冴えたブルーが最もポピュラーですが、ほかに淡いブルー、白、ピンクもあります。1つの花はごく小さいのですが、花茎を伸ばした頂部にまとまってドーム状に咲くので色の塊となって見え、よく映えます。ソープのような爽やかな香りを放つのも魅力です。葉は楕円形や卵形などで、長さは5〜15cm。枝に対生に付きます。 セアノサスの名前の由来や花言葉 Tonyleathers/Shutterstock.com セアノサスという名前は、学名がそのまま流通名となったもので、アザミを意味するギリシア語「keanothos」に由来するとされています。以前はカリフォルニアを中心に分布していることから「カリフォルニアライラック」とも呼ばれていましたが、ライラックはモクセイ科ハシドイ属の花木で分類がまったく異なっており、紛らわしいことから、近年はセアノサスと呼ばれることが多いようです。 セアノサスの花言葉は「純朴」「温厚」「初恋の思い出」などです。 セアノサスの代表的な品種 ‘スノーフリューリー’ Jcaley/Shutterstock.com セアノサスはブルーの花を咲かせるものが定番ですが、ほかにもいろいろな品種があります。代表的な品種をいくつかご紹介します。 最もポピュラーな品種が‘パシフィックブルー’で、濃いブルーの花色に大変人気があります。‘ロイヤルブルー’はパシフィックブルーよりも色が濃く、樹高はやや高めです。‘エルドラド’や‘クールブルー’は淡いブルーの花色で、葉に斑が入るため、開花期以外にはカラーリーフとして庭に変化をもたらします。‘パールローズ’、‘マリーサイモン’は淡いピンクの花色で、いずれも落葉性です。‘スノーフリューリー’は白い花を咲かせる品種で、葉に光沢があります。 ‘マリーサイモン’ N.Stertz/Shutterstock.com セアノサスとライラックの違い 左がセアノサス、右がライラック。R.Moore、photolinc/Shutterstock.com セアノサスは別名カリフォルニアライラックとも呼ばれるように、ライラックによく似た美しい花を咲かせます。どちらも春から初夏に香りのある小花が密集した花穂をつけますが、ライラックの花は比較的大きく、小花の一つひとつがしっかり見えるのに対し、セアノサスはより小さな花が密集して咲き、ふんわりとした綿毛のようにも見えるのが特徴。また、ライラックはモクセイ科の落葉高木で、セアノサスはクロウメモドキ科の常緑低木と、種類はまったく異なります。 セアノサスの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4〜6月植え付け・植え替え:3〜4月、9〜10月肥料:7月、10月 セアノサスの栽培環境 LifeisticAC/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日照不足では、花つきが悪くなってしまうので注意してください。 【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本ですが、寒さにやや弱いため、寒冷地では冬は室内の日当たりのよい窓辺などに取り込むとよいでしょう。 【置き場所】水はけ・水もちがよく、有機質に富む肥沃な土壌を好みます。多湿を嫌うので、水はけの悪い環境であれば、土壌改良が必要です。 耐寒性・耐暑性 セアノサスは寒さにやや弱く、耐寒温度はマイナス5~マイナス10℃。関東以南のほとんど凍結することがない暖地であれば戸外で越冬できますが、凍結する寒冷地では鉢栽培にして、季節に応じて適した場所に移動しながら管理するとよいでしょう。高温多湿が苦手で耐暑性もやや弱いので、地植えにする場合は西日の当たらない場所を選び、鉢栽培の場合は風通しのよい半日陰に移動するほうが無難です。特に、近年の温暖化により日本の夏は年々暑さが厳しくなっているので注意しましょう。 セアノサスの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの3〜4週間前に苦土石灰を散布し、よく耕しておきます。さらに植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。じめじめした環境を嫌うので、水はけの悪い場所では川砂やパーライトなどを施し、土壌改良をしておきます。周囲より土を高く盛っておくのもよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の花木用培養土を利用すると手軽です。 水やり Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただしセアノサスは乾燥を好み、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意してください。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 Singkham/Shutterstock.com 【地植え・鉢植え共に】 植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。 花後の7月頃と10月頃に、緩効性肥料を株の周囲にばらまき、スコップなどで軽く表土を耕し、土に馴染ませます。株に勢いがないようであれば、液肥を施して様子を見ましょう。 注意する病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 セアノサスの栽培では、ほとんど病気の心配はありません。 【害虫】 セアノサスの栽培では、カミキリムシの幼虫、カイガラムシが発生することがあります。 カミキリムシは、主に夏から秋に発生しやすくなります。幼虫が幹に穴をあけて中に侵入し、木質部を旺盛に食い荒らすので注意。被害が進むと木が弱るうえ、中が空洞化して枯れてしまうこともあります。成虫が飛来して卵を産み付けるので、成虫や卵は見つけ次第捕殺しておきましょう。また、木の株元などにおがくず状のものが見つかったら、木の内部で活動していると推測できます。おがくずが出ている穴があれば、穴に細長い針金状のノズルを差し込むタイプの薬剤などを散布して駆除してください。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 セアノサスの詳しい育て方 苗の選び方 葉が変色したものや間のびしたものは避け、株元がしっかりしてよく分枝した株を選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え wavebreakmedia/Shutterstock.com セアノサスの植え付け・植え替えの適期は3〜4月か、9〜10月です。ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。ただし真夏や真冬など、気候の厳しい時期は避けてください。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢をくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。 暖地では植えたままにしてもかまいません。寒さが厳しく、マイナス10℃以下になる地域では、鉢に植え替えて、暖かく日当たりがよい場所で越冬させてください。 【鉢植え】 苗の根鉢よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて、植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずして小さくし、新しい培養土を使って植え直しましょう。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 剪定 mihalec/Shutterstock.com セアノサスの剪定の適期は、花が終わった後すぐです。翌年開花するための花芽は秋にできるので、それ以降に強く切り戻す剪定を行うと、翌年の花数が少なくなるので注意しましょう。 セアノサスは株立ち状で、地際から細めの枝を多数伸ばす樹形が特徴です。自然に樹形が整いやすいので、それほど剪定は必要ありませんが、剪定を行う場合は軽い切り戻しと、込み合った部分を間引く「すかし剪定」を基本とします。枝が地際から伸びて込み合い、風通しが悪くなる場合は、古い枝や細くて弱々しい枝、生育の邪魔になっている枝を選び、枝の途中で切らずに分岐点から切り取りましょう。また、刈り込みに耐えるので、生け垣のように形を整える剪定も可能です。 夏越しと冬越し Anton Starikov/Shutterstock.com 夏越し 【地植え】 近年、日本は温暖化が進んで夏の暑さが大変厳しくなっています。高温や強光線によって木が弱るのを防ぐために、遮光ネットを張るのも一案です。 【鉢植え】 少しでも暑さをやわらげるために、風通しのよい半日陰などに移動して、涼しい場所で管理します。 冬越し 【地植え】 凍結することがほとんどない暖地では、霜よけにバークチップなどを株元にマルチングしておくとよいでしょう。寒冷地では、鉢に植え替えて温室か日当たりのよい室内に置いて冬越しさせます。 【鉢植え】 凍結することがほとんどない暖地では、戸外の霜が降りない軒下などで越冬させます。寒冷地などでは、温室か室内の日当たりのよい窓辺などに置きましょう。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com 挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、セアノサスは挿し木で増やせます。 挿し木の適期は、7月頃です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。 セアノサスの楽しみ方は? アレンジメントやブーケにも! DannyBuoy/Shutterstock.com セアノサスは樹高が低く株立ち状に育つ性質を生かし、ボリューム感のある樹形に仕立てて庭のアイキャッチにするのもおすすめ。また高木と草花を結ぶ役割として空間を埋めてもよいでしょう。葉に斑が入る品種を選べば、開花していない時期もカラーリーフプランツとして活躍します。 開花期には枝を切り取って、花束やフラワーアレンジメントに利用しても素敵です。水が下がりやすいので、湯揚げしてから利用するとよいでしょう。湯揚げとは、下葉を切り取って切り口の部分のみ20〜40秒ほどお湯に浸し、引き上げたらすぐに水に入れる方法です。花瓶などに飾った後は毎日水を替え、切り口の部分を少しカットしてから活け直しましょう。 花はもちろん、美しい葉や香りも楽しめるセアノサスを育ててみよう Sarah Mathiesen/Shutterstock.com セアノサスは、暖地であれば地植えでの栽培も可能で、高温多湿に注意して管理すればよく育ちます。個性的で目を引く花姿は庭のアイキャッチとなり、また斑入り葉の品種を選べばカラーリーフとしても活躍します。初夏の庭の彩りにセアノサスを植栽してみてはいかがでしょうか?
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一年草

イタリアンパセリの育て方! 初めて栽培する際のヒントや楽しみ方をご紹介
イタリアンパセリの基本情報 Sarah Macor/Shutterstock.com 植物名:イタリアンパセリ学名:Petroselinum crispum var. neapolitanum英名:Italian parsley、Flat-leaved parsley、Plain-leaved parsley、Petroselinum crispum 'Italian'、French parsleyなど和名:イタリアンパセリその他の名前:フラットパセリ、プレーンリーブド種科名:セリ科属名:オランダゼリ属(ペトロセリウム属)原産地:地中海沿岸形態:一・二年草 イタリアンパセリは、セリ科オランダゼリ属(ペトロセリウム属)の一年草、または二年草です。原産地は地中海沿岸地域で、暑さが苦手な一方、寒さに強い性質を持っています。生育適温は15~20℃。25℃以上になると葉が硬くなり、生育が悪くなります。草丈は20~30cm。日本では縮れ葉のモスカールドパセリが一般にパセリとして浸透していますが、ヨーロッパではこのイタリアンパセリのほうがホピュラーです。モスカールドパセリよりも苦みが少なく、料理の香味づけによく利用されています。 イタリアンパセリの葉や花の特徴 Varts/Shutterstock.com 園芸分類:ハーブ開花時期:5〜7月草丈:20〜30cm耐寒性:普通耐暑性:強い花色:白、黄色 イタリアンパセリは、羽根のように深い切れ込みの入る三角形の平らな葉が特徴。柄は3つに分枝して茂ります。花はクリーム色で、セリ科らしい散形花序の小さな花を咲かせます。ただし、花が咲くと種子を作って枯れていくので、ハーブとして葉を利用している場合は、花茎が伸びてきたらすぐに切り取ると、長く収穫を楽しめます。 イタリアンパセリの名前の由来と花言葉 Boryana Manzurova/Shutterstock.com パセリという名前は、ギリシャ語で石や岩を意味する「Petro」とセロリを意味する「Selinon」を組み合わせた「Petroselinon」、つまり岩場のセロリという言葉に由来します。イタリアンパセリは、イタリア料理によく利用されていることからついた名前と考えられています。 イタリアンパセリの花言葉は「お祭り」「小さな愛」「勝利」「祝祭」「万能」などです。 イタリアンパセリの近縁の仲間や似た植物 イタリアンパセリの仲間や見た目が似ている植物から、代表的なものをご紹介します。 モスカールドパセリ Oksana Shufrych/Shutterstock.com 葉がくるくるとカールするモスカールドパセリとイタリアンパセリは近縁の仲間。イタリアンパセリに比べるとやや葉が硬く、味わいも苦みやえぐみが強いのが特徴です。 チャービル Robert Buchel/Shutterstock.com チャービルはフランス料理によく使われるハーブで、イタリアンパセリと同じくセリ科の一年草。甘く爽やかな香りを持ち、明るい緑色の切れ込んだ葉はイタリアンパセリによく似ています。パセリよりも癖が少なく、葉も柔らかくて食べやすいことから、「美食家のパセリ」とも呼ばれています。 コリアンダー jeep2499/Shutterstock.com コリアンダーもセリ科のハーブの1つ。切れ込みが入る平たい葉が、イタリアンパセリによく似ています。別名はパクチーやシャンツァイ(香菜)など。独特な強い香りがあり、好き嫌いが分かれますが、エスニック料理などには欠かせないハーブです。 イタリアンパセリの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜7月植え付け:4~5月、10月頃肥料:3〜11月種まき:4~5月、9月~10月上旬 イタリアンパセリは、苗の植え付け後、4月頃から生育が旺盛になり、本葉が13〜15枚ついた頃から収穫できます。開花期は5~7月ですが、開花させると株が消耗するので、花芽が見えた茎は地際で切り取りましょう。枯れたら抜き取って処分します。 イタリアンパセリの栽培環境 Cheryl Ann Meola/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】適度な日当たりと、風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると葉が黄色くなりますが、夏に日なたで育てると葉が硬くなることがあるので注意しましょう。 【日当たり/屋内】日光が入る場所であれば、室内でも栽培することができます。ただし、夏場の直射日光に当てると葉焼けする場合があるため、レースのカーテン越しの光が入る場所などがおすすめです。 【置き場所】酸性の土を嫌い、土壌酸度はpH5.5〜6.0、肥沃で水はけ・水もちのよいふかふかとした土壌を好みます。 耐寒性・耐暑性 イタリアンパセリの生育適温は15〜20℃です。暑さには強いですが、乾燥すると葉が硬くなりやすいので水切れに注意しましょう。涼しい半日陰などに移動するのも一案です。耐寒性はマイナス5℃程度で、暖地では屋外でも冬越しできますが、強い寒波や寒風に当たると枯れてしまうこともあります。 イタリアンパセリの育て方のポイント 用土 Sleepyhobbit/Shutterstock.com 【菜園】 イタリアンパセリに適した土壌酸度はpH5.5〜6.0です。種まきの2〜3週間以上前に、必要に応じて苦土石灰を約100g/1㎡散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、堆肥2㎏/㎡、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)100〜150g/㎡を植える場所に均一にまいて、よく耕しましょう。 畝の幅を約60cm取って、高さ10cmほどの畝を作ります。畝の長さは作りたい量や広さに応じて自由に決めてかまいません。表土は平らにならしておきましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。 【プランター栽培】 野菜やハーブの栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 水やり cam3957/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【菜園】 地植えの場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちます。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補いましょう。 【プランター栽培】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【菜園】 苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に緩効性化成肥料30g/㎡を株の周囲にばらまきます。その際に株の周囲をクワで軽く耕し、株元に土を寄せておきましょう。 【プランター栽培】 苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に緩効性化成肥料をひとつまみ程度、株の周囲にばらまきます。その際に株の周囲をスコップで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。 注意する病害虫 M.V.Photography/Shutterstock.com 【病気】 イタリアンパセリに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。 うどんこ病はカビによるもので、葉、新梢、つぼみなどの表面が白く粉を吹いたような状態になります。放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、かかりやすくなります。発生したら、ただちに病害部分を摘み取って処分しましょう。 灰色かび病は、花や葉に褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれます。風通しが悪く込み合っていたり、枯れ葉を放置していたりすると感染しやすいので注意。茎葉が込み合っている場合は間引いて、風通しよく管理しましょう。 【害虫】 イタリアンパセリに発生しやすい害虫は、アブラムシ、キアゲハなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。 キアゲハはアゲハチョウ科の昆虫で、春から秋にかけて、主に幼虫がセリ科の植物を好んで食害します。幼虫が若いうちは黒地に白斑が入る姿でまだ小さく見つけにくいのですが、大きくなると5cmほどのビッグサイズに。体表の色も黒と黄緑の横縞にオレンジの斑点が散りばめられ、よく目立ちます。若芽や葉を好み、旺盛に葉を食べて一晩で被害が拡大することもあるので注意。葉に穴があいていないか、裏表をチェックしておきましょう。幼虫は見つけ次第捕殺します。成虫は花の蜜をエサとするので、近くに花が咲く植物を植えないこともポイントです。 イタリアンパセリの詳しい育て方 苗の選び方 イタリアンパセリは種まきからでも育てられますが、手軽に苗から育てる場合は、ヒョロヒョロと頼りなく伸びているものや、虫食い痕があるものなどを避け、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。 種まき Vladyslav Lehir/Shutterstock.com 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。イタリアンパセリの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できるので、手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからがおすすめです。「2〜3株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、苗を購入するとよいでしょう。 イタリアンパセリの種まき適期は「春まき」が4〜5月で、「秋まき」が9月〜10月上旬。発芽適温は約20℃です。 種まきから栽培する場合、菜園などに直まきすると幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順にも左右されます。種まき用のセルトレイを使い、適した場所で管理すると、より確実です。 セルトレイに種子を播く場合、市販の種まき用の培養土を入れて水で湿らせ、数粒ずつ重ならないように播きます。好光性の性質のため覆土はごく薄くにしておきましょう。霧吹きで水をかけるか、容器に水を張ってセルトレイの底から吸水させるなどし、発芽までは乾燥させないように水の管理をしてください。14〜20日ほど経つと発芽し、双葉が揃います。 発芽したら日の当たる場所で管理し、苗が込み合っている場合は、間引きましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので注意。間引いた苗はベビーリーフとして利用できます。 本葉が2〜3枚ついたら、セルトレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに野菜用の培養土を入れて、苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。多湿になると根の張りが悪くなり、ヒョロヒョロと頼りなく伸びる徒長苗になったり、病気が発生したりするので注意。適切な水分管理をすることがポイントです。本葉が7〜9枚つくまでを目安に育苗します。 植え付け OlegDoroshin/Shutterstock.com 【菜園】 イタリアンパセリの苗の植え付け適期は、種まきをした場合は春まきが6月頃、秋まきが10月頃。花苗店やホームセンターなどでも春先から入手できるので、苗を購入したら早めに植え付けましょう。 土づくりをしておいた畝が少しくずれていたら、幅約60cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにします。畝に2列植えとし、列の間隔は30cm取ります。1列ごとに約30cmの間隔を取って穴を掘り、苗を植え付けていきます。最後に、たっぷりと水やりをしておきましょう。 【プランター栽培】 6〜7号鉢の場合は1株、標準サイズのプランターの場合は3株を目安に植え付けます。 底穴に鉢底ネットを敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際にあふれ出ないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。苗の根鉢より1回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をくずして植え付けます。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。 摘心・摘葉 mihalec/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培共に】 植え付け後、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返すと、わき芽が出てこんもりとした株姿に成長し、花数も多くなります。 摘葉は、葉を摘み取ることです。込み合ってきたら収穫を兼ねて茎葉を摘み取ります。また、枯れた葉や傷んだ葉を見つけたら、早めに摘み取りましょう。 収穫 kazoka/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培共に】 春まきの場合の収穫適期は7月下旬〜12月上旬、秋まきの場合は、翌年の3月〜6月上旬です。 本葉が13〜15枚ついたら、適宜収穫します。外葉から順にハサミで切り取っていきましょう。一度にたくさん収穫すると株が弱るので、バランスを見ながら行いましょう。 増やし方 Agave Studio/Shutterstock.com イタリアンパセリは、種まきのほかに挿し芽でも増やすことができます。 【挿し芽】 勢いのある茎葉を切り取り、切り口からの水の吸い上げと葉からの蒸散のバランスを取るために、下葉を取ります。水を張った容器に挿し、明るく風通しのよい場所に置いておきましょう。毎日水を替えてしばらくすると、発根してきます。十分に根が出たら、菜園やプランターに植え付けます。 【種まき】 花後に種子を採取して増やすことができます。種子を採取する場合は、花がら摘みをやめて枯れるまでそのまま育てます。種子が黒く熟し、完全に立ち枯れたら採種し、播き時のタイミングを逃さずに播いて育てましょう。 イタリアンパセリを栽培する際のヒント Natalia Vostrikova/Shutterstock.com イタリアンパセリを初めて栽培する方のために、知っておきたいポイントをご紹介します。 乾燥を防ぐ イタリアンパセリは乾燥しすぎるのを嫌うので、プランター栽培では特に、水切れに注意しましょう。株元に乾燥防止のための敷きワラをしておくのもおすすめです。 初めての場合は苗から育てる イタリアンパセリは発芽までに2〜3週間かかるうえ、植え付けに適した苗に成長するまで、70日ほどかかり、一般の草花や野菜よりも育苗期間が長いハーブです。また、発芽適温は約20℃で、25℃以上になると発芽不良になりやすく、発芽率は60〜70%と、割と低いほうです。このように手がかかるので、初めて栽培するならホームセンターなどで販売されている苗を購入し、苗の植え付けからスタートするとよいでしょう。 イタリアンパセリの楽しみ方 OlgaBombologna/Shutterstock.com イタリアンパセリを採取したら、ぜひ暮らしに役立てましょう。栄養成分や利用の仕方、保存方法についてガイドします。 栄養 イタリアンパセリにはクロロフィル、β-カロテン、ビタミンB群やC、E、Kなど多くのビタミンを含んでいます。ほかにも亜鉛、カルシウム、鉄分、カリウム、マグネシウムなどがバランスよく含まれており、ヨーロッパではメディカルハーブとして重宝されています。 使い方 クセが少なく食べやすいイタリアンパセリは、さまざまな用途に利用可能です。そのまま葉をトッピングに使ってもいいし、刻んで混ぜても料理が鮮やかに仕上がります。サラダに入れたり、魚介料理やパスタに添えたりするのもおすすめ。におい消しや香味づけに、煮込み料理に入れてもよいでしょう。 保存方法 イタリアンパセリは必要な分だけ摘み取り、新鮮なうちに使い切るのが一番ですが、保存することも可能です。容器に水を張り、水の中で切り口が斜めになるように茎を切ってそのまま浸けておきます。水揚げしたイタリアンパセリを葉が水に浸からないようにコップなどに入れ、涼しい場所か冷蔵庫で保存します。コップの水は毎日取り替えましょう。または、水で湿らせたキッチンペーパーで包み、密閉できる保存袋に入れて冷蔵庫で保存してもかまいません。いずれも、香りを楽しむには2~3日のうちに使い切りましょう。 栄養豊富なイタリアンパセリを上手に栽培しよう PUDRA/Shutterstock.com 料理の彩りや風味づけなど、香味野菜として常備しておくと便利なイタリアンパセリ。プランターで容易に育てることができ、メンテナンスの手間もあまりかからないハーブです。ぜひ庭やベランダで栽培にチャレンジしてみてください。
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宿根草・多年草

【実例でよく分かる!】花が咲かない、少ない…クリスマスローズの悩みを横山直樹さんが解決!〜Dr.横山のクリスマスローズ診察室〜
【診察①】環境は理想的…でもクリスマスローズが咲かないのはなぜ? 2020年の庭の様子。樹木の下で‘プチドール’がたわわに咲いて春爛漫の風景。 面谷さん:横山さんが作出されたクリスマスローズの‘プチドール’。数年前までは何十輪と花を咲かせ、圧巻の花姿から「まるでメガドールだね」と冗談を言っていたのに、数年前から数えるほどしか花を咲かせなくなってしまいました。このエリアは庭の南東で、落葉樹のウワミズザクラの下なので、クリスマスローズが好む「冬から春は日が当たり、夏は木陰」という好条件のはず。近くにバラも植わっているので、適度に肥料も効いているはずなんですが…。植えて7〜8年くらい経ちますが、寿命なんでしょうか? Dr.横山:クリスマスローズは限りなく寿命が長くて、40年以上も花を咲かせている株もあるくらいなんです。ですから、植えて7年の株が寿命ということはないし、栽培環境としても申し分ないですね。咲かないなあって思うようになったのは、去年が初めてですか? 面谷さん:いえ、ここ2〜3年くらいかな。 赤丸が2024年の‘プチドール’。 Dr.横山:なるほど。栽培環境もよくて、今までよく咲いていたクリスマスローズが咲かないなと気づいたとき、1年は様子を見てほしいんですよ。というのは、その時たまたま気候や環境の影響によって咲かないけれど、次の年はまたいつもどおりに咲く、というケースもよくあるんですよね。だから、1年はまずは見守ってあげて、次の年もまた咲かないということであれば対処する、というのが基本的な考え方です。 【Dr.横山のワンポイントアドバイス】 クリスマスローズが咲かない、花が少ないという場合、1年はそのまま様子を見ましょう。翌年は再び以前のように咲くこともあります。2年連続で咲かない場合は、原因あり! Dr.横山:このケースの場合、こういう状態になって2〜3年ということだから、たまたま咲かないんじゃなくて、何か原因があると考えましょう。ここは見たところ、5〜6㎡のエリアにウワミズザクラと‘プチドール’のほかにもクリスマスローズが数株、そのほかに球根類や草花も植わっているので、年数を経てそれぞれが生育して、手狭になってきている可能性が高いかもしれないですね。 面谷さん:そうなんです。クリスマスローズもこぼれ種でいつの間にか増えたし、鳥が落とした種子からホタルブクロもすごい増えちゃったし、1つのところにいろんな植物が多すぎるのかな。 Dr.横山:それが必ずしも悪いわけじゃないし、僕はこうやってクリスマスローズがほかの花と仲よく咲いているのはとっても好きですよ! ただ、ホタルブクロがすごい勢いで発芽しているのが気になるかな。とにかく、ちょっと掘り上げて見てみましょうか。 地植えのクリスマスローズの掘り上げ方 【Dr.横山のワンポイントアドバイス】 クリスマスローズは10年近く植えたままにすると、連作障害を起こすことがあります。2年連続で花が少なかったり、咲かなかった場合、また細かい葉ばかりになってきたら、株を掘り起こしてみましょう。株分けをしたり、違う場所に植え替えることで刺激が与えられ、再び元気に育ち始めます。 【診察②】根詰まりと競合植物が原因だった! ウワミズザクラの太い根が‘プチドール’の株の下に入り込んでいた。 Dr.横山:面谷さん、ほら、‘プチドール’を掘り上げた穴を見てみてください。ウワミズザクラの太い根っこが‘プチドール’の株の下に入り込んでいました。花が咲かなくなったのは、きっとこれが主な原因ですね。掘り上げた‘プチドール’の根っこにもホタルブクロの根がたくさん絡んでいるし、 ‘プチドール’が十分に根を伸ばせなかったんですね。 抜いた‘プチドール’の株を見ると、ほかの植物を避けるように、新芽が下へ潜りつつ横へ横へと出てきていた痕跡がありますね。ここでは十分な養分が得られないから、逃げるように株が新天地を求めて移動しようとしていたということです。 面谷さん:あらぁ、ここは窮屈だったんだ。気がつかず申し訳ないことをしてしまったなぁ。でも動かないと思っていた植物が、逃げようとして動くなんて大発見だわ。掘ってみるといろんなことが分かるものですね! ところで、この‘プチドール’はどうなりますか? もうダメなんでしょうか? 【How to】根詰まりのクリスマスローズの再生方法 掘り上げた‘プチドール’。赤丸で囲んだ白っぽい根は、新しい根。 Dr.横山:大丈夫! 私、失敗しないので! この‘プチドール’は、少ないけれどもまだ新しい白い根を出しているので、ひとまず鉢に掘り上げて夏は半日陰で養生させ、秋に植え直してあげましょう。僕がクリスマスローズのために長年研究して作った横山園芸のオリジナル培養土に植えておくと安心ですよ。水はけもよく、肥料もちも適度で、固すぎず柔らかすぎず、植物の根に優しい土です。掘り上げた株は根っこがダメージを受けているので、鉢上げの際は肥料ではなくて、「活力剤」をあげておくといいですよ。 掘り上げた‘プチドール’の、新芽が出ていた部分を株分け(本来株分けは秋がおすすめ)。鉢に植えて養生させることに。 面谷さん:秋には同じ場所に植え直していいですか? それとも別の場所のほうがいい? Dr.横山:同じ場所でもいいんですが、このままの状態ではなくて、一度大胆にこのエリアをリフォームしたほうがいいと思うな。というのも、年数が経ってウワミズザクラの根っこが張り巡らされているうえに、球根や宿根草の根も絡み合っているので。いわばこの植栽エリアは、盆栽の鉢の中のように根っこがギュッと締め固められている状態なんです。ですから、いったん樹木以外の植物を抜いて土壌改良をしたうえで、植物の数を減らして植え直してあげたら、また以前のようにたくさん花を咲かせるようになりますよ。 面谷さん:ああ、よかった! 庭ではたくさんのクリスマスローズを育てているんですが、「これは初めてサンシャインで買った株」とか「子どもが卒業した時に買った株」とか、どれも思い出があって大事にしているんです。この‘プチドール’にも「横山先生に助けてもらった株」というありがたい経歴ができました。とりあえず、秋まで鉢上げして療養入院ですね。私、元看護師なので、しっかりお世話させていただきます! 【診察③】日陰の庭では「控えめな咲き方」を楽しむのもアリ 面谷さん:先生、こちらの北の庭でも花がポツポツとしか咲かなくなってしまったんですが、ここも掘り上げて様子を見たほうがいいでしょうか。 Dr.横山:ここは見たところ、先ほどのエリアとは原因は別にありそうですね。まず、環境が先ほどの日なたの庭と全然違って、ここは日陰で立ってるだけでも寒いなぁ。 面谷さん:そうなんです。ここは建物の陰になる北側の庭で、日が当たるのは早朝の数時間で、10時くらいにはもう日陰になっちゃうかな。日陰すぎて、ここは無理なんでしょうか? 植えた当初は何輪も咲いていたのに、みんな1本立ちの可哀想なスタンダードみたいになってしまって…。 Dr.横山:大丈夫! 私、失敗しないので! 日陰ということもあるけど、朝日は浴びているわけですから、栽培環境としては悪くはないんですよ。ただ、ここは先ほどの日なたの庭と違って、土が痩せてる感じがしますね。ここはほかの場所ほど、肥料が足りていないんじゃないかな。ビオラやパンジーもほかのエリアと比べて、株が小さいですもんね。 面谷さん:先生のおっしゃるとおり! ここはバラとか宿根草をあまり植えていなくて、他の場所より断然肥料をやっていないんです。でも、春になるとサクラソウとか原種シクラメンとかエビネとかがポツポツ咲いて、その控えめな感じがかわいいんですよ。 Dr.横山:うんうん、僕もこの控えめに咲くクリスマスローズの感じもすごくいいと思ったんですよ。必ずしも、いっぱい咲かせることだけが、正解じゃないと思うんだよね。2〜3輪で控えめに咲いても、クリスマスローズってかわいいし、場所の雰囲気に合ってるならそれでいいと思うんです。だから、ここはこのままでもいいけれど、もしもうちょっと花を咲かせたいと面谷さんが思うなら、腐葉土や肥料を施して土を肥えさせましょう。 そうだな、ここはあと5cmくらい腐葉土や堆肥を重ねておくといいと思います。毎年、そうやって秋に定期的に腐葉土や堆肥、肥料を与えれば、もっと花つきがよくなるはずです。それから、これまではきっときれいにお掃除されていたんでしょうけど、このエリアにも落葉樹がいくつか植わっているので、秋の落ち葉を植栽エリアに寄せておくのも効果的ですよ。 夏は緑陰が涼しい北の庭。 面谷さん:なるほど〜。落ち葉を活用すればよかったんですね。今年からそうします! ここはほかのエリアより花は少ないんですが、雑木林のような自然な雰囲気が好きなんです。夏なんかは木陰がとっても涼しくて、ガーデニングの最中の避難所にしているんですよ。 Dr.横山:面谷さん、クリスマスローズにとっても、ここは夏の間の避難所として最適ですよ。さっき掘り上げた‘プチドール’みたいに、ちょっと生育が心配だなというクリスマスローズを養生させておくのにぴったりの場所ですよ。 面谷さん:それはいい考えですね! では、ここはクリスマスローズの保養所にすることにします! それにしても同じ庭の中でも、いろいろ環境条件が違って、咲かない理由も1つではないんですね。 【Dr.横山のワンポイントアドバイス】 日照不足の場所は、しばしばお世話が忘れられて肥料不足になっていることもよくあります。その場合、腐葉土や堆肥などで土壌改良をすることでクリスマスローズの花付きがよくなります。しかし、育て方の目標は必ずしも「たくさん咲かせる」ことだけではありません。その場所の雰囲気に合っていれば、花が少なくても魅力的に見えるものですよ。 【診察④】“葉ばかり茂る”のは古葉切り不足かも! 古葉切りをしたクリスマスローズ。見事な花つきの大株。 Dr.横山:あと、よく質問されるのは、葉っぱばかり茂って花が咲かないんです、というお悩み。これは古葉切りをまったくしていないと、そうなることがあるんですね。無茎種(多くは無茎種)は晩秋から冬にかけて、古葉を切るのがクリスマスローズの管理の基本です。切られる刺激でホルモンが働き、開花が促されるという仕組みになっているんですよ。 面谷さん:先生、いつ切ってもホルモンが働き、開花が促されるんですか? Dr.横山:そうそう、だから例えば夏に傷んだ葉をバンバン切ってしまうと、暑くて休眠しているクリスマスローズが動き出して、余計な体力を使って枯れてしまうことがあるから注意しましょう。基本的に古葉切りは11〜2月の間に行います。葉を切ることで株元にも日が当たり、寒いなかでも地温が上がってつぼみが伸びてくるんです。面谷さんの庭のクリスマスローズは、ちゃんと古葉切りがされていますね。 面谷さん:はい! 米子は1月になったらたくさん雪が降って作業ができないこともあるので、いつも12月までにせっせと古葉切りをしています。じゃあ今、春から新たに葉っぱが出てきて、5月はフサフサになるじゃないですか。それは新葉だから切っちゃいけないということですね。 【楽しむヒント】咲き終わりの花でブーケを作ろう! Dr.横山:そのとおりです。それが晩秋になったら「古葉」という扱いになるわけです。晩秋から冬になると、古葉が外側に倒れてくるので、全部切らなくてもいいですけど、株元5cmを残して切るといいですよ。米子のような雪の降る地域は、冬のガーデニングは寒くて大変なことも多いでしょうけれど、雪国ならではのいい花が見られるという特典もあるんですよ。日当たりのいい場所に咲いているクリスマスローズは、茎がとても太くて充実しているでしょう。これは厳しい寒さに耐えたからこそなんですよ。面谷さんはアレンジメントも得意だから、こういうしっかりした茎の花はブーケにもいいんじゃないですか。 朝一でクリスマスローズを庭から摘んで、ブーケを束ねる面谷さん。 面谷さん:そうなんです! というわけで、診察のお礼に、先生にブーケをプレゼントします! 庭のクリスマスローズを摘んで作ったブーケです。横山先生の「よしの」も入っていますよ。 Dr.横山:わぁ、なんて贅沢なブーケ! ありがとうございます! 4月はそろそろ花が咲き終わって色あせてくるので、そうなったら早めに花茎を切るのが翌年のためにもいいんです。もったいないと思うかもしれませんが、こうやってブーケにすると花の顔もよく見られていいですよね。クリスマスローズを育てている人はぜひ、4月はクリスマスローズのブーケを作ってみてくださいね。 クリスマスローズのブーケをもらったDr.横山、満面の笑み! 【まとめ】咲かない原因は1つじゃない! クリスマスローズが咲かない原因は1つではありません。今回ご紹介した以下の原因をチェックして、それぞれ適切に対処しましょう。 【地植えのクリスマスローズが咲かない主な5つの原因】 根詰まり 他植物との競合 栄養不足 日照不足 古葉切りの不足 そして、1年目は様子を見るのも大事。2年連続で花が咲かないときは、今回の面谷さんの庭のように“掘り上げてみる”のが原因判明の近道かもしれません。 次回は鉢植えのクリスマスローズのお悩みについてご紹介します。
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季節のおすすめイベント

【5月の連休は横浜へ!】日本最大級の園芸イベント「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」に出かけよう
花盛りの季節を「ガーデンシティ横浜」で楽しもう! マリンタワーや観光船氷川丸を背景にバラ咲く景色が楽しめる山下公園(左3枚)と横浜ベイブリッジを望む高台に宿根草とバラが調和する港の見える丘公園(右)。 約1,900株ものバラが港を背景に咲く「山下公園」をはじめ、イングリッシュローズの庭・香りの庭・バラとカスケードの庭などでバラと草花が咲き競う「港の見える丘公園」など、多くの花の名所が点在する横浜市。港の春は、3月下旬のサクラからはじまり、4月上旬にはチューリップ、そして市の花でもあるバラへと華やかに咲き継いでいきます。バラが街のいたるところを彩る5月のゴールデンウィークには、花と緑が主役の新たなイベント「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」が開催されます。横浜市の各所のお花見散歩とセットで、イベントへも足を運んでみてはいかがでしょうか。 すべての園芸ファンのための花と緑のフェスティバル開催 「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」の会場は、横浜港を背にした「パシフィコ横浜」展示ホールA・B。picture cells/shutterstock.com 日本で37年ぶりとなるA1クラス(最大規模)の国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の開催を控える横浜市。その世界的プロジェクトのプレ・イベントでもある「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」は、ショーガーデンやモデルガーデン、植物の最新品種の展示をはじめ、園芸業界を牽引する企業による展示やショップ、花緑にまつわる著名人が続々登場するステージ、ワークショップなど、多彩なコンテンツが満載。すべての園芸ファンのためのワクワクがぎゅっと詰まった3日間です。 入ってすぐ花緑の世界に引き込まれる! 吉谷桂子さんがプロデュースするガーデン展示「WHY WE GARDEN?」 メインのショーガーデンは、ガーデンデザイナーとしていち早く気候変動とその影響を感じてきた日本を代表するガーデンデザイナー、吉谷桂子さんがプロデュースします。ガーデンを手がけるのは、吉谷さんと同じ思いを持って集まったガーデンデザイナー、ガーデナー、生産者など、ガーデンの最前線で活躍するエキスパートたち。これからのガーデンづくりのヒントを共有する展示で、その巧みな技術をぜひ間近にご覧ください。 ローラン・ボーニッシュさんが「バラの咲く家」を花装飾で表現 左/ローラン・ボーニッシュさんが手がけた2024年の展示、「パリの小さな秘密の空間(Petit jardin secret parisiens)」。 フランス出身のフラワーアーティスト、ローラン・ボーニッシュさんが万人に愛され、人々を魅了するバラの魅力を「フレンチローズが咲く庭に佇む小さな家」に表現します。バラの色彩や姿を目で楽しみ、香りも感じられる展示です。個性きらめく花の装飾が随所にみられる、こだわりの世界観は必見! 花緑を愛するゲストが続々登場する2つのステージ 今年4月からガーデニングに関する冠番組を持つ女優の黒谷友香さんや、GREEN✕EXPO2027応援団長でシンガーソングライターの白井貴子さん、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さん、園芸超人のカーメン君など、豪華ゲストが勢ぞろい! 園芸研究家、ガーデンデザイナー、熱帯植物栽培家、料理研究家など今、ガーデニング業界で活躍中のステージゲストが続々登場し、トークショーや園芸セミナー、デモンストレーションなど多彩なプログラムが予定されています。TVや雑誌などメディアで有名な方々の生の声が聞ける貴重な機会をお見逃しなく。 花と緑の楽しさ100人100通り! 植物のトレンドをキャッチ バラの街・横浜からトレンドのバラ一挙公開 最新のバラ、人気のバラ、インフルエンサーいち押しのバラなど、国内外で作出されたトレンドのバラが勢揃いします。ここでしか見られない華やかなバラの競演に酔いしれ、品種ごとに異なる個性あふれるバラの香りも堪能しましょう。 左:アローム ディヴァン/デルバール(フランス)華やかなロゼット咲き大輪の新品種。甘さと爽やかさが調和する豊かな香りもお楽しみに!右:クランベリー アイズ/ワーナーズ ローゼス(イギリス)柔らかく波打つ花弁。中心に入るクランベリーピンクのアイが個性的な人気のバラです。 左:カネット/ローズ ドゥ メルスリー(日本)明るい赤からローズピンクを帯びて咲き進みます。一重咲きのナチュラルな魅力の新品種です。右: スマイル ハニー ローズ/ くまのプーさん/メイアン(フランス)みんなを笑顔にしてくれる「くまのプーさん」。大好きなハチミツのような花色の人気品種です。 あなたも審査員! ガーデニングコンテスト&日本バラ切花〜新品種展示と人気投票〜 2024年に行われたガーデニングコンテスト3部門の受賞作品。 日頃から培ってきたデザイン力、植え付けの技術、提案性などを活かした美しい作品がずらりと並ぶガーデニングコンテストを会場内で開催! 部門は、①ミニガーデン部門 ②コンテナガーデン部門 ③ハンギングバスケット部門の3つ。来場者による人気投票と、審査員による部門別の審査結果は会場で発表。ガーデニングのヒントを得るコンテスト展示の機会をお見逃しなく。 Japan品質のクオリティーが高い花々を鑑賞 150点のバラ切花が集結し、栽培技術の日本一が決定する『日本ばら切花品評会』や、旬の花・自慢の花が5地域から集結する『ニッポン花ざかり』では、まだ流通していない新品種も含め、最新の鉢花・切花が勢揃い。彩り豊かな美しい花々を一堂に見られる機会です。 「公園愛護会」など横浜を彩る市民のチカラを紹介する『市民パワーで街に緑を』では、ガーデナーの永江晴子さんがモデルガーデンを披露。『花と緑 和の愉しみ』では、おもとやバラ盆栽、一葉式いけ花四代目家元による作品など、海外からも注目が高い日本の伝統園芸の今を知ることができます。 多彩な体験コンテンツで花と緑と親しもう! 国産の木のおもちゃを使って親子で楽しめる「木育キャラバン」や新しい種まきの手法を遊び感覚で体験できる「たねダンゴづくり(有料)」、話題の子供向け職業体験コーナー「植木屋さんになってみよう(有料)」、子供向け花育講座「子供のためのフラワーアレンジメント(有料)」のほか、大きな2人挽きノコギリでヒノキの丸太切りを体験できる無料の体験コーナーなど、他では経験できない花と緑にまつわるコンテンツが日替わりで登場! ハンギングバスケットや寄せ植え体験、いけばな、押し花、調香ワークショップ、園芸相談コーナーなども。 ガーデンストーリー出展ブースでは新ブランド「ガーデンストーリーシリーズ」の商品を初披露! 当サイト「ガーデンストーリー」も、ガーデニング&エクステリア専門のオンラインショップ「青山ガーデン」とコラボで会場中央奥30番ブースに出展いたします。ブースでは、ガーデンストーリーサイトやSNS、イベント会場にて読者投票を行ったガーデングッズの新ブランド「GARDEN STORY Series(ガーデンストーリーシリーズ)」の販売決定商品の展示と、イベント限定特別価格での先行予約販売を実施。さらに次回企画に向けての投票イベント(プレゼントあり!)も開催します。 また、当日ガーデンストーリーの書籍(KADOKAWA発行)『花や実を育てる飾る食べる 植物と暮らす12カ月の楽しみ方』または『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』をご購入いただいた方には、ガーデンストーリーオリジナルのオーガニックコットン巾着をプレゼント。 そして、初日の5月3日(土)に、エム・アンド・ビー・フローラの難波良憲さんによる寄せ植えデモンストレーション(時間未定)を、また同日の15:00〜15:40にガーデンステージにて、ガーデンストーリー編集長・倉重香理によるトークショーを行います。 「ガーデンストーリーシリーズ」の商品を実際に手に取ってご覧いただける貴重な機会です。皆様のお越しをお待ちしております! 無料会員限定でペアチケットをプレゼント! ※受付終了 2025年5月3日(土)~5日(月)に神奈川県横浜市「パシフィコ横浜」で2度目の開催となる「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」の入場チケットを、無料会員制度「ガーデンストーリークラブ」会員限定で10組20名様に抽選でプレゼント! 応募方法 ※受付を終了しました。 ●新規会員登録の方①下記リンクの記事より無料会員制度「ガーデンストーリークラブ」にご登録。 ②自動返信メールに記載の応募フォームからご応募。※自動返信メールが届かない場合は、info@gardenstory.jp までご連絡ください。 ●会員登録済の方4月8日12:00配信のメールマガジンに記載の応募フォームからご応募ください。※メールマガジン配信設定をしていない方で抽選応募希望の方は、info@gardenstory.jp までご連絡ください。●応募締切 4月23日(水)9:00ご応募お待ちしております! Information 「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」開催日時 2025年5月3日(土)~5日(月) 10:00~17:00 ※最終日16:00まで ※入場は閉場時間の30分前まで会場 パシフィコ横浜 展示ホールA・B入場料 前売券 ¥1,500 当日券 ¥1,800 中学生以下無料 ※税込 チケット購入はこちら(https://yfg-fes.jp/ticket/)主催 横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025実行委員会 ガーデンネックレス横浜実行委員会 (公社)日本家庭園芸普及協会 (株)NHKエデュケーショナル 全国花みどり協会 (株)横浜国際平和会議場 (公社)2027年国際園芸博覧会協会 (公財)横浜市緑の協会共催 横浜市後援 農林水産省、国土交通省、神奈川県、NHK横浜放送局、UR都市機構、都市緑化機構
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一年草

アークトチスは愛らしく華やかな花が魅力! 特徴や育て方のポイント、霜よけ方法もご紹介
アークトチスの基本情報 Peter Turner Photography/Shutterstock.com 植物名:アークトチス学名:Arctotis英名:Arctotis、African daisy和名:ハゴロモギク(羽衣菊)その他の名前:アフリカギク、アルクトティス科名:キク科属名:アークトチス属原産地:南アフリカ形態:宿根草(多年草) アークトチスは、キク科アークトチス属の多年草です。ただし、高温多湿が苦手で日本の暑い夏を乗り切れずに枯死しやすいため、一年草として流通していることが多くなっています。原産地は南アフリカで、約60種以上が確認されています。和名はハゴロモギク、草丈は20〜70cmです。 アークトチスの花や葉の特徴 Wattlebird/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:4〜7月草丈:20〜70cm耐寒性:普通耐暑性:やや弱い花色:オレンジ、黄、ピンク、白など 開花期は種類によって異なりますが、基本的に4〜7月です。花色はオレンジ、黄、ピンク、白など。花茎を長く伸ばした頂部に1輪の花を咲かせ、日中に開いて夜には閉じる性質を持っています。細長く放射状に伸びる舌状花と中央の筒状花とがある、マーガレットやガーベラなどに似た花です。葉は種類によって異なりますが、切り込みが入る楕円形タイプが一般的。茎葉には細かい産毛が生えています。 アークトチスの名前の由来や花言葉 Graeme L Scott/Shutterstock.com アークトチスという名前は、ギリシア語の「arktos(熊)」「ous(耳)」に由来し、代表的な種類であるグランディスは「grandis(大きい)」という単語が付加され、「大きな熊の耳」を意味します。これは、種子についている産毛をイメージしたものとされています。和名の「羽衣菊(ハゴロモギク)」は、天女の羽衣をまとっているような花の美しさを表現して名付けられたようです。 アークトチスの花言葉は「個性豊か」「若き日の思い出」などです。 アークトチスの代表的な品種 国内で流通しているアークトチスは、主にグランディスとアカウリスの2種類。それぞれの特徴について見ていきましょう。 アークトチス・グランディス All for you friend/Shutterstock.com アークトチスとして日本で最初に導入されたのが、グランディスです。花のサイズは6cm前後で存在感があります。白い花色とシルバーの葉は、清楚な印象。草丈は50〜70cmになるので、花壇の中段向きです。 アークトチス・アカウリス LifeCollectionPhotography/Shutterstock.com 最近では、園芸店でアークトチスというと、アカウリスを指すことが多くなっています。アカウリスはオレンジや黄色などのビビッドカラーのほか、サーモンピンクやクリーム色などのパステルカラーも揃い、品種が多様です。人気の高い草花のため品種改良が進んでおり、キク科ベニジウムと交配して生まれたベニディオ・アークトチスも、近年はアークトチスとして流通しています。さらには異なる種同士を掛け合わせた交配種もあり、それらはアークトチス・ヒブリダ(雑種)と呼ばれて分類がややこしくなっているようです。 アークトチスの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4〜7月植え付け・植え替え:11月頃、4〜5月肥料:4月〜6月中旬種まき:9月下旬~10月中旬 アークトチスの栽培環境 alybaba/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日照不足では、ひょろひょろと徒長した軟弱な株になり、また花つきも悪くなるので注意しましょう。 【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。 【置き場所】水はけのよい環境を好むので、水はけの悪い土壌であれば、軽石や砂を混ぜ込み、10〜20cm土を盛って周囲よりも高くしておくとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 アークトチスの耐寒性はマイナス4℃程度とされ、低温で傷みやすいので、冬越しの際は霜や雪、寒風を避けられる場所で管理するとよいでしょう。また、高温多湿を嫌うので、込み合っているようなら茎葉をすかす切り戻しをして、風通しよく管理します。 アークトチスの育て方のポイント 用土 Wstockstudio/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。水はけが悪い場合は軽石や砂を混ぜ込み、水はけをよくしましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の草花用培養土を利用すると手軽です。 水やり Zoom Team/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、過度な乾燥が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。アークトチスは乾燥に強く多湿を嫌います。極端な乾燥は避けますが、乾かし気味に管理しましょう。いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬に生育が止まってもカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 【地植え・鉢植え共に】 やせ地でも育ち、肥料が多いとは徒長や立ち枯れの原因になるので、通常の草花よりもやや控えめに与えたほうが姿もよく、立ち枯れにくくなります。ただし、開花期間中は肥料が不足すると花が途切れやすくなるので、必要に応じて肥料を与え、株の勢いを保ちましょう。 注意する病害虫 schankz/Shutterstock.com 【病気】 アークトチスに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病害部分を処分し、適用のある殺菌剤を散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれます。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて、風通しよく管理しましょう。 【害虫】 アークトチスに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 アークトチスの詳しい育て方 苗の選び方 アークトチスは、種まきからでも簡単に育てられます。苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まった丈夫なものを選びましょう。 種まき YamabikaY/Shutterstock.com アークトチスは、ビギナーでも種まきから育てやすい花。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。 ただし、アークトチスの苗は春から花苗店に出回り始めます。手軽に育てたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめ。1〜2株あれば十分という方は、苗から栽培するとよいでしょう。 発芽適温は20℃前後で、種まき適期は、9月下旬〜10月中旬です。 まず、種まき用のトレイに市販の培養土を入れ、種を数粒ずつ播きます。浅く水を張った容器にトレイを入れて底から給水します。これはジョウロなどで上から水やりすると水流によって種が流れ出してしまうことがあるからです。発芽までは明るい半日陰で管理し、乾燥しないように適度に底から給水しましょう。 発芽後は日当たりのよい場所に置き、乾燥気味に管理します。勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や、葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。本葉が2〜3枚ついたら黒ポットに鉢上げして育苗し、十分に育ったら花壇や鉢などに植え付けます。 植え付け・植え替え laenon/Shutterstock.com アークトチスの植え付けの適期は、種子から育てて育苗した場合は11月頃、苗を購入する場合は4〜5月です。ほかの時期にも苗は園芸店などに出回っているので、入手したら早めに植え付けます。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘って植え付けます。苗が複数の場合は、30〜40cmほどの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。 真夏の暑さに弱い傾向があるので、夏前に鉢へ植え替えて涼しい場所で管理するとよいでしょう。 【鉢植え】 鉢の大きさは、5〜7号鉢を準備しましょう。 底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐして植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出ないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 日常のお手入れ Aleksei Golovanov/Shutterstock.com 【花がら摘み】 次から次へと花が咲くので、終わった花は園芸用のハサミで切り取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次々と花がつき、長く咲き続けてくれます。 夏越し・冬越し Anton Starikov/Shutterstock.com 【夏越し】 アークトチスは高温多湿を嫌うため、夏越しの際は可能な限り水はけのよい土で風通しよく管理することが大切です。地植えで育てている場合は、鉢に植え替えて、風通しがよく涼しい場所に移動するのも一案です。ただし、真夏の暑さを乗り越えられずに枯死することが多く、日本では一年草扱いもされていることから、一年草と割り切って楽しむのもおすすめです。 【冬越し】 アークトチスは寒さにも弱く、耐寒性はマイナス4℃程度とされていますが、0℃以下では枯死してしまう確率が高まります。冬越しの際は、霜や雪を避け、寒風が当たらない場所で管理します。 寒さ対策や霜よけとして、地植えの場合は株元にバークチップなどをかぶせて凍結を防ぐとよいでしょう。鉢栽培の場合は霜のあたらない軒下などに移動して管理します。品種によって耐寒性に差があるので、購入の際にラベルをチェックし、適した環境で冬越しさせてください。 増やし方 アークトチスは、種まきや挿し芽で増やすことができます。 【種まき】 アークトチスを種まきから増やしたい場合、開花後に種子を採取します。開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめ、熟した種子を採取して密閉容器に入れ、種まき適期まで保管しておきましょう。ただし、交配された園芸品種の場合は、親と同じ性質になるとは限らないことを知っておいてください。流通しているアークトチスはほとんどが交配種で種子が採れないため、挿し芽でないと増殖できません。 種まきの方法については、「種まき」の項目を参照してください。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、アークトチスは挿し芽で増やせます。 アークトチスの挿し芽の適期は、6月頃か9月下旬〜10月です。新しく伸びた茎葉を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 アークトチスを咲かせて華やかな庭をつくろう Peter Turner Photography/Shutterstock.com ビビッド系からパステル系まで、色幅が豊富に揃うので、「どんなタイプを育てようかな」と選ぶ楽しみがあります。花のサイズがやや大きめなので、寄せ植えの主役としても活躍。ぜひアークトチスを庭やベランダで育ててみてはいかがでしょうか。
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寄せ植え・花壇

虫が出ない! 初心者も安心の“ハイドロカルチャー寄せ植え”でおしゃれな新生活
ハイドロカルチャーとは? 土を使わない観葉植物の新しい育て方 ハイドロカルチャー(Hydroculture)とは、土を使わず、水と人工用土(ハイドロボールなど)で植物を育てる方法です。 水耕栽培の1種ですが、観葉植物をインテリアとして楽しむためにアレンジされたスタイル。 使用するのは、無菌で軽くて見た目も美しいハイドロボールや小石などの植え込み材。虫がわきにくく、においもほぼないので、室内でも清潔に植物を楽しめます。 ハイドロボールに植えた観葉植物の寄せ植え。室内にみずみずしい彩りをもたらす。 ハイドロカルチャーは、こんな方におすすめ! 植物を育ててみたいけど、「土」や「虫」が気になる方 忙しい毎日でも、手間なくグリーンを楽しみたい方 ワンルームやデスクなど、限られたスペースに癒やされる植物を置きたい方 おしゃれなインテリアとして観葉植物を取り入れたい方 初心者だけど、ちゃんと育てられるか不安な方 ハイドロカルチャーは、そんな「植物は好きだけど、ちょっとハードルが高い」と感じている方にこそぴったりのスタイル。水の管理もラクで、虫がわきにくく、清潔。だから、植物ビギナーも安心して始められます。 観葉植物の寄せ植えの魅力 観葉植物は、一般的には1つの鉢に1種類の植物を植えて育てますが、複数の植物を組み合わせた「寄せ植え」も魅力的。 ミニガーデンのような世界観! 小さな容器の中に多彩な植物が共存する姿は、見ているだけで癒やされます。 高さ・色・葉の形のバランスで自分だけのレイアウトに! アート感覚で楽しめます。 省スペースでも存在感◎! 1つのガラス容器で、ぐっと空間が華やかに。 透明ガラスで失敗しない!初心者におすすめのハイドロカルチャー容器 ハイドロカルチャーにおすすめなのが、透明なガラス製の容器。これが便利かつおしゃれ! その理由は… 水の量がひと目で分かる:水を容器の底から1/3ほどためておけば、根が必要な分だけ吸い上げます。水の量を目で見て確認できるので、初心者も水切れの失敗がありません。 インテリア性も抜群:中のハイドロボールや根の様子まで見えることで、ナチュラルで洗練された印象に。 容器選びの注意点(深さ・形状) 排水穴のないもの。 深さ:10cmほどがベスト。浅すぎると根が張れず、水分管理が難しい。 安定性:底が広い、または重みのあるものを選ぶ。 口の広さ:蒸れ防止のために、ある程度開いている形状が理想。 ワイングラス形のようなおしゃれな形は不安定になりやすく、根が張りづらいため、初心者にはやや難易度高め。 沼ノ上農園にはハイドロカルチャーに向くさまざまなデザインのガラスの器が並ぶ。 「ハイドロカルチャーの寄せ植え」に必要な資材と道具 ① ミリオン(またはゼオライト)/水質浄化作用がある天然鉱物。水の腐敗を防ぎ、根腐れ防止・肥料効果アップ・ミネラル補給などでよりよく育つ資材。ハイドロカルチャーには必須。② ハイドロコーン(小粒)/粘土を高温で焼き上げ発泡させたボール状のレンガのこと。無数の小さな空洞が水や空気を保ち、植物の根にとってよい環境を作る。病害虫の発生が少なく清潔で衛生的。ハイドロコーンでなくても、キレイに洗った小石などでもOK。③ ガラス容器/今回使用の容器は、直径約14cm、高さ約12cm④ ハイドロカルチャー用の液肥/ハイドロカルチャー専用のものを使用すること。培養土用の液肥や肥料は病気や蒸れの原因になるため、ハイドロカルチャーでは不可。⑤ 活力材/植え込み時に使用。メネデールなどの活力材は肥料と異なり、あげすぎによる失敗がないので安心して使える。 ⑥ バケツ/植え込み時に根を洗うために水を張っておく。⑦ 小さいシャベル/植え込み時にあると便利。⑧ ピンセット/植え込み時にあると便利。⑨ 水さし/水やりの際に使用。 初心者でもできる!ハイドロカルチャー寄せ植えの作り方を解説 <今回植え込む観葉植物> ① コルジリネ② アジアンタム③ トラディスカンチア④ エバーフレッシュ 沼ノ上農園のハイドロカルチャー用観葉植物苗。イキイキと元気な苗が揃う。 寄せ植えに使用する苗は、プラグ苗など小型の容器で育苗された観葉植物から選びます。水耕栽培用の小さな苗もたくさんの種類があり、店頭で水に浸かった状態で販売されています。直径5〜6cmの小さなポットに入っているものや、根がオアシスでおおわれたオアシス苗などがあります。輪ゴムでくくられている場合がありますが、輪ゴムは取らずに植え込みます。観葉植物のほとんどの種類がハイドロカルチャーで育てられます。 <作り方> ① 容器にハイドロボールを入れますが、その前に袋の中に手を入れ、手に汚れがついてくるようであればハイドロボールを水で洗います。小石を使う場合も同様です。 ② 水の腐敗を防ぐために、ミリオンをひとつまみ入れます。 ③ さらに上からハイドロボールを容器の3/4ほど入れます。 ④ 水を張ったバケツにメネデールを規定量入れます。植え込み時には植物にストレスがかかるので、ダメージを防ぎ、その後の生育をよくするためにメネデールなどの活力剤を用いるのがおすすめ。 ⑤ 苗をポットから抜き、根をバケツの中で洗います。特に通常の培養土で育てられているものは、ピンセットで丁寧に根をほぐしながら、よく土を洗い落とします。ハイドロボールに植えられている場合は完全に落とさなくても大丈夫です。また、オアシス苗は、オアシスはとらずにそのまま植え込みます。 ⑥ 植え込む植物の中で、最も背の高いもの、大きいものから最初に植えていきます。今回はエバーフレッシュから植えていきます。鉢の見る方向が決まっている場合、一番背の高いもの、大きいものは鉢の後方に配置します。全方向から見る場合は、鉢の中央に配置します。 植え込み位置が決まったら、エバーフレッシュを置き、上からハイドロボールを少量入れて苗に寄せて安定させます。今回は一定方向から見ることを前提とし、エバーフレッシュを後方へ配置します。 ⑦ 手前にほかの植物を置き、上からハイドロボールを入れて植え込んでいきます。植物が増えてくると手を入れにくくなるので、ピンセットを使って配置するといいでしょう。 ⑧ 鉢の手前に色のある種類をもってくるときれいです。植物同士の葉先が混ざるように微調整します。 ⑨ メネデール入りの水を容器の1/3〜1/4ほど入れて完成。ハイドロボールが水を吸い上げ、水が上へ伝わっていき、根にちゃんと届くので、たっぷり入れなくてOK。入れすぎると根腐れの原因になるので注意。 ピンクの斑入りのトラディスカンチアとコルジリネの赤い茎が、みずみずしいグリーンの中に華やかさを加える寄せ植え。個性の異なるものを組み合わせると見応えのある1鉢に。 「ハイドロカルチャー寄せ植え」の管理と置き場所 ◾️水やり/水が常に容器の1/3〜1/4ほど入っている状態を保ちます。水の減り具合は、季節や植え込んだ種類や数、置き場所などによって異なるので、よく観察して完全になくなる前に足してあげますが、一度に多く入れると水の循環が滞り、健全な生育を妨げます。植物が常に新鮮な水を吸えるように、水量は容器の1/3〜1/4に留めて循環させるのがポイントです。 ◾️置き場所/直射日光が当たらない明るい室内に置きましょう。自然光が差さなくても、室内の電気の光でも育ちます。窓辺の場合はレースや薄手のカーテン越しに光が当たるようにして、直射日光を避けます。 【避けたい場所】 葉焼けを起こすため、直射日光の当たる窓際は避けます。 エアコンの風が直接当たる場所は避けます。 暗くて空気の動かない場所は避けます。 ◾️肥料/ハイドロカルチャー専用の液体肥料を規定どおり(製品の説明書に量や間隔など適量が記載されています)にあげましょう。 ◾️その他/枯れ葉や変色した葉を見つけたら取り除きましょう。放置するとカビなどの原因になります。 まるでブーケ! 観葉植物の寄せ植えレベルアップ編 アンスリウム、シェフレラ、ペラエア、へデラなどをギャザリングの技法で寄せ植えにしたブーケのように華やかな一鉢。 草花の寄せ植えに「ギャザリング」という技法があります。苗を細かく分け、手の中で数種類をブーケのように組み合わせた状態で植え込む方法です。より繊細で複雑な表情を演出することができ、観葉植物の寄せ植えでもこの技法が使えます。 水耕栽培用の観葉植物苗は、分けやすくなっているものも多いです。ギャザリングにする場合は、輪ゴムでくくってあるものは、輪ゴムを外すと細かく分けられます。メネデール入りのバケツの水で根を洗いながら、細かく苗をほぐして、組み合わせていきます。 今回は3束を作って1鉢に植えました。ギャザリングの場合、植え込み材はハイドロボールより、「ベラボン®︎」のほうが植えやすいです。ベラボン®︎は天然のヤシの実が原料で、いったん水を吸うと膨らんで固定力が高まるので、株を細かく分けるギャザリングに適しています。 ベラボン®︎を使った場合の水やりは、ハイドロボールと少し異なります。水を容器の縁までたっぷり入れたあと株元を押さえ、鉢を逆さにして余分な水を流します。ベラボン®︎が白っぽくなったら、水やりのサインです。 上級者編ですが、草花でギャザリングをしたことのある方なら楽しんで作れるでしょう。観葉植物にもミニサイズのアンスリウムなど、お花が楽しめるものもあるので、ぜひ感性を発揮して作ってみてください。夏の暑い時期にも、涼しい室内で植物の美しい彩りが楽しめます。 Q&Aで分かる! ハイドロカルチャー寄せ植えの育て方 Q. 観葉植物のハイドロカルチャー寄せ植えの組み合わせのコツは? A1. 観葉植物の葉は、形も色もさまざま。特に形に注目して異なる個性のものを組み合わせると、お互いに引き立て合い素敵にまとまります。 左上から時計回りに/エバーフレッシュ、サンセベリア・キリンドリカ、ミューレンベッキア、フィロデンドロン、フィカス、アスプレニウム A2. 斑入りのものやメタリックなものなど、緑以外の色があるものを1つ加えると、華やかさが増します。 左上から時計回りに/フィロデンドロン、ヒポエステス、トラディスカンチア、トラディスカンチア(ピンク斑入り)、ピレア、フィットニア Q. 植え方のコツはありますか? 根上がりのフィロデンドロンやオレンジの花のアンスリウムが南国の明るいムード。植え込み材にもオレンジブラウンの小石を使って。 A. 植物が素敵に見える向きや個性を見つけて、それが生きるように植えます。例えば、この寄せ植えで中央に植えたフィロデンドロンは、根上がりのように仕立てられており、3股に分かれた太い根っこがユニーク。それを株元まで植えてしまうと、せっかくの面白い形が見えなくなってしまうので、根上がり部分が見えるように植え込みました。同じ種類でもそれぞれ個性が異なるので、一つひとつをよく観察して「素敵ポイント」が生きるように植えるのがコツです。 Q. 肥料は必要? A. ハイドロカルチャーは無菌環境なので、有機肥料や土用肥料はNG! 「ハイドロカルチャー専用の液体肥料」を使用し、水に薄めて与えるようにしましょう。(月1〜2回) Q. 植え替えのタイミングは? A. 1年に1回植え替えましょう。鉢やハイドロボールを洗って、ミリオンを再度入れてリフレッシュさせます。植え替えることで根詰まりを防ぎ、器やハイドロボールの交換で清潔さを保ちます。このタイミングで、大きく育ったものは株分けして別の鉢に植え替えて楽しむこともできます。春から初夏が植え替え適期です。 Q.根腐れやカビが出たら、どうしたらよいでしょうか? A.表面のボールを取り除いて交換しましょう。根が腐っていたら剪定し、新しい器と植え込み材を使って植え直しましょう。 まとめ:小さな器に、癒やしと季節感を詰め込んで ハイドロカルチャーの寄せ植えは、誰でも気軽に始められて、暮らしにやさしい彩りを与えてくれます。水と光、そしてほんの少しの手間で、あなたの部屋が癒やしの空間に変わります。 この春、自分だけの“ミニグリーンガーデン”を始めてみませんか? Information 沼ノ上農園住所:埼玉県さいたま市南区太田窪2810TEL :048-881-1223営業時間:毎日10〜18時 創業から100年続く埼玉の南浦和にある園芸店。草花や観葉植物など、さまざまな植物を取り扱う。オンラインショップでは主にオージープランツを扱う。4代目の日暮準さんが寄せ植えや観葉植物の管理の仕方を指南するYou Tube「花屋のせがれのジュン」も好評。 沼ノ上農園 http://www.youtube.com/@花屋のせがれのジュン
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樹木

ハナミズキの特徴と育て方! 苗木の植え方や剪定についてご紹介
ハナミズキの基本情報 Lilac Mountain/Shutterstock.com 植物名:ハナミズキ学名: Cornus florida(Benthamidia florida)英名:Flowerdogwood和名:アメリカヤマボウシ科名:ミズキ科属名:サンシュユ属(ヤマボウシ属)原産地:北米東部からメキシコ北東部形態:落葉高木 ハナミズキは、ミズキ科サンシュユ属(ヤマボウシ属)の落葉高木です。原産地は北米東部〜メキシコ北東部で、寒さ、暑さともにやや弱い傾向にあります。最終樹形は8mにもなりますが、剪定によって樹高をコントロールすることができるので、一般家庭では4m以内におさめておくとよいでしょう。成長の速度はやや遅く、樹形も自然に整うので、メンテナンスしやすい樹木です。 ハナミズキの開花期は4月中旬〜5月中旬。花色は白、ピンク、赤があります。花弁に見える部分は苞で、じつはその真ん中に丸く集まったものが花の本体です。大変花つきがよく、開花期に満開になる様子は見応えがあるので、庭のシンボルツリーとして活躍します。 日本のハナミズキの歴史 Virunja/Shutterstock.com 1912年に東京市長が友好の印として、アメリカのワシントンD.C.に桜の苗木を贈った返礼に、アメリカからハナミズキが日本へ届けられたことが普及の始まりです。最初は白花が、その2年後に赤花が届いたとされています。その後広く親しまれ、花の美しい「ミズキ」として「ハナミズキ」と呼ばれるようになりました。漢字では「花水木」と書きます。 ハナミズキの花や葉、実の特徴 Jorge Salcedo/Shutterstock.com 園芸分類:庭木・花木開花時期:4月中旬~5月中旬樹高:4〜10m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:赤、ピンク、白 ハナミズキは4月中旬から5月中旬にかけて花を咲かせ、同時期に葉も茂りはじめます。開花期が長めなので、花を十分に楽しめます。 赤やピンク、白の特徴的な花の形で知られるハナミズキですが、花弁に見える部分は実は「総苞片(そうほうへん)」と呼ばれる葉の一種。本来の花は総苞片の中央部分にある黄緑色の部位です。 花が咲き終わると、1cmほどの赤い小ぶりな実がつきます。秋には美しい紅葉の様子が見られるのも、ハナミズキの魅力の一つです。 ハナミズキの紅葉 J K Laws/Shutterstock.com ハナミズキは開花後に新緑が出て夏には緑陰をもたらし、秋が深まるとともに赤く紅葉します。「紅葉は高冷地ほど発色がよくなる」といわれますが、ハナミズキは温暖な地域でも鮮やかに紅葉してくれるのが特徴。開花期の春と紅葉の秋、2回の観賞期がある花木です。 ハナミズキの実 rsev97/Shutterstock.com ハナミズキは、10月頃に艶やかな赤い実をつけます。小さな実が複数集まる姿は愛らしく、こちらも観賞価値があります。おいしそうにも見えますが、渋くて食べられたものではありません。鳥たちが食べにやってくるので、庭にいながらバードウォッチングを楽しめる一面も。鳥たちに実を食べてもらうことで、飛び去った移動先で落としたフンからタネが芽を出して繁殖するという生存戦略を持っています。 ハナミズキの名前の由来や花言葉 Danita Delimont/Shutterstock.com ハナミズキは、同じミズキ科のなかでもひときわ美しい花が咲くことから名付けられています。 1912年に東京からアメリカに桜を贈った返礼として、ハナミズキが日本に寄贈されました。このことから、「私の思いを受け取ってください」「返礼」「永続性」などの花言葉があります。 なお英語の花言葉には「永続性」を意味するdurabilityや、「逆境に耐える愛」を意味するlove undiminished by adversity、「私があなたに関心が無いとでも?」と問いかけるAm I indifferent to you? などがあります。 ハナミズキの代表的な品種 Lilylian12/Shutterstock.com ハナミズキは人気の花木のため、品種改良が進んでさまざまな品種が出回っています。品種ごとに開花時期や花の大きさ・色などに違いがあるので、個性の違いを楽しめるでしょう。 清楚な白花で花つきがよく、最もポピュラーな品種は‘クラウドナイン’、苞が反り返って、まるで王冠のような咲き姿になる白花の‘フェアリークラウン’、濃い赤花で若木のうちからよく花を咲かせる‘レッドジャイアント’、赤花の大輪品種で大変華やかな‘チェロキーチーフ’、小型の矮性品種で樹形がコンパクトにまとまる‘レッドドワーフ’、赤花でやや遅咲きの‘レッドビューティー’などがあります。 また、ハナミズキとよく似たヤマボウシとの交配種‘ステラピンク‘は、5〜6月に淡いピンクの花を咲かせます。寒冷地でも育てやすく、うどん粉病にもかかりにくい丈夫さが特徴の品種です。 ハナミズキとヤマボウシの違い 左がハナミズキで、右がヤマボウシ。Leene(左), tamu1500(右)/Shutterstock.com ハナミズキとヤマボウシは同じミズキ科サンシュユ属(ヤマボウシ属)の植物なので、姿がよく似ています。しかし、花や葉、実の特徴に少しずつ違いがあり、見分けることはそれほど難しくありません。 ハナミズキの花(総苞片)は先端の中央部分が凹んだ特徴的な形をしているのに対し、ヤマボウシの花弁の先は尖っています。また、ハナミズキの開花期が4月中旬〜5月中旬ですが、ヤマボウシは5月~6月が開花期です。 なお、ハナミズキは開花と同時期もしくは少し後に葉が茂りはじめますが、ヤマボウシの葉は花よりも前についています。 ハナミズキとヤマボウシは実にも違いがあります。ハナミズキは1cmほどの小ぶりな赤い実をつけ、ヤマボウシは2〜3cm程度のオレンジ色・または赤色の実をつけます。ハナミズキの実は食べられませんが、ヤマボウシの実は食べられるのも、異なる点です。 ハナミズキの栽培12カ月カレンダー Marls images/Shutterstock.com 開花時期:4月中旬〜5月中旬植え付け・植え替え:12〜3月肥料:5月中旬(鉢植え)、5月中旬〜6月上旬(庭植え)種まき:3月頃 ハナミズキの栽培環境 Vineyard Perspective/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 ハナミズキを栽培するときは、日当たりのよい場所に置くことが基本です。 ただし、近年の日本では夏場の暑さがかなり厳しいため、強すぎる日差しで土壌が乾燥して、株がダメージを受けたり、葉焼けする可能性があります。 地植えの場合は、午前中だけ光が当たる場所がよいでしょう。西日が当たる場所はなるべく避けた上で、土壌の乾燥を防ぐバークチップなどのマルチング資材を使うのも方法です。 耐寒性・耐暑性 ハナミズキは耐寒性は普通程度。地植えの場合は、北風が当たる場所や西日が強く当たる場所を避けて植えましょう。鉢植えの場合は、冬場はあまり暖かい環境だと休眠が不十分になるため、暖かい室内に取り込むのは避けたほうがよいでしょう。耐暑性はありますが、夏に水切れすると葉が傷みやすいため、乾燥に注意しながら管理します。 ハナミズキの育て方のポイント 用土 SujaImages/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質や砂質、水はけの悪い土壌であれば、軽石や砂を入れて水はけをよくするとよいでしょう。また、土を盛って高植えにし、水はけをよくすることも効果的です。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた培養土を利用すると手軽です。赤玉土(小粒)7、腐葉土3の割合でよく混ぜ、配合したオリジナル用土を用意してもよいでしょう。 水やり Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け後にしっかり根付いて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 tanaban chuenchay/Shutterstock.com 地植え、鉢植えともに開花が終わった5月中旬〜下旬頃に緩効性化成肥料を与え、土によくなじませます。たっぷりと花を咲かせてエネルギーを消耗した木に体力を回復させる目的で与える肥料なので、「お礼肥(おれいごえ)」といいます。「たくさん花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めて、肥料をあげてくださいね。 注意する病害虫 feathercollector/Shutterstock.com 【病気】 ハナミズキがかかりやすい病気は、うどんこ病、白紋羽(しろもんぱ)病です。 うどんこ病は、発生すると葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが見られます。光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、木の勢いがなくなり、見た目も悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。兆候が表れたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。乾燥する時期に発生しやすい傾向にあるので、水もち、水はけのよい土壌作りと、適切な水やりの管理が回避のカギです。窒素成分の多い肥料を与えすぎるのも、発症のきっかけになります。 白紋羽病は、発症すると、木全体の葉が縮れて枯れ込み、根や地際に近い樹皮に白灰色の菌糸束や菌糸膜が見つかります。手遅れになると枯死し、周囲に病気が蔓延するのを防ぐために、早めに抜き取って土ごと処分することも考えなければなりません。樹勢が弱ると発症する傾向にあるので、勢いのある健康な状態を保つことが大切です。 【害虫】 ハナミズキにつきやすい害虫は、アメリカシロヒトリ、コウモリガ、テッポウムシなどです。 アメリカシロヒトリは蛾の一種で、葉に卵を産みつけて孵化した毛虫が葉を食い荒らします。大発生することがあるので要注意。見つけ次第、適応する薬剤を散布して駆除します。 コウモリガは蛾の一種です。秋頃、地上に産卵されて越冬し、孵化した幼虫は雑草などを食べて育ちますが、成長すると樹木などへ移動し、幹や枝の中に侵入して食害します。食害が進むと、樹勢が弱って枯死することもあるほど。春以降、周辺に雑草がはびこらないように草取りをまめにしておくと予防になります。見つけたらエアゾールタイプの薬剤を穴から注入して駆除しましょう。 テッポウムシは、ゴマダラカミキリの幼虫です。成虫が幹などに産卵し、木の内部に入って食害します。幼虫は1〜2年にわたって木の内部を食害し、木は徐々に樹勢が弱り、枯死することも。木の周囲にオガクズが落ちていたら、内部にテッポウムシがいることが疑われます。発見次第、侵入したと見られる穴に薬剤を注入して駆除しましょう。 ハナミズキの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、樹形が美しく、しっかりとした苗木を選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え ハナミズキの植え付け適期は、休眠期の12〜3月です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかり根付くまでは支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 剪定 RapunzielStock/Shutterstock.com ハナミズキの剪定の適期は、休眠期の12〜2月と、開花後の5月です。 休眠期に行う剪定は、樹形を整えるため。地際から立ち上がっている「ひこばえ」は、元から切り取ります。木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」も元から切り取ります。枝が込みすぎて日当たりや風通しが悪くなっている部分は、間引いて枝の数を少なくしましょう。「少し切りすぎたかも?」と思うくらいがちょうどよく、ハナミズキは春からどっと枝葉を伸ばして旺盛に茂ります。 開花後の5月に行う剪定は、充実した花芽をつくるため。込んでいる部分の枝を透かして、木の内側までまんべんなく光が差し込むように軽く剪定する程度にとどめましょう。枯れ枝や細い枝、樹形のバランスを崩している長い枝などを、元から切り取らずに、途中まで「切り戻す」程度に剪定します。太い枝の剪定は休眠期まで待ってから行いましょう。 増やし方 Montana Isabella/Shutterstock.com ここでは、ハナミズキの増やし方をご紹介します。いずれも植物の生命力に対して感動を覚える体験ができますよ! ただし、花を咲かせるまでには数年はかかることを覚えておきましょう。 【接ぎ木】 接ぎ木の適期は3月頃です。 接ぎ木は、台木と接ぎ穂の2本を用意し、それらを合体させて人為的に育成する方法です。台木は種まきから育てて2〜3年経った若木を、接ぎ穂は増やしたい品種の新芽が出て1〜2年の若い枝を切り取って使います。台木の地上部を地際近くまで深く切り取り、切り口の端に縦に切り込みを入れ、接ぎ穂を差し込んでビニールテープなどで固定します。湿度を保つために、小さな穴を複数あけたビニールを巻いて固定し、直射日光や雨が当たらない涼しい場所で管理しましょう。接ぎ穂から新芽が出て生育し始めたら、接ぎ木の成功です。 【挿し木】 挿し木の適期は、6~7月です。 新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。 【種まき】 熟した実から果肉を取り除いてタネを採取します。そのまますぐ播いてもOK。よく水洗いをしたのち、園芸用培養土にタネを播きます。発芽まで乾燥しないように管理し、成長とともに鉢増ししながら育成します。種まきから育てた場合、基本的に親と同じ形質の花は咲きません。 タネを保存する場合は、乾燥させないようにすることがポイント。キッチンペーパーを湿らせてタネを包み、冷蔵庫で保管しましょう。越年させた場合は3月頃にタネを播きます。 ハナミズキを育てるときの注意点 花木は、一度植え付けて根付いてしまえば、剪定以外のメンテナンスはほとんど不要です。しかし、環境などによって木が弱ってしまうポイントもいくつかあります。その弱点を把握しておけば、早期に対処することができるので、以下にまとめました。 ハナミズキは毒性がある Stephanie Frey/Shutterstock.com 秋になるとハナミズキはつややかな赤い実をつけ、鳥たちのエサになります。しかし、果実には毒性があるといわれ、人間やペットが食べることはできません。ハナミズキよりも少し大きな実をつけるヤマボウシの実は食用できるので、混同しないように注意しましょう。 また、枝や葉を切る際に出る樹液が肌につくとかぶれることがあります。剪定の際には気をつけましょう。 ヤマボウシよりも寒さに弱い ハナミズキは丈夫で育てやすく、栽培にさほど手間をかけなくても育つため、街路樹でもよく見かけます。しかし、近縁種のヤマボウシに比べると耐寒性がやや弱いので、寒冷地で栽培する場合は必要に応じて防寒対策をしなければなりません。 北海道中部あたりまでは、場所を選べば地植えも可能ですが、心配な場合は気温に応じて移動できるように鉢植えで育てるのがおすすめです。 隔年開花の傾向がある Lorri Carter/Shutterstock.com 可憐な花が人気のハナミズキですが、じつは隔年で開花する性質があります。そのため、前年にたくさんの花が咲くと、翌年は花の量が減るケースがあります。 毎年一定量の花を咲かせるためには、つきすぎた蕾を摘蕾(てきらい)して、花の数を調整するとよいでしょう。 また、日照りによる土壌の乾燥や栄養不足、樹齢が若すぎる場合にも花つきが悪くなることがあります。 ハナミズキは庭木におすすめ lenic/Shutterstock.com ハナミズキは生育スピードがやや遅めで、樹形が整いやすいため、メンテナンスのしやすい庭木の一つです。開花、新緑、結実、紅葉、落葉と、表情を変えて四季の移ろいを告げてくれるのも魅力。シンボルツリーとして大人気のハナミズキを、ぜひ庭に植えてみてはいかがでしょうか。
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イベント・ニュース

クリスマスローズのお悩み解決! 横山直樹さんの「チカラコブクリニック」&特別出張販売〜面谷クリニックの庭より/3月30日(日)
横山直樹さんが鳥取県・米子市へ出張クリスマスローズ診断! 3月30日(日)午前10時〜横山直樹さんと面谷ひとみさんのインスタライブ 横山直樹さんが面谷さんの庭を巡りながら、「花が咲かない」、「花数が少ない」など、クリスマスローズのお悩みを解決するインスタライブを開催します。「花数を衰えさせない植え替えのベストなタイミング」や「アレロパシーを出さない適切な距離感」「草花とクリスマスローズの相性」「適切な植え場所」「猛暑の乗り切り方」など、横山さんが専門家の目線でクリスマスローズの庭づくりを指南します。 クリスマスローズのお悩みがある方もない方も、遠方にいらっしゃる方も、春の面谷クリニックのお庭を一緒に楽しみましょう! *インスタライブは3月30日午前10時〜 ガーデンストーリーのインスタグラムで開催します。 3月30日(日)午後1時〜「横山チカラコブクリニック」開催! また、同日午後1時から、現地にお悩みのクリスマスローズの株の鉢をお持ちいただける方に限り、横山さんが株を診察してくれる「横山チカラコブクリニック(無料)」を開催。ご希望の方には、横山さんがあなたのクリスマスローズの株を健やかに育つよう植え替えしてくれますよ(植え替え料は、1鉢1,000円)。プロの技であなたの大事なクリスマスローズが蘇ります! *診察のみは無料。植え替えは1鉢1,000円。午後1時に直接クリニックまでお越しください。 3月30日(日)午後1時〜午後3時:面谷クリニックオープンガーデン&ラブリーガーデン出張販売 3月30日(日)午後1時〜午後3時は、面谷内科循環器内科クリニックの庭でオープンガーデンも開催。どなたでも自由にお庭をご覧いただけます。クリスマスローズや原種シクラメンが咲き誇り、枝垂れ桜やカタクリも咲き始めました! クリニックの庭を歩いて春の到来を満喫してくださいね。 また、クリニックの庭をデザインした園芸店「ラブリーガーデン」が面谷クリニックのお庭で、同時刻出張販売を行います。横山園芸のクリスマスローズやアネモネ・パブニナ、原種シクラメンなど、大人気のお花をたっぷりご用意して皆さまのお越しをお待ちしております。 *お会計は現金のみとなります。クレジットカード、スマホやデビッドカードなどは使えません。 ◾️住所/鳥取県米子市道笑町4丁目221−1(*クリニックへの電話でのお問い合わせは受けつけておりません。現地に直接お越しください。駐車場50台あり)
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観葉・インドアグリーン

アグラオネマは人気の観葉植物! 特徴や魅力、枯らさないためのお手入れの仕方を解説
アグラオネマの基本情報 FON's Fasai/Shutterstock.com 植物名:アグラオネマ学名:Aglaonema英名:Chinese Evergreen、Aglaonema和名:リョクチク(緑竹)科名:サトイモ科属名:リョクチク属(アグラオネマ属)原産地:熱帯アジア形態:宿根草(多年草) アグラオネマの学名はAglaonemaで、学名がそのまま流通名になっています。サトイモ科アグラオネマ属の常緑多年草で、原産地は熱帯アジア。高温多湿を好み、暑さには強いものの、寒さには弱いので、鉢栽培にして季節によって適した場所に移動しながら管理するのがポイントです。草丈は10〜50cm。冬もみずみずしい葉姿を保つため、観葉植物として人気があります。 アグラオネマの葉や花の特徴 Nokuro/Shutterstock.com 園芸分類:観葉植物開花時期:5〜7月草丈:10〜50cm耐寒性:弱い耐暑性:強い花色:白 アグラオネマは、主に光沢がある艶やかな葉に美しい斑が入る株姿を観賞する観葉植物で、エキゾチックで涼感を感じさせる人気のインドアグリーンです。直立するタイプと横に広がるタイプがあります。多様な品種が出回っており、白斑、縞模様、迷彩柄、赤葉など、選ぶ楽しみがあるのも魅力です。5〜7月には白い花を咲かせることがあります。白い花弁に見える部分は苞で、その中心にあるのが肉穂花序と呼ばれる花です。ミズバショウやアンスリウムの花に似た、サトイモ科らしい花です。 アグラオネマの名前の由来や花言葉 Mid Photographer/Shutterstock.com アグラオネマという学名は、ギリシア語で「輝く」という意味の「アグオス」と「糸」を意味する「ネーマ」に由来し、光沢のある雄しべを輝く糸に見立てて名付けられたとされています。アグラオネマの花言葉は「青春の輝き」「スマート」などです。 アグラオネマの主な品種 アグラオネマは約20種が確認されています。ここでは、さまざまな種類や人の手によって作出された園芸品種の中から、ポピュラーなものをいくつかご紹介します。 アグラオネマ‘マリア’ dropStock/Shutterstock.com ‘マリア’は交配して作出された園芸品種の1つで、放射状に茎葉を立ち上げます。ややウェーブし濃い緑の葉には、白いまだら模様の斑がくっきりと入ります。草丈は50cmほど。育てやすいので、ビギナーにおすすめです。 アグラオネマ・ピクタム Ambia maulana aditia/Shutterstock.com 細めの葉が華奢な印象でコンパクトにまとまるため、小スペースでも育てられます。緑色の葉に黄緑と深緑、白が混じり、迷彩柄となるのが特徴です。 アグラオネマ‘シルバークイーン’ C_banglieng/Shutterstock.com 葉が直立する、株姿が美しいタイプで、緑色の葉に銀緑色の斑が入ります。アグラオネマを代表する園芸品種ともいわれ、モダンな雰囲気が魅力。流通量が多く、手に入りやすい品種です。 アグラオネマ‘ホワイトステム’ Young Swee Ming/Shutterstock.com 葉の先端と茎が真っ白なタイプで、緑と白のコントラストが美しい園芸品種です。葉脈に沿うように白い斑も入ります。比較的寒さに強く、株姿が乱れにくいのが特徴です。 アグラオネマ‘ジュエリー’ 艶やかな濃い緑の葉に、クリーム、ピンク、赤の斑がランダムに入り交じる、とても美しい園芸品種です。 アグラオネマ・オプロンギフォリウム‘カーティシー’ 細長い葉にホワイトの矢羽根模様がスタイリッシュで、インテリアグリーンとして映える園芸品種です。匍匐(ほふく)するタイプのため、株姿が乱れてきたら仕立て直しをするとよいでしょう。映画「レオン」に登場したことから人気になった品種です。 アグラオネマの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜7月植え付け・植え替え:5〜7月肥料:5〜7月、9~10月剪定:5~9月 アグラオネマの栽培環境 Sozina Kseniia/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】直射日光に当たると葉焼けしやすく、耐寒性も低いため、室内での管理がおすすめです。5〜9月の生育期は屋外の明るい半日陰で管理すると締まった丈夫な株になります。 【日当たり/屋内】一年を通して明るい半日陰の場所で管理します。室内では窓辺に置き、レースのカーテンで遮光しましょう。 【置き場所】高温多湿を好むので、乾燥する時期は葉に霧吹きで水をかけるとよいでしょう。乾燥しすぎると葉を落とすことがあります。また低温に弱いので、冬は室内のできるだけ暖かい場所に置きます。窓にごく近い場所は夜に冷気が伝わりやすいので、窓から少し離して置きましょう。 耐寒性・耐暑性 アグラオネマは暑さには強いのですが、夏の強い自然光を浴びると葉焼けするので、レースのカーテンなどで遮光することが大切です。寒さに弱く、冬は12℃を下回る場所では株が弱るので、必ず室内の暖かい場所で管理します。 アグラオネマの育て方のポイント アグラオネマは寒さに弱く、日本の真冬の厳しい気候を苦手とするため、基本的に鉢栽培とします。季節に応じて、置き場所を移動しながら管理しましょう。ここでは、鉢栽培での育て方を解説します。 用土 Wstockstudio/Shutterstock.com アグラオネマは水はけ・水もちのよい土壌を好みます。観葉植物用にブレンドされた、園芸用培養土を利用すると便利です。自身でブレンドする場合は、赤玉土小粒7、腐葉土3の割合にします。また、根腐れ防止にゼオライトを混ぜておくのもおすすめです。 水やり Zoom Team/Shutterstock.com 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。受け皿にたまった水は、こまめに捨てましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。また、生育が鈍る冬は水やりを控えめにしましょう。 高温多湿を好むため、こまめに霧吹きで葉に水をかけると調子よく育ちやすく、ハダニの予防にもなります。 肥料 sasimoto/Shutterstock.com 【元肥】 苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥を施すことで苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。植え付けの際に、培養土に緩効性化成肥料を施しておきましょう。ただし市販の培養土を利用する場合、元肥配合済みのものであれば不要です。 【追肥】 植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流失しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。肥料を与える期間は、盛んに生育する5〜7月と9〜10月です。2カ月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽く土になじませます。もしくは2週間に1度を目安に、速効性の液肥を与えてもよいでしょう。真夏と冬は肥料焼けすることがあるので、肥料を与えずにおくこともポイントです。 注意する病害虫 schankz/Shutterstock.com 【病気】 アグラオネマに発生しやすい病気は、灰色かび病、軟腐病などです。 灰色かび病は葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれます。風通しが悪く込み合っていたり、枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 軟腐病は細菌性の病気で、高温時に発生しやすくなります。特に梅雨明けから真夏が要注意。 球根や成長点近くの茎、地際の部分や根が腐って悪臭を放つので、周囲に蔓延しないように病株はただちに抜き取り、周囲の土ごと処分してください。予防は、水はけをよくして、いつもジメジメした環境にしないこと。また、食害された部分から病原菌が侵入しやすくなるので、害虫からしっかり守ることもポイントになります。 【害虫】 アグラオネマに発生しやすい害虫は、ハダニ、アブラムシなどです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁します。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 アグラオネマの詳しい育て方 苗の選び方 アグラオネマを購入する際は、葉の色つやがよく、病害虫の痕がないもの、葉の模様が好みのものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え AlenKadr/Shutterstock.com アグラオネマの植え付け適期は、5〜7月です。 【植え付け】 入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから観葉植物用培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢の中に仮置きして高さを決めたら、ポットから取り出し、根鉢をくずさずに植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 【植え替え】 成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から出してみて根詰まりを起こしていたら、軽くほぐして古い土を落とし、1回り大きな鉢に植えるとよいでしょう。 日常のお手入れ suprabhat/Shutterstock.com 【花がら摘み】 5〜7月に白い花をつけることがあります。花を楽しむのもいいのですが、そのままにして種子をつけさせると株が消耗するので、花が傷み始めた頃に切り取っておきましょう。早めに切って一輪挿しに飾って楽しむのもおすすめです。 剪定・切り戻し Aleksei Golovanov/Shutterstock.com アグラオネマの剪定適期は5~9月で、生育している時期に行います。込み合っている部分を透かすように剪定していきましょう。傷んでいる葉や枯れている葉を選んで切り取ります。また、株姿が乱れていたら、深めの位置まで切り戻して仕立て直すとよいでしょう。剪定の際には、切り口から白い樹液が出てきます。これが皮膚につくと炎症を起こすことがあるので、必ずガーデングローブを着用しましょう。 夏越し・冬越し Simol1407/Shutterstock.com 【夏越し】 アグラオネマは高温多湿な環境を好むので暑さには強いのですが、夏の強い自然光を浴びると葉焼けするので、レースのカーテンで遮光することが大切です。乾燥を嫌うので、半日陰で管理しましょう。 【冬越し】 アグラオネマは寒さに大変弱く、冬は12℃を下回る場所では株が弱るので、必ず室内の暖かい場所で管理します。窓にごく近い場所では夜に冷気が伝わりやすいので、少し離れた場所に置きましょう。乾燥しすぎると葉を落とすことがあるので、定期的に葉に霧吹きをして管理します。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com アグラオネマは、挿し芽、株分け、水挿しで増やすことができます。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、アグラオネマは挿し芽で増やせます。 アグラオネマの挿し芽の適期は、5月中旬〜7月下旬です。新しく伸びた茎節を切り取り、樹液が出てこなくなるまで流水で洗い流し、下葉を数枚落とします。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。3号くらいの鉢を用意し、底にゴロ土を入れてから新しい培養土を入れます。湿らせた培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。その後は明るい日陰に置いて、乾かさないように水の管理をします。十分に育ったら、サイズに見合った鉢に移植します。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【株分け】 株分けの適期は、5月中旬〜7月下旬です。鉢から出して根鉢をくずし、古い土を落とします。数芽ずつ付けて根を切り分けて、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、株が増えていくというわけです。 【水挿し】 水挿しの適期は、5月中旬〜7月下旬です。新しく伸びた茎節を切り取り、下葉を数枚落として水を張った器に挿しておくだけでOK。毎日水を替えて様子を見守ると、1カ月ほどで発根します。十分に発根したら見合った小さい鉢に植え替え、成長と共に大きな鉢に植え替えて大きく育てるとよいでしょう。 アグラオネマは毒性に注意 dropStock/Shutterstock.com サトイモ科に属するアグラオネマにはシュウ酸カルシウムが含まれており、誤食すると食中毒を引き起こす危険性があるので注意しましょう。特に幼児やペットのいる家庭では、インテリアグリーンとして飾った際に誤って口に入れることのないように、置き場所に配慮してください。また、切り口から出る液も、触れるとかぶれることがあるため、お手入れの際はゴム手袋を装着しておくと安心です。 適切に手入れをして好みのアグラオネマを育ててみよう! Mid Photographer/Shutterstock.com 斑の入り方が美しく、一年を通してみずみずしい葉姿を楽しめるアグラオネマは、観葉植物界でも人気。インテリアに飾れば眺めがワンランクアップするアグラオネマを、リビングや個室に迎えてはいかがでしょうか。
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一年草

カレンデュラ(キンセンカ)の育て方を徹底解説! 基本情報から主な品種までご紹介
カレンデュラの基本情報 pote-poteco/Shutterstock.com 植物名:カレンデュラ(キンセンカ)学名:Calendula英名:Pot marigold和名:キンセンカ(金盞花)その他の名前:ポット・マリーゴールド、カレンジュラ科名:キク科属名:キンセンカ属(カレンデュラ属)原産地:地中海沿岸形態:一年草、多年草 カレンデュラは、キク科キンセンカ属(カレンデュラ属)の一年草、多年草。日本では一年草として流通しています。原産地は地中海沿岸で、寒さにはある程度強い一方で、夏の暑さには弱い性質です。ライフサイクルは短く、一般地では秋に種を播いて冬を越し、春になると開花。高温多湿で厳しい暑さの日本の夏には耐えられず、夏前には枯死してしまいます。 花色はカラフルで、黄色、オレンジ色、クリーム色、複色などがあります。花茎を立ち上げた頂部に花径3〜10cmほどの花を咲かせます。花姿には清楚な一重咲きや、花弁を多数重ねて華やかになる八重咲きがあります。 カレンデュラの草丈は、30〜90cmほど。ずいぶん幅がありますが、これは草丈が高く主に切り花に向く高性種と、草丈が低くコンパクトにまとまる矮性種があるからです。高性種は花壇の中段〜後段に、または樹木や低木と草花をつなぐ役割として利用できます。矮性種は花壇の前面や縁取り、またはコンテナの寄せ植えに使うとよいでしょう。 カレンデュラの花や葉の特徴 Elena Koromyslova/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:12~5月草丈:10~60cm耐寒性:強い~やや強い耐暑性:弱い~やや弱い花色:オレンジ色、黄色、複色 キンセンカの花はまっすぐに伸びた茎の先に花開きます。花色はオレンジ色や黄色が多く、細長い花弁が幾重にも重なった華やかな姿です。花は八重咲き、一重咲きのものがあります。花弁の先にはノコギリのような細かなぎざぎざがあります。 根元から生える根生葉はへら状、茎葉は楕円形です。 カレンデュラは品種によって草丈や花の大きさ、花色に違いがあるのも特徴です。品種ごとの違いを楽しめるのもカレンデュラの魅力といえるでしょう。 カレンデュラの名前の由来や花言葉 Burkhard Trautsch/Shutterstock.com カレンデュラという名前は、学名のCalendula officinalisから。日本では、昔から呼ばれていたキンセンカ(金盞花)のほうが馴染みがあるかもしれませんね。花が黄金色でさかずき(盞)のような形をしていることから、この名前が付けられたとされています。また、ポットマリーゴールドという別名も持っています。 カレンデュラの花言葉は、「別れの悲しみ」「悲嘆」「寂しさ」「失望」など。これは、ギリシャ神話「水の精のクリティは太陽神のアポロンに恋い焦がれていたものの、彼はレウコトエ王女と恋仲にありました。クリティは嫉妬にかられて王女の父にその事実を密告。すると王は怒ってレウコトエ王女を生き埋めにしてしまったのです。9日間も座ったまま虚しい時を過ごすアポロンを見たクリティは、嫉妬によって招いた悲劇に身を恥じ、カレンデュラに姿を変えてしまいました」という悲しい話に由来します。 カレンデュラの代表的な品種 Elena Koromyslova/Shutterstock.com 「まどか」シリーズ 一重咲き、八重咲きのほか、黄色、オレンジ、覆輪の入る複色など、花色や花姿が多様に揃うシリーズ。大変花つきがよく、長期にわたって開花し続けます。草丈は40〜50cmで、株姿も自然にドーム状にこんもりと茂って、よくまとまります。 ‘コーヒークリーム’ アプリコット〜クリーム色の花弁で、裏は茶色味を帯びる花色が特徴的。これまでの黄色やオレンジのカラフルな色調のイメージを覆す、シックでアンティークな雰囲気を持っているため、大変人気の高い品種です。草丈は20cmほど。 「エミフル」シリーズ 草丈15〜25cmほどの矮性種で、鉢栽培に利用しやすい草姿です。従来種に比べて節間が短く分岐性に優れ、こんもりとドーム状に茂ります。鮮やかな黄色やオレンジの花色が揃い、花つきがよくたっぷりと咲きます。 ‘冬知らず’ 一般的なカレンデュラ・オフィシナリスではなく、ホンキンセンカ(カレンデュラ・アルベンシス)の品種。一般的なカレンデュラよりも寒さに強く、小輪多花性で冬からよく咲き続き、寒冷地でも越冬しやすいです。 カレンデュラの栽培12カ月カレンダー JoannaTkaczuk/Shutterstock.com 開花時期:1〜5月植え付け・植え替え:9月下旬~4月肥料:9月下旬~4月種まき:3月~4月上旬 、9~10月 カレンデュラの栽培環境 日当たり・置き場所 カレンデュラは日当たり・水はけのよい場所を好みます。明るくなると花が開き、暗くなると閉じる性質があるので、天気が悪い日は日中でも花が閉じています。 日照時間が短い場所では茎が間延びしたり花つきが悪くなったりしてしまうので、日向に置きましょう。 また、水はけや風通しの悪い場所は病害虫が発生する原因になるので、注意が必要です。 耐寒性・耐暑性 カレンデュラは寒さには比較的強く、暑さにやや弱い草花です。冬は基本的に戸外で育てられますが、草丈が伸びると寒風や凍結による傷みが生じる場合があります。また、寒冷地では戸外での越冬は難しいでしょう。 多くの品種は夏に枯れてしまう一年草として扱うため、夏越し対策は特に必要ありません。 カレンデュラの育て方のポイント 用土 カレンデュラの用土は、基本的には市販されている草花用の培養土が適しています。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土を7:3で配合しましょう。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために、株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えるようにしましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。まだ寒い時期はそれほど頻繁に水やりしなくてもよいのですが、暖かい春を迎えてぐんぐん成長し始め、茎葉を広げて多数のつぼみが上がってくるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 元肥 苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥は苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。 【地植え】 植え付ける前に、腐葉土や堆肥などの有機質肥料を施しておきましょう。 【鉢植え】 鉢植えの場合、市販の培養土の多くは元肥としての成分が含まれていることが多いので、重複を防ぐためにも元肥を施す必要があるかどうか確認しましょう。肥料が配合されていない培養土や、赤玉土や腐葉土などを自身でブレンドした土を使う場合は、緩効性化成肥料を施しておきます。 追肥 植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。 【地植え】 晩秋〜冬に植え付けた場合は、生育が盛んになる少し前の3月上旬頃に、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。春に植え付けた場合は、元肥を施してあれば十分。あまり与えすぎると、茎葉ばかりが旺盛に茂ってかえって花つきが悪くなることもあるので注意します。ただし、生育が悪いようなら速効性のある液肥を与えて様子を見ましょう。 【鉢植え】 鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。春から生育が盛んになってきたら、月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽く土になじませます。もしくは10日に1度を目安に、速効性のある液肥を与えてもよいでしょう。開花期は開花促進の効果がある、リン酸やカリ分などを多く含んだ液肥を選ぶと花つきがよくなります。 注意する病害虫 muroPhotographer/Shutterstock.com 【病気】 カレンデュラに発生しやすい病気は、うどんこ病、炭そ病です。 うどんこ病は、葉の表面に白い粉が吹いたようなカビが発生し、光合成を阻害されたり、葉から養分を吸収されたりして、生育が悪くなります。放任してひどくなると枯れてしまうこともあるので注意。株の勢いがなくなり、見た目も悪いので、兆候が見えたら早期に殺菌剤などを散布して対処しましょう。 炭そ病は、カビが原因で発生する病気で、葉に褐色をした円形の病斑が現れるのが特徴です。比較的気温が高く、雨の多い時期に発生しやすくなります。密植を避け、風通しよく管理するようにしましょう。病気が広がると元に戻るのは難しいので、早期に発見して適応する殺菌剤を散布して防除します。 【害虫】 カレンデュラに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ヨトウムシなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。 ヨトウムシはヨトウガの幼虫で、極めて食欲旺盛で、一晩のうちに花や葉を食い荒らすことがあります。「夜盗虫」と漢字で書く通り、夜に活動する性質を持っています。葉や花に穴があいているのを見つけたら、夜にパトロールして捕殺するか、早いうちに適応する薬剤を散布して防除しましょう。 カレンデュラの詳しい育て方 苗の選び方 カレンデュラの苗を選ぶ際は、茎の状態や葉の色に着目しましょう。茎が太くしっかりとしていて、葉の色が濃い者がおすすめです。また、虫がついていないかどうかもチェックしておきましょう。 植え付け Peter Kniez/Shutterstock.com 種まきから育てた場合、植え付けの適期は10月〜11月中旬です。 ガーデニングビギナーの方なら、フラワーショップで苗を購入して手軽にスタートするのがおすすめです。秋から春先まで苗が出回っているので、入手次第植え付けます。苗を購入する場合は、幼い苗でも節間が短くがっしりとまとまっており、ヒョロヒョロと間のびしていないものを選ぶとよいでしょう。 【地植え】 丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土を作っておくとよいでしょう。 土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、約20cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。霜が降りる場所や乾燥しやすい場所では、表土にバークチップなどをまいてマルチングをしておくと万全です。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、入手した苗よりも2回りほど大きいものを準備します。 用意した鉢の底穴にネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。カレンデュラの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 花がら摘み 咲き終わった花は、早めに摘み取りましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも咲き終わった花を残しておくと、タネをつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして長く咲き続けてくれます。 種まきと増やし方 D. Kucharski K. Kucharska/Shutterstock.com カレンデュラは、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。 カレンデュラの発芽適温は15〜20℃くらい。種まきの適期は、温暖な地域では9月中旬〜10月上旬頃です。寒い地域では、3月上旬〜4月頃に種を播いて、6月下旬〜8月頃に開花させるとよいでしょう。 カレンデュラの種のサイズは1cmほどとやや大きめで、三日月のような形をしています。黒ポットに培養土を入れ、種を1〜2粒ずつ播いて、厚み1cmほど土をかぶせましょう。日除けをした涼しい場所で乾燥しないように管理すると、4〜5日ほどで発芽します。 発芽したら、日の当たる場所で管理しましょう。本葉が1〜2枚出始めたら、勢いがあるほうの苗を残して間引き、1本にします。10日に1度を目安に液肥を与えると、生育がよくなります。本葉が4〜6枚つくまで育苗し、ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。 こぼれ種で増えるほど強健な性質で、種を採取することも可能です。一通り開花を楽しんだら種をつけさせて、枯れ込んだ頃に三日月状に曲がっている種を採取します。乾燥させたのちに密閉袋に入れて涼しい場所で保存しておき、また秋に種まきのシーズンがやって来たら、播いて育てましょう。 薬草として親しまれてきたカレンデュラの活用法 Nadya So/Shutterstock.com カレンデュラは観賞用だけでなく、古くから薬効のあるハーブとしても利用されています。 古代エジプトでは、カレンデュラは若返りの薬として重宝されていました。古代ローマやギリシャ、インドなど広い地域で、薬草として使用されていた記録が残っています。また、ギリシャ神話では太陽にゆかりのある花であるとされたり、中世ヨーロッパでは神聖視され祭壇に飾られたりと、古来より幅広い地域で効果・効能が注目されてきました。 カレンデュラの薬効のなかでも特に知られているのは肌ケア効果です。肌や粘膜を保護し、傷を修復する効果があると考えられているため、外用薬として利用されています。 カレンデュラの薬効は、肌だけではありません。胃もたれや胃痛、食欲不振にも効果が期待できることから、胃薬としても活用されています。ほかにも女性ホルモンのはたらきをサポートして月経不順を改善したり、目を保護したりと、薬草として幅広い用途が期待されています。 なお、カレンデュラをハーブとして使用する際の別名は「ポットマリーゴールド」。ガーデニングでもよく栽培されるマリーゴールドとは別種なので、間違えて使用しないように注意しましょう。 エディブルフラワー Khomulo Anna/Shutterstock.com カレンデュラの花弁は、エディブルフラワー(食用)としても活用できます。鮮やかな黄色やオレンジ色は、サラダの彩りやドリンクのアクセントにぴったりです。 ほかにもジャムに混ぜたり、煮込み料理に使ったり、パン生地に練り込んだりと、多彩な利用方法があります。高価なスパイスであるサフランの代わりに、香辛料や着色料としても活用されてきました。 ただし、妊娠中の方やキク科のアレルギーがある方は、食べないようにしましょう。 ハーブティー カレンデュラは飲料としても親しまれています。乾燥させた花弁を原材料にしたハーブティーは、単体でもほかのハーブと混ぜても美味しくいただけます。 カレンデュラのハーブティーには胃の粘膜を保護したり、風邪の症状を和らげたりする作用があると言われています。また毒素の排出や、女性ホルモンのバランスを整えるなどの効果も期待できるでしょう。 カレンデュラオイル gcafotografia/Shutterstock.com カレンデュラをオイルに浸してつくるカレンデュラオイルは、肌を保護したり修復する効果があるとされています。そのため、民間療法として切り傷やすり傷、やけどなどの治療に使われています。手荒れや唇のケアにも効果的です。 また、ニキビや湿疹、アトピー、日焼けなどの肌トラブルのケアにも、カレンデュラがよいとされています。 カレンデュラを原材料としたチンキは、オイルと同じく外用薬です。抗菌作用に優れているため、うがい薬としても使えます。 植え替え不要で育てやすいカレンデュラを楽しく育てよう Miguel M.P/Shutterstock.com ライフサイクルの短いカレンデュラは、一年草で越年しないため、植え替えや株分けなどのメンテナンスがかからず、大変育てやすいおすすめの草花です。春にたくさんの花を咲かせて成功体験を味わわせてくれるので、ガーデニング初心者のスタートにはぴったり。ぜひ、育てやすいカレンデュラを庭に取り入れてみてください!



















