食用の花“エディブルフラワー”の中でも、バラに着目し、“食べられるバラ”の栽培から、バラを使った食品やコスメの販売までを行うROSE LABO(ローズラボ)株式会社代表取締役の田中綾華さんがお届けする連載「ROSE LABO通信」。今回は、2020年の目標や計画について語っていただきました。
目次
新年の目標~緻密な計画が大きな行動を生む~
新年あけましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしでしたか?
私は祖父母と過ごし、人生観について語り合いました。80歳の祖父母の人生の中で一番幸せだと感じた瞬間はいつか聞いたところ、1つには決められないけれど、家族とたわいない話をしている瞬間や、学生時代に友達と公園でおしゃべりしたことなど、何気ない日々のことが幸せな思い出だと話てくれました。
祖父母は、「何かの賞で1位を取ったことなどは、嬉しいけれど幸せという感情とはまた違う。幸せというのは、温かく柔らかく、大切にしたいと思う感情が近い」と話してくれました。奥深くて、私にはまだちゃんと理解できていないところがあるのですが、自分の幸せの軸をしっかりと確立させたいな、と感じました。
さて、2020年は、栽培、会社、個人と、3つの軸で目標をそれぞれ考えようと思ったのですが、これらに共通の目標がありました。それは「計画性」です。昨年はバラが思うように咲いてくれなかったり、思うように経営やマネージメントができなかったりして、たくさんの失敗や悔しさ、不甲斐なさを感じました。
そんな一年を通して感じたのが「緻密な計画が大胆な行動を生む」ということです。大胆な行動から緻密な計画は生まれず、物事を大きく動かすことはできるけれど、動くことに付随するさまざまな問題が解決できなかったり、想定していないことに対して予想以上に心にもダメージを受けてしまうと体感しました。
ですから、これらの反省を踏まえ、これからはさまざまなリスク想定や、緻密な数字を使った計画、またその分析をして今後に活用するということに努めようと決心しました。
個人の目標~自分の弱さを発見し強くなる~
昨年を振り返ると、やはり私自身の計画性が足りなかったことで、会社や栽培に大きく影響が出てしまったなと自分の弱さを見つけ、それを受け入れられた一年でした。行動力はあったけれど、計画性がないがゆえにさまざまなミスが出てしまいました。とても反省すると同時に、そのことに気づいて受け入れられた喜びもあります。変なプライドがあった時期は、なかなか自分の弱点を受け入れられませんでしたが、こうして、まずは今のあるがままの自分を受け入れられるようになったことは、成長した証かなと感じています。
私が考える「強さ」とは、自身の弱さを発見し、受け入れたうえで行動に移せることだと思っています。私は昨年、自分の弱さを見つけられたので、もう行動あるのみです!
続いては、その反省を踏まえ、具体的に今年は何をしていくのかをご紹介させていただきます。
栽培の計画
昨年の問題点は、天候不順によりバラが想定より咲かなかったことです。バラの生産量が足りないので、受注があるのに出荷できなかったり、新規取引先が開拓できたのにバラが咲かないことでご迷惑をおかけしたりして、当初の売上計画からずれたことは問題でした。
天候不順への対応策としては、冷暖房機の設置が最短案なのですが、初期費用やランニングコストがまだ見合わないので、今年は、天候不順を踏まえたうえで、最低どのくらい咲くかという予想と、今年はこのくらい咲かせようという私たちの目標の2つの軸で管理をします。
営業活動は最低ラインを軸に前年比や先月比を分析し、生産量の変動を正確に掴んで、事前に取引先に栽培量低下のお知らせを連絡したり、新規営業を止め、加工食品などの営業にシフトチェンジするなどに努めたいと思います。また在庫の最低数量基準も決定しました。
将来的には安定供給ができるように、冷暖房設備を整えたいと思っています。
会社の計画
昨年の問題点は、数字を集めても細かく分析していなかったこと。社内のコミュニケーション不足、理念の共有はできているけれど、ルールの構築が甘かったことです。
今年は数字をオープンにして皆が現状と向き合える仕組みづくりをしたり、毎週の会議に週次での達成率を各部署が共有し合う時間を設けました。各部署がどういう動きをしているのかを、私だけでなく皆で共有すること、認識することで、会社全体での動きを一緒に体感してほしいと思っています。
またコミュニケーション不足を解決するために個人面談を毎月行い、月に1回は皆でランチやディナーをしながら交流を深めます。
マニュアルは作成しているのですが、浸透していなかったり、内容のアップデートを行っていなかったので、各部署のマネージャーが常に生産性高く動けるように、マニュアル活用をしていきます。会社の理念や行動指針などは、引き続き毎週皆で読み合わせをします。
今年のROSE LABOは昨年の反省をしっかりと活かし、さらなる強さを手に入れ、計画の実現をおこなってまいります。
また、1月末から常設店舗数が増え、全国75店になります。さらに、今年の5月までに100店舗を目指します!
https://www.roselabo.jp/store-list/
たくさんの方々にROSE LABOの存在やバラの魅力、農業の魅力も併せて発信し、植物やバラ好きの仲間が増えると嬉しいです。今年もとてもワクワクしています。
じつは、新商品の発売もいくつか控えていますので、「緻密な計画と大胆な行動力」を心に、今年も邁進していくだけです!
皆さま、2020年もROSE LABOを何卒よろしくお願い申し上げます。
Credit
文 / 田中綾華 - ROSE LABO株式会社代表取締役 -
たなか・あやか/農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000平方メートル)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。https://www.roselabo.jp/
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