株を覆い尽くすように小さな花が咲き、色のかたまりとなって目に飛び込んでくるエリカ。草丈が低いので草花のように見えますが、じつは低木なんです! 一度植え付ければ毎年開花してくれるので、コストパフォーマンスに優れる植物ともいえますね。この記事では、エリカの基本情報や花言葉、詳しい育て方などについてご紹介していきます。

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エリカはどんな花?

小さな花をたっぷりと咲かせるエリカは、どんな特徴や性質を持っているのでしょうか。この項目では、エリカの基本情報や花言葉についてガイドしていきます。

特徴

エリカ
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エリカは、ツツジ科エリカ属の低木です。原産地はヨーロッパ、北アフリカ、南アフリカで、分布する範囲が広く、種類も600種以上にのぼるとされています。そのため、原産地の気候によって耐寒性や耐暑性、開花期に違いがあるのが特徴的です。日本ではピンク色の花を咲かせるジャノメエリカが最もポピュラーで、40〜50種ほどが流通しています。開花期は種類によって異なり、春咲き、夏〜秋咲き、冬咲きなどがあり、ジャノメエリカは冬から春にかけて開花するので、冬に咲く花として人気。樹高は15〜300cmとされていますが、日本で主に流通しているエリカの種類は20〜100cmくらいです。常緑のため、冬でもみずみずしい枝葉を保ちます。花色は種類によって赤、ピンク、オレンジ、黄色、白などがあり、花姿も筒型やベル型、球状など多様です。

花言葉

エリカ
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エリカの花言葉には「孤独」「寂しさ」などがあります。これは英名の「ヒース」を由来としており、イギリスでは荒れ地に自生する耐寒性の強い野草のイメージが強いため。他の植物が現れない荒れ地で、寂しく咲く姿を表現しているようです。お祝いごとのプレゼントなどには、ちょっと向いていないかもしれませんね。

エリカの栽培方法

ここまで、エリカの基本情報についてご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、育て方の解説に移りましょう。適した環境、土作り、植え付けに始まり、水や肥料の与え方、気をつけたい病害虫、切り戻しなどの日頃の管理、増やし方まで、詳しくガイドしていきます。

栽培する環境

エリカ
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エリカの栽培には、日当たり、風通しのよい場所が最適です。高温多湿の環境が苦手なため、粘土質の土壌や、水場に近くて低い場所など、水はけが悪くてジメジメとした環境は、植え場所としては向いていません。エリカを地植えにして栽培する場合は、水はけ・水もちがよくバランスのとれた土壌作りがポイントです。有機質資材をすき込んでふかふかとした土壌にし、周囲より少し土を盛って高くしておくと水はけがよくなります。また、ツツジ科の植物で弱酸性の土壌を好むため、植え付け前にピートモスを施しておくとよいでしょう。

また、エリカは蒸れに弱いので、夏の管理がポイント。やせ地を好むため、肥料の与えすぎには注意します。

エリカの種類が多様なことは先述の通りですが、ヨーロッパが原産のものは、寒さに強いものの、夏の暑さに弱い性質を持っています。一方で、南アフリカ原産のものは、比較的夏の暑さにも耐えますが、冬の寒さが苦手です。エリカは生育分布が広く、原産地の気候によって耐暑性や耐寒性に差があります。手に入れたエリカの種類や原産地を苗についているラベルなどで確認し、真夏や真冬の厳しい気候のもとではどのようなメンテナンスが必要なのかを把握しておくとよいでしょう。

用土

土
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エリカは弱酸性の土壌を好むので、ピートモスを土に混入することがポイントです。

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に直径、深さともに50cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、ピートモスなどをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込み、土を盛って周囲よりも高くしておくとよいでしょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

ツツジ用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。自身で配合土を作りたい場合は、赤玉土4、鹿沼土4、ピートモス2の割合でブレンドしてください。

植え付け

エリカ
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エリカの植え付け適期は、3〜4月か10月です。

【地植え】

土作りをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてからツツジ用の培養土を半分くらいまで入れましょう。エリカの苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までよく行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。エリカがしっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておきましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。

植え替え

土
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エリカの植え替えの適期は、3〜4月か10月です。

【地植え】

庭植えの場合は、基本的に植え替えは不要です。ただし、原産地によって極端に暑さを苦手とする種類は、夏前に鉢に植え替えて涼しい場所で夏越しさせる必要があります。逆に寒さが苦手な種類は、冬前に植え替えて暖かく日当たりのよい場所で管理しましょう。

【鉢植え】

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を整理したら、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。

水やり

水やり
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木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は地中から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。また、茎葉がややだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料の与え方

肥料
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肥料を与える適期は、4〜5月、10月です。

【地植え・鉢植えともに】

適したタイミングに、緩効性肥料を木の周囲にばらまき、土によく馴染ませます。エリカは多肥を嫌うので、与えすぎには注意してください。

注意したい病害虫

アブラムシ
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【病気】

エリカの栽培では、病気が発生する心配はほとんどありません。

【害虫】

エリカの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫です。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

ハダニは、乾燥が続くと発生しやすい小さな虫で、葉裏などについて吸汁します。大発生すると株が弱るので、葉の表や裏にシャワーを勢いよくかけましょう。小さな虫なので、水の勢いで押し流すことができます。

エリカの冬越しと夏越し

エリカ
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エリカは、種類によって耐寒性や耐暑性に差があり、それぞれに応じたメンテナンスが必要になります。入手した種類の原産地を確認し、適した管理を行いましょう。

冬越し

【地植え】

南アフリカ原産の種類は、暖地であれば植えたままにしても越冬できます。しかし冬の寒さが厳しい地域では、鉢に植え替えて寒風が吹きつけない暖かい日なたなどで管理するのが無難。越年して霜の心配がなくなった頃に地植えに戻します。寒さに強いヨーロッパ原産のものは、地植えのままでかまいません。

【鉢植え】

寒さが苦手な南アフリカ原産の種類は寒い風が吹きつけず、霜が降りない日だまりなどで管理します。ヨーロッパ原産のものは、それほど気を遣う必要はありません。

夏越し

【地植え】

ヨーロッパ原産の種類は、高温多湿が苦手なので、鉢に植え替えて雨の当たらない風通しのよい場所で管理しましょう。暑さがおさまる彼岸頃に地植えに戻します。暑さに強いアフリカ原産のものは、地植えのままでかまいません。

【鉢植え】

高温多湿を嫌うヨーロッパ原産の種類は、雨の当たらない風通しのよい場所で管理します。アフリカ原産の種類は、それほど気を遣う必要はありません。

エリカのお手入れ方法と増やし方

園芸バサミ
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この項目では、エリカを美しく保つためのお手入れ方法と、増やし方について解説していきます。

お手入れ方法

【花がら摘み】

エリカは花数が多く、株全体を覆うようにして咲くので、終わった花を一つひとつ摘むとなると、気が遠くなりそうですね。しかし、エリカは花が終わると自然に花弁を落とすので、枯れた花が目立ってきたら枝を揺すったり、しごいたりして落とすのがおすすめです。落ちた花がらを拾い集め、株周りを清潔に保ちましょう。株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。

【剪定】

エリカの種類によって異なり、自然に樹形が整ってほとんど剪定が必要のないものもあります。しかし、ジャノメエリカなどのように旺盛に枝葉を伸ばして樹形が乱れる種類もあり、その場合は開花後に樹高の半分くらいまでを目安に刈り込むとよいでしょう。樹形のバランスを見て、形を崩していたり、込み合いすぎている部分があったりすれば、適宜枝数を減らす間引き剪定をして、形を整えて風通しよく管理します。

エリカの増やし方

ガーデニング
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エリカは、挿し木で増やすことができます。挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。たくましい生命力ですね! 植物のなかには挿し木できないものもありますが、エリカは挿し木で増やすことができます。

エリカの挿し木の適期は、5〜6月か9〜10月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚取ります。3号くらいの鉢を用意し、底にゴロ土を入れてから新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の穴を開け、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

小さくて可愛い花を楽しもう!

冬に咲く種類もあるエリカは、寂しくなりがちな冬の庭やベランダを彩るのに人気の植物。花はドライフラワーやリースなどにもアレンジでき、飾る楽しみを味わえます。丈夫で初心者でも育てやすいので、ぜひ庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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