【プロが解説】「ビバーナム」の名でも大注目! 日本の里山植物「ガマズミ」が今庭木として人気の理由
AKI's Palette/ Maryna Osadcha/ Picmin/ High Mountain/Shutterstock.com
里山などによく自生するガマズミは、花の美しさや有用性から日本各地で古くから身近な木として親しまれてきました。近年ガマズミの魅力が再認識されるようになり、庭木として植えられることが多くなっています。日本に広く自生する低木なので、育てるのも簡単で手間もかかりません。この記事では、ガマズミの概要や特徴、その有用性や利用方法などを紹介する他、育て方まで栽培のプロが解説します。
目次
ガマズミの基本情報

植物名:ガマズミ
学名:Viburnum dilatatum
英名:Linden Viburnum、linden arrowwood
和名:ガマズミ(莢迷、蒲染)
その他の名前:ビバーナム、イヨゾメ、カメガラ、シモフリなど
科名:レンブクソウ科
属名:ガマズミ(ビバーナム)属
原産地:日本、中国、朝鮮半島
形態:落葉低木
日本では北海道から九州までの広い範囲に分布する落葉低木です。雑木林の中の比較的日当たりのよい場所などに自生します。全国各地で地方名が多く、山野でよく見られる木なので、近年になって庭木として注目されるようになりました。
枝先に白い小花がたくさん集まって咲き、直径5~10cmほどの大きさになります。開花期は4~6月で、花には独特の芳香があります。8~10月から観賞できる赤い果実は、食用にもなります。秋の紅葉も美しく、魅力が多い花木です。
丈夫で手間がかからず、初心者でも育てやすいです。アメリカなどでも庭木として育てられて人気があり、園芸品種も作られています。
ガマズミの特徴・性質

園芸分類:庭木、花木
樹高:2~3m
耐寒性:強い
耐暑性:強い
分布域は広く、山野だけでなく郊外の空き地などでも自生していることがあります。明るい場所を好むので、林の中の道沿いなどでもよく見られます。
葉は大きく縁にはギザギザがあり、表面のシワが目立ちます。葉の両面や若い枝には毛があります。枝の基部から出る短枝の先端に花芽が付き、翌年開花します。
自然に形が整うので、剪定は余分な枝を切るくらいです。果実は葉が落葉しても残り、鳥にとっての冬の貴重なエサになります。鳥が果実を食べて別の場所に移動することで、排泄物とともにタネがまかれて分布が広がります。
ガマズミの果実の栄養や利用法

果実は赤くなってもはじめは酸っぱいですが、霜にあたると甘味が増していきます。果実の表面に白い粉が見えたら食べ頃とされます。
果実は栄養豊富で、ポリフェノールやビタミンC、クエン酸などが多く含まれています。強い抗酸化作用があり、血液をサラサラにする効果やアントシアニンによる目によい効果、クエン酸による疲労回復、美肌効果などが期待できます。
収穫した果実は果実酒の材料にしたり、シロップやジャムなどに利用することができます。健康食品にも使われ、ガマズミのキャンディやジャム、果実酒、100%ジュースなどが販売されています。
ガマズミの仲間
ガマズミの仲間は、約200種類が世界の北半球に広く分布します。花が美しく、栽培される種類が多いです。
同じ仲間の中で名前が混同されやすく、売り場などでガマズミがビバーナムの名で販売されていたり、逆に違う種類の園芸品種にガマズミの名があることがあります。
ガマズミには、金極光などの葉に斑が入った品種などがあります。矮性の品種がアメリカで作られていますが、日本での流通はないようです。
金華山ガマズミ
東北の三陸地方の金華山島にのみ自生するガマズミで、葉が非常に小さいのが特徴です。盆栽としてもよく栽培され、小さな葉が茂り樹形のバランスがよいです。
キミノガマズミ Viburnum dilatatum f. xanthocarpum
果実は黄色になる種類です。葉は紅葉しません。
コバノガマズミ
日本や中国、台湾、韓国が原産の落葉低木です。花や葉は、ガマズミに比べると小さいです。しわの目立たない葉は細長い卵形で葉柄が短く、基部に托葉があります。ガマズミと同様に楽しめ、育てることができます。
ビバーナム・ティヌス(常緑ガマズミ) Viburnum tinus

冬も落葉しない常緑の種類で、常緑ガマズミの名でも流通します。地中海沿岸原産で、花後に青い実を付けます。
マイナス10℃ほどの低温に耐えるとされます。トキワガマズミ名でも流通しますが、近縁のハクサンボクの変種で小笠原固有種にも同名の和名を持つものがあります。
常緑ガマズミとして流通する、同様に青い実を付ける種類として、中国原産のビバーナム・ダビディ(Viburnum davidii)があります。また両種の交配種もあります。
フウリンガマズミ Viburnum setigerum
名前は、実が風鈴のように垂れ下がることに由来します。中国原産の落葉低木で、実はオレンジ色から赤色になります。管理はガマズミに準じます。
ガマズミの栽培12カ月カレンダー
植え付け適期:12月、2月中旬~3月
植え替え適期:3月
肥料:5~6月、11~12月
剪定:12月~翌年3月、5~6月
ガマズミの栽培環境

適した環境・置き場所
日なたから半日陰の、肥沃で水はけのよい場所が適します。明るい日陰でも育ちますが、花付きなどが悪くなり、枝なども徒長気味に伸びがちになります。環境適応性が高く、場所をあまり選びません。
鉢植えは、乾燥の激しい夏は西日の当たらない半日陰で育てるとよいでしょう。水切れさせると葉焼けします。
生育温度
15~28℃が生育温度の目安です。暑さ、寒さに強く全国で栽培できます。
ガマズミの育て方・日常の手入れ

水やり
根付けば、水やりはほとんど必要ありません。夏にひどく乾燥した場合は、夕方にたっぷり水やりしてください。
鉢植えは、鉢土の表面が乾いたら水やりしてください。夏の晴れた日は、毎日水を与えてもよいでしょう。
肥料
地植えした場合は、あまり必要ありません。葉色が悪い場合や早く大きくしたい場合や鉢植えは、花後の5~6月と落葉後の11~12月に肥料を与えます。骨粉入り油粕などの有機肥料、または3要素が等量の緩効性化成肥料を与えてください。
病害虫
比較的病害虫に強く、発生も少ないです。枝が混むと、カイガラムシが発生することがあります。
ガマズミの作業・剪定と増やし方

剪定
樹形が整いやすいので、頻繁に剪定する必要はありません。通常は余分な枝を剪定する程度で済ませます。
落葉期の12月~翌年3月、花後の5~月が剪定の適期です。大きくしたくない場合は、強めに切るとよいでしょう。徒長枝や込み入った部分の枝をつけ根から切ります。
増やし方
挿し木で増やすことができます。6月中旬~7月中旬に、今年伸びた新しい枝を10cmほど切ります。葉を2枚程度残して切り、葉を半分くらいの大きさに切って挿し穂とします。鹿沼土などの清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾燥させないように管理してください。
ガマズミの植え付け・植え替え

植え付け
落葉期の冬に植え付けますが、真冬の寒さの厳しい時は避けます。12月と、2月中旬~3月が適期の目安です。根鉢より1回りほど大きな植え穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土などの有機物を混ぜて植え付けます。作業の際は根鉢をくずさないように植え、安定させるために支柱を立ててください。
植え替え
ガマズミは鉢植えに向かず、庭に植えて楽しみます。ただし、金華山ガマズミやコバノガマズミは、鉢植えでも楽しめます。生育が早いので、1~2年に1回、芽が出る前の3月頃に植え替えてください。
用土
肥沃で排水のよい、一般的な培養土でよいでしょう。または赤玉土小粒7:腐葉土3を混ぜた用土を使います。
手間がかからず育てやすいガマズミは楽しみがいっぱい

春の花と秋の赤い実、冬前の紅葉と、四季の移ろいを感じることができ、長期間さまざまな美しさを楽しめます。甘酸っぱい実は食用にすることができます。しかも健康食品にされるほど栄養価が高いのも魅力的です。ベランダでは、葉が小さいタイプを選べば鉢植えでも育てられます。ガマズミを育てれば、日々の生活がさらに楽しくなることでしょう。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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