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スーパーに並ばない“幻の果実”サルナシ! 皮ごと食べられる激ウマフルーツの育て方

スーパーに並ばない“幻の果実”サルナシ! 皮ごと食べられる激ウマフルーツの育て方

Sashko/Shutterstock.com

スーパーなどではめったに見かけないことから“幻の果実”とも呼ばれるサルナシ(ベビーキウイ)。キウイフルーツに似た一口サイズの実は、皮ごと生で食べられる、甘みと爽やかな酸味が凝縮された栄養満点のフルーツです。日本の環境に適応しているため暑さ・寒さに強く、じつは初心者でも家庭菜園や鉢植えで栽培に挑戦しやすい植物です。
この記事では、サルナシの基本情報や栄養素・美味しい食べ方はもちろん、失敗しない植え付け・棚付け・剪定のコツや、苗木を選ぶポイントまで分かりやすく解説します。「自宅で美味しい果実を収穫してみたい」という方は、ぜひ参考にしてください!

サルナシの基本情報

サルナシ
Oksana Shevchenko/Shutterstock.com

植物名:サルナシ
学名:Actinidia arguta
英名:hardy kiwi、kiwiberry、tara vineなど
和名:サルナシ(猿梨)
その他の名前:シラクチヅル、シラクチカズラ、コクワ、ベビーキウイなど
科名:マタタビ科
属名:マタタビ属
原産地:日本、中国、朝鮮半島、シベリアなどを含む東アジア
形態:落葉つる性低木

サルナシの学名はActinidia arguta(アクティニディア・アルグタ)。マタタビ科マタタビ属のつる性植物です。秋に実るキウイフルーツを小型にしたような果実は酸味と甘みがあり、生食できます。旬が9月下旬~10月上旬と短く、市場に出回りにくいことから、「幻の果実」と呼ばれることもあります。

サルナシのライフサイクルは次のとおり。春に新芽を伸ばしてつるを旺盛にのばし、初夏に白い花を咲かせます。秋に果実をつけ、晩秋から落葉して冬に休眠。越年して春を迎えると再び新芽を出す……というサイクルをたどります。原産地は日本や中国などを含む東アジアで、暑さや寒さに強い性質です。また土壌を選ばずに生育し、山野や林、荒地などでも生育するほど強健に育ちます。つるを他者に絡めて生育するため、栽培する際にはパーゴラなどが必要です。

実ったサルナシの実を収穫。La Huertina De Toni/Shutterstock.com

サルナシの花や葉、実の特徴

サルナシの花
Kaprisova/Shutterstock.com

園芸分類:果樹
開花時期:5〜7月
樹高:3m以上
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:白

サルナシは5〜7月に白い5弁花を咲かせます。基本的に雌雄異株で、果実を収穫するには雄花を咲かせる雄株と、雌花または両性花を咲かせる雌株の2本を植え付ける必要があります。両性花であっても花粉に稔性がないなど自家結実しないことも多いですが、品種によっては1株で結実する自家結実性があるものもあります。虫が媒介して受粉しますが、確実に収穫したい場合は雄花から雌花へ人工授粉するとよいでしょう。

サルナシ
emongrara/Shutterstock.com

サルナシの葉は5〜10cmほどの楕円形で互生し、葉の縁には細かな鋸歯が入ります。成長が早く、太いつるを3m以上伸ばすので、込み合いすぎていれば適宜透かす剪定をするとよいでしょう。

サルナシ
サルナシの実。emongrara/Shutterstock.com

サルナシの果実は輪切りにするとキウイフルーツによく似ています。果実が小さいため、近年は「ミニキウイ」「ベビーキウイ」などという名でも販売されるようになりました。ただし、表皮はつるっとしたグリーン色で、キウイフルーツのように表面に毛は生えておらず、皮のまま食べることも可能です。甘くてフルーティーな味わいで、自生している地域では古くからおやつとして食べられてきました。

サルナシの実
JIANG HONGYAN/Shutterstock.com

サルナシの名前の由来と花言葉

サルナシの実
Sashko/Shutterstock.com

サルナシ(猿梨)という名前の由来は諸説ありますが、ナシに似た形の実を付け、サルが好んで食べることからという説が有力。あまりに果実が美味しく、サルが全部食べてなくなってしまうから、という説もあります。別名にシラクチヅル、シラクチカズラ、コクワ、ベビーキウイなどがあります。

サルナシの花言葉は「誘惑」です。

サルナシとキウイフルーツの違い

キウイフルーツとサルナシの実
左がキウイフルーツ、右がサルナシ。Esin Deniz、Sashko/Shutterstock.com

キウイフルーツは、マタタビ科マタタビ属のつる性落葉樹で、原産地は中国南部です。暑さに強い性質で、真夏もぐんぐんつるを伸ばして生育します。一方で寒さがやや苦手で、栽培の北限は関東地方北部から東北地方南部です。雌雄異株の植物のため、果実を実らせるには雄木と雌木を植える必要があります。また果実は、青系と黄系の果実の色みで分類されています。サルナシの近縁種であるオニマタタビ(シナサルナシ)などがニュージーランドに渡って20世紀初頭に品種改良され、現在のキウイフルーツが生まれたとされています。キウイフルーツという名称は、ニュージーランドからアメリカへ輸出されるにあたって、国のシンボルとなっている鳥のキウイから名づけられたといいます。今や人気のフルーツとして、全世界に普及しています。

サルナシはキウイフルーツよりもかなり小さいこと、果皮は毛が生えておらずグリーンでつるっとしていることが相違点です。輪切りにするとキウイフルーツそっくりの断面をしています。

サルナシとキウイフルーツ
サルナシとキウイフルーツの断面。m.e.s.t.o.c.k/Shutterstock.com

サルナシの栄養素

サルナシ
Sashko/Shutterstock.com

サルナシはビタミンCの含有量が特に多く、食物繊維も豊富です。ほかにカリウム、カロテン、ビタミンAなども含みます。またタンパク質の分解酵素アクチニジンをもち、魚や肉を食べた後の消化促進の効果があるため小腸への吸収率をアップさせる効果が期待できます。

サルナシの食べ方

サルナシ
emongrara/Shutterstock.com

サルナシは皮ごとパクッと食べられる気軽さが魅力。生食できるほか、加工して利用することもできます。

味わい

キウイフルーツの原種ということもあり、さわやかな酸味と甘み、フルーティーな香りを楽しめます。完熟すれば皮ごと食べられ、甘みが強くやわらかな食感を味わえます。

生食でおいしく食べられる

完熟のタイミングは、果実をつまんでみて適度な柔らかさや弾力を感じ、甘い香りがする頃。皮に少しシワがよるのも完熟の目安です。皮ごと食べられますが、半分に切って端を手で摘んで果実を押し出して食べるのもおすすめです。

ジャムに加工してケーキやヨーグルトなどにトッピングすると利用の幅が広がります。ホワイトリカーと氷砂糖と一緒に漬け込むと、香りのよい果実種を楽しむことも可能です。

サルナシの食べすぎには注意!

サルナシにはタンパク質の分解酵素アクチニジンが含まれており、たくさん食べすぎると口の中や舌にピリピリとした刺激が残ったり、お腹をくだしたりすることがあるので、食べすぎには注意。1日2〜3個を目安にするとよいでしょう。

サルナシの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜7月
収穫時期:9月下旬~10月
植え付け・植え替え:11月~翌年2月
肥料:2月頃、10月頃
剪定:12月~翌年2月

サルナシの栽培環境

サルナシ
emongrara/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい環境を好みます。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】土壌は水はけのよい環境でよく育ちます。また、サルナシは旺盛につるを伸ばして生育するため、つるを誘引するための棚を設けておきましょう。

耐寒性・耐暑性

サルナシの耐寒温度は、品種にもよりますがマイナス25℃前後とされています。暑さ寒さに強く、日本の気候に適応した植物なので、一般的な地域では特に防寒対策や暑さ対策は必要ありません。ただし、植え付けたばかりの幼木や厳しい寒さの際には、寒冷紗やマルチング材などを用いて防寒対策をすると安心です。

サルナシの育て方のポイント

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

苗木を植え付ける1カ月前の10月下旬頃に、土づくりをしておきます。直径約50㎝、深さ40〜50㎝の植え穴を掘り、掘り上げた土に熔リン約200gと土壌の状態に合わせた適宜の堆肥をよく混ぜ込みます。植え穴に戻して、少し高めに盛り上げておきましょう。1カ月ほどかけて分解が進んで土が熟し、植え付けに適した土壌になります。

【鉢植え】 

果樹栽培用にブレンドされた、市販の園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
topseller/Shutterstock.com

水やりの際は、根にしっかりと水分が行きわたるよう、株元の土を狙って与えてください。

真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後はほとんど不要です。ただし、晴天が続いて過度に乾燥している場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

【地植え】

2月頃に寒肥として堆肥などの有機質肥料と緩効性肥料を、10月頃にお礼肥として速効性の化成肥料を株の周囲にまき、土壌にすき込んでなじませます。

【鉢植え】

2月頃に寒肥として堆肥などの有機質肥料と緩効性肥料を、7月頃に追肥として木の状態を見ながら適宜緩効性肥料を施します。10月頃に、お礼肥として速効性の化成肥料を与えます。

注意する病害虫

コガネムシ
Masyanya/Shutterstock.com

サルナシの栽培では病気の心配はほとんどありませんが、カイガラムシやコガネムシが発生することがあります。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

コガネムシは主に5〜8月に発生しやすい昆虫です。成虫の体長は2〜3cm。主に葉を旺盛に食害し、網目状態になっていたら近くにいることが疑われます。外部から飛来してくるので防除しにくく、見つけたらすぐに捕殺して対処しましょう。また、土中に産卵されると、今度は幼虫が根を食い荒らして株を弱らせます。幼虫は食欲旺盛で、根のほとんどを食いつくすため、枯死に至ることもあるので注意が必要です。

サルナシの詳しい育て方

苗木の選び方

サルナシは基本的に雌雄異株の果樹です。収穫には、必ず開花期が近い雌花と雄花の両方を植え付ける必要があるため、ラベルなどで苗木の情報をよく確認しましょう。品種によっては自家結実性があるものもあり、一才サルナシ、大実サルナシ、‘エルダー’などは1株でも結実しやすいとされています。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Jurga Jot/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの適期は、11月〜翌年2月です。土づくりをしておいた場所に入手した苗の根鉢より1回り大きな植え穴を掘ります。植え穴に苗木を入れ、根の間にも土を入れて密着させるようにし、深植えにならないようにしましょう。最後にたっぷりと水やりをします。

庭植えの場合は環境に合って順調に育っているようであれば、植え替えの必要はありません。

【鉢植え】

8〜10号鉢を用意します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから果樹用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきなが培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しむ場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して軽く根鉢をくずし、古い根はカットして新しい培養土を使って植え直しましょう。

仕立て方

サルナシ
La Huertina De Toni/Shutterstock.com

雌株は棚仕立てなどにして枝葉を広げて育成します。雄株には実が実らず、花を咲かせて授粉を促すのが役割なので、近くに植えてコンパクトに仕立ててもかまいません。

【地植え】

サルナシ
foodnjoy/Shutterstock.com

サルナシはつる性植物のため、地植えの場合は棚仕立てにするとよいでしょう。1年生苗の場合は、植え付け直後に地際から50〜60cmの高さで切り取って摘心し、仮支柱を立てて主枝を誘引します。主枝が棚の天井部まで達したら仮支柱をはずして棚上に主枝を出し、主枝を90°曲げて棚の頂部に誘引していきます。主枝を棚で屈曲させた部分の葉腋から副梢が発生するので、これを第2主枝として育成し、主枝とは反対方向へ棚上で一直線に誘引していきましょう。棚の下から発生する枝があれば、すべて元から切り取ります。主枝・第2主枝からはさらに新しい枝が出てきます。枝が伸びるごとに棚に仕立てて、やがて棚全体を覆うようにします。込んでいる場所があれば、枝を元から切り取って透かし、風通しよく管理しましょう。

【鉢植え】

サルナシ
Robert Buchel/Shutterstock.com

1年生苗の場合は、植え付け直後に地際から30cmの高さで切り取って摘心し、仮支柱を1本立てて誘引します。その年の5〜6月に、伸びた新梢の先端を切り取って摘心しましょう。翌年(栽培2年目)の3月頃に仮支柱を撤去し、鉢にリング支柱を設置して芽吹く前の枝を支柱に添わせてあんどん仕立てにします。以降は伸びる枝をバランスよく支柱に誘引して育成しましょう。

人工授粉

サルナシの花
emongrara/Shutterstock.com

風や昆虫によって自然に受粉しますが、人工授粉を行うと確実です。開花直後の雄花から花粉を採取し、やわらかい筆などにとって雌花の柱頭につけていくとよいでしょう。

摘果

サルナシ
Kirsanov Valeriy Vladimirovich/Shutterstock.com

品種によって異なりますが、たくさん実がつきすぎているようなら、葉4〜5枚につき1個の結実を目安に、摘果します。ほかよりも小さい実や、形が悪い実を選んで摘み取りましょう。

収穫

サルナシ
Oksana Shevchenko/Shutterstock.com

10月頃に実が充実してきたら、ハサミで切り取ります。果皮に傷をつけると長く保存できなくなるので、取り扱いに注意しましょう。樹上で完熟した実を収穫できるのは、自家栽培ならではの楽しみです。熟した実は落ちやすいため、早めに収穫して常温で追熟させてもよいでしょう。

剪定

はさみ
Aleksei Golovanov/Shutterstock.com

【地植え】

サルナシは樹勢が強く、放任すると棚がつるで覆い尽くされてジャングルのようになってしまうことも。基本的には、棚面から地面に木漏れ日が落ち、晴れたら土壌が乾くくらいの光量を保つことを目安にするとよいでしょう。剪定の適期は12月〜翌年2月です。サルナシは花が咲いた部分からは新芽が出ないため、実が付いた枝は実が付いた節から3~5芽、実がつかなかった枝は枝の付け根から8~10芽を残して、枝の先端を切り戻す剪定を中心にします。ただし、古い枝があれば付け根から切り取って若い枝に切りかえ、不要な徒長枝も付け根から切り取りましょう。込み合っている部分も光量や風通しを保つために、間引き剪定をして全体のバランスを取ります。

【鉢植え】

あんどん仕立ての支柱にバランスよくつるを仕立て、込み合いすぎて日当たりや風通しが悪くなっている部分を間引くように剪定します。地植えと同様に、枝の先を切り戻すとともに、古い枝や不要な枝を付け根から切り取って整理しましょう。

サルナシを栽培しておいしい実を楽しもう

サルナシ
iva/Shutterstock.com

古くから日本の野山に自生してきたサルナシは、生育旺盛で放任してもよく育ちます。栄養豊富なフルーツの一つですが、青果店スーパーマーケットにはほとんど出回っていないので、ぜひ家庭で栽培して完熟果を収穫し、旬の味わいを楽しんでください。

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