甘酸っぱくてジューシーなキウイフルーツは、栄養価が高い果物の一つです。家庭果樹として栽培でき、落葉樹のため新芽の展開、開花、結実、落葉と、四季の移ろいを強く感じることができます。あまり手をかけなくてもたっぷりと実りをもたらしてくれるので、ビギナーにも栽培しやすい果樹です。この記事では、キウイフルーツの特性や栄養価、品種、育て方など、幅広くご紹介していきます。

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キウイフルーツとは?

キウイフルーツ

キウイフルーツは、マタタビ科マタタビ属のつる性落葉樹で、原産地は中国南部です。暑さに強い性質で、真夏もぐんぐんつるを伸ばして生育します。一方で寒さがやや苦手で、栽培の北限は関東北部から東北南部です。雌雄異株の植物のため、果実を実らせるには、雄木と雌木を植える必要があります。

一年のライフサイクルは、以下の通りです。3月頃から新芽を出し、5月中旬〜6月中旬に開花。旺盛に枝葉を伸ばし、夏には涼しい緑陰をもたらします。10月中旬〜11月中旬に果実を収穫でき、11月下旬には落葉。12〜2月に休眠します。一年を通して表情を変えていくため、季節の移ろいを強く感じさせてくれる果樹といえるでしょう。

キウイフルーツの樹高は約1.5m、株張りは3mほど。つる植物のため、家庭で栽培するなら広めの棚仕立てにするとよいでしょう。棚は2mくらいの高さで、3〜4m四方ほどを用意。つるや果実の荷重がかかるので、しっかりと支える丈夫な資材を用いて設置します。雌木は棚に仕立てて、枝葉をたっぷりと伸ばしましょう。雄木は授粉樹として開花させるのが目的となるので、コンパクトに仕立てても構いません。鉢栽培にしてもOKです。

キウイフルーツの果実は、果実の色みで青系と黄色系に分類することができます。青系より黄色系のほうが実つきがよいようです。また、青系は黄色系に比べて花が遅い傾向にあります。雄木と雌木のカップルは、受粉が順調に進むように開花期が揃う品種同士を選ぶとよいでしょう。

キウイフルーツの歴史

キウイフルーツ

キウイフルーツの原種は、中国のサルナシだといわれています。サルナシは日本にも古くから自生してきた馴染み深いつる植物で、果実は2〜3cmくらいのミニサイズ。果皮はキウイフルーツのように毛で覆われておらず、つるんとした緑色ですが、味も果肉もキウイフルーツにそっくりです。

このサルナシがニュージーランドに渡り、20世紀初頭に品種改良されてキウイフルーツが生まれました。キウイフルーツという名称は、ニュージーランドからアメリカへ輸出されるにあたって、国のシンボルとなっている鳥のキウイから名づけられたといいます。今や人気のフルーツとして、全世界に普及しています。

キウイフルーツに含まれる栄養素

キウイフルーツの栄養価

キウイフルーツには、多様な栄養素が含まれています。まず、ビタミンCの含有量はミカンのおよそ22。風邪予防や疲労回復などに効果があります。食物繊維も豊富で、青系のキウイはバナナの3本分の含有量があるとされ、腸内環境を整える効果が。抗酸化作用のあるビタミンEはリンゴのおよそ7倍。血行を促す働きもあるとされています。ほかにも塩分の排出を促す効果のあるカリウム、細胞に働き、造血ビタミンともいわれる葉酸、抗酸化作用のあるポリフェノールなども多く含まれ、大変栄養価の高いフルーツです。

また、キウイフルーツの属名「Actinidia」から名づけられたアクチニジンはタンパク質の分解酵素で、キウイフルーツに多く含まれる成分。魚や肉を食べた後、消化促進や小腸への吸収率をアップさせる効果が期待できます。キウイフルーツは、食後のデザートとしてぴったりのフルーツなのです!

代表的なキウイフルーツの品種

キウイフルーツの品種

キウイは人気のフルーツだけに、品種改良は日進月歩で進んでいます。その中から青果店で人気の高い品種はフルーツ業界にお任せするとして、ここではガーデニング用の苗として出回っている、入手しやすい品種をピックアップ。雄木と雌木のおすすめペアをご紹介します。

雌木の‘ヘイワード’はキウイフルーツの代名詞ともいえるもので、病気に強い品種。パートナーには、雄木の‘トムリ’がおすすめです。雌木の‘ゴールデンイエロー’は糖度が高く適度に酸味が乗って濃厚な味わいが魅力。果実は大きめで1本に100個ほど実ります。雄木には‘孫悟空’または‘ロッキー’と相性が抜群です。‘レインボーレッド’はやや小玉で種子の周辺が赤くなる果実が特徴。甘みが強く、酸味が少なく香りがよくてジューシー。開花期が早いので、ペアには極早生の雄木を選びましょう。‘ミンキーゴールド’は3〜4cmの小さな果実が多数実ります。つるが伸びすぎずに節間も短いため、鉢栽培などでコンパクトに仕立てることができる品種です。雄木には‘ミンキーメール’が向いています。

キウイフルーツの育て方

キウイフルーツは樹勢が強く、病害虫もつきにくい果樹です。放任しても丈夫に育つので、ビギナーにおすすめ。なんといっても、秋には豊かな実りをもたらしてくれ、収穫の喜びを味わえるのもいいですね。ここでは、植え付けから日頃の管理、収穫、追熟の仕方まで、詳しく解説していきます。

栽培環境

キウイフルーツの育て方

キウイフルーツの栽培にあたっては、日当たりがよく、風通しのよい環境を選びましょう。水はけのよい土壌でよく育ち、土壌酸度は微酸性から中性付近がよいとされています。

キウイフルーツは雌雄異株の果樹です。収穫には、必ず開花期が近い雌花と雄花の両方を植え付ける必要があります。また、旺盛につるを伸ばして生育するので、つるを誘引するための棚を設けておきましょう。雌株を棚仕立てにして枝葉を広げて育成します。雄株には果実が実らず、花を咲かせて授粉を促すのが役割なので、近くに植えて行燈仕立てにし、コンパクトに仕立ててもかまいません。

土づくり

キウイフルーツの土作り

【庭植え】

苗を植え付ける1カ月前の10月下旬頃に、土づくりをしておきます。100cm四方、深さ40〜50cmの植え穴を掘り、掘り上げた土に苦土石灰約200g、熔リン約200gと土壌の状態に合わせた適応する堆肥をよく混ぜ込みます。植え穴に戻して、少し高めに盛り上げておきましょう。1カ月ほどで分解が進んで土が熟し、植え付けに適した土壌になります。

【鉢植え】 

果樹栽培用にブレンドされた、市販の園芸用培養土を利用すると便利です。

植え付け

キウイフルーツの植え付け

【庭植え】

植え付けの適期は、11月下旬〜12月中旬です。土づくりをしておいた場所に、入手した苗の根鉢より一回り大きな植え穴を掘ります。植え穴に根を広げて苗を入れ、根の間にも土を入れて密着させますが、深植えにならないようにしましょう。最後にたっぷりと水やりをします。

【鉢植え】

8号鉢を用意します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから果樹用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出るまで、十分に水を与えましょう。

水やり

キウイフルーツの水やり

【庭植え】

地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、乾燥には弱いので、梅雨明け以降から収穫期までは、日照りが続く場合は水やりをして補いましょう。大きな葉が朝露を持たない時や、新梢が垂れ下がっている場合は、水を欲しがっているサインです。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がってすぐお湯になってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。新梢がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。

追肥

キウイフルーツの追肥

【庭植え】

7月、9月、11月に堆肥などの有機質肥料と緩効性肥料を株の周囲にまき、土壌にすき込んでなじませます。

【鉢植え】

2月下旬〜6月中旬に、木の状態を見て勢いがないようであれば、適宜緩効性肥料を施します。9月下旬〜10月中旬に、有機質の固形肥料を与えます。

人工授粉

キウイフルーツの人工授粉

風や昆虫によって自然に受粉しますが、人工授粉を行うと確実です。開花直後の雄花から花粉を採取し、やわらかい筆などにとって雌花の柱頭につけていくとよいでしょう。

摘果

キウイフルーツの摘果

品種によって異なりますが、たくさん実がつきすぎているようなら、葉4〜5枚につき1個の結実を目安に、摘果します。ほかよりも小さい実や、形が悪い実を選んで摘み取りましょう。

収穫

キウイフルーツの収穫

10月下旬〜11月に実が充実してきたら、ハサミで切り取ります。果皮に傷をつけると長く保存できなくなるので、取り扱いに注意しましょう。

追熟の仕方と食べ頃

キウイフルーツの追熟

キウイフルーツは収穫したてを味わうフルーツではなく、しばらく置いて追熟させることが必要です。デンプンを多く含む果実なので、リンゴなどエチレンを発するフルーツと一緒に置いておくと、デンプンが糖へと分解され、甘みが増します。リンゴやバナナなどと一緒に、密閉できる袋に入れて20日くらい置いておくと、糖度が増して食べ頃になりますよ! 長期保存しておきたい場合は、冷蔵庫などに入れておき、必要な時に室温で追熟させて食べるとよいでしょう。

ふっくらとして弾力があり、少し柔らかくなってきたら食べ頃。押さえて確認する場合は、真ん中あたりの腹の部分ではなく、頂部と下部の軸を挟むようにしましょう。

病害虫対策

病害虫の心配はほとんどありません。一般家庭では、無農薬で栽培できます。

仕立て方

キウイフルーツの仕立て方

【庭植え】

キウイフルーツはつる性植物のため、庭植えの場合は棚仕立てにしましょう。一年生苗の場合は、植え付け直後に地際から50〜60cmの高さで切り取って摘芯し、仮支柱を立てて主枝を誘引します。主枝が棚の天井部まで達したら仮支柱をはずして棚上に主枝を出し、90度曲げて棚の頂部に誘引していきます。主枝を棚で屈曲させた部分の葉腋から、副梢が発生するので、これを第2主枝として育成し、主枝とは反対方向へ棚上で一直線に誘引していきましょう。棚の下から発生する枝があれば、すべて元から切り取ります。主枝・第2主枝からは、さらに新しい枝が出てきます。枝が伸びるごとに棚に仕立てて、やがて棚全体を覆うようにします。込んでいる場所があれば、枝を元から切り取って透かし、風通しよく管理しましょう。

【鉢植え】

一年生苗の場合は、植え付け直後に地際から30cmの高さで切り取って摘芯し、仮支柱を1本立てて誘引します。その年の5〜6月に、伸びた新梢の先端を切り取って摘芯しましょう。翌年(栽培2年目)の3月頃に仮支柱を撤去し、鉢にリング支柱を設置して、芽吹く前の枝を支柱に沿わせてあんどん仕立てにします。以降は、伸びる枝葉をバランスよく支柱に誘引して育成していきましょう。

剪定

キウイフルーツの剪定

キウイフルーツは樹勢が強く、徒長枝は年に5〜6mも伸びることがあります。放任すると棚がつるで覆い尽くされてジャングルのようになってしまうことも。基本的には、棚面から地面に木漏れ日が落ち、晴れたら土壌が乾くくらいの光量を保つことを目安にするとよいでしょう。剪定の適期は1〜2月頃です。枝の先端を切り戻す剪定を中心にします。ただし、古い枝があれば元から切り取って若い枝に切りかえ、不要な徒長枝も元から切り取りましょう。込み合っている部分も光量や風通しを保つために、間引き剪定をして全体のバランスを取ります。

増やし方

キウイフルーツの増やし方

挿し木で増やせます。挿し木の適期は6月頃です。勢いのある枝を選んで切り取ります。園芸用培養土を育苗トレイなどに入れて、採取した枝葉を挿しておきます。直射日光の当たらない明るい場所で、水切れしないように管理を。発根したら黒ポットなどに植え替えて育成します。大きく育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

キウイを家庭菜園で育ててみよう

キウイフルーツの育て方

キウイフルーツの特性や魅力、育て方まで幅広くご紹介してきました。「キウイフルーツってどんな植物?」とあまり馴染みのなかった方には、理解が深まったのではないでしょうか。収穫できる植物が庭にあると、家族の会話のきっかけにもなり、何より美味しく味わえて、暮らしを豊かにしてくれます。生食にして美味しく、タルトやケーキの飾りにも活躍するキウイフルーツを、ぜひ自宅で育ててみてはいかがでしょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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参考文献:
『決定版 はじめてでも簡単 おいしい家庭果樹づくり』 著者/大森直樹 発行/講談社 2010年11月28日第1刷発行
『はなとやさい』2015年9月号/タキイ種苗

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