ロマネスコは、ブロッコリーとカリフラワーの仲間で、カリッコリー、カリブロとも呼ばれる不思議な形が魅力の野菜です。ひとつの小さなまとまりを作っている花蕾(からい)が、またもうひとつの同じ形をしたまとまりを作り、大きな螺旋状を描くフラクタル形態を形成しています。時折、店で売っているのを見かけますが、なかなか手に入りにくいということで、自分で栽培する人も多いようです。ロマネスコの育て方のコツを、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ロマネスコを育てる前に知っておきたいこと

ロマネスコはカリフラワーの一種で、名前から連想できるように、イタリアを原産とした植物です。イタリアをはじめ地中海沿岸の原産地は、冬は湿度が高く、夏は高温で乾燥しています。

ブロッコリーやカリフラワーと同様、小さな花の蕾が集合している部分を食し、甘みがあり、クセのない味が特徴で、サラダなどにして食べるのが人気です。

では、ロマネスコを育てるために知っておきたいことを見ていきましょう。

ロマネスコの基本データ
学名:Brassica oleracea var. botrytis
科名:アブラナ科
属名:アブラナ属
原産地:ヨーロッパ
英名:Romanesco broccoli、Cauliflower romanesco
収穫期:11月下旬~12月
花色:白、黄緑色
発芽適温:20〜25℃
生育適温:15〜20℃

近年、ロマネスコを栽培する人が増えており、種子や苗がネットなどで簡単に手に入ります。しかし、美しいフラクタル構造を形成させるためには丁寧な手入れと、肥料やりが必要です。水やりも多少コツがいるので、中級者向けといえるでしょう。

低温になると花芽ができやすい性質を持っているので、植え付けは晩夏がベストのタイミングです。涼しくなりすぎる前に植えないと、まだ株が小さい状態で気温が低い日に出合ってしまい、花芽が小さくなってしまうので気をつけましょう。

また、ロマネスコはアブラナ科の植物なので、連作障害(同じ土壌で、同じ種類や同じ科の植物をつくり続けることによって発生する生育不良)に注意が必要です。過去にアブラナ科の植物(キャベツ、小松菜、ブロッコリーなど)を育てた土は、使わないようにしましょう。

種類を知ると、選び方がわかります

ロマネスコにはたくさんの種類がありますが、手に入りやすい4種類の特徴と選び方を紹介します。

スパイラル
中早系で、秋どりでは植えたあと約105日で収穫できます。甘みが強い品種です。

ネオ・スパイラル
夏に植えた場合は90日ほどで収穫ができ、春に種をまいた場合は65〜75日ほどで収穫できる早生種。耐暑性に優れ、高温による変形が少ないのが特徴です。

ダ・ヴィンチ
生育が早く、定植してから75〜90日で収穫できるのが特徴です。花蕾が珊瑚のような形をしており、魚や肉の引き立て役として料理を彩ってくれます。甘みが強く、ブロッコリーに似た風味も魅力です。

ミケランジェロ
ネオ・スパイラルと同様、春と秋の二作が可能です。春作では、定植後75〜80日、秋作では110日ほどで収穫できます。高温障害の発生が少ないので、栽培が比較的容易と言えるでしょう。形は盛り上がり、尖りが美しいのが特徴です。

ロマネスコを育てるときに必要な準備は?

ロマネスコは鉢植えと地植えの両方ができますが、それぞれを育てる上で必要な準備を見ていきましょう。

準備するもの
・ロマネスコの種または苗
・鉢または横長プランター
・土
・肥料、堆肥、苦土石灰
・ポリポット

ロマネスコは種、苗ともにネットショップなどで簡単に手に入ります。大まかに分けて、秋と春の二作ができる早生種か、冬に収穫できる中早系があるので、育てる環境に合った種類を選びましょう。種から育てる場合は、作りたい株の数だけポリポットを用意しておくと種植え後の作業が行いやすいです。

鉢植えで育てる場合は、深さが30cm以上、用土が20リットル以上の深くて大きいプランターを使用するのがおすすめです。

土は、小粒の赤玉土など小粒で水はけが良く、栄養がある土を選びましょう。簡単に栽培がしたい場合は、市販の野菜用腐葉土や培養土を使用するとよいでしょう。

自分で土作りを行う人は、苦土石灰、堆肥と化成肥料を用意しましょう。

適した土作りが、ロマネスコを育てる第一歩

ロマネスコを立派に育てるための土作りにはコツがあります。ロマネスコは酸性の土壌が苦手で、どんな土でも大きく育つというわけではありません。そして、肥沃な土地を好む植物なので、常に栄養たっぷりの状態に土壌を保つ必要があります。では、ロマネスコに適した土壌を準備する方法を見て行きましょう。

プランター栽培の場合

市販の野菜用培養土で育てるのが簡単でおすすめです。

地植えの場合

まず、土壌の酸度を調整する必要があります。植え付け2週間前に、1㎡につき100g(土の表面が薄白くなる程度)を目安に苦土石灰を撒き、さらに堆肥を1㎡につき3kg、化学肥料を1㎡につき100gを施してよく耕します。これで、酸度が調節され、かつ栄養たっぷりの、ロマネスコを育てるのに適した土壌になるでしょう。

ロマネスコの育て方にはポイントがあります

ここで、ロマネスコの育て方のポイントをおさえておきましょう。

ロマネスコには、種からと苗からの2つの方法で育てられます。肥えた土壌を好むので、肥料切れが起きないように気をつけるのが最低限必要なポイントです。

さらに、種から育てる場合、発根するまでは直射日光を避け、涼しく日の当たらない場所に置くようにしてください。発根したら双葉が開く前に、日当たりの良い場所へ移動させてください。日当たりの良い場所に出すタイミングが遅れると徒長した苗になりますので、注意しましょう。ロマネスコは耐寒性に優れていますが、耐暑性に優れない種類もあるので注意しましょう。

ロマネスコの育て方~苗から始める~

ロマネスコの苗を選ぶときのコツは、他の植物の苗を選ぶときと大きな差はありません。

葉に厚みがあり、色が濃いものを選ぶのが基本です。病気や害虫はいないか、根はしっかり張っていて土が崩れていないか、茎がしっかりしているかを確認しましょう。元気のない苗は黄褐色の葉がわきから出ていたり、土の状態が悪かったりします。いい苗かどうかをしっかり見極めることも、のちに立派なロマネスコを収穫する大事な過程です。一見元気そうでも、植えたらすぐに枯れてしまう苗もあるので、細部までしっかり確認して購入しましょう。

植え付け時期と方法

植物を育てる上で、植え付けの時期とその方法を守ることが、成功の秘訣です。ロマネスコは、低温になると花芽ができやすい性質を持っているので、寒くなる前の晩夏が植え付けのベストタイミングです。

涼しくなりすぎる前に植えないと、まだ株が小さい状態で低温に出合ってしまい、花芽が小さくなるので気をつけましょう。ただし、春秋どりの二作ができる早生種は、植え付けの時期が広く定められているので初心者におすすめです。

植え付けの手順は以下のとおりです。

①土に、苗を入れているポットよりも少し大きめな穴を掘ります。

②穴にたっぷりと水を注ぎましょう。

③ 水が引いたら、土を壊さないように苗を植え込みます。株間は40cm〜50cmほど開けてください。

④ 植えた後、株がぐらつかないように土を手で固めましょう。植え付けた後は土が乾燥してしまうので、酸素と水分を株に十分に行き渡らせることをイメージして、たっぷりと水を与えましょう。

ロマネスコの育て方~種から始める~

種まき時期

ロマネスコの種まきの時期は、7月下旬〜8月下旬を目処に行いましょう。春秋二作の早生種の場合は、1月下旬〜2月上旬(トンネル栽培又は加温栽培が必要)に行うことも可能です。

ただし、種まきの時期は、品種や地域によっても異なるので注意してください。例えば、寒冷地の場合は、適したタイミングが4月下旬〜7月上旬と、中間地と比べて種まきの時期が幅広く設定されています。

発芽適温が20〜25℃で、寒さに当たると花芽ができやすいという性質を考慮しながら、地域に適したタイミングで種まきをしてください。

発芽しやすくするコツ

発芽には、水分、温度、光が関係しており、それぞれの条件がしっかり合致して初めて発芽します。発芽させるためには、育てている植物に合った条件を考慮して調整することがコツです。

ロマネスコの場合、湿度がある涼しい日陰を好みます。種をポットにまいたら、新聞紙1枚のみ(2枚以上は発芽不良になるので注意)をかぶせるなどして直射日光を避け、温度が低めの場所で発芽を待ちましょう。

種まき方法

ロマネスコは気温や土の状態に発芽が左右されやすいので、環境をコントロールしやすいポリポットに種まきをします。苗がある程度育ってから畑やプランターに移植しましょう。

以下、種まきの方法です。

①ポリポットの中に用土を入れ、まく穴を作ります。

② 1つのポリポットにつき2〜3粒の種をまきましょう。

③ 種をまいたところに薄く土をかぶせ、軽く手で押さえましょう。

④ たっぷりと水をやります。

⑤ ポリポットの上に、新聞紙を発芽するまでかぶせます。

⑥ 発根したら双葉が開く前に新聞紙をはずします。双葉が開いたら葉と葉がぶつからない程度に間引きをします。さらに本葉が4枚ほどになったら、さらに間引いて1本立ちにしましょう。

植え付け

苗の本葉が5~6枚出てきたら植え付けの時期です。ポリポットで育てていた苗を、酸度の少ない土を入れた鉢やプランター、地面に定植させます。

大きい苗にしたい場合は、大きな鉢に1つの苗、もしくは地面に株間40~50cmを開けて植えてください。プランターに植える際も、そのサイズに応じて少なくとも株間30cmを見て、例えば60cmのプランターであれば2株が適しているでしょう。

植え付けの方法は以下の手順を踏んでください。

①土に、苗を入れているポットよりも少し大きめな穴を掘ります。

②穴にたっぷりと水を注ぎましょう。

③水が引いたら、根についた土を壊さないように苗を植え込みます。

④ 植えた後、株がぐらつかないように土を手で固めましょう。植え付けた後は土が乾燥してしまうので、酸素と水分を株に十分に行き渡らせることをイメージして、たっぷりと水を与えましょう。

ロマネスコと仲良くなる日々のお手入れ

水やりのタイミング

植物への水やりは、育てる上で何よりも重要な作業です。ロマネスコの場合、水やりのタイミングは土の表面が乾燥したときで、株全体に水が行き渡るよう、たっぷりと与えてください。土の中に湿度を保たせるのがコツで、土の中が乾いているとロマネスコは美味しく育ちません。根腐れを心配して水の量を遠慮気味にあげると、根全体に水分が行き渡らない可能性があるので、株元だけでなく株全体にたっぷりと水やりしましょう。

頻度は季節によって変化しますが、1週間に1〜2回ほどを目安に、朝に水やりするようにしてください。乾燥を防ぐために、土の上に藁などを敷くのも育ちやすい土壌を保つのによいでしょう。しかし、水やりの頻度などはあくまでも目安です。植物の状態をよく見ながら、水やりを微調整してください。

肥料の施し方

ロマネスコは、肥料が常に足りている状態にしながら育てましょう。

まず、土壌をpH6~6.5ほどの酸度にし、種をまく2週間前に元肥を施します。元肥とは、若い苗の成長を助け、苗を土に馴染ませ、今後育っていく土台を作るために必要なものです。通常、遅効性肥料が用いられ、土の中で分解されて初めて効力を発揮します。種まきの直前に施してもあまり効果がないので、必ず2週間ほど前に与えましょう。落ち葉や牛糞、生ゴミなどを使った堆肥を1㎡あたり3kg、そして、化学肥料を1㎡あたり100gが元肥に適した量になります。

さらに、ロマネスコは追肥を行わないと大きな苗になりません。定植したら、20~25日の間隔で化学肥料を与えましょう。1週間に1度程度、水に薄めた肥料を混ぜて水やりするといいでしょう。この時、リン酸が多く含まれている肥料を使うと、ロマネスコが立派に育ちやすいのでおすすめです。

花が咲いたら…

ロマネスコの花

ロマネスコは基本的に、花が咲く前、蕾が固いうちに収穫するものです。しかし、食するのではなく花を愛でたい方は、収穫に適した時期を過ぎてからも、しばらく植えたままにしておきましょう。しばらくすると、菜の花に似た黄色の花が咲きます。綺麗に咲かせるには、苗が育ってきたらこまめに間引き、株間を調節するのがコツです。

収穫のタイミング

ロマネスコの収穫期は品種によってやや異なりますが、平均すると苗を植え付けてから3~4か月後、花蕾の直径が15~20㎝になったら収穫します。収穫するときは、引っこ抜くのではなく、ナイフなどで株元から切り取りましょう。

ロマネスコに剪定は必要なの?

剪定は、植物の枝を切って形を整えたり、風通しをよくしたりするために行う作業ですが、ロマネスコは基本的に必要ありません。

もし、花を咲かせる目的でロマネスコを育てている場合は、株の間が狭く混み合ったとき、重なっている枝を切り落とします。風通しをよくして、日光が全体に回るようにすることで、株全体に花が咲くようになり、病気にかかりにくい株になります。

知りたい! ロマネスコの増やし方

種の採取の時期と方法

種を採取するには、収穫をせずに花を咲かせ、枯れるまでしばらく放置しましょう。花が枯れて茶色く変色し、乾燥したら、種を花がらから採取します。しかし、「交配種」「○○交配」「F1」と種の袋に記載されているものは、育てたものと同じような特徴が出にくいです。種を取る場合はそれを理解して、異なる種が出るのを楽しむようにしましょう。

毎日の観察が、生理障害や害虫を防ぐコツです

育てるときに注意したい生理障害

ロマネスコは、以下のような生理障害(病気ではなく、肥料成分の過不足や気候などにより起こる障害で、伝染しない)にかかりやすいようです。

ボトニング
花蕾の発育に必要な葉が生える前に花芽が分化し、株が小さくなる症状で、花蕾の発育に必要な葉の数に満たないうちに低温に遭遇すると起きやすい病気です。

リーフィー
花蕾の中に小葉が発生する症状で、花芽ができる頃に十分な低温に当たらなかったとき、さらに、花芽分化後に高温にあたり、栄養が与えられすぎると起こるとも言われています。

育てるときに注意したい害虫

ロマネスコはポットから地面に植え替えた成長期に害虫被害を受けやすいと言われており、ヨトウムシ、アブラムシ、アオムシ、コナガなどの被害が主になります。

ヨトウムシ
葉を食い荒らし、穴をたくさん開けてしまいます。高温で乾燥した夏季に発生しやすく、見つけた際は農薬などで駆除をしましょう。

ロマネスコと相性のよい寄せ植えの植物は?

野菜は寄せ植えに向いていないと考える人は多いですが、プランター菜園やベランダ菜園で野菜を寄せ植えで育てる人が増えています。秋に植えるロマネスコは花蕾が黄緑色で、花が咲くと黄色なので、ビオラやアリッサムなど、優しいパステルカラーの花と相性がよいでしょう。ガーリックチャイブや、セージを加えると害虫予防にもなります。また、パイナップルミントの葉は班入りなので、寄せ植えの雰囲気を明るくするのにおすすめです。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

文・サグーワークス

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