30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了された遠藤昭さん。帰国後は、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストでも数々の受賞歴があり、60㎡の庭づくりの経験は20年になるという遠藤さんに、庭で育てがいのあるオージープランツを解説していただきます。

はじめての出会いは20年前

3月になると、エレモフィラ・ニベア(学名:Eremophila nivea 俗名:Silky Eremophila、Emu bush)が園芸店の店頭に出始める。最初に、この植物に出会ったのは20年近く前だ。都内の園芸店で見つけて、その目を見張る美しさに魅了された。白銀の葉と淡いパープルの花。初めて見る不思議な植物に驚かされた。そして、それがオーストラリア原産の植物だと分かると、なおさら欲しくなった。ところがお値段が15,000円もして諦めた。通常、新しい植物は流通し始めの頃は高い。その後、普及して安くなるのを待った。

オーストラリア、パースでは、こんな大株になる。

はじめてエレモフィラ・ニベアに出会ってから2~3年が経ち、小さな開花株を1,500円程度で購入した。が、それから数年間は楽しむことができたが、梅雨時期につい外に出しっぱなしにしてしまい、枯らしてしまった。

雨に当てないよう鉢植えで栽培しよう

エレモフィラ・ニベアは西オーストラリア原産なので、高温多湿に弱い。特に葉がエアープランツに見られるビロードのように起毛した表面なので、一度雨に濡れると乾燥しにくい。おそらく乾燥地では、空気中の水分を吸収するには適した葉なのだ。したがって、雨は極力避けたほうが良い。雨を避けるためには日本では地植えは難しく、鉢植えで育てるしかない。東海岸のメルボルンでも露地植えはムリだと、現地の植物園のスタッフから聞いたことがある。

二重鉢にして、軒下に置いて栽培。隣は同じオーストラリア原産のブルーハイビスカス。

春から秋は軒下で育て、冬は屋内の明るいところで育てる。鉢植えは夏の太陽で鉢の温度が上がるので、鉢には直接、日が当たらないように鉢を二重にするなどの工夫をすると良い。使用する鉢も蒸れやすいプラスティック製より、テラコッタのほうがよい。また、西日は当たらない場所がよいようだ。

4月中旬頃、キモッコウバラとの競演。黄色と紫は補色関係だけれども、それぞれ淡い色なので、コントラストがいい雰囲気だ。
同系色のクレマチスとも似合う。
ニューサイランやシダを背景にするとエレモフィラ・ニベアが引き立つ。

最近は白い葉が人気で、エレモフィラ・ニベアも寄せ植えに使用されているが、生育環境が異なる植物との組み合わせはかなり難しい。寄せ植えに使用するなら、一緒に植える植物も乾燥に強い植物を選び、まず排水性がよい用土を使用し、雨に濡らさずに育てる事だ。

挿し木で根が出て(写真右)鉢植えで順調に生育中のエレモフィラ・ニベア。

病害虫ではカイガラムシがついてしまったことがあるので注意。簡単に挿し木で増やすことができる。方法は、花後の剪定枝を鹿沼土に挿しておくだけだ。翌年には花が咲く。

栽培環境に少し工夫が必要で、ちょっと育て方が難しいと感じるエレモフィラ・ニベアだが、ご紹介のポイントを把握していれば大株にするのも夢ではない。春の開花の喜びはひとしおなので、挑戦してみて欲しい。

Credit

写真&文/遠藤 昭
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。現在は、川崎市緑化センター緑化相談員を担当しながら、コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施。園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)