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ムラサキゴテンは葉色が美しいカラーリーフプランツ! 特徴や育て方を詳しく解説

ムラサキゴテンは葉色が美しいカラーリーフプランツ! 特徴や育て方を詳しく解説

tamu1500/Shutterstock.com

シックな紫色の葉が美しいムラサキゴテンは、カラーリーフプランツとして庭に個性をもたらしてくれます。この記事では、ムラサキゴテンの基本情報や特徴、名前の由来・花言葉、同じムラサキツユクサ属の仲間、育て方について詳しくご紹介します。

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ムラサキゴテンの基本情報

ムラサキゴテン
ioanna_alexa/Shutterstock.com

植物名:ムラサキゴテン
学名:Tradescantia pallida
英名:purple secretia、purple-heart、purple queen
和名:ムラサキゴテン(紫御殿)
その他の名前:セトクレアセア、パープルハート
科名:ツユクサ科
属名:ムラサキツユクサ属(トラディスカンティア属)
原産地:メキシコ
分類:宿根草(多年草)

ムラサキゴテンの学名はTradescantia pallida(トラディスカンティア・パリダ)。ツユクサ科ムラサキツユクサ属(トラディスカンティア属)の常緑多年草です。以前はセトクレアセア属に分類されていたため、今もセトクレアセアと呼ばれることもあります。国内で流通しているのは、ほとんどが園芸品種の‘パープルハート’です。メキシコ原産で、暑さには強い一方で、寒さはやや苦手。乾燥した気候を好みます。紫色の茎葉をもち、カラーリーフプランツとして人気です。草丈は40〜60cm。

ムラサキゴテンの花や葉の特徴

ムラサキゴテン
Jimenezar/Shutterstock.com

園芸分類:観葉植物・草花
開花時期:7〜10月
草丈:40〜60cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
花色:ピンク

紫色の茎葉をもち、最初は直立しますが、成長につれて匍匐するように広がります。平たい葉は幅2cm、長さは10cmほど。やわらかい産毛のために見る角度によって葉色が変わり、水を弾きます。

7〜10月に小さなピンクの花を咲かせます。花は1日でしぼんでしまいますが、次々とつぼみを上げて楽しませてくれます。

ムラサキゴテンの名前の由来や花言葉

ムラサキゴテン
Bangkit’s Galery /Shutterstock.com

ムラサキゴテンは漢字で「紫御殿」と書きます。骨格のしっかりとした草姿で紫の茎葉を伸ばす様子に由来します。

ムラサキゴテンの花言葉は「優しい愛情」「誠実」「変わらぬ愛」など。

ムラサキツユクサ属の仲間

シマムラサキツユクサ
シマムラサキツユクサ。Aleksandr Kurganov/Shutterstock.com

ここでは、ムラサキゴテンが分類されているムラサキツユクサ属の仲間についてご紹介します。

トキワツユクサ

トキワツユクサの学名は、Tradescantia fluminensis(トラディスカンティア・フルミネンシス)。南アメリカ原産で、夏に白い3弁花を咲かせます。草丈は約50cm。観賞用として日本にもたらされましたが、繁殖力が旺盛で野生化し、要注意外来生物に指定されています。

シマムラサキツユクサ

シマムラサキツユクサの学名は、Tradescantia zebrina(トラディスカンティア・ゼブリナ)。中央アメリカ、メキシコ、コロンビアが原産地です。葉裏は紫色、葉の表面は緑または紫色でストライプ状に白い斑が入ります。草丈は5〜15cmで這うように生育するため、グラウンドカバーやハンギングバスケットにおすすめ。夏に小さなピンクの花を咲かせます。

ムラサキゴテンの栽培12カ月カレンダー

開花時期:7〜10月
植え付け・植え替え:4〜9月
肥料:4〜6月、9~10月

ムラサキゴテンの栽培環境

ムラサキゴテン
Dinesh-Photography/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所で栽培しますが、環境適応力が高く、明るい日陰でも育ちます。ただし、日当たりの悪い場所では、花つきや葉色が悪くなったり、草姿が間のびしたりするので注意しましょう。また、夏場に強い直射日光を浴びると葉焼けすることがあるため、気になる場合は半日陰に移動するか遮光をして育てましょう。

【日当たり/屋内】日当たりのよい窓辺などであれば、屋内でも栽培できます。やや寒さに弱いため、冬は室内に取り込んで冬越しさせるほうが無難です。

【置き場所】水はけのよい環境を好みます。高温多湿は苦手とするので、水はけのよい土壌づくりをしておくことがポイントです。

耐寒性・耐暑性

暑さには強い一方で、冬の寒さにはやや弱い性質をもっています。2℃くらいまでは耐えますが、凍結する場所での冬越しは難しいでしょう。関東以南の太平洋側の暖地で、ほとんど凍結することがない地域では地植えでの栽培も可能ですが、寒冷地では鉢上げして温室や室内へ移動して越年させてください。

ムラサキゴテンの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

苗を植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施して土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土づくりをした後しばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

また、真夏は気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

一方、真冬は気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行うようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いてあまりに乾燥し、株が消耗しているようであれば、水やりをして補います。

【鉢植え】

基本的に、植物を鉢栽培する場合は土の量が少なく乾燥しやすいために、日頃の水やりを忘れずに管理します。ただしムラサキゴテンは乾燥を好み、多湿を嫌うので、与えすぎには要注意。いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になってしまいます。土がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。5〜9月の生育期間は、2カ月に1度を目安に緩効性肥料を株の周りにばらまき、土になじませます。ただし、真夏は肥料を与えるとかえって弱ることがあるので、肥料を切らしておきましょう。

注意する病害虫

ハダニ
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ムラサキゴテンには、発生しやすい病気や害虫があり、注意が必要です。ここでは、病害虫の特徴や被害の例、対策などについてご紹介します。

【病気】

発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病です。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。チッ素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

発生しやすい害虫は、カイガラムシ、ハダニです。

カイガラムシの体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと株を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

ムラサキゴテンの詳しい育て方

苗の選び方

蒸れや病気による傷みがなく、節間が短くがっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
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植え付けの適期は、4〜9月です。花苗店などではほかの時期でも苗が出回っていることがあります。入手したら、植えたい場所へ早めに定植してください。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に苗よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、40〜50cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

関東以南の凍結の心配がほとんどない暖地では、環境に合ってよく育っていれば植え替えの必要はありません。2℃以下になる地域では、鉢に植え替えて、霜の降りない軒下に置くか、日当たりのよい温室や室内の窓辺などで管理するとよいでしょう。

【鉢植え】

まず、6〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くくずし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は、5〜9月です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

日常のお手入れ

ガーデニング
Renars Otto/Shutterstock.com

【摘心】

生育期に入って新芽が動き始めた頃に、新芽の先端を摘み取る「摘心」を繰り返し行うと、わき芽が増えて、こんもりと茂った株を作ることができます。ただし、スマートな株姿を好む方には、この作業は不要です。

【つぼみの除去】

花をつけると株姿が徒長気味になって乱れてくるので、カラーリーフプランツとして株姿を楽しみたい場合は、つぼみを見つけたら早めに摘み取ります。かわいらしいピンクの花を楽しみたい場合は、この作業は不要です。

【切り戻し】

生育期に茎葉が伸びすぎて株姿が乱れているようであれば、草丈の半分くらいを目安に切り戻しましょう。すると再び新芽を出して生育し始め、整った姿を保てます。

冬越し

マルチング
Anton Starikov/Shutterstock.com

【地植え】

凍結することがほとんどない暖地では、霜よけにバークチップなどを株元にマルチングしておくとよいでしょう。最低気温が2℃以下になる地域では、株を掘り上げて鉢に植え替え、日当たりのよい温室や室内の窓辺に置いて冬越しさせます。春に屋外に出す際は、すぐに直射日光下にさらすと葉焼けすることがあるので、半日陰から少しずつ慣らしていくとよいでしょう。

【鉢植え】

凍結することがほとんどない暖地では、戸外の霜が降りない軒下などで越冬させます。最低気温が2℃以下になる地域では、日当たりのよい温室や室内の窓辺などに移動しましょう。春に屋外に出す際は、すぐに直射日光下にさらすと葉焼けすることがあるので、半日陰から少しずつ慣らしていくとよいでしょう。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

株分けと挿し芽で増やすことができます。ここでは、それぞれの方法について解説していきます。

【株分け】

株分けの適期は4〜9月です。大きく育った株を掘り上げて、地際から出ている芽を4〜5本ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

【挿し芽】

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ムラサキゴテンは挿し芽で増やせます。

挿し芽の適期は、4〜8月です。新しく伸びた茎に葉を3〜4枚つけ、切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほど付けて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい草花用の培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は乾燥気味に管理し、成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

ムラサキゴテンで庭に彩りを添えよう

ムラサキゴテン
Anisa Febriyani/Shutterstock.com

強健な性質で、多湿にさえ注意すれば旺盛に育つムラサキゴテン。常緑性のため、冬でもみずみずしい濃い紫色の美しいカラーリーフを楽しめます。ぜひ庭やベランダに迎え入れて、育ててみてください。

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