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バラって食べられる? 自分で育てて味わう「食用バラ」4つの楽しみ方|ビネガー・ハニー・紅茶・フレーバーウォーター

バラって食べられる? 自分で育てて味わう「食用バラ」4つの楽しみ方|ビネガー・ハニー・紅茶・フレーバーウォーター

Anna_Pustynnikova/Shutterstock.com

朝の庭でふわりと香る、咲いたばかりの一輪のバラ。観賞するイメージの強いバラですが、自分で育てれば「食卓で味わう贅沢」も楽しめます。今回は、有機無農薬によるバラ栽培を実践する持田和樹さんが、食用バラを味わうための重要ポイントと、摘みたての花びらをフル活用する4つの簡単おすすめレシピ(ローズビネガー・ローズハニー・ローズティー・フレーバーウォーター)をご紹介。1株から始める、豊かなガーデニングライフのススメを伝授します。

バラを“味わう”暮らし

バラ
Brzostowska/Shutterstock.com

秋の朝、ローズガーデンを歩いていると、春とは少し違ったバラの表情に出会います。春のバラが一斉に咲き誇る華やかさを持っているとすれば、秋のバラはどこか静か。厳しい夏の暑さを越え、少しずつ気温が下がっていく中で、一輪、また一輪とゆっくり花を開いていきます。

朝の庭に立ち、咲いたばかりの花に顔を近づけると、ふわりと甘い香りが広がります。

「この香りを、食卓まで連れていけたら」。そう思ったことはありませんか?

食用のバラ

バラは、眺めて楽しむだけの植物ではありません。食用に栽培された花であれば、摘みたての花びらを料理や飲み物に入れ、その香りや色を味わうことができます。そして、食用バラを購入して楽しむだけではなく、自分で1株のバラを育てれば、「育てる」と「食べる」の間にある時間まで含めて楽しめることも、食用バラの大きな魅力です。

今回は、私が普段楽しんでいる中から、

  • ローズビネガー
  • ローズハニー
  • ローズティー
  • ローズ&ハーブのフレーバーウォーター

という、家庭でも手軽に取り入れやすい4つの楽しみ方をご紹介します。

庭に咲いた一輪のバラが、どこまで暮らしを豊かにしてくれるのか。一緒に楽しんでみましょう。

「庭のバラを食べてみたい」と思ったら、最初に押さえたいポイント

切り花のバラ
WorldStockStudio/Shutterstock.com

バラを味わうにあたり、とても大切なことは、どんなバラでもそのまま食べてよいわけではないということ。特に、花屋に並ぶ切り花や、観賞用として流通・栽培されたバラは、食用を前提とした農薬管理がされているとは限らないため、食用には不適です。庭に咲くバラも、「咲いているから食べてみよう」と安易に口にするのは避けましょう。以前農薬を使用していたバラなどは、「農薬をやめて○カ月経過すれば食べられる」と期間だけで一律に判断することはできません。使用した農薬によって、対象となる作物や使用方法、使用時期などが異なるためです。

  • 過去に使用した薬剤が分かっている場合には、その内容を確認すること
  • 栽培履歴が分からないバラは、安易に食用へ転用しないこと

が大切です。

これから食用バラに挑戦するのであれば、ぜひ最初から「食べること」を前提に、1株育て始めてみてください。食用として利用できることが確かな苗を選び、自分自身で栽培履歴を管理する。そうすれば、その花がどのように育ってきたのかをすべて知ることができます。

農薬や殺虫剤に頼らないバラ栽培

ローズメドウガーデン

私が食用バラを育てるうえで大切にしていることの1つが、農薬や殺虫剤に頼らない庭づくりです。農薬を使わなければ、もちろん虫がやってくることもありますし、葉を食べられたり、花が少し傷ついたりすることもあります。

しかし、虫がいることは「失敗」ではありません。

食べられるバラを育てることは、バラだけではなく1つの小さな生態系を育てること。草が生え、虫が訪れ、鳥がやってくる。土の中にも、たくさんの小さな命が棲んでいます。バラだけを自然から切り離して育てるのではなく、さまざまな命の中にバラがあり、その中に私たち人間もいる。

私が目指すのは、そんなローズガーデンです。

色まで楽しむ「ローズビネガー」

ローズビネガー

食用バラを育てたら、ぜひ一度作っていただきたいのがローズビネガーです。

私が普段作っている方法は、とてもシンプル。

材料は、次の3つです。

・リンゴ酢
・氷砂糖
・食用バラ

私は、リンゴ酢と氷砂糖を1:1程度の割合にして、そこへ摘み取ったバラの花びらを適量加えています。

作り方は、まず、食用として適切に育てたバラの中から、香りのよい花を摘み取ります。傷んだ花びらや汚れを取り除き、必要に応じてやさしく洗います。水分が残っているとカビの原因となるため、洗った場合は、キッチンペーパーなどを使って水気をしっかり取り除いておきましょう。

清潔な保存瓶を用意し、保存瓶にリンゴ酢と氷砂糖を加え、準備した花びらを漬け込みます。きれいなローズ色になったら完成です。

時間が経つにつれて、花びらの色が少しずつ液体へ移り、透明感のあるリンゴ酢が美しいローズカラーへと変わっていく。この変化を眺めるのも、ローズビネガー作りの楽しみです。

ローズビネガー
LarsNB/Shutterstock.com

私が特に気に入っているのは、完成したローズビネガーを炭酸水で割ること。淡いローズカラーの飲み物をワイングラスに注げば、まるでノンアルコールの「ローズシャンパン」。シュワシュワと立ち上る泡とともに、リンゴ酢の爽やかさとバラの香りが広がります。庭仕事を終えた午後や、誰かを庭へ招いたときにもおすすめです。

「このバラは、庭に咲いていたんですよ」――そんな会話まで含めて、一杯の飲み物になる。これは、市販の飲み物とはまた違った楽しさです。

もちろん、ローズビネガーはドリンクだけでなく、オイルや塩などと合わせてドレッシングなどに活用しても。庭で育てた野菜に、庭で育てたバラのビネガーを合わせる、そんな楽しみ方もできます。

ハチミツ選びから楽しむ「ローズハニー」

ローズハニー

2つ目のレシピは、バラの香りをハチミツに閉じ込めて楽しむ「ローズハニー」です。

作り方そのものはとてもシンプル。

ローズビネガーと同様の手順で、香りのよいバラを摘んで花びらを準備しておきます。

次に、清潔で乾いた保存瓶にバラの花びらをふんわりと入れ、その上からハチミツをゆっくりと注ぎます。花びらの量に厳密な決まりはありません。最初は少量から試して、花びら全体がハチミツにしっかり浸かる程度を目安にすると作りやすいでしょう。

ハチミツを注ぐと花びらが浮いてくることがあります。その場合は、清潔なスプーンなどでやさしくなじませ、花びら全体にハチミツが行き渡るようにします。

あとは冷蔵庫で保存しながら、バラの香りがハチミツへ移っていくのを楽しみます。

時間が経つにつれて、ハチミツの甘い香りの中に、バラの華やかな香りが少しずつ重なっていき、瓶を開けたときにふわりと広がります。

ローズ×ハニーのマリアージュ

ハチミツ
Liami/Shutterstock.com

ここからがローズハニーの面白いところ。「どんなハチミツと、どんなバラを組み合わせるか?」。じつは、使うハチミツによってローズハニーの印象は大きく変わるのです。

バラそのものの香りを主役に楽しむなら、アカシアハチミツがおすすめ。比較的クセが少なくすっきりとした味わいなので、バラが持つ繊細な香りを生かしやすく、初めてローズハニーを作る方や、「まずは自分で育てたバラの香りを味わってみたい」という方にも合わせやすいハチミツです。

王道のアカシアハチミツに加え、私が個人的に気に入っているのは、花の個性を持ったハチミツとバラを組み合わせることです。

例えば、リンゴの花を蜜源としたハチミツや、オレンジなど柑橘の花を蜜源としたハチミツなど。個性のあるハチミツそのものが持つ香りに、バラの華やかな香りが重なることで、一種類のハチミツだけでは生まれない豊かな味わいになります。まるで香りと香りを組み合わせて、自分だけの一瓶を作るようです。

こうしたハチミツは一般的なスーパーでは見つけにくいかもしれませんが、養蜂家さんやハチミツ専門店、地域のマルシェなどを訪れると出会えることがあります。旅先で見つけたハチミツと、自分の庭で育てたバラを組み合わせてみる、なんて楽しみ方も素敵です。

完成したローズハニーは、トーストやヨーグルトに添えるだけでも十分楽しめます。ほかに、紅茶にひとさじ加えバラの香りを重ねてみたり、アイスクリームやデザートに少量添えたり、チーズなどと合わせても。1瓶あるだけで、いつもの食卓にさまざまな楽しみ方が生まれます。

自分で育てた1輪のバラが、今度は食卓のひとさじになる。花が咲いたら終わりではなく、香りを感じ、摘み取り、ハチミツに漬け、またその香りを味わう。庭で育てる喜びが、食卓で味わう喜びへとつながっていきます。

※生の花びらを使った自家製ローズハニーは、一般的なハチミツと同じような長期保存食品とは考えず、清潔な器具と容器を使って少量ずつ作り、冷蔵保存して早めに使い切ります。異臭や発泡、カビなどの異常が見られた場合は食べないでください。
※1歳未満の乳児にはハチミツを与えないでください。

いつもの紅茶に庭の香りを「ローズティー」

ローズティー

3つ目は、もっと気軽に楽しめるローズティー。食用バラは、フレッシュな花びらでも、乾燥させたドライローズでも楽しめます。摘みたての花びらには、その季節、その瞬間だからこそのみずみずしい香りがある一方、ドライローズは保存しやすく、バラが咲いていない季節にも庭の香りを楽しむことができます。

ローズティーというと、「バラだけでお茶を淹れるの?」と思われるかもしれません。もちろんその楽しみ方もありますが、今回おすすめしたいのは、もっと日常的に取り入れやすい、いつも飲んでいる紅茶にバラを少し合わせる方法。お気に入りの紅茶に、食用バラの花びらを少量加えて、あとはいつものようにお湯を注ぐだけ。湯気とともに紅茶の香りが立ち上がり、その中にバラの甘い香りがふわりと重なっていきます。

一口に「バラ」といっても、その香りは一輪一輪違います。甘く華やかなもの、爽やかなもの、少しスパイシーに感じられるもの……だからこそ、「このバラには、どんな紅茶が合うだろう?」と考えることも面白いのです。

花びらの量も、少量入れてみて、香りが足りなければ次は少し増やしてみるなど、決められた正解を探すのではなく、自分の好きな組み合わせを見つけていきましょう。自分で育てたバラだからこそできる、小さな実験です。

ローズティーは、お湯を注ぎ、香りが立ち上がるまで少し待ち、カップに浮かぶ花びらを眺める。そして、ゆっくり一口飲む時間までがごちそう。忙しい毎日の中では、ほんの数分かもしれませんが、その数分が季節を感じ、自分の感覚に戻してくれます。

お湯を注がないからこそ出会える「ローズ&ハーブウォーター」

ローズ&ハーブウォーター

そして今回、ぜひご紹介したいのが、私が普段楽しんでいるローズ&ハーブのフレーバーウォーターです。

一般には「デトックスウォーター」と呼ばれることもありますが、ここでは健康効果を目的としたものではなく、植物の香りや風味を水に移して楽しむフレーバーウォーターとしてご紹介します。

作り方は、今回の4つの中でも一番簡単かもしれません。

材料は、食用に育てたバラ、ミントなどの食用ハーブ、水の3つのみ。作り方も、清潔なガラス容器に冷たい水を入れ、バラの花びらやミント、その日に庭で摘める食用のハーブなどを浮かべるだけと、簡単です。

この飲み方の魅力は、なんといってもお湯を使わないこと。

ハーブというと、温かいお湯でハーブティーにするイメージが強いですが、同じ植物を冷たい水に入れると、また違った表情に。熱湯で淹れる場合とは抽出される成分や速度が異なるため、苦味や渋味などが穏やかに感じられ、植物の繊細な香りを楽しみやすいことがあります。

例えばミント。冷たい水の中では、すっと爽やかな香りが広がります。そこへバラを加えると、今度はバラの甘く華やかな香りが重なります。さらに、その日に庭で摘んだ食用ハーブを少し。一つの香りが強く主張するというより、いくつもの植物の香りが水の中で静かに重なっていくのです。

ハーブウォーター
Anna Kondratiuk-Swiacka/Shutterstock.com

Anna Kondratiuk-Swiacka/Shutterstock.com

実際にフレーバーウォーターを飲んでいただくと、その味わいに、「普通の水なのに、こんなにおいしいんですね」と驚かれることがあります。

特別な調理器具もいらず、庭から摘んできた植物を、水に浮かべるだけ。それだけなのに、不思議と砂糖を加えていなくても、自然の甘味を感じることもあり、いつもの水が、香りを味わう1杯へと変わります。

もう1つ好きなところが、決まったレシピがなくてもいいこと。

今日はバラとミント。明日は、そこに別の食用ハーブを少し。季節が変われば、庭にある植物も変わっていきます。「今日は何を浮かべよう?」という気持ちで庭を歩き、その日咲いている花やハーブを少しだけ摘み取って、1杯の水を作る。庭が、その日のレシピを教えてくれるのです。

また、透明なガラス容器を使えば、バラの赤やピンク、ハーブの緑、小さな花々が水の中に浮かぶ、涼やかな見た目も楽しめます。庭仕事を終えたあと、庭の恵みを浮かべた冷たい水を1杯。それだけでも、とても豊かな時間になります。

※使用する植物は、必ず食用であることが確かなものを選び、よく洗って清潔な器具を使用してください。
※水に生の植物を入れたものは保存飲料ではありません。冷蔵して、できるだけ早く飲み切るようにしましょう。

「食べるための栽培」という楽しみ

食用バラ
Tarkhova Svetlana/Shutterstock.com

ここまで4つの楽しみ方をご紹介してきましたが、一番お伝えしたいのは、ぜひ「食べるためのバラを育てる」ところから楽しんでほしいということ。

小さな芽が伸び、つぼみが少しずつ膨らんで、ある朝開いた一輪の花。それを自分の手で摘んでローズビネガーにする。別の一輪はハチミツへ。また別の日には紅茶に花びらを浮かべ、暑い日には庭のミントと一緒に冷たい水へ。ガーデニングは「花を咲かせる」だけではなく、「育てる」「眺める」「香る」「摘み取る」「作る」「味わう」と、すべてが暮らしにつながっていきます。

自分が口にする植物を育て始めると、不思議と庭全体にも目が向き、季節や自然を感じられるようになります。それこそが、私が食用バラを育てる中で感じてきた大きな魅力なのかもしれません。

食べるものを「買う」普段の暮らしは、とても便利で豊かなこと。ですが、ほんの一部でも自分の手で育て、成長の過程を見守り、自分の手で摘んだ一輪には、バラが花開くまでに重ねてきた時間を知っているからこそ、香りや味だけではない豊かさがあります。

最初は、たった1株から。ぜひ暮らしにつながるバラ栽培に挑戦してみてください。

持田さん

【この庭から生まれたものを、あなたの暮らしへ】

私が植物と向き合う中で見つけてきたことを綴った書籍、農薬に頼らず大切に育てたバラから生まれたローズウォーターなど、日々向き合っている「庭」から生まれた品々を、オンラインショップでご紹介しています。

日々の活動情報はインスタグラムにて発信中です。

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