Vol.1では駐車スペースとサイクルポートの基本や考え方をご紹介しました。今回のVol.2では、いろいろなレイアウトや注意点、ユニークなデザインもご紹介します。Vol.1をご覧になってから読んでいただくと、内容が分かりやすいと思います。参考にしてくださいね。

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『ファサードをステキに見せる駐車場とサイクルポートのデザイン Vol.1』はこちら

退屈しない駐車スペースのデザイン

コンクリートの床のみでは、無機質で殺風景になり、寂しくなってしまう駐車スペース。意外とよく見かけますが、こうならないようにするには、どうしたらよいのかを解説します。

「どこに植栽を配置するのか?」を考えてみよう!

直角駐車では緑色の範囲が植栽できる
直角駐車では緑色の範囲が植栽できる。

駐車スペースは、車が前面道路に面している場合がほとんどですが、車が出庫してしまうと無機質なコンクリートの床のみになってしまいます。風景が寂しく殺風景になってしまうばかりでなく、車がないときは、玄関や窓越しの部屋が丸見えになっている住宅もあります。これでは住む人も歩行者の視線が気になって、ストレスがたまりますよね。

それをカバーするのが植栽の役割です。植栽は歩行者の視線をカットしたり、無機質な駐車スペースにうるおいを持たせてくれます。

上の図のように、直角駐車では車のドアを開けるスペースを考慮すれば、低木やグラウンドカバープランツなどの低い植物を配置することができます。

高木は車が出庫する時の道路状況が、見えにくくなる場合があるので、道路際に植えるのはオススメできません。外車の場合は左ハンドルのものもあり、ドアを開ける位置が変わるので、植栽の配置に注意が必要です。

床面のデザインを考える

それでは、車が出庫してもステキに見える駐車スペースのデザインを考えてみましょう。

植栽を選ぶ

セダム類 写真提供:オーセブン株式会社
セダム類。 写真提供:オーセブン株式会社

最近の分譲住宅や個人邸の駐車スペースは、コンクリートの床に、草や砂利の溝をつくったものを見かけるようになりました。これは見栄えがよくなるばかりでなく、雨水がこの溝に流れ、土に浸透することで、ヒートアイランド現象を防ぐことができます。

この溝に芝生を張っている現場を見かけますが、手入れをしないと、こんもりと盛り上がって見栄えも悪く、歩行にも支障をきたします。

そこで、セダム類の植物に植えてみては、いかがでしょうか? セダムは多肉植物の仲間で、葉にたっぷり水分を保持することができるため、ほとんど雨水で対応できるので、水やりの心配がなく手間がかかりません。プチプチとした丸い葉がとても可愛らしい植物なので愛着もわいてきます。タイヤの軌跡に当たらない車の下に植えることがポイントです。

アプローチと共有する

北側道路の玄関アプローチ 駐車スペースと門扉前のアプローチを共有する  デザイン:安田計画設計室 安田浩司氏
北側道路の玄関アプローチ。駐車スペースと門扉前のアプローチを共有する。
デザイン:安田計画設計室 安田浩司氏

狭小敷地では、門まわりから玄関に向かうアプローチを、駐車スペースと共有することが多くなります。オシャレなレイアウトで枕木やタイルを張ってみましょう。最近は、タイルやレンガ風にペイントして仕上げる事例も見かけます。DIYが好きな方にはアーティスティックに塗って楽しんでみてはいかがでしょうか? DIYなら安価に済むのも魅力です。

枕木やタイルの張り方もひと工夫

門扉前から全面道路にいくにつれてタイルの枚数を少なくする デザイン:株式会社草樹舎 須長一繁氏
門扉前から全面道路にいくにつれてタイルの枚数を少なくする。
デザイン:株式会社草樹舎 須長一繁氏

車止めに枕木を使ったり、タイルを帯状に張って、入庫する時のガイドにすると見栄えがよく便利です。道路ぎわに濃いタイルを並べて張れば、道路と床の段差が分かりやすくなり、目の障がいのある人にも歩きやすくなります。

また、レンガやタイルを床全体に張ることは豪華で高級感がありますが、それなりにコストもかかります。でも大丈夫! 部分的に貼ってオシャレに見せる方法があります。門まわりから、前面道路に向かうにつれて、タイルの枚数を少なくして張っていくと、予想以上に素敵なファサードになります。予算が多く取れないときにオススメです。

このように、植栽の種類や配置、タイルやレンガなどの貼り方の工夫しだいで、退屈しないオシャレな駐車スペースを演出できます。

いろいろなサイクルポートの配置や工夫

自転車の駐車スペースをサイクルポートと呼びます。ここでは、サイクルポートを「どこに配置するか」で変わる効果を解説します。

便利な玄関脇に

雨に濡れないサイクルポート
雨に濡れないサイクルポート。 写真提供:株式会社タカショー

サイクルポートは玄関の脇に配置すると雨の日に便利です。自転車を止めた後、玄関庇の下に移動すれば雨に濡れずにカッパを脱ぐことができます。余裕があれば、サイクルポートに屋根を設置すれば、確実に雨に濡れないで玄関に入れます。サイクルポートの足元にもグラウンドカバープランツで彩ると見栄えがよくなります。

門まわりに配置する

門袖の後ろにサイクルポートを設置してスマートに
門袖の後ろにサイクルポートを設置してスマートに。
自転車スタンド設置で整列駐輪ができる
自転車スタンド設置で整列駐輪ができる。

門まわりでは、門柱脇の塀や門袖の後ろにサイクルポートを配置すると、道路側からは自転車が隠れて玄関周りの風景がキレイに見えます。前入れ後ろ出しのポストが付いている門柱や門袖は、新聞や郵便物を出すときの邪魔にならないように、自転車を置く必要があります。いつでも定位置に自転車を止められるよう、スタンドの設置をオススメします。

アプローチ脇に配置するには

アプローチとサイクルポートはトレリスで区分
アプローチとサイクルポートはトレリスで区分。

門まわりから玄関につながる通路にサイクルポートを配置する場合は、通路とサイクルポートの間に、トレリスやオシャレなフェンスを設置して区分すると便利です。こうすれば、自転車を通路にはみ出さずに止められるので、歩行の邪魔になりません。

アプローチ階段脇にスロープを

アプローチ階段脇にスロープを

階段や大きな段差がある玄関通路では、自転車の移動は大変ですね。特に電動アシスト自転車(重量:20~30kg)はバッテリーなどがついているため、けっこう重くなります。ママチャリ(20kg前後)などに比べ1.5倍程度の重さがあります。スロープを設置しましょう。簡単な方法は、階段に板を乗せるだけでも便利に使えます。

このように、自転車の出し入れの際は、整列に自転車を止めて置かないと、その周辺を歩行する人の妨げになります。乱雑に置かない工夫をすることが最も重要になります。

駐車スペースの「こんなことに気をつけて!」

駐車スペースは前面道路に接していることや、高低差の具合によって、車の入出庫がしにくくなることがあります。そんなことにならないための注意事項をあげておきます。

前面道路の状況をチェックする

道路の障害物に気をつける
道路の障害物に気をつける。

直角駐車の場合に、前面道路幅が、きちんと取れていても電信柱などの障害物があると入出庫の邪魔になります。前面道路の状況を調べてから駐車スペースの配置を決めましょう。

道路勾配がきついと・・・

道路勾配がきついと・・・

前面道路と駐車スペースの高低差がありすぎると車の底が当たり、故障の原因になります。特にスポーツタイプの車は車の底が著しく低いので注意が必要です。

車庫入れ方向に気をつける

一方通行のバックの入庫はできません
一方通行のバックの入庫はできません。

前面道路に対して、鋭角な斜め駐車の配置では、バックで入庫しようとしても入れることができません。前進入庫ができても、バックで出庫することになります。この場合は、ドライバーの後方不注意で接触事故になる危険性が高いのでやめましょう。

資料提供:安田計画設計室 安田浩司氏

ユニークなサイクルポートのデザインを考えよう!

いろいろなデザインを解説しましたが、最後にサイクルポートのちょっと変わったデザインをご紹介します。

植栽を目隠しにしてサイドヤードを活用する

東側に玄関があるプラン
東側に玄関があるプラン。駐車スペースとサイクルポートの区分が離れて設置されているので使いやすい。
デザイン:安田計画設計室 安田浩司氏

一般に生活の中で、南側の庭と北側のサービスヤード(家事をするスペース)や、東側の玄関と西側のサービスヤードをつなぐ住宅の側面の通路(サイドヤード)は、ほとんど使われていない部分です。そこで、普段あまり使われないサイドヤードを活用して自転車置き場にします。サイドヤードは縦列に並べれば、意外に余裕をもって自転車を置くことができます。道路側から見えそうな場合は、植栽で目隠ししましょう。

壁掛け自転車のデザインウォール

板壁にロードバイクを飾る
板壁にロードバイクを飾る。SHINPANU,BallBall14/Shutterstock.com

最近は、ロードバイクでサイクリングに出かける方も多いのではないでしょうか? ロードバイクはそれ自体がオシャレなデザインでスマートですよね。そこでオススメなのが、玄関の脇などにロードバイク専用壁掛けのデザインウォールをつくってみること。

板壁をつくり、ロードバイクを掛けます。ステンレスビスを打てば、100円ショップのフック2個使って掛けられますが、専用の壁掛けフックが通販などで手に入ります。ロードバイク(重量:10kg以下)はママチャリやシティサイクル(重量:20kg程度)に比べ、半分以下の軽量なので簡単に壁掛けすることができるのです。もっと軽量な6~8kgのロードバイクもあります。

ロードバイク愛好家にとってはお手入れ後に、ロードバイクを壁掛けしてニンマリして眺め、満足感にひたることもできます。

まとめ

駐車スペースは、コンクリートの土間のままでは車が出庫してしまった後は殺風景でさみしいものです。床の部分にタイルや枕木などでステキなデザインを施したり、植栽の緑を程よく配置して、魅力的に見えるように工夫してみましょう。

サイクルポートは配置の仕方しだいでステキに見え、自転車の使い勝手もよくなります。

夫婦に1台ずつの車、家族に1台ずつの自転車の時代です。車や自転車は生活の必需品ですから、駐車スペースやサイクルポートの配置は、家族でよく検討し、快適な生活を過ごしましょう。

Credit

文:松下高弘

文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、好評につき絶賛発売中!!

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