おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
荻原範雄 -「おぎはら植物園」店長-
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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おすすめ植物(その他)
カラーリーフの宿根草「基本14種」寄せ植えや花壇に彩りを!
花壇や寄せ植えで四季を楽しむカラーリーフ 宿根草(しゅっこんそう)は庭や鉢に植えっぱなしで越年して、何年も楽しめる植物です。ただし、一年草に比べると花の時期が短いものもあるのですが、葉色がきれいな宿根草であれば、花期以外でも周囲に彩りを添えることができ、観賞期間が長いのも魅力です。カラーリーフとは、花だけでなく葉も楽しめて、しかも長生きする葉も楽しめる種類。園芸植物の中でもお得感があります。 葉の彩りが周年楽しめる! 宿根草のカラーリーフ 宿根草のカラーリーフは、春のあざやかな芽吹き、夏のさわやかな葉色、秋の紅葉と折々の変化が楽しめて、四季がはっきりとした日本の気候にはぴったりの植物です。 パンジーなどの一年草や花メインの宿根草と寄せ植えて組み合わせ、アクセントにしたり、葉の色が違うもの同士で組み合わせれば、シックでおしゃれな雰囲気が出せます。もちろん、葉色の美しいカラーリーフは、地植えの花壇や低木類の株元など、アイデア次第で屋外の庭づくりの楽しみが広がります。 カラーリーフ1 ヒューケラ(ツボサンゴ) 日本でもツボサンゴの名で知られるヒューケラは世界的にも人気が高く、品種が多いため色のバリエーションがとっても豊富。赤、オレンジ、黄色、ブロンズなど、ヒューケラだけで組み合わせることもできます。季節ごとに色が変化するもの、花がきれいなものなど魅力的な品種が多く揃っています。 ヒューケラ(ツボサンゴ)の生育の様子・育て方ポイント 耐寒性や耐暑性に優れた性質で育てやすく、冬も常緑で葉が残ります。春から初夏は花も楽しめますから、常にきれいに飾っておきたい場所には最適です。庭植え、鉢植え、どちらでも育てることができます。秋から春は十分に日に当てて育てますが、夏に日光が強すぎると葉が焼けてしまうことがあるので、夏の午後には日が陰る場所がよいでしょう。ある程度、水分を好む宿根草なので、極度に乾燥する場所は避けます。でも、多湿な場所は苦手なので、水を多く与えすぎないこと。根腐れの原因になります。水はけがよく、栄養の多い土で植え込むことがコツです。管理場所と用土を選べば、あとは難しいメンテナンスは不要です。 オススメのヒューケラ3種 ヒューケラ‘グリーンスパイス’ ヒューケラ‘ティラミス’ ヒューケラ‘スノーシュクレ’ カラーリーフ2 ホスタ(ギボウシ) 日本原産のホスタは、シーボルトがヨーロッパに広めたことをきっかけに、世界中で親しまれるようになったカラーリーフの定番です。とても丈夫な性質で、葉も花も楽しめて、観賞期間も長いため「パーフェクトプランツ」とも呼ばれています。品種のバリエーションが膨大にあり、大きな葉から小さな葉、斑入りやシルバーリーフ、グレイッシュな色など、品種ごとに変化があります。 ホスタの生育の様子・育て方のポイント もともと日本の植物ですから、気候も合っており、難しい管理は必要ありません。栄養のある土を使って植えるだけで、ほとんど手がかかりません。明るい半日陰か、日向で育てますが、夏場は強い日差しを避けてください。大きくなる種類は庭植えがオススメですが、小型~中型の種類は鉢植えでも楽しめます。適度な水分を好み、強い乾燥は避けて育てます。初夏から晩夏にかけて花を咲かせ、秋には紅葉し、冬になると落葉して地上部が無くなります。春になると再び葉が芽吹き、生育を開始します。 オススメのホスタ3種 ホスタ‘ハルション’ ホスタ‘長大銀(ちょうだいぎん)’ ホスタ‘ファイヤー&アイス’ カラーリーフ3 宿根ビオラ ビオラといえば、秋から早春に流通する一年草のビオラを想像しますが、他にもさまざまな種類があり、宿根性のタイプもあります。中でも葉がきれいな宿根性のビオラは、個性的で面白いです。宿根性のビオラは寒さに強いことはもちろん、管理次第では夏も越して何年も育てることができます。 宿根ビオラの生育の様子・育て方のポイント 主な花期は早春から初夏なので、一年草のビオラのように花期は長くありませんが、毎年の植え替えが必要がなく、常緑なので周年葉の色が楽しめます。暖かい地域では冬に葉が多く残り、観賞期間がより長くなります。 生育がゆっくりなので、寄せ植えや小さいスペースのグラウンドカバーに使ってみてはいかがでしょうか。花もとても可愛いです。夏の高温時に多湿になると弱りやすいので、水はけのよい用土で育てます。鉢植えの場合は、夏には風通しのよい半日陰に移しましょう。 オススメの宿根ビオラ2種 ビオラ‘ラブラドリカ’ ビオラ‘ハートスローブ’ カラーリーフ4 アジュガ 小さな葉が可愛らしいアジュガ。葉が密集して育ち、ユニークな姿をしています。性質も丈夫なのでグラウンドカバーにしたり、寄せ植えのアクセントにも使えます。寒さや暑さにも耐え、寒冷地でも栽培可能な丈夫な性質です。一年中常緑で春には花穂を立ち上げて小花を咲かせます。コンパクトなものや、よく広がるものがあり、葉色もブロンズ、黄色、斑入りなどのバリエーションがあります。 アジュガの生育の様子・育て方のポイント アジュガも品種によって性質はさまざまなので、用途に合わせて選びましょう。小型のものは鉢植え、寄せ植え、小さなスペースに。広がるタイプは雑草よけなどグラウンドカバーに用います。庭植え、グラウンドカバーの場合は、強すぎる日光、乾燥地を避けて、午後から半日陰になる場所に植えます。日陰に強く、他の植物が育ちにくい暗めの場所でも生育します。鉢植え、寄せ植えの場合は日向でも構いませんが、夏には半日陰に移しましょう。 オススメのアジュガ3種 アジュガ‘バーガンディグロー’ アジュガ‘チョコレートチップ’ アジュガ‘ゴールドライム’ カラーリーフ5 ユーフォルビア ユニークな姿をしたユーフォルビアは、その独特なフォルムが個性的で、おしゃれな庭の演出に役立ちます。乾燥に強いので、多肉植物と寄せ植えにしたり、鉢植えにもできます。大きくなる種類は庭に植えて楽しみましょう。春から初夏に咲く花も目を引きます。 ユーフォルビアの生育の様子・育て方のポイント 日向で乾燥気味の環境を好みます。庭植え、鉢植えともに水はけのよい用土で育ててください。逆に日陰や多湿を嫌います。主な花期は早春から初夏で、花後に短めに切っておくと、その後の姿がきれいで楽しめます。剪定などの際、白い樹液はかぶれることがあるので注意が必要です。木立タイプは冬も常緑で、葉の紅葉も楽しめます。 オススメのユーフォルビア3種 ユーフォルビア‘ウルフェニー’ ユーフォルビア‘タスマニアンタイガー’ ユーフォルビア‘カラキアス’ 庭や花壇、寄せ植え、ハンギングバスケット、コンテナなどのデザインに変化をもたらすカラーリーフプランツには、ご紹介の他にも多数のバリエーションがあります。イメージにあった植物を見つけて、ガーデニングライフをぜひ楽しんでください。
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宿根草・多年草
やってみよう! 初めてのガーデニング【入門編】育てやすい宿根草5選
宿根草は長生きをする植物 宿根草には、上級者向きの花で「難しそう」というイメージをもつ人もいるかもしれません。しかし、これまで20年以上、宿根草を育ててきた経験から、ガーデニング初心者の方にこそ、宿根草をオススメしています。 まず、宿根草とは越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」と考えればわかりやすいと思います。一度植えれば、何年も花を咲かせるものが多く、経済的で、長くつき合うほど愛着も湧きます。 次々と咲く花がら摘みに追われることもなく、多少水やりを忘れてしまっても、すぐに枯れることはない丈夫な種類もたくさんあります。宿根草は、春の芽吹きから始まり、開花、秋の紅葉や冬の落葉など、四季折々の表情を見せてくれるので、季節感を味わうことができるのも魅力です。お気に入りの宿根草が、花を咲かせて季節の変化を伝えてくれる。癒されながら生活する。ナチュラルなスタイルのガーデニングも、またよいものです。 手入れが少なく、忙しい方にもオススメ こまめな花がら摘みや、水やり、そして剪定などはあまり必要がなく、ローメンテナンスなものが多いので、忙しい方や休日ガーデナーにもオススメです。まずは気に入った宿根草を植えてみて、どのように成長するのか見守ってみてはいかがでしょうか。 宿根草の中には正しい知識で管理しないと栽培が難しいものもありますが、初心者の方でも簡単に育てることができるものもたくさんあります。まずは、季節ごとに入門編の宿根草を5つご紹介します。 季節ごとに花が咲く、育てやすい宿根草5選 <早春> クリスマスローズ 寒さや暑さに強く、最も多く流通しているオリエンタリス・ハイブリッドを早春に咲かせましょう。 【生育の様子・育て方のポイント】 庭植えの場合は、あまりジメジメしていない場所を選びましょう。日陰の植物と思われがちですが、西日を避ける程度で十分育ちます。鉢植えでの栽培も人気です。 早春に花が咲き、晩春に緑に変わっても観賞価値が続きます。花は切り花にしても長く楽しめます。花が終わったら花茎を元から切り取ります。夏から秋は、葉がよく茂って、庭に緑が絶えません。冬になると葉は紅葉します。傷んだ葉があったら、切り取ってもかまいません。植えた場所が合えば、年々花の数も増えて、株も立派に成長します。 <春>プリムラ (プリムラ ブルガリス) 明るいクリームイエローの花が一斉に咲き、ヨーロッパではプリムローズと呼ばれ、春を告げる花として親しまれています。花や葉を食用にするハーブ(エディブル・フラワー)としても知られています。 【生育の様子・育て方のポイント】 水はけがよい日向に植えます。夏は午後から日光を遮れる場所に植えると、葉も一年中きれいに楽しめます。生育が優れないときに軽く肥料を与える程度で、特に手入れは必要ありません。 <夏>エキナセア 暑さに強い夏の花で、明るい花色でキリッと立ち上がり、凛と咲く姿が印象的です。根を薬用にするハーブとしても知られています。花の色や形のバリエーションも豊富です。 【生育の様子・育て方のポイント】 寒さにも暑さにも耐え、丈夫なので植えっぱなしでよく育ちます。十分な日当たりと風通しがある環境を好み、湿気のある日陰を苦手とします。夏の花後は、花心が残って、秋にはドライフラワーのような風情があります。冬は葉がすべて落ちて、晩春頃から葉が芽吹き、再び生育を始めます。 <秋>小菊 菊には数多くの品種がありますが、初心者の方には、放任でもよく咲く小菊がオススメ。小菊は風情があって和風の趣もありますし、洋風の庭でも似合いますので、国内、海外を問わず人気があります。最近の新しいタイプは難しい剪定をしなくても花がたくさん咲く優秀なものが多いです。性質も丈夫なので、植えっぱなしが可能です。花は小さな花瓶に活けて、部屋に飾ってください。 【生育の様子・育て方のポイント】 土もあまり選ばず、日当たりのよい場所に植えれば、ほとんど放任でかまいません。より低く、たくさん咲かせたい場合は、夏頃に半分以下の高さに切り戻すとよいでしょう。花後は地上部が枯れて、冬を越します。 <冬>原種のシクラメン(シクラメン・コウム) 原種と聞くと、ちょっと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、このコウムは植えっぱなしで毎年花が咲き、手軽に育てることができます。とっても小さな花が可愛らしく、コインのような丸い葉にも観賞価値があります。 葉の模様がいろいろなので、鉢植えにして、多肉植物のようにコレクションするのも楽しいです。写真は、シルバーリーフのシクラメン・コウム。 【生育の様子・育て方のポイント】 鉢植え、庭植えともに水はけのよい用土を使用しましょう。一般的な園芸培養土に軽石を混ぜても。日向を好みますが、夏は午後から日光を遮れる場所を選びます。冬から早春に可憐な花を咲かせます。夏になると葉がなくなって休眠します。夏に葉がなくなったら、水分はほとんど必要ありません。秋になると小さな葉が再び芽吹いてくるので、表土が乾いたら水をあげましょう。