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独特の風味を持つミョウガの栽培! 初心者でも育てやすい香味野菜

独特の風味を持つミョウガの栽培! 初心者でも育てやすい香味野菜

studio presence/Shutterstock.com

薬味としてよく利用されるミョウガ。じつは家庭でも育てやすく、日当たりの悪い場所を利用して栽培するのにおすすめです。生育旺盛で放任してもよく育ち、たくさん収穫できるので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。この記事では、ミョウガの基本情報、育て方のポイントなどについてご紹介していきます。

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まずはミョウガの基本情報! 家庭栽培で人気がある理由は?

ミョウガの葉
yoshi0511/Shutterstock.com

ミョウガはショウガ科ショウガ属(ジンギベール属)の多年草です。原産地は日本を含む東アジア。10世紀にまとめられた『本草和名』にも登場するほど、古くから身近にあった植物です。日本の気候を好み、放任してもよく育ちます。

畑で栽培する野菜は短期間で枯死する一年草が多いなか、ミョウガは多年草のため数年は植えたままにしてよく、毎年収穫できるのが特徴。冬は地上部を枯らして地下茎の状態で休眠し、冬を越して春を迎えると再び新芽を出し始めます。

食用にする部分は花蕾(からい)で、その名の通り開花する前のつぼみです。開くと食感が劣ってしまうので、地上にわずかに顔を出した硬い状態で収穫します。独特の香りとやや苦味があり、香味野菜として重宝するので、庭の片隅で育てるのもおすすめです。

日当たりの悪い場所でも栽培できるミョウガ! 適切な栽培環境は?

ミョウガ栽培
zawafoto/Shutterstock.com

ミョウガは半日陰の環境を好むため、光が届きにくい庭の片隅や北側地などでも栽培することができます。水はけ・水もちがよく、やや粘土質の湿潤な土壌を好むのが特徴。生育適温は20〜25℃くらいです。乾燥すると株が弱るので、水切れには注意してください。栽培の際には表土を敷きワラで覆って、乾燥を防ぐのがポイントです。

地植えでもプランターでも栽培できる! 用意するものと土づくり

土づくり
Sleepyhobbit/Shutterstock.com

【菜園】

植え付ける場所に畝幅を約60cm取り、園芸用支柱や割りばしなどで畝幅の目印を四隅に立てておきます。畝の長さは、環境や作りたいミョウガの量に合わせて決めてかまいません。

植え付けの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。耕している際に、小石や木片などの異物が見つかったら取り除き、全体にふかふかとした土壌づくりを目指します。植え付けの1〜2週間前に、畝幅の中央に約20cmの深さの溝を掘り、1㎡当たり堆肥約2kg、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100gを溝全体に均一にまき、土を戻しておきます。さらに高さ10cmほどの畝を作り、地表を平らにならしておきましょう。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【プランター栽培】

ミョウガは数年にわたって栽培することになるので、丈夫な材質のプランターを用意しましょう。地下茎が成長するスペースを保てるように、大型で深めのサイズを準備してください。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから市販の野菜用にブレンドされた培養土を入れます。土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、水やりの際にすぐに水があふれ出さないように、ウォータースペースを取るとよいでしょう。

ミョウガは球根または苗を植え付ける! 苗の選び方と植え付け

ガーデニング
OlegDoroshin/Shutterstock.com

ミョウガの植え付けは2通りあります。根株(地下茎)または、地上部に茎葉が展開しているポット苗のどちらかを植え付けることからスタートしましょう。

根株の植え付け

根株の植え付け適期は3月下旬〜4月中旬です。根株を購入する際は、太くて充実したものを選びましょう。

【菜園】

1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅60〜70cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。

畝幅の中央に深さ約10cmの植え溝を掘り、根株を約30cm間隔で入れて土を戻し、平らにならします。最後に、たっぷりと水を与えておきましょう。芽が出たら、ワラを株の周囲に敷いて乾燥を防ぎます。

【プランター栽培】

培養土を入れておいたプランターに深さ5cmほどの植え溝を掘り、根株を2〜3株等間隔で入れ、埋め戻して平らにならします。最後に、たっぷりと水を与えましょう。芽が出たら、ワラを株の周囲に敷いて乾燥を防ぎます。

ポット苗の植え付け

ポット苗の植え付け適期は、5月頃です。節間が短く、がっしりと締まって勢いがある苗を選びましょう。

【菜園】

1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅60〜70cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。

畝幅の中央に約30cm間隔で植え穴を掘り、ポット苗を植え付けていきます。たっぷりと水を与え、ワラを株の周囲に敷いて乾燥を防ぎましょう。

【プランター栽培】

培養土を入れておいたプランターに深さ5cmほどの植え穴を掘り、等間隔を取って苗の根鉢をくずさず2〜3株植え付けます。最後にたっぷりと水を与え、ワラを株の周囲に敷いて乾燥を防ぎましょう。

ミョウガを上手に育てるための水やり

水やり
cam3957/Shutterstock.com

【菜園】

根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、ミョウガは乾燥するとつぼみがつかず、収穫量が落ちるので、乾燥する時期は水やりをして補います。

【プランター栽培】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ミョウガは乾燥を嫌うので、水切れしないようにすることが大切です。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。ミョウガは冬は地上部を枯らして休眠していますが、カラカラに乾かさないように、適宜水やりを続けてください。

ミョウガを充実させる追肥の与え方

肥料
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【菜園】

植え付けから2カ月後を目安に、緩効性化成肥料を1㎡当たり30g程度株の周囲にばらまき、軽く耕して株元に寄せておきます。

【プランター栽培】

ミョウガの葉が立ち上がってよく茂った頃に、緩効性化成肥料を株の周囲にまき、土によく馴染ませます。

ミョウガ栽培で気をつけたい病害虫

ナメクジ
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【病気】

ミョウガの栽培で発症しやすい病気は、根茎腐敗病です。

根茎腐敗病は、塊茎や根、幼い芽などが侵される病気です。ミョウガの場合は葉の下のほうから黄色くなってしおれてきます。病気が進むと葉の上部にまで症状が現れ、やがて枯死します。地際部がやわらかくなって腐り、倒れてしまうことも。根茎に感染すると褐色に変色し、病状が進むと根茎全体がやわらかくなって腐ってきます。地温が15〜20℃で感染しやすくなり、5月下旬以降に多く発生します。発病が見られたら、周囲に蔓延するのを防ぐために病株を抜き取り、土ごとビニール袋に入れて土壌とは離れた場所に運んで処分してください。発生を防ぐためには連作を避け、花苗店やホームセンターなどで販売されている無病の根株を入手することが大切です。

【害虫】

ミョウガの栽培で発生しやすい害虫は、アワノメイガ、ヨトウムシ、ナメクジなどです。

アワノメイガは、トウモロコシの大敵といわれますが、同様にミョウガにも発生しやすい害虫です。主に被害を与えるのは幼虫で、葉裏に産みつけられた卵から孵化した後、新葉を食害します。葉がかすり状になっていたら、被害が疑われるので入念にチェックして捕殺してください。ここで駆除できないと、茎内に侵入して食い荒らし、枯らしてしまいます。

ヨトウムシは、蛾の幼虫で、夜に活動して葉を食い荒らします。食欲旺盛で、一晩のうちに丸裸にされてしまうことも。葉の裏に卵が産み付けられるので、孵化直後の幼齢のうちに退治するのがポイントです。

ナメクジは花やつぼみ、新芽、新葉、果実などを食害します。体長は40〜50mmほどで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の底などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。ミョウガが好む半日陰で湿気の多い場所はナメクジも大好きな環境です。食害していなくても、収穫するつぼみに不快な粘液がついていたら、食べる気がしなくなりますよね。ナメクジが出没している疑いがある場合は、夜にパトロールして捕殺してください。不可能な場合は、ナメクジを誘引して駆除するタイプの薬剤を利用して防除してもよいでしょう。

株が込み合ってきたら間引こう

剪定
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【菜園】

植え付けから数年経って、株まわりが込み合ってきたら、込んでいる部分の株を間引いて風通しよく管理します。

【プランター栽培】

株が込み合ってきたら、葉が開ききった茎を地際で切り取り、風通しをよくします。

8月頃には収穫! 2年目以降は、もう少し早い時期から収穫可能

ミョウガ
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【菜園・プランター栽培ともに】

茎の根元から花のつぼみが出たのち、赤くなってきたら、若いうちに折り取って収穫します。花が咲いてしまうと、やわらかくなって食感が悪くなるので、取り遅れに注意しましょう。

植え付けた1年目は、8〜9月頃に収穫できるようになりますが、2年目以降は株が充実してくるので、もう少し早めの7月頃から収穫が可能になります。また、1年目は株がまだ充実していないために収穫ができないこともあるので、気長に見守って2年目以降に期待してください。

たくさん採れたときは? ミョウガの保存方法

ミョウガ
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【冷蔵する】

収穫したつぼみを水洗いし、水分をよく拭き取ります。ペーパータオルなどにミョウガを2〜3個ずつ包み、密閉できる保存袋に入れて冷蔵庫へ。1週間〜10日ほど保存できます。または、水を浅く張った容器に収穫したミョウガの切り口を下にして並べ、冷蔵庫で保存してもOKです。

【冷凍する】

収穫したつぼみを水洗いし、水分をよく拭き取ります。ミョウガを1個ずつラップでくるみ、密閉できる保存袋に入れて冷凍庫に。利用する時は、凍ったままでOK。そのまま包丁で難なく切ることができます。

ミョウガの冬越しと翌年への備え

ガーデニング
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ミョウガは多年草で、一度植え付ければ越年して何年も生き続ける、息の長い植物です。冬は地上部を枯らして根茎(球根)の状態で休眠して越冬し、翌春には再び芽を出して生育期に入ります。そこで、ミョウガの冬越しのためにひと手間かけてあげましょう。

【菜園・プランター栽培ともに】

晩秋になって茎葉が枯れてきたら、地上部を地際で刈り取ります。お礼肥として、菜園の場合は堆肥を1㎡当たり約2kgを目安にまきます。プランターの場合は、サイズに応じて適宜株の周囲にまいて土に馴染ませておきましょう。

3〜4年したら株分けと植え替えが必要

ガーデニング
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ミョウガの株分け・植え替えの適期は、新芽が動き出す少し前の2〜3月頃です。

【菜園】

ミョウガは、一度植え付ければ、春からの生育期と冬からの休眠期のライフサイクルを繰り返し、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、3〜4年も経つと株が大きく育って込み合い、風通しが悪くなってきます。同時に株の勢いも弱って老化してくるので、若返りを図るためにも株分けして増やすとよいでしょう。

株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直します。それらの株が再び大きく成長し、若返って株の勢いがよくなります。

【プランター栽培】

ミョウガは球根植物の一種で、そのまま何年もプランターに植えたままにすると、根詰まりして株が弱ってしまいます。そのため、プランターで栽培する場合は2年に1度を目安に掘り上げて、植え替えることが大切です。新芽が動き出す前の早春に、根株を掘り上げてみましょう。大きく育っている場合、古い部分や余分な根を取り除き、昨年伸びたばかりと見られる新しくて太い根を残し、半分くらいのサイズに整理して植え直します。

薬味以外の味わい方! さまざまな料理にミョウガを使ってみよう

ミョウガ
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そばやそうめんなどの薬味に利用されることが多いミョウガですが、味噌汁や吸い物、炒め物などに加えても香りのアクセントになってくれます。天ぷらにして塩をふってもよく、味噌をのせて焼くと酒の肴に好適。甘酢漬け、味噌漬け、ぬか漬け、佃煮にすると保存がきき、ごはんのお供になります。特に甘酢に漬けると赤く鮮やかに発色するので、見た目にも美しくおすすめです。

栽培方法を把握して家庭菜園にミョウガを取り入れてみよう!

ミョウガ
norikko/Shutterstock.com

昔から日本に自生してきた植物だけに、手をかけずともたくさんの収穫がのぞめるミョウガ。独特の香りは爽やかで、食欲がなくなる暑い時期など、そうめんやそばに添えると嬉しいですね。生命力旺盛で放任してもよく育つので、ビギナーにもおすすめ。日当たりの悪い庭の片隅などを有効利用して、ぜひミョウガを育ててみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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