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【プロが伝授】観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の育て方

【プロが伝授】観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の育て方

TY Lim/Shutterstock.com

ベゴニアには、葉が特に美しく観葉植物として育てられる種類があります。明るい日陰を好むので家庭でも育てやすいのが魅力です。品種が多く、葉の色や形のバリエーションは、特筆すべき多彩さがあります。この記事では、観葉ベゴニアの特徴とその種類や系統、品種、育て方や増やし方などを、園芸の専門家が解説します。

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観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の基本情報

観葉ベゴニア
Photo/小川恭弘

植物名:観葉ベゴニア
学名:Begonia
英名:rex begonia、king begonia
別名:根茎性ベゴニア、レックスベゴニア
科名:シュウカイドウ科
属名:シュウカイドウ(ベゴニア)属
原産地:世界の熱帯、亜熱帯
形態:常緑多年草

ベゴニアの仲間は、世界の熱帯から亜熱帯に約2,000種が分布しています。園芸植物として栽培される種類や品種が非常に多く、1,500以上もの園芸品種が知られています。

なかでも「観葉ベゴニア」というと、多肉質の根を持つ根茎性ベゴニアを指すことが多く、レックスベゴニアはベゴニア・レックスから作られた園芸種とされますが、根茎性ベゴニアの中に含まれる系統とされます。

他に茎が直立する木立性ベゴニアなどにも葉の美しい種類があります。現在はいろいろなベゴニアとの交配が進んで中間的な形質を持つ品種もあり、系統分けするのが難しくなっています。

家庭でも越冬は難しくなく、明るい日陰での栽培が適しているので、室内で育てるのに適した観葉植物と言えます。日本にもベゴニア協会があり、熱心な愛好者が観葉ベゴニアを栽培しています。入手できる品種も幅広くあるので、コレクションするのも楽しいでしょう。

観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の特徴・性質

観葉ベゴニア
Bill Roque/Shutterstock.com

園芸分類:観葉植物
開花時期:3~9月
草丈:10~100cm
耐寒性:弱い
耐暑性:やや弱い
花色:白、ピンク、黄色、オレンジ、複色

 葉には卵形、心臓状、掌状葉などさまざまな形があり、渦巻き葉などのユニークな品種もあります。葉の色や模様もバリエーションが豊富で、多色の斑入り葉や派手な網目模様、渋いブラックリーフや妖艶な赤紫の葉、ベルベットの質感のある葉などがあります。レックスベゴニアにはメタリックな光沢のある葉が多く、非常にユニークです。

根茎性ベゴニアは、根茎が地面を這うように伸びる種類が多いです。他にも根茎が斜め、または直立したり、地中で伸びるものなどがあります。あまり目立ちませんが花も開花し、素朴な美しさがあります。

熱帯の森林の下層に自生する植物なので、直射日光を嫌います。暑さも嫌うので夏は生育を停止しますが、枯れるほど弱ることは少ないです。冬は室内で冬越しさせます。

観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の仲間・品種

ベゴニア・マソニアナ Begonia masoniana

ベゴニア・マソニアナ Begonia masoniana
untungsubagyo/Shutterstock.com

中国南東部、 ベトナム原産の根茎性ベゴニアです。葉の十字模様からアイアンクロスベゴニアの名があります。開花期は主に夏頃で、葉は大きく根茎は横によく伸びます。比較的丈夫で育てやすく、根茎性ベゴニアの中では流通量が多いです。

ベゴニア・ブレビリモサ Begonia brevirimosa

ベゴニア・ブレビリモサ Begonia brevirimosa
nnattalli/Shutterstock.com

ニューギニア原産の木立性ベゴニアで、強い光沢のある葉にピンクの斑が入ります。ピンクの花は春と秋に咲き、環境の変化を嫌います。

ベゴニア・ボウエレ(ボウエラエ) Begonia bowerae

ベゴニア・ボウエレ(ボウエラエ) Begonia bowerae
Elena Odareeva/Shutterstock.com

メキシコ原産で、観葉ベゴニアの重要な交配親となった種類です。コンパクトにまとまる株姿のニグラマルガ(B. bowerae var. nigramarga )など、いくつかの変種があります。

レックスベゴニア  Begonia Rex Cultorum

レックスベゴニア  Begonia Rex Cultorum
popular business/Shutterstock.com

ブータンからミャンマー原産のベゴニア・レックス(Begonia rex)をもとに作られた園芸種がレックスベゴニアとされます。葉色やサイズはさまざまで、数千種ほどの品種があります。太い根茎は横に伸びる品種が多いです。

レックスベゴニア ‘エスカルゴ’ Begonia ‘Escargot’ 

レックスベゴニア ‘エスカルゴ’ Begonia  ‘Escargot’ 
Real_life_photo/Shutterstock.com

渦を巻くような葉の形と模様が非常にユニークな人気品種です。

レックスベゴニア ‘メリークリスマス’ Begonia ‘Merry Christmas’

レックスベゴニア  'メリー・クリスマス'  Begonia  'Merry Christmas'
LM.photo/Shutterstock.com

クリスマスを象徴するような色と模様が入った美しい葉が魅力的な品種です。あまり目立ちませんが、薄ピンク色の可愛い花も咲きます。

観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の栽培12カ月カレンダー

植え替え適期:5~6月
肥料:4~6月、9月中旬~10月
入手時期:5~12月
挿し芽時期:5~6月

観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の栽培環境

観葉ベゴニア
Bozhena Melnyk/Shutterstock.com

適した環境・置き場所

強い直射日光を嫌い、日向では葉焼けします。1年を通して明るい日陰の場所を好むので、室内で育てるのには最適です。

湿度70%ほどの湿度の高い環境を好みます。透明なガラス容器などの中で育てるとよく育ちます。またサーキュレーターと加湿器があると、適度に空気が循環して湿度不足にならず、植物も元気に育つ環境になります。

エアコンやヒーターなど、冷暖房器具の近くやその風の当たる場所は避けてください。異常な温度変化や湿度不足により株が弱ります。

5月から10月は屋外でも育てることができます。ただし用土の過湿は嫌うので、雨と直射日光の当たらない軒下のような場所が適します。

生育温度

人間にとっても快適な温度と同様の15~25℃が生育に適しています。30℃以上の暑さも嫌うので、室内では温度の上昇しやすい窓周辺から離すとよいでしょう。

冬越し

寒さには弱く、関東地方では屋外での越冬はできません。屋外で栽培していた株は、11月までに室内に移動したほうがよいでしょう。レックスベゴニアは0℃近くの温度に耐える品種もありますが、葉を綺麗に保つには最低温度を5℃以上保つようにしてください。

観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の育て方・日常の手入れ

観葉ベゴニア
Sara Robledinos/Shutterstock.com

水やり

鉢内の表土が乾いてから必ず水やりしてください。過湿を嫌い、常に用土が湿っていると根腐れします。

冬は乾かし気味に水やりします。最低温度が低い場合は、できるだけ乾かし気味に管理してください。また水やりする時は、暖かい日の午前中に行ってください。

肥料

春の4〜6月に、3要素(チッ素・リン酸・カリウム)が等量の化成肥料か、液体肥料を10日に1回、規定量与えます。夏は暑がるので、肥料は与えません。

9月中旬〜10月に、3要素が等量の液体肥料を10日に1回、規定よりやや薄めの濃度で与えてください。生育の停止する冬は肥料を与えません。

病害虫

葉に白い粉をまぶしたような症状が出たら、それは、うどんこ病です。ベゴニアに発生しやすい病気で、ひどくなると全体に広がって葉が落ちます。梅雨時期など、湿度の高い期間に風通しの悪い場所で蒸れてしまうと発生します。見つけ次第早めに薬剤などで防除してください。あらかじめ殺菌剤を月に1回程度散布して予防するのも一案です。また梅雨時など湿度の高い時期は、葉を濡らさないように水やりするとよいでしょう。

手入れ

枯れ葉などは、こまめに取り去るようにしてください。そのままにしていると、灰色カビ病が発生しやすくなります。

観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の植え付けと手入れ

観葉ベゴニア
Kanurism/Shutterstock.com

植え替え

木立性ベゴニアは1~2年に1回、根茎性ベゴニアは根茎が鉢の縁まで伸びたら植え替えます。適期は5~6月です。根茎性ベゴニアは根が深く伸びないので、鉢は浅鉢が適します。浅鉢を使わない場合は、鉢底石を多めに入れて排水よくしてください。

大株にしたい場合は、古い土を3分の1程度くずし、一回り大きな鉢に植え替えます。大きくしたくない場合は、古い土を半分程度落とし、株を分けます。根茎の芽の部分が、鉢の中央になるように植えてください。

用土

水はけと通気性がよく、適度に水持ちのよい用土が適します。赤玉土5,ピートモス3,パーライト2などの用土が適します。

増やし方

観葉ベゴニア
Kulbir G/Shutterstock.com

5~6月に、葉柄(葉と茎の間の棒状の部分)ざしや根茎ざし、挿し芽などで増やすことができます。

葉柄ざしは葉柄をつけて葉を切り、バーミキュライトなどの清潔な用土に挿します。大きい葉は、周囲を切って小さくすると挿しやすいです。

根茎ざしは2~3節ごとに切り分け、バーミキュライトなどに軽く埋めます。葉が付いている場合は1枚程度付けたほうがよいですが、葉の周囲を切って小さくしたほうが安定します。

木立ベゴニアは葉芽のある茎を2~3節切って挿し穂とします。水挿しでもよく発根します。

観葉ベゴニア(根茎性ベゴニア)の栽培ポイント

観葉ベゴニア
Victoria Sharratt/Shutterstock.com
  • 直射日光に当てない
  • 水やりは必ず用土の表面が乾いてから与える
  • 過湿を嫌うが、湿度を好む
  • 夏は肥料を与えず、涼しい場所に置くとよい
  • 屋外では強い日光と雨に注意

以上のポイントに注意すれば、観葉ベゴニアの栽培は難しくありません。葉の美しさやユニークさは、観葉植物の中でも随一の素晴らしさです。葉を挿すだけでも根が出るので、様子を見ているだけでも楽しいでしょう。大株に仕立てて、玄関先の素敵なウェルカムプランツにするのもおすすめです。

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