真夏の花盛りを涼しい部屋で楽しもう!華やかでおしゃれな観葉植物「木立性ベゴニア」

猛暑で庭の花も小休止するこの季節、涼しい室内で花を楽しみませんか。シャンデリアのような華やかな花が咲く木立性ベゴニアは、夏が花真っ盛り。花だけでなく、ルビー色の水玉模様の葉を持つものやメタリックな葉のものなど、観葉植物としての観賞価値も高く、まるで生きたアート。ベゴニアを生産・販売するナーセリー「花郷園」の野口貴子さんに、“花咲く観葉植物”として注目の木立性ベゴニアの魅力を伺いました。
真夏が花盛り!シャンデリアのような花が咲く「木立性ベゴニア」

外に出るだけでジワリと汗が出るこの夏。屋外でのガーデニングはもはや危険レベル。庭の花たちも休みがちなこの季節は、無理をせず涼しい室内で植物を楽しみませんか。おすすめは、今まさに開花期を迎えているシャンデリア咲きの木立性ベゴニア。観葉植物といえば葉を楽しむもの、という固定概念を一変させる美しい花が咲く観葉植物です。
華やかな開花期間が2カ月続く木立性ベゴニア

室内で楽しむ観葉植物といえば、サボテンやゴムの木といったワイルドなイメージのものが主流。インダストリアル系のかっこいいインテリアやシンプルな部屋のアクセントとして大活躍しているのをよく見かけますが、これらは一年を通じてあまり大きな変化がないのが共通点です。一方、木立性ベゴニアは夏にドラマチックな変化を見せます。それがシャンデリア咲きという呼び方に象徴される華麗な花。桜貝のようなピンク色や透明感のある白色、夕陽のようなオレンジ色など、愛らしい花が連なり、華やかに咲く姿は、エレガントなお部屋によく似合います。
しかもこの美しさは、ほんの一時ではありません。一段目の花が咲き終わると花茎が分枝し、次の段の花を咲かせることを繰り返して伸びていき、品種によっては5~6段の豪奢な花房にもなるものも! 開花期間は平均しておよそ2カ月と、驚くほど長期間にわたり美しい花が楽しめるのです。
観葉植物界のレディー・ガガ⁉︎ 個性派揃いの葉

花の楽しみがある一方で、葉の個性も観葉植物のなかで群を抜くバリエーションを誇るのが木立性ベゴニアの魅力。単純な緑の葉はむしろ少なく、メタリックなシルバーやルビー色の水玉模様、鮮やかなオレンジの葉に緑色の葉脈が浮かび上がるものなどなど…。まるでアーティストの衣装のように強烈な個性を放つ葉は、観葉植物界のレディー・ガガとでも呼びたくなるほど。
木立性ベゴニアの基本情報

木立性ベゴニアは、常緑多年草のベゴニアの1グループで、他に根茎性ベゴニア、球根性ベゴニアなどのグループがあります。ベゴニアは世界の熱帯・亜熱帯地域(オーストラリア以外)に分布し、全体では3,000種類もの原種があります。
例えば、ガーデンプランツの中でも特に園芸品種数が多い植物として知られるバラの原種は150~200種程度。いかにベゴニアの原種が多いかが分かりますが、それらを掛け合わせて生まれる園芸品種に至っては、まさしく星の数ほど。耐陰性があるので室内で観葉植物として楽しめるほか、戸外の日陰や、木漏れ日が当たる程度の風通しのよい場所でも栽培できます。なかでも木立性ベゴニアは病害虫にも強く育てやすいので、初めてベゴニアを育てる人にもおすすめです。
膨大な品種数ですから、葉模様のみならず株姿や性質も多彩です。横に広がるように伸びるタイプ、日光を好むものからさほど光量を必要としないもの、ジメジメとした湿度が大好きなものなど、とても一括りにまとめられないほど。裏を返せば、限られたスペースや日差しが届きにくい一角など、ほかの植物が育てられないような環境であっても、ベゴニアならぴったりのものが見つかる可能性があります。
木立性ベゴニアの置き場所と飾り方のコツ

木立性ベゴニアには草丈が1m以上になる大型種と1m未満の中・小型種、つる性、這性があります。買ってきたばかりの苗は、いずれもたいていプラスチックの鉢に入っているので、花や葉の色、インテリアに合わせて鉢もコーディネートしてあげましょう。鉢選びや飾り方のコツを紹介します。
木立性ベゴニアの鉢選び

つる性、這性以外の品種はある程度高さのある深い鉢を選ぶのがポイント。上に向かって伸び、鉢に合わせて大株へと成長していく木立性ベゴニアは、浅い鉢では頭でっかちになってバランスが崩れ、倒れてしまう恐れがあります。あまり大きくしたくない場合は、鉢は大きくせず、素敵な鉢カバーに入れるのも一つの方法です。横に広がる這性の品種の場合は、浅く広い鉢のほうが相性がよいでしょう。
木立性ベゴニアの飾り方のコツ
木立性ベゴニアは耐陰性がありますが、ベゴニアの中では比較的日照を好みます。ただし直射日光には弱いので、レースのカーテン越しなどに日差しが射す場所か、玄関ポーチなど日陰ができる場所も適しています。木立性ベゴニアは品種によって花が何段にも枝垂れて咲くので、台などを使って高さを出すと花の美しさが際立ちます。また、葉裏の美しいものや葉が枝垂れるタイプのものも、棚などの高い位置へ置くとその魅力を堪能できます。

木立性ベゴニアの基本の育て方

【置き場所】
栽培適温は15〜25℃で、人が快適な空間をベゴニアも好みます。夏は直射日光を避けてレースのカーテン越しの光が当たる場所へ、冬は明るい窓辺でしっかりと日光に当てて育てます。春~秋の成長期は戸外の明るい日陰や木漏れ日が当たる程度の風通しのよい場所も栽培に適していますが、寒さには弱いので冬は室内に取り込みましょう。
【ベゴニアに適した土】
ベゴニア栽培の用土は、排水性と保水性のある、やや弱酸性の土が適します。初心者の方はベゴニア専用の培養土を使うのが簡単です。

【水やり】
水はさほど必要としないので、やりすぎに注意しましょう。鉢の表面が乾いて数日したら、鉢底から流れ出るくらいにたっぷりと水を与えましょう。葉が繊毛に覆われているタイプは霧吹きで葉を潤し、適度に湿度を保ちましょう。
【肥料】
生育期の春~秋に固形肥料を置き肥し、開花中は2週間に1回程度液肥を与えます。35℃を超える盛夏は生育が緩やかになるので液肥をストップし、秋に再開します。冬は肥料を与えません。
【病害虫】
病害虫の心配はほとんどありませんが、高温期はハダニが発生することがあるので葉の乾燥に注意し、発生してしまったらシャワーで洗い流します。
【植え替え】
生育旺盛なので、1年に1回を目安に、生育期の春から秋に一回り大きな鉢に植え替えます。特に葉が大きい品種は、鉢を大きくすると大株になります。コンパクトに育てたい場合、鉢から株を抜き出し、根の先端を1/3カットし、元の大きさの鉢に新しい用土で植え付けます。

【剪定】
木立性ベゴニアは生育旺盛で茂りすぎると根詰まりして勢いがなくなってきます。そんな時はバッサリ切り戻しても大丈夫。節の上で剪定すると、切った後に節から新芽が生えてきて、元気な葉が増えて株がリフレッシュします。これを「切り戻し」といいます。日当たりが極端に悪いと葉と葉の間が間延びして(徒長)、姿が悪くなるので、その場合も同様にします。切った枝は切り花として楽しめます。じつはベゴニアは水揚げがよく、長期間楽しむことができます。花屋さんではまず見かけないベゴニアの切り花は、育てている人だけの特権です。

ファーストベゴニアにおすすめ! 「花郷園」野口さんが選ぶイチオシ品種はコレ

数ある木立性ベゴニアの中でも、ビギナーにおすすめなのが ‘流れ星’。愛らしいピンクの花が、夏も休まず春~秋まで本当によく咲き、葉には一番人気の水玉模様がくっきりと入ります。ガーデニング初心者にも育てやすく、エレガントな花とエキゾチックな葉という木立性ベゴニアの魅力が余すところなく味わえる品種です。

もう一つ、普通とは少し違ったベゴニアをお求めの方におすすめなのが‘ソフィー・セシール’。大胆な深い切れ込みが入り、裏地のえんじ色がチラリと覗く葉がカッコいいベゴニアです。人の背丈ほどにまで成長し、特に大型に育った株の存在感は格別。対照的に、花は優しい桃色です。光の届きにくい室内はもちろん、春~秋はシェードガーデンや木陰のフォーカルポイントとしても抜群のインパクトです。


花郷園ではこの他にも、数十年をかけて海外から集めたベゴニアの希少なコレクションが揃います。木立性ベゴニアだけでもその数は100種類以上。暑い夏、涼しい室内で優雅に花咲く木立性ベゴニアを観賞しませんか。
協力
Credit
写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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