【緑の街の最先端へ!】庭づくりにも活かせる麻布台ヒルズの魅力を探ろう
有機的なビルの輪郭と、植栽の融合が魅力!
麻布台ヒルズ外観(神谷町駅方面より)。
近代以降の日本の大型建築は、その多くが“直線”により構成されてきました。新宿新都心の高層ビル群などは特にそれが顕著で、同じく森ビルが管理する六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズでさえも、所々に曲線を有しつつ基本的には従来の直線による箱型のフォルムをしています。
一方で麻布台ヒルズは、全体がうねる波のような形をした低層建築(ガーデンプラザA~D)が最大の特徴。最寄りの神谷町駅から地上に出た時、誰もがこの有機的なフォルムに目を奪われるのではないでしょうか。設計を担当したのは、イギリスに拠点を構える有名な建築設計集団「ヘザウィック・スタジオ」。彼らは低層建築のほか、ランドスケープすなわち外構部や広場のデザインも手掛けています。
麻布台ヒルズアリーナと大屋根「The Cloud」。
中央広場の要ともいえる麻布台ヒルズアリーナにおいても、同じくヘザウィック・スタジオが手掛けた有機的なデザインの大屋根「The Cloud」が目を惹きます。ここでは季節に合わせた多彩なイベントが開催されており、麻布台ヒルズでも一際賑わいを見せる空間となっています。
やさしい清涼感をもたらす、中央広場のせせらぎ。
曲線美は建築だけでなく、中央広場の水場や園路にも採用されています。緩やかな弧を描くせせらぎは、自然な雰囲気の石組で構成され、豊かな緑につつまれる様はさながら自然林の中の清流のよう。東京都心部とは思えない水と緑の美を堪能できることでしょう。
「立体緑園都市」を巡り歩こう
藤本壮介氏が手掛けた森JPタワー タワープラザ入口。
麻布台ヒルズを始めとする森ビルの街づくりは「Vertical Garden City -立体緑園都市-」という思想に基づいています。つまり人の過ごす場所を高層化し、その足下に緑地等を広げることで鳥や虫などの生きものが暮らす場所を作っていこうという考え方です。実際、1986年に竣工したアークヒルズを皮切りに、森ビルはこれまでに約12ha(東京ドーム約2.6個分)の緑地を東京都心部につくり上げてきました。
その緑地もまた、麻布台ヒルズにおいては三次元的であり、限られた敷地面積内で可能な限り多くの花と緑が楽しめるように設えられています。中高木から下草までと植物のバリエーションが広いことはもちろん、時にはバビロンの空中庭園さながらに植栽スペースそのものが重なって立体展開され、来訪者を魅了しています。
ガーデンプラザの屋上緑化。
屋上緑化そのものは以前から行われてきましたが、麻布台ヒルズでは高低差のある地形を生かし、低層部の屋上を含めて緑を連続させているのが特徴です。しかもそれが自然の野山さながらにたっぷりと“緑”をたたえる麻布台ヒルズの先鋭的な緑化は、どの角度から眺めてもフォトジュニック。ぜひ、散策しながらお気に入りのワンシーンを探してみてください。
日本在来の四季の山野草にウットリ
7月、中央広場のせせらぎで開花するオミナエシ、キキョウ、コオニユリなど。
イギリスのデザイナーによって設えられた緑地ですが、実際に歩いてみると日本に元からある植物(在来種)が非常に多いと分かります。中央広場ではそれが特に顕著で、例えば夏場であればせせらぎ沿いにキキョウやカワラナデシコ、オミナエシなどが開花。秋深まればツワブキなどのキク科の植物が花を咲かせます。樹木に目を向けても、サクラやモミジなどの紅葉する落葉樹が多く、日本らしい四季の変化を体感できることでしょう。
建物に隣接した半日陰環境における、アジサイやギボウシなどの混植例。
また、大型建造物に囲まれる麻布台ヒルズの緑地では、一日中日光が当たる場所は少なめ。そのため、半日陰環境に強いアジサイやギボウシの仲間が広い範囲で活躍しています。花色だけでなく、葉の形や色のバリエーションに富んだこれらの植物の組み合わせ方は、日照量に悩まされがちな家庭園芸でも大いに参考となるはずです。
ガーデニングの参考になる“埋め”の植栽をチェック
同じ“緑の葉”というカテゴリでも、色の濃淡や形の異なるものをブロック分けして植え込むことでお洒落な植栽デザインに。
豪華絢爛に咲く花は確かに魅力的ですが、観賞期間は1年の内でもごくわずか。そこで注目したいのが、長期間同じ状態を保てる“葉”の存在です。
麻布台ヒルズでも単子葉のグラス系から斑入りのものまで、葉っぱで楽しめる植物が多く使われており、そのバリエーションも実に多彩。前述のギボウシもその一例といえるでしょう。 いわゆるカラーリーフと呼ばれるものでなくても、植物の葉はそれぞれ絶妙に色や質感が異なるもの。同じ品種ばかり植えていれば当然味気ない植栽風景になってしまいますが、多品種を組み合わせてみると、花では実現できない落ち着いた風景を演出できます。
地面の露出が気になるなら、低い位置で広がって地表を覆ってくれるグラウンドカバープランツが有効。こうした葉っぱを主軸とした植栽デザインが麻布台ヒルズでは随所で見られ、どこを見ても洗練された緑園都市を演出しています。
夏場のガーデンや大型プランターで葉を茂らせるクリスマスローズの仲間。
広い面積を緑で覆うという点で、意外と役に立つのがクリスマスローズです。早春期に花を楽しめることはもちろん、夏場には大きく横に広がる形で葉を茂らせ、傘のように地表をカバーしてくれます。こうした地植えのクリスマスローズは麻布台ヒルズのみでなく、ここ数年で東京都内のさまざまな都市緑化に採用されるようになってきました。
中央広場は、憩いと賑わいの空間
気軽に腰を下ろしてひと休みできるのも嬉しいポイント。
森JPタワーの目の前に広がる中央広場は、麻布台ヒルズ全体のシンボル的なスポット。水景と緑を織り交ぜたこの空間は、高層建築の谷間でありながら誰もが気軽に自然美を堪能できるのはもちろん、飲食店や各ショップへも手軽にアクセスでき、とりわけ多くの人が集う憩いの場となっています。芝生広場にはソフトクリームやクレープ、ビールなども提供するキオスクがあり、軽飲食を屋外で楽しめるのも魅力的です。
2025年の秋のイベント『やきいも広場』での装飾。
日常的にピクニック感覚で過ごせる中央広場ですが、イベント会場としても大きな役割を担っています。例えば、夏は納涼まつり、秋にはやきいも広場、そして年末はクリスマスマーケットなどが開催され、大変な活気に満ちあふれます。※イベントの詳細は麻布台ヒルズの公式サイトをご参照ください。
自然と共にある都市緑化の最先端「拡張生態系緑地」とは?
窓の向こうに見えるのが拡張生態系緑地「Green Pool」。
写真は麻布台ヒルズの敷地の西端辺り。レジデンスBに隣接する形で、他と比べても一風変わった緑地があります。俯瞰で見ただけでは草木が鬱蒼としているだけに見えるかもしれませんが、これこそがこの施設内で最も先鋭的といえる拡張生態系緑地「Green Pool」なのです。
通常は立入が制限されており、手入れやイベント時などのみ入ることができます。
拡張生態系緑地とは、人が積極的に関わることによって生態系が充実していく緑地のこと。一般的に都市開発というと自然を壊すイメージが根強いですが、ここはまさにその真逆。一見雑多な草むらに見えるかもしれませんが、実は緻密なデータをもとに配植を決め、高低差を作ることはもちろん土壌の微生物を最大限に活性化できるような植物の組み合わせ方を実践しています。結果、自然の草むら以上に多くの昆虫や小動物などに食事場所や棲み処を提供することに成功! さらに限られたスペースながら、ハーブや野菜を多く含む80種以上の植物が生育しています。もちろん農薬や化成肥料には頼っていません。
Green Poolで育つ作物。シネコカルチャーという拡張生態系の考えを活かした農法で育てているからか、いずれもエグみが少なくスッキリとした味わいが楽しめます。
「Green Pool」では不耕起・無農薬で多彩な作物を育てていますが、土壌微生物の活動が活発になっているため、一般的な農法よりも長期間収穫を楽しめます。地域の子どもたちも苗の植え付けや種まきなどに参加しており、自然に優しい農法はもちろん、植物と昆虫の繋がり、そして人が関わることで自然にどのようなプラスの効果をもたらすかを実体験を通じて学ぶことができています。
作物を育み、生態系を育む……そんな拡張生態系の考え方は、今後の持続可能な社会づくりにおいて1つの大きな指針になっていくかもしれません。※Green Poolについてより詳しく知りたい方は、9月発売の雑誌「グリーン情報」Vol.523をご覧ください
麻布台ヒルズの、小さな“命”に注目!
中央広場のせせらぎに現れたアオモンイトトンボ。
オオカマキリ。
トンボの好む水辺から蜜源となる植物、加えて前述の拡張生態系緑地など、麻布台ヒルズには人だけでなく小さな昆虫の好む環境が散りばめられています。ピークは夏から秋にかけて。トンボやカマキリなどの肉食性の昆虫も見られますが、これは餌となるより小さな虫が多く暮らしているからこそ。人の目線だと目立たなかったり、時には不快感を覚えることもある小さな虫ですが、より大きな昆虫の食糧となることで立派に生態系を支えているのです。
ツワブキを訪れたキンケハラナガツチバチ(2025年11月)。
草木がこれほどまでに潤沢にあるので、当然ながらハチの仲間も飛来します。とはいえ、スズメバチなどの一部例外を除けば、彼らは基本的に大人しくて安全な生きものです。
写真のキンケハラナガツチバチは見た目こそいかついですが、非常に大人しく、手を出したりしない限りはまず刺される心配はありません。他の昆虫が少なくなる晩秋に活動することの多いハチで、よくツワブキの花で食事をしている姿を見かけます。彼らが飛ぶようになると、いよいよ冬の訪れを実感します。
紅葉や花暦だけでなく、こうした小さな生きものからも季節の移ろいを感じられる……これもまた都会でありながら自然度の高い麻布台ヒルズならではの醍醐味といえるかもしれません。
【Information】
■施設名/麻布台ヒルズ■住所/東京都港区麻布台1-3-1■電話/03-6433-8100(受付時間 11:00~19:00)■アクセス/東京メトロ日比谷線『神谷町駅』5番出口直結、東京メトロ南北線『六本木一丁目駅』4番出口直結、東京メトロ日比谷線『六本木駅』3番出口より徒歩10分 ほか■Web/https://www.azabudai-hills.com/