1982年3月生。東京理科大学大学院 応用生物科学専攻終了。小学生の頃に地元の植物園に行ったり『昆虫記(今森光彦著)』などの図鑑を多数読んだことから動植物に興味を持つ。2012年4月より㈱マルモ出版で雑誌「マイガーデン」および「ランドスケープデザイン」の編集・ライターおよび広告営業など多彩な仕事に従事。2020年4月より自然環境ジャーナリストとして独立し、それまで個人ブログとして更新してきた『首都圏生きものめぐり』を2021年4月よりツアー講座として展開し、首都圏の昆虫や野鳥などを案内するガイドを務める。現在は業界専門誌「グリーン情報」で編集担当を務め、生物多様性関連の連載記事も執筆中。
中村 桂祐
1982年3月生。東京理科大学大学院 応用生物科学専攻終了。小学生の頃に地元の植物園に行ったり『昆虫記(今森光彦著)』などの図鑑を多数読んだことから動植物に興味を持つ。2012年4月より㈱マルモ出版で雑誌「マイガーデン」および「ランドスケープデザイン」の編集・ライターおよび広告営業など多彩な仕事に従事。2020年4月より自然環境ジャーナリストとして独立し、それまで個人ブログとして更新してきた『首都圏生きものめぐり』を2021年4月よりツアー講座として展開し、首都圏の昆虫や野鳥などを案内するガイドを務める。現在は業界専門誌「グリーン情報」で編集担当を務め、生物多様性関連の連載記事も執筆中。
中村 桂祐の記事
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ガーデニング

秋はカメムシに要注意? じつは庭の味方もいるカメムシの対処法
庭にカメムシが! まず知っておきたい「心配なこと・心配しなくていいこと」 代々木公園の宿根草園(円内の虫は、左からナガメ、アカスジカメムシ、ブチヒゲカメムシ)。 結論として、庭でカメムシを数匹見つけたからといって、すぐに植物が枯れるわけではありません。また、カメムシといえば「クサイ!」というイメージがありますが、これもむやみに触ったりしなければ、必ず臭うわけでもありませんし、種類によっては臭くないものもいます。多くは植物の汁を吸いますが、大量発生しなければ致命的な被害になるケースは多くありません。 さらに、カメムシの中には、イモムシなどの害虫を食べてくれる「庭の味方」の益虫もいます。つまり、「カメムシを見つけた=すべて害虫として即駆除」という必要はないのです。 出会うと条件反射的に嫌がってしまう人も多いかもしれませんが、じつはその反応、もったいない! 適度な距離感さえ保てば、友達とまではいかないものの、無害な隣人、中には頼もしい庭友達として接することもできるのがカメムシなのです。まずは数や植物の状態を見ながら、被害が出ているかどうかを判断することが大切です。 こんなときは注意。カメムシを放っておかないほうがいいケース オルレアの花にとまるアカスジカメムシ。 同じ植物に多数集まっている 花や実、野菜などに多数吸汁被害が出ている 花の色や形がおかしくなっている 家庭菜園で作物の品質低下が見られる 近年、東京都心部の公園では殺虫剤等の使用を控えるケースも多く、カメムシを始めとした植物を食べる「害虫」ともある程度共生している方が増えてきました。無論あまりに増え過ぎた時は捕殺することもあるようですが、その辺りの適したバランス感覚(どこまで駆除するのか?)などは、現地でお手入れしているガーデナーの方などに直接話を聞いてみても参考になりそうです。 家の中に入ってきたカメムシはどうする? 秋には、越冬場所を探すカメムシが家の中に入り込むこともあります。見つけても、叩いたり潰したりするのはNG。カメムシのクサイ臭いは防御反応なので、刺激を受けると強い臭いを出すことがあります。透明のコップなどの容器をそっとかぶせ、厚紙を差し込んで捕まえ、屋外へ出しましょう。掃除機で吸うと本体内部に臭いが残る場合があるため、おすすめしません。 侵入を防ぐには、網戸やサッシ、換気口などの隙間をチェックし、洗濯物を取り込む際にもカメムシが付いていないか確認しましょう。 じつはカメムシにはメリットも! 害虫を食べてくれる「肉食系カメムシ」 意外かもしれませんが、カメムシの中には、植物ではなくほかの昆虫を食べて暮らす種類もいます。その代表がサシガメの仲間。一般的なカメムシと同じように針状の口を持っていますが、植物の汁ではなく、ほかの昆虫に口を突き刺して体液を吸います。庭ではイモムシやハムシなどを捕食することもあり、植物を育てる人にとっては、害虫を減らしてくれる“味方”になることがあります。 写真はアカサシガメといい、この系統の昆虫としては比較的よく見る代表種の一つ。頭の形と色にハッキリした特徴がある上に名前も短いので、益虫として覚えておきましょう。ずんぐりして丸っこい一般的なカメムシと比べると、ほっそりとした体形で特に頭部が小さくなっています。 サシガメにはこの他にもたくさんの種類がおり、益虫とはいえちょっとした付き合い方のコツもあるので、後ほど詳しくご紹介します。まずは、庭でよく見かけるカメムシについて、ご紹介していきます。 代表種1:セリ科の植物に現れる、赤と黒のストライプ模様のアイツ レースフラワーに群がるアカスジカメムシ。 カメムシを知るには、まず遭遇率の高い代表種を知ることが肝要です。 私がここ数年、都内の宿根草園を訪ねた際に一番よく見るのが、この赤と黒の縞模様が特徴のアカスジカメムシ。セリ科の植物の汁を吸う種で、初夏にはオルレア、真夏にはフェンネルなどによく付きます。ハナウドやエリンジウム、あるいはニンジンなども同じくセリ科なので、よく本種が発生するようです。 他にはない独特のカラーリングは、恐らく一度見たら忘れないはず。サイズはせいぜい全長1cmくらいで、動きは比較的のんびりとしています。 オルレアに群がるアカスジカメムシ。 アカスジカメムシのこの縞模様には、鳥などの外敵から狙われにくくなる効果があると言われています。そうした外敵対策の手段を持っているためか、他のカメムシと比べると、あまり臭くない傾向。集団になるとややグロテスクな気もしますが、少なくとも「ニオイ」という点では、そんなに嫌な虫ではありません。 開花期を終えたレースフラワーで(東京都江東区)。 カメムシの仲間は不完全変態で、卵→幼虫→成虫という形で成長する昆虫です。チョウやカブトムシと違って間にサナギの期間を挟まないため、成虫と幼虫はほぼ同じような外見をしています。上の写真では、右上にいる模様や色の違う3匹が幼虫です。 アカスジカメムシは、他のカメムシの幼虫と比べても独特の外見をしていますし、基本的にセリ科の植物にしかいないので簡単に識別できることでしょう。 代表種2:お洒落な模様はまるで芸術! 縞々の触角が名前の由来 ブチヒゲカメムシ。 庭や花壇でよく見られるカメムシをもう一種類挙げるとすれば、このブチヒゲカメムシ。左右対称の幾何学的な模様が特徴で、サイズは見ての通り指先程度。そしてセリ科の植物ばかりを偏食するアカスジカメムシと違い、マメ科やキク科、ダイコンなどの野菜に至るまでいろいろな植物の汁を吸うため、ガーデン内のあちこちに分布しています。 左写真はオミナエシに来たところ。こうした夏の花からも汁を吸いながら生活しているため、花の観察をしていて遭遇することも多いのではないでしょうか? こちらは臭いがきついため、その点ではアカスジカメムシより嫌われている……かも? 三尺バーベナにて(埼玉県坂戸市)。 ブチヒゲカメムシに限りませんが、カメムシに汁を吸われた植物は花の色や形がおかしくなったり、家庭菜園であれば作物の質が劣化するなど、確かな実害が発生します。一方で、余程大量発生でもしない限りは、そう簡単に枯死することはありません。 よく見る緑色のカメムシに、今ある変化が起きている? 神代植物公園 宿根草園にて。 さて、皆さんが「カメムシ」と聞いて真っ先に想像する色は何でしょうか? ここまでに紹介してきた種はいずれも派手なカラーリングでしたが、大抵の方はまず緑色の丸っこい姿を想像するかもしれません。実際、緑のカメムシは今も昔も結構よく花壇で見かけます。 中でも特に名前が知られており、子ども向けの図鑑などにもよく掲載されているのは、アオクサカメムシという種です。時にはカメムシ全体の代表種みたいな扱いをされることもあるアオクサカメムシですが、今、東京都心部ではその数が激減しています。でも、上写真のような緑のカメムシはいまだよく見かけます……これは一体どういうことなのでしょうか? 左写真 オレンジの〇の中にいます。 写真はいずれも都内の宿根草園で撮影したカメムシですが、これらはミナミアオカメムシといい、名前の通り元々は南方系で、近年の温暖化に伴って徐々に北へと分布を拡大しています(正確に識別するには翅の下の腹部の色などをチェックする必要があります)。 それが原因なのかは確かではありませんが、元々関東にいたアオクサカメムシは近年減少傾向にあり、ミナミアオカメムシにとって代わられようとしているようです。カメムシ界隈でも、どうやら気候変動の影響は如実に出始めています。 横浜市こども植物園にて。 一方で、今も昔も安定して見られる「緑のカメムシ」も存在します。それがこのチャバネアオカメムシ。もしかしたら「緑のカメムシ」と聞いて本種のビジュアルを思い出す人も多いかもしれません。 写真はハマナスの実(ローズヒップ)で食事をしているところ。カメムシの口は針状で、固い植物の表皮も貫いて中の汁を吸います。右の個体は、口吻を実に刺しているのが分かるはず。これは木に口吻を刺して樹液を吸うセミと同じ……というか、そもそもセミはカメムシ目の昆虫だったりします。形もサイズもついでに人気も(笑)違うのでご存じない方も多いようですが、食事方法の共通点に目を向けると、近い仲間であるというのも何となく頷けるのではないでしょうか? 害虫退治の心強い味方? 肉食性のカメムシも覚えよう 刺されたらハチより痛いらしい…? こちらは前述したアカサシガメです。植物に害を及ぼす他の昆虫を捕食するため、頼もしい存在ではありますが、付き合い方にはちょっと注意が必要です。というのも、サシガメの頭部は小さいですが、口吻は鋭くて結構太め。普段は写真のようにくるりと巻かれる形で収納されていますが、狩りの際にはこれを伸ばして獲物に突き刺します。そしてこの口吻、実は人に対しても防御目的で使用してくることがあり、もし刺されれば、ハチの針以上の太さも相俟って悶絶するほど痛いとの専らの噂です(私はまだ刺されたことはないですが、怖くて到底試すことができません(汗))。 毒はないので命に別状はないものの、もし刺されたら大ごと。お庭で見かけても手を出さず、そっと見守るようにしましょう。イモムシやハムシの仲間などの害虫を捕食してくれることもあるため、安易に触れたりしない限りは心強い味方にもなり得ます。 左が成虫、右が幼虫(テントウムシを捕食中)。 よく見るサシガメをもう一種類。これはシマサシガメといい、脚の付け根付近にある白い縞模様が特徴です。鋭い口吻も健在で、テントウムシなどの昆虫の硬い身体も貫いて捕食してしまいます。ちなみに幼虫も肉食性。上で紹介した一般的なカメムシと同じく、サシガメも成虫と幼虫が同じ形をしていますが、食性もまた同じとなっています。 幼虫の集団はちょっとグロテスクですが…。 特徴的なものをもう一つ。こちらはシロヘリクチブトカメムシといい、サシガメの仲間ではありませんが肉食性のカメムシです。成虫も幼虫もイモムシなどを捕食するため、ガーデニングをする際には益虫といえる存在です。元は関西などの暖かい地域に分布していたものですが、近年の気候変動に伴って徐々に東京周辺でも見られるようになってきました。ちなみにサシガメほど凶暴ではないようですが、一応刺されないように注意しましょう。 【番外編】お庭や花壇の外にも、こんなカメムシが! 上段・左からアカスジキンカメムシ(神代植物公園)、キマダラカメムシ(水元公園)、オオヘリカメムシ(八ヶ岳南麓)、クモヘリカメムシ(神代植物公園)、ウシカメムシ(横浜市内)、ツノアオカメムシ(八ヶ岳南麓)。 カメムシの暮らす環境は花壇やお庭だけでなく、雑木林や草原などにも幅広く分布しています。バッタと一緒に草むらに隠れているクモヘリカメムシや、標高の高い丘陵~山岳域でないとまず会えないオオヘリカメムシやツノアオカメムシ、最近都会の街路樹に増えてきた外来種のキマダラカメムシなど、その外見や生態は実にバリエーション豊富です。 上に挙げた6種類はあくまで一部分。自然公園や地方の観光地などに足を運べば、さらに多彩なカメムシが暮らしています。その地域ごとの特性や色の多彩さなどに目を向けると、嫌われ者とは違う新しいカメムシの側面が見えてくることでしょう。 宿根草主体のモデルガーデン「cloud(クラウド)」(代々木公園)。 さて、カメムシに限らず多くの昆虫は、食事場所だけでなく身を隠す場所の多いところを好む傾向があります。そのため、街や公園でも背丈の低い一年草花壇より、高低差のある宿根草主体の花壇で会うことが多いです。 これらの花壇では使われる植物の種類が多い分、そこを訪れる昆虫の種類も多様になるもの。どのカメムシがどの植物を好むのかを探るにはうってつけです。好奇心を持って観察・撮影するもよし。逆に庭での虫害の予防策に活かすもよし。色々なカメムシを知るためにも、ぜひ近くの宿根草園に行って観察してみてはいかがでしょう。カメムシを「知る」ことで、潜在的な嫌悪感を和らげ、庭仕事やガーデン散策などで草花と接する際に、無用な「嫌な思い」をすることがなくなりますよ。
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ガーデン&ショップ

【緑の街の最先端へ!】庭づくりにも活かせる麻布台ヒルズの魅力を探ろう
有機的なビルの輪郭と、植栽の融合が魅力! 麻布台ヒルズ外観(神谷町駅方面より)。 近代以降の日本の大型建築は、その多くが“直線”により構成されてきました。新宿新都心の高層ビル群などは特にそれが顕著で、同じく森ビルが管理する六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズでさえも、所々に曲線を有しつつ基本的には従来の直線による箱型のフォルムをしています。 一方で麻布台ヒルズは、全体がうねる波のような形をした低層建築(ガーデンプラザA~D)が最大の特徴。最寄りの神谷町駅から地上に出た時、誰もがこの有機的なフォルムに目を奪われるのではないでしょうか。設計を担当したのは、イギリスに拠点を構える有名な建築設計集団「ヘザウィック・スタジオ」。彼らは低層建築のほか、ランドスケープすなわち外構部や広場のデザインも手掛けています。 麻布台ヒルズアリーナと大屋根「The Cloud」。 中央広場の要ともいえる麻布台ヒルズアリーナにおいても、同じくヘザウィック・スタジオが手掛けた有機的なデザインの大屋根「The Cloud」が目を惹きます。ここでは季節に合わせた多彩なイベントが開催されており、麻布台ヒルズでも一際賑わいを見せる空間となっています。 やさしい清涼感をもたらす、中央広場のせせらぎ。 曲線美は建築だけでなく、中央広場の水場や園路にも採用されています。緩やかな弧を描くせせらぎは、自然な雰囲気の石組で構成され、豊かな緑につつまれる様はさながら自然林の中の清流のよう。東京都心部とは思えない水と緑の美を堪能できることでしょう。 「立体緑園都市」を巡り歩こう 藤本壮介氏が手掛けた森JPタワー タワープラザ入口。 麻布台ヒルズを始めとする森ビルの街づくりは「Vertical Garden City -立体緑園都市-」という思想に基づいています。つまり人の過ごす場所を高層化し、その足下に緑地等を広げることで鳥や虫などの生きものが暮らす場所を作っていこうという考え方です。実際、1986年に竣工したアークヒルズを皮切りに、森ビルはこれまでに約12ha(東京ドーム約2.6個分)の緑地を東京都心部につくり上げてきました。 その緑地もまた、麻布台ヒルズにおいては三次元的であり、限られた敷地面積内で可能な限り多くの花と緑が楽しめるように設えられています。中高木から下草までと植物のバリエーションが広いことはもちろん、時にはバビロンの空中庭園さながらに植栽スペースそのものが重なって立体展開され、来訪者を魅了しています。 ガーデンプラザの屋上緑化。 屋上緑化そのものは以前から行われてきましたが、麻布台ヒルズでは高低差のある地形を生かし、低層部の屋上を含めて緑を連続させているのが特徴です。しかもそれが自然の野山さながらにたっぷりと“緑”をたたえる麻布台ヒルズの先鋭的な緑化は、どの角度から眺めてもフォトジュニック。ぜひ、散策しながらお気に入りのワンシーンを探してみてください。 日本在来の四季の山野草にウットリ 7月、中央広場のせせらぎで開花するオミナエシ、キキョウ、コオニユリなど。 イギリスのデザイナーによって設えられた緑地ですが、実際に歩いてみると日本に元からある植物(在来種)が非常に多いと分かります。中央広場ではそれが特に顕著で、例えば夏場であればせせらぎ沿いにキキョウやカワラナデシコ、オミナエシなどが開花。秋深まればツワブキなどのキク科の植物が花を咲かせます。樹木に目を向けても、サクラやモミジなどの紅葉する落葉樹が多く、日本らしい四季の変化を体感できることでしょう。 建物に隣接した半日陰環境における、アジサイやギボウシなどの混植例。 また、大型建造物に囲まれる麻布台ヒルズの緑地では、一日中日光が当たる場所は少なめ。そのため、半日陰環境に強いアジサイやギボウシの仲間が広い範囲で活躍しています。花色だけでなく、葉の形や色のバリエーションに富んだこれらの植物の組み合わせ方は、日照量に悩まされがちな家庭園芸でも大いに参考となるはずです。 ガーデニングの参考になる“埋め”の植栽をチェック 同じ“緑の葉”というカテゴリでも、色の濃淡や形の異なるものをブロック分けして植え込むことでお洒落な植栽デザインに。 豪華絢爛に咲く花は確かに魅力的ですが、観賞期間は1年の内でもごくわずか。そこで注目したいのが、長期間同じ状態を保てる“葉”の存在です。 麻布台ヒルズでも単子葉のグラス系から斑入りのものまで、葉っぱで楽しめる植物が多く使われており、そのバリエーションも実に多彩。前述のギボウシもその一例といえるでしょう。 いわゆるカラーリーフと呼ばれるものでなくても、植物の葉はそれぞれ絶妙に色や質感が異なるもの。同じ品種ばかり植えていれば当然味気ない植栽風景になってしまいますが、多品種を組み合わせてみると、花では実現できない落ち着いた風景を演出できます。 地面の露出が気になるなら、低い位置で広がって地表を覆ってくれるグラウンドカバープランツが有効。こうした葉っぱを主軸とした植栽デザインが麻布台ヒルズでは随所で見られ、どこを見ても洗練された緑園都市を演出しています。 夏場のガーデンや大型プランターで葉を茂らせるクリスマスローズの仲間。 広い面積を緑で覆うという点で、意外と役に立つのがクリスマスローズです。早春期に花を楽しめることはもちろん、夏場には大きく横に広がる形で葉を茂らせ、傘のように地表をカバーしてくれます。こうした地植えのクリスマスローズは麻布台ヒルズのみでなく、ここ数年で東京都内のさまざまな都市緑化に採用されるようになってきました。 中央広場は、憩いと賑わいの空間 気軽に腰を下ろしてひと休みできるのも嬉しいポイント。 森JPタワーの目の前に広がる中央広場は、麻布台ヒルズ全体のシンボル的なスポット。水景と緑を織り交ぜたこの空間は、高層建築の谷間でありながら誰もが気軽に自然美を堪能できるのはもちろん、飲食店や各ショップへも手軽にアクセスでき、とりわけ多くの人が集う憩いの場となっています。芝生広場にはソフトクリームやクレープ、ビールなども提供するキオスクがあり、軽飲食を屋外で楽しめるのも魅力的です。 2025年の秋のイベント『やきいも広場』での装飾。 日常的にピクニック感覚で過ごせる中央広場ですが、イベント会場としても大きな役割を担っています。例えば、夏は納涼まつり、秋にはやきいも広場、そして年末はクリスマスマーケットなどが開催され、大変な活気に満ちあふれます。※イベントの詳細は麻布台ヒルズの公式サイトをご参照ください。 自然と共にある都市緑化の最先端「拡張生態系緑地」とは? 窓の向こうに見えるのが拡張生態系緑地「Green Pool」。 写真は麻布台ヒルズの敷地の西端辺り。レジデンスBに隣接する形で、他と比べても一風変わった緑地があります。俯瞰で見ただけでは草木が鬱蒼としているだけに見えるかもしれませんが、これこそがこの施設内で最も先鋭的といえる拡張生態系緑地「Green Pool」なのです。 通常は立入が制限されており、手入れやイベント時などのみ入ることができます。 拡張生態系緑地とは、人が積極的に関わることによって生態系が充実していく緑地のこと。一般的に都市開発というと自然を壊すイメージが根強いですが、ここはまさにその真逆。一見雑多な草むらに見えるかもしれませんが、実は緻密なデータをもとに配植を決め、高低差を作ることはもちろん土壌の微生物を最大限に活性化できるような植物の組み合わせ方を実践しています。結果、自然の草むら以上に多くの昆虫や小動物などに食事場所や棲み処を提供することに成功! さらに限られたスペースながら、ハーブや野菜を多く含む80種以上の植物が生育しています。もちろん農薬や化成肥料には頼っていません。 Green Poolで育つ作物。シネコカルチャーという拡張生態系の考えを活かした農法で育てているからか、いずれもエグみが少なくスッキリとした味わいが楽しめます。 「Green Pool」では不耕起・無農薬で多彩な作物を育てていますが、土壌微生物の活動が活発になっているため、一般的な農法よりも長期間収穫を楽しめます。地域の子どもたちも苗の植え付けや種まきなどに参加しており、自然に優しい農法はもちろん、植物と昆虫の繋がり、そして人が関わることで自然にどのようなプラスの効果をもたらすかを実体験を通じて学ぶことができています。 作物を育み、生態系を育む……そんな拡張生態系の考え方は、今後の持続可能な社会づくりにおいて1つの大きな指針になっていくかもしれません。※Green Poolについてより詳しく知りたい方は、9月発売の雑誌「グリーン情報」Vol.523をご覧ください 麻布台ヒルズの、小さな“命”に注目! 中央広場のせせらぎに現れたアオモンイトトンボ。 オオカマキリ。 トンボの好む水辺から蜜源となる植物、加えて前述の拡張生態系緑地など、麻布台ヒルズには人だけでなく小さな昆虫の好む環境が散りばめられています。ピークは夏から秋にかけて。トンボやカマキリなどの肉食性の昆虫も見られますが、これは餌となるより小さな虫が多く暮らしているからこそ。人の目線だと目立たなかったり、時には不快感を覚えることもある小さな虫ですが、より大きな昆虫の食糧となることで立派に生態系を支えているのです。 ツワブキを訪れたキンケハラナガツチバチ(2025年11月)。 草木がこれほどまでに潤沢にあるので、当然ながらハチの仲間も飛来します。とはいえ、スズメバチなどの一部例外を除けば、彼らは基本的に大人しくて安全な生きものです。 写真のキンケハラナガツチバチは見た目こそいかついですが、非常に大人しく、手を出したりしない限りはまず刺される心配はありません。他の昆虫が少なくなる晩秋に活動することの多いハチで、よくツワブキの花で食事をしている姿を見かけます。彼らが飛ぶようになると、いよいよ冬の訪れを実感します。 紅葉や花暦だけでなく、こうした小さな生きものからも季節の移ろいを感じられる……これもまた都会でありながら自然度の高い麻布台ヒルズならではの醍醐味といえるかもしれません。 【Information】 ■施設名/麻布台ヒルズ■住所/東京都港区麻布台1-3-1■電話/03-6433-8100(受付時間 11:00~19:00)■アクセス/東京メトロ日比谷線『神谷町駅』5番出口直結、東京メトロ南北線『六本木一丁目駅』4番出口直結、東京メトロ日比谷線『六本木駅』3番出口より徒歩10分 ほか■Web/https://www.azabudai-hills.com/


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