ミニトマト、ハーブ…栽培から保存レシピまでプロのレッスンが受けられる家庭菜園付きマンション

利便性に富んだ都会のマンションに暮らしながら、毎月のように菜園での野菜栽培やガーデニングのレッスンが受けられるシニア向けマンション「デュオセーヌ国立」。シニア世代がアウトドアの趣味を充実させながら、健康維持や多世代交流ができるよう、日比谷花壇が菜園プログラムを監修・運営しています。地域住民との交流の場としても成長する菜園を取材しました。
目次
一人1区画で家庭菜園が楽しめるシニア向け分譲マンション
東京都国立市にあるシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ国立」。シニア向け分譲マンションとは、シニア世代が安心して暮らしやすいよう、サポートやサービスが充実した新しい住まいの形態です。ここでは24時間スタッフが常駐し、緊急時に対応してくれる見守りサービスや、常勤看護師による健康相談、介護サポートなどの健康支援があるほか、毎日の暮らしが楽しく豊かになるレクリエーション施設も充実しています。その一つが「けやき菜園」と名付けられた菜園スペース。レイズドベッド式のプランター「ベジトラグ」が希望者に1基ずつ割り当てられ、個々の区画でガーデニングが楽しめるようになっています。
ベジトラグはこちら
https://homeuse.takasho.co.jp/vegtrug
日比谷花壇プログラムのガーデニングレッスン

場所が用意されているだけでなく、菜園での活動はフラワーショップとして有名な日比谷花壇がサポート。土づくりから苗の植え方、病害虫対策など、植物の生育に合わせてガーデニングレッスンが行われ、初心者も安心して楽しめる仕組みになっています。

例えば、春夏の菜園では、ジャガイモやナス、トマトといった野菜の間にハーブのイタリアンパセリやバジルが植えられ、その周りをエディブルフラワーとしても楽しめるニオイスミレやパンジーが彩ります。「美観も考えながら、限られたスペースでいろいろな野菜を楽しめるように作付け計画を立てています」と話すのは、菜園の監修・運営を行っている日比谷花壇の保坂悠平さん。「菜園は基本的に有機栽培なので、一緒に植えると生育がよくなったり、病害虫を防ぐ効果のあるコンパニオンプランツを組み合わせています。また、連作障害が出ないように相性のよい野菜を前作・後作に組み入れるなど工夫しています」(保坂さん)

さらに、収穫後には野菜を美味しく保存するためのピクルス作りやトマトピューレ作りといった料理教室や、ハーブ石鹸作りなどのクラフト教室も開催。マンションに住まいながら、自然を取り入れた季節感豊かな暮らしができるよう先導しています。
菜園を舞台とした地域住民とのコミュニティ形成
こうした菜園での一連の活動は「めぐりかだん」と名付けられたコミュニティデザインプログラムに基づいて行われています。プログラムを監修した保坂悠平さんは、菜園は趣味の機会として提供されているだけでなく、コミュニティの円滑な交流を図るための大事な機能でもあると話します。
「じつはこの菜園は、マンションの居住者だけでなく、地域の方も利用できるんです。菜園だけでなく、その隣にある公園も、そこに面したレストラン(*)も、マンションが管理を行いながら一般に開放しています。そのなかでも菜園は、居住者と地域の方との交流を図るための大事な要素です」
*新型コロナウイルスの影響により現在はマンション住民のみ利用可能。

「芽が出たとか、花が咲いたとか、ときには虫がかじったとか、日々、成長して変化のある植物は、常に話題を提供してくれますし、野菜は『食』という誰にでも関係するテーマにもつながり、会話をはずませてくれます。また、手先を使うガーデニングの作業は、高齢者の方々が身体機能を楽しく維持していくのにも役立ちますから、菜園は心身ともに健康をサポートする役目も果たしています」(保坂さん)
地域の人々とのあたたかな交流が生まれる場所に
菜園に隣接する「欅ガーデン」と名付けられた公園も、子どもたちが安心して遊べる地域の憩いの場として親しまれています。欅ガーデンの名前は、武蔵野の雑木林というコンセプトが元になっており、ケヤキやコナラ、ヤマボウシ、エゴノキ、ヤマザクラ、ミツデカエデ、ヤマモモなど、四季折々に変化する木々は、街の景色にも彩りを提供しています。
「公園の木々もクリスマス飾りやお正月飾りに利用していて、こうしたクラフト教室は地域の人にも喜ばれています。武蔵野の森は古くから人に利用され、人の暮らしとともにありました。公園の樹種は、そういう里山の暮らしを体験できるようにという観点からも選ばれています」(保坂さん)

ガーデニングレッスンやイベントの際だけでなく、マンションには植物の専門知識を有するガーデンコンシェルジュが常駐しており、栽培で困ったことがあればいつでも相談することができます。ガーデンコンシェルジュを務める森井真理子さんは、誰でも気軽に楽しめるように菜園周辺にハーブを栽培。「お茶や料理に使えますよって、通りかかる方に切って差し上げたりしています。フレッシュのものはとても香りがいいので、みなさんとても喜んでくださいますね」。森井さんはこうした菜園のサポート管理を行いながら、住民や訪れる地域の子どもたちを見守ります。
「公園は芝生の広場が広くとられていて、小さなお子さんもよく遊びにきます。ハイハイだった子がよちよち歩くように…。いつの間にか走り回るようになって。そういう成長をマンションの居住者の方も目を細めて見守っていますね。シニア向けマンションは終の住処として選ばれる方も少なくないので、地域のいろいろな方と仲よく楽しく過ごしていらっしゃる姿を見ると、私もとても嬉しいです」(森井さん)

菜園を舞台に、緑ある暮らしとあたたかなコミュニティを育むことに成功している「デュオセーヌ国立」の事例は、マンションでの新しいライフスタイルだけでなく、豊かな社会づくりに植物が大きな力を発揮することを示しています。
コロナ禍において人との距離や絆が課題となるなか、人々が安心して交流を図れるアウトドアでのコミュニティ形成は今後ますます注目され、そのツールとして植物の有用価値も高まっていきそうです。
Credit

取材協力・写真/保坂悠平さん
株式会社日比谷花壇ガーデンデザイナー。個人邸から商業施設、オフィスなど広くデザインを手掛ける。また地域の多世代交流を目的としたコミュニティデザインプログラム「めぐりかだん」を監修。
https://www.wellne.jp

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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