あべ・ようこ/岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。ぎふ国際バラコンクール審査員として岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を生かし、病院のガーデンも施工しています。
阿部容子 -ガーデンデザイナー/造園家-

あべ・ようこ/岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。ぎふ国際バラコンクール審査員として岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を生かし、病院のガーデンも施工しています。
阿部容子 -ガーデンデザイナー/造園家-の記事
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専門店
庭の骨格を作りローメンテナンスでいつもきれいが叶う低木(シュラブ)
低木(シュラブ)の魅力 私が庭づくりをするとき、絶対に欠かせないのが低木(シュラブ)です。花好きさんが植栽計画を考えるときには、どうしても花ばかりを選びがちですが、花だけで庭を構成しようとすると、とてもたくさんの株数が必要になります。花がたくさんあれば、花がら摘みや切り戻しといったお手入れもそれだけ必要になり、メンテナンスに手がかかるもの。 シュラブはスーパーローメンテナンス カラーリーフのシュラブが美しい庭の実例。かたくり工房設計・施工 そこでおすすめしたいのが、シュラブです。シュラブは草花類と比較し緑の量感がたっぷりあり、花々をより美しく見せる緑のキャンバスとしても活躍してくれます。シュラブには常緑性と落葉性がありますが、落葉性であっても枝だけの期間は2〜3カ月。草花類と比較し圧倒的に見頃が長く、「いつも庭を緑で瑞々しく」という願いを叶えるには、シュラブが必須です。基本的に、手入れは年に1回程度の剪定のみ。ものによっては生育がとてもゆっくりなので、数年に一回の剪定で済む場合もあります。コンパクトなので剪定もしやすく、手入れも楽。シュラブはスーパーローメンテナンスな植物なのです。 シュラブには美しいカラーリーフがいっぱい! 英国のシュラブガーデン。 シュラブには緑の葉だけでなく、赤紫色や斑入り、ライムイエローなどさまざまなカラーリーフがあり、花を咲かせるものも多数あります。シュラブだけで構成しても上の写真のように美しい花壇ができるほど。ほぼ一年中、この風景がデフォルトとして庭にあり、次々に花を植え替える必要はありません。これだけでも十分見応えのある風景ですが、例えば、このシュラブの手前に季節の草花を少量入れると、季節ごとの変化が楽しめる花壇になります。 美しいシュラブを生み出す「小関園芸」 というわけで、庭づくりではとても頼りにしているシュラブですが、シュラブの中でもとても美しいカラーリーフを作り出す人が、私が拠点とする岐阜県にいます。40年以上の歴史がある「小関園芸」の小関正司さんです。「小関園芸」はアメリカンブルーの新品種 ‘ブルーコーラル’や‘サマースノー’など、たくさんのオリジナル品種を生み出してきた植物の生産農家です。2代目を継ぐ正司さんは、もともとはパソコンのプログラマーをしていましたが、家業を継ぐべくアメリカで植物生産の研修を経て、20年以上前に就農。すぐにシュラブの葉の美しさに魅せられ、自身でも育種を手掛けるようになりました。 生産・育種を手がける小関正司さん。 ほふく性で色変わりするヒペリカム‘ゴールドフォーム’ 最初に育種に着手したのが、ヒペリカム‘ゴールドフォーム’。一般的なヒペリカムは樹高0.2〜1m程度の低木で、夏から秋にかけて黄色の花が咲き、その後には可愛らしい赤い実ができ、フラワーアレンジメントでもよく使われます。 一方、小関園芸オリジナルのヒペリカム ‘ゴールドフォーム’は、ほふく性で這うように広がり、さらに葉の色変わりが楽しめるというユニークな特徴を持った品種。春先のライムグリーンからイエロー、オレンジ、チョコレートと、晩秋まで葉色が変化するのです。半日陰でより美しさを発揮し、耐寒・耐暑性にも優れ、庭作りではとても重宝します。 繊細な斑入り葉のヒサカキ‘ミスティーホワイト’ 「砂子斑(すなごふ)」と呼ばれ、まるで霧を吹いたかのような繊細な斑入り葉が美しいヒサカキ‘ミスティーホワイト’も小関園芸のオリジナル品種です。ヒサカキといえば、日本では古くから神棚に飾る習慣があり、日本の気候にとても適しています。白をベースに緑の極小砂子斑のミスティーホワイトは、とてもおしゃれな雰囲気。ヒサカキの「和」のイメージを覆し、モダンな住宅にもよく似合います。 コントラストが美しいヒサカキ‘残雪’ 斑入り葉のヒサカキ‘残雪’。じつは、この‘残雪’の生産中に小関さんが枝変わりを発見し、数年かけて固定させたのが‘ミスティーホワイト’です。白と緑のコントラストが美しく、やはりおしゃれな雰囲気。ヒサカキは常緑なので、一年中庭に緑を提供してくれます。こうした斑入り葉の品種は日陰に強く、葉色が明るいため、暗くなりがちな日陰エリアで重宝します。 「小関園芸」が生産する美しいシュラブ類 「小関園芸」が生産している黄金ユキヤナギ。古くから日本に自生する植物の中から、改めて美しい植物を再発見するのも小関さんの得意とするところ。 「小関園芸」ではヒサカキなど日本の自生種から斑入り葉などを育種し、さまざまなカラーリーフのシュラブを生産・育種しています。自生種が元になっているので、丈夫で育てやすく、私は庭づくりでとても頼りにしているのですが、その生産の仕方はじつに丁寧で、すべてのポットの水やりを手で行っています。生産農家では頭上からスプリンクラーで一斉に水まきをするところが多いので、3寸ポットの小さなものから一つひとつ手で水やりをしていると聞いて、とても驚きました。その理由を、小関さんは次のように話します。 1ポットずつ水分量を調節して水やりを行っている。 「シュラブは草花類と違って育つのがとても遅く、生育初期段階で最低3カ月はかかります。一年草のパンジーだったら、種を播いて開花している期間ですよね。でもシュラブはようやくそれらしい形になってくるのに1年以上かかることもあります。生育初期は葉があまりないため蒸散もしません。つまり水が乾きにくいんですが、少しの大きさの違いで、水を欲する量がひとつずつ違います。ですから、生育に合わせて、それぞれ異なる適量に水を調節する必要があるんですよ」(小関さん) 西洋イボタ(プリペット)‘カスタードリップル’ 特に「小関園芸」が多く生産している斑入り葉は、生育が遅い特性があります。斑が白く抜けている部分は葉緑素が少なく、育ちにくいのです。まるで盆栽のように気をつかいながら水やりを1ポットずつ丁寧にやるのには、そうした理由もありますが、もう一つ大きな理由があります。それがオリジナル品種の育種です。 1/30万の可能性で生まれる新品種 「新品種の育種は、突然変異や枝変わりを見つけるところからスタートするのですが、その発生率は、例えば斑入りのものだったら1万ポットに1個ほど。最初から他と違う個性がはっきりと出ているわけではなく、なんか違うぞという可能性を感じるところからスタートするものもあるので、そういうのを見逃さないという目的もあって、手灌水にこだわっています。出荷前にも全てのポットをもう一度自分の目でチェックして、可能性があるものを拾うのが育種のスタート地点なんです」 小関さんが最初に育種を手掛け大ヒットしたヒペリカム‘ゴールドフォーム’。 しかし、他と異なる個性のものを見つけたとしても、全てが新品種として世に出るわけではありません。突然変異は生育特性上弱く、育種の過程でダメになってしまうものがほとんど。新品種としてデビューできるのは、1/30万ほどしかありません。私たちの手元に届く新品種は、膨大な手間と時間をかけて生まれた奇跡の植物なのです。 「生産効率は悪いですよね。うちは一つひとつに目が届きやすいように、ポットを置くスペースもゆったり確保しているので、なおさら。僕はITの世界から植物生産の世界に来たので、最初はなんて労力がかかって効率が悪いんだと思っていたんですけど、でも面白いんですよね。昨日までこの世になかった美しい植物をこの手で生み出す喜びは、全ての原動力です。まず単純に美しいなぁという感動があるし、何年もかけて性質を固定させ、新品種として初めて市場に持って行く時のワクワク感。『何、これ?!』って興味津々で聞かれた瞬間、心の中でガッツポーズですよ(笑)」 ガーデンですぐに使えるプロ仕様のシュラブを近日限定販売! 左は一般に流通している3号ポット苗。右がガーデンストーリーWebショップで限定販売予定の大苗。 前述の通り、シュラブは生育がゆっくりで、斑入り葉などは特に生産に時間がかかるため、流通量は限られています。近年はカラーリーフが寄せ植えなどでも重宝され、小さなポットのものも流通していますが、3号ポットは庭植えで大きくなるまでに時間がかかりすぎます。造園家としては、庭植えですぐに効果を発揮して欲しいもの。そこで、造園設計の私たち「かたくり工房」特別発注で、「小関園芸」にシュラブの大苗生産を依頼。プロが庭づくりに使う大苗をガーデンストーリーショップで、一般の方にも近日販売できることになりました。生産に時間がかかるため、限定数で近日販売いたします。販売開始はガーデンストーリーのインスタグラムでご案内します。 1.ヒサカキ‘ミスティホワイト’2.ヒサカキ‘残雪’3.チリメンカズラ(白斑)4.黄金ユキヤナギ(ユキヤナギ‘オーレア’)5.西洋イボタ(プリペット)‘カスタードリップル’6.チリメンカズラ‘オーレア’ さまざまなカラーのシュラブが花壇の中央から後方へ配置されている。かたくり工房設計・施工 シュラブは庭の骨格、背景、彩りとして活躍し、なおかつスーパーローメンテナンスな素材です。「いつもきれいな庭」を叶えるために、庭に取り入れてみませんか?
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ガーデンデザイン
【プロが解説】初めての庭づくり 地面に絵を描いてみよう
無駄な草取りはすぐやめましょう しばしば、新築の家の庭の草取りを一生懸命しているパパさんを見かけますが、草取りはすぐやめましょう。パパさんの休日はもっと楽しく、有意義なものでなければなりません。それに、残念なことにその草は取っても取っても、すぐに生えてきますよ。というのも、新築の家の造成地には、山から運ばれてきた土が入っています。山から運ばれてきた土には、ありとあらゆる草の種子が仕込まれており、いわば雑草の苗床状態。取ったところで徒労に終わりますので、もっと有意義な庭づくりの始め方をお教えします。 除草剤を使っていったん土をリセット まずは除草剤を使って、土をいったんリセットしましょう。「除草剤」と聞くと、使うのがなんだかコワイ、環境への影響が心配、と思われる方がいるかもしれませんが、ご安心を。「農林水産省の農薬登録を取得している除草剤」は、農薬として登録するまでに人や生物、環境の安全を確保するためのさまざまな審査をクリアしています。商品ラベルに「農林水産省登録〇〇〇〇〇号」という番号が入っている商品を選び、使用方法を守れば安全です。 適した除草剤を選んで使いましょう 除草剤は用途によってさまざまな種類があります。大きく分けると、以下の2つのタイプになります。 ■土に薬をまくタイプ/薬の成分が根から吸収されて草を枯らす。効果は6カ月から1年近くなど長いものが多い。駐車場など、長期的に植物を育てる予定のない場所に向く。 ■雑草に直接かけるタイプ/葉や茎から成分が吸収されて草を枯らす。薬の成分は土に落ちると効果がなくなるため、かかっていない雑草には効かない。効果は2週間など短いものが多い。 防草シート 庭の予定地には後者のタイプが向いています。除草剤をかけて雑草を枯らしたら、防草シートをとりあえず庭全体に敷いておきます。この防草シートは、庭計画にともなって後から部分的に取り除きますが、後々にも必要になります。防草シートを敷けばとりあえず、これで草取りの労役からは解放されます。さあ、楽しい庭計画をじっくり練りましょう。 防草シートの上に庭の絵を描こう 防草シートは雑草を防ぐためのものですが、キャンバスとしても役立ちます。防草シートの上に、ペンやチョークを使って庭のレイアウトを描いてみましょう。まずはざっくりとしたエリア分けでOK。デッキや花壇、芝生のエリア、ガーデンテーブルを置く場所など、庭をどんな風に使いたいか、室内からはどう見えるかなどを考慮しながら、家族であれこれ考えてみましょう。 日当たりの確認をしましょう エリア分けを考える上でヒントになるのは、日当たりです。植物が健全に生育するには、基本的に日光が必要ですから、樹木や花壇、芝生のエリアは日が当たる場所にレイアウトしましょう。「日が当たる」と一口にいっても、当たり具合で適した植物が異なります。植物の生育に関連して、日当たり具合を以下の4つに分けました。庭のどこがどれに当てはまるか、チェックしてみましょう。 日当たり良好/朝日が当たり、午後過ぎまで日が当たって、西日(3時以降の日)は建物などで遮られる。日当たり強光/午前中から日暮れまで、ずっと日が当たる。半日陰/午前中のみ、または午後からのみ日が当たる。日陰/一日中、日が当たらない。 最も植物の選択肢が多いのは、①の「日当たり良好」エリア。②も植物がよく育つエリアですが、夏の暑さと乾燥に注意が必要。強い光によって「葉焼け」するような植物は避けます。③は日陰にも強い植物を選びます。④は植栽する場所ではなく、収納スペースなどに活用するとよいでしょう。 植栽は庭の敷地の20〜30% 植栽スペースは敷地の20〜30%ほどでも、緑は豊かに見える。 これから庭づくりをしようというとき、緑いっぱい、花いっぱいの庭にしたい、と思っている人は少なくないでしょう。もちろん、できますとも。でも、庭いっぱいに植栽をしてはいけません。植栽帯は庭の敷地の20〜30%がちょうどよいくらいです。「えっ!少なっ!」と思ったあなた。植物は立体物ですから、面積ではなく体積で考えましょう。例えば、樹木は枝葉を伸ばして空間を豊かな緑で彩ってくれます。この緑の見え方のことを「緑視率(りょくしりつ)」といいますが、植栽帯は20〜30%でも緑視率は十分です。 70〜80%は庭の機能面 タイルでペイビングし、周囲を花壇にした例。小さなカゼボ(東屋)は日を遮り、庭で快適に過ごせる空間。 では、植栽していない他の70〜80%はどうするのかというと、そこは人のための場所です。デッキやガーデンテーブルを置く場所、人が歩く動線や水場、作業場、収納場所など、庭の機能面を充実させるスペースとして考えましょう。 Magdanatka/Shutterstock.com 芝生を全面に張った場合でも、人がよく行き来する動線部分は芝生がはげてくることがあります。また、テーブルを置いたらその下は陰になり、芝生は早々に枯れてきます。芝生がなくなったところは土が剥き出しになり、雨が降るとドロドロになります。足元がドロドロのテーブルでお茶を飲むのは不快極まりありません。ですから、人の動線や居場所は最初から決めておいて、タイル敷きや砂利敷きにしておくことをおすすめします。そうすれば、枯れゆく芝生を悲しむ必要もありませんし、何度も芝生を張り替える労力も必要ありません。 まずは樹木から選びましょう 幹肌が美しいアオダモ。樹高が高くなりすぎず、目線で緑の葉っぱが楽しめるのでおすすめ。 植物には大きく分けて樹木類と草類があります。まずは庭の骨格を作る樹木から考えましょう。小さな庭でも樹木はあったほうがいいです。先ほど述べたように、樹木は圧倒的な緑視率に貢献しますし、庭が整った印象になり、草花の彩りも美しく見えます。ただし、木の大きさに注意。家の近くに高木を植栽して、樹木の根っこが家の基礎の下に入りこんで家が傾いてしまったという事例もあります。樹木を選ぶ時は、次のことを必ずチェックしましょう。 ●生育後の大きさ/大きくなる木は根っこも地上部と同じサイズ感で大きくなると考える必要があります。また、樹木がある程度生育したら、定期的な剪定などの手入れが必要です。 ●常緑か落葉か/常緑樹の場合、その下は木陰になります。落葉樹の場合、夏は木陰に、秋冬は日向になります。また、落ち葉の掃除の必要があります。 樹木を買うなら冬がチャンス 樹木の苗が豊富に流通するのは冬です。冬は落葉樹など多くの樹木が休眠期や生育緩慢になる時期で、植木屋さんの畑から苗木を傷めず掘り上げて出荷することができるからです。植栽にも適した時期ですので、冬のうちに樹木だけでも決めておくことをおすすめします。 住宅街の庭におすすめのコンパクトな樹木 住宅街の庭では、あまり大きくなりすぎる樹木を植えると、庭全体が日陰になってしまって他の植物が育たなくなったり、近所への落ち葉の心配などもあります。シンボルツリーとしてよく選ばれる木には樹高が10m以上になるシマトネリコやハナミズキなどがありますが、生育すると自分で剪定するのは難しくなるので、プロに依頼する必要があります。住宅街の庭なら、樹高3〜4mでも十分です。家の天井高の平均が2.2〜2.4mですので、それよりも大きい木ですが、樹木では低木に分類されます。低木は庭では垣根などとして扱われることが多いですが、自然樹形で育てるととても美しい枝ぶりでシンボルツリーに適したものもたくさんあります。おすすめの樹木を以下にご紹介します。 ニシキギ ニシキギの紅葉。poupine/Shuttersutock.com 低木に分類される樹木で、樹高は大きくなっても3m。住宅街の庭にちょうどよい高さで止まってくれます。紅葉の美しさを錦に例えられて名前がついたほど、秋は見事に紅葉します。枝を奔放に伸ばし、自然樹形だと上の写真のようにゆったり枝を広げますが、剪定しやすい高さなので、枝ぶりを庭の広さに合わせて自分でコントロールできます。 小さな庭のシンボルツリーとしておすすめのニシキギ。 エルダー エルダーフラワーとして知られる西洋ニワトコも低木〜中低木類に分類され、樹高は約3〜6m。初夏に咲く白い花は、さまざまな薬効のあるハーブとしても知られ、シロップ漬けにしてコーディアルとして飲まれます。園芸品種に黒葉でピンクの花を咲かせる‘ブラック・レース’があります。花後にはエルダーベリーと呼ばれる黒い艶やかな実がなり、この実もジャムなどにして食されます。 西洋ニワトコ‘ブラック・レース’。alfotokunst/Shutterstock.com エルダーフラワーもエルダーベリーも、英国では古くから風邪などの諸症状によいとされ親しまれている。domnitsky/Shutterstock.com オオベニウツギ 自然樹形だと3mほどに育ち、春はピンクの花をたわわに咲かせて見事です。耐暑性・耐陰性に優れ、病害虫にも強く非常に丈夫です。シンボルツリーとして扱われることの少ない樹木ですが、下枝を整理するように樹形を仕立てていくと、とても美しく印象的です。 冬の間にシンボルツリーを決め、植栽するところまでやっておくことをおすすめします。次回は、樹木以外の植物の選び方をご紹介します。
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雑草対策
庭づくりは暑さ対策にも効果絶大! 10℃も差が出る緑の実力
庭が雑草だらけになるワケ Pixbull/Shutterstock.com 「雑草が生えていることに罪悪感やストレスを感じる方は多いんです」と話すのは造園家の阿部容子さん。「でも、そもそも庭に雑草が生えてしまうのは当然。というのも、住宅地の造成には、雑草のタネが大量に含まれている山土や野ざらしの土を使用しているので、何もしなければ、あらゆる雑草が生えてきます。そして、『雑草』とひとくくりにして邪険にしていますが、植物学的に見たら、特殊な生態を獲得したユニーク植物たちで、まともに草取りしていてもかなう相手ではないんですよ」。 コンクリートのわずかな隙間から芽を出した雑草。kreativfabrika/Shutterstock.com 雑草は生態学的には「撹乱依存型」と呼ばれ、踏まれたり、抜かれたり、環境がかき乱される状態にめっぽう強い性質があります。アスファルトの隙間から雑草が生えているのを見たことはありませんか? これはどんな植物にもできる技ではなく、雑草といわれる植物たちだけがもつ特殊な能力なのです。例えば、野菜やバラなどは、適期に肥料をやったり剪定をしないと花や実をつけなかったり、逆に肥料を与えすぎても「肥料焼け」という症状を起こし、健全に生育できないことがあります。しかし、雑草は悪条件下でも種子を残し、好条件下ならより種子を多く生産するという性質があります。つまり、どんな環境下でもベストを尽くして必ず花を咲かせ、種子を残すというわけです。さらに、最初は草丈の低い一年性の雑草が発芽し、次に草丈の高い多年性の雑草が発芽してくる、というように、発芽のタイミングが異なる種類がたくさん土の中に仕込まれた状態にあるため、取っても取っても生えてくる、という草取りループから抜け出せないのです。 庭をコンクリートで覆うと灼熱地獄に 海外の住宅街の庭。小さくても快適。Hannamariah/Shutterstock.com 雑草で覆われた庭は雑然とした雰囲気ですし、ヤブ蚊も発生してしまいます。雑草だらけの庭をどうにかしたいと思っている方は非常に多く、その手段の一つとして、コンクリートで表面を覆ってしまうケースもあります。しかし、その前に、別の案を探ってみることを強くおすすめします。 というのも、コンクリートで覆われた庭は、夏の暮らしの快適度を著しく低下させるからです。コンクリートで覆われた地面は、真夏の日射で表面温度が60℃近くまで上がることも珍しくありません。これは、もし犬を飼っている場合、愛犬が肉球に簡単に火傷を負ってしまう温度です。もちろん靴を履いている人間にも過酷です。日射を受けた地面からは赤外放射という熱が発せられ、頭上からの日射に、足元からの赤外放射が加わり、外気温が30℃でも体感温度は40℃にも上がってしまうのです。近年は35℃を超える猛暑日といわれる日が続くことも珍しくありませんが、地面からの赤外放射がある場合、気温プラス10℃が体感温度だとすると、猛暑日の体感温度は45℃以上。もはや熱湯風呂です。 さらに、コンクリートで覆われた面積が広ければ広いほど、この赤外放射の熱量は増します。環境省が発表している「まちなかの暑さ対策ガイドライン」によると、真夏の正午(気温約33℃)に、幅の広い道路で歩行者が受ける受熱量を計算したところ、6畳の部屋で1,000Wの電気ストーブを10台使用した場合と同程度の熱量になったという報告があります。まさに灼熱地獄。こんな環境に長く身を置いたら、冗談ではなく死にそうです。 自動車が走る道路はアスファルトで覆う必要がありますが、自宅の敷地内にこんな過酷な環境を自ら作り出すのは、まったく名案とはいえません。もちろん、室内ではエアコンを利用するでしょうが、前述したように、外は電気ストーブを並べて家をガンガン温めているような状態なのですから、冷房効率はとても悪く、CO2排出量も無駄に上がってしまいます。草取りから解放されるというメリットを得る代わりに、灼熱地獄に毎夏、耐えなければならないなんて、あまりにも代償が大きく、無謀なチャレンジ。 しかし、もちろん選択肢は、この2つだけではありません。 緑で覆われた地面は10℃も低い! グラウンドカバープランツのグレコマ(左)とリシマキア・ヌムラリア‘オーレア’(右)。 おすすめの選択肢は、小さくても庭をつくることです。地面には雑草の代わりにグラウンドカバープランツと呼ばれる地被植物を植えます。地被植物は草丈が低く、地面を這うように育つため、緑の絨毯のように茂って、雑草が生えにくくなります。芝生もその一つですが、他にも花が咲くものや香りのよいものなど、いろいろな種類があるので、以下の記事を参考にしてみてください。 ●グラウンドカバーに最適な植物10選【足元のカバーや雑草対策に活用!】 地面をグラウンドカバープランツで覆った部分は、日向のアスファルトより10℃以上低いことが確認されています。そのメカニズムは、植物の蒸散作用にあります。植物は葉っぱの裏から水蒸気を出して水分量の調節をしており、気温が高ければ高いほど多くの水蒸気を放出します。この蒸散作用のおかげで、グラウンドカバープランツで覆った地面は日射を受けても表面温度が上がりにくく、夕刻以降は気温よりも低くなります。同様の理由で、家の周りに植物の垣根を巡らせたり、フェンスにつる植物を這わせたりすることも効果的です。ただし、蒸散作用は植物の生命活動の一環ですから、人工芝やフェイクグリーンなどでは、その効果を得ることはできません。 緑の木陰は同じ気温でも体感温度が7℃も低い! また、樹木が作る木陰は、頭上からの日射と赤外放射を軽減し、同じ気温でも体感温度が7℃程度低くなるという結果が出ています。個人邸の庭では、あまり高くなりすぎないニシキギやマンサクなどの中低木を植えたり、藤棚などのようなパーゴラを設置するのも手です。また、ゴーヤなどで作るグリーンカーテンにも夏の強い日差しをカットし、蒸散作用によって気温を下げる効果があります。植物は日光を浴びて光合成し、新鮮な酸素をたっぷり排出してくれるので、緑の庭から入ってくる空気も美味しく感じられることでしょう。 ●庭木にオススメの樹木と選び方、助成金も賢く利用しよう! 庭をつくり始める前に除草処理をしておこう rigsbyphoto/Shutterstock.com さて、植物を植える前に、大事な作業が除草処理です。前述したように、庭の土にはあらかじめ雑草の種子がたっぷり含まれているため、そのまま庭づくりをスタートすると、雑草が生えてきます。草取りの労力を減らすために、阿部さんは造園の前準備として、除草剤を使って一度地面をリセットしてから土壌改良を行い、植栽をしています。「除草剤にはさまざまなタイプがあります。発芽前の種子に効くものや、すでに生えている草に効くもの、また持続期間も2〜3週間で切れるものから半年以上続くものまであるので、適したものを選んで使います」。 ●草取りで心が折れそうな人へ。除草剤の効果的な使い方 植物を植えるエリアと人の通り道、居場所を明確に 除草したあと、地面の表面温度が下がるからといって、一面に植物を植えてもよい結果にはなりません。植物の手入れをしたり、家との出入りをしたり、庭の中には人が通る動線があります。いつも踏まれているところは、芝生も傷み、張り替え作業が必要になります。ですから、人の動きを予測し、歩く場所にはあらかじめレンガやタイルで小道をつくっておきます。 しばしば、屋外空間が車庫スペースとして大幅に取られる場合がありますが、その場合にはグラウンドカバープランツで地面を覆い、車のタイヤが通る部分だけをタイル敷きにするという方法で緑化面積をつくることができます。 かたくり工房の庭にあるバラのパーゴラ。 また、阿部さんは庭に人の居場所をつくると、より暮らしが楽しくなると話します。「デッキを設けたり、ガーデンファニチャーを置く場所をあらかじめ決めて庭をデザインするといいですよ。室内から眺めるだけでなく、庭を生活空間の一つとすることで、Stay Homeの難局も苦にならずに過ごせると思います。実際、そのように思われる方が多いようで、造園の依頼は増えていますね。緑は温度を下げるというだけでなく、さまざまな季節の楽しみをもたらし、植物の手入れをすることでリラックス効果が得られることも科学的に分かっています」。 テーブル一体型のデッキフェンスは、かたくり工房オリジナル。 阿部容子さんが実践する庭づくりのメソッドが詰まった書籍『宿根草で手間いらず 一年中美しい小さな庭づくり』 雑草対策の他にもキッチンガーデンや果樹、ハーブなど、さまざまなアイデアで庭のある楽しい暮らしを提案してくれる阿部さん。これまで数々の庭づくりの経験をしてきた阿部容子さんが監修した庭づくりの書籍『宿根草で手間いらず 一年中美しい小さな庭づくり』(西東社刊)が、2022年4月25日に発売されました。 庭は暮らしにもっとも身近でありながら、日常の緊張感からも身も心も解きほぐしてくれる癒やしの空間になります。ですが、どんな小さな庭でも少なからず手入れが必要になります。庭主がメンテナンスによってストレスにならないようにと阿部さんがこれまで実践してきた庭づくりのノウハウが詰まった一冊。ガーデニングに悩む方や、これから本格的に庭をつくろうとしている方への力になる書籍です。 <主な内容>手間をかけずに四季を彩る!居心地のよい小さな庭のつくりかた! ●植え替え不要の宿根草を生かした庭!●まねしたくなる、美しい実例がたくさん!●植物の選び方、配置、組み合わせ方が理論で理解できる!●小さな庭で活躍する植物図鑑つき! 『宿根草で手間いらず 一年中美しい小さな庭づくり』 監修/阿部容子 発行/西東社 A4変形版 カラー144ページ 定価1,500円+税
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家庭菜園
小さな庭で収穫たっぷり! デッキ一体型家庭菜園
ビフォーは、雑草が繁茂していた庭 庭づくりをする前は、軽自動車2台分のスペースに雑草が繁茂していました。このままでは雑然とした雰囲気ですし、ヤブ蚊も発生してしまいます。このような雑草だらけの庭をどうにかしたいと思っている方は非常に多く、その手段としてコンクリートで覆ってしまうケースがよくあります。でもその前に、別の案を探ってみることを強くおすすめします。 庭をコンクリートで覆ってしまわないで! コンクリートで覆われた地面は、日射を受け赤外放射という熱を発します。頭上からの日射に足元からの赤外放射が加わると、外気温が30℃でも体感温度は40℃にも上がってしまいます。コンクリートで覆われた面積が広ければ広いほど、この赤外放射の熱量は増し、室内の冷房効率も著しく低下します。 一方、地面が緑で覆われている場合、その表面温度はコンクリートと比較し10℃も低くなることが環境省から発表されています。 ●庭づくりは暑さ対策にも効果絶大! 10℃も差が出る緑の実力 アフターは駐車もできて、家庭菜園も芝生もある庭に! この庭の依頼を受けたのは、造園家の阿部容子さんが在籍する「かたくり工房」。公園や病院、マンションの庭、ショーガーデンなどを手がける一方で、個人邸の庭づくりを大事にしています。 施工にあたっては、庭の手前に駐車スペースを確保し、フェンスを仕切りにして奥をガーデンにしました。駐車スペースは全体をコンクリートで覆ってしまうと、前述のように高温になりすぎるので、芝生を張ってタイヤが通る部分だけを石張りに。タイヤが通る部分は踏圧で植物が育たないので、最初から石張りにしたほうが芝生の張り替えなどの手間も省けて効率的です。 スリッパのまま行き来ができるデッキ一体型菜園 フェンスの奥が、芝生とデッキ、菜園が揃ったプライベートエリアです。デッキと菜園は一体型になっていて、地面レベルがほぼ同じ高さです。リビングからスリッパのままデッキへ出て、菜園で野菜を収穫し、そのまま室内に戻るということが可能です。施工当時、まだお子さんが小さかったことから、できるだけ菜園を生活空間に近づけて、靴を脱いだり履いたりする手間も省けるようにしました。 隣家との境には、リンゴの木とジューンベリーを植栽してあります。ジューンベリーは春の白い花、初夏の赤黒い果実、秋には美しい紅葉と、楽しみの多い果樹です。果実は生で食べても甘酸っぱく美味しくいただけますし、ジャムなどにして保存することもできます。ジューンベリーを角地に植栽し、その両サイドにリンゴをエスパリエ仕立てにしました。エスパリエ仕立てとは、枝を水平に伸ばす果樹の仕立て方の一つです。枝をそのまま自然樹形で仕立てると、その下にある菜園が日陰になってしまいますが、エスパリエ仕立てなら陰を作ることなく省スペースで果樹栽培が可能なので、小さな庭づくりにはおすすめの仕立て方です。菜園は深さがあるので、ジャガイモやダイコンなどの根菜類も育てられます。 家族がゆったり集えるオリジナル「デッキ in テーブル」 デッキは家族が庭を眺めながらゆっくり過ごせるアウトドアリビングとして活躍します。デッキチェアが2脚置けますが、テーブルセットも置くと菜園までの動線の邪魔になるので、使う時だけ引き出して使える「デッキ in テーブル」を制作しました。使用しない場合は、デッキの中にしまえる仕掛けになっています。この写真は、このデッキを制作したのは「かたくり工房」スタッフで、テーブルは4人で囲めるくらいの大きさです。また、庭へ降りる際のステップは、上り下りしやすい段差であることはもちろん、奥行きも吟味。ステップに腰を下ろしてリラックスできるよう、十分な奥行きが取られています。 防犯対策にもなるメロディーフェンス フェンスは格子状のデザインとし、庭への風通しや日照が確保できるようにしました。このフェンス、じつは音が鳴るのです。間に長さの異なる鉄筋が入っており、バチで叩くとメロディーが奏でられる楽しい仕掛けがあります。お子さんやその友人たちにも大人気です。 中央の白い大きなコンテナは、ライトが灯るライティングコンテナ。夜になると公道に面した駐車場側は明るく照らし出され、庭側は暗くなるので、プライベートエリアを守ることができます。このように、完全に壁などで覆ってしまわないほうが、防犯対策には有効です。 庭は五感刺激の宝庫 デッキを下りたエリアは芝生にしました。立水栓の周囲を玉砂利でデザインし、タイムも植栽してあります。玉砂利の上を裸足で歩くと足裏が刺激され、タイムの香りも立ち上ります。タイムは料理にも使えるハーブですし、五感への刺激は豊かな感性を養うきっかけにもなります。 立水栓の位置は意外と大事。庭の真ん中にあったほうが水まきの際にホースさばきが楽です。地植えの植物には基本的に水やりはいらないのですが、近年のような猛暑が続く場合には、菜園にも芝生にも水やりをしたほうがいいでしょう。特に、ナスは水が不足すると硬くて食べられません。葉っぱがくたっとなるような場合には、水やりが必要です。 このように、小さな庭こそプロの知恵と技術を借りましょう。最初にいいデザインをしてもらうことで、その後のガーデニングの楽しみや暮らし方が大きく違ってきます。「こんな小さなスペースをお願いしていいのかしら」「ガーデンデザイナーに依頼するなんて敷居が高い」と思われている方が少なくありませんが、そんなことはありません。気軽に相談して、充実したガーデンライフを叶えてくださいね。
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樹木
庭木にオススメの樹木と選び方、助成金も賢く利用しよう!
庭の中での樹木の役目 樹木も草花と同様にさまざまな種類があり、樹高や樹姿、落葉、常緑といった特徴を踏まえて庭に適したものを選びます。樹木を選ぶときは、庭のどこに何の目的で植えるかを明確にしておく必要があります。 生け垣に向く樹木の特徴 植える目的が分かりやすいのは、生け垣。生け垣は、主にフェンスなどと同様に、敷地の境界線を示し、公道からの視線を遮るという明確な目的で植えられます。ですから、向こう側が見通せないよう枝葉の密度が高く、下部から葉が茂り、病害虫に強いものが適しています。また、公道に面している生け垣は、美観はもちろんのこと、枝葉が伸びすぎて通行の邪魔にならないように、常に形を保っておく必要があります。このため、年に3回程度は刈り込みますが、刈り込んでもすぐに新芽が発生する性質も生け垣にする樹木の条件です。これらの特徴を備えているのが、生け垣によく用いられるレッドロビン、オウゴンマサキ、トキワマンサク、アラカシ、シルバープリペットなどです。 生け垣に助成金が出る自治体も 生け垣はフェンスと同様の目的と書きましたが、そのほかにも防音効果や火災の際の延焼防止、空気の浄化、さらに街の景観の一部としてなど、公共的な役目も果たします。そこで、自治体によっては新たな生け垣の造成に助成金制度を設けている地域があります。一軒あたり、総額500,000円という決して少なくない額を示している地域もあるので、生け垣を作ろうと思っている場合は、一度お住まいの自治体の制度を調べてみるとよいでしょう。 シンボルツリーとは シンボルツリーとは、その家の象徴となる樹木のことです。家の外観に調和させるため、低木ではなく、ある程度高さのある樹木が植えられます。花が楽しめるハナミズキやヤマボウシ、ヒメシャラに加え、近年は常緑でおしゃれな雰囲気のオリーブやシマトネリコなども人気です。ただし、これらの樹木はいずれも「高木」といわれる樹種で、10年もすると見上げるような姿になるので、植え場所をよく検討し、高くなりすぎる場合は剪定で樹高を抑えて育てる必要があります。ちなみにシンボルツリーの植樹にも助成金が出る自治体があります。 小さな庭に向く樹木 紅葉が見事なニシキギ 日本の狭小な住宅事情を考えると、前述の樹木より樹高の低い樹木のほうが扱いやすく、親しみやすいかもしれません。小さな庭にオススメなのが、ニシキギです。ニシキギは低木といわれる部類に入り、樹高は大きくなっても2〜3mで自然に止まります。このくらいの樹高で止まってくれれば、自分で剪定もしやすいでしょう。それになんといっても葉の美しさが格別です。ニシキギという名の通り、最大の魅力は錦のごとく見事な紅葉です。晩秋には実がはじけてオレンジ色のタネがぶら下がり、その姿はなんとも可愛らしいものです。冬は落葉します。春から夏にかけては明るく柔らかい黄緑色の葉が茂り、「翼(よく)」と呼ばれる特徴的な姿をした枝は生け花の花材としても重宝されています。剪定によく耐え、新芽を素早く吹くため生け垣にもしばしば用いられますが、自然樹形で育てても写真のような品のよい姿にまとまります。季節ごとにさまざまな表情で楽しませてくれるオススメの樹木です。 鮮やかな花と葉が美しい赤葉紅花トキワマンサク もう一つおすすめなのが、赤葉紅花トキワマンサクです。常緑の葉は鮮やかな赤色になり、春になるとフューシャピンクの花が木の全体を覆うように咲き、華やかこの上ない姿になります。よく垣根にも利用される樹種ですが、単独で自然樹形に仕立ててもシンボルツリーや庭木として活躍してくれます。3m以上伸びる中木に分類されますが、主幹を好みの高さで切って樹高をコントロールすることが可能です。下のほうにも枝葉が茂るので、見上げることなく目線で美しい葉が楽しめます。手入れも比較的楽で、芽吹きがよいので、あまり時期や切る場所を気にせず剪定ができます。枝の伸びがよいので、花が咲き終わるのを待って5月くらいに切り戻すとよいでしょう。また、枝が混み合う場合には枝元から剪定して枝数を間引き、風通しをよくしておきましょう。 花も実も紅葉も楽しめるジューンベリー ジューンベリーも庭木にオススメの樹木です。春には白い小さな花が咲き、初夏には赤いベリーがたくさん実ります。果実は甘酸っぱく生食もできますし、ジャムにして保存も可能です。秋の紅葉も見事です。高木に育ちますが、生育がゆっくりなので毎年、落葉期に剪定することで樹高のコントロールが容易です。剪定も難しいルールは一切ないので、伸びすぎた枝や混み合った箇所の枝を切るようにしましょう。また、果樹の多くが害虫被害を受けやすいのに対し、ジューンベリーはほとんど心配がありません。ただし、この赤い果実は鳥たちも好物。いろいろな野鳥がやってきますが、庭でバードウォッチングができると思って、彼らをあまり敵視しないほうが楽しいガーデンライフを送ることができるでしょう。 株立ちと単幹(一本立ち) 株立ち・単幹(一本立ち)の雰囲気の違い 樹木には株立ちと単幹(一本立ち)という樹姿があります。株立ちとは、根元から複数の幹が生えている状態の木で、上の写真では左側のカツラのような樹姿です。複数の幹に栄養が分散されるため、幹が細く繊細で優しい雰囲気になります。1株で雑木林っぽい雰囲気を出せるのも特徴です。 一方、単幹(たんかん)とは、幹が1本の樹姿です。上の写真では右側のクローブが単幹です。1本の幹に栄養が集約されるため、太くしっかりとした幹になり、堂々とした雰囲気が出ます。 株立ち・単幹(一本立ち)のそれぞれの役割 こうしたビジュアルや雰囲気の違いだけでなく、株立ちと単幹では、同じ樹種でも育ち方に違いが出てきます。複数の幹に栄養が分散される株立ちは、上に伸びるスピードが比較的遅く、樹高も単幹より低くなります。ですから、住宅街の庭などで、あまり大きくしたくないけれど、どうしても高木の樹種を植えたい場合などは、株立ちを選ぶことで解決できることもあります。 また、株立ちは横に広がって育つため、隣家からの視線を遮る目隠しの効果もあります。さらに、株立ちの樹木は屋上ガーデンやベランダガーデンなど、根が張れるスペースが限られている場所にも向いています。単幹は台風などの場合に強い風にあおられ根こそぎ倒れてしまうことがありますが、株立ちは幹の間から風を逃がすことができるので、倒れにくいからです。 一方、単幹はスッキリとした樹姿を生かしてフォーマルな雰囲気をつくることができます。上の写真ではシラカバを小道の両脇に左右対称に植え、ゲートのようにしました。落葉樹なので冬には葉が落ちますが、白い幹肌が際立って美しい風景をつくってくれます。 また、単幹は使い方次第で庭を実際よりも広く見せることができます。伝統的な庭園の構成には、樹木の足元に「根締め」といって、低木のツツジなどを植えるセオリーがありますが、小さな庭ではそれとは逆に、意識して何も植えずに空白をつくります。この空白のことをエアポケットといいます。あえて何もない余白の空間をつくることで印象を操作し、庭にゆったりとした雰囲気を生み出すことができるのです。ですから株元に植栽をするなら、グラウンドカバー程度にとどめておくといいでしょう。 このように樹種や樹姿の選び方、使い方によって印象操作が可能になり、より魅力的な庭をつくることができます。樹木は一度植えたら変更や移動が難しい植物です。キレイだから、好きだからということはもちろん大事ですが、それに加えて、その場所でのその木の役割を考えてみることも、樹木選びのポイントです。
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ガーデンデザイン
庭の小道やアプローチなどに必須のペイビング実例
庭の小道とは? その必要性を解説 バラをたくさん植えたい、季節の花で美しく彩りたい、子どもが遊べる芝生の広場をつくりたいなど、庭づくりの目的は、人それぞれに違います。さまざまな希望を胸に理想の庭の風景を思い描くとき、どんな植物を植えようか、どんな組み合わせをしようかというように、植物へ意識が向くものですが、それと同様にじっくり考えたいのが、庭の動線と植栽をしない地面部分のことです。 前庭の場合は、家への出入りのためのアプローチとしての道が必要ですし、建物の向こう側に庭がある場合にも、植物の手入れのための動線として、庭の中に小道が必要です。人が毎日通るような場所は、必ず踏圧がかかり芝生もハゲてくるため、最初から動線を決めて敷石を置くほうが、何度も芝生を植え替えるストレスもなく、ローメンテナンスで済みます。また、小道という骨格があると、庭がきちんと整理された印象にもなります。 そうした庭の小道づくりを含め、タイルやレンガや砂利などで地面を美しくデザインしたり、歩きやすく舗装したりすることをペイビングといいます。もしも、ペイビングを施さずに地面がそのままむき出しの状態だと、雑草は生え放題だし、雨の後はドロドロになって歩きにくくて仕方がありません。また、ペイビングを施さずに全ての地面を植栽で埋めようとしたら、とても手入れの大変な庭になってしまうでしょう。 庭のリフォームのペイビング実例 こちらはかたくり工房でデザイン、施工を手がけたお宅の施工前の写真。施主は寄せ植え教室を開いている植物好きの方で、多くの植物を育てていましたが、植栽のない地面部分は砂利の混じった土がむき出しで、雑草取りにとても苦労されていました。せっかく植物が好きなのに、庭の手入れのほとんどが草取りになってしまっている方が多くいらっしゃいますが、それはとてももったいないと思います。そこで既存の植物を活かしながら、地面や庭の骨格を整えるリフォームをしました。 園路としての機能性と景観を両立したペイビング 施工後の写真です。古民家風の母屋や庭の敷地内にある蔵に合うように、和のテイストを取り入れながらペイビングを仕上げました。さまざまな大きさの四角い敷石と野面石(のづらいし)、砂利を組み合わせ、園路としての機能性と景観を両立させました。砂利の間にも植栽マスを設け、タイムを植栽。よく茂って緑が小島のように浮かび、景色にみずみずしさをプラスしてくれます。ところどころに施主の作品の寄せ植えを飾っていますが、グレーに統一したペイビングの中だからこそ、寄せ植えもよく映えます。この庭では、数字の上では、ペイビングのほうが植栽帯よりも面積を多く占めています。しかし、見た目には大きな柿の木や茂った植物が緑の面積をかせいでくれているので、印象としては緑豊かです。この緑の量感のことを緑視率(りょくしりつ)といいます。 庭をほしいと思う方には植物の好きな方が少なくありませんし、緑に癒されたいと思っている方も多いでしょう。植物をたくさん植えたい、育てたいと思われるかもしれませんが、じつは「豊かな緑=広い植栽帯」ではなく、植栽帯にそれほど面積を割かなくても、十分な緑の量感を成立させることができます。大切なのは、ペイビングと植栽のバランスです。ペイビング部分が多くなりすぎると、人工的でイカツイ雰囲気が強調されてしまいますし、逆に植栽帯が広すぎると、先述のようにメンテナンスにとても手間のかかる庭になってしまいます。植物の実際的な量よりも、どんな植物をどこにどんな風に配置するかで、量感は変わります。例えば、この庭では縁側に近づけて青ダモの樹木を植えていますが、室内から眺めた際に、青ダモの葉越しに庭が見えるため、緑の量感はより豊かに感じられます。 庭の小道のペイビング実例 デッキと乱張り、自然石を組み合わせた庭の小道。 ペイビングは庭の雰囲気に合わせて素材を選びましょう。この庭はハーブを多く植えたナチュラルガーデンなので、ペイビングも自然な感じに仕上げました。ただし、広い庭なので単調にならないように、複数の素材を使って変化をもたせています。 上と同じガーデンの小道です。ここでは真砂土(まさど)でペイビングをしています。真砂土とは花崗岩などの風化が進んで砂状になったもので、水をまくと土が締まり、しっかり固まります。水はけもよく、雨が降ってもぐちょぐちょにならないので、舗装材としてよく利用されますが、見た目には土っぽく自然です。ペイビングの中では最も安価な材料で、レンガやタイルなどと比べて施工もしやすいので、D.I.Y.で小道を作りたい方にもオススメです。ホームセンターなどで手に入ります。 こちらは、また別の庭の小道です。バラと草花が溢れる自然風の庭で、お客様がご自身で枕木を敷いて、間に砂利を敷き詰めた小道です。オルラヤのタネが飛んで小道にも草丈の低い花が咲き、可愛らしく素朴な雰囲気です。乱張りやタイルの施工はテクニックが必要ですが、このように素材と工夫次第で庭の小道はD.I.Y.でもつくることができます。 小道は歩く楽しさを演出するのもコツです。この庭では平石のステップの間にハーブのタイムを植え、足が触れるたびに香りが立ち上るようにしています。小道の側に植えたバラも、特に芳香豊かなものを選んでいます。 庭の水場のペイビング実例 先ほどの小道の先にはサークル状のペイビングを施し、周囲を季節の花で囲んでいます。ここは立水栓を設けた、いわば踊り場的なスペースです。広い庭なので、数カ所に立水栓を設置していますが、水場の足元にもペイビングを施したほうが機能的です。足元がぐちょぐちょになりませんし、ホースさばきもスムーズです。 これは和のテイストを取り入れた庭の一角で、きれいなデザインの立水栓を選んで花壇の中央に水場を設けました。水鉢の周りはタイムが伸び広がっていますが、その下は花壇に合わせた黒い小石のペイビングが施してあり、排水も整えられています。 アウトドアリビングのためのペイビング実例 また、庭の中にテーブルやベンチを置く場合、そこは人が動き回る場所なので、地面はペイビングを施したほうが使い勝手が断然よくなります。このように、あらかじめ庭の中に人の居場所を決めてプランを立てると、ガーデンライフはより充実し、楽しいものとなります。 伝統的な日本庭園は室内からの眺めを前提とし、建物の開口部を額縁と見立てて、美しく切り取られた庭の風景を室内から楽しみますが、草花の咲くガーデンは、庭の中に人が入って楽しむ西欧のライフスタイルが背景にあります。草花を収穫したり、庭で食事をしたりと、より植物と近しい距離で庭での暮らしを楽しむには、ペイビングで機能性を整えておくと、ガーデンライフの快適度が格段に変わりますよ。 併せて読みた
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ベランダガーデニング
やってみよう!初めてのガーデニング。Step2は空間づくりのイメージを固めよう
どんなベランダガーデンにする? イメージしてみよう! ベランダガーデニングを始めよう! と、まず最初にするべきことは、ガーデンセンターへ行って植物を買ってくることよりも大切なことが3つあります。それは、どんなベランダガーデンにしたいか、イメージを固めることです。 1つめは、お好みの雰囲気。2つめは、主に使いたい色。3つめは、楽しむ時間帯はいつか。焦ってあれもこれもと、その日の気分で植物やガーデングッズを買っていては、いつになっても自分が心地いいと思える、理想のベランダガーデンには完成しません。では、具体的に3つの項目を見ていきましょう! その1 全体のイメージを決めよう ナチュラル、スタイリッシュ、イギリス風、フランス風…等々、様々な雰囲気の中から、求める空間を決めましょう。雰囲気が決まればおのずと素材が見えてきますね。 例えば、床の色や素材は何がいいでしょう。ウッド、タイル、レンガなど。フェンスの素材は? ウッド、アイアン、レンガなど。 植木鉢ではテラコッタ、陶器、ストーン、アイアンなど。ガーデンファニチャーも、ウッド、アイアン、プラスティックなど。 限られたスペースでは、植物以外の物が放つ存在感は大きいのです。かわいいからと、あれもこれもと取り入れると乱雑に見えてしまいます。でも、あらかじめイメージを固めておけば、必然的に選択肢が確定して頭も整理されるので、世の中にあふれかえる商品に惑わされることなく、ガーデニング用のお買い物を楽しむことができます。 その2 色 素材が決まったら、次はとても大きな要素でもある色を決めましょう。 色合わせってなんだか難しそうとお考えなら、単色をオススメします。単色でも植物がそこに変化をつけてくれるのです。好きな色がたくさんあって迷うといわれる方は、お好きな花色を基準に選んではいかがですか。 花屋さんで選ぶとき、どうしても好きな色に偏るのが人の常。その色を引き立てる色、もしくは邪魔をしない色をベースにしておけば、おのずと空間は整います。淡い色がお好きな方は柔らかい色調、はっきりした色がお好きな方はちょっと濃い目の色、超モダンがお好みならば思い切って無彩色。 その3 楽しむ時間帯で選択する 日中ではほとんどの色を楽しむことができますが、赤、青、紫等、日が落ちてからは見えにくくなる色があります。 仕事などの事情で楽しむ時間帯が夜になるのであれば、わずかな光でも浮かび上がる白や黄色、淡い色をオススメします。淡い色は色が飛んでしまい、ほとんど白に見えてしまうのですが、昼と夜、別の顔が楽しめるのも得点だと思います。 3つのチェック項目は、いかがでしたか? 次はあなたのベランダの環境や状況に合わせて、植物を選んでいきましょう! Photo/ 1) A Travel Stock 2) ESstock 3) aimy27feb Elena Efimova 4) oatautta 5) Ania K 6) Helen Sushitskaya 7) dvoevnore 8) SChandra 9) Bildagentur Zoonar GmbH /Shutterstock.com
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宿根草・多年草
庭に一度植えたらどんどん増殖!? はびこって困る要注意植物5つ
一番困る植物は「地下茎で増える」植物 写真は、街中ではびこっているのをよく見かけるヒメツルソバです。野生化してどんどん広がる生育旺盛な植物ですが、増えすぎれば抜き取ってなくすこともできます。でも、これからご紹介する5つの植物は、抜いても抜いてもどこからか生えてくる“地下茎(ちかけい)”で広がる困った植物です。地下茎で増えるとは、地面の中で根を横に広げながら伸びていくという意味。その根はどこまで伸びているか目で確認ができないため、思いがけないところから芽を出します。また、地面を掘り起こして根をすべて除去できたと思っていても、5㎜でも地中に根が残っていたら再び芽を出すという生命力を持っています。 これから登場する5つの植物は、花や緑を楽しみたいガーデンには、極力植えないほうがよいと覚えておきましょう。 はびこる植物1つめは、竹・笹 寒さに強く、春にはタケノコの味覚の楽しみをもたらしてくれる竹。日本でも古くから親しまれてきた植物ですが、新たに住宅街のガーデンに植えるのはやめましょう。竹や笹など竹の仲間は成長力が強く、1日で1m以上伸びるともいわれています。竹林の近くにある民家の敷地に竹が侵入して、困ったという事例が多くあります。 はびこる植物2つめは、ミント類 葉を揉むと爽やかな香りが立ち上り、ハッカとしても馴染みがある代表的なハーブの一つ、ミント。切った茎をコップの水に挿しておくだけでも根が出るほど丈夫で、こぼれダネや地下茎で繁茂します。ミントの仲間はとても多く、ペパーミントやスペアミント、モロッコミント、アップルミント、グレープフルーツミント……と書き出すときりがありません。バリエーションが豊かなので、いろんな品種をコレクションしようと、何種か一緒に花壇に植えると、地下茎同士で交雑してしまい、品種の区別もつかなくなってしまいます。もしミントを育てるなら、品種ごとに鉢植えにしましょう。そして、鉢は地面から離すことが肝心。地下茎が鉢底穴から伸びて、気がついたら地面に這って伸びていたということもあります。 「レモンバーム」と名前がついていても、ミントの仲間です。苗を買う時、何の仲間か見ても分からない時は、札をよく見て選びましょう。お店の人に教えてもらうのも一案です。 はびこる植物3つめは、グレコマ 別名、カキドオシ(垣通し)と呼ばれ、名の通り垣根を通り越してお隣さんの敷地にまで伸びていく、生育旺盛な植物。葉が白く縁取られた、カラーリーフ(グレコマ・ヘデラケア/西洋垣通し)としてもよく目にする植物です。茎を伸ばし、小さめの葉がアクセントになることから、寄せ植えの脇役としても人気です。「鉢植えなら広がって困ることはないでしょう」と思ったら大間違い。成長スピードが速いので、鉢の縁から伸び出た茎が地面に到着。そして、根を下ろして地面を這って広がってしまうのです。グレコマを鉢植えにしたら、地面に届かない場所かテラスなどに飾りましょう。 はびこる植物4つめは、ラミウム グレコマと同様に小ぶりの葉をつけ、20〜40㎝ほど茎を立ち上げながら地下茎でどんどん増えるラミウム。道端でも見かける日本の自生種、ホトケノザやオドリコソウの仲間です。環境に適した場所だと、どこまでも伸びていく生育旺盛な性質。ハンギングバスケットや寄せ植えのカラーリーフとしてよく使われています。また、庭植えのグラウンドカバーとしての役目を果たしますが、思いがけない場所に生えてしまうので注意が必要です。 ラミウムには、葉に入る白い斑模様にいくつかバリエーションがあります。5〜6月には黄色や紫などの花が咲きます。姿は可愛らしく、ガーデンにも似合いますが、広がることを知ったうえで取り入れるとよいでしょう。 はびこる植物5つめは、ドクダミ 道端や空き地などでも群生し、独特な香りを放つドクダミ。お茶などでも馴染みがあり、抗菌作用があるといわれています。半日陰の湿った場所が好みですが、生育に適した環境だとどんどん広がっていきます。家の影になって、他の植物が育ちにくいデッドスペースに育っている分には特に気にならない、というならば恐れなくても大丈夫です。 ドクダミと認識していなかったのに、いつのまにか鮮やかなカラーリーフがドクダミに占領されていたら驚きますよね。ハート型の斑入り葉の周囲が赤く染まり、一見カラーリーフとして目を引く写真の植物は「ゴシキドクダミ」。別名、カメレオン、フイリドクダミ、トリカラーなどとも呼ばれるドクダミの園芸品種です。これもドクダミと同様に地下茎で増えるのですが、日照りが続いて水が切れたりすると原種にかえり、いつのまにか鮮やかな斑がない緑葉のドクダミへと変わってしまうという事例があります。お気に入りの植物を育てる場所としてガーデンを楽しんでいるところに、植えた覚えのないドクダミが取っても取っても生えてくる。思いがけない地下茎のワナにはまらないためにも、ゴシキドクダミは地植えにするのは避けましょう。 はびこる植物を庭に取り入れたい場合 これらのように、旺盛に茂る植物は場合によっては大変なことになりますが、その性質を知ったうえで、上手に取り入れる手段もあります。それはルートコントロール。「ルート」とは根っこのことです。地中に根っこが伸びられる範囲を制限する仕掛けをする方法です。そのように根の生育をコントロールしておけば、必要以上にはびこって、草取りに追われることもありません。詳しくは以下の記事で紹介していますので、参考にしてみてくださいね。 【永久保存版】草取りのいらない「ノンストレスガーデン工法」を詳しく解説! Photo / 1) A.Sontaya/ 2) Teresa Design Room/ 3) footageclips/ 4) agatchen / 5) Skyprayer2005 / 6)mizy7-1) InfoFlowersPlants/7-2) Ole Schoener/ 8)feathercollector / 9) guentermanaus / Shutterstock.com
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ベランダガーデニング
やってみよう! 初めてのガーデニング。失敗しないベランダガーデニングの始め方
check1 排水口をチェック! 排水口が詰まると、ベランダが水浸しになったり、建物そのものに害を及ぼすことにもなりかねません。防除策の方法は、排水口の周りに隙間用のスポンジテープなどを貼って、細かいゴミや土を受けとめるようにします。スポンジ部分が目詰まりしたら、こまめに取り換えましょう。(詳しくは、『ベランダガーデニングを始める前に、排水口をスマートにゴミ対策』をご覧ください) check2 日当たりをチェック! 一日のうちで、日の当たる場所と時間帯を確認します。午前中のみ、午後のみ、一日中日が当たる、もしくはまったく日が当たらない…など。日が当たる場所とその時間帯は植物選択の重要なポイントの一つです。 check 3 気温のチェック! 一日の最高気温と最低気温が測れる温度計を設置します。ベランダの夏の最高気温と冬の最低気温は、天気予報通りにはならないのです。環境や条件によっては、夏は40℃を簡単に超える高温になることも。これも、植物選択の重要なポイントになります。 check 4 重さのチェック! ベランダには重さの制限があり、1㎡当たり約180㎏が限度と考えてください。鉢植えは、(植木鉢+土+植物+水)が重量になります。さらに、植物の世話をする時にはあなたの体重も加わります。大きめの植木鉢を置きたいのならば、プラスチック製や樹脂製の軽い鉢を選びましょう。最近はおしゃれな物もたくさんありますよ。 check 5 フェンスをチェック! サビなどの傷みが生じていないか確認します。特に、中古マンションやリノベーション物件は、経年変化で傷みがないかよく確認する必要があります。プランターやハンギングバスケットをかけたり、フェンス自体を木製フェンスなどに変身させたいと思っている場合は、フェンスの高さや手すりの幅をあらかじめ知っておくと(スマホのメモへ保存すると便利)、買い物先で思いがけず見つけた材料や機材などの購入に役に立ちます。 5つのcheck項目は、いかがでしたか? 次はあなたのベランダの環境や状況に合わせて、具体的なイメージを固めましょう! Photo/1)Ania K 3)Elena Elisseeva 4)NATNN 5) Anteromite6)Edward O'Neil/Shutterstock.com 併せて読みたい