あべ・ようこ/岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。ぎふ国際バラコンクール審査員として岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を生かし、病院のガーデンも施工しています。
阿部容子 -ガーデンデザイナー/造園家-
あべ・ようこ/岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。ぎふ国際バラコンクール審査員として岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を生かし、病院のガーデンも施工しています。
阿部容子 -ガーデンデザイナー/造園家-の記事
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ガーデンデザイン

もう雑草に悩まない! おしゃれな庭の小道&アプローチの作り方|プロが教える舗装(ペイビング)実例集
庭の小道とは? その必要性を解説 バラをたくさん植えたい、季節の花で美しく彩りたい、子どもが遊べる芝生の広場をつくりたいなど、庭づくりの目的は、人それぞれに違います。さまざまな希望を胸に理想の庭の風景を思い描くとき、どんな植物を植えようか、どんな組み合わせをしようかというように、植物へ意識が向くものですが、それと同様にじっくり考えたいのが、庭の動線と植栽をしない地面部分のことです。 庭づくりは植物を植えることだけを中心に考えられがちですが、庭の美しさは植栽以外の部分のつくりも重要。中でも庭の小道や、植栽帯以外の地面部分は、庭の中で意外にも多くの面積を占めています。「歩くための地面」という基本的な機能性を求められる場所のつくりは、その後のガーデンライフの快適度を決定づけます。 前庭の場合は、家への出入りのためのアプローチとしての道が必要ですし、建物の向こう側に庭がある場合にも、植物の手入れのための動線として、庭の中に小道が必要です。人が毎日通るような場所は、必ず踏圧がかかり芝生もハゲてくるため、最初から動線を決めて敷石を置くほうが、何度も芝生を植え替えるストレスもなく、ローメンテナンスで済みます。また、小道という骨格があると、庭がきちんと整理された印象にもなります。 そうした庭の小道づくりを含め、タイルやレンガや砂利などで地面を美しくデザインしたり、歩きやすく舗装したりすることをペイビングといいます。もしも、ペイビングを施さずに地面がそのままむき出しの状態だと、雑草は生え放題だし、雨の後はドロドロになって歩きにくくて仕方がありません。また、ペイビングを施さずに全ての地面を植栽で埋めようとしたら、とても手入れの大変な庭になってしまうでしょう。 イギリスのコテージガーデンの小道。Hockeymum/Shutterstock.com ランダムな形のステップストーンと砂利を組み合わせ、植物の色も引き立てながら歩きやすいつくりに。Mira Drozdowski/Shutterstock.com 庭のリフォームのペイビング実例 こちらはかたくり工房でデザイン、施工を手がけたお宅の施工前の写真。施主は寄せ植え教室を開いている植物好きの方で、多くの植物を育てていましたが、植栽のない地面部分は砂利の混じった土がむき出しで、雑草取りにとても苦労されていました。せっかく植物が好きなのに、庭の手入れのほとんどが草取りになってしまっている方が多くいらっしゃいますが、それはとてももったいないと思います。そこで既存の植物を活かしながら、地面や庭の骨格を整えるリフォームをしました。 園路としての機能性と景観を両立したペイビング 施工後の写真です。古民家風の母屋や庭の敷地内にある蔵に合うように、和のテイストを取り入れながらペイビングを仕上げました。さまざまな大きさの四角い敷石と野面石(のづらいし)、砂利を組み合わせ、園路としての機能性と景観を両立させました。砂利の間にも植栽マスを設け、タイムを植栽。よく茂って緑が小島のように浮かび、景色にみずみずしさをプラスしてくれます。ところどころに施主の作品の寄せ植えを飾っていますが、グレーに統一したペイビングの中だからこそ、寄せ植えもよく映えます。この庭では、数字の上では、ペイビングのほうが植栽帯よりも面積を多く占めています。しかし、見た目には大きな柿の木や茂った植物が緑の面積をかせいでくれているので、印象としては緑豊かです。この緑の量感のことを緑視率(りょくしりつ)といいます。 庭をほしいと思う方には植物の好きな方が少なくありませんし、緑に癒されたいと思っている方も多いでしょう。植物をたくさん植えたい、育てたいと思われるかもしれませんが、じつは「豊かな緑=広い植栽帯」ではなく、植栽帯にそれほど面積を割かなくても、十分な緑の量感を成立させることができます。大切なのは、ペイビングと植栽のバランスです。ペイビング部分が多くなりすぎると、人工的でイカツイ雰囲気が強調されてしまいますし、逆に植栽帯が広すぎると、先述のようにメンテナンスにとても手間のかかる庭になってしまいます。植物の実際的な量よりも、どんな植物をどこにどんな風に配置するかで、量感は変わります。例えば、この庭では縁側に近づけて青ダモの樹木を植えていますが、室内から眺めた際に、青ダモの葉越しに庭が見えるため、緑の量感はより豊かに感じられます。 庭の小道のペイビング実例 デッキと乱張り、自然石を組み合わせた庭の小道。 ペイビングは庭の雰囲気に合わせて素材を選びましょう。この庭はハーブを多く植えたナチュラルガーデンなので、ペイビングも自然な感じに仕上げました。ただし、広い庭なので単調にならないように、複数の素材を使って変化をもたせています。 上と同じガーデンの小道です。ここでは真砂土(まさど)でペイビングをしています。真砂土とは花崗岩などの風化が進んで砂状になったもので、水をまくと土が締まり、しっかり固まります。水はけもよく、雨が降ってもぐちょぐちょにならないので、舗装材としてよく利用されますが、見た目には土っぽく自然です。ペイビングの中では最も安価な材料で、レンガやタイルなどと比べて施工もしやすいので、D.I.Y.で小道を作りたい方にもオススメです。ホームセンターなどで手に入ります。 こちらは、また別の庭の小道です。バラと草花が溢れる自然風の庭で、お客様がご自身で枕木を敷いて、間に砂利を敷き詰めた小道です。オルラヤのタネが飛んで小道にも草丈の低い花が咲き、可愛らしく素朴な雰囲気です。乱張りやタイルの施工はテクニックが必要ですが、このように素材と工夫次第で庭の小道はD.I.Y.でもつくることができます。 小道は歩く楽しさを演出するのもコツです。この庭では平石のステップの間にハーブのタイムを植え、足が触れるたびに香りが立ち上るようにしています。小道の側に植えたバラも、特に芳香豊かなものを選んでいます。 庭の水場のペイビング実例 先ほどの小道の先にはサークル状のペイビングを施し、周囲を季節の花で囲んでいます。ここは立水栓を設けた、いわば踊り場的なスペースです。広い庭なので、数カ所に立水栓を設置していますが、水場の足元にもペイビングを施したほうが機能的です。足元がぐちょぐちょになりませんし、ホースさばきもスムーズです。 これは和のテイストを取り入れた庭の一角で、きれいなデザインの立水栓を選んで花壇の中央に水場を設けました。水鉢の周りはタイムが伸び広がっていますが、その下は花壇に合わせた黒い小石のペイビングが施してあり、排水も整えられています。 アウトドアリビングのためのペイビング実例 また、庭の中にテーブルやベンチを置く場合、そこは人が動き回る場所なので、地面はペイビングを施したほうが使い勝手が断然よくなります。このように、あらかじめ庭の中に人の居場所を決めてプランを立てると、ガーデンライフはより充実し、楽しいものとなります。 伝統的な日本庭園は室内からの眺めを前提とし、建物の開口部を額縁と見立てて、美しく切り取られた庭の風景を室内から楽しみますが、草花の咲くガーデンは、庭の中に人が入って楽しむ西欧のライフスタイルが背景にあります。草花を収穫したり、庭で食事をしたりと、より植物と近しい距離で庭での暮らしを楽しむには、ペイビングで機能性を整えておくと、ガーデンライフの快適度が格段に変わりますよ。 併せて読みた
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ガーデンデザイン

NHK『趣味の園芸』出演の造園家・阿部容子さんが解説! 防草シートで草取りを減らす庭づくり【ノンストレスガーデン工法】
防草シートは「草取りを減らす」だけじゃない 防草シートというと、「雑草を生えにくくするためのもの」というイメージが強いかもしれません。しかし、庭づくりに上手に取り入れることで、草取りの負担を減らす以外にもメリットがあります。 例えば、地表を覆うことで土の急激な乾燥を防ぎやすくなり、雨などで土が流れたり、せっかく整えた庭のデザインが崩れたりするのを抑えることにもつながります。 ただし、「とりあえず地面にシートを敷けばいい」というものではありません。シートの継ぎ目や端の処理が不十分だと、わずかな隙間から雑草が生えたり、風でめくれたりすることがあります。また、植物を植える庭では、植栽部分のつくり方や水やりにも注意が必要です。 そこで、雑草対策と植物を育てることを両立するために考えられたのが、造園家・阿部容子さんの「ノンストレスガーデン工法」です。 雑草との戦いから解放する「ノンストレスガーデン工法」 季節ごとに移り変わる美しい花々を眺めて暮らせたら素敵…と多くの人が思うものです。しかし、いざガーデニングを始めてみたら、自分が植えた花以上に、勝手に生えてくる雑草に手をわずらわされ、「こんなはずじゃなかった…」と思っている人は少なくありません。 施工前の更地。雑草に悩まされていた。 草取りのいらない「ノンストレスガーデン工法」で施工。芝生エリアを含め、庭全面に防草シートが敷かれている。 「育てたい花だけを育てたい」というごく当たり前でのようでいて、これまで叶わなかった夢をついに実現したのが、かたくり工房が開発した「ノンストレスガーデン工法」。草取りから解放されるだけでなく、プラスαのメリットがある画期的なガーデン工法です。 ノンストレスガーデン工法の3つのメリット ①草取りの負担を大幅に減らせる ②土の乾燥や流出を抑え、植物を育てやすい環境をつくれる ③庭のデザインを長く維持しやすい ノンストレスガーデン工法施工直後。マルチングのバークの下は防草シート。 ノンストレスガーデン工法施工2年後。植えた植物が育って、マルチングは見えない。草取りの労力ほぼなし! かたくり工房所属の造園家、阿部容子さんは、「ノンストレスガーデン工法は、年齢とともに庭づくりの体力がなくなり、植物の世話ができないとお客さまから相談されたことがきっかけです」と話します。なんとか労力を少なく、大好きな花を育てることを今までどおり楽しんでほしいと生み出したノンストレスガーデン工法ですが、今では個人邸はもちろん、公共の公園など全国から多くの依頼があります。実際に、かたくり工房がノンストレスガーデン工法で施工したバラ園は、それまで草取りにかけていたメンテナンス費が1/10にまで削減され、主役であるバラの手入れにより力が入れられるようになりました。 ノンストレスガーデン工法のSTEP この工法が正しく広がり、もっと手軽に緑を楽しめる人が増えてほしいと願う阿部さん。この工法について、詳しく解説してくれました。 【ノンストレスガーデン工法に必要な主な資材】 カラー防草シート(植栽シート)/防草効果の高い高密度の不織布製で厚さ0.45mm程度のもの。あまり分厚いものだと扱いにくいです。色は土壌となじむブラウンがおすすめ。 ノンストレスガーデン工法用土壌資材(以下工法解説Step3に詳細) ノンストレスガーデン工法専用植栽リング(*ガーデンストーリーで取り扱い) 防草シート用強力ガムテープ(なるべく強度の高いもの) モルタル バークか砂利(防草シートを隠すためのマルチング材) その他の道具/チョーク、カッター、ハサミ、スコップなど 【ノンストレスガーデン工法(土壌の下準備編)】 Step1 除草をする ●植栽しようと思っているエリアに雑草が多く生えている場合は、薬剤で除草します。特にスギナなど、地下茎で増える雑草がある場合は、除草剤を用いるのが効果的です。枯れた雑草はいったん取り除き、土の中に残らないようにします。 ●宿根草など必要な植物がすでに植わっている場合は、それらをいったん別の場所に仮植えしてから除草します。宿根草は根が本格的に動き出す前の3月くらいまでは移植が可能です。 ●樹木など移植が難しいものがある場合は、樹木から1m以上離して(大木の場合は上部の枝の広がり以上離して)除草剤を使います。樹木がたくさん植わっていて1m以上離せない場合は、除草剤は使わず手で除草します。 ●新築の場合、敷地内に使われている土の中には発芽前の雑草のタネが含まれていることが多いので、発芽を抑制する効果のある除草剤を用います。 <除草剤の選び方&参考商品> 除草剤は商品によって効果の持続期間が2週間〜1年と大きく異なるので、植栽までの期間を計画的に考え、適したものを用いて除草します。また、除草剤には液剤や粒剤がありますが、液剤のほうがムラなく、まんべんなくまきやすいです。 ●「グリーンスキットシャワー」/草花の周りで使用可能。1〜2週間で雑草が枯れた後すぐ、新たに植栽できる。液剤なので、まんべんなくまくことができる。 ●「草退治メガロングFL」/スギナ・ドクダミ・ススキ・ササ・ゼニゴケなどの枯れにくい雑草を退治し、発芽抑制効果もある。ただし、効き目は8カ月残るので、植栽時期を計画的に。液剤なので、まんべんなくまくことができる。 Step2 排水勾配をつける 土壌を整地します。傾斜があると、後から用いるマルチング材が流れるため、なるべくフラットにしてから、排水勾配を1%つけます(水平器を用います)。排水勾配1%とは、敷地外の排水方向に向かって1mで1cm低くなるように傾斜をつけることで、歩道もそのように作られています。見た目も歩いた感じも傾斜があるようには感じられませんが、庭の環境を健全に維持するのに必須です。排水勾配がないと雨水が庭にいつまでも溜まってしまうため、植栽した植物が根腐れしてうまく育たないばかりか、家を傷めたり、健康被害をもたらすこともあります。 Step3 土壌改良 植栽エリア内の土壌改良をします。ノンストレスガーデン工法の土作りでは、有機物をあまり含まない土壌資材を用います。有機物はいずれ分解されてなくなり、シートが徐々に沈んできてしまうためです。前のステップで除草した雑草は有機物になるため、土の中に混ぜないようにします。以下の土壌資材は団粒構造が壊れにくく、シートの浮き沈みが少ない配合です。植物の生育に必要な養分は、植栽後にシートの上から与えます。 【ノンストレスガーデン工法用土壌資材】 パーライト 14ℓ バーミキュライト 14ℓ 燻炭 8ℓ 牛フン 4ℓ ダイアジノン(コガネムシの幼虫などのネキリムシ用殺虫剤) 規定用法量 上記計40ℓを、1㎡に深さ20〜30cmで敷き詰めます。 【ノンストレスガーデン工法(シートの敷き方編)】 Step1 構造物をつくる 敷地の境界線になっているブロック(自身の敷地専用か共有ブロック)に防草シートをモルタルで固定していきますが、共有でない場合は、境界線のブロックから3cmセットバックして構造物を新たに設けます。シートを留めつけるためなので、高さは5cmあればOKです。 モルタルで留めつけないと、ほんの少しの隙間からもこのようにスギナなどの雑草が繁茂してしまうので、シートの端はモルタルできっちり接着する必要があります。 Step2 防草シートを広げる 防草シートを庭に広げます。庭の外周方向のシートの端は20cm程度余裕を持たせて配置します。この20cmは、①モルタルとののりしろ ②つっぱり防止のためのふくらみです。このふくらみがないと、人が歩いたときの重みでシートが沈んで引っ張られ、シートが破れたり、引き抜けたりする可能性があります。また、温度でシートが伸び縮みするのに対応する目的もあります。 Anastasiia Smiian/Shutterstock.com シートは細長いロール状になっており、複数枚をつなぎ合わせながら敷くことになります。シートとシートのつなぎ目は10cmほど重ねて、つなぎ目を防草シート用強力ガムテープで隙間がないようぴったり貼り合わせます。つなぎ目に隙間があると、強風であおられシートがはがれることがあります。防草シート用のピンのみだと隙間ができるため、ピンは仮留めとして用い、最終的にはガムテープでしっかり留めつけます。 Step3 防草シートの端処理 M.KOS/Shutterstock.com 庭の中に花壇の縁や敷石などの構造物がある場合は、シートの端を構造物に沿ってカットします。シートの端から2cmほどのところに、シート端と平行するように、ハサミやカッターで長さ10cmほどの切り込み(青のハサミ印)を入れます。モルタルで留めつける際、この切り込みの中にもモルタルを入れ込みながら接着すると、モルタルがフックのようにシートを留めつけ、複雑な形でも固定強度が高まります。カーブした箇所では赤のハサミ印のようにシートに縦に切り込みを入れると、フィットさせることができます。*直線箇所では、赤のハサミのように切り込みを入れる必要はありません。 Step4 シートを留めつける構造物の端を掘り下げる 防草シートを留めつけるレンガなどの構造物の際(きわ)を、5cm程度の深さに掘り下げます。 クワなどを用いて構造物の際を掘り下げます。 掘ったらコテなどで土を斜めに押さえつけて整えます。 ハケで構造物側についた土を払います。 シートと構造物をモルタルで接着します。その際、シート端と平行に入れた横の切り込みの中にもモルタルを詰め込むのがポイント。 庭全面にシートが敷かれた状態。 【ノンストレスガーデン工法(植栽編)】 Step1 植栽箇所にリングを当てて印をつける どこに何を植えるのか、あらかじめ決めておき、シートの上にチョークで植栽ポイントを記していきます。宿根草の植栽場所には「ノンストレスガーデン工法専用植栽リング」を当てて、チョークでリングをなぞります。 *ノンストレスガーデン工法専用植栽リングとは 防草シートの上から宿根草や小型の低木類を植栽するために開発した円形状のプラスチック製リングです。植物の根張りや給排水が正常に行われ、シートの押さえとして機能し、バークで隠れる仕様になっています。防草シートとの併用で植物が健全に育つよう開発された専用アイテムですので、ノンストレスガーデン工法ではこの専用植栽リングを用いることを推奨します。植え穴をリングでしっかり抑えないと、風にあおられシート全体がめくれ上がってしまうことがあります。 (cap)左は株元が1本立ちで上部が大きく生育するタイプ。右は株元から茎が増えて株立ちになり、横に広がって生育するタイプ。 サイズは6号(直径18cm)と8号(直径24cm)の2サイズがあるので、最終的に植物が生育する大きさや生育に従い変化する株元の形状に合わせて、どちらかを選んで使います。株元の形状が1本立ちで生育するタイプは6号サイズ、株元から複数茎が立ち上がって株立ちになるタイプは8号サイズがおすすめです。 「ノンストレスガーデン工法専用植栽リング」はこちら 宿根草以外の樹木や一年草のエリアは、チョークで植栽エリアのラインを描きます。一年草は植え替えや花がら摘みなどの作業がしやすいように、たいていは花壇の手前に配置するといいでしょう。 Step2 植え込み穴をあけ植栽 チョークで記した部分をカッターで切り取ります。植栽リングをギュッとはめ込み、シートをしっかり押さえます。植え込み穴の土を苗の根鉢の大きさ程度掘り上げ、リングの中に苗を植え込みます。 バラや樹木の植栽エリアはカッターで十字に切り込みを入れ、中央に植栽した後、切り込みに強力ガムテープを貼って留めます。 十字の切り込みを強力ガムテープで留める。 タイムを植栽。 リシマキア、タイムなどのグラウンドカバー類の苗(3号ポットサイズ)を植栽する場合には、10〜12cmの円をカッターであけて植栽します。グラウンドカバー類は横に広がって地面を覆い、それ自体が押さえとして機能します。 季節で植え替え作業が必要な一年草のエリアは植栽エリアの手前に。 一年草のエリアはシートをカットし、端を樹脂エッジで押さえ、樹脂エッジと防草シートを強力ガムテープで留めます。その後、一年草を植栽します。 防草シートを長持ちさせる重要ポイント! 紫外線にさらさない 植栽後は穴の中にたっぷり水やりをし、防草シート部分が隠れるようバークや砂利などでマルチングをします。防草シートは紫外線によって劣化が早まるので、必ず覆い隠します。バークは堆肥に近いバークチップを敷くと雨水によって防草シートの中に養分が染み込んで植物の生育をサポートしてくれます。砂利をマルチングとして用いると、夏には日射で砂利が50℃以上になるため植栽エリアにはあまり向きません。砂利は通路など植栽をしない場所に向いています。 植栽直後の花壇。 植栽から1年後。 【ノンストレスガーデン工法(メンテナンス編)】 ●水やり 初年度の水やりには注意が必要です。植栽した穴の中を意識してたっぷり水を与えます。ホースで全体的に水まきをしていると、植物に水が届いていない場合があります。また、ちょっとした雨では植物に十分行き渡らないことが多いので、初年度は乾きに注意します。可能なら自動灌水装置があると楽です。自動灌水装置の設定は朝1回(AM5時)にして、たっぷりめに。足りない場合は夕方に手灌水で水分をプラスします。2年目以降は極端に雨が降らない場合を除き、自然の降雨に任せてOKです。 ●肥料 植栽の穴の中に、各植物の適期に肥料を施します。バラや樹木の箇所は、一度マルチングをどけて、ガムテープをはがして与えます。メネデール社の「バイオマイスター」をマルチングとして用いている場合は、防草シートの上から全体的にバイオマイスターを施すだけでOKです。バイオマイスターは防草シートの上から肥料成分を植物に届けることができ、マルチング材としても活躍する土壌資材です。 根を育てる肥料成分や土壌環境をよくする善玉菌を配合したバイオマイスター。 ●マルチング バークチップ(またはバイオマイスター)は分解されてなくなっていくため、減ってきたら植物の葉が少なくなる冬期に足します。 草取りから解放されれば、庭の大小を問わず、体力のない人も、時間がない人も、美しい庭のある暮らしが叶います。
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雑草対策

9月25日再放送 NHK「趣味の園芸」にも登場! 防草シート×多年草「クラピア」で雑草対策 人工芝との地表温度差は45℃以上!?
NHK「趣味の園芸」で紹介される「防草シート活用術」とは? 「防草シート」というと、雑草を生やしたくない場所を黒いシートですっぽり覆うもの、というイメージがあるかもしれません。しかし、防草シートを使いながら植物を育てる方法もあります。 9月20日放送のNHK「趣味の園芸」で造園家・阿部容子さんが紹介するのは、花壇全体に防草シートを敷き、植物を植える部分だけに穴をあける方法です。雑草の発生を大幅に抑えながら、多年草や樹木などを植栽。さらにシートの上をマルチング材やグラウンドカバープランツで覆うことで、一見しただけでは防草シートが使われているとは分からない、自然な庭をつくります。 緑の絨毯の下にはじつは防草シートが全面に。 防草シートと相性がよいのが、地面を這って広がるグラウンドカバープランツです。その一つとして紹介されているのがイワダレソウ「クラピア」です。 防草シートの上を緑に変える「クラピア」 丸い小さな葉を密に茂らせるイワダレソウ‘クラピア’。 クラピアは、日本に自生するイワダレソウを原種として改良されたグラウンドカバープランツです。地面を這うように茎を伸ばして広がる多年草で、地表を緻密な緑で覆っていくのが特徴。日当たりのよい場所でよく育ち、夏には小さな花も咲かせます。 NHK「趣味の園芸」では、防草シートをグラウンドカバープランツで覆うメリットについて、見た目を自然にするだけでなく、夏場の地温上昇を抑えることにもつながると紹介されています。では、植物に覆われている場合と、そうでない場合では、実際どのくらい温度が違うのでしょうか。 真夏の地表温度を測ったら、人工芝とクラピアで45℃以上の差! 2026年8月25日、栃木県小山市にある株式会社グリーンプロデュースの敷地内で、地表温度の比較試験が行われました。比較したのは、 クラピア、芝生、土、ポリプロピレン製防草シート、人工芝、コンクリート白板、砂利、アスファルト の8種類。 測定時間は9~18時。この日の実測最高気温は42.6℃、平均気温は37.9℃という厳しい暑さでした。 13時、外気温41.2℃のときに各地表面を測定すると、大きな違いが現れました。 人工芝 82.5℃防草シート 81.0℃アスファルト 71.2℃土 69.3℃砂利 70.2℃コンクリート白板 57.6℃芝生 46.5℃クラピア 36.9℃ 人工芝とクラピアの差は、実に45.6℃。この試験では、人工芝と防草シートが80℃を超えた一方、クラピアで覆われた地表面は外気温より低い36.9℃でした。 ※地表温度は天候、時間、場所、素材や植栽の状態などによって異なります。 地面が熱くなると、庭は「下から」も暑くなる ここで知っておきたいのが、私たちが感じる暑さは気温だけで決まるわけではないということです。太陽に照らされて熱くなったアスファルトやコンクリート、壁などからは赤外線による「放射熱(輻射熱)」が放出されます。 環境省が行った真夏の街路のシミュレーションでは、場所によって人が受ける正味の放射熱量が900W/㎡近くに達するケースが示されています。これは、6畳程度の部屋で1,000Wの電気ストーブを約10台使用したときに、人が受ける正味の熱量に相当するとしています。条件によっては、その受熱量の約4割を路面や壁面からの放射熱が占めます。 つまり真夏は、太陽からだけではなく、熱くなった地面や建物からも熱を受けているのです。今回の試験で、クラピアと、人工芝や防草シートの間に大きな温度差が現れた結果を考えると、庭づくりでは「地表面を何で覆うか」も夏の暑さ対策を考える重要なポイントといえそうです。 防草シートは「使わない」のではなく、クラピアで覆う では、防草シートは夏の庭では使わないほうがよいのでしょうか。そうではありません。防草シートは、雑草管理の手間を軽減するためにとても便利な資材です。注目したいのは、「防草シート+植物」という使い方です。 クラピア専用防草シート施工直後 クラピアを防草シートと組み合わせる場合、重要なのがクラピア用の専用防草シートを使うことです。一般的な防草シートには根を通さないものがありますが、クラピア用防草シートは、クラピアの根がシートを通過して土壌へ根を張れるようにつくられています。植え付け直後はシートが見えていますが、クラピアは地面を這うように広がります。 防草シートの上を被覆途中のクラピア。 ↓ やがてシートはクラピアに覆われ、緑の景観へ。成長期に「4ポット苗/㎡」を植えると、2~3カ月で地表を覆います。 つまり、 防草シートで雑草を抑える↓クラピアが広がる↓根がシートを通って土壌に定着する↓クラピアがシートを覆う↓緑の景観になる という仕組みです。 シートがクラピアに覆われれば、シートへの紫外線の直接照射を減らし、劣化を抑えることにもつながります。 暑さだけじゃない。強い雨から「土」を守る働きも 地面をクラピアで覆うメリットは、夏の暑さ対策だけではありません。近年の庭づくりでも考えておきたいのが、短時間に強い雨が降ったときに、雨水とともに表土が流れ出す土壌流出です。特に斜面の庭では土壌流出によって庭の草花や構造物への被害も考えられるため、対策が必要です。 クラピアは地表面を覆うとともに、節々から根を下ろして土壌に定着します。琉球大学が行った沖縄の赤土を使った試験では、裸地とクラピア植栽区を比較。 裸地では雨とともに赤土が流出したのに対し、クラピアで覆われた区画では雨水がほとんど流れ出ず、土壌流出が大幅に抑えられています。実験では、クラピアが約85%被覆した段階で、土壌流出を99.5%抑制する結果が得られています。地面を植物で覆うことは、景観や雑草対策だけでなく、強い雨から大切な庭を守ることにもつながるのです。 これからの庭づくりで注目されているのが、降った雨をすぐに排水するだけでなく、できるだけその場所で受け止め、地中へ浸透させるという「雨庭」の考え方です。土や植物のある地面には、雨水を受け止めて地中へ浸透させる余地があります。一方、建物の屋根や舗装面など、雨水が浸透しにくい面積が増えれば、短時間に多くの雨水が排水設備へ集中し、昨今被害が甚大化している都市の冠水へとつながります。クラピアの保水力によって下水へ流出する雨水を減らすことができれば、そうしたリスクの軽減にも貢献できます。 公園や公共空間にも。「クラピア+防草シート」という選択 造園家の阿部容子さんがデザインした浜名湖ガーデンパークのユニバーサルガーデン。 クラピアと防草シートを組み合わせた緑化は、個人の庭だけでなく、広い公共空間でも活用されています。静岡県浜松市にある浜名湖ガーデンパーク内の「ユニバーサルガーデン」では、防草シートとクラピアを組み合わせた施工を採用。こうした広い場所では、雑草管理の負担を軽減することは特に重要です。防草シートで雑草を抑えながら植物で地表面を覆っていく方法なら、「管理のしやすさ」と「緑のある景観」を両立できます。 田んぼの畦をクラピアで雑草&土壌流出防止対策。 さらに、地表面の高温化や土壌流出を抑えるという視点を加えれば、クラピアによる緑化は、これからの暑さや強い雨を考えた公共空間づくりにも一つの選択肢となります。 9月からでもできる? 秋から始めるクラピア クラピアの庭づくりは今秋からでも始められます。秋は、「今年中に緑のカーペットを完成させる」のではなく、来春からの生育を見据えて植えるのがポイント。 静岡県藤枝市の蓮華寺池公園で2025年の冬にクラピアを植栽。 秋から冬に専用防草シートを併用してクラピアを植栽すれば、クラピアが全面被覆していない期間もシートによって雑草を抑えながら春を待つことができます。気温が下がるとクラピアは休眠期に入りますが、多年草なので春に気温が上昇すると毎年、再び生育を始めます。 藤枝市蓮華寺池公園の2026年5月の様子。クラピアが被覆し、防草シートはほぼ見えません。 植えるのは来春でもOK! 今からやっておきたい4つの準備 来年はペットも安心して遊べる庭に! 秋は計画だけして、植えるのは来春でももちろんOK。秋冬は、来年の庭をじっくり考える絶好の期間です。来春の雑草対策のために今からやっておきたい準備を紹介します。 1 植える場所と面積を決める 庭全面をクラピアにする必要はありません。雑草取りが特に大変な場所、芝刈りの負担を減らしたい場所、夏に地面が熱くなりやすい場所など、まずはクラピアを広げたい範囲を決めましょう。 2 今ある雑草をしっかり除去する 防草シートを敷けば、その下に雑草を残してもよいわけではありません。植物がシート下で分解されると、シートが沈む原因になるため、防草シート施工前に雑草をしっかり除去しておくのが大切です。 3 防草シートを併用するか決める 雑草が少なく、その後もこまめに草取りができる場所なら、クラピアだけ植栽する方法もあります。一方、雑草の多い場所や、管理の手間をできるだけ減らしたい場所では、クラピア用防草シートとの併用を検討するとよいでしょう。 4 来年の完成形を想像する 植え付けたときは小さな苗でも、クラピアは成長期に「4ポット苗/㎡」を植えると、2~3カ月で地表を覆います。 「どこを緑にしたいのか」「どこを通路として残すのか」「花壇との境界をどうするのか」。 秋冬のうちに庭全体を見直しておけば、春になってから慌てずに植栽を始められます。 「雑草・猛暑・強い雨」から考える、これからの庭 暑さや強い雨が庭づくりの大きな課題になっている今、庭の地面をどうつくるかは重要な項目です。グラウンドカバープランツには景観だけでなく、もっと多くの役割があります。 雑草管理の負担を減らす。 植物で地表を覆って、夏の地表面の高温化を抑える。 雨による土壌流出を抑え、雨を地中へ浸透させられる地面を残す。 今年の夏、「庭が暑い」「草取りが大変」「大雨が降ると土が流れる」と感じたなら、その記憶がまだ新しい今こそ、来年の庭を考えてみませんか。 【秋からクラピアを始めたい人はこちら】 クラピア育て隊オンラインショップ 【来春の庭づくりを計画するなら、ふるさと納税という選択肢も】 クラピアのふるさと納税 https://kurapiajapan.com/information/furusatonouzei/
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ガーデンデザイン

宿根草がすぐ枯れる…原因は「風通し」かも? プロが教える株間の黄金ルール
宿根草は丈夫で長生き、ローメンテナンスな植物 バラを背景にジギタリスやペンステモン、スカビオサなどの宿根草が咲き誇る美しいガーデン。 宿根草は、冬は地上部が枯れますが根は生きていて、毎年春になるとまた芽を出し花を咲かせます。植えっぱなしでも育つものが多く、本来は手間が少ない植物です。しかし、適切な株間をとっていないことで風通しが妨げられ、病気になったり枯れたりして労力がかかっているケースもよくあります。特に、初心者の場合は園芸店に並んでいる小さなポット苗が、将来的に庭でどのくらいの大きさになるのか、想像しないまま植えてしまうことが多くあります。 なぜ株間が重要なのか? まず、宿根草はポット苗の何倍も大きくなるということを覚えておきましょう。植物が大きくなると庭や花壇が密集し、「風通し」が悪くなります。植物の生育には日光と水が不可欠であることは誰しもご存じでしょうが、それらと同じくらい重要なのが「風通し」です。風は目に見えないので忘れられがちですが、植物を健全に育てるには必要不可欠な要素です。そして、病害虫の原因のほとんどは「風通し」が悪いことに起因します。 病気と風通しの関係 株元に灰色カビ病が発生して枯れた植物。Floki/Shutterstock.com 風通しが悪いと、なぜ病気になりやすいのか。それは、植物の病気の大多数はカビ(糸状菌)によるものだからです。「灰色かび病」「うどんこ病」「黒星病」「立ち枯れ病」「菌核病」「白絹病」といった植物がよくかかるこれらの病気は、すべてカビが原因です。症状の見た目は必ずしもカビっぽいとは限りません。斑点やこぶ、萎縮といった症状もありますが、原因はじつはカビ。これらは風通しが悪いために発生するケースがとても多いのです。 ローメンテナンスの落とし穴 VH-studio/Shutterstock.com カビはそのままでは広がってしまうので、その手当てとして消毒を行ったり、弱った植物の植え替えをしたりする必要が出てきます。病気にかかると、本来ローメンテナンスで済むはずの宿根草も、こうしてハイメンテナンスになってしまいます。 そうならないために大事なのが「風通し」。家庭の中でも、カビが発生しやすいお風呂場は、換気扇をつけたり、窓を開けたりして、風通しをよくしてカビを防いでいますよね。ガーデンでも同じです。植物が健やかに育つ美しいガーデンをつくるには、「風通し」のよい環境を用意するのが成功の鍵です。 風通しを確保する黄金ルールとは 風通しが確保され、植物が健全に育っている初夏の花壇。 「風通し」を確保するのに基本的なことの1つが、植栽時に適切な「株間(かぶま)」をあけることです。植物を複数植えるときには、必ず苗と苗の間に「株間」をあけます。適切に株間をあけないと風通しが悪くなり、途端に病気にかかりやすくなります。 では「適切な株間」とは、どのくらいでしょうか。それは植物ごとに異なります。感覚的にいうと、「隣り合う植物同士の葉先が触れる程度」。ただし、これは最終的な生育サイズ上でのことです。ポット苗を植える際には、最終的な生育サイズを考慮して苗同士を離す必要があります。どのくらい離すべきか、適切な株間について具体的に解説していきましょう。 上の写真の植栽直後の様子。株間をしっかりとって植栽されている。 黄金ルール「株幅ハーフ&ハーフ」の具体例(ジギタリス×ペンステモン) 植物はそれぞれ、高さや幅が異なります。株間を考える時に必要な情報は「株幅」です。図鑑はもちろん、苗のラベルに書いてあったり、園芸店のサイトなどを調べると出てきますので、最終的にその植物がどのくらいの株幅になるのか、まずはチェックしましょう。そして、隣り合う植物のそれぞれの株幅の1/2を足した距離が適切な株間になります。「株幅ハーフ&ハーフ」ルールと覚えておくといいでしょう。 例えば、ジギタリス・パープレアとペンステモン‘ポカホンタス’を隣接して植える場合を見てみましょう。ジギタリス・パープレアの最終株幅は40cm、ペンステモン‘ポカホンタス’ の最終株幅は90cmです。それぞれを1/2にすると20cmと45cmで、これを足すと65cm。これが2つの間の適切な株間ということになります。 宿根草とバラが共演する「浜名湖ガーデンパーク」ユニバーサルガーデンの植栽。 植えるときは、どちらもだいたい直径10cm前後のポット苗なので、株間を65cmあけると、かなり距離があいて寂しい印象になりますが、植栽から約2年後には隙間を感じないほど生育し、ちょうど葉先が触れる程度の距離感になります。宿根草が本来の大きさになり、庭の見応えが出るまでには、植栽から2年かかると考えておきましょう。 バラと宿根草の場合の応用 このルールは、宿根草同士でなくとも当てはまります。例えば、バラなどの樹木(低木)のそばに宿根草を植える際も同じです。上記の写真では、バラ‘リサリサ’は株幅120cm前後で、その隣に株幅60cmのネペタ‘ピンクキャンディ’を植える際には、60+30で90cmの株間をあけています。 【阿部先生のワンポイントアドバイス】 植物の生育後の大きさは環境や育て方によって異なり、ラベルの情報とは必ずしも合致しないことは、よくあることです。例えば、一般的に株幅30〜50cmといわれているオダマキも、私の庭では70cmの大株に育っています。そんなときは慌てずに、株分けをしてサイズダウンさせたり、移植したりしてレイアウトの変更をしましょう。 クレマチス×バラの理想距離は? つる植物の株間ルール 入り混じるように咲くつるバラとクレマチスだが、株元は50cm以上あけて植栽。 クレマチスやつるバラのように、フェンスなどの構造物に、つるを留めつけながら仕立てる植物の場合も、上記の「隣り合う植物の株幅の1/2を足す」ルールが当てはまりますが、クレマチスの場合、株幅の情報が書いてあることはほとんどありません。 クレマチスの株元。地際から何本も太いつるが発生し、直径は30cmほど。 クレマチスも株元を見ると、地際から何本もつるが伸びて、おおよそ株幅は30〜40cmあります。ですから、クレマチス同士の場合は、だいたい30〜40cmの株間をとって植えるといいでしょう。クレマチスとバラを隣接して植える場合は、株間は少なくとも50cmはあったほうが、剪定や誘引、施肥などの手入れがしやすいです。 【阿部先生のワンポイントアドバイス】 クレマチスは「直根性(ちょっこんせい)」といい、ゴボウのようにまっすぐ深く伸びる根を持ち、根をいじられるのを嫌います。特に春先に出回る新苗は、直根から伸びるヒゲ根が切れやすいので、周囲に一年草を植えないようにしましょう。一年草はシーズンごとに植え替えが必要になり、抜き取る際にクレマチスの根を傷めるリスクがあります。 グラウンドカバーの株間 明るい黄色の葉は、リシマキア・ヌンムラリア‘オーレア’。ブラウンがかった葉はアジュガ。どちらも半日陰でもきれいに育つグラウンドカバープランツ。 リシマキア・ヌンムラリア‘オーレア’やタイム、アジュガなど、地面を這って生育するグラウンドカバープランツは、おおむね30〜40cm間隔で植えると、ワンシーズンできれいにつながります。その際、三角形を意識して植えると、きれいなグリーンカーペットが出来上がります。 【阿部先生のワンポイントアドバイス】 グラウンドカバープランツの場合は、地下茎で伸びないものを選ぶことをおすすめします。グラウンドカバープランツには、地下に根を張り巡らせて広がっていく地下茎タイプと、地表にランナーを這わせて広がるタイプがあり、両者はコントロールのしやすさがまったく異なります。例えば、アジュガは地表を這うランナーで広がるので、もう増やしたくないと思ったところでランナーを切って、適度に間引いて広がり方をコントロールできます。一方、ミントなど地下茎で広がるものは、地下に根が残っている限りは増え続け、コントロールが難しいです。 宿根草の苗選びと植え付け方法 ホリホックの幼苗。Maren Winter/Shutterstock.com 宿根草の苗は、「新苗」と「旧苗」が混在しています。新苗はタネを播いて初めて芽吹いた小さな苗で、旧苗は2年以上育っているものですが、冬にはいったん地上部がなくなるので、見た目では分かりにくい場合もあります。 新苗・旧苗の違いと注意点 ポットを触ってみて、ふにゃふにゃしていれば、まだ根が未熟な新苗の可能性が高いです。2年以上育っている旧苗の場合は、根が張ってポットはパンパンになっています。 新苗の場合、植え付けのダメージを受けやすいので注意しましょう。ポット苗を養生させられる半日陰の場所があれば、春はポット苗のまま水切れに注意して養生し、秋の彼岸を待ってから地植えにしたほうが、枯らすリスクがグッと低くなります。 【植え方完全ガイド】初心者でも安心の宿根草の植え付け手順 宿根草は主に3〜5月、または9〜10月に植え付けます。植物によって好む場所が異なるので、「日なた」「半日陰」「日陰」の適切な環境を選びます。湿地性の植物以外は、水はけのよい環境を整えるのが条件です。雨のあと、しばらく水が引かないような場所は水はけが悪いので避けるか、土壌改良をしてから植え付けましょう。 ペニセタムの苗の植え付け。Mariia Boiko/Shutterstock.com ① 植える場所の土を30cmほど掘り返して、土壌をふかふかにしておきます。② 腐葉土や堆肥を混ぜて、通気性と水はけをよくします。③ ポットから植物を抜き取り、根をほぐします。このとき、活力剤(液肥とは異なります)入りの水の中で根をほぐすと、植え付け時の根のダメージを最小限にとどめられます。④ 植え穴を掘って水と元肥を入れ、植物をポットと同じ高さに植えます。⑤ 土を戻して手のひらで軽く押さえ、水やりをしたら完成。 【阿部先生のワンポイントアドバイス】 植えた年は水切れに注意して、必ず水やりをするようにしましょう。地植えの場合、水やりが必要なのは基本的に植え付け初年度だけで、2年目以降は自然の降雨で育ちます。 植えたあとの風通しを保つ宿根草の管理 ゲラニウムの淡いブルーと鮮やかなピンクのシャクヤクの対比が美しいガーデン。 透かし剪定 大きく育ってきた宿根草は、株の密度を減らすよう、花後に「透かし剪定」をしながら管理すると風通しを保つことができます。常緑の宿根草以外は、晩秋は葉が枯れてきたら地上部を少し残してカットします。 株分け 年数を経て大株になった宿根草は、株の中央部から新芽が芽吹かなくなり、ドーナッツ状になってしまいます。その場合は、秋に株を掘り上げて切り分ける「株分け」をすると、再びきれいに咲くようになります。
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ガーデニング

夏の雑草・害虫・水やり…庭の5大ストレスを「プロの裏ワザ」でまるっと一挙解決!
夏の庭の困りごと第5位「暑くて庭作業ができない」 Alexander Raths/Shutterstock.com 2025年の夏も猛暑が予想されています。去年より梅雨入り・梅雨明けが早く、近年ではかなり暑い夏になり、秋にかけても厳しい残暑になる、というのが日本気象協会の予想。聞いただけで早くもくじけそうになる情報ですが、そんな夏を切り抜ける策をご紹介します。 A. 真夏のガーデニングは早朝&装備を万全に まずは体調を一番に、無理しないのが鉄則。もし真夏にガーデニングをするなら、装備を万全にして、できる限り早朝からAM8時までに終えるようにしましょう。また、夏はインドアガーデンを楽しむのもおすすめです。 <真夏のガーデニング装備> 阿部容子さん愛用の虫除けサファリハット。ネットを使わないときはクルクル巻いておくとチュールレースのようなおしゃれな飾りに。 蚊よけ対策/蚊も人が動きやすい温度のときに活動し、35℃以上になると木陰で休みます。蚊よけスプレーを全身にくまなく吹き付け、腰には携帯用の電池式蚊取りを装備、そしてスプレーができない顔にはネット付きの帽子をかぶって蚊よけします。 日除け対策/UVクリーム、帽子、薄手の長袖(冷感シャツがおすすめ) 汗対策/薄手のタオルを首に(厚手だと暑い) 熱中症対策/ネッククーラー、水分(こまめに補給すること) 阿部さん愛用の今治タオル製のショール。薄手で汗の吸収がよく、首に巻いてもおしゃれ。プレゼントにも最適。 <観葉植物の寄せ植え> 観葉の寄せ植え制作/日暮準さん(沼の上農園) 夏もガーデニングを楽しみたい場合は、涼しい室内でのインドアガーデンがおすすめです。例えば、観葉植物の寄せ植えはいかがですか。観葉植物にも、寄せ植えできるミニサイズの種類が豊富です。ガラスの器に植えるハイドロカルチャーなら、見た目も涼しげできれいです。 夏の庭の困りごと第4位「害虫が大量発生!」 夏は一年で最も多くの害虫が発生する季節。夏のガーデンの要注意害虫と発生時期をリストにしました。 A. 防除・早期発見・早期対策が鉄則 事前の対策として、まずは庭の風通しをよくしましょう。風通しが悪く隠れやすいところに害虫が発生しやすいです。アブラムシやハダニは水が苦手なので、葉水をこまめに行うと予防することができます。 また、幼虫は生育するにつれ、食欲旺盛になって被害が拡大するため、早期発見、早期対処が鉄則です。発生前にタイミングよく予防効果のある薬剤を用いて防除するのが最も手間がかかりません。また、庭をよく観察し、見つけたら薬剤を用いるか捕獲するなどして、早期に対処すれば被害を最小限にとどめられます。 夏の庭の困りごと第3位「雑草が爆発的に増える!」 雑草の中でも生命力が驚異的に強く駆逐しにくいスギナ。 暑さとともに生育旺盛になるのが雑草。猛暑の中の草取りは苦役でしかなく、ガーデニングの大きな負担になっているケースが多々。 A. 除草剤は適切な種類を選ぼう 新築の家の庭などでは、敷地造成のための土壌に山土が使われていることがあります。山土には大量の雑草のタネが仕込まれているので、庭中に雑草が生えることがよくあります。至るところに雑草が生える場合は、一度、除草剤を用いて土壌をリセットするほうが効率がよいでしょう。 雑草をしっかり枯らしてくれる除草剤ですが、安全かつ効果的に使うには、目的に合わせた種類を選ぶことがポイント。除草剤には根から吸収されるタイプ、葉や茎から吸収されるタイプ、根と茎葉の両方から吸収されるタイプがあります。上写真は、左が除草剤をかけているところ。右が2週間後の枯れた様子。 除草剤は製品ごとに効果の持続期間が異なるので、除草した後に植栽する場所には効果の短いものを選ぶとよいでしょう。すでに植わっている植物がある場合は、掘り上げて別の場所で養生させるか、葉に塗布することで根まで枯らすタイプの除草剤を用いて、雑草のみを枯らしましょう。ビニール手袋をして、ビニール手袋に重ねて着けた軍手に除草剤を染ませ、雑草のみを触ることで除草ができます。 地面を覆っている明るいライムグリーンの葉は、リシマキア・ヌンムラリア‘オーレア。半日陰でもよく育ち、雑草対策とともに空間を明るくする効果も。 また、グラウンドカバーで地面を覆っておくと、雑草の種子が入りこむ余地がないので、有効な雑草対策にもなります。グラウンドカバーとは、這うように育ち、地表を覆うように広がる植物です。葉っぱの面が広いアジュガや丸葉のクラピア、リシマキア・ヌンムラリア‘オーレアなどがおすすめです。 夏の庭の困りごと第2位「水やりが追いつかない!」 基本的に、地植えの植物には水やりは必要ありませんでしたが、猛暑が続く近年では水やりが必要なケースも発生してきています。また、夏休みなどで旅行に行く方も多い季節。植物の水やりをどうするのかという問題で悩む方がたくさんいます。 A. 自動灌水装置は時間設定が肝! 自動散水装置や灌水装置の導入も効率的。Lazhko Svetlana/Shutterstock.com 乾きを防止するために土壌資材でマルチング(表土を覆う)をしたり、グラウンドカバーを活用しましょう。そして、自動灌水装置も有効な手段。自動灌水装置を用いる場合は、灌水の設定時間を季節で変えるのがポイント。夏は自動灌水装置のホースが太陽光で温められ、中の水がお湯になっていることが少なくありません。お湯を注がれると植物は一気に弱るので、夏の設定時間は、早朝4〜5時にしましょう。 夏の庭の困りごと第1位「植物が暑くてバテる・枯れる」 昨年は、あまりの暑さに、これまで大丈夫だった植物も弱ったり、枯れたりしたという声が多く聞かれました。地植えの植物でも次第に暑さ対策が必要になってきています。 A. 植物選びで暑さ対策を。宿根草は秋植えがおすすめ <宿根草> 夏に咲く宿根草の多くは、暑さには強いものが多いですが、春に入手した苗はまだ根が十分に張っておらず、地植えにしても暑さで枯れる場合があります。ポットのまま、残暑が終わる秋まで待って地植えにすると、冬越しした株は深く根を張り、夏越しもしやすくなります。その際、夏の間の水管理はしっかりと。 リクニス・コロナリアやガウラは耐暑性に優れ、夏に活躍する宿根草。 <一年草> 耐雨性・耐暑性に優れたペチュニア‘ビーズニーズ’。 一年草は暑さに強いという特徴とともに、強い雨にも耐えられるものを選びましょう。ラベルに「耐雨性」という表記があるものが該当します。 <樹木> 幹が細く華奢でやさしげな印象の樹木、アオダモ。木陰も涼しい。 木陰ができるような樹木を植栽するのがおすすめ。小さな庭でも、ニシキギなら最大でも樹高3mで、秋は見事な紅葉も楽しめます。高木になるものでも、剪定でコントロールできます。その場合は生育がゆっくりのものを選ぶと、メンテナンスがラクに済みます。アオダモは樹高10m以上になる樹木ですが、生育がゆっくりで株幅がスリムなのでおすすめです。 <マルチング> 土壌資材でマルチング(表土を覆う)すると、乾きや暑さを緩和できます。 <グラウンドカバー> バラの株元を覆うグラウンドカバー。地面からの照り返しを防いでくれる。 グラウンドカバーも庭の暑さ対策に有効です。地表が緑で覆われていると、地温が上がりにくく、他の植物が暑さでバテるのを防いでくれます。植物は「蒸散(じょうさん)」といって葉裏から水蒸気を出しているので、天然のミストで周辺温度を下げる効果もあります。 <肥料と活力剤> 夏は肥料が高温で溶け出しやすく、効きすぎることがあるので、固形肥料は控えめに。植物も猛暑で生育が緩慢になり、春ほど肥料分を吸い上げることができないため、液肥も過多になりがちなので注意。植物の元気がなく心配なときは、「肥料」ではなく「活力剤」を使うのがおすすめです。活力剤は肥料やけの心配がありません。 5つの悩みを一挙に解決するプロの技 上記5つの悩みをまるっと一挙解決するのが、「ノンストレスガーデン」。このガーデン工法を考案した、かたくり工房所属の造園家・阿部容子さんは、「ノンストレスガーデン工法は、年齢とともに庭づくりの体力がなくなり、植物の世話ができないとお客さまから相談されたことがきっかけです」と話します。 ノンストレスガーデン工法を取り入れた庭。一見、防草シートが敷き詰められているようには見えない。 ノンストレスガーデン工法とは ノンストレスガーデン工法とは、除草して整地した後、全面に防草シートを施工。植栽箇所にスポット的に植え込み穴をあけて植栽することで、雑草を極力生やさず、育てたい草花だけを育てられるというもの。防草シートの上はバークチップを敷き詰めマルチングを施すので、防草シートは見えなくなります。 土の跳ね返りがなく、バラの病害虫被害を抑える効果も期待できる。 ノンストレスガーデンは雑草取りから解放されるだけでなく、防草シートがマルチング効果を発揮するので、土壌の乾きが抑えられ、コガネムシの幼虫など土中に潜って食害する害虫被害も防ぐことができます。結果的に、必要な作業が大幅に減少し、夏のガーデニングがとってもラクに。 ノンストレスガーデン工法の6つのポイント 施工のポイントは6つ。正しく施工しないと、雑草が入り込んだり、シートがめくれ上がって大事な草花がダメージを受けることがあるので注意が必要です。 ① 除草剤で既存の雑草を駆逐し、土壌を一旦リセットする。 ② 整地の際に排水勾配を1%つける。 ③ 植栽エリアの土壌改良をする。有機物は分解されて次第にシートが沈み、雑草のタネが入る隙間ができやすくなるので配合を注意。 ④ 雑草のタネが入り込んだり、風でめくれ上がるのを防ぐために、防草シートの端はモルタルでしっかり留める。 ⑤ 植物ごとに適切なサイズの植え穴をあけ、植栽リングできっちり留める。 ⑥ 防草シートは紫外線によって劣化が早まるので、防草シートの上から必ずマルチングを。植栽箇所には、植物の生育をサポートする微生物入りの土壌資材「バイオマイスター」をマルチングに用いるのもおすすめ。 グラウンドカバープランツのクラピアは防草シートの上を這って伸び、防草シートを覆い隠す。 詳しい施工方法はこちら! 「実家の庭問題」も解決してくれるノンストレスガーデン工法 草取りに苦労していたノンストレスガーデン工法施工前の庭。 ノンストレスガーデン工法は、「実家の庭問題」で悩む人にもおすすめです。高齢の親が自宅の庭の手入れができなくなり、実家の庭の草取りのために帰省をしている人は、じつは少なくありません。雑草が生え、草木がぼうぼうになった庭は防犯上よくないので、キレイにしておきたいものですが、かといって親に手入れをさせるのも心配です。庭を全部コンクリートで埋めてしまうという手もありますが、長く親しんだ緑の風景をすっかりなくしてしまうのは、親にとっても、そして子どもにとっても本当は寂しいものです。 ノンストレスガーデン工法施工後の庭。防草シートが入っているので、雑草がほぼ生えない。 ノンストレスガーデン工法なら、庭が雑草で荒れ放題になるのを防ぎながら、季節の花が咲く楽しみを残してあげられます。遠方の場合は、造園知識が確かなプロに依頼するのがおすすめです。一度施工してしまえば、さまざまな庭の手入れの苦労から解放され、美しい風景を家族で楽しむことができますよ。
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豪雨対策から冷却効果まで!ローメンテナンスな庭で暮らしが変わる5つの方法
激烈化する気候、都市部の住宅地にも迫る危険 2024年7月から9月初頭までの間に発令された「記録的短時間大雨情報」は計47回。そのうち43回が1時間に100mmを超す豪雨でした。1時間に100mmの雨とは、ほとんどの排水システムでは処理できない量で、大規模な冠水が発生する雨量です。実際、この夏には台風でないにもかかわらず、豪雨により東京都内のあちこちで道路が冠水し、車が水没する事態となりました。都市部の排水システムは通常、1時間あたり数十ミリの降雨量を想定して設計されているため、下水管がすぐさま満杯になり、マンホールから水が噴き出したり、トイレや台所の排水口から水が逆流するなどの被害も発生。こうした都市型洪水は排水システムの限界のほかに、都市の地面のほとんどが透水性の低いアスファルトやコンクリートで覆われていることも原因の1つです。そのため、地中への水の浸透が間に合わず、短時間で大量の雨水が地表に流れ、冠水や洪水の原因となっています。 グリーンインフラとして世界に増える街中の庭 高架の廃線跡地を約2.3kmの公園にしたニューヨークのハイライン。Pit Stock/Shutterstock.com こうした気候変動がもたらす課題への解決策として、「グリーンインフラ」の整備が進んでいます。「グリーンインフラ」とは、自然のプロセスを利用して雨水管理や都市の温暖化対策などを行う仕組みのことで、世界ではグリーンインフラとして街中や住宅地に庭を増やす取り組みが始まっています。 雨水吸収&水質ろ過装置として機能するレイン・ガーデン 例えば、ニューヨークの観光名所にもなっている全長2.3kmに渡る廃線跡を公園にした「ハイライン」では、土の層、下層土、排水マットを組み込んだ高度な排水システムが採用されており、最大80%の雨水流出を削減し、都市型洪水を防止する役目を果たしています。植物にすぐに吸収されなかった水は排水マットに蓄えられ、乾燥時に利用できるようになっており、補助的な灌漑の必要性を減らし、ハイラインをより持続可能なものにしています。 かつて治安悪化の要因となっていた廃線跡地は「ハイライン」として生まれ変わり、周辺の不動産投資も活性化した。MisterStock/Shutterstock.com また、ニューヨーク市では、ハリケーンによる都市型洪水への対策として、ハリケーン・アイダから1年後の2022年頃、約2,000カ所のレインガーデンが新たに設置され、全体で11,000カ所を超える規模に拡大されました。レインガーデンとは、雨水を地中に吸収させることを目的に設けられた植栽スペースで、植物の根が水の通り道となって地下へと誘導し、同時に植物自身が水を吸い上げることで、下水への過剰な流入を防ぐ仕組みです。ニューヨーク市のレインガーデンは1基あたり約2,500ガロン(約9,400リットル)の雨水を吸収できるとされており、都市インフラにかかる負荷を大きく軽減しています。また、雨水は土壌を通過する過程で自然にろ過されるため、水質浄化の効果もあり、河川や運河の環境改善にも寄与しています。このような効果を期待し、日本でも東京都杉並区では善福寺川の水質向上を目的に、同様のレインガーデンの導入が進められています。 庭によるヒートアイランド現象の緩和効果 緑によるヒートアイランド対策を観光にもつなげているシンガポールの繁華街。Sergey Peterman/Shutterstock.com 庭は雨水を吸収するだけでなく、都市部の熱帯化を緩和するクーリング装置としても着目されています。コンクリートで覆われた地面は、真夏の日射で表面温度が60℃近くまで上がることも珍しくありません。さらに熱せられた地面は赤外放射という熱を発し、頭上からの日射にこの赤外放射が加わると、外気温が30℃の場合、体感温度は40℃にも上がってしまいます。こうした都市部特有の熱帯化をヒートアイランド現象と呼び、熱中症対策として近年、街中にミストを設置しているところがありますが、まさにガーデンはそのミスト装置と同様の働きをします。植物は根から水分を吸い上げ、余分な水分を葉の裏から水蒸気として放出する「蒸散」を行っており、ガーデンは水道代や電気代のかからない天然のミスト装置ともいえるのです。 「ホテル・イン・ア・ガーデン」をコンセプトにしたラグジュアリーホテル「パークロイヤル・オン・ピッカリング」。RuslanKphoto/Shutterstock.com 緑による先進的な取り組みが進むシンガポールのホテル「パークロイヤル・オン・ピッカリング」では、植物の蒸散作用を利用したエネルギー削減に成功しています。このホテルでは敷地面積のほぼ2倍にあたる15,000㎡を超える緑を有し、建物表面に受ける熱を遮断するとともに、植物の蒸散作用によって建物外壁の全体的な温度を下げ、エアコンのようなエネルギーを大量に消費する冷却方法の必要性を減らしています。同ホテルの環境に配慮した設計は数々の賞を受賞しており、サステナブル建築が都市の居住空間を向上させながら、ヒートアイランドの影響をいかに軽減できるかを示す好例となっています。 ガーデンプランツの炭素固定能力にも集まる注目 根が深く炭素固定に効果的で、バイオエネルギーとしての利用研究も進むパニカム・ウィルガツム。Molly Shannon/Shutterstock.com 植物は光合成を通じて大気中のCO2を取り込み、炭素を有機物として蓄積します。特に成長が早く盛んに光合成を行い、なおかつ根が深く長寿命の植物は、多くの炭素を土壌深くに固定し、長期的に安定した炭素ストックを形成するため、気候変動の緩和に重要な役割を果たすとして注目されています。樹木で構成された森林は重要なCO2吸収源とされていますが、環境省の発表によると2020年の日本の森林等によるCO2の吸収量は4,450万トン、それに対し排出量は11億5千万トン。今ある森林の吸収量では到底追いつかないため、CO2の削減とともに吸収源を増やす対策の1つとしてグリーンインフラが急がれているのです。ガーデンを彩る草花の中にも炭素固定能力に優れたものはいくつもピックアップすることができ、特に長寿命の宿根草類や低木類は有力候補となります。 都市公園は緑の機能性を市民に共有する知的共有スペース 浜名湖ガーデンパークのユニバーサルガーデン。 このように、ガーデンは気候変動の影響を緩和し、持続可能な社会を構築するためのインフラとして重要な役割を果たすことが期待されています。 「都市公園はこうしたインフラ機能を街に提供する役割があり、さらにガーデンの有用な機能を市民に知識として共有する役目も担っています」と話すのは、造園家の阿部容子さん。ガーデンの持つさまざまな機能を分かりやすくデザインした浜名湖ガーデンパークの「ユニバーサルガーデン」の設計者です。阿部さんはガーデンのインフラ機能として、人々の心身の健康を向上させる面にも注目し、五感に積極的に働きかけるようユニバーサルガーデンを設計しました。 五感に合わせてエリア分けされており、小道状のガーデンを通り抜けると心身が健やかになることをコンセプトとしている。 「ガーデンがインフラとして浸透するには、ガーデン自体の持続可能性がポイントです。植物はメンテナンスをしなければ、その機能を十分果たせないばかりか、倒木や予期せぬ繁茂などのリスクを招く場合もあります。また、メンテナンスに労力がかかりすぎても維持が難しくなります。ですから、メンテナンスは必要ですが、ローメンテナンスな庭であることが重要なのです」。 阿部さんは庭のメンテナンスの中でも最も労力が高い雑草管理を大幅に削減する工法を用い、さらにローメンテナンスな植物を200種以上組み合わせてユニバーサルガーデンを設計施工。持続可能でグリーンインフラとしても有効なガーデン設計について解説していただきました。 雑草管理を大幅に減らす「ノンストレスガーデン工法」 ユニバーサルガーデンの施工中。植え穴には専用のリングをはめて、防草シートをしっかり土に留めつける。 「ユニバーサルガーデン」は基本的に雑草管理の必要がないように、ノンストレスガーデン工法で施工しています。ノンストレスガーデン工法とは、簡単にいうと植栽帯全面に防草シートを敷き、植栽計画に沿って適切な植え穴をあけて植栽することで、ガーデン全体に雑草を生えさせない工法です。植栽後、防草シートの上にはバークチップや土壌資材のバイオマイスターを施すので、施工直後から防草シートは見えずに自然な雰囲気です。 マルチングに使用しているバイオマイスター。 バイオマイスターは根を生育させるための肥料成分や土壌中の有害な菌の発生を抑え、植物の生育を助ける善玉菌を多く含んだ土壌資材です。防草シートの上からもそれらの有効成分を土壌に浸透させることができるので、仕上げのマルチング材に使用すると、より効率的に植物を育てることができます。マルチングは自然に減っていくので、上から追加してまき直すことで植物の健全な生育が維持できます。地表は防草シートとマルチング材で覆われており、乾きにくいので、基本的に植え付け初年度以外は自然の降雨に任せ、水やりの手間も必要ありません。 ノンストレスガーデン工法のポイントは、排水機能を整えた土壌整備と防草シートの敷き方・留め方、植物ごとの適切なサイズの植え穴です。ノンストレスガーデン工法の詳細はこちらで解説しています。 グリーンインフラとして有効な植物 マット状に広がるクラピアは地熱を抑える役目を果たす。 ガーデンを持続可能なものとするか否かは、植物選びも重要なポイントです。環境に合った植物を選ぶことでメンテナンスの労力は大幅に減らすことができます。特に近年は、夏の暑さや豪雨に耐えられるものであることが大事な条件になってきています。ローメンテナンスの観点から見れば「丈夫で長寿命」な低木や宿根草が挙げられますし、暑さに耐えられるものは根が深く張るもの。つまりこれらの条件が揃う植物は、グリーンインフラに最適な「グリーンインフラプランツ」といえます。 クラピアの白い小花にはミツバチが集まり、生物多様性にも寄与する。 例えば、ユニバーサルガーデンでグラウンドカバーとして使っている宿根草のクラピアは、地上部の草丈は最大20cm程度ですが、地中の根はなんと150cmまで深く伸びます。一般に深さ1m以上になると炭素固定に有効とされており、クラピアは雨水の貯水や炭素固定能力に効果的であると考えられます。また、クラピアは生育が早く地表近くにも細根が密集し、植栽後2カ月で1株が約0.25㎡を覆い、地温を下げるのにも有効なので、優秀な「グリーンインフラプランツ」といえます。 探そう!グリーンインフラガーデンプランツ こんもり茂った日本の自生種アシズリノジギク。 クラピアの原種は海岸沿いで生育する在来種イワダレソウです。こうした海浜植物は砂地に生育するため、深く広く根を張る性質があり、クラピアのほかにもユニバーサルガーデンに取り入れているアシズリノジギクも同様の能力が期待できます。ほかにもイトススキやフウチソウなどのイネ科のグラス類は、根が深く炭素固定能力が高い植物として注目されており、イネ科が多い日本の在来種には有効なものがまだまだあると私は考えています。光合成を盛んにするという観点からは葉が大きいギボウシや常緑のノシランなども候補になるでしょう。このようにグリーンインフラという観点で植物を見直すと、目に見える美しさに加え、植物のすごい能力に改めて気付き、魅力を再発見することができます。公園の植物やご自身の庭にも、地球温暖化の危機的状況を救う「グリーンインフラプランツ」がたくさん見つけられるかもしれません。 病害虫対策を大幅削減する生物多様性ガーデン ユニバーサルガーデンは200種以上の植物が入っており、基本的に防除や予防の散布といったメンテナンスはしていません。多品種を入れることで益虫と害虫のバランスが自然に保たれ、予防や防除の労力を大幅にカットできます。また、病害虫がよく発生するのは風通しの悪い場所なので、植物が混み合わないよう注意します。植栽計画を立てる際、植える植物の最終的な株サイズを把握し、隣り合う植物の葉が触れ合う程度の間隔を保って植栽位置を決めると、風が通り抜け病害虫が発生しにくくなります。 また、五感に働きかけることをテーマにしたユニバーサルガーデンの「音のエリア」には、鳥を呼ぶエゴノキやジューンベリーなどの樹木があります。実際、木にかけた巣箱では春に子育てをする姿が見られたので、小鳥たちも害虫防除に大いに活躍してくれていることと思います。病害虫対策の観点からだけでなく、たくさんの生き物がいるガーデンは、人にとっても心地よいものです。気候変動の緩和だけでなく、人の心身の健康を向上させるという観点からもガーデンは重要なインフラ機能として評価されています。 未来を変える庭の力 このように、ガーデンはさまざまな問題を解決する力があり、環境面や経済面、健康福祉の観点からも多大な価値を持つグリーンインフラとして社会に広がり始めています。もしあなたが庭を持っているなら、もちろんその庭は重要なグリーンインフラの1つです。庭は私たちが楽しみながら日常生活に取り入れられる持続可能な解決策であり、地球規模での環境保護に寄与する重要な一歩となるのです。
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ガーデンデザイン

【実例】ストレスから解放するセラピーガーデンデザイン|健康と社会にアプローチする都市公園
大規模都市公園の中の「ユニバーサルガーデン」の役割 * 浜名湖ガーデンパークは、浜名湖畔に56ヘクタールという広大な敷地を有する都市公園です。2004年に「浜名湖花博」の会場として整備され、その翌年から静岡県営の公園として一般に無料で開放されています。2024年春には花博から20周年を迎え、その記念事業の1つとして、私たち「かたくり工房」はパークの西側エリアにある「ユニバーサルガーデン」のリデザイン&施工を引き受けることになりました。 市民が暮らしの中で日常的に親しむ公共空間をデザインするにあたり、私は改めて公園の役割について考えました。公園はしばしば「憩いの場」と表現されますが、「憩い」には「身体や心を休めること」「安らかにする」という意味があります。つまり、公園には疲れた身体や心を安らかな状態にする「癒やし」の役割が求められているのです。そこで、私はデザインコンセプトを「セラピーガーデン」とし、植物が人の心身にもたらす作用を積極的に取り入れることにしました。 緑を見てホッとしたり、癒やされるという感覚は、誰しも経験があるかもしれません。これまで体験的なものとして知られてきたこうした感覚は、近年さまざまな研究によって科学的に解明されてきています。例えば、千葉大学大学院・園芸学研究科の岩崎寛准教授は、血圧の正常化など、緑が心身にもたらす生理的作用を発見。緑を見ることで恒常性回路(健康を維持するための機能)が崩れる要因となるストレス刺激が緩和され、自己治癒力を高める効能があることを解明しました。 また、植物の香りには種類ごとにさまざまな作用があり、ラベンダーの香りが副交感神経に働きかけ、心身をリラックスさせたり、安眠効果があることは有名です。このように植物は視覚や嗅覚など人の五感に作用し、安らかな状態にするさまざまな力を持っているのです。そこで私は、東西に細長い敷地のこのユニバーサルガーデンを嗅覚・触覚・味覚・視覚・聴覚の5つのエリアに分類し、それぞれの感覚に働きかけることが期待される植物をセレクトしました。 聴覚に働きかける「音のエリア」。 例えば、嗅覚のエリアでは、前述したラベンダーのほかに、同様の効果があるとされるクチナシや、女性ホルモンに作用するバラ、認知機能を高める柑橘系の香りのタイム‘レモン’など、香りの効果があるものをセレクトして入れています。また聴覚のエリアでは、小鳥が訪れるのを期待して、エゴノキやジューンベリーを植栽し、巣箱をかけておきました。すると早速、オープンから1カ月余りでシジュウカラが入居し、かわいいさえずりをガーデンに提供してくれています。 2024年春のオープンの際の様子。車椅子の利用者と家族がガーデンを散策していた。宿根草はまだ小さく、植物は2年後に本来の大きさに生育する。 このように、エリアごとの目的に合わせて植物をセレクト。東西に細長い100mほどの小道状のガーデンを端から端まで歩いていけば、植物が五感に働きかけ、通り抜けた後には心身が安らいでいる、というイメージで設計をしました。 (*ガーデンは現在夏季養生中/2024年8月中) 維持管理のストレスを極力減らす雑草対策 このようにユニバーサルガーデンは植物のセラピー効果を積極的に取り入れたガーデンですが、一方で植物は人にストレスを与えることがあります。その一つが雑草の繁茂。ガーデニングをしている人は実感があると思いますが、草取りの労力はガーデニングの中で大きなストレスとなります。ことにこうした公園のような広いエリアでは雑草の管理も重労働となり、管理が行き届かなければ植栽した植物の生育が阻害され、デザイン意図が崩れる大きな要因にもなってしまいます。 私はこれまでさまざまな観光ガーデンを手掛けてきましたが、草取りのためにしばしばシルバー人材センターからお年寄りが派遣され、真夏の炎天下で作業をする姿が心配でなりませんでした。ガーデンの維持管理は設計施工者である私たちではなく、公園側へ委ねることになり、こうした市民の力を借りることも大いに考えられたため、雑草管理を極力少なくするということも私の使命と考えました。 植栽時の様子。左の花壇はマルチング済み。右の花壇はマルチング前で、専用に開発された植栽リングの中に植物を植えた状態。 そこで、この庭では、長年私たちがガーデン施工をする中で研究開発してきた「ノンストレスガーデン工法」を採用することにしました。簡単に説明すると、防草シートを植栽エリア全面に敷き、配置図に沿って植栽箇所にのみ穴をあけて植物を植えるという工法です。最後に全面にマルチングを施すため、防草シートが入っているようには見えません。この工法では、雑草を極力防ぐことができるため、選んだ草花を育てることに専念できます。ですから、草取りのストレスから開放されるという意味で、「ノンストレス」と名付けました。実際、ノンストレスガーデン工法で施工したあるバラ園は、それまで草取りにかけていたメンテナンス費が1/10に削減され、主役であるバラの手入れにより力が入れられるようになったといいます。 植物が生育すると植栽リングも隠れ、防草シートが入っているようには見えなくなる。 草取りの手間がないなら、庭を持ってみたいという人は多いのではないでしょうか。ノンストレスガーデン工法は、もちろん個人の庭でも施工可能で、私が手掛けている個人邸は、近年すべてこの工法で施工しています。私はこの工法が広がって、よりガーデンの楽しみを享受する人が増えることを期待しています。ただし、防草シートの敷き方や穴のあけ方、留め方など細部で正しく施工しないと逆効果になってしまうため、私たちが長年培ってきた知識や技術、施工後の管理方法などを他の施工者の方々に丁寧にお伝えできる形を現在模索中です。 グラウンドカバープランツとしても優秀な「クラピア」 そしてもう1つ、より誰もができる雑草対策として、グラウンドカバープランツによる雑草対策も取り入れています。グラウンドカバープランツとは地面を這うように広がってくれる植物で、さまざまな種類があります。代表的なものは芝生やリシマキア・ヌムラリア‘オーレア’などですが、芝生は密に生えそろうまでに雑草のタネが落ちて数年は除草作業が必要ですし、リシマキアはかんかん照りの場所より少し日陰を好みます。そこで近年、重宝しているのが「クラピア」です。クラピアは暑さに強く日なたでよく育ち、小さな丸い葉が重なっているので雑草が入る隙を与えません。芝生より早く生育して広がるので、新たなグラウンドカバープランツとしてさまざまな施工現場で活用されています。 グラウンドカバーとしてクラピアが優秀な理由の一つに、クラピアが日本の在来種から品種改良され、タネを作らないよう開発されていることも重要な点として挙げられます。クラピアによく似たヒメイワダレソウ(リッピア)という植物がありますが、こちらは外来種で旺盛に繁殖するため、日本では「生態系被害防止外来種リスト」に指定されています。ヒメイワダレソウはタネが飛んでいってしまうため、仮に農作物を作る田畑にタネが飛んで旺盛に繁茂してしまったら、とても厄介なことになります。雑草対策には、このように雑草化してしまう可能性のあるものはNG。植物には種類によってそうしたリスクもあるので、近隣への配慮もしながら選ぶ必要がありますが、クラピアは人がコントロールできるので安心して使えます。 また、浜名湖ガーデンパークはすぐそばに海があるため、クラピアが塩害に強いということもポイントです。海が近くにあるエリアでは、台風がくると海水を巻き上げた暴風雨の影響で、庭の植物が塩害によって枯れることがあります。そのため、台風の後にはホースで真水をまいて洗い流すなどの作業が必要になることがありますが、クラピアはもともと沖縄の沿岸に自生しており、塩害に強いため安心して植えられました。 白い花が咲いたクラピア。 さらに、クラピアは管理の面でも芝生と比較し、楽なのもよい点です。緑の絨毯のような芝生は植えれば勝手にできるわけではなく、むしろ植えた後の管理が肝心。芝生は刈り込むことで分枝し、密に茂って絨毯のようになるため、生育が始まる春から2週間に1回、そして生育が旺盛になる夏には1週間に1回芝刈りをするのが理想です。一方、クラピアはシーズンに1回の刈り込みで十分緑の絨毯状になります。春から夏にかけては1cmくらいのクローバーに似た可愛らしい花を咲かせ、一面の花畑のような風景を作ることも可能ですし、刈り込みの頻度を増すことで葉が小さくなり、草丈低くより緻密な緑の絨毯に仕上げることも可能です。このように、こちらの都合に合わせて管理方法が選べる点も私が気に入っている理由です。 庭づくりのアイデアを知らせる看板にも注目 クラピアについて解説した看板。文字が読めない人でも、意味が伝わるようイラストも添えた。 管理の負担を低減したり、暮らしに合わせて選択できるようにすることは、デザインや植物のセレクト次第で可能になります。特に年々、暑さが厳しくなる夏の管理を減らすことは、今後ますます課題になっていくでしょう。こうしたガーデニングの知識や技術を訪れた方にお伝えし、自宅でも活かしてもらえるように、ガーデン内には解説ガイドの看板も要所要所に立ててあります。このアイデアは、私がアメリカ園芸療法学会の会員としてカンファレンスに参加していたシカゴボタニックガーデンから得ました。このガーデンには車椅子のガーデナーが設計した「イネイブリングガーデン」というエリアがあります。「イネイブリングガーデン」とは(不可能を)可能にするガーデンという意味です。この庭には、さまざまな障害を持った人でも庭や庭づくりが楽しめるアイデアが詰まっており、そのアイデアが看板に記され、小さなポストからアイデアメモを持ち帰ることができるようになっていました。 シカゴボタニックガーデンで「イネイブリングガーデン」を設計したジムさんと。* シカゴボタニックガーデンからは、この看板だけでなく、ユニバーサルの機能についても大いに参考にさせてもらいました。ガーデンの名前にもなっている「ユニバーサル」は、しばしば「バリアフリー」と混同されますが、バリアフリーが特定の障害を持った人へ配慮したデザインであるのに対し、ユニバーサルデザインは障害を持った人もそうでない人も、大人も子どもも性別も超えて、すべての人にとって快適であるデザインのことを指します。不特定多数の人が訪れる公園には、ユニバーサルデザインの考えが不可欠ですが、私はそれを「複数の選択肢を用意する」という手法でデザインしました。 誰にとっても通りやすい園路の工夫 ユニバーサルガーデンの東口の入り口。 例えば、東口の入り口は階段を設け、西口の入り口はスロープにしました。すべてをスロープにしたほうが誰にとっても使いやすいのではないかと思われがちですが、足腰の弱った人の中には、平らな部分がない傾斜が続くほうがしんどいこともあるのです。その点、階段は一段一段平面があり安定しているため、自分のペースで進み、休みが必要ならば手すりにつかまって休憩することも可能です。 この階段は、じつは介助付きの車椅子でも、上り下りが可能です。介助者がいる場合、車椅子の後方にあるティッピングレバーを踏んで押し進めることで、前輪を浮かせて階段を上ることができます。階段の段差(蹴上げ)はその許容範囲内である14.5cmとし、一段一段車椅子が安定するように、階段の奥行き(踏み面)を120cmとしました。上るときも下がるときも介助者が下から支えて利用するよう説明した看板もあります。前述のようにスロープは傾斜が続くため、介助者は上り切るまで手を緩めることができないので、こちらのほうが都合がよい場合もあります。このように階段とスロープ、都合に合わせてどちらも選べるように東西の入り口の形状を変えてデザインしましたが、ここでは両方を体験してもらうことも目的の1つです。 車椅子の利用者になることは誰にでも起こりうることですが、家の入り口などのデザインにはいくつかのバリエーションが可能で、自身にあったスタイルはどれなのか、体験したり練習する場所として公園ほど安全な場所はありません。このようにさまざまなアイデアを持って帰ってもらい、自宅で活かしてもらうことも都市公園の役割の1つではないかと考え、より具体的に活かせるよう看板には寸法も入れています。 すべての人が過ごしやすい場所を目指したユニバーサルガーデン もう1つ、芝生のベンチも車椅子の利用者のことを考慮してデザインしました。ここは芝生に座る感覚を車椅子の人にも味わってもらいたいと作った場所です。芝生の地面から車椅子への移動は高さがありとても大変ですが、芝生の高さを上げてベンチ状にすることでスライド移動となり、車椅子の人も楽に芝生に座ることができます。 これは前述のイネイブリングガーデンを参考にしたもので、車椅子のデザイナーならではの発想に、とても感心したことを覚えています。実際座ってみると分かりますが、地面から立ち上がるより、高さのあるベンチのほうが誰にとっても負担が少なく済みます。例えば公園には赤ちゃん連れの方も多く訪れますが、芝生のベンチなら、赤ちゃんを抱いた状態でもバランスを崩さず安全に座ったり立ったりできます。 草花に触れやすいように、沿道側はレイズドベッド状花壇にした。高・中・低と3つの高さがあるので、自身に合う花壇を楽しめる。 世の中のデザインは一般に健常者の視点で作られていることが多く、ハンデを負っている方の不都合には気づきにくいものです。ユニバーサルデザインでは、その不都合を意識し、解消するデザインを模索する必要がありますが、結局それはハンデのない人にとっても快適な形であることが多いことに、このガーデンの設計を通して気づきました。また、公共の場所のデザインはそうであるべきとも思います。特に、公園は一定の時間を過ごす場所であるからこそ、いろいろな人がいることを認識し、相手の存在をお互いに気遣ったり思いやったりする場面も生まれ、「気づきにくさ」というものが解消されていくことも期待したいです。都市公園には「憩いの場」としての役割のほかに、多様性への理解を進め、よりよい社会へと導く役割もあるのではないでしょうか。ユニバーサルガーデンがたくさんの方に利用され、そうした役割を果たすことを期待したいと思います。
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宿根草・多年草

【優秀すぎる!】プロが選ぶ庭づくりで使い勝手抜群の宿根草ベスト7
庭の骨格を作ってくれる宿根草たち 葉っぱの美しい宿根草で、ある程度庭の骨格を作っておくと、花の端境期も庭がきれいに保てます。特に夏は暑くて庭仕事どころではないので、これからご紹介する宿根草を取り入れると、お手入れも楽に済みます。どれも丈夫で育てやすいものばかりですから、ぜひ庭で育ててみてくださいね。 1 コンパクトで使いやすい!「ロシアンセージ‘リトルスパイヤー’」 loflo69/Shutterstock.com ロシアンセージは白い茎に小葉のシルバーリーフ、淡い青紫の花が美しい宿根草です。夏に花が咲くと、涼しげな雰囲気を庭にもたらしてくれます。耐暑性・耐寒性にも非常に優れ、花壇の背景などにとても重宝する植物ですが、通常のロシアンセージは草丈も株張りも1m以上に育つため、日本の家庭の庭ではサイズが大きすぎて取り入れられないケースが多くあります。そのサイズ問題を解決したのが、‘リトルスパイヤー’です。ロシアンセージの繊細な美しさと丈夫さはそのままに、サイズが半分ほどに小さくなった品種です。スッと茎が立ち、猛暑でも株姿が乱れないのもおすすめの点です。 非常に旺盛に伸びるので、年に3回、茎が伸び始めた春先、花後の秋、落葉した冬に枝を半分以下に剪定すると、きれいな株姿が保てます。剪定することで分枝し、花数も増えます。 植物名:ロシアンセージ‘リトルスパイヤー’学名:Perovskia atriplicifolia 'Little Spire'英名:Summer Lavendar科名:シソ科属名:ペロブスキア属原産地:中央アジア(原種の自生地)分類:草花(宿根草)開花時期:7〜9月草丈:40〜60cm耐寒性:強い耐暑性:強い花色:淡青紫 2 日陰を明るくしてくれる!「斑入りカリガネソウ‘スノーフェアリー’」 白い斑入りの葉が美しい宿根草で、半日陰で湿った場所でもよく育ち、暗くなりがちなシェードガーデンをパッと明るくしてくれます。葉だけのときも美しいのですが、夏から秋に咲く青紫色の花は非常にユニークな姿で魅了されます。この花の形が野鳥の雁(がん)に似ていることから雁草(カリガネソウ)の名が付けられています。繊細な雰囲気ですが、カリガネソウは日本を含め東アジアに自生し、暑さ、寒さ、湿気、日陰に強く、とっても丈夫。植えっぱなしでも株が暴れず、こんもりきれいに茂ります。 植物名:斑入りカリガネソウ‘スノーフェアリー’学名:Tripora divaricata 'Snow Fairy'和名:ホカケソウ科名:シソ科属名:トリポラ属原産地:日本(主な自生地)分類:草花(宿根草)開花時期:7〜9月草丈:60〜80cm耐寒性:強い耐暑性:強い花色:青紫 左が斑入りカリガネソウ。繊細な葉姿で、ギボウシやツユクサなどシェードプランツとも相性抜群です。 3 花が長期間咲く!「カリオプテリス‘サマーソルベット’」 左が斑入り品種の‘サマーソルベット’、右は普通種のカリオプテリス。 カリオプテリスはハナシキブとも呼ばれ、日本に古くから自生する宿根草です。とても丈夫で育てやすく、初夏から秋まで長期間花を咲かせてくれます。なかでもライムイエローの斑入り葉の‘サマーソルベット’はカラーリーフとしても楽しめる品種で、花のない時期もガーデンを美しく彩ってくれます。夏になると淡い青紫色の花を段々に咲かせ、葉色とも相まってとても爽やか。冬の間に短く剪定しておくと、春に輝くような新芽を伸ばします。 植物名:カリオプテリス‘サマーソルベット’学名:Caryopteris × clandonensis 'Summer Sorbet'和名:ハナシキブ科名:クマツヅラ科属名:カリオプテリス属原産地:九州西部、朝鮮半島南部、中国東部~南部、台湾(原種の自生地)分類:草花(宿根草)開花時期:6〜9月草丈:50〜90cm耐寒性:強い耐暑性:強い花色:青紫 4 バラを守る!「ツルバギア‘シルバーレース’」 christophe.dtr、Nahhana/Shutterstock.com ツルバギアはガーリックプランツとも呼ばれ、ニンニクのような香りがします。そのため、バラの側に植えるとコンパニオンプランツとして害虫を寄せ付けない効果が期待できます。暑さにも寒さにも強く、長雨にも耐え、とても丈夫。日本の過酷な夏でも心配ありません。おすすめは細葉に白い斑が入るツルバギア・ビオラセア‘シルバーレース’。四季咲き性が強く、ピンクの愛らしい花は、5〜10月まで繰り返しよく咲いてくれます。 植物名:ツルバギア・ビオラセア‘シルバーレース’学名:Tulbaghia violacea ‘Silver Lace’英名:ソサイエティ・ガーリック科名:ネギ科属名:ツルバギア属原産地:南アフリカ分類:草花(球根)開花時期:5〜10月草丈:30〜60cm耐寒性:普通耐暑性:強い花色:ピンク 5 黄金のマット!「ゴールデンオレガノ」 Irenestev/Shutterstock.com ゴールデンオレガノはハーブのオレガノの中でも、輝くような葉が美しい品種です。草丈は20cmほどで、マット状に広がるので、グラウンドカバーや花壇の縁などに重宝します。同じ黄金葉で‘ノートンズ・ゴールド’という品種がありますが、こちらは茎が立ち上がりやすい性質があるため、グラウンドカバーには向きません。葉にはいい香りがあり、お料理やお茶などで使うことができます。 植物名:ゴールデンオレガノ学名:Origanum vulgare ‘Auren’ 英名:ゴールデンマジョラム科名:シソ科属名:ハナハッカ属原産地:ヨーロッパ〜西アジア(原種の自生地)分類:草花(宿根草)開花時期:8〜9月草丈:20cm耐寒性:強い耐暑性:強い花色:白 6&7 2大優秀グラウンドカバー!「リシマキア‘オーレア’」「アジュガ・アトロプルプレア」 リシマキア‘オーレア’もアジュガ・アトロプルプレアも、ほとんど全ての施工現場で使っている2大グラウンドカバープランツです。日陰にも強く密に茂って雑草が生えるのを防いでくれます。リシマキア‘オーレア’は輝くような黄金の葉色が日陰を明るくしてくれます。艶やかなチョコレート色の葉が美しいアジュガ・アトロプルプレアは、春先に青紫色のかわいい花が立ち上がります。どちらも常緑で冬の庭にも彩りをもたらしてくれます。よく広がるのですが、地下茎で増えないところがポイント。植物の中には地下茎やこぼれ種で思いのほか増え、コントロールできなくなるものも多いのですが、この2つは広がってほしくない場所に侵入した場合、簡単に引き抜くことができます。こちらの思うようにコントロールでき、とても使い勝手がよいグラウンドカバープランツです。 アジュガ・アトロプルプレアの花。Lidia Kovacs/Shutterstock.com リシマキア ‘オーレア’とアジュガ・アトロプルプレアにタイム(ピンクの花)を混植した例。 植物名:リシマキア・ヌムラリア‘オーレア’学名:Lysimachia nummularia 'Aurea'英名:ゴールデンクリーピングジェニー科名:サクラソウ科属名:オカトラノオ属原産地:ヨーロッパ(原種の自生地)分類:草花(宿根草)開花時期:8〜9月草丈:2〜10cm耐寒性:強い耐暑性:強い花色:黄 植物名:アジュガ・レプタンス・アトロプルプレア学名:Ajuga reptans cv. Atropurpurea和名:セイヨウキランソウ科名:シソ科属名:アジュガ属原産地:ヨーロッパ分類:草花(宿根草)開花時期:4〜5月草丈:10cm耐寒性:強い耐暑性:強い花色:青紫
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寄せ植え・花壇

入手しやすい身近な花でつくるBlack&Whiteの寄せ植え
上手な花選びのための5つのチェックリスト 1.色合わせ ここでは白い鉢と黒い鉢に合わせて、それぞれ5つの花苗と球根を選んでいます。寄せ植えは、鉢も含めた全体の色合わせを考えましょう。 <黒い鉢> ビオラ‘ヌーヴェルヴァーグ’(紫色)プリムラ・マラコイデス(濃いピンク)ヒューケラ・ドルチェ‘ブラックナイト’コクリュウハボタン‘光子プレミアム’チューリップ‘コンプリメント’ <白い鉢> ビオラ(淡い黄色)スーパーアリッサム‘フロスティーナイト’プリムラ・マラコイデス(白)斑入りヤブコウジ‘十両金’カレックス・オシメンシス‘エヴァリロ’チューリップ‘バレリーナ’ 4月のアリッサムの様子。成長すると花壇から枝垂れるように咲き広がります。 2.高低差 草丈が揃いすぎると、寄せ植えが平面的になり、それぞれの花の個性も引き立ちません。「横に広がって成長するもの(ビオラやアリッサム)」、「縦に伸びるもの(プリムラやチューリップ)」など、生育形態を考えて取り入れると、立体的でバランスのよい寄せ植えができます。 3.形の違い 花の大きさや葉の形の違いを意識して選びましょう。細葉のカレックスやコクリュウは、寄せ植えに変化を生み出す名脇役です。 チューリップ‘バレリーナ’。甘い香りとスレンダーな咲き方が人気。草丈40〜60cm。Photo/ Mayabuns/Shutterstock.com 4.季節の変化 植えたときだけでなく、育っていく過程でも変化があると、より季節感が味わえます。それぞれの植物は春に向けてグンと成長し、それだけでも春の訪れを感じられますが、ここではさらに季節感を演出する仕掛けとして、チューリップの球根を用います。春以降、チューリップの茎が伸びてきて、5月半ばには白い鉢にはオレンジ色の、黒い鉢にはパープルピンクのチューリップがブーケのように華やかに咲く予定です。 5.使い回し この寄せ植えでは一年草(ビオラ、プリムラ、アリッサム、ハボタン)、宿根草(ヒューケラ、コクリュウ、カレックス)、球根(チューリップ)、低木(ヤブコウジ)を取り混ぜています。5月下旬には一年草やチューリップが終わりますが、宿根草や低木は引き続き次の季節の寄せ植え素材として使うことができます。植え替えるたびに全ての植物を一から揃えるより、ローコストで充実感のある寄せ植えができますよ。 フラワーアレンジのテクニックで‘馴染んだ感’を出す 植え込んだばかりのときは、どうしても「今、植えた感」があり、なんとなく植物同士もよそよそしい感じがします。成長していく過程で、葉が重なり合ったりしながら植物同士が馴染んでいい具合になりますが、少し時間はかかってしまうもの。そこで、1ポットの苗をいくつかに分け、フラワーアレンジメントで花を束ねる時のように植物同士をあらかじめ組み合わせて植えます。すると、時間が経って植物が馴染んだ感じが最初から演出できます。すべての植物が1ポットから分けられるわけではありませんが、カレックスやコクリュウは数株に分けることができます。これらの細葉を散らして植えこむと、全体の調和がとれ、馴染んだ感の演出に重宝します。 植え込みをしよう! 植え込み手順1 鉢底石の上に用土を入れます。鉢底石は生ゴミ用のネットに入れておくと、植え替えの際に土ふるいにかけずに簡単に取り除くことができて便利です。用土は水やりの際に土が流れ出ないように、鉢の縁から少なくとも3〜4cmは下げた位置を上限とします。花苗を植え込んだ後も用土を足すことを考慮して、最初に鉢に入れる土の高さを調整しましょう。 <使った資材> 左/「きれいな鉢底石」根腐れ防止に効果的な木炭やゼオライトが入り。3ℓ 410円(税込)/花ごころ右/「花ちゃん培養土」12ℓ 905円(税込)土壌改良効果と肥料効果を併せ持ち、通気性がよく軽いので鉢植えに最適。緩効性肥料も入っているので、これ一つで始められて手軽。12ℓ 905円(税込)/花ごころ 花ごころ直営オンラインショップ「花ちゃん園芸ショップ」http://hanachan-shop.com/index.html 植え込み手順2 カレックス(黒い鉢ではコクリュウ)は1ポットを数株に分けます。水の中で土を洗い落としながら根っこをほぐしていくと、分けやすいでしょう。 植え込み手順3 小分けにしたカレックスをフラワーアレンジメントの要領で、他の植物と組み合わせた状態で植え込んでいきます。 植え込み手順4 花苗を全て植えたら、最後にチューリップの球根を植えます。チューリップの葉は幅が広いので、葉が展開してきたときに他の植物を覆い隠してしまわないよう、端にまとめて植えます。 植え込み手順5 球根の上や苗と苗の間に用土を入れていきます。苗と苗の間は狭く、土を入れたつもりでも意外と隙間があいてしまうことがよくあるので、指で土を寄せてしっかり根を覆いましょう。土を入れたら水やりをしますが、水やりをすると空気を含んでいた土が沈んで隙間があくことがあるので、そこにも土を足しましょう。 植え込み手順6 チューリップの部分にプランツネームを立てましょう。何もないと間が抜けた感じになってしまいますし、案外何を植えたのか忘れてしまうものです。チューリップの芽が出てきて葉が展開し始めたら外します。 <使った資材> 黒にペイントされたステンレス製のプランツネーム。ホワイトマーカーなどで植物名を書き込みます。500円〜/ベルツモアジャパンhttp://bellsmore.jp 完成! Black&Whiteの寄せ植えの完成です。並べて置いても素敵ですが、それぞれ背景の明暗が反対の場所に置くと花色がよく映えて綺麗です。黒い鉢は上の写真のように背景が白っぽい明るい場所へ、白い鉢は下の写真のように緑や濃い色を背景にすると引き立ちます。
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ガーデニング

草取りで心が折れそうな人へ。除草剤の効果的な使い方
草取りの原因になる雑草対策は早めが肝心 春、明るい黄緑色の若葉を開く木々や草花。空気の温みとともに、その色は日に日に濃くなり、桜の花が散る頃にはまるで衣替えをするかのように、庭は瑞々しい緑で覆われます。しかし、その瑞々しい緑の中には、歓迎されざる草たち、いわゆる「雑草」も混ざっています。最初は雑草も小さく、あまり目障りではないものの、放っておけばアッという間にボウボウと茂って、梅雨を迎える時期には鬱陶しいほどに。しかも、その繁殖力は驚異的。真夏は草取りをするそばから生え、ガーデニングのほとんどが草取りに占められ「もうウンザリ」というケースも少なくありません。こんな大変な思いをするなら、庭などやめて業者に依頼して一面コンクリートで固めてしまえ、なんて早まらないで! きちんと対策さえすれば、草取りに追われることなくガーデニングを楽しむことができます。 Photo/damiangretka/Shutterstock.com その対策の一つとして、庭づくりの初期に有効なのが除草剤。特に新築や完全な庭リフォームの場合には、最初に庭に持ち込まれる土は、山を崩した土や野ざらしの残土などで、もれなく雑草のタネがたっぷり入っています。そのまま何もせずにバラや園芸植物を植えて肥料をやろうものなら、雑草のほうが大いに茂って、楽しいはずのガーデニングが草取りに明け暮れることになってしまいます。ですから、好きな植物を植える前に、一度土壌をリセットする意味で除草剤を用いると効果的です。 草取りに役立つ除草剤は適期に適正なものを使おう 敷き詰めたレンガの隙間でも雑草はたくましく育つ。放っておくと伸びて庭が荒れた雰囲気になるので早めに対策を。Photo/Maria Meester/Shutterstock.com ただし、使う際には最低限の使用量で最大の効果を発揮するように、適期・適性を見極め、希釈率などを守って適量を用います。また、持病やペットへの配慮など、特定の事情がないかどうか、確認できた場合にのみ使います。 除草剤と一口にいってもいろいろな種類がありますが、まず大きく分けて雑草の発芽前と発芽後では適する製品が異なります。冬から初春にかけて使うなら、発芽前の土中の種子に対して働きかける「発芽抑制効果」のタイプのものを、春以降、雑草が既に生えてきてからなら「草と根を枯らす」タイプのものが適しています。 抜きにくい目地などには除草剤が便利。Photo/damiangretka/Shutterstock.com 除草効果の持続するものとしないものがある また、効果の持続期間も製品によって異なります。除草剤を使うと、その場所では永遠に植物が育たないように思っている方も少なくないようですが、除草剤は効果がずっと持続するものではありません。ホームセンターなどで入手できる除草剤の中で、最も効果の長いものでも約6カ月ほど。持続期間について特に記載のないものは約2〜3週間で効果が切れます。ですから、駐車場などのように、そもそも植栽計画がない場合には効果の長いもののほうが向いていますし、庭などでその後植栽をするつもりなら、効果が持続しないものを使います。そして、効果が切れた頃を見計らって好きな植物を植えれば、問題なくちゃんと育ちます。このように除草剤にはたくさんの種類がありますから、まず売り場で製品の説明をよく読みましょう。 生命力、繁殖力が強く、たくましい雑草たちですが、我が家の庭には歓迎したくない草類。左上から時計回りに、エノコログサ、チガヤ、セイタカアワダチソウ、スズメノカタビラ。 左上から時計回りに、スギナ、ドクダミ、シロザ、カタバミ。 草取りのコツは「タネを落とさない」こと 除草剤を使って雑草を一掃したとしても、その後も雑草のタネはどこからでも飛んできて、生えてくるものです。けれど、植えた植物のほうが先に大きく育っていれば、後からやってきた雑草はその陰に隠れてさほど大きく育つことができません。このように、育てたい植物が雑草よりも優先的に生育できる環境を整えてあげるという意味でも、最初に雑草を絶やしておくことが大切です。 その後、雑草を見つけたら、小さいうちに抜くことが肝心です。草取りのコツは、とにかく「タネを落とさない」ということ。タネができた状態で草取りをすると、タネがあちこちにこぼれ落ちて、再びアッという間に生えてきます。ですから、タネができる前の小さいうちに抜くことが大事。小さいうちは根張りも浅く、花壇用に土壌改良されたフカフカのよい土なら雑草も簡単に抜けるので、さほど苦労することもありません。 草取りの服装は、動きやすい格好で手袋を装着。道具は、小型の草取り鎌や立ったまま使えるフォークなら腰痛防止に。長時間のしゃがんだ姿勢がつらい場合は、座ったまま移動できる車輪付きの椅子があると楽で効率的です。雑草を若い芽のうちから取り去るには、根っこごと確実に抜くこと。熊手で表土をひっかいた程度では、土中に根っこが残ってしまい再び新芽が伸びてくるので気をつけましょう。 園芸植物が大きく育っている場所では、雑草の入り込む余地があまりない。 グラウンドカバーと呼ばれる匍匐性の植物で地面を覆っておくと、雑草が生えにくい。これも草取りをしない方法の一つ。写真のリシマキア‘オーレア’はゴールドの葉が美しく、丈夫。 ●『足元のカバーや雑草対策に欠かせない グラウンドカバーに最適な植物7選』 雑草とうまくつき合うのも大事 「雑草」といっても、それぞれに名前があり、意外と庭の彩りになってくれるものもあります。また、ドクダミやヨモギなど生活に利用できるものもありますし、抜いた雑草は堆肥としても役立ちます。庭づくりをするうえで、雑草と無縁ではいられませんので、上手につき合いながら庭づくりができれば理想的。そしてたいてい、庭づくりの年数を経ていけば、次第にそうなっていくものです。 ただし、最初から草取りに明け暮れて、心がくじけそうな人には、除草剤という選択肢もあります。草取り回避のためにせっかくの庭スペースをコンクリートで固めてしまう前に、除草剤を賢く使って楽しいガーデニングのスタートを切って欲しいと思います。 Photo/Simon Kadula/Shutterstock.com 抜き取った雑草は一箇所にまとめて置いておくと、分解されて堆肥として利用できるようになる。 日本では雑草といわれる植物も英国ではメドウ(野原)ガーデンの素材として使われる。全体に生やしておいて、後から道を刈り込むだけで、美しいメドウガーデンに。 ナチュラルでくだけた演出にも意外と効果的な雑草。 併せて読みたい



















