八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
難波良憲の記事
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寄せ植え・花壇
【春の寄せ植え】おしゃれカラー満載のオステオスペルマムの寄せ植え6実例
おしゃれカラー満載のオステオスペルマム 左上から時計回りに/‘3D バナナシェイク’ ‘セレニティ ロジータ’ ‘3D バイオレットアイス’ ‘3D ナヌーク’ ‘フラワーパワー ローズサイプラズ’。 オステオスペルマムは、早春から初夏まで咲き継ぐキク科の花。草丈は品種にもよりますが、多くは20〜50cmで、寄せ植えでも扱いやすいサイズです。パッと開いた上向きの花姿は、鉢の中でも存在感抜群。春から初夏まで次々に花を上げ、丈夫で育てやすいオステオスペルマムですが、一番の魅力は、なんといっても多彩でユニークな花色です。 左/咲き進むにつれ黄色から赤色に変化する‘マスカレード’。右/パープル&オレンジの‘ピンクアイビューティー’。 おしゃれなくすみレッドや桜貝のような淡いピンク色、チョコレート&アプリコットカラーの2色咲き、咲き進むにつれ色が変化するものなど、目を奪われる花色ばかり。オステオスペルマムだけでも見応えのある1鉢になりますが、寄せ植えで花色の組み合わせを考えるのは、クリエイティブで楽しい時間です。 花言葉は「元気」! 春の門出の贈り物にもぴったり お星さまを散りばめたような花心がかわいい‘3D 268’。 オステオスペルマムの花言葉は「元気」「無邪気」「変わらぬ愛」。ポジティブな言葉と、笑いかけるように咲く上向きの丸い花は、春の門出のお祝いにもぴったりです。入園、入学、入社など、新生活を始める人にオステオスペルマムの寄せ植えを贈ってあげましょう。元気で愛らしい花が、大切な人のそばで新しい暮らしを応援してくれることでしょう。 オステオスペルマムの寄せ植えのコツ 左はアネモネ。右はオステオスペルマム。どちらも主張が強い花なので、小さな鉢の中ではどちらか一つを主役にしたほうがまとまりやすい。 オステオスペルマムは、寄せ植えの花材の中でも花径が比較的大きい花です。さらに、全ての花が上向きで一斉にこちらを向いて咲くため、主張も強く寄せ植えの中では間違いなく「主役」級。ですから、組み合わせる植物は「脇役」として活躍してくれる小花やリーフが向いています。例えば、オステオスペルマムと同じくらいの花径で色も鮮やかなアネモネを小さな鉢内で組み合わせると、どちらも主張して見所のわからない寄せ植えになってしまいます。1鉢に主役は1つが基本です。 桜貝色のオステオスペルマムの寄せ植え 桜貝のような淡いピンク色のオステオスペルマム‘セレニティ ロジータ’を中央に配し、同系色のアルメリア ピンクを後方両サイドへ。花と花の間にオレガノ‘ミルフィーユリーフ’を入れて、2つの花色が際立つようにしています。鉢縁に配した細かなリーフはキンギョソウ‘ムーンライトオブトリニティ’。クリーム色の斑が入り、起毛してふわふわの感触がオステオスペルマムのやさしい雰囲気にぴったりです。暖かくなってくるとミルキーホワイトのかわいい花が咲きます。手前中央には次第に枝垂れ咲いてくるスイートアリッサムを、後方中央には白色のネメシアを。鉢色もやさしい水色を選んでトータルコーディネート。 それぞれの花が咲き進むにつれ全体的にボリュームがアップし、華やかさが増してきます。 花心がブルーグレーのオステオスペルマムに合わせて、やや青みがかったアルメリアをセレクト。 プーさんカラーのかわいい寄せ植え 花心がチョコレート色で花弁が黄色というコントラストがおしゃれなオステオスペルマム‘3D バナナシェイク’を主役にした寄せ植えです。オステオスペルマムは、このように花色に2色入っているものが多くあります。この場合の色合わせはとても簡単。脇役の植物に、チョコレート色か黄色を選べば失敗はありません。くまのプーさんのような愛らしい雰囲気の1鉢が出来上がりました。 ここでは、葉色がチョコレートカラーのプリンセスクローバー‘エステル’とヒューケラ、クリームイエローの斑入り葉のシレネ・ユニフローラ、黄色の花のプリムラ・ジュリアン‘キャンディマジック’を組み合わせました。全体的に丸くこんもりとしたフォルムに、ハゴロモジャスミンのつるで動きを与えて軽やかさをプラスします。 サンセットカラーのおしゃれな寄せ植え 水平線に沈む夕日のようなサンセットカラーのオステオスペルマム‘ピンクアイビューティー’。自然の発色の美しさに見惚れるバイカラー(2色咲き)の花を際立たせるために、小花のブラキカム・ブラスコバイオレットとライムイエローのリーフ、リシマキア‘リッシー’、オレガノ‘ミルフィーユリーフ’を合わせました。 円形の鉢に、上の図のように植物をそれぞれ3株ずつ三角形を組み合わせるように配置します。花と花の間に入れたリーフ類は、緩衝材のような役目を果たし、花をより際立たせて美しく見せる効果があります。 発色の鮮やかなオステオスペルマムとブラキカムには、発光するようなライムグリーンのリーフ類が似合います。 オステオスペルマムの花色を生かす鉢を選んで 黒のブック形プランターに白花を集めたシックな寄せ植え。 オステオスペルマムの最大の魅力である花色を生かすには、鉢の色もトータルで考えると寄せ植えの完成度が格段に上がります。植木鉢は赤茶色のテラコッタカラーが一般的ですが、近年はブリキや樹脂製で、カラフルでユニークなデザインのものも増えています。ブリキや樹脂製の鉢は比較的安価で軽量なので、扱いやすいのも魅力です。ただし真夏は、ブリキだと高温になり植物の根を傷めるため、別の素材を使ったほうがよいでしょう。オステオスペルマムの咲く3~5月は、ブリキの鉢でも安心です。暑い日が続くときは、少し日陰に移動してあげるといいでしょう。 ブリキ製のアンブレラプランターに寄せ植え。鉢色に合わせてブルーとイエローで組み合わせ、メルヘンチックな雰囲気に。持ち手があり移動も楽。 オステオスペルマムの赤い花色に合わせて、同色のブリキの鉢でコーディネート。 多彩な花色が魅力のオステオスペルマムで春の寄せ植えを楽しんでくださいね。次回はオステオスペルマムをより可愛く見せる植え方のコツをご紹介します。
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寄せ植え・花壇
【プロが解説】バレンタインにも! ハボタンとリーフのおしゃれカッコイイ寄せ植え
黒葉のハボタンとリーフ類の寄せ植え 気温の低下に伴って鮮やかに発色するハボタン。白、ピンク、紫などさまざまな色がありますが、今回は黒葉のハボタンを主役にして、花は入れずにリーフ類だけでカッコいい寄せ植えを作っていきます。 【素材】 ハボタン‘シルバーさんご’ 3苗ハボタン‘ブルームレッドウェーブ’ 3苗キンギョソウ‘ブランルージュ’ 3苗サントリナ 3苗ハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’ 1苗アイビー 2苗 (*鉢の大きさに応じて苗の数を調整してください) 【その他の材料と道具】 鉢/直径25cm前後 ・鉢底石 ・培養土水を張ったバケツ(手洗い用)・何も入っていないバケツ(土捨て用)回転台(あると便利) 【作り方】 ① 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を8〜9分目くらいまで入れます。鉢は回転台の上に乗せて作業します。 ② ハボタン‘シルバーさんご’をビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたらほぐし、色が褪せていたり、しおれた葉は株元から外します。 ③ ハボタン‘シルバーさんご’を、中央に三角形になるように植えます。基本的に後から土を足さないので、株元までしっかり植わるようにグッと苗を土に押し込みます。 【きれいのPoint!】 苗をほぐす際に土を触ったら、1回1回、手を洗ってきれいにしましょう。土のついた手で植物を触ると、葉っぱや花が汚れて仕上がりが汚くなってしまいます。寄せ植えの花たちは、鉢の中で共演する、いわば舞台役者です。汚さないように丁寧に扱いましょう。 ④ ハゴロモジャスミンをビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたらベリッとはがしながら、ほぐします。長く店舗に置かれていた苗は、表土に苔がついていることがあるので、これもはがしましょう。そのままにしておくと風通しが悪く、ジメジメする原因になります。 ⑤ ハゴロモジャスミンを、先ほど三角形に植えたハボタンの中央に配置します。 ⑥ キンギョソウをポットから取り出し、ハボタンの間に植えていきます。株間が狭いので、キンギョソウの苗の土をやや落として小さくしてから植えていきます。 【きれいのPoint!】 キンギョソウを植えたら、先に植えたハゴロモジャスミンと葉先を絡めていきます。カリスマ美容師の、仕上げのヘアセットのごとく繊細に! これをやらないと、苗がただ横並びに並んでいるような野暮ったい仕上がりになります。いずれ成長の過程で葉同士が自然に絡んでいきますが、最初からそのように手を加えることで、完成時の見栄えが断然よくなります。 ⑦ サントリナをキンギョソウに添わせるように植えていきます。1ポットが大きいようなら、株分けして小さくして植えます。 ⑧ サントリナの下に、ハボタン‘ブルームレッドウェーブ’を植え込みます。 ⑨ アイビーをポットから取り出して、株元を見ながら1本ずつ株分けします。 ⑩ アイビーを鉢の縁に植え、アイビーの葉が鉢をぐるっと1周するように茎を絡めます。ところどころはタランと垂らして、自然な感じに。最後に回転台を回しながら、全体をチェックします。植え込んでいくうちに、最初に植えた植物が傾いてきてしまうことがあるので、微調整しましょう。 完成です。リーフ類だけですが、ブラックやシルバー、パープル、斑入りなどさまざまなカラーや異なる形、質感のものが組み合わさり、見応えのある1鉢に仕上がりました。花がない分見頃は大変長く、また花がら摘みも必要のない寄せ植えです。おしゃれでカッコよく、手入れも基本的に水やりだけでOKなので、贈り物にもぴったり。バレンタインのプレゼントとして、手作りの寄せ植えを贈ってみてはいかがですか。 ハボタンのリース寄せ植え ハボタンとリーフ類をメインにしたリース形の寄せ植えです。4種類のハボタンにリシマキア・ヌンムラリア‘オーレア’、スイートアリッサムなどを組み合わせています。リース形の寄せ植えを作る場合には、草丈が高くならないものを選び、ギュッと詰め込んで植えるのがポイント。植えるスペースが狭いので、株分けできるものは株分けして小さくしてから植えると繊細な雰囲気になります。土の量が一般の鉢より少ないため、乾きに注意して水やりをしましょう。冬は生育が遅くほとんど形が変わらないので、このままの美しい姿が楽しめます。 色や形のバリエーションが豊富なハボタン。寄せ植えでは主役にも脇役にもなり、おしゃれな雰囲気を醸し出してくれる頼もしい素材です。ハボタンを使って、冬の寄せ植えをぜひ楽しんでください。
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寄せ植え・花壇
【寄せ植え】ハボタンが主役の寄せ植え コツは組み合わせと植え方!
寒さに本領を発揮するハボタン ハボタンはキャベツやブロッコリーなどと同じアブラナ科の植物で、別名「ハナキャベツ」とも呼ばれます。形はキャベツによく似ていますが、キャベツと違って美しい色が特徴。寒さに強く、気温の低下に伴って鮮やかに発色し、白やピンク、赤、紫などに株の中心部が染まっていきます。近年は、小ぶりでバラのような花形のものもあり、黒やシルバーなど葉色のバリエーションも豊富。まるで葉脈にワインを流し込んだように赤色がくっきりと浮き立つ品種も人気です。大型のものもありますが、寄せ植えではミニサイズの品種を用います。脇役に回りがちなリーフ類ですが、ハボタンは主役として存在感を発揮してくれる冬の素材です。 冬から春のハボタンの変化。 観賞期間はとても長く、秋から冬にかけて色が美しさを増し、春には株の中心部が伸びてきて菜の花とよく似た黄色の花を咲かせます。株姿がどんどん変化するのも楽しいリーフです。 ハボタンが主役の2月の寄せ植え ハボタンの美しさを愛でる寄せ植えを作ってみましょう。草丈の低いハボタンを前面に置き、中央後部にガーデンシクラメンを配置して高さを出します。全体をハボタンの葉脈の色に合わせてピンク系で揃え、きれいな扇形にまとめます。 【花材】 ハボタン 2苗ガーデンシクラメン‘森の妖精’ 1苗ネメシア‘フラミンゴ’ 2苗セイヨウイワナンテン‘フロマージュ’ 1苗スイートアリッサム 1苗 (*鉢の大きさに応じて苗の数を調整してください) 【その他の材料と道具】 鉢/幅20cm前後鉢底石培養土水を張ったバケツ(手洗い用)何も入っていないバケツ(土捨て用)回転台(あると便利) 【作り方】 ① 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を8〜9分目くらいまで入れます。鉢は回転台の上に乗せて作業します。 ② ハボタンをビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたら根をほぐし、色の褪せた外葉は株元から外します。 ③ ハボタンを前面の両端に1苗ずつ植えます。基本的に後から土を足さないので、株元までしっかり植わるようにグッと苗を土に押し込みます。このとき、少し前方へ傾けて植えるのがポイント。 【きれいのPoint!】 ハボタンの魅力がどこにあるか、株を持って観察してみましょう。バラの花のように渦を巻いた中心部分がきれいだと思いませんか? 色のグラデーションも美しいこの中心部がよく見えるように、斜めに傾けて植えるのです。 まっすぐ直立させて植えると、置き場所によっては葉の裏ばかりが見えて、せっかくのハボタンのチャームポイントが見えません。植えるときは、その植物の魅力はどこにあるのか、よく観察して、チャームポイントが生きるように配置してあげましょう。 ④ シクラメンをビニールポットから取り出します。ポットの中で根が回っていたらベリッとはがしながら、ほぐします。また、葉っぱをかき分けて、内側に枯れたつぼみや葉、黄変した葉があれば取り除きます。この後に登場するほかの植物も同様にします。 枯れたつぼみや葉っぱにはカビが発生することがあり、そのままにしておくと病気の原因となります。 【きれいのPoint!】 苗をほぐす際に土を触ったら、1回1回、手を洗ってきれいにしましょう。土のついた手で植物を触ると、葉っぱや花が汚れて仕上がりが汚くなってしまいます。寄せ植えの花たちは、鉢の中で共演する、いわば舞台役者です。汚さないように丁寧に扱いましょう。 ⑤ ガーデンシクラメンを中央後方へ植え付け、ハボタンとガーデンシクラメンの間にセイヨウイワナンテン‘フロマージュ’を入れます。ハボタンとガーデンシクラメンは高さに差があるため、セイヨウイワナンテンを入れることで間を自然につなぎます。 このとき、ポットから抜き出したセイヨウイワナンテンをそのまま植えると、間がうまくつながりません。株を割り広げ、横長にしてから植えましょう。 ⑥ ネメシア‘フラミンゴ’をガーデンシクラメンの両サイドに入れます。中央に入れたガーデンシクラメンを頂点とし、寄せ植え全体が扇形のフォルムになるようにしたいので、ネメシアもやや株を広げます。このとき、1株ずつの花の高さを観察して、左右どちらに配置するかを吟味します。 【きれいのPoint!】 左の写真のように端にくる花の草丈が高いと、扇形にならず全体のまとまりが悪くなります。右の写真のように端にくる花の草丈が低いと扇形に近づきます。同じ花でも株には個体差があり、高さもまちまちです。わずかな差ですが、1株1株をよく見て配置を見定めることによって完成度が変わってきます。 ⑦ アリッサムをハボタンの間に植え込みます。植え込み前に株を内側までよくチェックし、枯れ葉や黄色くなった葉は取り外しておきます。 ⑧ 最後に回転台を回しながら、全体をチェックします。植え込んでいくうちに、最初に植えた植物が傾いてきてしまうことがあるので、微調整しましょう。 完成です。ハボタンは、生育にするにつれ茎が伸びて浮き上がってしまうので、そうなったらグッと株元まで深く埋め戻してあげましょう。寒さには強いですが、置き場所は霜や雪の当たらない軒下などが向いています。 ハボタンの寄せ植えバリエーション プラチナケールというハボタンの仲間とガーデンシクラメン‘プチティアラ’をメインにした円形の鉢の寄せ植え例です。バラの花のようなピンクのハボタンに、鮮やかなピンクのガーデンシクラメンを合わせました。この寄せ植えでは、ネメシアをガーデンシクラメンとハボタンのつなぎに使っています。 ハボタンはさまざまな色や形があり、可愛らしくも演出できますし、黒葉を使ってカッコよくも演出できます。次回は、黒葉を使ったクールなハボタンの寄せ植えをご紹介します。お楽しみに!
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寄せ植え・花壇
【プロが解説】玄関をパッと華やかに! ハレの日の寄せ植え5実例
防犯効果も!寄せ植えで玄関を華やかに演出しよう 玄関はその家の印象を決める大事なエリアです。季節の寄せ植えで、いつも明るく美しくしておきたいもの。来客はもちろん、家人にとっても、きれいな風景がいつも目の端に入る暮らしは、心の保養にもなります。それに、玄関が草花で美しく彩られていると、防犯効果があることも国内外のいくつもの実例で示されています。 年末年始は家族だけでなく、親戚・友人の帰郷などお客様も増えるので、美しい玄関でお迎えしましょう。冬の寒さのなかで可愛い花を咲かせてくれるシクラメンを主役にした寄せ植えの実例を5つご紹介します。 「シンメトリー植え」の寄せ植えで格調高い雰囲気を演出 正方形の鉢に対称的(シンメトリー)に植物を配置した寄せ植えです。「シンメトリー植え」は整った印象があり、フォーマルな雰囲気をつくるのに最適。同じ鉢で同じ内容の寄せ植えを2つ作り、門や玄関扉の手前、左右に置くと、格式高い雰囲気を演出できます。 「きれい」のポイントは花の間に挟んだリーフ 植物の配置は、上の図のようになっています。まず、主役となるシクラメンを植えます。シクラメンは3種2株ずつ、中央と4隅に配置します。シクラメンはグリーンのフリルやピンクの八重咲き、ミニサイズなど、それぞれに異なる個性があります。その個性を際立たせるために必須なのが、リーフ類です。 長方形で示した部分はリーフ。花と花の間に挟み込むように入れます。個性的で華やかな花同士が隣り合うと個性が相殺されますが、間にリーフを入れることで、それぞれの花の個性を活かすことができます。仮に、長方形の箇所がすべて花、例えばシクラメンやパンジーだったりすると、個性が渋滞して見所がどこなのか分からなくなってしまいます。 主役を決め、それを引き立たせる脇役をキャスティングするのが、見応えのある寄せ植えのコツ。ブーケを作るときにも、お花屋さんは花だけでなく葉っぱを入れますね。寄せ植えのリーフ類もそれと同じで、リーフはいわば主役の花を引き立てる名バイプレイヤー。リーフ使いが上手になれば、寄せ植えの名手になれます。 ハードとソフトの融合 リーフといっても緑色だけではありません。発光するようなライムイエローやパープル、キャラメル色、シルバー、斑入りなど、「カラーリーフ」「オーナメンタルリーフ」と呼ばれる魅力的なリーフ類が膨大にあります。その代表的なものが、アイビー。アイビーはつる性で、茎が長く伸びる性質があります。その性質を生かして鉢の縁に配置すると、直線的な鉢(ハード)のラインを隠して、有機的なラインの植物(ソフト)を融合し、寄せ植えの完成度を格段に上げてくれます。ここではアイビー‘白雪姫’を鉢縁に配置しています。アイビーはまるで白と緑の2種類が入っているように見えますが、‘白雪姫’は株元が緑で葉先が斑入りになる品種。気温が低くなると、葉色が白っぽいクリーム色になります。 丸鉢での「シンメトリー植え」もきれい。主役は八重咲きガーデンシクラメン‘チモ’。 横長の鉢にシンメトリー植え。 「アシンメトリー植え」の寄せ植えで躍動感を演出 対称に対し、非対称(アシンメトリー)の寄せ植えは、ある一点を際立たせて躍動感のある雰囲気を演出できます。ここではワインレッドのシクラメンの存在感が際立ちます。シクラメンの色に合わせて、ビオラ、ハボタン、セイヨウイワナンテンを。クリーム色の鉢に合わせて、ネメシア、アイビー、斑入りのへーべをセレクトしています。紫と黄色は補色の関係で相性がよいため、その色の延長線上にあるワインレッドとクリーム色も好相性。色テーマは一鉢に2〜3色くらいにすると組み合わせもしやすいです。 立てかけても使えるDIY「ラインフラワープランター」 このプランターはDIYで作ったものです。フラワーアレンジメントで、テーブルセンターのようにライン状に花を装飾する方法がありますよね。それから発想を得て、寄せ植えプランターバージョンを作ってみました。名付けて「ラインフラワープランター」。地面から咲いているような自然な雰囲気で、いつもとは違う表情が楽しめます。デッキなどに置くと、身近で花が眺められますよ。 4列の板材のうち、1列を植栽升としてあけ、そこに土を入れるスペースとしてシートのままの鉢底網をコの字状にはめ込んでいます。板材には屋外木材用の防腐剤を塗って仕上げているので、通常通りに水やりができます。 立てかけると板が額縁のような効果を発揮し、花を際立たせて見せてくれます。中央にシクラメンを配置し、リーフ類を加えてほぼシンメトリーに植えています。赤い実のチェッカーベリーもアクセントに。 立てかけたときに土がこぼれないように、植栽後は土表面に水苔をギュッと詰めています。 ご覧いただいたように、同じシクラメンを主役にしても、シンメトリーで植えるか、アシンメトリーにするか、また植え込む鉢によっても雰囲気の異なる寄せ植えが作れます。ぜひ、リーフ類を上手に使って、冬の寄せ植えを楽しんでみてくださいね。
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寄せ植え・花壇
【プロが解説】クリスマスにぴったり!1鉢で華やかさ続くブーケのような12月の寄せ植え
冬は寄せ植えに最適な季節 パンジーやシクラメン、ハボタンなどを使った華やかな冬の寄せ植え。 冬は花が少なくなると思われがちですが、寄せ植えの花材は逆に豊富になる時期です。気温の低さは冷蔵保存のように花の美しさを長く保ってくれますし、生育もゆっくりなため、水やりや花がら摘みなどの世話に忙しなく追われることもありません。クリスマスや年末年始などのイベントには、季節の華やかな寄せ植えでお客様をお迎えしませんか。 冬の寄せ植えの主役シクラメン 個性豊かなシクラメンたち。 シクラメンの進化は目覚ましく、花色や花形もユニークなものが次々に登場します。こんもりと茂った葉っぱの中から細長い茎をスッと伸ばし、上部に花が集まって咲く姿は、そのままでブーケのよう。ピンクや赤色やフリルなど、華やかなものが多いので、冬の寄せ植えの主役にもぴったりです。 寄せ植えに使うシクラメンの選び方 屋外で栽培可能なガーデンシクラメンの中でも大輪種の‘ドリームスケープ’。株幅が20~30cmまで広がるため、寄せ植えでは大鉢に。 寄せ植えに使うシクラメンは、耐寒性の強い「ガーデンシクラメン」と呼ばれるタイプです。ほかに室内で楽しむタイプのシクラメンもありますが、こちらは耐寒性がなく、たいていは1鉢で楽しめるよう大きな鉢に植えられているため、寄せ植えには向きません。 シクラメンが主役のクリスマスの寄せ植え ガーデンシクラメン‘ダブルワーリーギグ’を主役に、カラーリーフや実ものを入れたクリスマス用の寄せ植えを作ってみましょう。丸い鉢の場合は、中央から後方へ草丈の高い植物を配し、その周辺にだんだんと低くなるように植物を選ぶと、きれいなドーム形に仕上がります。ゴールドに着色した松ぼっくりを飾って、クリスマス感を演出します。 【花材】 ガーデンシクラメン‘ダブルワーリーギグ’ 1苗キンギョソウ‘ブランルージュ’ 2苗ヒューケラ‘メルティングファイヤー’ 2〜3苗チェッカーベリー 2〜3苗 (*鉢の大きさに応じて苗の数を調整してください) 【その他の材料と道具】 鉢/直径20cm前後鉢底石培養土水を張ったバケツ(手洗い用)/ 何も入っていないバケツ(土捨て用)回転台(あると便利) 【作り方】 ① 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を8〜9分目くらいまで入れます。鉢は回転台の上に乗せて作業します。 ② シクラメンをポットから取り出し、ビニールポットの中で根が回っていたらベリッとはがしながら、ほぐします。また、葉っぱをかき分けて、内側に枯れたつぼみや葉、黄変した葉があれば取り除きます。この後に登場するほかの植物も同様にします。 枯れた葉っぱにはカビが発生することがあり、そのままにしておくと病気の原因となります。 ③ シクラメンの株元を両手で持ち、土の中にグッと押し込むように中央に植えます。最初に土を8〜9分目まで入れているので、基本的に後から土は足しません。ですから、根っこが全部土の中に埋まるように、グッと押し込みながら植えます。 【きれいのPoint!】 苗をほぐす際に土を触ったら、1回1回、手を洗ってきれいにしましょう。土のついた手で植物を触ると、葉っぱや花が汚れて仕上がりが汚くなってしまいます。寄せ植えの花たちは、鉢の中で共演する、いわば舞台役者です。汚さないように丁寧に扱いましょう。 ④ キンギョソウをシクラメンの周囲に植えます。 【きれいのPoint!】 キンギョソウの葉っぱとシクラメンの茎を絡ませて、両者をなじませます。こうすることで生育後のような、よりナチュラルな雰囲気にすることができます。生育するにつれ、植物同士が自然に絡み合って一体感が出ますが、最初は隣り合わせて植えただけでは、ややよそよそしい感じがします。ですので、最初は一手間かけてあげます。何気ない作業のようですが、これが仕上がりを左右します。「美は細部に宿る」ですね。 ⑤ チェッカーベリーをポットから出します。チェッカーベリーは、太根が1〜2本伸びていることがあり、植える時に強い力をかけると折れてしまったり、土のうえに飛び出してしまうことがあります。太根があったら、根鉢にぐるっと巻いてから植え付けます。 ガーデンシクラメンの周りに植物を植え付ける際は、ガーデンシクラメンの葉をめくり上げて植えるようにしましょう。シクラメンの葉は大きく広がっているので、他の植物を植えるときに、シクラメンの葉を巻き込んで土に埋めてしまうことがありますので注意を。チェッカーベリーは鉢縁から実がこぼれるように植えます。 ⑥ ヒューケラの葉を少し斜めにして鉢縁に植えます。 【きれいのPoint!】 ヒューケラは、葉が美しいカラーリーフの代表選手。その葉がよく見えるように少し傾けます。一つひとつの植物をよく観察し、その美しさはどこにあるのかを意識し、個性を最大限活かすように配置しましょう。少し傾けて植えると土が見えなくなり、全体が植物の色合いで配色され、見応えも出ます。 ⑦ 回転台を回して全体のバランスを見てみましょう。植え込んでいくうちに、最初に植えたシクラメンが傾いてきてしまうことがあるので、微調整しましょう。 ⑧ 松ぼっくりに針金を巻きつけてピック状にし、寄せ植えに差し込みます。シクラメンの葉っぱは面積が広いので、5号くらいの大きい苗だと、寄せ植えにしたときに葉っぱの部分がポッカリ空間のように見えてしまうことがあります。そこに松ぼっくりを飾ると、可愛いアクセントに。金色に着色すると、よりクリスマスっぽい雰囲気になりますよ。 【松かさの着色方法】 全体を金色に着色してもいいし、地の色を残しておくとよりナチュラルな雰囲気に。松かさは水に濡れるとかさを閉じるので、いったん濡らして松かさを閉じ、水気を軽く拭き取って、閉じた状態で金色のスプレーをかけます。乾くと松かさが開き、先端のみが着色された状態になります。 ガーデンシクラメンの適した置き場所 ガーデンシクラメンは従来のシクラメンより寒さには強いですが、霜に何度もあたったり、雨や雪でずっと濡れた状態が続くと枯れてしまうので、置き場所は軒下などが向いています。 赤いガーデンシクラメン&チェッカーベリーの組み合わせは、クリスマスらしい雰囲気を演出するのに最適です。いくつか寄せ植えを作っておくと、より華やかになりますよ。次回はガーデンシクラメンを使った寄せ植えのバリエーションをご紹介します。お楽しみに!