イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA
The Pudding Party Tomo -イギリス菓子研究家/パティシエ-

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
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The Pudding Party Tomo -イギリス菓子研究家/パティシエ-の記事
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レシピ・料理
気軽に作れる英国のおやつ〈フラップジャック〉
みんな大好き! フラップジャック イギリスの伝統菓子、フラップジャックは、子供にも大人にも愛される国民的おやつ。スーパーはもちろん、小さな売店のようなところでも売っています。オートミールが主材のお菓子で、見た目はいま流行りのグラノーラバーに似ています。グラノーラバーというとヘルシーなイメージですが、フラップジャックは作ってみると、砂糖とバターがたっぷり。ヘルシーとはちょっと言い難いのですが、でもオートミールだからヘルシー、と自分に言い聞かせて食べてしまいます。とっても甘いのですが、噛むたびに味わい深く、また、ミルクティーにぴったりで、お茶が進みます。さすが、イギリス菓子! 王道のイギリス菓子です。 作り方はシンプルで、基本は、オートミールとバター、砂糖、ゴールデンシロップ(黄金色の糖蜜)を混ぜて焼くだけ。そこに、レーズンやナッツ、チョコチップ、マシュマロなどを加えるレシピもあります。洗い物も少なく、簡単なので、お子様と一緒に作って楽しめますよ。 オートミールの食べ方いろいろ 英国の伝統的な朝食。オートミールのお粥、ポリッジ。 さて、レシピをご紹介する前に、イギリスでなくてはならない食材、オートミールについて少しお話ししましょう。以前、〈メルティングモーメント〉というビスケットもご紹介しましたが、イギリスでは、オートミールがお菓子作りによく使われます。それから、朝食に食べる、オートミールを使った〈ポリッジ〉も人気のメニューです。 皆さんはポリッジ、食べたことがありますか? 日本でいうお粥みたいなものでしょうか。私はイギリスでホームステイした際に初めて食べましたが、それ以来、ゴールデンシロップたっぷりのポリッジは、お気に入りの朝食となりました。特に、寒い秋や冬の朝にミルクティーと一緒にいただくと、ほっこり温まってよいものです。ポリッジの作り方は簡単で、鍋にオートミールと牛乳、もしくはお水を入れて、数分クツクツと火にかけ、温まって、ドロっとしたら完成です。そこに、さらに牛乳を回しかけて、ゴールデンシロップをたっぷりかけていただきます。 ポリッジは我が家の娘たちの大好物でもあります。栄養もあり、鍋を使わなくてもレンジで簡単にできて、インスタントオーツという砕けたオートミールを使えば、より短時間で作れます(スーパーで購入可能)。ちなみに、アメリカ人の夫はオートミールに、レーズンやくるみ、黒糖、そして、モラセス(少し苦味のある糖蜜)を加えて作りますが、これもコクがあって美味しいです。ポリッジのレシピは特になく、作り方はいつも適当。ココアやシナモンを加えたり、ジンジャーを加えたりしても美味しいですね。ポリッジの食べ方は無限大! ぜひ、寒くなってきたら作ってみてください。ほっこり温まりますよ。イギリス式のシンプルなゴールデンシロップだけの味付けも、ぜひ挑戦してみてくださいね。 安心で美味しい手作りグラノーラ。 我が家ではグラノーラも手作りしていて、本当にオートミールはなくてはならない食材です。ちなみに、市販のグラノーラは便利ですが添加物が入っていますし(子供が好きなのでたまに買いますが)、かといって、こだわりのお店で買うとかなり高価。手作りすれば、安心で安く済むのでおすすめですよ! グラノーラも、かつて勤めていたイギリスのホテルで作っていましたが、こんなに簡単に、すぐできるのかとびっくりしたものです。こちらも手作りすれば、アレンジ無限大です。 チューイー派? ザクザク派? さて、フラップジャックの話に戻りますが、イギリス人はわりとチューイーな食感(ちょっと柔らかくて、歯にくっつく感じ)を好む人が多い気がします。が、私は断然サクサクザクザク派。歯にくっつく感じが苦手なので、ざっくりとした硬めのものが好きです。今回ご紹介するレシピはザクザクなものになりますが、ちょっと歯にくっつく感じが好き、という方は、焼き時間を少し短めにするか、もしくは、オーブンの温度を下げて焼いてみてください。 オーブンについても話すと長くなりますが、180℃といっても、オーブンによってちょっと違ったりします。え? と思うかもしれませんが、本当です。私のオーブンは火力が弱めなので、ご自分のオーブンが強めだと思う方は、指定された温度より下げて焼いてみてください。レシピを完成させる際、決めるのが一番難しいのは焼き時間だといつも思うのですが、ご自身が美味しい! と思うのが一番なので、焼いてみて、あれ? と思った方は、ちょっとずつ調整してみてくださいね。 イギリス伝統のゴールデンシロップ(糖蜜)については、ジンジャーブレッドの記事などで少し触れましたが、輸入食品店や製菓材料店で購入できます。入手が難しい場合はハチミツで代用も可能ですが、フラップジャックの場合、テクスチャー(質感)は同じでも味が全然違うので、ゴールデンシロップを使うことをおすすめします。 では、作っていきましょう。今回は秋らしくペカンナッツ(ピーカンナッツ)入りでご紹介します。 フラップジャックの作り方 材料(18cmx18cmの型) 有塩バター……100gきび砂糖……25g*マスカバド糖……25g*(*マスカバド糖はコクがあり美味しく仕上がるのでおすすめ。なければ代わりに、きび砂糖を50gでも良い)オートミール……180gペカンナッツ……30g(適当な大きさに刻む)ゴールデンシロップ……75g 作り方 1.オーブンを200℃に予熱する。 2.バターと砂糖を火にかけ、溶かす。 3.溶けたら火からおろし、オートミール、刻んだペカンナッツ、ゴールデンシロップを加え、ざっくり混ぜる。 オートミール全てにバターがコーティングされたらOK! 4.オーブンペーパーを敷いた型に入れる。 5.スプーンなどを使い、表面を平らにしながら、ぎゅっぎゅっと押す。 6.予熱したオーブンで約20分焼く。焼けたら、そのまま5分ほどおく。 7.5分くらい経ったら、切れ込みを入れる。ここで切っておかないと、硬くて切れなくなります! タイマーをセットしておくといいですよ。 8.完全に冷めたら、完成です。 こういうお菓子が美味しい季節になってきましたね。 たっぷりの紅茶と召し上がれ! ●グラノーラ作りにご興味のある方は、こちらをご参照ください。混ぜて焼くだけ!簡単ヘルシー!手作りグラノーラ Homemade granola! - YouTube
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レシピ・料理
英国のティールームの人気者 ビクトリアスポンジ
ビクトリア女王が好んだケーキ イギリス伝統のビクトリアスポンジは、近頃、日本でも少しずつ見かけるようになってきました。バラの庭でのアフタヌーンティーをご紹介した前回の記事でこのケーキを取り上げましたが、今回は作り方をお教えしますね。 日本ではビクトリアケーキともいわれていますが、イギリスでは、ビクトリアスポンジ、もしくは、ビクトリアサンドイッチと呼ばれます。ビクトリア、といえば、思い浮かぶのは19世紀にイギリスを治めたビクトリア女王。このケーキはその名のとおり、大英帝国の発展を支えた偉大な女王が好んだものといわれています。 その素敵な名前とは裏腹に、ビクトリアスポンジはなんともシンプルなケーキです。スポンジケーキを2枚焼いて、その2枚でラズベリージャムを挟むだけという、信じられないほどのシンプルさ。ですが、とっても人気のあるケーキで、私もおもてなしの際に何度もお出ししていますが、なぜか特に男性受けがとてもいいのですよ。 ちなみに、スポンジといっても、日本のふわふわしたショートケーキのスポンジとは別物で、生地はしっかりとしています。ビクトリアスポンジのスポンジ部分は、焼き菓子の定番であるバターケーキと同じく、バター、砂糖、卵、粉、が同量、というレシピ。作り方も、泡立て器で卵を泡立てることはせず、木べらで混ぜるだけです。イギリスのケーキにふわふわしたものはほとんどない、といってもよいでしょう。イギリスのケーキはとにかくどっしりしていて食べ応えがあり、そして、紅茶によく合うものばかりです。 日本のショートケーキは、ふわふわで口溶けのよいスポンジに、スッととろける生クリームが美味しさの魅力だと思いますが、イギリス人にしてみたらふわふわすぎて、何だこれは? と戸惑うのではないでしょうか。とはいえ、最近、イギリスでもふわふわした食パンも出てきましたし(それでも日本の軽さとは比較にならないですが)、軽い食感も人気になってきたのかもしれません。イギリスの一般的な食パンはドライで硬く、トースターでカリカリにして食べるのが美味しく、私もそのカリカリが大好きです。私の食感の好みはどうもイギリス人に近いようで、例えば、日本で人気のシフォンケーキは食べた気にならないので、あまり好みではありません。 大切な3つのルール さて、ビクトリアスポンジを作る上で、シンプルなケーキだからこそ私が大事にしている3つのルールがあります。まずは、スポンジについて。ビクトリアスポンジはスポンジ2枚でジャムを挟むと言いましたが、このスポンジは2枚焼きます。どういうこと? と思われる方もいるかもしれません。日本では一つのケーキを焼いて半分に切ってサンドするのが一般的ですが、イギリスではサンドイッチティンという2枚セットの浅いケーキ型があって、これを使います。この型は、じつに優れもの。このセットを使って2枚同時に焼けば、ケーキをカットする手間が省けるし、焼き時間も短くできます。合理的なイギリス人らしさが表れている焼き型です。 2枚セットの浅い焼き型、サンドイッチティン。Amanda J Jackson/Shutterstock.com そして、何よりサンドイッチティンの素晴らしいところは、焼けてカリッとした面が、スポンジ2枚の上下で、合わせて4面もできること。これによって、1枚の高さのあるスポンジを半分に切る場合より、食感がよりしっかりとしたものになります。というわけで、私のビクトリアスポンジ、1つ目のルールは〈スポンジを2枚焼く!〉。しっかりと焼けている食感のほうが、絶対に美味しいからです。サンドイッチティンは日本にはありませんが、普通の型を2つ用意すれば大丈夫です(今回は100円均一の店で購入したものを使用しました)。 Jiri Hera/Shutterstock.com 2つ目のルールは〈ラズベリージャムだけをサンドする!〉です。バタークリームや生クリームを一緒に挟むレシピもあって人気ですし、最近ではレモンカードを挟むレシピもあるようです。要は好みの問題ですが、私はとにかく、ラズベリージャムだけ、というのがシンプルで好きです。 そして最後、3つ目のルールは〈上にかけるのはグラニュー糖!〉です。表面に粉糖をかけるレシピもあるのですが、私は断然グラニュー糖派。シンプルなケーキに、ちょっとジャリッとした食感が加わって、アクセントになります。 さあ、あとはミルクティーがあれば、幸せなティータイムが待っています。それでは、作っていきましょう。 ビクトリアスポンジの作り方 材料(直径12cmのケーキ型 2つ分) 無塩バター……65gきび砂糖……65g卵……1個薄力粉……65gベーキングパウダー……小さじ1/2 ラズベリージャム……適量グラニュー糖……適量 作り方 1.オーブンを170℃に予熱する。ケーキ型にオーブンペーパーを敷く。バターを木べらで柔らかくする。木べらがなければスパチュラを使ってもOK。 2.砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる。 3.溶いた卵を少しずつ加え、その都度しっかりよく混ぜる。 卵が全部入ったところ。 4.薄力粉とベーキングパウダーをふるい入れる。 5.木べらでさっくりと混ぜる。 6.用意しておいた2つの型に均等に入れ、170℃のオーブンで20~30分焼く。 7.焼けたらそのまま冷ましておく。 8.冷めたら型から外し、1枚のスポンジの表面にジャムを塗る。 9.もう1枚のスポンジをのせ、表面にグラニュー糖を振りかける。 出来上がり! お好きな茶器に紅茶をたっぷり入れて、ティータイム。 ぜひ皆さんも、このシンプルなレシピ、マスターしてくださいね。
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レシピ・料理
【花咲く庭のおもてなし】イギリス仕込みのアフタヌーンティー
自宅の庭で開く特別なお茶会 テーブルセッティングも特別に。 みなさん、こんにちは。先日、とっても素敵なお庭でアフタヌーンティーをする機会をいただいたので、その様子をご紹介します。 ホテルでのアフタヌーンティーも素敵ですが、自宅でわいわい、友達を呼んで楽しむお茶が、私は大好きです。今回、私はサンドイッチと焼き菓子をたくさん用意して、集まってくれた友人に、イギリス仕込みの本格的なアフタヌーンティーを楽しんでもらうことにしました。とはいえ、スコーンをはじめ、お菓子は私がこれまでご紹介してきたものがほとんど。ご家庭で気軽に焼いていただけるものばかりです。イギリスののどかな田園地帯のホテルやティールームで出されるような、伝統的なアフタヌーンティーです。 バラの見頃はまだ先でしたが、‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’(左)や‘マダム・ポンパドール’(右)がお客様をお出迎え。写真/萩尾昌美 アフタヌーンティーに出されるものの基本は、サンドイッチ、スコーン、それからお菓子を数品です。今回は贅沢に、9品を準備。たくさんのお菓子を用意するのはちょっと大変ですが、段取りを組んで準備すれば、当日は案外スムーズに進められます。そのコツをお教えしますね。 準備した9品 〈サンドイッチ 3品〉きゅうりサンド・卵サンド・サーモンサンド 1762年に発明されたという、サンドイッチ。カードを楽しんでいた第4代サンドイッチ伯爵が、プレイしながらその場で食べられるように、パンに肉を挟んで出すよう頼んだことから生まれたといわれています。今回のサンドイッチは基本的な3種。ハーブを挟むなど味にアクセントをつけると、ぐっと美味しくなりますよ。サンドイッチの作り方のコツは、この後、ご紹介します。 〈焼き菓子 6品〉 焼き菓子は、これまでガーデンストーリーでご紹介したレシピ、もしくは、ちょっとアレンジを加えたレシピで作れるものばかりです。まだご紹介していないものは、今後レシピを公開しますので、乞うご期待! スコーン&チーズスコーン プレーンのスコーンにはイチゴジャムとクロテッドクリームを添えて。 イギリスでお茶といったら、スコーンは外せません。今回はプレーンなスコーンと、甘くない食事感覚のチーズスコーンを用意しました。スコーンのレシピはこちら。中はふわっ、外はカリッ、のスコーンが楽しめますよ。 ●イギリスのお菓子代表、スコーン!【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】 チーズスコーンのレシピは、近いうちに公開しますので、お楽しみに。 コーヒー&ウォルナットケーキ イギリスではティールームの定番として人気の高いケーキ。コーヒーとクルミのこっくりした味わいが魅力です。バターと粉糖を使ったアイシングに、イギリスらしさを感じます。 ●紅茶党のイギリス人も大好き コーヒー&ウォルナットケーキ【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】 ラベンダーショートブレッド 日本でも大人気のショートブレッド。今回は、下記の基本レシピを少しアレンジして、ラベンダーがほのかに香るものにしてみました。日本ではあまり馴染みがないと思いますが、イギリスではラベンダーを使ったビスケットやケーキが結構あります。このラベンダーショートブレッドは基本のレシピにラベンダー2gを加えたものですが、ラベンダーは好みが分かれるので、心配な方は基本レシピでどうぞ。 ●自分へのご褒美に、贈り物に、大人気のショートブレッド【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】 キャラウェイシードケーキ こちらもイギリスらしい一品。ヨーロッパでよく使われるスパイス、キャラウェイシードの風味が珍しいかなと思い、ラインナップに加えてみました。 ●キャラウェイシードの香りを楽しむシードケーキ【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】 ビクトリアスポンジ こちらもイギリスのティールームの定番ケーキ。スポンジ生地にラズベリージャムを挟んだシンプルなケーキですが、その素朴さが魅力です。こちらも、近いうちにレシピを公開しますので、お楽しみに! これ以外にも、いままでにご紹介したお菓子をお好きに組み合わせていただければ嬉しいです。例えば、イチゴが美味しい季節のお茶会なら、パブロヴァもおすすめ。ふわふわのメレンゲと真っ赤なイチゴが目を引き、テーブルが華やぎますよ。 ●真っ赤なイチゴが輝くパブロヴァ 【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】 お茶会準備の秘策 さて、美味しそうなお菓子のラインナップですが、こんなに作るの? と圧倒されてしまう方も多いかもしれません。でも、大丈夫です。これらを1日で作るとなると大変ですが、じつは、私が当日に作ったのはサンドイッチだけ。ほかは、数日前に徐々に作って、冷凍してしまいます。あまり知られていないと思いますが、お菓子屋さんも、毎日毎日、フレッシュなものを、あんなにたくさん用意しているわけではありません。冷凍をうまく活用しているのです。焼き菓子はもちろん、ムースなどもある程度のところまで作って、朝は仕上げをしてカットする、といった感じ。ですので、皆さんもお菓子を冷凍してみましょう。もちろん、よりフレッシュなものを用意したいということなら、品数を減らして、前日や当日に焼いて準備するのもよいですね。 準備の手順 今回どのように準備をしたか、手順をお教えします。 1.スコーン、チーズスコーンを焼く。冷めたらジッパーバッグに入れて冷凍(1週間〜10日くらい保存可能)。 2.ビクトリアスポンジを作る。ラップでくるみ、ジッパーバッグに入れ、冷凍(1週間〜10日くらい保存可能)。 3.2〜3日前にショートブレッドを焼き、密閉容器に入れ保存(シリカゲルを入れれば2週間は保存可能)。 4.2日前に、キャラウェイシードケーキ、コーヒー&ウォルナットケーキを焼く。どちらもラップをして、常温保存(暑い時期は冷蔵)。 5.前日に、コーヒー&ウォルナットケーキのアイシングを仕上げて、カバーをかけて常温保存(暑い時期は冷蔵)。 冷凍している菓子をすべて、常温で解凍する。 6.当日の朝、サンドイッチを作って冷蔵保存する。 ケーキ類をカットしてラップしておく。スコーンは少し焼き直してからお出しする。 私にとっては、集中すれば2日くらいですべて焼き上げられる量ですが、今回は普段の家事や仕事、子どもの世話と並行しながら、少しずつコツコツ焼きました。みなさんもご自分のペースで取り組んでみてくださいね。 サンドイッチは、朝のうちに仕上げておけばバッチリ。しかし、お出しするまでの、冷蔵保存のコツがあるので、準備の様子を交えながらご紹介しますね。 サンドイッチの作り方のコツ きゅうりは薄くスライスが鉄則。 まずは、きゅうりのサンドイッチ。アフタヌーンティーに、きゅうりのサンドイッチは外せません。アフタヌーンティーは1840年、第7代ベッドフォード公爵夫人によって始められたといわれますが、当時のきゅうりは温室で栽培するため、とても貴重なものだったようです。きゅうりサンドは最高のおもてなしだったのかもしれませんね。 私の作り方は、薄くスライスしたきゅうりを、マヨネーズを塗ったパンに重ね、塩胡椒をする、というもの。それだけなのですが、あのシャキシャキ感がたまらなく、私の中ではサンドイッチといえばきゅうり! ちなみに、きゅうりを薄くスライスするにはスライサーが一番。今はスライサーをお持ちの方も多いと思うのですが、私は昔、仕事中にバッサリ……という流血事件がトラウマなので、包丁で薄く切っています。スライサーをお持ちの方は、ぜひスライサーを使ってくださいね。 最初に仕上げたきゅうりのサンドに、水で濡らしてキュッと絞ったキッチンペーパーを被せ、重ねます。次に作った2つ目のサンドをその上に乗せ、その2つ目にも、濡らしたキッチンペーパーを被せておきます。 さて、次はサーモン。サーモンといえばディル! そしてコショウを少々…。今回はこんな感じに仕上げましたが、ピンクペッパーを使っても美味しいですね。 サーモンサンドもきゅうりサンドの上に積み重ね、同じように濡らして固く絞ったキッチンペーパーを被せておきます。 最後は、卵サンド。今回は卵サンドにチャービルを一緒に挟みました。でも、ディルを使ったり、きゅうりを一緒に挟んでしまったり、わたしはその時々で、いろいろ変えて楽しんでいます。自宅でお茶をするときは、好きなものを作って楽しむのが一番! 皆様も、お好きなサンドイッチを作ってくださいね。でも、きゅうりはマストです! さて、すべて仕上がったら、きゅうりサンドからカットしていきます。 出来上がったサンドイッチを重ねておいたのには、理由があります。重さでしっかりとくっついて、切りやすくなるのです。 三角にカットしたら、また先ほどかけておいた、濡れたキッチンペーパーを被せ、その上からラップをしておきましょう。あとは、サーブする時まで冷蔵保存です。 テーブルセッティングは美しく 高さのあるケーキスタンドは重宝します。 さて、食べ物の準備はこれでOK。当日は、お客様がいらっしゃる前にテーブルセッティングをします。 まず、お菓子やサンドイッチを置く場所を決めておきます。カラスなどの心配がなければ、お菓子を盛り付けて、ラップをしておくのもいいかもしれません。お菓子は出した瞬間から乾燥していくので、ラップを外すのは直前にしましょう。 もし、揃いのティーセットがあれば、ぜひこの機会に使ってみてください。とっておきのティーセットを使えば、優雅な気分になりますよ。ホテルでは、アフタヌーンティーはよく3段のケーキスタンドでサーブされますが、お家のお茶会はそこまで凝らなくても大丈夫。大皿に形よく盛り付けてみてくださいね。 庭の花も飾って、これで完璧! 素敵なティーパーティーの始まりです! さあ、お客様がいらっしゃったら、お茶を入れ、スコーンを温め、サンドイッチを並べましょう。お茶は、ぜひミルクティーをお試しください。 お腹いっぱい、幸せいっぱい! 楽しいおしゃべりはエンドレス。 アフタヌーンティー、大成功でした!
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レシピ・料理
しっとりどっしり、味わい深いジンジャーブレッドケーキ【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】
じつはスパイス好きなイギリス人 ジンジャーブレッドと聞くと、クリスマスのクッキーを思い浮かべる方が多いかもしれません。私も毎年クリスマスの時期になると焼きますが、ジンジャーを使った、クッキー以外のお菓子も大好きです。ちょっとピリッとくる、ジンジャーならではの風味を存分に楽しめるお菓子の一つが、このジンジャーブレッドケーキ。硬めに焼くジンジャークッキーとは違って、しっとり、そして、どっしりとした、いかにもイギリスらしいケーキで、見た目は素朴だけれど、スパイス使いの奥深さを感じる美味しさです。 ジンジャーはよく使われるポピュラーなスパイス。mama_mia/Shutterstock.com イギリス人はスパイス好きな人が多い気がします。お菓子作りにはシナモンはもちろんのこと、ミックススパイス(mixed spice)もよく使われます。ミックススパイスとは、名前の通り、いろいろなスパイスを混ぜ合わせたもので、クリスマスプディングやジンジャーブレッド、りんごのケーキなど、さまざまなお菓子に使われています。イギリスで売られているミックススパイスの多くは、シナモン、コリアンダー、キャラウェイシード、ナツメグ、ジンジャー、クローブのブレンドですが、私はよく自分で適当にブレンドして使っています。それぞれの粉末状スパイスをただ混ぜればいいだけなので、難しいことはありません。私のブレンドは、シナモンを全体の半量、あとは、カルダモン、ナツメグ、クローブをそれぞれ少々、といった具合です。なお、日本でもミックススパイスという名の商品が売られていますが、それらはクミンなどもブレンドされた、中華料理やインド料理用のもので、イギリスの製菓用とは異なりますのでご注意ください。 甘くてスパイシーなステムジンジャー(ショウガのシロップ漬け)。Sarah Marchant/Shutterstock.com 今回注目するジンジャーも、イギリス人がよく使うスパイスの一つです。イギリス人はジンジャーの風味をお菓子や料理にうまく取り入れ、使いこなしていると思います。お菓子作りにはステムジンジャーという、ショウガのシロップ漬けもよく使われますが、これは瓶詰めのものがスーパーで一般的に売られています。例えば、フレッシュなルバーブやプラムなど、酸味のあるフルーツにこのステムジンジャーを加えてお菓子を焼いたり、ジャムを作る時に加えたり。ジンジャーの辛みのある風味によって味がしまり、美味しさがアップします。 ジンジャーブレッドケーキがくれたご縁 誕生会のケーキ。上にステムジンジャーとチョコレートがたっぷり。 さて、私がイギリスに語学留学していた頃のこと。友達が、ステイしていたお家にたくさんの友達を招いて、私の誕生会を開いてくれました。その時、そのステイ先のママが私のために焼いてくれたバースデーケーキが、チョコレートとジンジャーのケーキでした。チョコレートケーキにステムジンジャーがたっぷりとのっていて、私にとっては初めて目にする、驚きの組み合わせ。ねっとりと甘くてピリリと辛いステムジンジャーは、ケーキ生地にももちろん入っていて、味のアクセントとなってとても美味しかったのを覚えています。 じつは、そのお宅に初めて遊びに行った時に、ママお手製のジンジャーブレッドケーキをいただいて、ひどく感動し、興奮したことがありました。その時ママはご不在でしたが、後で友達から私の喜びようを聞くと、そのレシピをプレゼントしてくれました。そんなことがあったので、ママは私の誕生会にもジンジャーのケーキを焼いてくれたのです。 その時のレシピは今も大切にしまってあります。ママとはいまだに交流していて、時折「これ、美味しかったわよ!」と、レシピを送ってくれたりします。とてもアクティブで、明るいママで、昔、ティールームを開いていたことがあると話していました。お家で本当によくお菓子作りをされていて、私のイギリス菓子へのパッションは、彼女の影響もあります。 イングランド南東部、美しいライの町並み。Helen Hotson/Shutterstock.com ジンジャーブレッドケーキとそんな幸せな出合い方をした私は、それからというもの、ティールームめぐりでジンジャーブレッドを見つける度に食べていました。中でも、ライという小さな村のパブで食べたものはとっても美味しくて、よく覚えています。私が働いていたホテルで出していたジンジャーブレッドも、パンチが効いていて気に入っていました。 イギリス菓子に欠かせない糖蜜 アメリカのモラセス(左)と、イギリスのブラックトリークル(右)。 ジンジャーブレッドケーキにはさまざまなタイプがありますが、私が好きなのは、とってもしっとり、どっしりしていて、ジンジャーがしっかり効いているものです。これは昔ながらのタイプのジンジャーブレッドで、糖蜜(トリークル、treacle)が大量に入っています。 今回のレシピには、イギリスのブラックトリークル(black treacle/右の缶)という、どろりとしていて黒っぽい色の、少し苦味のある糖蜜と、ゴールデンシロップという、イギリスのお菓子作りに欠かせない、さらりとした黄金色の糖蜜の2つを使います。 イギリスのブラックトリークルは個人輸入しないと日本では手に入らないのですが、それに似た、アメリカのモラセス(molasses/左の瓶)は、輸入食品店やネット通販で購入できます。ゴールデンシロップも同様に、輸入食品店やネット通販で入手可能です。 砂糖はブラウンシュガーを使います。きび砂糖などでも代用できますが、私はマスコバド糖というものを使っています。よりコクがあって、美味しく仕上がるので、もし手に入るようならこちらをお勧めします。 今回ご紹介するレシピは、しっとりとした食感を出すために、何度も試作を重ねた末に完成したレシピです。焼く前は、大丈夫かな? と心配してしまうくらい、ダラダラの水のような生地ですが、それで大丈夫です。低めの温度でじっくり焼くのがポイントです。 このジンジャーブレッドケーキは、いつもご紹介しているイギリス菓子と同様、見た目の華やかさはありません。でも、食べたら味わい深くて、また食べたい! と思うお菓子ですよ。 ジンジャーブレッドケーキの作り方 材料(21cm x 8cm x 6cmの焼き型) 〈ケーキ〉 バター……50gモラセス……100gゴールデンシロップ……50g(蜂蜜で代用可)マスカバド糖……50g(きび砂糖で代用可)牛乳……120ml卵……1個薄力粉……100gシナモン……小さじ1/2コリアンダー……少々ナツメグ……少々クローブ……少々ジンジャー……小さじ1重曹……1g 〈アイシング〉 o 粉糖……50go レモン汁……小さじ2 作り方 オーブンを170℃に予熱する。バター、モラセス、ゴールデンシロップ、マスカバド糖を鍋に入れ、弱火にかけて溶かす。溶けたらすぐ火から下ろして、冷ましておく。2が人肌くらいに冷めたら、別のボウルに移して牛乳を入れ、混ぜる。溶いた卵を入れて、混ぜる。粉類(薄力粉、スパイス、重曹)をふるい入れ、さっくりと全体によく混ぜる。このとき、少し粉がダマのように残っていても大丈夫。型に入れ、170℃のオーブンで約1時間焼く。中心に串を刺してみて、何もついてこなければ完成。型に入れたまま、十分冷ます。アイシングを作る。粉糖とレモン汁をスプーンでよく混ぜる。ケーキが冷めたら、アイシングをかけて完成。 完成といっても、じつはケーキの食べごろは数日後! 待てない我が家ではあっという間に無くなりますが、数日間にかけて、味わい深くなる様子を観察するのもおすすめです。秋から春にかけては、ラップをして常温で保管。2、3日後が食べごろです。夏は冷蔵庫で保管しましょう。スパイスを使った焼き菓子は、時間をおくと味がなじんで美味しくなるので、ぜひお試しください。 紅茶と一緒にいただくと美味しい、味わい深いお菓子です。 気に入っていただけたら嬉しいです。
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レシピ・料理
自分へのご褒美に、贈り物に、大人気のショートブレッド
スコットランド生まれの焼き菓子 イギリスのお菓子といえば、スコーンとショートブレッド。でも、正確に言うと、ショートブレッドはスコットランド発祥のお菓子です。赤いタータンチェックのパッケージで有名な〈ウォーカーズ〉も、スコットランドの小さな村にある老舗メーカー。1898年の創業以来ずっと変わらない、伝統のレシピを守って作り続けています。 いまやショートブレッドはお茶菓子の定番として広まり、イギリスのスーパー各社も自社ブランドで製造販売しています。イギリスに暮らしていた頃は、身近にありすぎて食べそびれてしまいましたが、次に渡英の機会があれば、ぜひ食べ比べてみたいもの。チャールズ皇太子が手がけるオーガニック食品のブランド〈ダッチー・オリジナルズ〉の品は、とっても美味しかったのを覚えています。 ショートブレッドは、バターたっぷりでとってもリッチなお味。分厚く焼いたその食感は、普通のビスケットとは違って特別感があり、その特別感ゆえに、イギリスではチョコレートと並んで贈答用として高い人気があります。高級スーパーに行けば、いつでもステキな缶に入ったショートブレッドが並んでいて、特に、家族の集まるクリスマス時期には贈り物に重宝されます。 暖炉の前でお茶を イギリスの冬は暗くなるのも早く、寒いので、家で過ごすことが多くなります。お茶の時間を大事にするイギリス人にとって、たっぷりの牛乳を入れた温かいミルクティーに、小皿にのせたビスケットという組み合わせは、ティータイムにマストのもの。暖炉に火を入れ、間接照明をつけて、ブランケットを膝にかけて、お茶をする。これこそ、イギリス流の冬の過ごし方です。ホームステイをしていた時も、ワーキングホリデー中に仕事仲間とお家をシェアしていた時も、少し時間が空くと、そのように過ごしていました。思い出していたら、なんだかしみじみ。暖炉ってやっぱりいいなあ、欲しいなあ、と思ってしまいます。 女王も愛したシンプルな美味しさ さて、話は戻って、ショートブレッド。 ショートブレッドはその特別感から、作るのが難しそうに思えますが、なんと材料は4種類のみ。薄力粉、砂糖、バター、塩と、とってもシンプルです。シンプルな分、素材の味がダイレクトに伝わるので、いつもより上質な材料を使うなど、こだわってみるのもおすすめです。 ショートブレッドの形はいくつかありますが、日本でいちばん知られているのは、長方形に穴がプツプツある「フィンガー」形でしょう。イギリスでは、型抜きしたものもよく見かけます。もう一つの伝統的な形は「ペチコートテイル」と呼ばれるもの。ホットケーキみたいな大きな円形にのして、フォークや指を使ってフリルのような縁飾りを付けて焼き、放射状にカットします。16世紀のスコットランド女王、メアリー1世は、この形のショートブレッドが大好きだったといわれています。 今回は、フィンガー形をご紹介しましょう。生地をのして、冷蔵庫で休めて、包丁でカットしたら、フォークで穴をあけるだけ。特別な型も必要なく、手軽に作れます。おうちで家族と食べるなら、これで十分。お友達にも、手作りのショートブレッドをプレゼントできたら最高ですね! それでは、作っていきましょう! ショートブレッドの作り方 材料(約12枚分) 有塩バター……110g(常温に戻す) グラニュー糖……55g 薄力粉……170g 塩……ひとつまみ(私はフランス産の「ゲランドの塩」を愛用) 仕上げ用グラニュー糖……適量 作り方 常温に戻したバターをボールに入れ、木べらなどで均一になるよう混ぜる。 *電子レンジで柔らかくしてもよいですが、溶かさないように要注意。 グラニュー糖を入れ、全体的に白っぽくなるまでしっかりと混ぜる。 白っぽくなったところ。 薄力粉と塩を入れ、木べらでさっくりと混ぜる。 上写真のような状態になればよい。 3のようになったら、手でひとまとめにする。 ラップで包み、めん棒を使って厚さ1.5cm程に伸ばす。 この時、形は特に気にしなくても大丈夫。丸みが出たら、端を切り落とせばOK。形よりも厚さが重要です。 このまま冷蔵庫で30分ほど休ませる。 オーブンを180℃に予熱する。休ませていた生地を冷蔵庫から出し、包丁で好きな大きさにカットして、フォークで穴をあける。 自宅用なら、形もそこまで気にすることはありません。もちろん、お店のように仕上げたければ、定規を使ってカットしてくださいね。 天板にオーブンペーパーを敷き、7を並べ、予熱したオーブンで20~25分焼く。 ショートブレッドは色をつけないで焼くほうがいいのですが、私はいくらかしっかりと焼くのが好きなので、端っこがほんのり色づくまで焼いています。焼いてみて、お好きな焼き加減を試してみてください。 焼き上げたら、すぐにグラニュー糖(分量外)を適量振りかけ、冷ましたら完成! お店のように仕上げたい時は、焼いた後すぐに、膨らんで歪(いびつ)になった部分をカットしてください。 大好きな本とたっぷりのミルクティーを用意したら、もうイギリス気分。 気づくと何枚も食べてしまうから危険です!(私はこの時、カロリーを考えないようにしています……) それでは、皆さま、楽しいお茶のひとときを。 Credit 写真&文/The Pudding Party Tomo イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。 〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA