おさだ・せつこ/ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
長田節子 -ライター/エディター-の記事
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ガーデニング
根っこが出る楽しみ! リビングで水耕ガーデニング
花束に入っていたニューサイランが鉢植えに!? いただいたブーケに脇役として入っていた、美しいボルドー色のニューサイランの葉。ほかの花が終わったので処分しようとしたところ、このニューサイランが発根を始めているではありませんか。このあとどうなるのか興味津々になったので、コップに挿して窓辺に飾っておくことに。その後も発根を続け、さらには出葉し始めました。毎日水を替えて、そのままおいたところ次々と葉を出し、2カ月後にはなんと8枚に増量。そこで鉢上げし、花材だった古い葉は切り取りました。土に植え替えられたのちは、イキイキとした表情に! 観葉植物として第二の人生を踏み出した、愛すべきど根性ニューサイランです。 発根して楽しめる植物あれこれ 水耕栽培は、すべての植物に向くわけではなく、一部のツワモノのみといえます。そこで、ビギナーでも比較的失敗なく水耕栽培できる、生命力旺盛な植物をピックアップしました。スタートに適した時期は、植物の成長が著しい5〜9月です。枝葉を採取する場合は、若々しく勢いのあるものを選び、水分を吸収しやすいように、よく切れるカッターでスパッと切り取ることがポイントです。 ゴールデンポトス Pong Wira/Shutterstock.com 室内に置いていてもぐんぐん枝葉を伸ばす、手間いらずで人気の観葉植物です。葉と根、両方の早い成長を見守るのも楽しく、3日に一度の水替えでOK。観葉植物では、ほかにアイビー、ドラセナ、フィカス・ウンベラータ、ツユクサの仲間なども水耕栽培ができます。 アボカド finchfocus/Shutterstock.com 完熟したアボカドのタネを取り出し、水耕栽培にチャレンジしてみましょう。タネは表面のぬめりがとれるまでスポンジなどでこすり洗いしておきます。タネのとがっているほうを上に、平らなほうを下にし、爪楊枝で斜め上から3カ所刺して水を張ったコップに浮かせましょう。水に沈ませると呼吸ができなくなって腐ってしまうので、タネの半分までが水に浸かる程度にするのがポイント。毎日水を取り替えて見守るうちに、硬いタネがカパッと割れて発芽し始めた時には感動ものです! ミント IngridHS//Shutterstock.com ミントをはじめハーブ類は生命力が強く、水に挿しておくと発根するものが多く見られます。スーパーで買ってきたミントを水に挿して発根させ、苗として鉢上げするのも、実用的で楽しいもの。ほかにバジル、コリアンダー、オレガノなどが向いています。 タマネギ&長ネギ 13Smile/ Shutterstock.com タマネギや長ネギ、ワケギ、セリ、ミツバなど、スーパーで並んでいる時から根が出ている野菜は水耕栽培しやすいうえに、薬味として利用できるので、キッチンの窓辺に置いておくと便利。キッチンに立ちながら毎日の変化を観察し、使いどきを見越して献立を考えるのもワクワクします。
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野菜
山菜が好物だけど、なかなか手に入らない? だったら庭で育てちゃおう!
庭で手軽に育てられる山菜6選! 家庭栽培用の「山菜苗」はあまり知られていませんが、アクが少ないもの、大株に育つものなどの品種改良も進み、一般家庭でも育てやすくなっています。もともと山で採れるものなので、放任しても元気に育ってくれるはずです。傾斜をつけて岩を組み合わせたロックガーデン風の植栽地をつくり、さまざまな山菜を植えて、野趣あふれる景色を楽しむのもオススメ。ここでは、比較的ポピュラーな手に入りやすい山菜苗をセレクトしてご紹介しましょう。 ワラビ 多年生シダ植物に分類されるワラビは、地下茎で増え、地掘り苗やポット苗が流通しています。アクの少ない‘あくなしわらび’の品種も出回っているのでオススメ。日当たりと水はけがよく、保水性もある環境を好みます。 植え付けてから1年間は収穫せずに、まずは株を充実させるのがポイント。収穫は2年目以降に行い、3〜5月ごろが適期です。新芽を若いうちに地際で切って収穫します。アクが強いので、十分にあく抜きしてから調理しましょう。煮物やお浸し、天ぷらに向いています。 タラノメ 山菜といっても、タラノメは落葉低木に分類される植物。地掘り苗やポット苗が手に入ります。芽がついた株を入手して、日当たりのよい場所に植え付け、まず1〜3年は収穫を見送って、木を充実させましょう。 収穫の適期は春から初夏にかけてで、1番目の芽と脇の2番目の芽を切り取ります。全部収穫すると、木が育たなくなるので、新芽を残しておきましょう。トゲが多いので、収穫の際にはガーデニング用のグローブをはめて作業します。なんといっても天ぷらがおいしいですが、バター炒めやまぜごはんに入れても美味!! ゼンマイ 多年生シダ植物に分類され、地掘り苗が流通しています。ワラビと似ていますが、先端がクルッと巻いて綿毛をかぶっているのがゼンマイです。日なた、または半日陰で水はけがよく、また保水力のある場所に植え付けます。 成長が遅いので、周囲の雑草に養分をとられて弱ってしまわないように、除草を忘れずに。2〜3年は収穫せずに、株を充実させましょう。収穫は4〜5月が適期で、立ち上がる新芽を地際で切り取ります。収穫したら、綿毛をとってその日のうちにあく抜きをしましょう。お浸し、煮物、炒め物にしておいしくいただけます。 コゴミ 多年生シダ植物で、地掘り苗が流通しています。夏の強い日差しに弱いので、半日陰の場所を選んで植え付けます。乾燥を嫌うため、水切れしないように管理しましょう。成長が非常に早く、植え付けから1年後を目処に収穫できます。 収穫は4月下旬〜5月頃で、新芽が出たら地際で切り取ります。大きく育つと年に2〜4本のランナーを出すので、子株取りをして増やせます。アクがほとんどないので食べやすく、わたを取り除いてお浸しや和え物、天ぷら、汁物に。 ツワブキ キク科の多年草で、ポット苗で出回っています。日なた〜半日陰を選んで植え付けます。古来から日本で生育する植物で、放任してもよく育ちますが、植え付けから収穫までは1〜2年おいて、株を充実させましょう。10〜12月頃に黄色い花を咲かせるので、観賞価値もある山菜です。 収穫の適期は5〜6月で、地際で切り取ります。葉は切り取って葉柄だけを残し、あく抜きしてから調理に利用します。独特の風味があり、和え物、炒め物、佃煮、塩漬けなどに向いています。 ウルイ ユリ科の多年草で、別名はギボウシ。シェードガーデンでも人気のギボウシですが、山菜として食されるものはウルイと呼ばれ、ポット苗が流通しています。半日陰で、水はけがよく、保水性もある場所に定植。植え付けから収穫までの目安は1〜2年です。 4月下旬〜5月に新芽が出たら、地際で切り取って収穫します。シャキシャキとした食感で、軽く湯通ししてからお浸しやサラダ、酢味噌和えなどに用います。植え付けから3〜4年して大株に育ち、芽が10本以上つくようになったら株分けして増やせます。 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが、醍醐味ですね。https://twitter.com/passion_oranges/
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ガーデン&ショップ
花の庭巡りならここ! 世界水準の熱帯植物コレクションを誇る「兵庫県立淡路夢舞台公苑温室 あわじグリーン館」
日本最大級の温室植物園へ出かけて 世界のユニークな植物たちと出会おう! 「兵庫県立淡路夢舞台公苑温室 あわじグリーン館」は、2000年に世界的建築家・安藤忠雄氏の設計によって造られた温室植物園です。元は関西空港などの建設のために大規模な土砂採掘が行われた跡地でしたが、「人と自然が共生する場」を目指し、緑豊かな植物公園に整備。温室植物園は、長らく憩いの場として人々に愛されてきました。 それから20年が経過したのを機に館内をリニューアルし、2021年9月に再オープンしました。新たにプロデュース・リーダーとして迎えられたのは、現館長の稲田純一氏。世界文化遺産の「シンガポール植物園」を手がけたことでも知られています。新たなシンボルとして設けた、ダイナミックなガーデンキャッスルなど、世界水準の展示を見ることができますよ! 施設内は、展示室を一つずつ楽しみながら散策できる回遊式の造りで、「みどりのちょうこく」「しきさいのにわ」「くらしのみどり」「しんかのにわ」「にぎわいのにわ」の5つのシーンに分けられ、それぞれのテーマに沿った植栽展示が展開されます。 ほかにも「ひかげのにわ」「アトリウム」「特別展示室」もあり、施設内は多様な植物で彩られています。館内を見学するのに、大人の足でゆっくり歩いて40分くらいの規模です。また、これまでになかった「ベビールーム」や、子どもが遊べるプレイエリアの「キッズスペース」も新たに設置、子どもと一緒に楽しめるのもいいですね。 夏休み、ハロウィン、クリスマスなどのイベント期間に合わせ、ディスプレイも変化していきます。また、お正月飾りの苔玉づくりや多肉植物の寄せ植え、アロマセラピー、プリザーブドフラワーアレンジなどの教室も開催。今後は、館内のガイドツアーも定期的に行う予定です。 施設内には「温室カフェ」があるので、「少し歩き疲れたな」と思ったら休憩もできますよ! またオリジナルグッズを販売するショップで、お買い物を楽しむのもいいですね。人気商品は、オリジナルキャラクターがプリントされたトートバッグ(1,000円)です。 ここまで、「兵庫県立淡路夢舞台公苑温室 あわじグリーン館」の概要についてご紹介してきました。次項からは、主な展示室や施設について、写真とともに詳しくガイドしていきます! 息を呑むようなフォルムの美しさ! 展示室1「みどりのちょうこく」 写真一番奥のアロエ・ディコトマは樹齢320年で、その圧倒的な生命力を目の前に感動を覚えることでしょう。そして左右に従えるのは、左が手前からフルクラエア・ギガンティア、ディオーン・スピヌロスム、アガベ・サルミアナ。右が手前からアロエ・ディコトマ、プヤ・チレンシス、エキノカクタス・ゲルソニイ。いずれも造形の美しい植物ばかりで、人の心を捉える強い引力を持っています。 展示室1「みどりのちょうこく」では、サボテンやユーフォルビアなどの多肉植物を152種類も植栽。原産地の気候によってこれほど姿形を変えるのかと驚かされる、生命保存の戦略も見どころの一つです。写真のエキノカクタスは、ボールのような姿が愛らしいですね! 熱帯から亜熱帯の植物が見られる展示室2「しきさいのにわ」 展示室2「しきさいのにわ」は、熱帯〜亜熱帯に自生している植物を集めています。天井に届くほどに枝葉を伸ばしているヒカゲヘゴは、シダ植物の一種。約1億年前から生息してきたとされ、恐竜たちが闊歩していた時代に思いを馳せることができます。 ここは「しきさいのにわ」と名付けられているように、熱帯〜亜熱帯原産の多彩な花を咲かせる植物をコレクションしています。主にラン科の植物が多く、写真の紫の花はバンダ。一年を通して開花するように室温が調整されており、いつ訪れてもトロピカルな美しい花々を愛でることができます。亜熱帯の植物らしく緑の濃い大きな葉を繰り広げる植物群と、カラフルな花々との色のコントラストも見どころです。 身近な植物で構成する、展示室3「くらしのみどり」 展示室3「くらしのみどり」は、日本の庭文化を表現するエリア。新緑・開花・結実・紅葉と四季によって表情を変えていく雑木や、その足元を彩る下草などを緑量たっぷりに植栽しています。江戸時代に花開いた園芸文化によって、日本では斑入りの植物への人気が高まり、多様な品種が生まれました。この展示の下草には古くから愛されてきたツワブキやハラン、ギボウシなど斑入りの植物が多数選ばれ、どこか懐かしい雰囲気が漂っています。写真のテラス席でくつろぐことも可能です。庭づくりのヒントが見つかりそうですね。 植物たちの進化の過程をたどる展示室4「しんかのにわ」 展示室4「しんかのにわ」では、名前の通り「生きた化石」といわれる植物たちを見ることができます。古生代後半、シルル紀に登場していた古生マツバラン(現生のマツバラン類と系統は異なるとみられる)、石炭紀には登場していたと推定されている植物・リュウビンタイやトクサ、三畳紀~ジュラ紀に現れたソテツなどを植栽。また、兵庫県・吉川で産出された珪化木(けいかぼく)も展示しています。生物の進化は恐竜や人類に目が向けられがちですが、植物も同様に長い年月をかけて進化してきたことが分かります。 ガーデンキャッスルやアーチに注目! 展示室5「にぎわいのにわ」 展示室5「にぎわいのにわ」のシンボルは、写真中央に見える高さ約8mのガーデンキャッスル。黄色い花のオンシジウムが満開となり、見応えのあるシーンをつくっています。ガーデンキャッスルの花は季節によって模様替えされるので、何度でも訪れたいですね。 ガーデンキャッスルの骨組みは淡路島産の真竹を使用。1本の竹に3本の柳を添えて作られており、柳の葉が茂るにつれて印象が変化します。竹の自然なしなやかさを利用した、キャッスルの美しいカーブにもぜひ注目してください。 「にぎわいのにわ」は4つの園路で構成されています。オンシジウムが仕立てられた6個のアーチが連なる約30mの小道をはじめ、ゴクラクチョウカ、プルメリア、アンスリウムと、歩みを進めるごとに異なる景色を楽しめます。 冬には、館内各展示室でライトアップが行われます(2021〜2022年は11/20~1/16)。開館と同時に点灯され、特に曇りや雨の日など、屋外が暗いときにはよく映えます。一番のおすすめは、日没のタイミング。少しずつ日が暮れるにつれ、ライトアップに展示物が浮かび上がっていく様子を楽しめます。2021年は、12月3~26日の金・土・日のみ、夜21時まで開館時間が延長されますよ!(最終入館は閉館の30分前) 休憩スペースやスタンドカフェがあるので、ひと休みもOK! 写真は中2階にある休憩スペース。奥の特等席からは晴天の日に大阪湾が望めますよ! 図書コーナーもあり、子ども向けの図鑑など植物に関する書籍が置かれています。大人向けには多肉植物のアレンジを提案した本やレイ作りの本、庭づくりのアイデア本、海外のガーデニング本なども。ちょっと歩き疲れたら、休憩をかねての読書もいいですね。 温室内にはカフェスタンドもありますよ! 営業時間は11~17時(ラストオーダー16時)。主な価格帯は250~450円くらい。メニューのラインナップはアイス/ホットコーヒー、紅茶、ハーブティー、オレンジジュースなど。 カフェスタンドで人気が高いのは、写真左の淡路島牛乳ソフトクリーム(350円)や、写真右の淡路島牛乳レモンラッシー(420円)、瀬戸内レモンスカッシュ(420円)など。防カビ剤不使用で、無農薬・ワックス不使用の平岡農園産レモンを使用しています。 Information 兵庫県立淡路夢舞台公苑温室 あわじグリーン館 所在地:〒656-2306 淡路市夢舞台4 電話番号:0799-74-1200 https://awaji-botanicalgarden.com アクセス: ・JR三ノ宮駅、JR神戸駅下車、東浦BT行き高速バス ⇒ 淡路夢舞台前(片道950円) ・JR舞子駅、山陽電鉄舞子公園駅下車、東浦BT行き高速バス ⇒ 淡路夢舞台前(片道520円) 営業時間:10:00~18:00(最終入館17:30) 入園料:大人750円、70歳以上370円(要証明)、高校生以下無料 ※特別展開催時は入館料が変更となります。 駐車場:グランドニッコー淡路地下駐車場1日/600円(1回) 【当館より来場のみなさんへ、新型コロナウイルス感染症対策のお願いごと】 ◆ ご来場の際には、マスクの着用をお願いします。着用されていないお客様は受付にて販売しております。(1枚50円) ◆ ご来場の際には、入口に設置しております、消毒液にて手指の消毒をお願いします。 咳エチケット、こまめな手洗いの徹底にご協力ください。 ◆ スペースのあるエリアで人との距離が十分に保てる場合は、マスクを外すなど熱中症等にお気を付けください。 ◆ 体調のすぐれない方は、ご来場をお控えいただいています。 ◆ できる限り少人数にわかれてご来場ください。 ◆ できる限り混雑する時間帯を避けてご来場ください。混雑時は入場制限を行う場合がございます。 ◆ 館内は定期的に換気を行っておりますが、他のお客様と密着しないよう、一定の距離を保つようにお願いします。 ◆ エスカレーターやエレベーターをご利用の際は、適切な距離を保ってくださいますようお願いします。 ◆ゴミなどについては、所定のゴミ箱をご利用ください。 ◆ご来館時、入口に掲示しております「兵庫県新型コロナ追跡システム」への登録及びQRコード読み込みにご協力お願いします。
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ガーデン&ショップ
花の庭巡りならここ! 200品種以上のシャクナゲが咲き誇る「赤塚シャクナゲガーデン」
品種改良の歩みが見て取れる シャクナゲの見本庭園 「赤塚シャクナゲガーデン」は、1972年に赤塚植物園社長(現会長)の赤塚充良氏がアメリカの公園や庭園に咲く見事なシャクナゲに衝撃を受けたことから始まります。子どもの頭ほどのシャクナゲの花が色とりどりに咲いている姿は、まさに「花木の女王」と呼ばれるにふさわしいものでした。 この花を日本中に普及させて、多くの方に楽しんでもらいたいと考え、約40万本の苗を輸入。しかしアメリカからの輸入苗は、夏の暑さが厳しい日本の気候に合わず、苦労の連続だったといいます。日本の気候に合うシャクナゲは、日本でつくるしかないと、1981年から自社でオリジナル交配を開始。耐暑性に優れ、育てやすく、数多くの優良個体の作出に成功しました。 多くの方にシャクナゲの魅力を伝えるには、シャクナゲは弱くてすぐ枯れるというイメージを完全に覆す必要があります。そこで高山性のシャクナゲの栽培には適さない低地、しかも多くの車が通る県道沿いの自社農場に、あえてシャクナゲを植え付けることに。育種した品種の栽培試験を行いながら、将来の見本庭園を想い描き、20年の歳月をかけて育んできたそうです。 そしてついに、2013年に「赤塚シャクナゲガーデン」として一般公開を開始しました。海外から導入してきた品種や、オリジナル品種などを含め、200品種以上、約3,000本ものシャクナゲが咲き誇る姿は日本有数の規模です。 園内の広さは、約10,000㎡で、大人の足でゆっくり散策して40分ほどかかります。3m以上の大きな株が多数植えられており、平地にあるガーデンながら、高さを感じる植栽となっています。また、シャクナゲの開花時期に合わせた花木も植えられており、シャクナゲとの共演も見どころです。 開園期間はシャクナゲが見頃となる4月上旬〜5月上旬の約1カ月という短い期間ですが、例年約1万人が来園して花見を楽しんでいます。「色とりどりの花に圧倒され、心も洗われます」「どの木も嬉しそうに輝いていて、お手入れの愛情が感じられます」「西洋の宮殿を思わせるような美しさ」といった、感動の声が寄せられています。日本におけるシャクナゲの品種改良の歴史が垣間見られる、感動のシャクナゲ庭園に、ぜひ足を運んではいかがでしょうか。 日本の気候にあうように品種改良された ダイナミックに咲くシャクナゲが大集合! 多くの車が行き交う県道10号線に面する「赤塚シャクナゲガーデン」。500mにわたって続くシャクナゲによる垣根の途中に入口があります。写真からも、ガーデンの規模の大きさが伺い知れますね。このシャクナゲが咲く道、地元では「シャクナゲロード」と呼ばれ、親しまれています。 シャクナゲの最盛期は4月中旬頃。ただし園内には開花期の異なるさまざまな品種がバランスよく植えられているため、4月上旬から5月上旬にかけて、順次花が見頃となっていきます。大きく分けると早生(4月上旬)、中生(4月中旬)、晩生(4月下旬)で、開園期間中はお色直しのように園内の様子が変わっていくので、数回の見物もおすすめです。写真のエリアは、ケヤキやカツラ、ヤマボウシの新緑も楽しめる、西洋庭園の雰囲気を演出。やわらかな木漏れ日の中でゆっくりと散策できます。 写真の‘ウェディングブーケ’は一番人気の品種です。光沢感のある淡いピンクで、満開になるとほぼ白になる上品な花。ふんわりと盛り上がり、美しい花束のような花房をつくることから命名されました。見頃は4月中旬頃。光沢のある小判型の葉を持ち、樹形もコンパクトにまとまります。花つきが非常によいうえ、花もちが大変よく観賞期間が長いのも特長です。 シャクナゲと開花期が揃う 花木も植栽され、爛漫に咲く シャクナゲと開花が揃う花木も、さまざまに見られます。後ろに大きなボール状の白い花を咲かせているのは、オオデマリ。開花が進むにつれてグリーンから白へと花色が移ろいます。手前の赤いシャクナゲは‘太陽’、後ろの白系の花は‘ウェディングブーケ’です。 写真は、八重咲きの桜‘福禄寿’とシャクナゲ‘太陽’が見せるダイナミックな景色。高さ約6mの大木に育ったシャクナゲ‘太陽’と桜の共演は素晴らしく、園内の見どころの一つです。 シャクナゲと同じ頃に咲く花木の一つ、桃も園内のそこかしこに植栽されています。写真は1本の木に赤と白の花が咲く源平桃。優美ですね。ほかにも菊のような花が咲く、キクモモも一見の価値があります。 園内には、ところどころにベンチが置かれ、シャクナゲを眺めながら休憩できます(ただし飲食の持ち込みは不可)。写真は桜とシャクナゲ、サツキ、チューリップが、豪華に咲き競う様子です。 毎週末のガイドツアーにぜひ参加を 100品種以上が揃う苗売り場も見て回ろう! 「赤塚シャクナゲガーデン」では、毎週土曜・日曜にガーデン担当者によるガイドツアーを行っています。時間は10:30~と11:30~の1日2回 で、所要時間は約40分です。予約不要で、入園料以外の別途費用はかかりません。ガイドさんからは、見どころのほか、品種の紹介、育て方のアドバイスなどの解説もありますよ! 園内では、例年シャクナゲを中心に100品種以上の苗が販売されています。主な価格帯としては1,200~1,800円。人気の品種ベスト3は、1番が光沢感のある淡いピンクが美しい‘ウェディングブーケ’。2番が咲き始めは淡いピンクで、後に真珠光沢のあるやわらかい白色になる‘真珠姫’。大変香りがよいのも特徴です。3番がややワイン色を含んだ濃赤紅色の大輪で、フリルのある花が20輪ほど集まって大きなドーム状の花房をつくる‘プロミネンス’。いずれもアカツカオリジナル品種のシャクナゲです。 Information 赤塚シャクナゲガーデン 所在地:三重県津市高野町字西久野1902番地の1 問い合わせ先:アカツカFFCパビリオン059-230-2121(受付時間/10:00〜18:00、火曜定休) https://www.jp-akatsuka.co.jp/production/farm03/index.html アクセス:公共交通機関/JR・近鉄津駅東口4番乗り場より三重交通バス 系統52椋本行き「新出」バス停より徒歩約1分 車/伊勢自動車道芸濃I.Cから車で約3分 オープン期間:令和2年4月3日(金)〜5月6日(水) ※開花状況や気象条件により変動あり 休園日:なし 営業時間:9:00〜16:30(最終入園 16:00) 料金:大人 700円(シャクナゲガーデンで使える植物100円引券付)、中高学生350円、小学生以下 無料 駐車場/120台、無料 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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花の庭巡りならここ! 平和のモニュメントがランドマーク「荒牧バラ公園」
「毎年のバラの季節が楽しみ!」と 市民に愛される憩いのローズガーデン 1992年にオープンした「荒牧バラ公園」。1983年から始まった区画整理事業により、北部荒牧地区に公園用地が確保され、市民に愛される公園にしたいと、バラ園が整備されました。1.7ヘクタールの広大な敷地で、バラ好きな方がゆっくり歩いて、1時間ほどかかる規模です。 「荒牧バラ公園」は、六甲山系を借景とし、天神川堤の傾斜を生かした露段形式のバラ園で、設計はSEN環境計画室の三宅祥介さんが手がけました。高低差をつけたことで、多くのバラを一度に愛でることができます。またバラの美しさを最大限に表現するために、脇役として多くの建造物や樹木の緑、カナール(水の流れ)をしつらえています。 園内は「平和モニュメント広場」「ハッセルトのバラコーナー」「ふるさとのバラコーナー」「花と流れのアプローチ」「バラの原種コーナー」の5区画にゾーニング。世界のバラ約250種、1万本が南欧風のおしゃれな園内一帯に咲き乱れます。 伊丹生まれで世界的に名高い‘天津乙女(あまつおとめ)’や‘マダム・ヴィオレ’などが見られる「ふるさとのバラコーナー」、姉妹都市のベルギー・ハッセルトにちなんだ「ハッセルトコーナー」は特に見どころです。 アーチやフェンス、パーゴラ、スロープに沿わせるなど、立体資材を使った仕立て方も見応えがあり、自邸の庭のヒントにもなりそう。風が吹くとゆらゆら揺れる花の帯が、ため息がこぼれるほど優美な景色をつくり出します。 2019年4月〜2020年1月の来場者数は約18万人で、市民に愛される憩いの場となっている「荒牧バラ公園」。飲食の持ち込みはOKなので、バラの花見を楽しみながら青空の下でお弁当やおやつを広げ、くつろぎのひとときを過ごしてはいかがでしょうか。 せせらぎが聞こえる「カナール」を巡らせた 南欧風の洗練されたランドスケープが魅力 春のバラの見頃は、5月中旬~6月中旬頃。写真は、正面ゲートから平和モニュメント広場までのアプローチです。スペイン風の円柱とリズミカルに流れる水が、来園者をお出迎え。レイズドベッドが多数設けられており、目線に近い位置で豊かに咲き誇る花々が楽しめます。 こちらはハッセルトのバラコーナー。伊丹市は、ベルギーのハッセルト市と国際姉妹都市を提携しています。壁面のアイキャッチになっているのは、ハッセルト市から贈呈された「小便小僧」のレプリカ。周囲にはベルギーで作出された品種‘アンネ・フランクの思い出’や純白のバラ‘パスカリ’が植えられています。 秋のバラの魅力は気温差による 冴え冴えとした花色の美しさ 秋のバラの見頃は、10月中旬〜11月中旬。春ほどの花数はないものの、花色は気温の低下とともに鮮やかになり、秋らしいしっとりと落ち着いたバラを楽しめます。青空に凛と咲く、バラの健気な姿を愛でましょう。 平和を願って建てられたモニュメントが目印! 企画展や講習会を行う「みどりのプラザ」が隣接 伊丹市が重点施策の一つとして掲げてきたのは、「平和な社会づくり」。市民からの寄付によって、荒牧バラ公園内に「平和モニュメント広場」が建設されました。バラともマッチし、公園のシンボリックな存在となっています。 荒牧バラ公園の隣には、「みどりのプラザ」があります。開館時間は9:00〜17:30、休館日は火曜、祝日の場合は翌日(5〜6月、10〜11月を除く)と年末年始(12月29日〜1月3日)。休憩コーナーとして、テーブルがいくつか置かれているので、歩き疲れたらご利用を。図書室があるほか、展示室では定期的に押し花展やハーバリウム展などが開催され、フラワーアレンジ教室や植物相談会などの講習会も実施しています。
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ガーデン&ショップ
花の庭巡りならここ! 箱根が誇る、夢の花園「箱根強羅公園」
抜ける青空の下、箱根の山々を借景に 花々で豊かに彩られる癒やしの公園 1914年開園という古い歴史を誇る「箱根強羅公園」。開園時は1910(明治43)年にロンドンで開催された日英博覧会場に日本庭園をつくった、一色七五郎氏が設計・監督を担当。洋風庭園と和風庭園があり、地質を生かして多数の巨岩を用い、風景になじませた造成が見られて、当時の高い造園技術を垣間見ることができます。 「箱根強羅公園」は、26,500㎡の敷地をもち、ゆっくり歩いて30〜40分くらいで一巡りできる広さです。現在の園内は、大きく分けて「バラ園」「噴水周辺」「体験施設(クラフトハウス)」「温室」「お茶室」にゾーニングされています。 園内中央には噴水広場があり、ここから望む箱根の山々の眺めは特に素晴らしいので、ぜひ立ち寄りましょう。このビュースポットの花壇は、主に一年草で構成され、年に4回の植え替えを実施。春はホワイトで統一して爽やかに、夏はブルーと黄色でコントラストをつけ、秋はハロウィン仕様、冬はハボタンで彩ります。「箱根強羅公園」は標高約600mに位置するため、昼夜の温度差によって花色が冴え冴えとしているのも魅力です。 また、特筆すべきは、冬でも楽しめる3つの温室。熱帯植物館(約211種3,000株)、ブーゲンビレア館(ブーゲンビレア48種)、熱帯ハーブ館(約70種125株)、イベント館があり、じっくり観賞して約30分で周遊できます。 熱帯植物館では、ジャングルをイメージして植栽。バナナ、パパイヤ、パイナップルなどのトロピカルフルーツや、レンブ、ソーセージの木なども観られます。 写真のブーゲンビレア館は、年間を通して華やかに咲く姿を楽しめます。ブーゲンビレアは夏の花のイメージがありますが、南米コロンビア原産の短日植物で、一番の見頃は秋から春先(11~3月)です。短日植物のため夏は花が少なくなりますが、この時期はハイビスカス(長日植物)などが華やかに咲き競い、年間を通して花盛りとなるよう配慮されています。 一方、熱帯ハーブ館では、香辛料のもとになる植物を展示。温帯性ハーブと熱帯性ハーブの違いを比較しやすいように、熱帯ハーブ館の近くに温帯性ハーブ園をつくっているので、香りを比べてみるのもいいですね。 「箱根強羅公園」は、一年を通して豊かな花々で彩られ、開園当初から親しみを込めて呼ばれていた「夢の花園」の愛称を、今も守り続けている観光庭園です。その他、カフェやレストラン、セレクトショップ、クラフト体験など、レジャースポットとしてのコンテンツも魅力たっぷり。一日ゆっくりと時間を過ごすつもりで、出かけてみてはいがでしょうか。 標高約600mに位置する公園では 四季を通して花色が冴え冴えと輝く 5月中旬〜下旬は、ツツジが見頃を迎えます。噴水池の周囲を中心に、赤、紫、白など約1,000株が満開に。園内には、高地でしか見られないアカヤシオ(3月下旬)、シロヤシオ(3月下旬)、天城ツツジ(4月上旬)などの姿も見られます。枝葉を埋め尽くすように咲き、色の塊となる満開の時期は、大変鮮やかで見応えがあります。 バラの見頃は5月下旬〜6月下旬。約200種1,000株のバラが爛漫と咲き誇ります。香りのよいバラを集めたコーナー、オールドローズを集めたコーナー、皇室にまつわる名前を冠したバラのコーナーなど、テーマを設けた展示も見どころ。バラの魅力を最大限に引き出すため、木製アーチを連ねたバラのトンネルや。宿根草と組み合わせたダイナミックな花壇など、歩を進めるのが楽しくなるローズガーデンです。 アジサイの見頃は6月中旬〜7月上旬。園内に咲く、多くの山アジイや西洋アジサイが、しっとりとした表情で出迎えてくれます。特に清楚な白花で人気の高い‘アナベル’の群生や‘イワガラミ’の大株が目を惹く存在です。「アジサイ展」の期間中は、約80種のアジサイが展示され、山アジイや西洋アジサイの苗も販売されます。 紅葉の季節を迎える秋は、一年を通して最も見応えのある景色を楽しめます。見頃は11月上旬〜11月下旬で、イロハモミジやヤマモミジの大木を中心に植栽され、園内全体が朱色に染まります。また、10月中には、春とはまた異なる深みを帯びた色で咲く秋バラが楽しめ、パンパスグラスの穂とのコラボが見事です。 12月〜翌年3月は、園内に植栽された約100株のクリスマスローズが見頃に。12月下旬にニゲル種、12月下旬〜1月下旬にニゲル交配品種、2月中旬に木立クリスマスローズ、2月下旬に細葉クリスマスローズ、2月中旬〜3月中旬にレンテンローズと、次々に咲き継がれていきます。 食事どころは2店舗あってオシャレ! こだわりの食材を使ったメニューが揃う 園内には、食事どころが2店舗あります。写真は「サンドイッチ料理 一色堂茶廊」で、素材にこだわったサンドイッチ料理が楽しめるお店です。人気メニューは「自然有精卵のだし巻きサンド」(1,210円)、たっぷりのローストビーフをレタスとともに挟んだ「和牛ローストビーフサンド」(1,760円)。営業時間は10:00〜17:00(ラストオーダー16:15)で、テイクアウトもできます。 「サンドイッチ料理 一色堂茶廊」では、写真のフレンチトースト(770円)が大人気! 牛乳と生クリーム、自然有精卵を混ぜ、パンを浸してじっくり一日寝かせてから焼き上げたもので、しっとりとした食感。季節のフルーツと生クリームを添えていただきます。 一方、こちらの写真は、カフェ「PIC」のパンシチュープレート(1,078円)。丸くくりぬいたフランスパンの中に、白ワインとハーブで漬け込んだ鶏肉と地場産の野菜を煮込んだミルクたっぷりのシチューを注ぎ、チーズをのせて焼き上げたものです。他に1日40食限定の強羅カレー、20食限定のポーチドエッグカレーも人気。手作りハーブクッキー付きのハーブティー(605円)もおすすめです。営業時間は10:00〜17:00(ラストオーダー16:15)。 工芸品を集めたセレクトショップは必見! 6種の工芸体験も楽しめる 園内には箱根の土産物が揃う「おみやげショップ」があり、雑貨やお菓子などが豊富に揃います。注目したいのは、2019年夏にオープンした、セレクトショップの「こまもの屋 箱根」。「アート&クラフト」をテーマに、箱根の伝統工芸品や、国内で活躍している工芸作家の作品を販売しています。ぜひ立ち寄って、旅の記念になりそうなショッピングを楽しみましょう。 園内には、「箱根クラフトハウス」があり、6種の工芸体験を実施しています。料金と所要時間の目安は以下の通り。吹きガラス(3,800円〜、約15分)、陶芸(3,600円〜、40〜60分)、サンドブラスト(2,100円〜、約60分)、とんぼ玉(2,500円〜、約15分)、ポタリーペインティング(2,900円、約60分)、切子(3,500円〜、約60分)。いずれもマンツーマンで、懇切丁寧な指導が受けられます。
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花の庭巡りならここ! トロピカルフラワーに囲まれる「国営沖縄記念公園(海洋博公園)・熱帯ドリームセンター」
花々に彩られた、この世の楽園植物の生命力に癒やされるひとときを 「国営沖縄記念公園(海洋博公園)」の園内にある、1986年にオープンした「熱帯ドリームセンター」。ここは国営沖縄記念公園のテーマ「太陽と花と海」の「花」を象徴する施設として整備されました。敷地面積は約6ヘクタールで、ゆっくり散策して1時間かかる規模です。 全体のデザインは、「熱帯樹林の中に遺跡、廃墟があり、その内部に足を踏み入れると、突然、熱帯・亜熱帯の花々が咲き乱れるこの世のものとも思えない別世界が展開している」という非日常性、意外性をイメージしています。 園内は、3つのラン温室(ファレノプシス温室、バンダ温室、カトレア温室)、熱帯果樹温室、ビクトリア温室の5つの温室と、2つの中庭、アフリカ区の植物を植栽する回廊棟などから構成されています。どの季節でも花を楽しめるよう開花調整を行い、常時2,000株以上のランを展示しており、いつ訪れても大変華やかです。 「熱帯ドリームセンター」は海岸線に立地しているため、冬の強い季節風に直面しますが、遺跡を思わせる外壁は防風壁にもなっており、北からの潮風を防ぐ役割を持っています。写真は、「熱帯ドリームセンター」のランドマークともいえる施設で、園内の大部分や瀬底島、水納島、伊江島、伊是名・伊平屋島が一望できます。高さ36mで、ビルの7~8階建てに相当します。 園内には、ラン約1,500種、高木類約120種、中低木類約120種が植栽され、沖縄ならではの気候の下、珍しい植物を数多く目にすることができます。写真は、5本のアフリカバオバブを眺められる回廊棟。1983年に移植し、1998年に日本で初めて花が咲き、翌年には同じく日本で初めて実をつけることに成功しました。園内にはさまざまなフォトスポットが用意され、SNS映えするシーンが満載です。 今までの展示に加えて、木枠を使ったビカクシダのディスプレイなど、新しい展示法も模索していく予定だそう。毎年10~12月の「ブーゲンビレア・ハイビスカスフェア」、12~1月の「チューリップフェア」、2万株近いランが披露される2月の「沖縄国際洋蘭博覧会」など、季節ごとのフェアが開催されるほか、園芸教室や植え付け体験なども行い、魅力的なコンテンツが揃っています。 土産物売り場のフラワーショップ「南国」では、ランの小鉢や花をモチーフにした雑貨類を取り扱っているので、ぜひ立ち寄りを。歩き疲れたら休憩できるカフェ「スコール」もあり、長時間過ごしても飽きることがありません。年間14万人が訪れる、沖縄でも人気のレジャースポット「熱帯ドリームセンター」に、ぜひお出かけください。 カラフルな熱帯フラワーが温室内をダイナミックに彩る 写真は「カトレア温室」で、「花の女王」とも呼ばれるカトレア類を展示。入口には多くのカトレアが集められ、鮮やかな花や豊かな香りを楽しめます。歩みを進めて、つる植物やサルオガセモドキで覆われたアーチをくぐると、視界の抜ける開放的な空間が広がりますよ! 5月には、黄色の小さな花を咲かせるオンシジウムでアーチがつくられ、花のシャワーのような演出が見事です。 この「ビクトリア温室」は、アマゾン流域の水生・湿地性植物を展示しています。ビクトリア温室の名称は、オオオニバス(以前の学名Victoria regia ビクトリア・レジア)に由来。1階には大型水槽があり、アマゾン流域の淡水魚が優雅に泳ぐ姿を見学できます。 こちらは熱帯アジア原産のバンダをはじめ、世界最大のラン科植物グラマトフィラムなどのランを展示する「バンダ温室」。花を上から吊り下げて展示しているので、ジャングルの中にいるような不思議な気分を味わえます。 「熱帯果樹温室」では、パラミツ、果実の王様ドリアンなど、約20種の熱帯の果樹を展示。温室の高さは15mにも及び、可能な限り柱を少なくした大空間となっているため、迫力満点です。柱などには熱帯性のつる植物を配し、橋の上から、果樹・花木の花や実を間近に見られるようになっています。 温室の外の広大な敷地では異国情緒あふれる植栽を楽しめる 温室の外は、北が100×50m、南が8×50mの、南北2つの中庭に分かれています。北がアジア、オーストラリア区、南が北中南アメリカ区、そして回廊広場がアフリカ区にゾーニングされ、それぞれに原産地の樹木を植栽。花壇では年に数回植え替えが行われ、季節の花が楽しめます。 写真は、水辺の景色が楽しめる「ロータスポンド」で、夏には色鮮やかな熱帯スイレンが咲き誇ります。定期的に藻の除去など、池の清掃を行っているため、ほどよいバランスで水生植物が分布。葉の直径が1.5mほどにもなるパラグアイオニバスもあり、夏には子どもにその葉に乗ってもらう体験イベントも行っています。 窓の向こうの植物の姿を楽しみながら美味しいトロピカルフードを満喫 園内には、トロピカルフルーツカフェ「スコール」があります。休憩にぴったりですね。主なメニューはタコライス、トロピカルフルーツカレー、パイナップルポークボウルなどの軽食、月桃ゼリー、もちもちおきなわドーナツ、パンケーキ、アイスクリーム、スムージーなど。畜肉由来原料、アルコール不使用のハラール、ベジタリアン・ヴィーガン対応メニューも提供しています。営業時間は9:30~18:30(3~9月)、9:30~17:30(10~2月)、軽食のラストオーダーは閉店の1時間前まで。 Information 国営沖縄記念公園(海洋博公園)・熱帯ドリームセンター 所在地:沖縄県国頭郡本部町字石川424番地TEL:0980-48-2741 http://oki-park.jp/kaiyohaku/inst/38 アクセス:バス(那覇空港より)/高速バスを利用の場合 約3時間一般路線バス利用 約3時間30分やんばる急行バス 約2時間20分沖縄バス 空港リムジンバス 約2時間15分沖縄エアポートシャトル 約2~3時間 車/那覇空港から国道58号線を利用 約2時間50分那覇空港から高速道路許田ICまでを利用する場合 約2時間 (アクセスの詳細はHP参照:http://oki-park.jp/kaiyohaku/acc/) オープン期間:通年 休園日:12月の第1水曜とその翌日(設備点検実施日) 営業時間: 8:30~17:30(入館締切17:00、10月~2月)8:30~19:00(入館締切18:30、3~9月) 料金:海洋博公園の入園料は無料(ただし、熱帯ドリームセンター館内は有料。大人:760円 中学生以下:無料(2020年3月31日までの試験運用)※沖縄美ら海水族館の入館チケットもしくは年間パスポートの提示で大人料金が半額の380円になります。 駐車場:普通車約 840台、無料※施設全体の総台数約1,900台 無料(熱帯ドリームセンター最寄りの駐車場はP8。62台、身障者用の2台を含む)
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花の庭巡りならここ! 大小2つの温室で植物の息吹を感じる「手柄山温室植物園」
熱帯植物や砂漠植物が息づく 大小2つの温室が充実する植物園 1980年にオープンした、歴史のある「手柄山(てがらやま)温室植物園」。敷地面積は11,334㎡で、ゆっくり散策して30〜40分ほどかかる規模です。植物を通して市民が交流できる憩いの場として、また植物の知識を普及する場として手柄山中央公園内に整備された植物園で、年間約3万もの人々が訪れます。 特筆すべきは、大小2つの温室。サボテン、洋ラン、ベゴニア、食虫植物を中心とした熱帯、亜熱帯、砂漠に生きる植物を120科1,500種、2万5,000株を展示しています。温室内にも四季があり、カエンボク→ブーゲンビレア→マンゴー→ラッセレア→グアバ→バナナ→アリストロキア・ギガンティア→オドントネマ→カリアンドラへと開花リレーが繋がり、見どころは季節とともに移ろいます。 温室以外にも、一年草など季節を彩る草花が植栽される大きな花壇、主にオーストラリア産の植物で構成されるロックガーデン、ラベンダーやセージ、タイムなど多様なハーブが植栽されたハーブ園などがあります。春は芝桜、パンジー、バラ、初夏はラベンダー、アジサイ、夏はペチュニア、ベゴニア、ヒマワリと、四季を通してさまざまな花木や草花で彩られ、いつ訪れても華やかです。 また、定期的に多様なイベントが開催され、リピーターが多いのも特徴。夏は子どもたちを対象にした「ジャコウアゲハとウマノスズクサ観察会」、「食虫植物観察会」、「市花さぎ草観察会」、秋は「手柄山散策ツアー」、3月には市花であるサギソウの球根を植え付け、育て方を学ぶ「さぎ草ふれあい教室」があります。 その他、エントランス展示室・レンガ広場展示室では、四季折々に旬の植物に注目し、年に十数回の展示入れ替えを実施。いつ訪れても楽しい企画展が開催され、「毎回の展示会が楽しみ」という声が寄せられています。園内では花苗の販売も行っており、企画展の内容に合わせて品種を豊富に揃えた花苗を目当てに訪れる人も多いとか。売店では土産物や雑貨も販売しているので、お買い物を楽しむのもいいですね、ぜひお出かけを! 日差しが燦々と降り注ぐ温室内で 熱帯や砂漠の植物が旺盛に育つ 写真は大温室の様子。約660㎡のドーム空間では、オオギバショウ(タビビトノキ)、マンゴー、ガジュマルがシンボリックな存在。数々のトロピカルプランツが元気いっぱいに枝葉を広げ、冬でも植物の強い生命力が感じられます。写真に写っているのは、タコノキ、ラン類、食虫植物など。途中、階段の上には滝の噴出口があり、大温室内を巡る水のせせらぎにも癒やされます。 こちらの写真は小温室の様子。サボテンを中心に砂漠で生息する多肉植物を、原産地別に展示しています。写真に見えるのはブリンチュウ(武倫柱)、リュウジンボク(竜神木)、キンシャチ(金鯱)など。大きく立派に育った姿には、歳月を重ねたからこそ得られる迫力が備わっています。 ロックガーデン、ハーブ園も見どころ 四季の企画展も多様に展開 写真は、園内のロックガーデンの4月の様子で、約1,000株の芝桜が見頃を迎えています。岩の合間を縫うように這い広がり、密に花をつけてピンクの濃淡に染め上げる様子は一見の価値あり。季節が進むと、このロックガーデンではグレビレア、バンクシア、ゼフィランサス、カリステモン、プロテア、メラレウカ、ルリマツリなどの植物が開花します。 また、ハーブ園には、約100種類のハーブが植栽されています。ミント、タイムなどの香りを楽しむものや、ラベンダー、ローズマリー、セージなど花の美しい種類も多くあります。 色や形が「白鷺」にそっくりなことから名づけられたサギソウ。姫路市は、市のシンボルである姫路城(別名白鷺城)にちなみ、昭和41年8月に姫路市の市花に定めました。手柄山温室植物園では、約1,000株が栽培されており、8月が見頃です。また季節に関係なく観賞できるよう専用の栽培温室を設け、周年咲くように開花調整しています。夏には「市花さぎ草展」を開催。 毎年12月にはシクラメン展を開催。約50種、200株のシクラメンがクリスマスツリーやリース、スワッグなどとともに展示され、クリスマスカラーで華やかに彩られます。展示会期間中は、シクラメンの奥深い世界を解説する展示ガイドが行われるほか、クリスマスにちなんだアロマ小物づくり、カラーベル演奏会なども開かれますよ! レストハウス「花の家」で一休み 花苗や土産物のショッピングも楽しもう! 「手柄山温室植物園」には、レストランや喫茶店はありません。飲み物やアイスクリームなどは自動販売機で、また休憩コーナーのあるレストハウス「花の家」では、コーヒー、紅茶、パンなどの販売をしています。お弁当や飲み物、おやつなどの持ち込みもOK。園内には写真のように姫路市の南部地域を一望できるデッキテラスが設けられているので、風を感じながらランチやおやつタイムを楽しむのもいいですね。 園内のレストハウス「花の家」では、季節の草花や園芸資材のほか、各種展示会に応じた植物を販売しています。写真はシクラメン展期間中の様子で、多品種が揃っています。オリジナルブレンドの培養土も人気商品の一つです。 また、手柄山温室植物園オリジナルのポストカードほか、さぎ草グッズ、ハーブグッズ、雑貨、「姫路モノレールグッズ」のレアアイテムを扱う売店もあり、お買い物も楽しめますよ! Information 姫路市立手柄山温室植物園 所在地:兵庫県姫路市手柄93(手柄山中央公園内) TEL:079-296-4300 https://himeji-machishin.jp/midori/greenhouse// https://www.instagram.com/tegara_shokubutsuen/ アクセス:電車/山陽電車、「手柄駅」下車、のち西へ徒歩約10分 バス/神姫バス、(JR姫路駅北口発)94系統「手柄山中央公園口」下車、のち西へ徒歩約5分(※土日祝日・夏休みには、園真下の停留所に留まる便利な『手柄山ループバス』が運行。神姫バス、(JR姫路駅南口発)97系統「武道館植物公園前」下車すぐ。詳しくは神姫バスHP「手柄山ループバス」参照) 車/姫路バイパス「中地ランプ」から約10分 休園日:金曜日(祝祭日の時はその前日が休園日)、12月29日~1月1日 営業時間:9:00~17:00(※入園は16:30まで) 料金:大人210円、小人(6歳から中学生)100円 ※団体(30人以上)の場合、大人170円、小人50円 駐車場:普通車/手柄山中央公園内駐車場(温室植物園前駐車場 または手柄山中央公園内駐車場 徒歩約5分) 1日1回200円 大型バス/山上まで上がれないので、ふもと近くで乗客下車後、車両だけ野球場西駐車場 または文化センター南駐車場へ停車を。1日1回800円。 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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花の庭巡りならここ! 歩むほどに癒やしを誘う花の名所「清水公園 花ファンタジア」
「清水公園」の一角に設けられた 花の名所「花ファンタジア」 「清水公園」は明治27年に開園した、歴史の古い公園です。全体の広さは約28万㎡で、フィールドアスレチックやキャンプ・バーベキュー場、ポニー牧場などもありますが、ここではその一角にある「花ファンタジア」エリアについてご紹介します。 「花ファンタジア」は平成14(2002)年にオープンした花の名所で、市民の憩いの場として整備されました。敷地面積は約6万㎡で、ゆっくり観賞しながら歩いて、大人の足で平均1時間弱くらいで周遊できる広さです。 「花ファンタジア」内は、年3回模様替えされる「四季の花壇」、「ローズガーデン」、「イングリッシュガーデン」、「水生植物エリア」、「亜熱帯(温室)エリア」などにエリア分けされ、変化に富んだ景観を楽しめます。 園内には約700種の植物を植栽。春の部はウメ、モモ、ミモザ、サクラ、ボタン、フジ、バラ、スイレンが。秋の部は、秋バラ、オミナエシ、フジバカマ、ススキ、モミジが見どころに。季節を感じることのできる植栽となっています(春と秋の2季営業)。 「癒やしを感じられるよう、空間演出にも配慮しました。空間と樹木との間合い、草花との高低差や遠近感に工夫し、借景を取り入れたみずみずしい空間にしています」とは、管理スタッフの言葉。そのかいもあってか「広々として気持ちがいい」「手入れが行き届いている」という来場者の声が寄せられ、年間約4万人が憩いに訪れています。 群植花壇にフジ棚、ローズガーデン…… 開花リレーを楽しみに何度でも通いたい! 4月中旬〜下旬には、約5,400ポットが植栽される、ネモフィラの群植が見頃になります。「瑠璃唐草(るりからくさ)」の別名を持つ通り、冴えたブルーの花色が魅力です。這うように茎葉を広げて密に花をつけるので、ブルーのカーペットが広がるような景色を楽しめます。 ネモフィラが咲くのとほぼ同じ時期の4月下旬〜5月上旬には、ボタンが見頃になっているので、こちらにも足を運びましょう。「花ファンタジア」の一角にあるボタン園には、約80品種、約1,000株を植栽。花弁を多数重ねる花姿はゴージャスで、赤やピンク、白などの花色が楽しめます。 5月上旬には、フジが見頃になります。樹齢10〜20年のノダフジが約30本植栽されており、つるの長さは4〜6mにも及びます。藤棚に仕立てられ、滝のように豪華に咲く姿は、見る人に感動を与えること間違いなし。池の近くに植えられているため、紫色の花が水面に映り込んで、いっそう華やかに見えます。 5月中旬〜6月中旬はバラの季節。「ローズガーデン」では約200種、1,300株のバラが爛漫と咲き誇ります。幅3m、高さ2.6mのアーチをつないで10mほど続くバラのトンネルは見どころ。花色に濃淡をつけた素晴らしいグラデーションが楽しめます。芳香を強く放つ品種を集めたエリアや、「ベルサイユのバラ」シリーズの品種を集めたエリアなど、変化に富んだ植栽にも注目を。バラの季節には音楽やダンスのショーなども楽しめる「ローズフェスタ」が開催されます。 初夏の一年草花壇やスイレンを見に行こう! 秋以降はコキアの紅葉やセージ類に注目を 5月上旬〜8月下旬には、スイレンが見頃に(7〜8月は休園)。約3,000㎡の池に3品種のスイレンが花を咲かせます。年々自然に株数や開花数が増えて、見応えのある景色をつくるようになりました。夕方になると花を閉じる性質があるので、スイレンを目当てに出かけるなら午前中がおすすめです。 ネモフィラに埋め尽くされていた花壇は模様替えされ、5月頃に夏の花々で彩られて再登場します。5品種、約4,600株の一年草をボーダー状に植栽。花色にグラデーションをつけるなどして奥行き感を強調し、広く見えるように工夫しています。 「花ファンタジア」内には、温室もありますよ! 面積は約150㎡で、多様なトロピカルプランツが植栽され、ボダイジュ、サラソウジュ、ムコウジュという仏教三大聖樹も見られます。写真は花穂を30〜60㎝下垂させて、鮮やかなエメラルドグリーンの花を咲かせるヒスイカズラ。熱帯雨林に自生し、日本の気候では屋外で育てることができず、温室でしか見られない人気の植物です。 夏に開花する一年草が植えられていたボーダー状の花壇は、再び模様替えをして秋に向けてコキアが群植されます。10月中旬〜下旬には、グリーンのモコモコ姿から紅葉して輝くような赤色へと変化。晴れた日の青空とのコントラストも美しいものです。同じ頃にはバラ園の秋バラも楽しめますよ! 10月中旬〜11月中旬には、メキシカンブッシュセージが見頃になります。約100㎡に約300株が植栽されており、紫色の花穂をいくつもスラリと伸ばして咲く姿がダイナミック。メキシカンブッシュセージを背景に、訪れた記念の写真撮影をしましょう! ガーデン雑貨や地元名産品のショッピングを楽しもう カジュアルなレストランも人気のスポット 園内には土産物売り場もあるので、ぜひ立ち寄りを。地元名産品やローズグッズ、鉢花、園芸グッズなどが揃います。人気アイテムは、おせんべい324円〜、ローズ柄のクリアファイル275円〜など。 温室の2階にはレストランがあるので、ランチや休憩にどうぞ。営業時間は11:00〜16:00(ラストオーダー15:30、11月〜2月11日は30分閉店時間繰り上げ)、ランチタイムは11:00〜14:00。人気メニューはオムライス880円、季節のカレー880円、海老フライ1050円。ドリンクはハーブティー400円、ドリンクバー350円です。
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花の庭巡りならここ! ダイナミックな欧風噴水庭園は必見「神戸市立須磨離宮公園」
上皇陛下ご成婚を機に整備された庭園 「王侯貴族のバラ園」が見どころ 「神戸市立須磨離宮公園」は、かつての皇室の別荘「武庫離宮」の跡地につくられた都市公園です。1958年に、当時皇太子だった上皇陛下ご成婚の記念事業として整備が始まり、1967年に正式に開園しました。メイン施設や噴水広場のある「本園」は17.8ヘクタール、「植物園」は5.2ヘクタールで、ゆっくり散策して2時間くらいかかる規模です。 「本園」のデザインを手がけたのは神戸大学工学部で、水をモチーフにした美しい欧風噴水庭園となっています。レストハウスから湧き出た水はメインフォールの滝、カスケードの流れとなって公園中央をストレートにつなぐ水路につながり、最終的に大噴水にたどり着きます。その水路に沿って左右対称にバラが植栽されているのが、「王侯貴族のバラ園」。ここは「神戸市立須磨離宮公園」のメインガーデンで、約180種、4,000株のバラによって豊かに彩られます。本園には、ほかに「つばき園」、「花しょうぶ園」もあります。 一方、「植物園」には、観賞温室や和庭園があるほか、洋風庭園の「花の庭園」、「梅園」、「ぼたん園」、「あじさい園」、「もみじ道」などがあります。園内は、いつ訪れても何かしらの花が見頃を迎えるように、開花リレーでつながれているので、年に何度も訪れるリピーターが多いのが特徴です。 「神戸市立須磨離宮公園」では、毎月さまざまなイベントが開催されており、園内ガイドや蝶の観察会、クラフト体験、ツリーイング、ヨガ、コンサートなどコンテンツも多様なので、事前にホームページをチェックして出かけてみましょう。オススメは「バラ年間管理コース ローズ★Grower」で、年2回の講義をもとに屋外で1年間、全10回の実習を重ねる、バラの育て方の講習会です。事前申し込みが必要で、申し込み順で定員は20名。参加費は無料です。バラのプロフェッショナルに直に教われば、栽培テクニックが確実に上がりそう。ガーデナー仲間も増えるかもしれませんね。ぜひご参加を! 5月中旬〜下旬と10月下旬~11月がバラ園の見頃 煙るように咲く4,000株のバラを堪能! 「本園」エリアの一番の見どころは「王侯貴族のバラ園」。見頃は5月中旬で、約180種、4,000株が植栽されています。旧離宮の跡地という歴史にちなみ、日本の皇室や王侯貴族、芸術家などの名がつけられたバラがコレクションされています。縦長に続く噴水の水路を中心に、左右シンメトリーに展開。手前の赤バラはイタリア語で「乾杯」を意味する‘チン・チン’、奥のオベリスク仕立ては‘ドルトムント’で、赤バラの美しいコーナーです。 「世界バラ会議」で殿堂入りした品種17点を集めた「世界殿堂入りバラ園」や、原種からオールドローズ、モダンローズまで品種の進化の過程が分かる「バラの歴史と文化園」もあります。四季咲きの祖コウシンバラや黄バラの祖ロサ・フェティダなど、品種改良のカギとなったバラのコレクションも必見です。写真はローズフェスティバル期間中の日曜に開催されるバラガイドの様子。予約は不要で、10:30〜と13:30〜の一日2回、30分ほどを目安に、バラ園をガイドしてくれます。 もちろんバラだけじゃない! 「神戸市立須磨離宮公園」の彩り豊かな四季 「神戸市立須磨離宮公園」の梅園では、1月上旬から早咲きの品種‘玉牡丹’、‘八重寒紅’が咲き始めます。1,500㎡の園地に約20種、160本の梅が植栽されており、見頃は2〜3月上旬。足元にな菜の花も咲いて、春の到来に心浮き立つ気分になりそう。2月上旬〜下旬には、梅見会とお茶会が開催されます。3月上旬には、1本の木に紅白2色の花をつける、人気の品種‘思いのまま’が咲き始めますよ! 写真は「花の庭園」エリア。バラや宿根草、一年草が混植され、一年を通して華やかな花壇をつくっています。毎年テーマを設けており、2019年は「3つのアイ」。驚くほど目を引く花の「Eye」、可愛らしく楽しい花の「Love(愛)」、須磨の海をイメージさせる青い花の「藍」です。写真は5月頃で、カラフルに目を引く一角です。 「植物園」にある「ぼたん園」の見頃は4月中旬~下旬で、約40種、200株のボタンを植栽。開花期間は1週間ほどですが、早咲きから遅咲きまでバランスよく集められているので、品種ごとに開花リレーをして、長く観賞できます。幾重にも花弁を重ねるゴージャスな咲き姿に、うっとりと見入ってしまいそうです。 「本園」の南東にある、「花しょうぶ園」には約60品種、4,000株が植栽されています。見頃は5月中旬頃。古種も揃い、伊勢系、江戸系、肥後系など系統別に植栽されています。黄系の種間交配種や外国種も見られるほか、平安時代から月見の名所とされてきたことから、『源氏物語』にちなんだ名を持つ品種、‘明石’、‘葵の上’、‘光源氏’なども見られますよ! 11月下旬〜12月上旬は、紅葉の季節。植物園内の「もみじ道」や「もみじ滝」、「和庭園」の散策がおすすめです。イロハモミジを中心とした紅葉の美しい落葉樹は、園内に約600本が植栽されています。 同じ時期には、温室で「秋の洋らん展」が開催されるので、ぜひこちらにも足を運んでみましょう。約200鉢が展示され、甘い香りで満たされます。 眺望のよいレストランでランチやティータイムを カジュアルなカフェスタンドも大人気! 公園を一望できる位置に、レストラン「ガーデンパタジェ 須磨離宮」があるので、庭園を眺めながらのランチやお茶はいかが。モーニング9:30〜11:00、ランチ11:00〜15:00、カフェ11:00〜16:15(L.O.)、木曜定休。ランチメニューは自家製手ごねハンバーグ1,800円、淡路の生パスタ自家製ミートソース1,300円、自家製キーマカレー1,200円、キッズランチ700円など多様です。 ※レストランのご利用は別途入園料が必要です。 写真は、「ガーデンパタジェ 須磨離宮」の人気メニュー、十勝産の小麦と醗酵麹を生地に用いたバブルワッフル プレーン(蜂蜜とバター)、ドリンクつき600円です。トッピングも選べて、チョコナッツ、抹茶ジャポネ各900円、サンシャインオレンジ950円、ベリーベリーベリー1,000円もあります。 また、レストランでは園内で採れたハチミツ「Rikyu Honey」(110g1,200円、170g1,800円)も販売していますよ! 「ガーデンパタジェ 須磨離宮」からの出店、テイクアウトスタイルの「Garden Table」も大人気。土・日曜、祝日のみ、11:00〜16:00の営業です。ビーフパイ500円(チーズ入り600円)、ソフトクリーム(バニラ、ベリー、バラとラズベリー)400円。コーヒー、マンゴーラムネ、洋ナシラムネなどの飲み物も販売しています。 Information 神戸市立須磨離宮公園 所在地:兵庫県神戸市須磨区東須磨1-1 TEL:078-732-6688 https://www.kobe-park.or.jp/rikyu/ アクセス:公共交通機関/山陽電車「月見山駅」、「須磨寺駅」、「東須磨駅」から徒歩10分 JR・山陽「須磨駅」から市バス「妙法寺駅行(75系統)」「離宮公園前」下車すぐ 市営地下鉄「妙法寺駅」から市バス「須磨一の谷行(75系統)」「高倉台南口」下車南へすぐ 車/姫路方面からは第二神明「須磨インター」おりてすぐ 大阪方面からは阪神高速「月見山インター」おりて約1,200m 休園日:木曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日) ※イベント時の臨時開園、夜間開園あり。 開園時間:9時~17時(入園は16時30分まで) 料金:15歳以上(中学生を除く)400円、小・中学生200円 駐車場:300台(乗用車1回500円、二輪車1回100円) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/