うえの・さゆき/北海道旭川にある「上野ファーム」のガーデナー。大学卒業後、アパレル会社に勤務し、園芸を学ぶため退社して渡英。2001年から実家である「上野ファーム」で庭づくりを始め、旭川ではいち早くオープンガーデンをスタート。2008年に放送されたTVドラマの舞台となった富良野の「風のガーデン」や「大雪 森のガーデン」の植栽デザインのほか、全国で講演会・トークショーなども行う。二男の母。
上野砂由紀 -ガーデナー-
うえの・さゆき/北海道旭川にある「上野ファーム」のガーデナー。大学卒業後、アパレル会社に勤務し、園芸を学ぶため退社して渡英。2001年から実家である「上野ファーム」で庭づくりを始め、旭川ではいち早くオープンガーデンをスタート。2008年に放送されたTVドラマの舞台となった富良野の「風のガーデン」や「大雪 森のガーデン」の植栽デザインのほか、全国で講演会・トークショーなども行う。二男の母。
上野砂由紀 -ガーデナー-の記事
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上野ファームの庭便り「鮮やかな夏を彩る、エキナセアの世界」
夏の庭に欠かせない主役花、エキナセア 強い日差しにも負けず、上野ファームの夏の庭をいつも元気に彩ってくれる植物はいろいろありますが、その中でもエキナセアは、夏の主役ともいえるくらい華やかで鮮やか。上野ファームの夏の庭には、もはや欠かせない存在です。 夏から秋の終わり近くまで咲き続ける開花期の長さも魅力です。多少の雨であれば倒れることも少なく、病害虫にも強いので、庭づくりを始めたばかりの方でも気軽に植えられる、オススメ植物です。エキナセアと聞くと、ピンクのイメージですが、最近では、黄色やオレンジなどの色のバリエーションも増えて、八重咲き品種などもあり、さまざまな植物との組み合わせを楽しめるようになりました。 以前は、エキナセアは“背が高くて使いにくい”というイメージをもっていた方も多かったようですが、最近では、背の低い品種が多く登場しているので、いろいろな草丈が選べるようになりました。ひざ下くらいの草丈であれば、倒れにくく庭でも場所を取らずにコンパクトに楽しめます。エキナセアは、数年育ててもそれほど株が大きくなる植物ではないので、ボリューム感を出したい場合は同じ品種を数株まとめて植えると、こんもりしたボリュームでより華やかなコーナーをつくることができます。 白のエキナセア‘ベイビーホワイトスワン’と組み合わせた優しいブルーのアスター。夏こそ鮮やかな色でまとめたほうが、強い日差しに負けません。 濃い色は使いにくいと思われがちですが、ちょっとした庭の差し色としてビビッドな色をピンポイントで使うと、ガーデンにスパイスが入ったように引き締まります。 ダイナミックな群植を楽しむ 限られたスペースの庭に植えるときは、コンパクトにまとまるような品種を選びますが、上野ファームでは、エキナセアの色の迫力をより魅力的に見せるために、群れで咲くようなイメージで植栽している場所もあります。いつも見慣れているシンプルなエキナセアも、組み合わせやボリューム次第で新しい表情が生まれます。 ピンクとも相性がいい、ブルーのエリンジウムやアリウムをパレットの絵の具のように混ぜ合わせて。エキナセアの背景に見えるピンクの花はフィリペンデュラ‘マグニフィカ’。 白とピンクのエキナセアの間に、オーナメンタルグラスを入れることで、より花の輪郭がはっきりします。濃い色合い同士の組み合わせも、間にグラスを入れることで庭の表情が柔らかになります。 よりナチュラルに楽しむ 派手な組み合わせだけでなく、オーナメンタルグラスと合わせて、草原の中の野草のようなイメージで表現することができるのもエキナセアの魅力です。シンプルな組み合わせでも、エキナセアは十分に魅力を発揮します。 オーナメンタルグラスから透けて見えるエキナセアも風情があります。 オミナエシとグラスのシンプルな組み合わせ。素朴な花と一緒に合わせてもなじみます。夏も終わりに近づくと、エキナセアの鮮やかな色が次第に抜けて色あせてきますが、アンティークカラーに変化してゆく様子もとても魅力的に見えます。花が終わって秋にシードヘッド(タネの頭)になった姿もまた違った魅力があるので、ぜひ最後まで楽しみ尽くしてみてください。 シードヘッドだけになったエキナセア。最後は色ではなく、形としてドライフラワーのように楽しむ観賞にもエキナセアは向いています。 ボーダーでも彩りを添えてくれる、エキナセア‘ピンクダブルデライト’(手前)。淡いピンクのソープワートと一緒に爽やかに。 夏の庭を華やかにも、ナチュラルにも自在な表現で使える植物はなかなかありません、魅力的なエキナセアの新しい世界、ぜひ皆様もお庭で楽しんでみてください。 北海道の夏の庭の本番はこれからです。夏も途切れることなくさまざまな花がボリュームいっぱいに咲く北国の庭に、ぜひ遊びにいらしてください。 夏から秋も魅力がいっぱいの「北海道ガーデン街道」もチェックを!
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ガーデン&ショップ
上野ファームの庭便り「バラも宿根草も! 思いっきり楽しむ夏の庭」
バラが咲く華やかなシーズンが到来 いよいよ北海道もバラのシーズンに入りました。バラを主役とした庭園は、全国にたくさんありますが、上野ファームの庭は、バラだけが主役ではなく、宿根草の中にバラが混じって咲いているような雰囲気です。バラと同じ時期から最盛期を迎える宿根草もたくさんあるので、すべての花が美しく咲き誇り、どの花も主役といえるくらい華やかなシーズンが、バラの咲く季節なのです。 大きな葉やボリュームのある花に埋まりそうになりながら、上野ファームのバラたちは、宿根草の隙間から私が主役といわんばかりに顔を出し、たくましく開花しています。いろいろな草花と一緒に咲くバラたちはとても素敵です。 周囲の植物によって表情が変わるバラ バラは一輪でも十分美しい花だと思いますが、共演させる花たちによって表情がまた違ってくるように思います。周りをどんな役者で囲むかによって、バラの雰囲気も変わるのだと思います。静かな小花と合わせたり、時には大輪のシャクヤクと競わせたりと、どんな植物と一緒に咲かせると面白いのか。いろいろと考えながら、あまりルールにはとらわれずに、バラと宿根草の庭づくりを楽しんでいます。 華やかなバラは、シンプルで素朴な野草とも実は相性がいいのです。野草とバラと聞くと、ちょっとアンバランスな気もしますが、その土地の植物と合わせて咲くバラも、オリジナリティーのある地域性が出て魅力的だと思っています。 大型の植物とバラのコンビネーション ボリュームある小さな花の塊とバラは、どちらの魅力もより引き立て合いながら、とてもよい関係をつくることができます。大型の植物を近くに植えることは、バラにとっては日陰をつくることになるので、あまりよくないとは分かっているのですが、上野ファームでは思い切って大きな植物を背景にもってくることもよくあります。豪華なバラと相まってダイナミックな植栽となり、それもまた楽しいシーンとなります。 例えば、サークルボーダーのホワイトエリアでは、2m近くになる大きなレースフラワーのような、バレリアナ・オフィシナリスを背景に、白いバラが重なるように見えて、とても素敵なイメージになります。 手前にはジギタリス、背後には大きなバーバスカムでバラを挟むように植栽しました。尖った雰囲気の植物は、丸い顔のバラととても相性がいいのです。また、写真では見えませんが、バラの後ろには細い園路があり、バラの背景に見えている植物は実は離れた場所に植わっています。こうした環境ならば、バラの背景に大きな植物をもってくることが可能です。見る角度や位置によって、バラの背景に何が見えるのかを考えながら植物を選ぶのは、とても楽しいことです。 上野ファームのバラは7月から見頃に 北海道はこれからがバラのベストシーズン。バラが咲き終わると今度は盛夏の花たちが一斉に開花を始めます。夏の間も途切れることなく、のびのびと花咲く植物が楽しめる北国の庭に、ぜひ遊びにいらしてください。 美しいバラと合わせて、さまざまな庭を楽しめる「北海道ガーデン街道」もチェックを!
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ストーリー
上野ファームの庭便り「“サプライズプランツ”を植えてみよう」
“サプライズプランツ”って何だと思いますか? パーティーなどで、予想できないようなことを演出して人を驚かせることを「サプライズ・パーティー」などといいますが、私はガーデンにもサプライズの気持ちが大切だと思っています。だから、見る人を驚かせ、より植物に興味を持っていただいたり、楽しんでもらえるような植物を植えることが、とても好きです。 植物は、花がきれいなだけではなく、大きくてびっくりするものや、色や形に驚くもの、成長の過程に驚くものなど、特徴があることを切り口に探してみると、いろいろなサプライズを見つけることができます。 驚きと興味でガーデンをもっと面白い場所に 美しい花たちの中に、ポツリと1株、明らかに他の植物と雰囲気が違う植物が混ざっていると、そこには驚きと興味が沸き上がります。私はそんな植物のことを勝手に“サプライズプランツ”と考えて植えています。 どんな植物に驚いてもらえるかは、見る人の感性や感覚でさまざまですが、植栽デザインを考える時に、全部がきれい過ぎるよりも、「こんな所にいきなりこれが出てきたら、びっくりするだろうな〜」とか、「こんな形は不思議がるだろうな」など、見る側の気持ちを想像しながら、楽しんでもらえそうな植物もいくつかセレクトして植え込んでいます。 サプライズだからといって、驚くような植物ばかりを集めても、個々が目立つことがなくなってしまいます。そこはあくまでも、サプライズプランツはさりげなく入れるほうが効果的です。ガーデンの植物を見ているお客様から、「何これー」「面白い!」「びっくり~」という声が聞こえてくれば、サプライズは大成功です。 植物の面白さは、いろんな表現から広げていくことができると実感します。美しい花だけでつくるガーデンももちろん素敵ですが、何年も植物を育てていると、たまには味の変わったものが食べたくなるのと一緒で、ちょっと個性のある植物を庭に連れてきたくなってくるものです。 どんなことでその植物に驚きを感じてもらえるようにするかは、いろいろな方法が考えられます。例えば、育てるのが難しい植物に挑戦して咲かせてみたり、珍品といわれるような植物をさりげなく取り入れたりします。または、見る人が驚くような巨大な植物を大胆に使って、植えた自分すらも驚かされるような植物に出合うと気持ちがワクワクして、早く庭で育てていろんな人に同じような驚きを感じてほしくなるはずです。 ガーデンの中にいきなり現れるアスパラガスは、食用ではなくて、あくまでも大きくなった実がついた状態が面白いので、デザインの一つとして植えています。見る人は「これアスパラじゃない?」と、ガーデンという意外な場所で、食卓で馴染みがあるアスパラガスを見つけてびっくりします。 まだまだあります! 上野ファームの“サプライズプランツ”をご紹介 コスモス‘カップケーキ’ 花びらがすべてつながってカップ状になっている姿を不思議に思う人が多数。いつも見慣れた花でも、ちょっと雰囲気が違うとそれは驚きに変化。 エレムルス(別名フォックステールリリー) 知られているようで、まだまだ知らない人も多いエレムルス。別名フォックステールリリーとも呼ばれていて、その名の通りキツネのシッポのような花姿が特徴。 2mを超える草丈で、スラリとした花が開花すると必ず名前を聞かれます。咲いた時に、いろんな人が驚いて喜んでくれる植物の一つ。 ジギタリス‘モンストローサ’ 一番先端の花だけが、大きなラッパのように開花する面白い表情を持つジギタリス‘モンストローサ’。通常のものとは違う不思議な姿に面白がる人続出でした。 蓮の花 本州ではよく見かける蓮の花は、北海道では寒さのため育ちにくいと思われているため、立派な花を見る機会が少ないことから、上野ファームのサプライズプランツに。大輪の花が庭の池で咲くと、とても驚いて喜んでもらえる花です。うまく越冬できるように栽培して、その地域での生育が難しい植物を咲かせることが驚きにつながることもあります。 アリウム‘レッドモヒカン’のつぼみと開花 エゾクガイソウを背景に、不思議な球体が浮いているように見える個性派のアリウム‘レッドモヒカン’。咲く前から、不思議なつぼみの形が見る人を驚かせて、いったいどんな花が咲くのかドキドキさせています。成長の過程にも個性があって、植物同士の組み合わせの意外さを考えることもサプライズプランツの楽しみ方です。 ぜひ皆さんも、ちょっと庭にもう一味加えてみたい時は、自分なりの感覚で見つけた“サプライズプランツ”をガーデンに取り入れてみてください。見に来てくれた人が、自分の予想通り「びっくりしていた!」「面白がってくれた!」という気持ちが、さらに楽しい庭づくりの意欲へとつながると思います。 上野ファームでは、ここではご紹介しきれなかったサプライズプランツが、今年もたくさんガーデンにて待機中です。上野ファームのサプライズプランツにも会いに来てくださいね。
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ガーデン&ショップ
上野ファームの庭便り「美しいグリーンガーデンの季節」
花が咲き出す直前のフレッシュグリーンは、この季節ならではの見どころ にぎやかな春の球根が一段落すると、上野ファームの庭は、フレッシュな葉を広げる植物たちがつくりだす、美しい緑の世界になります。宿根草が多い上野ファームは、すぐに花で埋め尽くされるガーデンというよりも、美しい緑のキャンパスに毎日一色ずつ色をつけていくように、ゆっくりと開花が進みます。徐々に開花する花で庭全体を描くように、色数が増えていきます。 春から秋までに「どんな葉が展開するか」も観察ポイント 彩りあふれる花がいっぱいの季節も素敵なのですが、開花を待つ植物たちがつくりだす、静かな緑の期間が私はとても好きです。開花後は葉の色も落ちてきてしまうことが多いのですが、花が咲く前の緑は、どの植物も勢いがあり、とても美しいのです。 葉の美しさや形状に思わず惚れ込んだ植物も 私は植える植物を選ぶ時、花の魅力以外に、その植物がもつ葉の美しさや形状に惚れ込んで植えることもよくあります。季節を迎えて咲く宿根草の場合、花の開花期はそれほど長いものではありません。長くても見頃は1カ月ほど、短いものなら10日ほどで見頃が終わってしまう花もたくさんあります。 そう考えるとシーズンの半分以上は花よりも葉を見る期間が長いので、春から秋までどんな葉が展開するのかをじっくりと観察することも、デザインにおいてはとても重要なこと。そのため、みずみずしい緑いっぱいの初夏は、私にとってわくわくする時期でもあるのです。 庭の美しさには、緑と花のバランスが大切 緑の中から鮮やかなアリウムが浮遊するように開花し始めると、美しい緑があるからこそ花がきれいに見えるということに、改めて気づかされます。緑のバランスが庭づくりにおいて、とても大切だということがよく分かります。 西洋オダマキやゲラニウムなど緑を背景にすることで、魅力が引き立つ初夏の花はいろいろとあります。黄緑の葉と黄色の花が美しいアルケミラ・モリスも、葉がとても美しい植物の一つです。 花が咲く前の植物がもつ葉だけの美しさに気づくと、ますますガーデンを見ることが楽しくなると思います。「どんな花が咲くのかな」、「どこからつぼみが出てくるのかな」など、想像を広げながら植物を観察することがとても大切なので、ガーデナーにとってはどの時期でも植物から学ぶことは山のようにあります。 緑のキャンバスに少しずつ花の色が増えていくガーデン 花咲く前のミラーボーダーの様子です。美しい緑のグラデーションだけを楽しむ「グリーンガーデン」というジャンルや楽しみ方があってもいいくらい。植物の豊かな表情は花咲く前から十分楽しめます。この緑のキャンバスにさまざまな色をつけて描くと、下写真のように夏にはこんな絵に仕上がっていきます。 一色一色、日に日に増えていき、にぎやかな色で華やぐ夏の庭へ。 黄金色の葉をもつ花咲く前のアガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’。緑と黄緑の組み合わせがとてもきれいでした。葉の美しさを生かした組み合わせもいろいろと研究中です。 北国ならではの美しい新緑の季節は、いよいよこれからです。緑あふれるガーデンに今日も新しい色が描かれています。
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観光ガーデン
上野ファームの庭便り「ポップカラーを楽しむ春の庭」
庭の主役は元気をくれる“ポップカラー” 静かな新緑につつまれた早春の庭が、一気に明るくにぎやかに変わる瞬間は、チューリップなどの球根植物が咲き始める時です。次々と開花を始める明るい色のスイセンやチューリップを見ていると、気分も明るくなります。球根シーズンはビビッドな色彩で、はずむようなポップカラーが主役です。以前はガーデン内にスイセンやチューリップをあまり植えていなかったのですが、ここ数年スイセンやチューリップの種類を積極的に増やして春のガーデンを楽しんでいます。球根の魅力を知れば知るほど、使い方によって表現も大きく広がる球根植物の力に気づかされます。 バリエーションが多い球根花たち スイセンやチューリップは、カタログを見ているだけでも驚くほどの種類と花色があります。あまりにも素敵なものばかりなので、選びきれずいつも悩まされます。スイセンは、昔のイメージだとラッパズイセンのような花形を想像しますが、今はスイセンとは思えない華やかな八重咲きや、フリルがかる花びらまであり、形もさまざまです。 チューリップはさらに種類が豊富で、白や紫、黄色、赤、ピンク、オレンジなど、一つの植物でここまで多彩な色を選べる植物というのはなかなかないように思います。さらにフリンジ咲きやユリ咲き、八重咲きなど、咲き方の個性も魅力的です。 彩り豊かな春を楽しもう! 球根のよいところは、庭づくりや寄せ植えの初心者さんでも、秋にしっかりとした球根を植えるだけで翌年必ずきれいな花が見られるということです。球根を植え替えて、毎年違ったカラーテーマや組み合わせを楽しむのも面白いですよ。色の組み合わせ方次第で、春の庭の印象は大きく変わります。部屋の模様替えをするように、気軽にいろいろな球根を庭に取り入れて、彩り豊かな春を楽しんでください。 植え方や色使いで多彩に広がる球根の世界 芝生にスイセンと原種系チューリップを植えれば、ナチュラルな雰囲気に。派手な色合いのチューリップでも、緑の中にランダムに配置すると自然な雰囲気がつくれます。 上野ファームの球根の植え方 1カ所にまとめて植えるのではなく、宿根草の株と株の間に1球から5球ほどの球根をランダムに配置していきます。 宿根草の間から、チューリップが湧き出るように開花します。黒と紫と白で落ち着いたトーンの組み合わせに。チューリップの花が終わる頃には、ちょうど宿根草が伸び始めて開花後のチューリップは見えなくなります。 新刊『上野ファームに学ぶアイデアBook』発売中 2016年に敷地内にグランドオープンした新エリア「ノームの庭」の紹介をはじめ、北国ならではの植栽と上野ファームの美しい写真を多数収録した新刊『上野ファームに学ぶアイデアBook』が2018年3月に発売されました。庭のデザインから施工・メンテまで関わってきた富良野の「風のガーデン」は、進化を続けながら2018年で10周年。これまでの庭づくりへの思いなどをつづった書下ろしコラムや、「上野ファーム」で咲く230品種の草花図鑑など、「上野ファーム」の最新情報がいっぱい詰まった一冊です。
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観光ガーデン
上野ファームの庭便り「大地が歌う 早春の庭」
北国の雪解けと春の日差し 北国の長い冬が終わりを告げてようやく雪がとけると、雪の下で眠っていた植物たちが待っていました! といわんばかりに一斉に芽吹き始めます。私が植物たちの偉大なるエネルギーを一番感じるのは春です。特に早春の花たちは、最も力強く柔らかい春の日差しを浴びて、数日間でアッという間に伸びてきます。 北国は常緑の植物が少ないため、雪解け直後の庭には緑はほとんどなく寂しげに見えますが、たった数週間で緑に覆われます。これほどの芽吹きの変化を目の前で感じられるのは、雪国のガーデナーだけではないでしょうか。 春一番に咲くのは、スノードロップ 上野ファームで一番初めに咲き出すのがスノードロップやセツブンソウ、特にスノードロップは雪の中からつぼみをもって咲いています。開花時期に雪が降ることもあるのですが、そんなことはまったく気にせず、純白の花を庭で光らせています。 雪解け直後の庭は、さまざまな植物の芽が出てくるので、それを一つひとつ確認していきます。芽が出た瞬間に、これは何か分かるようになれば、ベテランガーデナーの証。イントロクイズのように、植物の名前を頭に思い浮かべながら、各々の今年の健康状態をガーデナーはチェックしていくのです。 花の季節をイメージして庭をパトロール いつも出ている場所に植物の姿が見えないときは、根腐れや寒さなどでダメになったことも考えられるので、その後の植え替え計画を、この時期ある程度考えておきます。また、ひと冬越えることで株が増える植物もあるので、芽の数を見て増え具合も瞬時にチェックします。 増えすぎているものは、花芽が動く前に株分けを行うこともあります。この時期はいろんな意味で、庭の状態を把握しやすいとても大切な時期なので、ガーデン全体の様子をくまなく見て歩きます。そうすることで、今年一年のガーデンのイメージが、花の季節がくる前に頭の中で広がっていくのです。 小球根の開花は春の歌のよう 新緑がガーデン全体に広がり始めると、足元で咲く愛らしい小球根たちの開花が始まり、色がなかった大地が春を喜び、まるで歌うように色づき始めます。ここ数年かけて早春の花たちを意識して増やしていることもあり、春の魅力的な植物は探せば探すほどたくさんあることに気づかされます。 ガーデンで咲く花がまだ少ないからこそ、とても色が新鮮で美しく見えるのも春の花の特徴です。目が覚めるような鮮やかさを持つ雪割草や、まるでコートを羽織るような面白い咲き方をする純白のカナダケシも最近仲間入りしたお気に入りの植物です。 小球根が輝き咲く「宝石の小道」 セツブンソウが終わるころから、さらに美しくなるのが、春の庭の主役ともいえる華やかなクリスマスローズや北海道ならではの野草たちです。さらにここ数年、ガーデンで人気の花が、スイセンやチューリップよりも一足早く咲く小球根。チオノドクサ、プスキニア、シラー、原種系チューリップなど、足元で咲く小さな宝石のような植物たちをガーデン全体にちりばめて、可愛らしい春を感じられるように魅力的な春植栽も研究中です。 まだまだ寒さが残る北海道の春。雪が降っても美しい花を保つエネルギーのあるカタクリやエゾエンゴサクは、北海道の春を象徴する野草です。 春になると、いたるところで柔らかい黄緑の葉を広げるフキノトウ。北海道のものは特に大きいと本州の人からよく驚かれます。 華やかなドレスのようなクリスマスローズは、早春の花たちと合わせると、さらに豪華な雰囲気を漂わせます。 春を待っているのは植物だけではありません。「上野ファーム」の動物たちにとっても虫が動き出してうれしい季節です。 庭のあちこちで、植物たちのエネルギーを感じることができる春。早春ならではの植物を庭植えや鉢植えでいち早く咲かせ、ガーデンシーズンの幕開けを楽しみませんか。
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ストーリー
上野ファームの庭便り「子どもと一緒に楽しくつくる簡単スノーランタン」
一面銀世界の北海道の冬 外に出ても雪しかない北海道の冬。大人は暖かい家の中でゆっくりしたいところですが、子どもたちは、どんなに寒くても外に飛び出て雪だるまをつくったり、ソリ滑りをして冬の間も楽しんでいます。草などが生い茂って、歩ける場所が限られる夏に比べて、冬は一面が雪に覆われるので歩きやすく、家の周りすべてがプレイグラウンドになるのです。今回は、家族みんなで楽しめる雪遊びをご紹介します。 簡単スノーランタンづくり 準備するものは、小さめのバケツと一升瓶や直径15㎝ほどの筒、水、キャンドル、雪。 はじめに、バケツの中央に瓶や筒を置きます。その周りに雪をバケツギリギリまでたたいて固めながら詰めていきます。最後に全体に水をかけます。水をかけた後もしっかり押して固くしてください。最後の仕上げが柔らかすぎると、すぐに形がくずれてしまうので、小さな子どもがつくる場合、最後は大人がしっかり固めてあげたほうが失敗がありません。 雪がしっかりとバケツの中に詰まったら、瓶(筒)を抜いて、バケツをひっくり返します。瓶を入れていた中央部分に穴があいて、雪のドーナツのような形ができ上がり! スノーランタンはこれで完成。とても簡単ですよ。雪遊びをしているような感覚で、アッという間に完成します。バケツ以外のもので挑戦しても楽しいですね。 最後は、中央にキャンドルを入れたら完成! キャンドルは熱を持つと傾いたりするので、小さな板のようなものをベースにして、その上にキャンドルを置くと、さらに安定します。ろうそくに火をつけると、やさしい光のすてきなスノーランタンに。雪の壁があるので、多少の風では消えません。 たくさんつくって並べると、とても幻想的な雰囲気になります。仕上げに水をかけているので、寒い地域は一晩経つと、さらに強度も増して長持ちします。砂遊びのように雪を固めて夜も明かりとして楽しめれば、子どもたちは大興奮間違いなし。雪さえあれば誰にでも簡単にできるスノーランタン。雪が積もったら、ぜひご家族でつくってみてください。 雪をキャンバスにして楽しむ もう一つオススメの雪遊びをご紹介します。真っ白な雪のキャンバスに、歩きながら足跡で絵を描く、壮大なお絵かきです。 やり方は簡単。雪が積もった平らな場所に、絵を思い浮かべて描くように歩きます。自宅だけでなく、公園や空き地、もちろん庭などでもできる遊びです。ゲーム感覚も加えて、例えば「大人の足跡を絶対にはみ出さないように歩こう!」というルールを提案すると、子どもたちは喜んでついてきます。たどった足跡が、最後は絵になっていることに気づくと、子どもたちはさらに大喜び! 植物スタンブ 子どもたち自身が思いつきで庭で楽しんでいたのが、木の枝スタンプです。枝や落ち葉などを雪の上に押しつけると、面白い植物アートになります。 さらに手形、足形をつけると面白い形に。想像はいろいろと広がります。 雪しかないから、雪で楽しむ。ガーデンもまだしばらくは雪に覆われていますが、寒い地域だからこそ楽しめる庭遊びを、子どもたちと一緒に考えながら楽しみたいと思います。
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ストーリー
上野ファームの庭便り「北国だからこそつくれる超簡単“雪あかり”」
日中の最高気温といえども、マイナスが続く北海道の冬。毎日降り続ける雪と除雪作業の繰り返しで大変な日もありますが、この寒さと雪が心を温めるシーンをつくってくれます。厳しい寒さが続く雪国でしかつくれない、とっても簡単な風船アイスキャンドルのつくり方をご紹介しましょう。準備するものは、とってもシンプル! 風船とヒモと水だけ! まず最初に、風船に水を入れます。大きさは好みですが、あまり小さいとキャンドルやライトが入りにくくなるので、少し大きめにつくります。風船の口を縛るときに、吊り下げるために使う紐も一緒に巻き込みながら縛ります。 作り方プロセス1 美しい形にするために、水を入れた後、しっかりと中の空気を抜いてから縛ってください。 カラフルな水風船は、つくるときから雪に映えます。 作り方プロセス2 水が入っているだけの風船ですが、数個吊り下げただけでもかなりの重量になるので、しっかり支えられる場所に吊るします(上野ファームでは、ビニールハウスの骨組みに吊るしています)。 作り方プロセス3 ここで大切なポイントは、2個セットでくっつくように縛って吊るすことです。風船同士をくっつけておくことで、そこだけ温度が下がりにくく、中の水が凍りにくくなるのです。この後、中の水を出したときに、そこだけ自然の穴があくため、後からアイスピックなどで穴をあける必要がなくなり、その分手間が省けます。同じ高さで仲よくくっつけて吊るすのがコツです。 作り方プロセス4 ある程度、表面が凍って氷の厚みができたかなと思う頃、風船同士をくっつけていた場所をめがけて、アイスピックなど先が尖ったものを突き刺し、穴をあけて水を出します。外気温によって凍る速度は変わりますので、観察しながらお好みの氷の厚さになるまで吊るしておきましょう。夜温がマイナス20℃にもなるような日は、一日中吊り下げておくと中まで完全に凍ってしまい、キャンドルを入れる空洞がなくなるので、昼間に吊るして夜中に水を出したりしています。外気温と凍る速度を研究することも大切です。写真は、水抜きの瞬間。ちょうどくっついていたところが穴になって、凍っていない水が中から流れ出ています。 水を注ぐ前に風船に絵の具を少し入れ、水を注ぎながらよく混ぜて凍らせれば、ポップなカラーアイスキャンドルもつくれちゃいます! 出来上がったら明かりを入れよう でき上がったキャンドルに、お好みでろうそくやLEDライトを設置して完成! 寒さが厳しい日は午前中に吊るして、夜には明かりを灯すなんてことも、上野ファームではよくある冬の楽しみです。 でき上がった氷のキャンドルは、手の温かさで溶けたり、落として割らないように、ソリに乗せて運ぶのもオススメです。 電球色のLEDなら温かい雰囲気になります。クリスマスが終わったら、電飾はアイスキャンドル用として大活躍するのです。 冬の夜をアートに輝かせる雪あかり 電球の明かりだけでは表現できない、氷でできた幻想的なしずく形のアイスキャンドル。風船と水だけでできているなんて、想像できないくらいアートで可愛い明かりが、冬の長い夜を楽しくあたたかな気持ちにしてくれます。厳しい冬が続く北国の冬ですが、こんな素敵な明かりが灯ると、寒くても外に出るのが楽しみになりますよ。寒い地域にお住まいの方は、ぜひ試してみてください。
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ストーリー
上野ファームの庭便り「冬を楽しみ、冬を飾る」絵になるガーデンシーン
いよいよ本格的な冬が到来しました。北海道は早くから雪が何度も降り積もり真っ白い世界をつくりだしています。寒くて雪も多い旭川は、根雪になるのが早い年、遅い年があります。いつも雪に振り回されて仕事が思うように進まないこともしばしば……。でも、すべてのことを受け入れて、長く厳しい冬を楽しく乗り越えていくのが北国のガーデナーです。 雪とバラがつくる美しい一瞬 雪囲いが終わる前に降り積もってしまった雪は、秋遅くに開花した花に思いがけない美しさをプラスしてくれました。深紅のバラと真っ白な雪、まるで物語のワンシーンのようです。 10月から準備を進めていたのに、雪囲いがすべて終わるのを待たず大雪になることもあります。そんな時は、雪の中からバラを掘り出して、作業の続きを行います。 一年で一番忙しいのは冬。時間との勝負です 秋から冬にかけての庭作業は、一年で一番作業量が多く、天気予報とにらめっこしながらスケジュールを細かく考えていきます。でも、自然は人間の予想を大きく覆すこともしばしば。雪囲いが間に合わず大雪に見舞われて、雪からバラを掘り出しながら雪囲いをすることも、よくあります。庭仕事にはとにかく厄介な雪ではありますが、バラに真っ白な雪が降り積もる瞬間は、とても幻想的なものです。こんな瞬間に出会えるのも雪国ならではかもしれません。 雪囲いをすっかりおえたバラ、特殊なシートでバラを包んで、マイナス20℃以下になる寒風から枝を守ります。 雪のベールに包まれた庭で楽しむこと 雪が完全に降り積もると、すべてが雪のベールに包まれて緑もみえなくなり、モノトーンの世界になります。長い長い北国の冬は、毎日憂鬱に思うよりも、楽しんだほうがいい! そんな楽しい気持ちにしてくれるのが、冬の植物飾りです。ガーデンで秋に刈り取っておいた草花や実、枝はとても素敵なガーデン飾りに変身する貴重な素材です。いろいろなものを使って年ごとに飾りを作るのです。今年はどんなものをつくろう。スタッフにも協力してもらい、どんなものに仕上げようかと考えるのも楽しいものです。 ガーデンで採取してクラフトに活用する植物 雪が降る直前までガーデンに咲く花は、ドライになっても美しいものが多くあります。ドライ向きの素材は、長い期間楽しみたいリースづくりには最適な素材です。例えば、ふんわりとしたグラスや蓮の実、真っ赤なローズヒップや枯れても美しい色が残るアジサイなど、冬支度ですべての植物を刈り取る前に、素敵な素材は吟味して大切に残しておきます。天気の悪い日や雪が降る日は、庭仕事がなかなか進みませんが、そういう日こそ創作時間にあてて、上野ファームのガーデン素材を100%使用した植物飾りをつくります。 ツリバナの実を小枝に吊るすだけでも可愛いガーランドに変身します。 ドライフラワーに向きそうな素材は、刈り取ったらハウスの中で乾燥させておきます。 最後の最後まで美しい色が残る四季咲きアジサイ。美しいグラデーションがとても魅力的です。 上野ファームのガーデン素材100%でつくったリース。今年はリースづくりが得意なガーデンスタッフがそろったので、個性豊かなたくさんのリースが完成しました! 緑をベースに、バラの実やグラスの穂をあしらったり、木の実やアジサイの花をアクセントにしています。 リースは壁にかけても素敵ですが、最近人気のフライイングリースにして、カフェの天井からたくさんのリースを下げてみました! リースを飾っただけでも冬のカフェ空間ではお客さんが盛り上がります。 樹木のメンテナンスのために剪定した枝も飾りに大活用 ガーデンから採れる飾りの素材の中で、私が一番好きなものは剪定後のサンゴミズキの枝です。しなやかで鮮やかな枝が特徴のサンゴミズキは、とても成長の早い低木。思い切った剪定をしなくては、すぐに伸び過ぎて樹形が崩れるので、毎年たくさんの枝を切っています。サンゴミズキは樹皮が赤や黄色なので、真っ白な雪景色にもとても映えて、どんな飾りにも使えて重宝します。クリスマスカラーとしても素敵ですし、めでたいお正月の飾りとしても使える万能の枝なのです。近年力を入れて飾っているカフェの窓辺にも、冬のうちに剪定するさまざまな樹木をふんだんに使って飾りつけます。 プンゲンストウヒやニオイヒバ、サンゴミズキなどで窓枠を縁どるだけで、冬ならではの窓飾りに大変身! ちょっとしたことですが、植物の気配を常に感じることができる飾りは、長い冬を豊かで温かい気持ちにしてくれます。 ローズヒップと針葉樹でつくった窓飾り。部屋の中からちらりと見える葉のシルエットも素敵です。 左/カフェの窓枠に合わせるように、真っ赤なサンゴミズキの枝でアートのように。右/枝だけでもきれいなリース。サンゴミズキは柔らかくて、リースづくり以外にもさまざまなことに使えるので、剪定後の枝はすべて大切にとっておきます。 クリスマスツリーのような、お正月かざりのような……。サンゴミズキを束ねてつくったオブジェは、上野ママオリジナルのアート作品。 冬だからこそ、雪が降るからこそ、植物で楽しむ遊び心。ちょっとした小さな飾りでも、植物の気配を常に感じることができるような冬飾りは、長い冬を豊かで温かい気持ちにしてくれることでしょう。皆様も素敵な冬をお過ごしください。 サンタが上野ファームにやってきた!? 楽しい写真をとって遊べるのも、作業がひと段落した余裕がある冬の楽しみの一つ。
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ガーデン&ショップ
花好きさんの旅案内、シンガポール「ナショナル・オーキッド・ガーデン」
6万株のランに出合える場所へ 原種1,000種と交配種である洋ラン2,000種、約6万株ものランが集まる植物園「ナショナル・オーキッド・ガーデン」は、約74万㎡、東京ドーム13個分という巨大な国立植物園「シンガポール・ボタニック・ガーデン」の中にあります。オーキッド・ガーデン以外はすべて無料ということもあり、ピクニックやジョギングを楽しむ人がいて、市民の憩いの場にもなっていることが分かりました。大きな樹木に囲まれて日陰も多く、散歩気分でのんびりできます。 ナショナル・オーキッド・ガーデンの入り口では、カラフルなランがお出迎え。日本では、温室や室内で栽培環境を調整しなくては育たないランが、赤道直下のシンガポールでは、屋外で花をいっぱいつけています。地植えで花咲くランを見て、シンガポールならでは!と、まず驚かされました。 黄色のランが無数に咲くフォトスポット 園内に入り、順路に沿って歩くと現れたのは、黄花のランが満開の連続アーチです。クリアーな黄色の小花が無数に咲くこのランは、オンシジウム・ゴールデンシャワーと呼ばれ、このボタニック・ガーデンでつくられた交配種だそう。一つひとつの花をよく見ると、黄色いドレスを着たダンサーのように見えるので、「ダンシング・レディ」という別名もあるといいます。ここでしか出合えない景色の一つです。 熱帯の木々とエアプランツの散策路 さらに進むと、熱帯の木々がダイナミックに枝を伸ばし、美しい緑のグラデーションを見せるコーナーへ。枝のあちこちから枝垂れて伸びているのは、今日本でもブームのエアプランツです。カーテンのように長く伸びたエアプランツは、人気のチランジア・ウスネオイデス。オープンエアでのびのびと生きている様子は、いままで見たことがなく異世界に迷い込んだような気分になりました。美しいカラーリーフを持つ熱帯植物も多く、葉色の魅力だけでデザインされたコーナーは、色づかいなど庭づくりのヒントにもつながります。 ランのカラーバリエーションに心躍ります 熱帯の木々が生い茂る園路を歩いていると、花をいっぱい咲かせたランが次々と現れます。こんなに群生するランの姿を見るのは初めてです。一輪一輪が蝶のように見える愛らしいデンファレが無数に咲いていて、品種や株数に圧倒されます。デンファレの切り花は、シンガポールの重要な輸出品の一つですが、それは、1928年からこのオーキッド・ガーデンで交配と繁殖が行われたことが始まりだそうです。 珍しいランや著名人の名がついたランも展示 高温多湿を好むランや珍しいランがコレクションされた「タン・フーン・シアン・ミストハウス」では、ランには珍しい、青い花弁を持つバンダ・コエルレアに注目。青紫の網目模様や斑模様が魅惑的です。どの花も本当に状態がよく、ランにとって育ちやすい環境だとよく分かります。 また、「VIPオーキッド・ガーデン」では、日本の天皇陛下の名前を持つ真紅のランや雅子さまの名がついた白いラン、英国のエリザベス女王の名を持つ黄色いランや、サッチャー元首相の名のピンク色のランなどが展示されていて、世界中の有名人のランに出合うことができます。一つずつ追っているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいます。 シンガポールで子どもと一緒に花と自然に触れよう! シンガポールは国土が東京23区ほどで、移動時間があまりかからない小さな都市です。中心部を拠点にすると、タクシーで20分足らずでいろんな観光名所へ行くことができます。ご紹介のシンガポール植物園やナショナルオーキッドガーデンなど植物や自然に触れながら一緒に楽しめる場所も多く、移動も楽なので子連れ旅にもオススメです。ちょっと足を伸ばして、未来の空中庭園のような「ガーデンズバイザベイ」やジャングルのような「シンガポール動物園」など、花緑に触れながら休暇をゆったり過ごせます。初の子連れ海外旅に、ここを選ぶ人が増えているようです。