つちや・さとる/インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。
土屋 悟 -フリーライター-の記事
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園芸用品
電動用具を使って庭仕事を省力化しよう!
手入れをサボって太い枝が増えてしまったらどうすればいい? Yada goemans/shutterstock.com 庭に青々とした緑が茂るのはよいのですが、伸び放題にしておくことはできません。そのままにしておくと姿が乱れるほか、お隣の敷地にまで枝が伸びてしまってトラブルの元になることもあります。そんなことを避けるためにも、定期的な剪定は必須といえます。 比較的細い枝を剪定するだけなら片手で扱える剪定バサミを使えばよいのですが、直径3cmを超えるような太い枝を切るのは難しくなってきます。 太い枝を切るためには、上写真のような太枝切りバサミか、ノコギリが必要になります。 これも、数本であればまだよいのですが、太い枝が何本もあると、なかなか大変な作業になってしまいます。 ノコギリであれば片手で体を支えながら枝を切ることができますが、高枝切りバサミだと両手に力をかける必要があります。しかし、ちょっと高い所の枝を剪定しようとすると脚立に登らなければならないことも。高い所に登り、さらに両手を使っての力が必要な作業には不安がある、という人も多いのではないでしょうか。 しばらく手入れをしていなかったりして、旺盛に伸びてしまった枝がたくさんあると、1日では作業が終わらなかったりもします。 自分が暮らしている家の庭であれば、合間を見つけて少しずつ剪定を進めることもできますが、毎週末、剪定に掛かりっきりというわけにもいきません。また、離れた場所にある実家に行ったときに、庭仕事ができなくなった親の代わりに剪定をしたり、あるいは誰も住んでいないけれど相続で受け継いだ庭のを、たまに行って手入れするというケースもあるでしょう。限られた時間で作業を済ませなければならないけれど、手作業ではなかなか進まず、残った分は次回に持ち越し。ところが次に作業に行くまでにまた枝が伸びてしまう…なんてこともあります。 そこで、これらの問題を解決するためにおすすめしたいのが、電動用具です。 体力が落ちてきて作業に自信が無い人でも扱うことができ、人力で行うよりも素早く作業を済ませることができます。 手軽な値段で手に入るレシプロソーがおすすめ! レシプロとは「往復運動」、ソーは「ノコギリ」という意味で、その名の通り、刃が前後に往復することで切断するタイプの電動ノコギリです。 電動工具メーカー各社から発売されており、最近は4,000円台の安価な機種も登場して、買いやすくなってきています。有名メーカーから発売されているものは1万円以上しますが、その分耐久性は高いといえます。 造園業者などが頻繁に使うのであれば、多少高くても長持ちする機種を選んだほうが安心ですが、週末に使う程度であれば1万円未満の機種でも十分でしょう。 レシプロソーの選び方 レシプロソーの多くは、バッテリー電源で動くタイプです。 有線のコードで電源を得るタイプもありますが、庭の中をあちこち動き回ったり、時には脚立や木に登って作業する庭仕事では、バッテリータイプが使いやすいでしょう バッテリーや機種の説明にはさまざまな数字が書かれていますが、機種選びの際は「v」と「Ah」を基準にするとよいでしょう。 詳細な説明は省きますが「V(ボルト)」はどのくらいの電圧を出すことができるかを表した単位で、これが高いほど強いパワーを発揮することができます。 電動工具のバッテリーでは10.8V、14.4V、18Vなどの表示がされていますが、10.8Vよりも14.4Vのほうがパワーがあり、18Vのほうがさらにパワフルということになります。最近は電動工具メーカーのマキタのスティック式掃除機が人気ですが、これも電動工具と共通の充電式バッテリーを使っているため、「V」の数字が大きいほどパワフルになっています。 「Ah(アンペア時=あんぺあじ)」は、そのバッテリーがどのくらいの電力を供給できるかを示した数字です。 この数字が大きいほど、バッテリーが供給できる電力が多くなるので、長時間作業をするのであれば「Ah」の数字が大きいものを選ぶほうがよいでしょう。 「V」と「Ah」の数字が大きければ大きいほどパワフルで長時間作業ができるのであれば、いいことずくめに一見感じますが、これらの数字が大きくなるとともにバッテリーのサイズと重量も大きくなっていきます。バッテリーは用具に取り付けて使うので、これが大きく重くなればそれだけ作業もしにくくなります。 とにかく用具を軽く小さくして軽快に作業をしたいのであれば、パワーや作業時間は減りますが、バッテリーが小さい機種を選ぶといいでしょう。 長時間パワフルな用具で作業をすることを優先するのであれば、大出力、大容量のバッテリーを選ぶのがよいといえます。 また、たとえば同じ18Vのバッテリーであっても、メーカーによっては容量(Ahの数字)を何種類か発売していることがあります。容量が小さければそれだけバッテリーは小さくなりますので、小容量のバッテリーをいくつか用意して、重さは軽くしつつも長時間作業するという手もあります。 大手の電動工具メーカーでは、どこもレシプロソーを発売しているので、手持ちの充電式バッテリーに合うものを買う、というのも経済的です。 刃は交換式 レシプロソーは上の画像のような刃を本体に取り付けて使います。 上の画像の右側が刃の先端で、左側が本体への取り付け部位になります。本体への取り付け部位は規格化されていて、適合するものであればさまざまな種類の刃を取り付けることができます。 剪定用の刃のほか、金属切断用、塩化ビニール用、プラスチック用などが販売されています。繊維質が多い竹を切ることに特化した刃などもあります。 刃の取り付けはワンタッチ 上の画像中央のつまみのようなところが、刃を取り付ける部位です。 矢印の方向に回転させてゆるめ、刃を取り付けます。取り付けているときに動き始めてしまうと危険なので、安全装置を入れ、バッテリーを外して作業しましょう。 刃を取り付ける 刃を取り付けると上写真のようになります。 本体側の金具がしっかりと刃を保持していることを確認し、ぐらつくようであれば取り付け直しましょう。 安全装置とトリガーで操作 上写真の赤い○で囲んだ黒い部分が安全装置です。 刃の交換時、作業をしないときは安全装置を入れておけば、誤作動の心配がありません。そして、黄色い丸で囲んだトリガーを指で握り込むことで刃が前後に動きます。 いずれも機種によって付いている場所や形状などは異なります。また、機種によってはトリガーを少しだけ握り込むと刃がゆっくり作動し、強く(深く)握り込むとフルパワーで作動するものもあります。 レシプロソーで枝を切る 安全装置を外して、トリガーを握り込むと刃が動き始めます。 機種によって形状は異なりますが、多くのレシプロソーは片手でハンドルを握ってトリガーを操作し、もう片方の手で本体を保持できるような構造になっています。 作動している刃を枝に押し当てると、強い振動が起きるので、ハンドルを握っていないほうの手でしっかりと支えると安全に作業ができます。 上の画像のような直径3cmほどの枝であれば、ほんの数秒で切断することができます。 このくらい細い枝であれば、刃を上から入れても下から入れても切断できますが、直径5cmを超えるような枝や、長さがあって全体の重量がある枝の場合は、上から刃を入れたほうがよいでしょう。 下から刃を入れて切っていくと自重で枝が垂れ下がり、刃が挟み込まれて動かなくなってしまうことがあるので要注意です。 レシプロソーだと切ったあとが粗くなる レシプロソーの刃は、人の手でノコギリを使ったときよりも強く速く動きます。 そのため、刃のブレも大きくなり、切り口が多少荒れた感じになります。 癒合しやすいように切り口を滑らかに 切り口は剪定バサミなどで表面を削るようにすると滑らかになります。 見た目がよくなるほか、樹皮が盛り上がってきて切り口を覆い、木の中に細菌などが入りにくくなるという効果もあります。 滑らかにしたあとに、トップジンペーストやカルスメイトといった癒合剤を塗っておいてもよいでしょう。 回転ノコギリは剪定に不向き DIYが好きで回転ノコギリを持っているという人もいるかもしれませんが、剪定には向きません。 DIYで使うような回転ノコギリは、製材された木材を平らな場所で切ることを前提に作られているので、さまざまな形をしていたり、硬い樹皮に覆われていたりする生木を切るのには不向きです。 回転ノコギリは木材の節など硬いところに刃がさしかかると動きが止まってしまったり、場合によっては刃が跳ね返される「キックバック」という現象が起きます。 平らな場所などであれば対応しやすいのですが、枝の剪定など、不安定な姿勢になるシチュエーションでは非常に危険です。 また、回転ノコギリの刃は木材を切り進むにつれ広がるカバーがついていますが、枝の剪定ではこれがうまく作動しないため、手でカバーを広げないと切りたい部位に刃が当たらないケースもあります。 高速回転する刃のそばに手を持っていくことになるので、これも大変危険です。 回転ノコギリを剪定に使うのはやめましょう。 高所の太い枝を切るなら高枝切りチェーンソー 脚立などに登らなくても剪定ができる用具としてポピュラーな高枝切りバサミ。 ホームセンターなどで2,000〜3,000円程度とお手頃な値段で販売されており、使っている方も多いのではないでしょうか。 3mくらいまで伸びるので、そこそこ高い木の枝も剪定できてとても便利なのですが、切れる枝の太さは1cm程度まで。それ以上の太さの枝はあきらめざるを得ないのですが、そうこうしているうちに枝はどんどん太くなっていきます。 樹木の枝は上に向いて伸びるものほど勢いが強く、すぐに太くなってしまうので、手に負えない太さになる前に剪定するべきでしょう。 最近は「高枝切りチェーンソー」「ポールチェーンソー」という名前で、高所の太い枝を切るための電動用具が販売されています。これはその名の通り、長いポールの先端にチェーンソーがついていて、高い場所の枝が切れるというもの。 ポールの長さはメーカーによって異なりますが、1.5〜2mくらい伸びるものが多いようです。 レシプロソーは刃を取り替えるとさまざまなものが切れますが、チェーンソーは基本的に木の切断のみ。ただし、替え刃はあるので、切れ味が鈍ったり、錆び付いて動きが悪くなったら取り替えることができます。こちらも多くはバッテリー式です。 10cmの枝も数秒でカット レシプロソーよりもさらにパワフルなので、10cmくらいの太さの枝であればものの数秒で切断することができます。 上の画像は高枝切りチェーンソーで切ったウメの枝。すんなりカットできれば、切断面も割と滑らかです。 できるだけ刃を上から押し当てるのがポイント チェーンソーは自転車のチェーンのような構造をした刃が高速で回転することで枝を切断します。レシプロソーの刃よりは構造が複雑な分、切り口に挟み込まれたりすると外すのが面倒です。 高い所の枝なのでなかなか難しいのですが、上写真のように、なるべく枝の上から刃が入るようにしたほうが、トラブルなく作業が進みます。 真横から刃が入ると切り口に挟まることも 上の画像は真横から刃が入っていますが、これだとだんだん枝が垂れ下がってきて、切り口がV字形になり刃が挟み込まれてしまいます。 レシプロソーのようなブレード状の刃であれば無理矢理引っ張って抜くこともできますが、チェーンソーだとチェーン状の刃だけが挟み込まれていて、無理をすると刃がちぎれてしまうこともあります。 高い所だけに刃を外すことも難しく、こうなってしまうと作業が進みません。 ちょっと時間はかかりますが、刃が挟まらない程度に少しずつ切れ込みを入れて、枝のたわみ具合に合わせて切っていくのがよいでしょう。 また、上写真の状態だと、作業者は枝の真下にいることになります。 これも危険なので、できるだけポールを伸ばして、枝の真下を避けて作業を行いましょう。 入手しやすくなった電動用具を活用して作業をスマートに レシプロソーも高枝切りチェーンソーも、最近は機種が増え、手に入りやすくなってきています。どちらも強力な器具なので取り扱いには注意が必要ですが、うまく使えば、手作業だけで行うよりも庭仕事がはかどること間違いなし。 ぜひうまく活用してみてください。
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ガーデニング
テラリウム、アクアリウム、パルダリウム、ビバリウムの違いってなに?
屋内で動植物を楽しめる、さまざまな「リウム」 最近はガラス容器や水槽で植物を育てたりするのがポピュラーになってきています。また、熱帯魚や、爬虫類などを水槽や透明の栽培ケースで育てるのもとても人気があります。魚を水槽で育てる「アクアリウム」はどんなものか、想像がつく人も多いでしょう。 最近人気の苔をガラス容器で育てるものを「苔テラリウム」などと呼びますが、このあたりまでは「ガラスの容れ物に植物を入れて育てるのをテラリウムと呼ぶのかな?」などと、なんとなく分かったような気持ちになりそう。 しかし、「ビバリウム」「パルダリウム」となると、初めて聞くという人も多いのではないでしょうか。 ちなみに、それぞれの言葉の最後につく「リウム」(-arium)は「~な場所、空間」を意味します。今回の話とは関係ありませんが、天体の運行を見ることができるプラネタリウムもplanet(惑星)+ariumですね。 「ビバリウム」「アクアリウム」「テラリウム」「パルダリウム」と呼び方は異なりますが、これらはいずれも、「動植物を育てるための環境」を指します。 それぞれの辞書的な意味と、主に日本国内での使われ方の違いを見ていきましょう。 「動植物を育てる環境」全てを意味するビバリウム 権威ある英語の辞書である『Oxford English Dictionary(OED)』によると、ビバリウムの意味は 動物を観察または研究するため、またはペットとして準自然環境下に保つのに合うように作られた囲い、容器、または構造物。アクアリウムやテラリウム。 https://www.lexico.com/en/definition/vivarium となっています。 ビバリウムはviva(生命)+ariumです。 生き物を育てるための環境全体を指す言葉で、規模の大きな動物園も含む概念のように思えます。あくまで動物飼育が主眼のようですが、「準自然環境」を作るために、植物を取り入れることもありますよね。 日本語圏ではあまり耳慣れない言葉ですが、「囲ったり容器に入れたりした、動植物を育てる空間」全体を含むのが本来の意味のようです。辞書の文言の中に「アクアリウムやテラリウム」とあるので、それらもビバリウムの一領域ということになります。 日本国内でビバリウムという場合は、住空間に入るくらいの大きさの栽培ケースや水槽の中に植物を植え込んだり景観を作り、両生類や爬虫類などを飼育するためのものを指すことが多いようです。 ビバリウムを謳った専門雑誌もありますが、主に両生類、爬虫類の飼育について扱っています。 『ビバリウムガイド』(エムピージェー) http://www.mpj-aqualife.com/vivariumguide.html 水が入った水槽で楽しむアクアリウム 今回取り上げている言葉の中では、最もよく目にするのがアクアリウムではないでしょうか。 同じくOEDでは、アクアリウムはこう定義されています。 生きている魚や水生の動植物が維持飼育される透明な水槽。 異なる種の生きた魚の水槽を置く施設(水族館)。 https://www.lexico.com/en/definition/aquarium アクアリウムはaqua(水)+ariumなので、やはり水の中のものが主眼となるようです。 熱帯魚やイソギンチャクなどの水の中で生きる生き物を飼うためのものだけでなく、植物を栽培するために水をためた水槽もアクアリウムと呼びます。魚の飼育を主眼としない、水草と石、流木などで作られる「水草水槽」もアクアリウムに含まれます。 透明な水槽で楽しむものということは、陶器の鉢で楽しむ金魚や、桶などに入れて観賞する錦鯉などは含まれないのかもしれませんね。 陸上の動植物を楽しむテラリウム 最近は苔をガラス容器に入れて育てたり観賞するのが人気なので、苔テラリウムという言葉もポピュラーになりつつあります。 OEDによると、テラリウムは ①小型の陸生動物、特に爬虫類、両生類、または陸生無脊椎動物用のビバリウム。通常はガラス張りのケースの形をしている。 ②植物が栽培されている密封された透明な球体、または同様の容器。 https://www.lexico.com/en/definition/terrarium ①は日本で「ビバリウム」と呼ばれることが多いようです。 ②は、最近目にすることが増えた苔テラリウムなどが当てはまりそうです。 ところで、高い湿度を好む熱帯性植物を栽培するために使われる、ワーディアンケースというものがあります。 これはガラス張りの戸棚のようなもので、これを使うとすると鉢植えの植物まで②の定義に当てはまりそうですが、多くの場合はワーディアンケースに直接土を入れるのではなく、鉢に植えるなどしたものを収納することが多く、やや趣が異なります。 湿地の環境を再現するパルダリウム パルダリウムは一部では大きな盛り上がりを見せていますが、まだそれほどポピュラーではないかもしれません。海外でもそれほど浸透はしていないようで、OEDにはまだ載っていませんでした。 パルダリウム(paludarium)はラテン語で湿地、沼地を意味するpalusとariumからなる言葉ですが、英語版のWikipediaでは、「陸生と水生の両方の要素を取り入れたビバリウム」と説明されています。 最近はアクアリウム専門誌でもパルダリウムを取り上げています。 『アクアライフ』2019年7月号 こちらの『アクアライフ』2019年7月号では、「水を張らない、または水が少ない水槽やそのレイアウト」を「パルダリウムやアクアテラリウム」である、としています。 また、2017年6月号では「熱帯地方原産の多様な植物をガラスのケージに飾り、水はあまり張らずに熱帯雨林を再現したもの、それが『パルダリウム』です」としています。 同じ2017年6月号p.33には、カイマントカゲを飼育するために植物を植え込んだ栽培ケースを紹介し、「このように爬虫・両生類の世界では、原産地を再現した飼育スタイルが確立され(ビバリウムとも呼ばれる)」との記述も見られます。 ちなみに前述の『ビバリウムガイド』と『アクアライフ』は同じ出版社から刊行されている雑誌です。 もともと湿地の植生を再現した環境の中でのヤドクガエルなどの飼育について『ビバリウムガイド』で紹介してきたところに、アクアリウムの流れからパルダリウムという言葉が使われるようになり、『アクアライフ』でも同様のものをパルダリウムと呼んで取り上げたなどの事情がありそうです。 また、同じ出版社からは『パルダリウムで楽しむヤドクガエル』という本も出版されています。 この本には巻末に「ヤドクガエル&パルダリウム用語集」というページがあり、その中で パルダリウム【Paludarium】 熱帯雨林や雲霧林など、湿潤な環境の生態系を作る設備のこと。生態の生育環境を再現するビバリウム(Vivarium)の中の一ジャンルと捉えることもできる。 としています。 アクアリウムメーカーの意見 国内有数のアクアリウムメーカー、ADA(アクア・デザイン・アマノ)では、最近パルダリウムに使う資材などにも注力しています。 そこで、ADAとしては「パルダリウムはどんなものとして捉えているのか」と問い合わせてみたところ、以下のサイトでも語られているものが、ADAとしてのパルダリウムの定義だそうです。 水場を作って生物を飼育するのがテラリウムやアクアテラリウムですが、熱帯性植物を取り入れ、その植物の成長を楽しむことに焦点をあてたのがパルダリウムです。 https://tokosie.jp/green/11971/ 水が入った水槽で魚を育てる → アクアリウム 水場+陸地で生物を育てる → テラリウム、アクアテラリウム 水場+陸地で熱帯性の植物を育てることが主眼 → パルダリウム というとらえ方のようです。 ユーチューバーが考えるパルダリウム You Tubeにはさまざまなテーマを扱うチャンネルがありますが、パルダリウムのチャンネルもあります。 パルダリウム専門チャンネル「パルダリウムの全て」を運営するながのさんは、まだ目新しい言葉だけに、「パルダリウム」が何を指すか疑問に思う人も多いだろうということで、パルダリウムという言葉が何を意味するのか、という動画をアップしています。 【パルダリウム学➀】パルダリウムとは何か ~辞書的意味から使われ方まで その中で、ながのさんは、辞書的な言葉の定義や歴史的な文脈を踏まえると、 ・テラリウムに該当するもののうち、熱帯雨林などの湿性環境の表現があるもの ・植物に重点があるもの をパルダリウムと呼べそうだ、と説明しています。 また、水槽の中に作られたものが、アクアリウム、アクアテラリウムからの流れではないという含みをもたせたい場合、あくまでも陸生の植物に重きを置いているのだということを表明したい場合は、パルダリウムとして提示するのがよいのではないかと提案しています。 まとめ ●アクアリウム これは水槽に水をため、その中で魚や水生動物、水草などを育てるものということで、通る言葉です。 ●ビバリウム ビバリウムは、本来はある空間の中に作られた動植物を育てるための環境のことです。 その意味が浸透する前に、日本では、「両生類・爬虫類などの小動物を飼育するための擬似的な自然環境、あるいはそうした環境の中でそれらの小動物を飼っているケース全体(飼育環境+小動物)」、という意味が一部で受け入れられています。 なので、日本語圏で「ビバリウムを作っている」と言った場合は、「ガラスケースなどの中に植物を植え込んで、ヤドクガエルなどを飼っている」というような意味になりそうです。 ●テラリウム テラリウムも本来は、日本語圏で言われる「ビバリウム」に当たる意味(観賞or観察できるようにガラスの壁面を一面は持った入れ物の中に、自然を模した環境、景観を作り、そこで爬虫類などの小動物を飼うもの)を持っていましたが、日本では「ガラスの容器に植物を植え込んで栽培、観賞するもの」という意味合いで使われることが多いようです。 アクアテラリウムは、地上部と水中で魚や植物を育てることを指します。 現在は苔テラリウムが人気なので、今後はガラス器の中で植物を育てるという意味合いが強くなっていくかもしれません。 ●パルダリウム パルダリウムは生き物を入れるにせよ入れないにせよ、土中・空中の湿度を好む植物を植え込んだもの、そうした環境を水槽や容器内に作ったものを指します。 生き物を入れるかどうか、入れることを想定しているかどうかについては、人によって考え方に幅がある状態です。 苔をガラス容器に入れて育てるものが「苔テラリウム」と呼ばれることがありますが、湿度と湿潤な環境を好む苔を植え込んであるのであれば、パルダリウムと呼ぶこともできそうです。 しかし実際には、その人が「苔テラリウム」として作っているのか、湿地の環境を再現するために「パルダリウム」として作っているのかで、意味合いは変わってくるのではないでしょうか。 ◆最後に 世間的に「アクアリウム」については、あまり認識のブレがないかと思いますが、「パルダリウム」「ビバリウム」については、そもそも聞いたことがないという人もいる言葉なだけに、日本語圏においては、決定的な定義はない状態です。 そのため、「かもしれない」「のようだ」など、断定しない言い方が多くなっています。 言葉は通貨のようなもので、そのもの自体に絶対的な意味や価値があるわけではなく、時代の変遷の中で意味が変わったり、時には消えていくものです。 日本語圏においては、「パルダリウム」と「ビバリウム」は、もうしばらく定義が不安定な時期が続くでしょう。 併せて読みたい ・人気上昇中のパルダリウムと、パルダリウムにおすすめの植物8選 ・パルダリウムとアクアリウムを眺めながらボタニカルなジンを楽しめる「bar CHLO」 ・兵庫県宝塚市の園芸店「陽春園植物場」にパルダリウムカフェ登場! Credit 写真&文/土屋 悟(つちや さとる) フリーライター。 インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。 https://twitter.com/tutti0514 https://www.instagram.com/satorutsuchiya_/ 参考: ADA アクアデザインアマノ http://www.adana.co.jp/jp/ YouTube「パルダリウムのすべて」 https://www.youtube.com/channel/UCb2Hh1bbc9Y3LMBa09MtFcw
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観葉・インドアグリーン
人気上昇中のパルダリウムと、パルダリウムにおすすめの植物8選
人気上昇中のパルダリウムとは? パルダリウムとは、熱帯の雨林や湿地などを模した風景をガラスケースや水槽の中につくりあげたもののこと。森林の林床に生息する植物を使えば、強い光が届かない場所でも管理することができます。 最近は性能のよいLEDライトが手頃な値段で手に入るようになり、日が差さない場所でも植物を楽しめることから、パルダリウムの人気もじわじわと高まっています。 花が咲くものもある! パルダリウムに向く植物 パルダリウムに向く植物にはさまざまなものがあります。シダや苔などの、苔テラリウムでおなじみの植物はもちろん、花が咲くものや、樹木に見立てて小さな景色をつくることができるものも。ここでは、パルダリウムに使いやすい、オススメの植物を8つセレクトしてご紹介しましょう。 パルダリウム向きの植物とは? 今回、パルダリウムに向くオススメの植物を教えてくれたのは、アクアリウムやパルダリウムで使える植物や資材、熱帯魚などの生産を行う会社「ピクタ」を経営する陶武利(すえ・たけとし)さん。 長年にわたり、光が少ない環境や水が多い環境、水槽内などの密閉環境で育つ植物について独自に研究、検証を行っていて、植物生理全般にも詳しく、理論的な裏づけのある提案に定評があるパルダリウムのエキスパートです。 その傍ら、自然観察会や里山の維持管理もパルダリウムに通じるものがあると感じ、耕作放棄地活用の研究も行っています。 ※「ピクタ」では基本的に生産、卸のみを行いますが、「東京レプタイルズワールド」、「天下一植物界」などの即売イベントなどでは販売を行うこともあります。(参加については以下で要確認)。 ピクタHP https://www.picuta.com/ ピクタInstagram https://www.instagram.com/picuta_official/ ピクタTwitter https://twitter.com/picuta1 ピクタFacebook https://www.facebook.com/picutacompany/ パルダリウムにオススメの植物1 ベゴニア 屋内でもやはり花が咲く植物を育てたいもの。雨林の林床に自生するベゴニアはパルダリウムに向くものも多く、中でもオススメなのは、くっきりとした黄色〜オレンジ色の花を咲かせる種です。 こちらのベゴニア・バンケレクホベニ Begonia vankerckhoveniiは明るいグリーンの葉、オレンジ色の花、赤い茎でパルダリウムに彩りを添えるのにぴったり。 「小型種では他に、ベゴニア・プリズマトカルパ Begonia prismatocarpa、ベゴニア‘タイニージェム’ Begonia ‘Tiny Gem’などもオススメです」(陶さん、以下同)。 パルダリウムにオススメの植物2 セントポーリア 室内灯の光でも育ち、花も咲くセントポーリアもパルダリウムで花を楽しめる植物。 「かつてブームになったこともあり、白、ピンク、青、紫などの花色のバリエーションがあり、八重咲きや覆輪などもあります。小型のものがオススメです」。 写真は、小型で八重咲きのセントポーリア‘ロブズガンダロー’(セミミニトレーラー)Saintpaulia ‘Rob’s Gundaroo’(semi mini trailer)。 パルダリウムにオススメの植物3 シンニンギア シンニンギアは渓流沿いの湿った岩などに生えるイワタバコの仲間。シンニンギア・プシラ Sinningia pusillaはその中でも小型の種です。 「シンニンギアやセントポーリアなどは一般的には鉢に入れて育てますが、保水性の高い着生材を使えば、着生させて楽しむこともできますよ」。 パルダリウムにオススメの植物4 ヒューケラ ガーデンのカラーリーフプランツとしておなじみのヒューケラもパルダリウムに使えるそう。 「耐陰性があり、カラーバリエーションも豊富なヒューケラは、パルダリウムに色みをプラスしたい時にぴったりの植物です。ガーデニング用につくられた苗はそのままでは大きすぎるので、1.5号ポットに収まるくらいに詰めて育てると使いやすいですよ」 上の写真は左の緑葉がヒューケラ‘ライムリッキー’ Heuchera ‘Lime Ricky’、右の赤葉がヒューケラ‘ファイヤーチーフ’ Heuchera ‘Fire Chief’。 パルダリウムにオススメの植物5 シダ 薄暗い場所でも育つシダは、まさにパルダリウムにうってつけ。 中でも上のネフロレピス‘ライムシャワー’ Nephrolepis ‘Lime shower’は草丈3cmほどの極小品種で、マット状に広がるので、苔の代わりに敷き詰めるのにも向きます。 「葉を大きく広げるものは、大きくなりすぎたら葉をすべて切り詰めるといいでしょう。すると最初は小さい葉を出し、徐々に大きい葉を出すようになります。大きすぎる葉が出たら、再度葉を切るとよいでしょう」。 写真はシダ、ポリスティクム・セティフェルム‘コンゲスツム’Polystichum setiferum ‘Congestum’。右は大きく葉が伸びているので、葉のつけ根で切るとよい。左は大きな葉を切ったあとに、新しい葉が出てきた株。 パルダリウムにオススメの植物6 ネペンテス(ウツボカズラ) 最近は食虫植物が人気ですが、代表的なものの一つ、ネペンテスもパルダリウムに使うことができます。 多湿な環境を好むネペンテスに、パルダリウムのようなケース栽培は最適。 「このネペンテス・アラタNepenthes alataはネペンテスの中でも手に入りやすいものの一つ。ネペンテスはつる状に伸びていく植物なので、育つにつれて草丈が高くなっていきます。大きくなりすぎたら、株元で切ると、小さな芽が複数出て盆栽風になります」。 パルダリウムにオススメの植物7 ヒドノフィツム ヒドノフィツムはアリ植物の一種。アリ植物とは、アリと共生関係にある植物のことで、ヒドノフィツムは根元の大きく膨らんだ部分の内側に、アリが巣をつくることが知られています。 ヒドノフィツムは他の樹木の幹や枝に張りついて生きる着生植物で、水切れがよい場所に生えているので、一般に水が停滞するような環境は好まないとされています。 「多くの種類は、湿度の高い環境を好む反面、水はけがよくないと生育がよくありません。しかし、ヒドノフィツム・ペランガスツムHydonophytum perangustumは、根のまわりが常に湿潤な環境であっても、しっかり育ちます。耐陰性があるところも、パルダリウム向きといえますね。 枝分かれして、樹木に見立てて使うことができる株姿をしているので、風景をつくる時にも役に立ちます」。 パルダリウムにオススメの植物8 ブロメリア ブロメリアは、人気のチランジア(エアプランツ)やパイナップルの仲間の植物のこと。 「もともと自生していた環境によって水を好む程度は異なりますが、ネオレゲリア・リリプティアーナNeoregelia lilliputianaはネオレゲリアの超小型種。日照に恵まれない場所でも育つうえ、湿潤な環境も好みます。ブロメリアの仲間だけでなく、葉が薄くて柔らかいものは弱い光で育つものが意外とありますよ」。 最近人気上昇中のパルダリウム。ローメンテナンスで光の当たらない部屋でも管理できるので、庭やベランダがない人はもちろん、室内でガーデニングを楽しみたい人も、チャレンジしてみてはいかがでしょうか? 併せて読みたい ・原種から園芸品種まで、葉のバリエーションに魅了されるベゴニアを楽しもう! ・観葉植物生産者がオススメする、花がなくても楽しめるラン6選 ・簡単にできて癒し効果大! 室内に置いて楽しめる“苔玉”の作り方 Credit 写真&文/土屋 悟(つちや さとる) フリーライター。 インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。 https://twitter.com/tutti0514 https://www.instagram.com/satorutsuchiya_/ アドバイス/陶 武利
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観葉・インドアグリーン
ポコポコ系、ツブツブ系、モケモケ系。ランの新しい楽しみ方提案!世界らん展2019で見つけた、花が無くても楽しめるラン14選
ランの個性が詰まった「バルブ」に注目! ランは花の色や形も多様ですが、株姿もさまざま。株姿を個性的にしているのは、それぞれの「バルブ」の形状によるところが大きいでしょう。 バルブとは、ランが持つ球根に似た塊状の部位のこと。上の写真のランだと、細い葉のつけ根にある、ふくらんだ部分がバルブになります。チューリップなどの球根と同様、ランのバルブは水分や養分を蓄える役目を持っています。 このバルブの形や増え方によって、種類ごとに個性的な株姿になります。 ちなみに上のような、もっともポピュラーなランの一つであるコチョウランは肉厚の葉に養分や水分を蓄えるので、球根状のバルブはありません。ほかに球状のバルブをもたないランの仲間には、バンダなどがあります。 それでは、花が無くても魅力いっぱいのランをご紹介していきましょう。 バルブが魅力的なランをご紹介! 1.人気のタケノコ系のラン、フレッドクラーケアラ 最近人気が出てきているのが、「タケノコ系」と呼ばれるランの仲間。春にできる新しいバルブから葉を出して生育し、秋になると落葉します。落葉した姿がタケノコのように見えることから、こう呼ばれています。 種類や個体、生育状態によってバルブの形や大きさに個性があり、バルブ全体に薄皮が残ったザラッとしたテクスチャーなども観賞ポイントです。 上のフレッドクラーケアラ・アフターダーク‘ブラックパール’(Fredclarkeara afterdark’Black Pearl’)は黒い花が咲き、渋好みのするタイプ。 こちらのクロウェシア・レベッカ・ノーザン‘ミッカビ’(Clowesia Rebecca Northern’Mikkabi’)は、タケノコ系の中では株も花もコンパクトで育てやすいタイプ。 ピンクの花はジンジャーの香りがします。 葉があるときのタケノコ系は、こんな姿。ランとしては比較的薄くサラサラした柔らかい葉で、これもまた目を楽しませてくれます。 タケノコ系のランの多くは、中米〜南米原産。春〜秋は薄い葉が焼けない程度に強い光を当て、水と肥料を切らさずに育てると、大きなバルブに生育します。 2.人気上昇中のツブツブ系、バルボフィラム・モニリフォルメ バルボフィラム・モニリフォルメ(Bulbophyllum moniliforme)のバルブは、わずか直径2〜3mmほど。 湿りすぎを嫌うので、写真のようにコルク板などに着生させて育てますが、見た目はさながら多肉植物です。 花も極小で、マッチ棒と比べてもこのサイズ。華やかさには欠けるランですが、意外に女性に人気があったりします。 こちらはバルボフィラム・ムスカリルブラム(Bulbophyllum muscarirubrum)。モニリフォルメよりはやや大きめのバルブで、表面に凹凸のあるタイプです。 種は異なりますが、こちらのポーパックス・ウスツラータ(Porpax ustulata)もツブツブしたバルブを持つタイプ。バルブの表面にマスクメロンのようなしわ模様が入ります。個体により模様の入り方が異なるため、好みの個体を選ぶのも楽しいもの。 これらの種類は根の過湿を嫌いますが、空中の湿度は高い環境を好みます。ガラス容器などに入れて、アクアリウム用、植物栽培用のLEDの光で育てることもできます。 撮影協力/はちのへ洋らん園 3.ポコポコ系のデンドロビウム・ペンデュラム ポピュラーで目にすることも多いデンドロビウムですが、中にはバルブが変わった形をしたものもあります。 一般的なデンドロビウムは上の写真のように、すんなりとしたバルブをしているものが多いですが、ペンデュラムはご覧の通り、途中がポコポコとした形状。春〜秋まで葉があった部分が、こうした形状になります。 特徴をしっかり出して、姿よく育てたいなら、冬によく日に当てることが重要。また、夏の暑さには弱いので、風通しのよい場所で育てましょう。 しっかり育てれば、こんな可憐な花が咲きます。 撮影協力/ワカヤマオーキッド 4.モケモケ系のデンドロビウム・セニレ こちらもデンドロビウムですが、今度はバルブに毛の生えたモケモケ系、デンドロビウム・セニレ(Dendrobium senile)。ミャンマー、タイ、ラオスなどに自生するデンドロビウムですが、500〜1,200mの高地生まれなので、暑いのは苦手です。 昼夜の温度差も必要なので、昼間暑くても夜温が下がる山間部向きの種類。 5.サボテン、多肉植物と一緒に育てたいプレウロタリス・テレス 小型のサンセベリアにも似た、多肉植物のようなランのプレウロタリス・テレス(Pleurothallis teres)。ブラジルの温暖な地域原産で、周囲にはサボテンやブロメリア、カトレアなどが生えているようなエリアの岩に着生して生きているランです。 それだけに、しっかり光に当てて育てる必要があります。乾燥にも強いので、サボテン、多肉植物などと一緒に育てても大丈夫です。強い光に当て続けていると、バルブの表面が赤くなって、これもまた観賞ポイント。 プレウロタリスは、とてもバリエーション豊富な属。テレスのように日ざしの強い乾燥地に生えるもののほかに、変わった花や葉をしたものもたくさんあります。 6.ワイルドな葉が魅力のオエセオクラデス オエセオクラデスはマダガスカルや南アフリカなどに自生する地生ラン。岩場に生え、周囲の風景に溶け込むためにこうした模様になったと考えられています。 マットな質感の葉には、ヘビやは虫類を思わせる模様が入り、種類によってはやや赤みがかかったものや、ラメ感のあるものもあります。 これだけ見応えのある葉だと観葉植物として屋内で育てたくなってしまいますが、日照が足りないと徒長してしまうので、注意しましょう。 比較的寒さには強いですが、凍ったり、霜が降りるほどの寒さは苦手。気温が5℃を下回るようであれば屋内に取り込みますが、それ以外は外で育てるのがオススメです。 撮影協力/はちのへ洋らん園 7.シャコバサボテンのようなロックハルティア ギザギザしたシャコバサボテンのような葉を持つロックハルティア。この姿だけで十分観賞価値があります。 しっかり育てれば、オンシジウムに似たこんな花を咲かせてくれます。 花をたくさん咲かせるには、明るい場所で育てること。ずっと直射日光が当たっていると葉が傷むので、午前中は日が当たるけれど、午後からは直射日光が当たらない、東向きの場所などがオススメです。 8.花が咲いても見えない? エピデンドラム 鉢花としてもポピュラーなエピデンドラムですが、こちらのエピデンドラム・ベシカタム(Epidendrum vesicatum)は、あまり花の観賞には向いていないタイプ。 というのも、花は何枚も重なった葉の先端に咲くのですが、葉の間に隠れて見えないことがあるからです。 しっかり育ててたくさんの花が咲けば、さすがに外からも見えますが、それほどでもない場合は、こまめに下からのぞいていないと、花を見ることができません。 それでもあえて育てたい! という気概のある人向けかもしれません。 撮影協力/万花園 9.オブジェのようなバルブが魅力のドックリリア・ワッセリー 這うように横に伸びていき、上に向かってバルブが立つ姿が美しいドックリリア・ワッセリー(Dockrillia wassellii)。鉢に植えても育てることはできますが、着生させてワイルドな姿を楽しむのもオススメです。 伸びすぎて鉢や着生材からはみ出した部分は、切って別の株として育てることもできますが、はみ出すくらいの大株にならないと花は咲きません。 併せて読みたい ・観葉植物生産者がオススメする、花がなくても楽しめるラン6選 ・槇谷桜子のMY Botanical Life 4 水やりを失敗しない「タンクブロメリア」 ・お部屋の緑、観葉植物の日頃のお手入れ5つのチェックポイント Credit 写真&文/土屋 悟(つちや さとる) フリーライター。 インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。 https://twitter.com/tutti0514 https://www.instagram.com/satorutsuchiya_/
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ガーデン&ショップ
ガーデンズ・バイ・ザ・ベイとシンガポール植物園でランを巡る旅
国花のランを使った、「シンガポール植物園」のランのガーデン シンガポールは通年、一日の気温が25〜30℃程度と、熱帯植物が育つにはうってつけの気候。そんなシンガポールだけに、「国花」もやはり、熱帯植物のランです。 シンガポールの国花はバンダという種類のランですが、その中でも特に、‘ミス・ジョアキム’という品種が国の花として定められています。この‘ミス・ジョアキム’は、19世紀の末にシンガポールで作出された品種。作り出したのは、品種名にその名を残すアグネス・ジョアキムという女性です。 ヴァンダ・テレスとヴァンダ・フーケリアナの2つの種類を交配してつくられた‘ミス・ジョアキム’は、両親の性質を受け継いだ、濃淡のピンクの花色が美しい品種。栽培に適した環境では草丈2mにも及ぶ大株になり、旺盛に花を咲かせます。また、‘ミス・ジョアキム’は、単にシンガポールで生まれただけでなく、シンガポールから初めて品種登録されたラン。歴史的な花でもあります。 ユネスコ世界遺産にも登録されている「シンガポール植物園」には、有料エリアであるナショナル・オーキッド・ガーデンの一角に‘ミス・ジョアキム’をフィーチャーしたコーナーを設けているほか、無料エリアにも「バンダ・ミスジョアキム・ガーデン」がつくられています。 「バンダ・ミスジョアキム・ガーデン」は、ヨーロッパの整形式庭園を思わせる整然とした植栽をされていて、周囲の斜面に植えられているのも、その多くがラン。日本国内ではバスケット仕立てや着生仕立てにして育てることが多いヴァンダの仲間ですが、ここでは2m近い草丈の‘ミス・ジョアキム’が地植えにされており、ほかではなかなかお目にかかることができないランのガーデンになっています。 ※ヴァンダ・テレス(Vanda teres)、ヴァンダ・フーケリアナ(Vanda hookeriana)は現在はパピリオナンテ属(papilionanthe)に分類が変わっています。 ‘ミス・ジョアキム’も正しくは「パピリオナンテ・‘ミス・ジョアキム’」ですが、現在でも「バンダ‘ミス・ジョアキム’」として親しまれています。 今でもランの品種改良の取り組みは、国を挙げて行われており、ボタニックガーデンの一角にあるボタニーセンターには、ランの交配や繁殖を行う研究所が置かれています。ここでは日々、新しい魅力的なランの作出を目指して研究が続いていますが、その様子を見学することもできます。 「ナショナル・オーキッド・ガーデン」も必見! これだけランとの深いゆかりを持つシンガポールの植物園だけに、ランを集めた「ナショナル・オーキッド・ガーデン」もあり、こちらも見逃せません。園内の各所にはその時期に咲いている種類のポットが配置されているだけでなく、樹木やオブジェに着生させたものもあり、ほかの熱帯植物に囲まれ、自然な姿で咲いている景色を見ることができます。 日本では、ランを育てる場合には一鉢に一株だけを植えたり、あるいはランばかりをたくさん並べてディスプレイとして使ったりするのを目にすることが多いはず。しかしこのガーデンでは、ほかの植物と調和するように、ランが使われている姿を楽しむことができます。 また、株姿や草丈に合わせて、ガーデン草花のような使い方をしているコーナーもあるのは、さすが南国ならではの使いこなし方といえそうです。運よく訪れる時期が合えば、ランがプルメリアなどのほかの花と咲き競っているのを目にすることもできます。 花盛りのオーキッド・ガーデンでひときわ目を引くのは、色とりどりのバンダの仲間。お気に入りのバンダを探すもよし、‘ミス・ジョアキム’以来、ここまでバリエーションを増やしてきた歴史に思いをはせるもよし。百花繚乱のバンダを楽しんでみてはいかが? 人気の「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」にもランがいっぱい! シンガポールのベイエリアに2012年にオープンした植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」。園内に建てられた樹木のようなオブジェ「スーパーツリー」はたびたびメディアで紹介されているので、見かけたことがあるという方も多いのでは? このガーデン・バイ・ザ・ベイでは、あちこちでランの花を見ることができますが、なんといっても注目は「クラウド・フォレスト」。 「クラウド・フォレスト」は、いわば大型のガラス温室です。 その内部には高さ30mにも及ぶ人工の小山がつくられており、山の各所からは滝が落ちているというダイナミックなもの。温室内部はミストやファンで湿度や通風がコントロールされており、標高0〜2000mまでの熱帯植物が育てられています。また、山の周囲には空中回廊が巡らされており、山の内部からだけでなく外からも植物を観察できるようになっています。 この山の外壁には、アンスリウムやフィロデンドロンなどのサトイモ科の観葉植物やネペンテスなどの食虫植物、ブロメリア科の植物、ベゴニアやシダなどが着生させてあり、もちろんランもあります。 「クラウド・フォレスト」の壁面に植えられた植物は、花壇のように簡単に株の入れ替えができないので、一般的な栽培品のように常に万全の状態で開花しているわけではありません。しかし、ほかの植物と混ざり合って育ちながら、けなげに花を咲かせる姿は、ランもまた本来は野山に咲く花なのだということを思い出させてくれます。 また、温室内ではランの特設展示を行うコーナーが設けられています。展示はシーズンごとに切り替わるので、訪れる度に違うランと出合うことができます。写真は2019年の初めに行われた展示、「Orchids of Andes(アンデス山脈のラン)」のもの。 こうして「クラウド・フォレスト」の植物を見て回った後は、出口に通じる地下の通路に向かいます。 すると、最後に姿を見せるのが、「シークレットガーデン」です。「シークレットガーデン」は熱帯雨林の林床をイメージしてつくられた、石灰岩が立ち並ぶ屋内庭園。ひんやりとした風がゆっくりと流れ、熱帯高地の雨林に迷い込んだかのような空間が広がります。 このガーデンにも、こうした環境に自生するシダやベゴニアなどとともに、ランが展示されています。その多くはミニチュア・オーキッドと呼ばれる、レパンテスやプレウロタリス、スカフォセパルムなどの小型のラン。いずれも花の直径が数cm、ものによっては1cm未満という極小の花を咲かせるものばかり。 でも、ご心配なく。花のそばにルーペを添えて展示してあるので、小さな花の細部までじっくり観察することができるようになっています。 ランで巡る、シンガポール植物園とガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、いかがでしたか? ここでご紹介したのは、あくまでも2019年1月に訪れたときの様子。時期によっては異なる種類の花を楽しむことができるはず。シンガポールを訪れた際には、ぜひランを楽しんでみてください。
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観葉・インドアグリーン
原種から園芸品種まで、葉のバリエーションに魅了されるベゴニアを楽しもう!
まだまだ新種が見つかる、多様なベゴニア 近藤さんが佐賀県唐津市に「ポンポコ村ベゴニアガーデン」を開いたのは1997年のこと。それまで営んでいたミカンの観光農園をベゴニア園に切り替え、2001年には大型温室を建てて本格的なベゴニアのコレクションをスタート。現在は1,600種以上のベゴニアがあるそうです。 ベゴニアの仲間は世界中に自生しており、日本にも帰化植物のシュウカイドウ(Begonia grandis)という種類があります。 「日本の環境では冬の寒さが厳しく、多くは室内の栽培に向く傾向にあります。春から秋までは屋外でも楽しめる種類がありますが、中には非常に高い湿度を好むものがあり、容器栽培などで楽しまれています。熱帯雨林のような高温多湿の環境で育つものもあります。 ベゴニアの仲間はあまり強い光が無くても育つものが多いので、多湿な環境でなくてもよいものは、お部屋の中で観葉植物として育てることもできますよ」(近藤さん。以下同) そうした育てやすい種類以外にも、次々に新しい種類が見つかるのも楽しいそう。 「ベゴニアは現在見つかっているだけで2000種以上あり、まだまだ新しい種類の発見が続いています。また種類が多いだけではなく、外観の変化に富んでいることもポイントです。これまでにも、多彩な外観のベゴニアを交配した新しい品種もたくさん発表されています。ベゴニアの面白さは、未知の新種に出合えるワクワク感ではないでしょうか」 そう語る近藤さんオススメのベゴニアを教えていただきました。 ①水玉模様のベゴニア ベゴニアは葉の柄のバリエーションが豊富。中でも人気なのが、ドット柄。葉に白いドットが入るタイプのベゴニアは、生活空間に置いて育てることができるものも多く、観葉植物として楽しめます。 「草丈が高くなるものから低いもの、葉の色が濃いものや薄いもの、赤みを帯びたものなど細かなバリエーションがたくさんあります」 「緑色の葉に白のドットが入るものが多いですが、赤いドットが入るベゴニア・アンフィオクスのようなものもあります」 アンフィオクスは原種のベゴニア。人工的な品種改良をされていない原種に、こんな目を引くものがあるところもベゴニアの楽しさ。ただし、アンフィオクスは比較的湿度が高い環境を好むので、②の熱帯雨林系のベゴニアのように、ガラスの器などに入れて育てるのに向きます。 ②レックスベゴニア レックスベゴニアはベゴニア・レックス(Begonia rex)という原種を交配に用いたベゴニアのグループ。 「レックスベゴニアは世界中で多くの品種がつくられており、丈夫で育てやすいものがたくさんあります。葉に大きな模様が入るベゴニア・レックスに、さまざまな種類を掛け合わせることで、特徴的な品種がつくられています。ベゴニアの葉は左右非対称な形をしているのが特徴ですが、レックスベゴニアは渦を巻くような変わった形をしたものなど、ほかの植物では類を見ないおもしろい造形が楽しめます」 レックスベゴニアは、比較的低い温度を好むものが多いそう。 「暖房のある室内であれば、冬でも育てることができます。湿度は好きなので、ガラスの器などに入れたテラリウム栽培にも向いていますよ」 ③原種ベゴニア 現在ベゴニアの原種は、世界で2,000種ほど確認されていますが、まだまだ新しい種類が見つかるだろうといわれています。 「これだけ多くのベゴニアが発見されているにもかかわらず、目を引く美しさのある新しいベゴニアが新しく次々と見つかっています。国内にも、東南アジアに赴いて野生の植物を観察・採集している人たちがおり、見たこともない美しいベゴニアを持ち帰っています。次にどんなベゴニアが登場するのかも楽しみなところです」 原種は、育てやすい強健な種類から、デリケートで栽培が難しいものまでさまざま。 また、水槽の中に自然の風景を再現するテラリウムがありますが、最近はパルダリウムと呼ばれるものが人気になってきています。パルダリウムの定義はさまざまですが、多くの場合は湿地などの風景や、水辺の風景を再現したものを指します。こうした環境は湿度が高く熱帯雨林に自生するベゴニアにぴったりなので、パルダリウムで使われることもあります。 株姿も一般的な園芸品種のベゴニアのような株立ちのものだけでなく、つるのような茎を伸ばすほふく性の種類もあり、楽しみ方はいろいろ。 熱帯雨林原産の原種ベゴニアは、湿度が高い環境で管理する必要があることから、一般的な園芸店などでは管理が難しく、あまり販売されていません。熱帯魚店などで販売されているほか、植物即売イベントや、各地で開催されるベゴニア展などで入手することができます。また、インターネットの販売サイトやネットオークションで販売されることもあります。今回取材したポンポコ村でも販売されています。 「育てるのが難しいものもありますが、だからこそ、うまく育ったときは喜びもひとしお。ぜひ一度育ててみてください」
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観葉・インドアグリーン
観葉植物生産者がオススメする、花がなくても楽しめるラン6選
暮らしの中で観葉植物としてランを楽しむ 福岡県みやま市で観葉植物農場、杉本神籠園を営む杉本佑貴さん。 「農家の4代目になりますが、私の曾祖父に当たる杉本培根(ますね)は、もともとは肥後花菖蒲の育種や、ハナショウブのオランダへの輸出を手がけており、ランの栽培も行っていたそうです」(杉本さん。以下同) 今では観葉植物をメインに生産、出荷している杉本さんですが、着生ランを売ってみたところ、すぐに在庫がなくなってしまうほどの売れ行きだったそうです。 インテリアとしての植物の可能性 杉本神籠園の主力となっている植物は、アスプレニウムの‘エメラルドウェーブ’。佑貴さんの祖父・春男さんが見つけたタニワタリ(アスプレニウム・ニダス Asplenium nidus)の変種をもとに、父・健康(たけやす)さんが作り上げた品種です。 海外にも出荷している‘エメラルドウェーブ’を主力としながら、ファッションやインテリアのみならず、時代の雰囲気を肌で感じ取って、リプサリスやサラセニアなどのヒット商品を生み出してきた杉本さん。 「部屋の中で楽しむ植物も、そのときどきで売れるものが変わってきます。最近はインテリアの中での楽しみ方を提案するために、家具メーカーと共同で、売り場で家具が並んでいるところに植物を置き、お客さまに見ていただくような試みも行っています」 根や葉こそ面白い! 着生ランでランの魅力再発見! そんな杉本さんがランに注目したのは、ビカクシダやチランジアなどの着生植物の人気。 「いずれも100円から数百円で買えるくらいの手軽なものもありますが、数千円から1万円以上するものまで流通していて、高価であってもそれなりに人気があります。比較的湿度が高い環境を好むビカクシダやチランジアの手入れに慣れた人もそれなりにいるし、着生植物をカッコいいと思う人もそれなりにいるので、今ならランが売れるんじゃないかな、と思ったんです」 そんな発想から、数年前にデンファレの苔玉仕立てを売ってみたものの、これはあまり売れなかったそう。 「デンファレという種類自体が消費者の心に響かなかったのか、苔玉仕立てという仕立て方がよくなかったのか…。あるいは着生ランを打ち出していくには、まだ時期が早かったのかな? という気もしています」 そんなことがあったものの、次にコルクづけにしたものを売ってみたところ、今度は狙いが的中。 「ランは育てるのが難しいというイメージを持っている人が少なくないかもしれませんが、水切れに強いものも多く、維持するだけならそれほど難しくはないんです。 着生ランは、土がない木の幹などに張りついて育つ植物。高温多湿であったり、雨が多い地域に自生しているものが多いのですが、根の周りに土や水分が無くても耐えられるものが少なくありません。 水が少ない環境でどうしているかというと、太い根や、分厚かったり多肉質だったりする葉に水を蓄えているんですが、これがまた独特の形になっていて、それぞれに個性的。花が無くても特徴的な姿を楽しむことができます。もちろん、種類に合った育て方をすれば、花も楽しめますよ」 杉本さんオススメの株姿が面白いラン 1.セイデンファデニア・ミトラタ タイやミャンマーなどの東南アジア熱帯地方原産。 「流通しているランの多くは鉢植えになっているので、当然ながら上に向かって伸びていきます。しかし、このセイデンファデニアは着生しているところから、多肉質の葉を下に垂らす姿が特徴的です。葉は菜箸くらいの太さで、よく育つと長さ50cmほどにもなります。根も太くて迫力がありますよ。 熱帯地方原産なので、寒さは苦手。冬は暖かい部屋に入れておくといいですよ」 2.キロスキスタ・ルニフェラ Chiloschista lunifera インドネシア、インドなどの熱帯地方原産。通常は葉が無く、根で光合成します。 「根だけで板に着生していますが、水をやると根がきれいな緑色に変わります。こんな奇妙な姿の植物はちょっとほかに思いつきませんよね。葉に水を貯めることができないので、しょっちゅう水やりをしたい人向きです。空中の湿度も好きなので、周りにほかの植物があるような場所に吊して、ほかの植物ごと霧吹きなどすると傷みにくいと思います」 3.バルボフィラム・ラシオキラム Bulbophyllum lasiochilum インド、タイ、ミャンマーなどの熱帯地方原産。 「大きな葉がついたバルブ※がたくさんつくと、こんもり茂ったようになって見応えがあります。バルボフィラムは、個性的な花が咲く種類が多いのも特徴です」 4.トリアス・オブロンガ Trias oblonga インド南部、タイ、ミャンマーなどの熱帯アジア原産。 「バルボフィラムと似た丸いバルブから葉が出ているタイプ。小さな粒状の株が集まっている姿は、コノフィツムなどの多肉植物のような雰囲気がありますね」 5.オンシジウム Oncidium jonesianum × onc.ascendens 「サンセベリアのスタッキーやバキュラリスを思わせる、先が尖った細長い肉厚の葉が特徴。まさに、壁掛けにできる観葉植物です」 6.ショエルノキス・フラグランス Schoenorchis fragrans ヒマラヤからミャンマー、タイ原産。 「手のひらに乗せられるくらいの小ささですが、左右に対になって葉が広がり、ファレノプシス(コチョウラン)のような株姿をしています。小さいながらに端正な姿を愛でてください」 杉本神籠園(すぎもとしんりゅうえん) http://sugimoto-shinryuen.com/ 併せて読みたい ・槇谷桜子のMY Botanical Life 1 見栄え抜群のハンギンググリーン ・コケを食べる⁉「部屋で楽しむ小さな苔の森」出版記念パーティーのメニューのテーマは「苔」 ・水苔(みずごけ)の基本的な戻し方・使い方【土を使わない栽培法】 Credit 写真&文/土屋 悟(つちや さとる) フリーライター。 インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。 https://twitter.com/tutti0514 https://www.instagram.com/satorutsuchiya_/