まきたに・さくらこ/‘大人可愛い’をテーマにした「Junk sweet Garden tef*tef*」とクールでスタイリッシュな観葉を扱う「BOTANICAL GREEN」、2つのWebプランツショップのオーナー。高校1年生の娘と小学校4年生の息子がいるアラフォー。花好きが高じてショップを始めて10年、仕事と家庭を両立させながらショップを展開中。繊細で絵画的な寄せ植えにファン多数。
「BOTANICAL GREEN」https://shop.teftef.biz/shopbrand/ct273/
槇谷桜子
まきたに・さくらこ/‘大人可愛い’をテーマにした「Junk sweet Garden tef*tef*」とクールでスタイリッシュな観葉を扱う「BOTANICAL GREEN」、2つのWebプランツショップのオーナー。高校1年生の娘と小学校4年生の息子がいるアラフォー。花好きが高じてショップを始めて10年、仕事と家庭を両立させながらショップを展開中。繊細で絵画的な寄せ植えにファン多数。
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槇谷桜子の記事
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寄せ植え・花壇
Junk sweet garden tef*tef*が教えるワンランク上の寄せ植えテクニック
これまでずっとtef*tef*の寄せ植えはすべて私、槇谷桜子が一人でつくってきました。私の寄せ植えのつくり方はズバリ、「直感のみ」。ただただ、素敵だと思うイメージを感じるままに植えています。しかし、私以外にも私と同クオリティーのtef*tef*らしい寄せ植えをつくる技術者を育てることになり、私が何を感じて考えて、どう植えているのかを教えるために、私の「直感」を分析し、言語化してみました。 同じお花を使っても、ほんの少しの違いで寄せ植えの完成度が変わってきます。tef*tef*の世界観の代表である、寄せ植えのテクニックをご紹介します。 I 一番重要! 花合わせ 寄せ植えの雰囲気を大きく左右するお花選び。2年間、私のもとで勉強したスタッフでも一番難しいポイントです! ①主役にしたいお花を一つ選ぶ。 ②どんなイメージの寄せ植えにするかテーマを決める。 これはより具体的にイメージすることが大切です。ただ「シックに」とか、「かわいらしい」という抽象的なものではなく、「何色の服を来た可愛らしい少女」「草原の中で風になびく一場面」などなど。人でも風景でも、絵にできるくらいそのシーンのイメージを頭の中で具体化してから寄せ植えをします。 ③脇役のお花を見つける。 主役のお花が大きめのお顔なら合わせるお花は小花だったり、主役の花の中にある1色を合わせたり、同じトーンの花を選んだり。 ④お花を引き立てるリーフを数種類選ぶ。 リーフを多く入れた方が奥行きや繊細さが表現できます。お花の高さと同じくらいか少し低めで植えた時に傾斜になるような高さのリーフを。 イメージした世界観に合うリーフを選びます。「爽やか」だったらシルバーリーフ。「可愛い」だったら斑入りやクリーム色。「大人っぽい」だったら銅葉などなど。 ⑤株元を演出する植物を選ぶ。 お花でもリーフでもOK。横に広がる性質や垂れる性質など鉢に沿う植物を。ここでも数種類、グラデーションにできるようなカラーを。 この寄せ植えでいうと「イエロー~ブラウン」のグラデーションになるように植物を選んでいます。 お花にも「イエロー」と「ブラウン」を持つものを選び、リーフにもライムグリーンの「イエロー」と銅葉の「ブラウン」を取り込む事で統一感が出ています。 Ⅱ 寄せ植えの縁の下の力持ち! 鉢を選ぶ 具体的にイメージした雰囲気に合う鉢を選びます。エレガントなお花にはエレガントな鉢を。ナチュラルなお花にはバスケットなどの自然素材などなど。 ただ、鉢と植物が同化してしまわないように、銅葉を選んだら少し違う濃さの鉢を選ぶなど、少しですが違いが出るようにします。シンプルなお花合わせには存在感のある鉢を。お花がいっぱい咲くような主張が強いお花合わせをしたなら、逆にシンプルな鉢を。 ファッションを楽しむように、足し算引き算で丁度よいバランスを探します。 上の寄せ植えでは、シックな黒葉でまとめているので、鉢はワントーン明るいグレーのブリキポットを合わせました。こうすることでより黒葉が引き立ちます。鉢のグレーと一番背の高いコロキア・ワイヤースターの葉色を合わせることで鉢を含む寄せ植え全体の色のバランスを取っています。 Ⅲ 本当は教えたくない! 植え方のコツ♪ ①正面を決める。 360°よいバランスをつくる寄せ植えもありますが、そうなるとすべてシンメトリーになってしまい、自然な雰囲気が出にくくなります。一点を正面に決め、そこから左右45°に体を動かしてみて、その位置からも美しいバランスであるように意識しながら植え込みます。 左右どちらかだけが凹んでしまったりしないように! ②高さのバランスを考える。 不規則なバランスの取り方をする場合もありますが、基本的に中心部が高く、外側にいくほど低くなるように植物を配置します。この時にお花選びで高さの違う植物を選んでいるとスムーズに傾斜をつくり出すことができます。 ③苗をいくつ植えているのか分からないような植え方を意識する。 ポット苗を植えていくのですから、普通に植えるとドン!ドン! とただ苗を並べただけの寄せ植えになってしまいます。植える時にいろいろな枝を絡ませ、自然に育った雰囲気をつくり出せる配置に植えていきます(植え込んでいる最中に絡ませる作業をすると花や葉っぱが土で汚れてしまうので注意!)。 ④植物を散らして植える。 株分けできる仕立て方のポット苗は数苗に分けて、鉢の中で散らすように配置します。全体に同じ植物があることで、一体感がとてもよく出てきます。 ⑤同じ植物を数苗植える。 すべての植物ではないのですが、1種類のお花は2株、1種類のリーフは3株と同じ植物の割合を増やすことでまとまりのある寄せ植えになります。 ⑥ワンポイントを足す。 挿し色だったり、実物だったり、コサージュのようなリーフの使い方だったり。ファッションでいうアクセサリーを使えるようになると上級者! ⑦植物が持つ雰囲気を感じ取る。 植物と向き合っているとその植物の雰囲気というか、性格のようなものを感じ取れるようになります。「きっと優しい雰囲気の女の子なんだな」とか「キリっとしたハンサムさん!」などなど。 私はその雰囲気に合うチームをつくり上げていくような感覚でお花を選んでいます。 Ⅳ 植えやすく元気に育つ培養土 ずっと寄せ植えをつくっている中で、土へのこだわりも生まれてきました。苗と苗の間に転がるように入っていく粒状の形。植え込んだ直後はどうしても土の量が多くなるので、根腐れしないように排水性がよく、水やりの調節がしやすいような形状。たくさんの植物を植え込むので長く効く元肥などなど。 ブレンドをする際にムラが出ないよう、機械ではなく手作業でブレンドしてくださる培養土屋さんを探し、何度も試作を重ねて納得いく培養土をつくりました。tef*tef*の寄せ植えはすべてこの培養土で植え込んでいます。 インテリアやファッションが大好きな私はパッケージにもこだわりました。カラフルな培養土のパッケージはナチュラルなお庭ではどうしても浮いてしまいます。お庭そのものだけでなく、ガーデニング作業する時の景色も美しく素敵なものであって欲しいと、お庭をスタイリッシュに見せられるようなデザインにしました。 素敵なガーデニングウェアを着て、その傍らにこの培養土を置いてセンスのある寄せ植えを植えている♪ そんなお洒落なガーデナーさんが私の憧れです。 http://shop.teftef.biz/shopdetail/000000003706/ 植え方や元気に育つ植物の組み合わせなどの 寄せ植えの基本は同じだと思います。 そこに自分の世界観を強く持ちイメージすることで、より魅力的な寄せ植えになっていきます。 いろいろと書きましたが、大切なのは自分が楽しみ、素敵だと思えること! 植物はそれだけで美しいものです。それに自分の感性をプラスし、植物本来の姿に寄り添うことが寄せ植えなのではないかな? と思っています。 正解なんてないのです。 植物が一番輝く寄せ植えをぜひつくって、もっともっと植物を愛してあげてください。
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暮らし
槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「ガーデンリビング」
もとは農機具を収納する古民家ならではの納屋 敷地内に離れとして建っていた古民家ならではの納屋。構想初期の段階では取り壊す予定でしたが、屋根裏の雰囲気や梁の力強さがとても気に入り、どうにかして残すことにしました。水平を測ってみると随分と傾いており、納屋全体を一度ジャッキで上げて水平を取り直すところから始まりました。 砂壁をモルタルで塗り替え、道路に面した部分には電動のシャッターガレージを取りつけ、車が入れるようにもしています。シャッターの向こう側は花苗管理のための農業用ビニールハウスがあり、この場所は夏でも風通しがよく、とても涼しいので、工事中は大工さんの休憩場所として大活躍でした! 普段はスタッフたちが花苗の掃除をしたり、作業場として活用しています。 古民家ならではの和瓦も古い建物の障害となっており、軽いスレートに張り替えました。間口が12mもあるので、一部分の空間を仕切り、ガーデンリビングになるように考えました。その一部分には大きな開口が2つある壁を立ち上げました。開口の面台には自宅のカウンターと同じ素材の古木を使っています。 これから屋根や壁を塗装したり、床に石材を敷いたりして素敵なアトリエに変身させる予定でいます。 古民家ならではの屋根裏と梁 古い部分は骨組みくらいしか残していないのですが、あらわし天井の世界観、梁の自然の木の曲線美。やはり新築では出せない素敵さが古民家リノベーションにはあります。 ガーデンリビングとして空間を区切るためにもともとあった太い梁を境目とし、段差をつけて小上がりにする構想でした。その素材に海外の木製ユーロパレットを採用し、まだ思案中ではありますが、固定せずにテーブルとチェアになるように置いています。床部分はパレットそのままだと板の間が空いているので、飼っている犬の足が落ちて怪我をしないように、一度ばらして詰め直しました。 この場所は観葉植物が元気に育つ環境にしていますので、自宅リビングの観葉植物と入れ替えたり、グリーンコーディネートの仕事の際に、すぐに樹形の格好いい植物を用意できるように、植物との出合いを大切にしてストックしながら育てています。 水やりもできるよう、小屋の両脇には溝をつくり、水がスムーズに流れていく工夫をしました。植物と暮らすことを前提として全ての計画を立てているので、素晴らしいガーデンライフを過ごせています。 大好きな人たちと過ごすガーデンパーティー 12×4mの広い空間で大好きな人たちと素敵な時間を過ごしました。この日は園芸店「Junk sweet Garden tef*tef*」を始めて10周年記念パーティー! 農業で使われる球根ケースを脚にして、集成材のコンパネを乗せて臨時のテーブルとしました。テーブルにも観葉植物を飾り、BBQやチーズフォンデュと共に、美味しいワインで乾杯! 夜が素敵なガーデンリビング ナイトガーデンを素敵に演出するためには欠かせないパーティーライト。 タカショーの「ローボルト ストリングパーティーライト 10球」を2本使いました。コードをピンっと張らずに弛ませることで、より素敵な雰囲気を演出することができます。コンセントに挿して点灯させるのですが、我が家は日常使いができるように、コンセントを普通の電気スイッチと連動させて点灯するようにしています。 夜になって、このライトとキャンドルで演出する大人の時間は、とても素敵でした。 これから進めるガーデン理想図 簡単なスケッチですが、100坪ほどある庭の構想はできています。 自宅キッチンからつながるガーデンテラス。 オフィスから眺めるパーゴラのブドウ。 3匹の犬たちが元気に走り回れるドッグランスペース。 これから長い年月がかかるとは思いますが、楽しみながら家も庭もつくっていきたいと思っています。家を建てる時、リノベーションする時、最初に全てを完成してしまわなくても、そこで暮らしながら、生活の楽しみの一つとしてDIYでつくり上げていく家も素敵ではないでしょうか? 一つひとつが家族の想い出となり、かけがえのない時間になると思います。 建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/
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暮らし
槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「遊び心あるドア」
長年の夢だった犬との楽しい暮らし この古民家に移り住むことが決まった時に、犬を飼おうと決めていました。それも素敵な子に出会えたら、3匹の多頭飼いをずっと夢見ていたのです! まだお迎えしていない時から犬との暮らしを楽しみにいろいろ考え、犬スペースも間取りに取り込んでいました。引っ越してから素敵なワンちゃんに次々と出会い、今はトイプードル2匹と、チワワとトイプードルのMIX犬のチワプー、計3匹と一緒に暮らしています。 2階に各自のケージスペースがあり、日中はオフィスのサークルで過ごすスタイルでしたが、先日の大きな地震以来、3匹をすぐに避難させられるよう、オフィスでずっと過ごすスタイルに変更しました。従業員の出勤時には皆に可愛がってもらい、私たちもいつも癒されています。今後進めていく庭にはドッグランもつくり、3匹が楽しく過ごせる環境にしていく予定です。 お揃いのデザインでD.I.Y.した犬専用オリジナルドア この壁は古民家リフォームの際に新しくつくったのですが、犬専用ドアを設置したいので開口部を空けておいてほしいと大工さんにお願いしました。写真はキッチン側で、反対側はオフィスのサークル内に続いています。お客様がいらした時にトイレは見せたくないと思い、サークルに戻ってトイレを済ませられるようにも考えています。オフィスは細かい物も多く、ホッチキスの芯など危険な物が落ちてしまう可能性もあるため、放し飼いは禁止ゾーンです。その代わり、キッチンは遊べるスペースとして物も少なくしてあるので、安全に走り回ることができます。 小さなサイズの犬なので、基本的にはサークル飼いをしています。見守りながら遊んであげられる時間だけサークルから出しています。犬たちは『オフィス!』と声をかけると、犬専用ドアに吸い込まれるように戻っていきます^^ モールディングからD.I.Y.でドアを作成 ドアに使った木材は25㎜厚の集成材で、キッチンカウンター下の棚をつくった端材を有効活用しました。重量があったので、市販のドア用蝶番を小さく加工して取りつけています。モールディングはトイレ前の腰壁で使用した木材の端材を、ドア枠のケーシングも人間用のドアに使用して余った端材を使っています。 主な材料は、リノベーションで余った端材を使いました。同じ素材を使うことで一体感やお揃いの楽しい雰囲気が生まれ、とても素敵な作品になったと思っています。 開口さえあいていれば、モールディングはボンドでくっつけるだけで、あとはオイルステインで塗装する簡単D.I.Y.でした。 メルヘンチックな絵になるとびら お誕生日にはドアをメインに飾りつけをしました。ガーランドフラッグだけ100円均一ショップで用意して、リボンや紙のお花はラッピングした際に少しずつ余ってしまう部分を使いました。効率重視派で無駄遣いが嫌いな私は、余分な物はできるだけ買わず、あるもので工夫することが楽しみでもあります。 端材の足場板を利用して水飲み場をD.I.Y. 市販されているペットボトルを利用した吸水器。オフィスの床材に使った足場板の端材を利用して、水飲み場をD.I.Y.しました。L字形につくっただけの簡単D.I.Y.ですが、とても可愛くて気に入っています。 住まいづくりでは遊び心も大切に じっくりと考え抜く効率のよいデザインとはまた違い、こんな面白いことは、突然ひらめく私の‘思いつき’によることがほとんどです。家づくりでは、思考する「大人の私」と、先入観なしに自由に発想する「子どもの私」が共存している感じがしています。そんな「子どもの私」も大切にしておきたくて、我が家にはいろんなところに楽しいアイデアを組み込みました。 忍者屋敷のような隠し扉 2階の子どもリビングには、そこが開くとは見えないオリジナルドアが隠されています。 これも私のふとした思いつき! ここは子どもたちのスペースなので、お友達が遊びに来てくれた時にワクワクしながら遊んでくれるかなぁ~と想像してつくってもらいました。 2階にはサブキッチンを設けています。 今は必要がないキッチンなのですが、生活が変化した時に、大きな工事をせずともお料理ができるように、コンロはありませんが換気扇はつけています。現在は洗面所のような役割を果たしていて、子どもたちが1階に降りて来なくても、顔を洗ったり歯磨きができるようにしました。 サブキッチン横の本棚に見えている部分。実は、この本棚… 開きます! 奥行きのある本棚で、全体が引き戸になっています。その奥は、天窓のある屋根裏部屋。お友達が泊まりに来た時には、この部屋にお布団を敷き並べ、天窓から夜空を見上げて夢を語ってくれら最高です! ドアがとても多い子どもリビングなので、ドアによる圧迫感も減り、遊び心のある楽しい空間になりました。 既製品だけにとらわれず、自由な発想を大切にすると、オリジナリティーの溢れる自分たちだけの家をつくることができます。もちろん、素晴らしい製品がたくさんあり、そこから選ぶだけでもたくさんの選択肢がありますが、家族のライフスタイルに『遊び』を取り入れてみると、よりいっそう我が家への愛着が増すことでしょう。 ぜひ、そういう選択肢も家づくりの楽しみの一つと考えて、ご家族でアイデアを出し合ってみてくださいね。 建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/
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暮らし
槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「時短収納」2
洗濯の時短を叶える脱衣室兼ランドリールーム 家事の中でも意外に時間を取られるのが洗濯。洗濯自体は洗濯機に任せていれば時間を有効に使えますが、問題はその先。洗濯機から衣類を出して干し、乾いたら取り込み、畳み、分類し、家族それぞれのタンスにしまうまでを考えると、洗濯は家事の中で最も長い時間を取られ、なおかつ最も地道な作業かもしれません。自宅と仕事場が隣り合わせとはいえ、日中は仕事で出入りも多く、お天気に合わせて洗濯物を干している時間がないのが我が家の洗濯事情。そこで、夜に洗濯機を「乾燥」まで回し、朝には乾いているようにセットしています。 洗濯機はたいがい、お風呂場の脱衣室に置いてある家庭が多いと思いますが、我が家では加えて衣類の収納スペースもここに設けています。生活の動きに合わせて考えると、タオルはもちろん、下着やパジャマなども、常にここにあるほうが便利です。脱衣室には家族それぞれのランドリーバスケットとタオル用バスケットを置いていて、洗濯機から出して仕分けをするまでは私が行い、畳んで収納するのは各自自分で行うようにしています。家族全員の洗濯物を私一人が畳むとなると結構時間を取られますが、こうした家族の協力があると、私の働く時間が確保できます。 というわけで、我が家ではお風呂の脱衣室にも収納スペースを広く取りました。洗濯洗剤はもちろん、掃除用の洗剤や用具、アイロン、その他諸々の見せたくない生活用品の収納場所にもなっています。 今は洗濯機のみを置いていますが、いずれ収納棚をつけるか収納家具を入れて、大容量の収納を確保できるようにしています。 また、我が家ではバスタイムが子どもとのコミュニケーションの場でもあるため、3人が一緒に脱ぎ着できる広さも確保しました。 玄関横の階段下スペースをウォークインシューズクローに 一つの建物に自宅と仕事場がある我が家では、1階は従業員や仕事関連のお客様が行き来しやすいように、土足のスペースにしています。ですから靴を脱ぐのは、オフィスの中にある「家族玄関」。家族玄関の扉を開けるとすぐ階段があり、2階が家族のプライベートエリアになっています。その階段下の空間をウォークインシューズクローにし、靴を収納しています。玄関土間とウォークインシューズクローの段差をなくして同じ高さにしたのは、ズボラな私の「とりあえずキレイ」を叶えるためです。靴をきちんと棚にしまわなくても、土間から階段下へスライドさせれば、とりあえず一瞬で玄関がスッキリ(笑)。急なお客様の時などに、結構活躍しています。 ここにはペットの日用品も収納しています。ペットのケージは2階とオフィスの両方にあり、ちょうどその真ん中に位置するこの場所にあると、どちらにいても使いやすくて便利だからです。同じ物の収納場所を2カ所取るとスペースも無駄ですし、ストックの在庫量が把握しにくいので、一カ所にまとめるようにしています。ティッシュやトイレットペーパーも同様の理由で、ここにまとめて収納しています。 ファッション好きの女子2人の衣類は まとめてウォークインクローゼットへ 私と同じくらいの背丈まで成長した高校生の娘は、私の服を借りることも多くなってきました。共有で着る服もあるので、2人の衣類はまとめて同じ場所に収納することにしました。ファッション好きの女子2人の服はなかなかの量。私はほぼ着る服はパターン化しているので、そこまで増えることはないのですが、お年頃の娘の服は増える一方! 服を畳む時間や選ぶ時間を短縮するため、大容量のハンガーラックを設置してトップスはそこに、パンツ類はオープン棚に収納しています。ここには私か娘しか入らないし、また同時に入ることはほぼないので、一人が通れる通路幅を確保して収納量を優先しました。小学生の息子の衣類は量も少なめなので、自室に収納しています。 屋根裏の納戸 2階の子どもリビングに隣接し、普段は使わない屋根裏部屋の一角に壁をつくってもらい、納戸としました。ここにはシーズンオフの寝具や衣類、子どもたちの思い出の品など、一番使用頻度の低い物を収納しています。大きな物を収納するこの納戸で、その時々によって収納する物も変わりますので、棚などはつけずフリースペースにしました。 前回ご紹介したキッチンと合わせ、計5カ所の収納室のおかげで、物が表に出ることなく、定位置が決まっているため、効率よく収納、作業することができています。一般的な収納スペースよりも、広く空間をとることができているのは、古民家リノベーションのおかげかもしれません。そもそも古民家は現代住宅に比べて家が広いので、リノベーションの場合には余ってしまう箇所が出てくることが多く、「収納室」という考え方が可能です。「使う場所」「使う物」「大きさ」「使用頻度」を決めてから収納を考えると、とても生活しやすい家にすることができます。 生活するにあたって必ず必要になる収納スペース。お洒落に暮らすなら、まずそこから考えてみてはいかがでしょうか? 建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/ Illustration/Salvadorova/Shutterstock.com
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暮らし
槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「時短収納」
家を建てる時に重視したいのが収納ですよね。すっきりと片付き、その綺麗な状態を保つためには、効率のよい収納が必要になります。我が家は極力、家具を少なくと決めていたので、つくり付けの収納スペースの配置をじっくり考えました。つくり付けは動かせない収納になるため、ライフスタイルや動線を想像し、一番使いやすい位置を吟味しました。 私が考える収納のポイントをご紹介します。 ◆まずは収納量 家族が何人でどれだけの物を収納しなければならないのか。子どもたちが大きくなった時、私が年老いた時、どのくらい物が増えるのか。 おおよその物の量を計算し、それより少し大きめにスペースは取っておくことにしました。 家の大きさに応じて収納スペースにも限度がありますので、どのように収納すれば、一番効率がよいのか考え、通路の配置や幅、つくり付けの棚の間隔など、すべて私が細かく設計し、大工さんに造作していただきました。 ◆何を収納するのか 我が家には大きく分けて「パントリー」「ウォークインクローゼット」「ウォークインシューズクロー」「納戸」「脱衣室収納」の5つの収納スペースがあります。 小さな収納は設けず、すべて人が出入りできる大きさの収納室になります。忘れっぽい私はどこに何をしまったのか、分からなくなってしまうので、昔から分類したものを一箇所にまとめて収納しており、このような収納室にしました。 ◆使う物は使う場所の近くに収納する 効率化のためできるだけ動線を短くと考えると、作業する時に手の届く位置にあることが一番スムーズな動線になります。 ですが、「スッキリ」を優先させた場合、作業する場所に物が多いことはスッキリとは逆行することになります。まとめて一箇所に収納することが大前提なので、我が家では作業する場所から数歩のところに収納を配置することにしました。 ◆使いやすさ、見つけやすさ 物を探す時間、取り出す時間はできるだけ短いほうがいいので、ほとんどの棚はオープン棚にし、一目で見つけられ、すぐに取り出せるようにしました。これは、小さな収納スペースだと物が見えてしまい、乱雑なイメージになってしまいますが、収納室として個室にすることでドアを閉めればスッキリを保てます。 パントリーだけはメインルームに隣接しており、ドアの開く向きも作業しやすい方向にしたので、お客様からよく見える位置にあります。ドアを閉めれば見えませんが、お客様にお茶をお出しする時などに開け閉めすると丸見えになってしまいます。またキッチングッズや食料は細かい物が多く、オープン棚では整理がしにくいので、棚にケースを入れて収納するようにしました。 キッチンで使う物→パントリーへ 我が家のキッチンは、玄関を開けるとすぐの位置にあります。 ここはキッチンとして、ダイニングとして、応接間として、また社内会議や休憩室としても使うメインルームです。生活感はなるべく隠しておきたい場所でした。古民家リノベーションならではの撤去できない柱がたくさんあるスペースでもありましたので、柱をできるだけ壁の中に隠せるように間取りを考えました。 柱があるため、システムキッチンは250㎝のものしか入らず、キッチングッズが収納しきれません。またお菓子作りも好きなので、その用具やキッチン家電など、もともとキッチンは物の多い場所でした。そこで、キッチンには毎日使う物だけを収納し、それ以外は全てパントリーへ収納するように、大きなスペースを確保しました。 まず考えたのが、冷蔵庫を置くスペースです。 前に建てた家でもそうしたように、冷蔵庫の後ろの壁を下げて、冷蔵庫の半分が埋め込んであるような形にしています。これで冷蔵庫だけが飛び出ることもなく、造作する棚と前面が一直線になりました。通路は大人2人が通れる幅を取り、しゃがんで作業してもお尻がぶつからないようにしました。 通路を挟んで両側に造作のオープン棚があります。 左側は入れるケースを先に決め、そのケースがぴったりと収まる幅、高さに設計しました。 上部は深さのある収納ケース、下部はよく使うキッチンツールなど細かな物を収納する浅いケースを使用しています。ここにはキッチン用具や食料だけでなく、家電の説明書や書類、置き薬や日用品なども一番上のあまり使わないゾーンに収納しています。 一番下にはキャスター付きのケースを収め、調味料や粉類などをまとめて入れています。ケースごとキッチンまで簡単に運べるので、料理中は手の届く位置に置き、必要な物がすぐ取れるようになっています。 また、棚の中間部は机のように使えるオープンスペースです。ここは一時置き場や、買い物してきた物を広げてしまう作業用のスペースとして使っています。 右側はもっと大きな収納ケースを収め、お菓子やお弁当作りの用具をまとめて入れたり、キッチン家電など大きな物を収納しています。ケースに入らない大きさのキッチン家電などを収納することも考え、ウッドブラインドを付けた時に飛び出ないように、棚は少し浅めにつくってもらいました。 中間部は電気ポットなど、出しっぱなしにしたい家電置き場にして、コンセントも多めに設けています。 下部は掃除機や箒など背の高い大きな物を収納できるようにフリースペースにしました。 メインルームには電気のスイッチなどはできるだけ付けたくなかったので、パントリー内に電気のスイッチや風呂給湯器のリモコンなどを壁付けしています。この大容量のパントリーのお陰でキッチンはいつもスッキリとし、かつ動線が短いので、効率よく短時間で素早く料理を仕上げることができています。 次回は、洋服や日用品のストックなど、使いやすい収納スタイルについてお話ししたいと思います。 建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/
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暮らし
槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「キッチンを癒し空間に」
2列型のセパレートキッチン キッチンは2列型にしました。片側はIHコンロのみのシステムキッチン、振り向けば古材のテーブルに埋め込まれたシンクがあるセパレートキッチンになっています。 システムキッチンの両脇には、リノベーションならではの事情で強度的に撤去できない柱があり、システムキッチンのサイズは柱と柱の間に入るものに限られていました。この限られたスペースに、IHコンロもシンクも入れると作業スペースが狭くなり、使い勝手がとても悪くなります。 そこで、IHコンロとシンクを分けることにしました。以前から、キッチンから振り向けばすぐにダイニングテーブル、という配置が使いやすく気に入っていたため、古材のダイニングテーブルにシンクを埋め込む造作キッチンをつくりました。そして、背後にシステムキッチンという組み合わせです。 システムキッチンのデザイン たくさんの植物が似合う空間にデザインしたメインルームは、壁はアースカラー、素材は木材を多く使っています。 システムキッチンは木目調のものもありましたが、この空間に木目のシステムキッチンが入ると、まるで山小屋のような雰囲気になり、私の思い描く空間とはちょっと違ってしまう気がしました。自然と近代的なデザインとのMIXスタイルが私のテーマでしたので、スタイリッシュなオールステンレスキッチンを探しました。 オールステンレスにこだわったのは、見た目だけの問題ではなく、メインルーム全てを土足ゾーンとしたため、水を流してブラシで掃除できるよう、水に強い素材である必要があったからです。最初は業務用キッチンも検討していたのですが、一般家庭では使いにくい部分もあり、毎日使うものですので使いやすさを重視しました。 何社か実際にショールームに足を運び、決定したのがEIDAIの「ゲートスタイルキッチンS-1」です。 シンクなしのシステムキッチンにカスタムが可能で、細かな幅も指定できるという自由度の高さが決め手でした。 パンフレットではオープン棚になっているのですが、我が家は土足スペースであるため、砂や埃も通常より多いことが予想されたため、衛生面の配慮からオープンの部分は、ほとんど引き出しに変更しました。一部分だけ、鍋や洗い物の水切りかごの収納スペースとしてオープン棚にしています。 キッチン内の高さへのこだわり もとの古民家の形状から、余儀なくセパレートキッチンになりましたが、それを活かし、システムキッチンは料理のしやすい高さ85㎝、シンク側は洗い物のしやすい高さ90㎝にしました。 キッチン内は室内の床より15㎝下げ、床を水洗いする際に室内スペースに水が流れ込まないようにしています。また、段差の部分の端にグレーチングを設置し、水を効率よく排水できるようにもしました。業務用のような雰囲気のキッチンにしたかったため、機能性もさることながら、デザイン的にも気に入っています。 この15㎝の差は、コミュニケーション上のことも考えてつけた差です。私はキッチン内で立ってお勝手仕事をしていますが、子どもたち、あるいはお客様はダイニングテーブルの向こう側で椅子に座っています。でも、この15㎝の差があるおかげで、立っている私と座っている相手とで、目線が近くなり会話がしやすいというわけです。 古木一枚板のダイニングテーブルとシンク メインルームには家具は極力置かないと決めており、さまざまな用途で使用できるよう、特大のテーブルを作ってもらうことにしました。 素材は、サザン・イエロー・パイン。パインとしては「ハード・パイン」に分類され、堅くて重い木材です。ですから、その重さを支えるための土台をどうするか、土台にどうとめるか、はたまた脚のないフローティングカウンターにするにはどうすればよいかなど、かなり悩んだ部分です。 そして、次のような解決策を編み出しました。カウンター下の足元や収納スペースを少しでも有効に使用できるよう、一般のブロックよりやや幅の狭い8㎝ブロックに鉄筋を入れて積み上げ、カウンターの土台としました。そして、脚のないフローティングカウンターを実現するため、丈夫な鉄アングルを土台に埋め込みました。 当初は今より短いテーブルを設計していたのですが、実際に古木を見たら、その一枚板の迫力が素晴らしく、切断して短くするのが惜しく思われました。そこで急遽予定を変更し、長さ12フィート(約3600㎜・厚み35㎜)を、そのまま使用し、一枚のカウンターになるよう寸切りボルトで5枚の板を繋ぎ、シンク部をくりぬいてもらいました。 古材一枚板の迫力は出たのですが、実際には使い方によって長すぎるシーンも出てくると考え、片側を一般的なテーブルの大きさになるよう、真っ二つに切って移動できるようにしました。普段はぴったりとくっつけているので、一枚板の迫力はそのままに、不要な時だけ移動させることができるようになっています。 すべてを造り付けにしてしまうと、生活シーンの中で不便な点も発生してしまうかもしれませんが、このように一部分だけでも移動可能にしておくと、空間の使い方に広がりを出すことができます。 シンクは直線が美しいデザインを求め、ヨットで使われるオーバータイプのステンレスシンクにしました。 キッチンのデザインを考える前に、絶対にコレ! と決めていたのが、キッチン水栓です。アンティーク風の雰囲気を演出するうえで「古材のテーブル×ステンレス水栓」というのはチグハグな感じがして、私の中ではあり得ない組み合わせでした。 できるだけアンティークっぽい雰囲気のデザインで、なおかつ機能性が高い水栓が欲しい! そして最終的に採用したのは、アメリカのDELTA社のAddison Touchです。重量感があり、男性的でも女性的でもない、そのちょうどいいバランスのデザインに惚れました。デザインはアンティーク感が強いのですが、なんと機能的なタッチ水栓なのです! 庭仕事も多く、手が土で汚れることも多いので、水栓を握らずに水が出るタッチ水栓は、我が家ではとても重宝しています。水栓のどの部分を触っても水が出るので、カウンター側から操作することも可能です。もちろんお湯も出る混合水栓です。 唯一、色味を足したキッチンタイル 植物が似合うようにと、できるだけシンプルに色味の抑えたデザインで創り上げてきたメインルームですが、キッチンタイルだけは色を足そうと考えていました。どんなデザインにも共通することですが、全てを統一してしまうと‘面白味’に欠けるため、足し算引き算のバランスが重要です。さまざまな色を検討し、流行のブルックリンタイルも選択の一つにあったのですが、もっと面白味のあるものがいいなぁと、悩みました。 多くのタイルを検討して、結局直感で決めたのが、このTNコーポレーションの「六花」。日本製のタイルです。 私はヨーロッパのアンティークも好きですが、日本独自の美や配色も大好きです。花を愛する者として「六花」というネーミングも、六角形のそのレトロな形も、私が頭で描いていたイメージそのものでした! 一つひとつのタイルにも微妙に濃淡がありますが、我が家では無地とレース柄、レザー柄の3つのタイルを採用し、アトランダムに配置しています。タイルは古民家の空間に馴染み、主張しすぎず、でも存在感があり、このコーナーは私のお気に入りになっています。 換気扇の上には、エアープランツのフェイクグリーンを。これは、タイルの淡い色に合わせて選びました。 炊飯器やオーブンなどの家電やゴミ箱は、シンク側のカウンター下に配置しており、とてもスムーズに料理ができます。ですが、キッチン側からしか見えない位置ですので、お客様に生活感が丸見えになる心配もありません。 吊り戸棚がないすっきりとしたデザインにしたので、キッチン収納が少ないのでは? と思うかもしれませんが、そこはキッチンに隣接した大型パントリーに、たっぷり収納スペースを確保して解決しました。 次回は、このパントリーやウォークスルー・シューズクロークのお話をしたいと思います。
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暮らし
槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「コミュニケーションのための間取り」
効率化とコミュニケーションの2つの課題 古民家をリノベーションするにあたり重要なことが間取りです。もとは12部屋の小さな和室が集まったような間取りでした。 強度的に撤去できない柱が多く、どのようにして現代に合った使いやすい間取りに変えるかという物理的な課題と同時に、それに加えて、我が家は会社兼自宅のため、仕事スペースと自宅スペースの振り分けをどうするのかという課題もありました。その課題をクリアするために、最も重要視すべきは、私が一日24時間の中で、どれだけ有効に時間を使うことができるかということ。そこで生まれたのが、仕事の効率化を図るために、廊下をなくして仕事場と家庭をドア一つで行ったり来たりできる間取りです。 この間取りのメリットは、仕事の効率化が図れるとともに、コミュニケーションが取りやすいということ。私は母親として、また社長として家族や社員とのコミュニケーションをとても大切に考えています。仕事をしながら家族とコミュニケーションを取り、はたまた家事をしながら社員とコミュニケーションが取れれば理想的です。 1階は私が一日の大半を過ごすオフィスルームを中心に、壁1枚を隔てて家族スペースになっています。また、オフォス内には2階の「家族リビング」へつながる家族玄関があり、子どもたちは帰宅後、オフィスにいる私に一日の出来事を話してから2階の「家族リビング」へ帰って行きます。私は仕事の手を止めることなく、子どもたちの顔を見て、話を聞き、その表情から心情を読み取り、フォローすることができています。 天井の梁はもともとあったものではなく、つけ足した部分になります。「家族リビング」として大きな空間を確保するために、従来あった壁や柱を取り除いたため、強度的に必要になりました。 この梁は壁紙で覆うことや、天井を低くし隠すこともできたのですが、大きなボルトも隠すことはせず、自分たちでウォールナットに塗装し、あえてデザインとして見せました。これは現し天井(あらわしてんじょう※仕上げ材を用いず構造を露出するつくり)というスタイルで、デザイン面だけでなく、1階と2階の隔たりが薄くなったことで、オフィスにいても2階の足跡が聞こえ、大きめの声を出せば2階の子どもたちと普通に会話ができるのです! まだ小学生の息子には多くの声かけも必要ですが、何をしているのかも把握でき、部屋が離れていても常に声をかけられる環境がここにはあります。 子どもたちとの時間、姉弟の時間をつくる家族スペース 私が子どもたちとの時間が多くは取れないため、個室にこもることなく、子ども同士で過ごせる時間を確保したいと考えました。 個室にはテレビは置かず、子ども2人が共有して過ごせる2階の「家族リビング」にテレビなどを置き、姉弟の時間が取れるようにしています。お友達が遊びに来た時は「家族リビング」で広々とゲームなどもできるようになっています。また、3匹の犬のケージもこのリビングにあり、広々とした空間で遊ばせてあげることができます。ちなみに「家族リビング」にはIPカメラを設置しており、オフィスの私のパソコンから犬や子どもたちの様子がリアルタイムで見られるようにもしています。 廊下をなくしたため、「家族リビング」には6つものドアがあります。 それぞれの子ども部屋へ、階段へ、トイレへ、ウォークインクローゼットへ、屋根裏へ。ドアだらけの部屋となりますが、逆にそれを利用し海外のアパートメント風に! 壁紙は外壁をイメージしてレンガ模様で、ドアは黒のしっかりとしたディテールのものにすることで個々の家に帰るような雰囲気をつくっています。 いずれはドアに部屋のナンバーをつけて、よりアパートメント風にしようと考えています。現在、2階は子どもだけのスペースのため、1階のシンプルなデザインとは違い面白味を持たせました。家族スペースは全て壁紙を採用し、生活の変化と共に変更できるように考えています。 私はといいますと、夕食後もオフィスに戻り仕事をしますので、今のところ子どもたちとくつろぐ時間は設けていません。 多くは取れない子どもたちとの時間ですが、食事中や、一緒に入るお風呂の中、また従業員が帰宅して私だけがオフィスで仕事をしている時間など、細切れではありますが話す時間は意外と多く、コミュニケーションは十分に取れていると思います。私の個室は1階のメインルーム奥にある、たった3.5畳のとても小さな部屋にしました。 シンプルに眠るだけの部屋で、もちろんテレビもパソコンもありません。今はできるだけ仕事をする時間を取りたいので、この狭さで不自由はありません。生活スタイルが変わった頃には子どもたちは家を出ているでしょうし、2階の個室に移動することも可能です。将来、この3.5畳の部屋はゲストルームなどに活用できればと考えています。 仕事をするには時間の確保が不可欠ですが、子育てにおけるコミュニケーションは時間の長さだけが全てではないと考えています。 私が仕事を始めたときは、娘は6歳、息子は1歳でしたが、それから10年。ある程度年齢も上がり、自我に目覚めた子どもに親としてするべきことは、見守り、助けを求めてきたら全力で助けることだと考えています。 我が家は手取り足取りではなく、自分のことは自分で、がモットー。自分でできるようになるための子育ては必要ですが、できるようになれば、むやみに手を出す必要はないと考えています。子育てにおいては、時間が短くとも、ポイントを押さえた濃密な時間を過ごすことを目指しています。 仕事と家庭との両立に悩む女性は少なくありません。私も長年、頭を悩ませてきたことでしたが、子どもと会社の成長とともに、こうして解決の糸口が見つかりました。私のこの家づくりが、同じ悩みを持つ誰かのヒントになればとても嬉しいです。
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槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「家事時短間取り考」
「主婦」「母」「社長」をこなすための家づくり 私が「Junk Sweet Garden Tef*Tef*」というweb上のプランツセレクトショップを自宅で始めたのは、10年前。娘が6歳、息子が1歳の時でした。ショップを一時閉店し、主婦業と母業をメインに生活した時期もありますが、やはり植物が好きで、お客様に求めていただける喜びを知ってしまった私は、人生から仕事を切り離すことができませんでした。仕事をしながら、母としても子どもが幸せになれるように育てたい! 「主婦」「母」「社長」の兼業は簡単なことではありませんでしたが、なんとかこの10年、3つの役割をこなしてきました。しかし、会社の成長とともに、3つの約をこなし続けるためには、これまでの場所では難しくなってきました。そこで始まったのが、この古民家リノベーション計画です。 ですから、間取りを考えるうえで私が最も重要視したのは作業効率。「主婦」「母」「社長」を一人でこなしていくには、一日24時間の中でどれだけ有効に時間を使えるかがポイントです。効率化を図るということは、いかに無駄な動きを省くかということでもあります。しかし一方、省けない、省きたくないのがコミュニケーション。母親として子どもたちとのコミュニケーションは当然、大切にしていますし、社長として社員とのコミュニケーションもとても大切に考えています。 何を省略し、何を省略しないのか。消去法で省略可能なことといえば、家事が残りました。自宅兼会社ということを最大限に有効活用し、仕事の合間の細切れの時間で家事をこなし、すぐに仕事に戻れるように間取りを熟考しました。 「細切れ家事」ができる廊下のない間取り 仕事から家事へ、家事から仕事へのスムーズな動線の確保を考えた結果、廊下のない間取りが生まれました。簡単ではありますが、上が現在の我が家の大まかな間取り図になります。 まず決定したのが、前回にお話ししたアイアンのテラスドアのあるメインルーム。ここにキッチンを配置し、日中子どもが学校へ行っている時間は応接間や社内会議部屋、また従業員の休憩部屋として使っています。ここは夕方からは自宅のダイニングとして夕食を家族で頂きます。夕方、ご飯をつくっている時にまだ従業員が仕事をしてくれていることもあります。そんなときもご飯をつくりながら仕事の話ができるように、キッチンから従業員の顔が見えるように設計してあります。将来、生活が変化した時に大きな工事をせずに済むように、2階にもセカンドキッチンを設けていますが、現在は使用していません。今は私が日中1階で仕事をし、その合間の細切れの時間を使い、夕飯の仕込みをしたり、キッチンまわりの家事をこなせるように、仕事スペースとキッチンスペースは隣接しているほうが時短になり効率的です。 廊下はなく、扉一つで隣はオフィスです。私は一日で一番長くオフィスにいるので、間取りはオフィスを中央に配置しました。オフィスと自宅スペースは壁一枚ですから、仕事をしていても洗濯機や炊飯器、オーブンの終了メロディーが聞こえ、仕事と家事を同時進行させることができます。廊下がないので扉一つでランドリーへ、またはキッチンへ行って家事を済ませ、またすぐオフィスへ戻って仕事に取りかかれる環境です。 また、私や従業員が花苗を管理する農業ハウスと母屋を一日に何回も往復するため、1階はほぼ全面を土足スペースにしました。ですから、玄関に靴を脱ぐスペースは必要なく、靴を脱ぎ履きする時間も短縮! いずれ庭ができたら、野菜を庭から採ってきてすぐにキッチンで料理することもできます。 本来廊下とするスペースを共有して使う部屋にすることにより、廊下がほとんどないこの間取りは、私にとって子どもたちと顔を合わせる時間を少しでも確保することができますし、従業員とも常に顔を合わせることができ、その動きも把握しやすくなっています。 北側には花苗を管理する農業ハウスがあり、日中私はその農業ハウスかオフィスにいます。 大まかに事務スタッフ、梱包スタッフ、植物管理スタッフと3部門に分かれており、私がどの従業員ともスムーズに連携が取れるようにしました。会社としての間取りは、オフィスから梱包部屋へはドア一つで区切られているだけですので、開けて仕事をすれば指示も聞こえる近さです。 また梱包部屋から農業ハウスまで一直線で行ける動線を確保したりと、全ての場所で効率を重視し、間取りを組み立てていきました。 ‘私らしい’間取り 手前のドアは、家族玄関へのドアになります。 子どもたちが帰ってくると、私の席から目線が合うようにし、帰宅後はここで一日の出来事を話してから2階の家族スペースへ帰って行きます。私は仕事の手を止めることなく、子どもたちの顔を見て、その表情から心情を読み取り、フォローすることができています。 会社兼自宅の最大のメリットは、「細切れ家事」が実現でき、仕事をしながら子どもたちとのコミュニケーションも取れる点にあります。「仕事」と「プライベート」は完全に分けたい方には向かない間取りかもしれませんが、私には仕事も家事もすべて自分のやるべき生活の一部ですから、分けるという考えはありません。また、マルチタスク的に同時にいろんな作業をこなすのが得意なので、このような‘私らしい’間取りが生まれました。 家づくりで間取りに悩んだら、ご自身がどのように動ければスムーズなのか、一日のスケジュールを書き出してみてはいかがでしょうか。生活スタイルに合った、あなたらしい間取りが浮かび上がってくるはずです。 建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/
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槇谷桜子の古民家グリーン・リノベーション「最重要項目は何か?」
絶対に譲れない我が家の顔「テラスドア」 「庭も空も全部入るような、壁一面の大きなテラスドアが欲しい!」。 古民家をリノベーションするうえで、一番最初に決めたのは庭に面するテラスドアです。家の外観のデザインというよりも、室内から庭を眺める際の「フレーム」として、テラスドアのデザインは家づくりにおいて最重要事項でした。そのフレームを通して庭を眺めた際に、より素敵に、庭にいるときとはまた違った表情の風景を楽しみたいと考えていました。 また、玄関は家の顔とよくいわれますが、私はテラスドアのほうを我が家の顔、フォーカルポイントにしようと決めていたので、ここから家全体のデザインを決めていきました。大好きな花がいっぱい咲く庭を眺めるために、一番大切にしたかったからです。 イメージぴったりの窓をつくるには? 現代のサッシの主流はアルミサッシです。アルミサッシにも素敵なデザインがたくさん増え、何より気密性が高く機能的。でも私の中では、『機能性』<『デザイン』が優先順位。機能性は後回しでもよいので、とにかく私のイメージするデザインの中で暮らしたかった! メーカーのアルミサッシもいろいろと検討したものの、残念ながら私のイメージにぴったりのものが見つかりませんでした。だったらオーダーでつくってもらうしかない! どうせならずっと憧れていたアイアン製で、朽ちていく風情も楽しみたい! というわけで、アイアンサッシをフルオーダーで制作してくださる業者探しが始まりました。 苦戦した業者探し とはいうものの、私にとっては未知の世界。インターネットで『アイアンサッシ』を検索しても、個人邸に使われている例はとても少なく、業者の情報も少ないうえに、私のイメージと合うところが見つからない…。いったんは家全体を施工してくださった中内工務店と取り引きのある金物業者に見積もりをお願いするところまでいきましたが、私の頭の中にあるイメージをどこまで理解していただけるかという不安が残りました。 たくさんの方にアプローチして情報を集めていたなかで、素敵な巡り会いがありました。私が家づくりを依頼するきっかけとなった中内工務店の施主の方が、「イメージを理解してくれそうな人がいるよ」と、ある方を紹介してくださったのです。 ファーストインスピレーションで衝撃の出会い! 現場を見てくださるということで、ドキドキしながら待っていると、遠くから大きなトラックが来たのかと思うような車の音が…。現れたのは、なんて可愛い旧型のワーゲン! 思わずアイアンサッシのことを忘れて、その車、本当に走れるの⁈ と可愛い乗り物について、いっぱい質問を投げかけてしまいました。 車の錆もエイジング加工ではなく、本当に年月を経たリアルなビンテージ! そんなビンテージ車から降りてきた方は、私と同世代の、おしゃれで笑顔のとっても素敵な「TUN UP CAFE」の中村さんという男性でした。 「あの車に乗り、自分に似合う服を着て仕事をするこの方なら、私のイメージやこだわり、妥協したくない気持ちをきっと分かってくださるはず!!!」と直感で確信しました。 それからたくさんお話をし、この家にもとても興味を持ってくださり、私のイメージを口頭で伝えると、すんなりと理解していただけました。 家づくりでは、こうした幸せなご縁をたくさんいただきました。中内工務店さんもですが、この方も出会うべくして出会えたのだと思っています。日常生活もそうですが、必要な時に必要な人が現れ、必要な時に必要な情報が自然と集まるものだと思い、生きています。だから、流れに逆らわず、風に乗って飛ぶように! が私の信条。 デザインは私、専門知識はプロに任せる 自分にこだわりがあるのはよいことだと考えていますが、建築は専門的知識が不可欠であり、私が素人であることも自覚していました。ですから、デザインは私が、使う素材や塗装はプロの意見を重視して役割分担でテラスドアを制作することになりました。私が書いた簡単なデザイン画を見ていただき、枠となるフレームより格子部分は細く、女性らしい柔らかな雰囲気が出るようにお願いしました。自分の持っているイメージや雰囲気を実現する際には、ディテールの具体化が必要です。 ・中心は両扉が開くフレンチドアに。 ・両脇の一マス分ははめ殺しに。 ・すべて格子ではなく、一部分を鉄板にすることで、よりアイアン製であることを主張し、既製品とのデザインの違いを出してほしい。 などなど、ディテールを詰めることによって、当初私が抱いていた女性らしさ、フレンチテイストを求めながらも、直線美のスタイリッシュさもMIXしたデザインが出来上がっていきました。 最後まで悩んだのは、取っ手部分。大袈裟な装飾やゴツいデザインはNG! ここはプロに考えていただいて、私の伝えたNGポイントを避けて、握りやすさ、開けやすさも考慮してつくっていただきました。 プロ目線のこだわり 中村さんは、私と同じ「こだわり人間」。自分の仕事に誇りがあれば、こだわりがあるのも当たり前です。私自身、依頼主の言いなりではプロとはいえないと常々思っており、依頼主の期待以上のことをしてこそプロでしょ! と考えています。中村さんのこだわりポイントの一つは「塗装」。 私の素人知識では「色はマットな黒で」程度しか頭になかったのですが、塗装の方法もさまざまあるとのこと! 一通り説明していただきましたが、詳細な部分は知識不足で私には理解できず。しかし、そのこだわりと熱意にすべてお任せすることにしました。 期待以上の出来上がり ガラス部分も一枚の大きなガラスを格子で挟み込むのではなく、一マス一マスが独立したつくりで、細いフレームにも凹凸があり素敵な陰影を演出してくれています。 「ここはプラスネジじゃなく、六角ネジでしょ!」という中村さんのプロならではの細かなこだわりも随所に加わり、完成品は期待以上。200kg近くも重量があるので、基礎部分には鉄骨の柱を入れ、設置には2人がかりで3日も要しました。 中村さんとつくり上げたこのテラスドアは、これからの長い人生を毎日共にする大切な私の一部分。毎朝、「やっぱり素敵~~~!」と晴れやかな気分にさせてくれています。 正直、このテラスドアは予算の2倍もかかってしまいましたが、後悔はありません! リノベーションも新築も予算を考えて進めなければいけないことですが、家の顔となる一番大好きな部分にとことんこだわると、家全体がとても素敵に見えてきます。 テラスドア制作/「TUN UP CAFE」https://www.instagram.com/tun_up_cafe/ 建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/
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緑と暮らす家づくり・古民家をリノベーションする
なぜ新築ではなく、古民家リノベーションを選んだのか それは、私が運営している園芸店の花色にも表れているように、真新しいものより古いアンティークなものの色合いや風合いに魅力を感じるからです。 そして、日本独特の控えめな色づかいや、活け花に見られるようなアシンメトリーの絶妙な黄金比、自然界に見られる計算されたものではない、言葉では言い表せない真似できないような神々しさにも魅力を感じています。 ですから、私が求める家はピカピカの新築では得られないと思い、年月を経た古民家を現代に合ったデザインで蘇らせたいと考えたのです。 古民家リノベーションといえば、黒い梁が主張し、壁は白色で「和」や「アジアンテイスト」が主流ですが、私の思い描いていた家は少し異なり、日本の美学を取り入れつつ、自然の中で長い時間が経過したような、海外インテリアとのMIXスタイルでした。 そのイメージを人に伝え、再現してもらうのはとても難しかったため、設計士やデザイナーには依頼せず(強度計算など一部はプロに任せつつ)、デザインはアマチュア向けの設計ソフトを使い、すべて私が行いました。そして、着工前に完全にデザインを完成させず、施工しながら、現場を見ながら私らしさを足していく方法を取りました。 工務店さんが驚かれるほど細部にもこだわり、間取りだけでなく、私がデザインした造作物なども大工さんにつくっていただきました。材料も自分で探し、ほとんどのものは施主支給し、DIYで仕上げた場所もたくさんあります。 家を建てる目的は家庭と仕事の両立 この建物は一般住宅と異なり、会社兼社長自宅です。 私は母であり、経営者でもあるため、子どもと共に過ごす時間が取りにくいので、せめて近くにいられるように、また、仕事の合間に家事をこなし、できるだけ仕事をする時間が取れるように、自宅と仕事場を一緒にすることを選びました。 ですから、この家づくりは、子どもを育てながら仕事も諦めず、妥協せずに頑張れる環境づくりでもありました。そして今、それを実現することができました。 働く女性が増える中で、起業する女性も増えています。そんな夢を描きながらも、両立に悩んでいる人がいたら、子育ても仕事も諦めないで! 必ず両立できる方法はあります。 築50~100年の古民家から新しい建物へ ます最初にビフォー・アフターを見ていただきましょう。 この古民家は、もともと築100年を超えていましたが、半分だけは建て替えられています。約200坪の敷地に母屋、門屋、農小屋、蔵が建っていました。 2016年3月から撤去作業を開始し、同年9月に未完成の状態での引っ越し。キッチンができた2017年1月を、とりあえずではありますが完成としています。おおよそ10カ月をかけて、素敵な空間へと蘇りました。 庭の部分は、まだこれから楽しみながらつくり上げていく予定です。 長きに渡る撤去作業の日々 道路との高低差が大きく、まずは水が溜まらないように盛り土するところから始まりました。土を入れるため、まず庭の生い茂る木々の撤去、門屋も盛った土に埋まるため、撤去の運びとなりました。 アトリエとして生まれ変わらせたいと考えていた農小屋だけは、ジャッキで全体を持ち上げ、大きく傾いていたのを水平にして残すことにしました。取り払えない柱を残し、不要になった柱、床材などなど、廃材の山となりました。 畳も70枚以上あり、すべての砂壁の解体など、下準備にかなりの時間を要しました。 基礎部分と柱と屋根だけになり、ここからが始まり 柱が露わになり、隠れていた屋根裏も現れ、ここからデザインを詰めていきました。ど素人の私には図面を起こすこともできませんので、私でも使えるソフトを探しました。私が実際に使ったのが、「3Dマイホームデザイナー12」です。基本的な機能しか使っていませんが、自分の頭の中のデザインを実際に工務店へ伝える際にとても役立ちました。 家全体の形をつくり、動かせない柱を書き入れ、そこからできるだけ柱が表に出ないよう、壁と一体になるように間取りを考えました。 結果的に1本だけ隠すことのできない柱が残りましたが、これが古民家であった頃の雰囲気をうまく残してくれています。 一日の日照角度の変化から陽がどの程度入り込むかも計算できたので、観葉植物を育てるにあたっての参考にもなりました。 私の頭の中にしかなかったデザインが形に 最終的にでき上がった完成予想図が、こちらになります。 会社としての効率性、家族が大きくなった時も考えての駐車スペース、3匹の犬たちとの暮らし。 自分がどのように暮らしたいのか、そして環境はどのように変わっていくのかをよく考え、何年先でもここに住んでいたいと思える家にしました。 一番最初に絶対にデザインに取り込みたかったのは、大好きな花が咲く庭に繋がる大きなフレンチドア。 私の手書きのデザイン画から職人さんが手づくりしてくださった、とても思い入れのある部分です。 次回は、このドアのお話しをご紹介したいと思います。 建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/