あまの・まりえ/1,300坪の敷地に28のテーマガーデンが一度に巡れる「ガーデニングミュージアム 花遊庭」のヘッドガーデナーとして、庭づくり、植栽メンテナンスを手がける。NHK『趣味の園芸』の講師や各地のガーデンでの講演会などでも活躍。『NHK趣味の園芸 4つの役割が決め手! 宿根草でつくる自分好みの庭』(NHK出版)など著書も多数。
天野麻里絵 -「ガーデニングミュージアム 花遊庭」ヘッドガーデナー-
あまの・まりえ/1,300坪の敷地に28のテーマガーデンが一度に巡れる「ガーデニングミュージアム 花遊庭」のヘッドガーデナーとして、庭づくり、植栽メンテナンスを手がける。NHK『趣味の園芸』の講師や各地のガーデンでの講演会などでも活躍。『NHK趣味の園芸 4つの役割が決め手! 宿根草でつくる自分好みの庭』(NHK出版)など著書も多数。
天野麻里絵 -「ガーデニングミュージアム 花遊庭」ヘッドガーデナー-の記事
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寄せ植え・花壇
小さな花壇で夏から秋を彩るカラーリーフ5選
夏ならではのカラーリーフを味方につけよう 夏というと、ガーデンで楽しめる植物も少なくなるイメージがありますが、気温があるこの季節だからこそ楽しめる熱帯性の植物を取り入れれば、夏らしさも加わって、庭が一気に華やぎます。耐暑性が強く夏も旺盛に成長するので、整姿を兼ねたピンチを繰り返すことで枝数が増してボリューム感ある姿に。秋には日中と朝夕との温度差で、発色のよい美しい姿を楽しむことができます。耐寒性はないため、屋外で楽しめるのは秋までになりますが、季節感がアップし、ローメンテナンスにもつながります。 カラーリーフは草姿を生かして選ぼう さまざまな草花との組み合わせで楽しむことが多い花壇。カラーリーフというと、色とりどりの葉色に目が行きますが、ガーデンで楽しむには、色以上に姿をよく知っていることが大切。同じ草姿のものを隣り合わせると、広がりやすいものほど互いが重なって日光のうばい合いや混み合い、徒長の原因にも。長く楽しむうえでも、草姿の違うものを合わせることを意識しましょう。草姿を生かすことでメリハリもアップして、全体の美しさにもつながります。 ① 地面を覆うように広がる細かな茎葉で足元をカバー トレニア・コンカラー 細かな茎葉を這うように広げるタイプは、密に地面を覆って小さなスペースをカバーするのに最適です。緩やかな傾斜の土留めにも活躍します。 ライムリーフが色鮮やかなトレニア・コンカラー。ブルーの花とのコントラストで1株でも華やかな印象を与えます。半日陰でも楽しめるトレニア・コンカラーのライムリーフが、暗くなりがちな半日陰を明るい印象にもしてくれます。 葉の大きなギボウシ、ヒューケラの間に、細かな葉のトレニアが株元をカバーするように。明るいグリーンの中で、ライムイエローのトレニアの葉色が一層明るく彩ります。 ② 分枝し適度なボリューム感を与えて周りを引き立てる アルテルナンテラ・デンタータ‘レッドフラッシュ’ 立ち上がりながらよく枝分かれするので、適度なボリューム感をプラスできます。ほどよい大きさの葉で、リーフの色もしっかり楽しめます。 斑入り模様のある銅葉が美しい、センニチコウの仲間です。日が短くなる秋になると、丸い白花を咲かせます。落ち着いた葉色で、全体の引き締め役に。晩秋に開花するので、ピンチは9月上旬頃までに。 斑入りハイビスカスと合わせて、赤葉にグラデーションの幅を広げてくれます。低木は、斑入り葉のきれいなロニセラ‘レモンビューティ’と銅葉のメギ。どちらも小葉で、色と形の違いを出してリーフだけでもカラフルに。 ③ 丸い葉は茂ると色や形が印象的になり、シーンのポイントに ヘミグラフィス・アルテルナータ 特徴ある葉色のリーフは、葉のサイズが大きいほどしっかりと葉色が楽しめ、印象的なシーンを演出します。丸い葉はボリューム感があって見応えもあります。 艶のあるメタリックな葉色が魅力。日に当たると赤が強く出て、半日陰ではシルバーがかります。英名ではレッドアイビーとも呼ばれています。這って広がるので、グラウンドカバーに。伸びもよいですが、切り戻せばサイズを調整できます。高さのある花壇やコンテナでは、枝垂れる姿も楽しめます。 黒みがかった葉に、紫花のプレクトランサス‘モナ・ラベンダー’で、シルバーがかった葉色を調和させています。ヒューケラのライムリーフや葉の大きなギボウシでコントラストを効かせてすっきりと。 ④ すらりと立ち上がり、風にそよぐ姿が庭に動きをプラス ぺニセタム‘チェリースパークラー’ すらりと伸びるグラスは風にそよぐ姿が涼しげで、庭に動きも与えてくれます。こんもりと茂る草姿の中に加えると変化づけになります。 斑の部分が赤く色づき、夏から秋にかけて、赤紫の長い花穂が楽しめます。銅葉のパープルファウンテングラス(ペニセタム・セタケウム‘ルブラム’)に比べて、斑入りの明るい葉で花穂が一層くっきりと見えます。 銅葉でこんもりと茂るベゴニア‘ダブレット’に、すらりと伸びる斑入り葉のペニセタム‘チェリースパークラー’で動きをプラス。植え込む植物の種類を絞ると、個々の植物の花や葉の色や形、フォルムが強調されて、しっかり個性を楽しめます。 ⑤ コンパクトでこんもりまとまるので狭いスペースに 小型タイプのコリウス こんもりとドーム状に茂るタイプは、よく枝分かれして形よくまとまりやすいので、小さなスペースにもぴったり。植物同士の株元の隙間をカバーするのにも活躍します。 コリウスには、カラフルで生育旺盛な大型タイプが多いのですが、まとまりがよいコンパクトなタイプもあります。小葉で葉色もカラフルなので、葉色を生かして花壇手前のワンポイント使いにオススメ。 赤花のベゴニアに、ライムイエローの小葉のコリウスですっきりと。手前のライムイエローのリーフで、庭全体が一層明るい印象になります。
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寄せ植え・花壇
小さな花壇で初夏から秋にかけてナチュラルを印象づける草花5選
暑さに強く、長く楽しめる草花を選ぼう 春先から初夏にかけて咲く草花の種類は多く、いろいろな宿根草も加えると、高さがありボリューム感があるナチュラルなシーンをつくりやすかったものですが、初夏以降は端境期で、夏に向かうにつれて花の種類も少なくなりがちです。夏花壇をつくる際、これからのシーズンを長く楽しむためにまず大切なのが“夏を乗り切るための耐暑性をつけておくこと”です。初夏のうちに植え込んでおくことで、充実した株に育て、見応えある草姿を楽しむことができます。さらに、植える植物の選定は、開花期が長いこと、よく枝分かれして次々に花が上がること、花もちがよいことなどがポイント。個々の植物のよさを生かして組み合わせ、オリジナルのシーンをつくってみましょう。 ナチュラルを感じさせるポイントって何? ナチュラルさを感じさせるには、花だけでなく、植物の姿全体をよく知っておくことが大切。花以外の茎や葉、枝ぶりをも生かした配置ができると、一層植物の個性が際立ちます。自然な雰囲気では見応えが出ないかといえば、そうとも限りません。組み合わせや植え方で見せ場をつくれば、メリハリのあるシーンになります。花の形や草姿の違うものを隣り合わせて、特に見せたいものは数株グルーピンクすると印象が強くなります。以下に、具体的なポイントをご紹介しましょう。 ① 長い花茎の先に咲かせる個性的な花 センニチコウ‘ファイヤーワークス’ 蛍光色のピンクを思わせる色鮮やかな花色が目を引きますが、一輪は花径2㎝程と小さく、ボール状の花が長い花茎の上に浮かんでいるような、独特の景色をつくってくれます。高性ですが、よく枝分かれするので、同じように枝分かれするアガスターシェやネコノヒゲなどと組み合わせると、互いに重なり合ってストッパーの役割にもなり、支え合ってくれます。 ② ボリューム感があるけれど周りにもなじむライムグリーン ジニア‘ジャイアントライム’ 切り花タイプのジニアで、草丈は茂ると1mほどにもなりますが、茎は固くしっかりとしているので倒れにくいのが魅力。花もちもよく、一つの花を長く楽しめます。ジニアの中でも花びらが多く、花径10㎝程でボリューム感がありながらも、グリーンの花色は周りに溶け込んで中性的でやわらかな景色を生みます。 ③ 個性的な花姿と透き通るような花色 クレオメ‘セニョリータ’ 透明感があり淡い花色は涼感があり、他の花色を重ねてもうるさくなりにくく、調和しやすいのが特徴です。くるんとした愛らしい花形は、他の草花を引き立てる効果も。‘セニョリータ’は種間交雑によって誕生したクレオメで、クレオメ特有のトゲや触った時のべたつきがなく、扱いやすいのも魅力です。草丈80~120㎝でよく枝分かれして、次々開花します。暑さや乾燥にも強い性質です。 ④ 花もガクも楽しめる サルビア・ウィッシュシリーズ 2種 長い花穂は色づいたガクと花びらとのコントラストが美しく、花が落ちてもガクを楽しめ、さらには長期間楽しめるうえにローメンテナンスで育ちます。シャープな花姿で縦のラインが強調されるので、すっきりとした印象に。放射状に株が広がるので、株元に地面を覆うように広がるイポメアを植えてグラウンドカバーにすると、すっきりとまとめやすく花も引き立って見えます。 ⑤ 初夏から秋に繰り返して咲く花を主役に 暑さに強い丈夫なダリア 花色、形、大きさがさまざまあり、バリエーション豊富なダリアは、初夏から秋の庭の主役花にぴったりです。暑さに強い丈夫なダリアは、耐暑性に加えて、ダリア特有のうどんこ病にも強く育てやすい、選抜された品種も。ダリアは、秋にも花つきの苗が出回りますが、初夏に植えておくことで株が育ち、気温が下がる秋には一層美しい姿で楽しむことができます。
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寄せ植え・花壇
花壇をローメンテナンスで長く楽しむ!初夏からの花5選【初めてのガーデニング講座】
ローメンテナンスに長く楽しむコツは「植物選びと植え替えのタイミング」 5月はまだまだ春の花も楽しめますが、関東以西の温暖地では、日中は30℃を超す真夏日となる日も珍しくはありません。秋から楽しんできたパンジーやビオラなど、冬花壇を代表する草花は姿が乱れるうえ、タネが目立つようになります。花壇を長く美しく保つには、夏と冬の厳しいシーズンを乗り越えることがポイント。5月以降は夏を越すために、暑さに強い草花を選ぶことが大切ですが、その力を存分に発揮できるよう、本格的な夏がやってくる前に、植物を大きく育てておきましょう。 開花期が長いだけじゃなかった! 美しく花壇をキープする草花 花壇で長く楽しむには、開花期が長いことが条件になりますが、よく枝分かれして次々花が咲くことや花もちがよいこと、さらには花がらが目立ちにくい品種を選ぶと、少ないお手入れでも見映えのよいシーンをキープできます。では、具体的に条件を満たす植物をご紹介しましょう。 花選びのキーワード「丈夫で暑さに強い」 ベゴニア・ベビーウィング 花壇で長く楽しむには、耐暑性があって夏越しできることが大切です。暑さに強い品種を選べば、植物自体が元気に育つので、結果的にローメンテナンスで美しい姿を楽しめる花壇になります。 木立性ベゴニアのミニチュア版、ベゴニア・ベビーウィングは、楕円形の葉もつやがあって美しく、その葉の上で咲く花もくっきりといっそう美しく見えます。耐暑性があり、株まとまりもいいので、お手入れも楽。カラーバリエーションも豊富で、花壇に合わせてコーディネートを楽しめるのも魅力。ピンクの花は淡くやさしい色合い。 【組み合わせ例】 手前には、こんもりとまとまるベゴニア‘ダブレット’を合わせて。間にユーフォルビア‘ダイアモンドフロスト’を挟んでボリューム感をプラス。 花選びのキーワード「強健で夏も休まず咲く」 アンゲロニア・エンジェルフェイス 暑さに強い植物でも真夏に花が休んでしまっては、葉だけで寂しい印象になりがちです。夏の間も花を休めずに次々咲いてくれる品種なら、常に花の彩りが欲しい場所での植え込みにぴったりです。 アンゲロニアの中でも、大輪で高性のエンジェルフェイスは、よく枝分かれしてたくさんの花茎が上がるので見応えがあります。すっきりと立ち上がるので、高さが出ても乱れにくく、他の草花と合わせやすいのも魅力。花壇後方に入れたり、小さな花壇では主役花としても活躍します。‘ウェッジウッドブルー’は、爽やかなブルーとホワイトのバイカラー。 【組み合わせ例】 エンジェルフェイス‘ウエッジウッドブルー’を主役に、ユーフォルビア‘ダイアモンドフロスト’でつなぎ、手前の這性のヒューケレラ‘サンライズフォール’のライムリーフとのコントラストで爽やかに。 花選びのキーワード「花がらが目立ちにくい」 サルビア・サリーファン せっかく花が咲いても、その後の花がらが目立ってしまっては美しさが半減。次々咲く花ほど、花がら摘みが追いつかないものですが、花がらが目立ちにくければその心配も少なくなります。 サルビア・サリーファンは、早くから花が咲き、長期間楽しめる品種です。スカイブルーは、半直立性で程よい高さがあり、花穂も長く見応えがあります。ブルーの濃淡の花が咲き終わっても、白いガクと花茎で花がらが目立ちにくいのが特徴です。 【組み合わせ例】 コレオプシス・コリー、黄金葉のアガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’で挟み、手前のブルーファンフラワーで爽やかに。 花選びのキーワード「コンパクトで美しい姿を保つ」 ニューギニアインパチェンス・フロリフィック 夏の高温多湿に強い植物は生育が旺盛なものも多く、小さな花壇では、植える植物の数が限られがちに。コンパクトなうえ、よく枝分かれする品種を選べば、自然に美しい姿にまとまり、きれいな姿を長くキープすることができます。 半日陰のコーナーで花を楽しみたい時にニューギニアインパチェンスの大輪の花は欠かせない存在です。フロリフィックは花の大きさはそのままに、コンパクトで場所を取りにくいうえ、草姿も乱れにくいので、小さなスペースの植え込みに向きます。 【組み合わせ例】 フロリフィック‘スウィートオレンジ’は、やわらかなアプリコットがかったオレンジでエキゾチックな色合い。ヒューケラやコリウスのカラーリーフで、シェードコーナーも彩りアップ。 花選びのキーワード「よく枝分かれしてマウンド状に整う」 クフェア・スリラッチャ 分枝のよい品種は、ハサミを入れなくても自然と株姿がまとまり、ドーム状に茂ります。さまざまな植物と混植する花壇では、他の植物に覆いかぶさることなく、合わせやすいという魅力もあります。 暑さに強いクフェアの中でも、花が大きく色鮮やかで、一種でも目立つのがスリラッチャです。スリラッチャ‘ピンク’は目を引く、くっきりとした色合い。よく枝分かれしてこんもりと茂るので、花壇では手前に。サイドに地面を覆うグラウンドカバープランツを、後方にコリウスなどの高性種を合わせると、より立体的で華やかになります。花後の花がらが目立ちにくいのも嬉しい。 【組み合わせ例】 こんもりと茂る芽吹きの美しいシュラブのカリステモンの手前に、グラウンドカバーとして。後方には花茎の上がるアガパンサスでボリューム感を。大きな銅葉は、アロカシア‘ブラックマジック’。
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寄せ植え・花壇
春のおすすめ花5選〜花の端境期をつなぐ鉢植え〜
春花壇から夏花壇への植え替えの間をつなぐプラスαの鉢植え 春のガーデンショップには色とりどりの草花が並びますが、まだ庭や花壇には、秋に植え込んだ草花が再びたくさんの花を咲かせていて、新たに加える花の植え場所に悩む頃。植えたいけれど、まだ秋から咲き続けている花を楽しみたいという時は、欲張って鉢植えをプラスしてみましょう! 今回紹介するのは、鉢植えに限らず、花壇や庭にプラスしてももちろん楽しめるオススメの草花です。秋から咲き続けるパンジーやビオラなどは、これから花のピークを迎えますが、植え替えのタイミングも間近に迫ってきます。そこで、今からコンテナで草花を育てておけば、夏花壇への植え替え直後、まだ株が小ぶりで寂しい庭をボリュームよく見せて、シーズンの橋渡しをする効果もあります。 庭のまわりや草花の草姿をよく見て、コンテナを選ぼう コンテナ植えでは、鉢が花壇でいう植えマスになり、植物を引き立てる顔になります。コンテナによって植え込んだ後の印象も大きく変わるので、シーンに合ったコンテナ選びが大切です。庭には、さまざまな植物や構造物があるので、まわりの景色にあった色や素材を選びましょう。コンテナは庭の中では周囲の植物に紛れて溶け込んでしまいがちなので、ある程度大きさのある、直径30㎝程のサイズがオススメです。さらに、植物の草姿に着目し、草丈に比例した鉢の高さを選ぶとバランスがよくなります。 庭でのポイント使いはシンプルに さまざまな草花を組み合わせて楽しむのが寄せ植えの醍醐味ですが、庭の中で際立って見せようとすると、シンプルな植え込みに行き着きます。思い切って1種類に絞ると、その植物の花色や形などがくっきりと見えて、植物の個性がぐんと際立って見えます。また、シンプルにした分、いくつかのコンテナ植えと組み合わせてもすっきりとまとまり、楽しみの幅が広がります。今回は、春らしさをアップさせるピンクの花色に着目して、寄せ植えをご紹介します。 鉢植えコーディネイトのポイント1 こんもり、マウンド型にして一面に咲く花を楽しむ 最もシンプルな1種類のみを植え込む場合は、大きめのコンテナを用意して、数株を植え込みます。植物が育つと、まるで1株のような大株仕立てになって、植物の花色や形はもちろん、植物がもつ草姿もしっかり楽しむことができます。よく枝分かれしてこんもりとマウンド型に茂るタイプを選べば、コンパクトながらボリューム感のあるコンテナを楽しむことができます。 オステオスペルマム‘フォーチュネットシリーズ ダスキーローズ’ 大輪の花が華やかなオステオスペルマムの中でも、小輪のタイプ。柔らかな花色は、さまざまな草花とも合わせやすく、楽しむシーンを選びません。株のまとまりがよく、花立ちもいいので、ローボウル型のコンテナに合わせると草姿の美しさが際立って見えます。 フレンチラベンダー ‘ルーシーピンク’ ウサギの耳のような花形が個性的なフレンチラベンダーの中でも、花穂の長さがあり、より花が印象的に。花先(苞葉)のピンクと、紫の花とのグラデーションが優しいフレンチラベンダー。 鉢植えコーディネイトのポイント2 グリーンを加えてすっきりと楽しむ さらにリーフを加えると、花の印象は変えずに、すっきりさせつつボリューム感を出すことができます。枝垂れるタイプのリーフは、高低差を出して立体感をアップ。フレンチラベンダー‘ルーシーピンク’と合わせたヘデラ‘モコモコ’(写真手前の鉢内)は、立体感のある葉型と、クリーム色の新葉が美しい品種。 ペチュニア ‘ピンクスターダスト’ 明るいピンクに浮かびあがる星模様がすっきりとした印象のペチュニア。個性的な花模様で柔らかな花色もぼやけず、たっぷり植え込むと、花の印象が一層強まります。 鉢植えコーディネイトのポイント3 高さのあるシュラブを芯にしてさらにボリュームアップ こんもりとしたフォルムを楽しみつつ、さらにボリュームをアップさせたい時は、中心に高さのある低木を加えてみましょう。グリーンが芯になって、より一層華やかさが増します。低木は、細い枝葉に入るクリームの外斑が愛らしいコロキア‘イエローワンダー’。ペチュニアに明るい白斑のアルテルナンテラ‘ムーンビーム’を合わせてすっきりと。 ラナンキュラス‘ラックスシリーズ アリアドネ’ つや感のある花びらが特徴のラナンキュラスのラックスシリーズ。よく枝分かれして、スプレー状に次々開花します。草丈もほどよく、ボリュームを出したい花壇にもオススメ。優しいピーチピンクの花色‘アリアドネ’は、ホワイトやラベンダー色と合わせると明るくすっきり見えます。 鉢植えコーディネイトのポイント4 高さのある草花は、コンパクトな草花と合わせてバランスを取る 草丈がある草花はボリュームが出やすいですが、1種類だけではバランスがとりにくいことも。こんもりと茂るものや、少し丈の低いものを合わせ、さらに枝垂れるリーフを合わせると、全体のつり合いがとりやすくなります。 ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’と合わせた草花は、ローダンセマム‘アフリカンアイズ’、フレンチラベンダー、ヘデラ。 バーベナ‘ラナイシリーズ ツイスターレッド’ 小花が集まる花形は、華やかさがありながら繊細な印象。ピンクの花の内側に赤色が入り、くっきりと見えます。よく分枝して横にも広がるので、ユーフォルビア‘ダイアモンドフロスト’のようなスプレー状の草姿の草花と合わせると、なじみやすいです。 鉢植えコーディネイトのポイント5 色や草姿を合わせれば、すっきりとまとまり感もアップ 草花をいくつか合わせたいけれど、すっきりさせたい場合は、テーマカラーを決めるのがポイントです。さらに草姿が近いものを合わせればまとまりもよくなります。 バーベナ‘ラナイシリーズ ツイスターレッド’と合わせた草花は、ベゴニア‘ダブレット’、ユーフォルビア‘ダイアモンド・フロスト’。
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寄せ植え・花壇
小さな花壇で育てる春にプラスしたい初夏の花5選
まだ間に合う! 初夏をロマンチックに演出する草花を加えよう! 秋から植えているパンジーやビオラは、花つきが日に日によくなっていきますが、冬の寒さで傷んだ株も目につき、冬から見慣れた景色に、変化をつけたくなる頃です。初夏のバラと草花が折り重なる景色に憧れるけれど、秋に植えるタイミングを逃してしまったという方は、ちょうどこの春先(3月)が植え時です。春に向けて、冬から楽しんでいる草花のメンテナンスとともに、初夏を彩る花苗の準備を行いましょう。 早春に加えて、初夏の景色をつくろう 初夏に開花する草花の植え時は主に秋ですが、品種を選べば早春に苗を植え付けてもシーズンに花を楽しむことができます。まだ開花していない苗を植え込むことで、ある程度の大きさの株に成長させてから花を咲かせられるので、すでに植え込まれている周りの草花とも馴染みやすく、よりナチュラルな景色をつくることができます。 春植えでは、成長から開花までの期間が秋植えに比べて短いので、株がコンパクトになり、生育旺盛な草花でも、狭い場所で楽しめるというメリットもあります。分枝性のよい小花品種は、早い時期から次々と開花して開花期が長いので、春のシーズンを長く楽しむのにも役立ちます。 草花を引き立てるブルー系の草花をプラス 初夏は、一年の中で最もたくさんの種類の草花が開花する季節です。庭でもさまざまな草花が見られますが、気をつけたいのが花色の組み合わせ。たくさんの花色を合わせると華やかになりますが、どの花色を見ていいのかと落ち着かず、散漫な印象を与えがちです。ブルーは爽やかでクールな印象があり、加えてもうるさくならないのが魅力。純粋に真っ青な花は少ないので、紫やラベンダー色も組み合わせると、ピンクとのつなぎ役にもなって、より初夏らしいやわらかな景色が楽しめます。 花選びのキーワード「のびやかな姿を加えてナチュラル感アップ」アグロステンマ‘パープルクイーン’ 膝丈以上の草丈に成長した草姿の頂部に咲かせる花は、生命力にあふれて力強くものびやかで、ナチュラルな印象をアップします。 アグロステンマ‘パープルクイーン’は、開花時には草丈1mほどにもなる高性種ですが、春先に植えればボリュームが抑えられ、小さなスペースでも植え込みやすくなります。直立する草姿に細い葉も重なって、ナチュラルな草姿が印象的。大輪の花は上向きに次々咲くので、景色が一気に華やぎます。‘パープルクイーン’は、紫がかった濃いピンクの花弁の中心に白がさして、すっきりとして見えます。4月から咲き始めるので、まだ花の少ない花壇では目を引く存在に。 花選びのキーワード「どんな草花ともマッチする可憐な小花」ギリア・トリコロール ガーデンで真っ先に目に飛び込んでくるのは、バラのような大輪の花が多いのですが、実は全体の雰囲気をつくっているのは、その周囲の小花の力も大きいもの。小花があることで、大輪の花もより美しく見える相乗効果があります。 ギリア・トリコロールは、花びらの外側が淡いラベンダー色からホワイト、そして花の中心が黒紫のトリカラーで、淡い花色もぼやけずに引き締まって見えます。花も茎葉も細かく、枝分かれもよく、ふんわりとした印象に。草丈は60㎝前後で、花壇に加えるのにも程よい高さ。 花選びのキーワード「開花前後も楽しめる見所ある葉やタネ」ニゲラ‘アフリカンブライド’ 庭で観賞するのは花だけでなく、葉の役割も大きいものです。細葉は見ているだけでソフトな印象を与えます。多くの植物の葉は広く、大きなものが多い中で、細葉を加えるだけで変化が生まれて表情が豊かになります。また、つぼみや花、タネの形が特徴的なものは、花が派手でなくても、周りの草花の中に加えると、個性が際立ちます。 ニゲラ‘アフリカンブライド’は、深い切れ込みのある細葉が個性的で、白い花びら(がく片)と黒いしべのコントラストが美しい。丸いつぼみも愛らしく、開花後のタネを宿した姿のシードベッドもユニーク。つぼみから開花、結実までの変化も含めて長期間楽しめます。 花選びのキーワード「ニュアンスを与える中性的な花」セリンセ・マヨール 葉色の美しい草花は、開花前からカラーリーフとして庭の彩りに活躍します。また、開花した花とのコントラストも美しく、成長から開花までの変化が楽しめるのも魅力です。個性的な色合い、形の花や葉を持つ草花は、派手さはなくとも、独特の存在感を発揮します。 セリンセ・マヨールは、白い斑点模様が入る青みがかったシルバーグレイの葉が特徴。また、濃い紫の花と葉がグラデーションでつながって神秘的なうえ、弧を描くように伸びる姿と相まって美しい。全体が花と葉が一体となったような中性的な印象で、小花やリーフを合わせると個性が生きます。 花選びのキーワード「明るい小花がほどよいボリューム感」カンパニュラ‘涼姫’ 花つきがよい小花を加えると、派手になりすぎず、ナチュラルな印象を持ちながらもボリュームがアップして、見応えを増すことができます。さらに淡い色合いを選べば、全体のトーンもアップ。明るい色合いは、どんな草花に加えても調和しやすく、重宝します。 カンパニュラ‘涼姫’は、細い茎に、直径2㎝ほどのベル型の小花をびっしりと咲かせて華やか。淡いラベンダーブルーの花色と、ベル形の花で爽やかな印象に。低温に当たらなくても花芽をつけるので、春先での植え込みで開花させられ、草丈も100㎝ほどになりますが、直立した草姿なので乱れにくく、花壇にも加えやすい花です。
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寄せ植え・花壇
春を先取りするおすすめ花5選&花壇づくりのコツ
冬花壇、そろそろイメージチェンジしてみませんか? 庭では、パンジーやビオラ、ストックなどの秋植えした草花が冬を越している最中ですが、なかには寒さで傷んでしまったものもあるかもしれません。また、秋から見慣れてきた花に、違う花も加えて楽しみたくもなる頃。メンテナンスとイメージチェンジを兼ねて、春を呼び込むオススメ花苗をご紹介します。 耐寒性のある花つきの苗で長く楽しむ まだまだ寒さが厳しい頃なので、耐寒性がある植物かどうかのチェックは忘れずに。春先は気温の変動も大きいので、遅霜の恐れがない彼岸が過ぎるまでは、耐寒性のある植物を選びましょう(関東以西の温暖地基準)。苗選びのポイントは、今植え込んですぐに楽しめる、つぼみや花がついたもの。そして、よく枝分かれしてボリュームのあるものです。屋外は気温が低いため花もちがよく、生育もゆるやかなので、美しい姿を長く楽しむことができます。 春を印象づける花色と形に注目 冬から春への変化を感じさせるためには、花色と形に注目しましょう。花壇全体を植え替えるのではなく、あくまでもベースは秋植えした冬花壇です。効果的に変化を感じるように、冬花壇にはなかった色や形の草花をポイントで加えてみましょう。また、印象に残りやすいよう、視線の集まるポイントに植え込んだり、数株をグルーピンクして加えると目にとまりやすくなります。 花選びのキーワード「春らしいパステルカラー」 ルピナス‘ピクシーデライト’ 淡い花色は、桜や菜の花など春の盛りに咲く花を思わせ、春を印象づけるのに効果的。また、ほかの色を重ねてもうるさくなりにくいので、秋に植え込んだ草花にプラスしても、自然に馴染んでまとまります。 ルピナスというと、別名にもある「昇り藤」のような、大きな花穂をイメージしますが、この種類は、花はすっきりと小ぶりで株姿もコンパクト。そしてよく枝分かれするので、花が休まずに咲き継ぎ、長い間楽しむことができます。白、ピンク~ブルー系の淡い花色が、春らしいやわらかな光景を生みます。 花選びのキーワード「他の花に負けないボリューム感」 オステオスペルマム・ダブルファン さまざまな花が咲き誇る春。周りの草花にはないボリューム感があるものを選ぶと、花の個性を楽しみながら、華やかさを感じさせることができます。色は同じでも、形が違う花を組み合わせると、まとまりがありながら変化をつけることができます。 色幅がある八重咲きで、一輪でやさしいグラデーションが楽しめます。花は大輪ながらも株はコンパクトなので、小さな花壇では主役花としても楽しめます。チューリップのような大きな花と合わせても、ボリュームがある八重咲きとカラフルな花色で、存在感が出ます。 花選びのキーワード「全体をつなぐ複色」 エリシマム‘スプリングパーティー’ テーマカラーを決めると花壇全体に統一感が生まれますが、きっちりまとめすぎるとインパクトに欠けることも。カラーバランスのオススメは、メインカラーに、1割ほどのアクセントカラーを加える方法。スパイスになる色なので、加えすぎず1割ほどに抑えるのがポイントですが、春の柔らかさを大事にするには、さらに両者をつなぐ中間色が欠かせません。 エリシマムの中でも花が大きい種類の「パーティー」は、光などの環境の変化で花色が変化していきます。イエロー~ピンクのグラデーションが一株で楽しめ、オレンジ系の花色の中間色として活躍します。 花選びのキーワード「花壇に映える個性的な花形」 フレンチラベンダー‘ブルーベリーラッフルズ’ 印象を変えるのは色だけではありません。他にはない、独特の形を持つ花を加えると、目先が変わって新鮮なシーンになります。ポイントになるよう、数株まとめて加えてみましょう。 花を楽しむラベンダー。温暖な地域でも育てやすい品種で、ウサギの耳のような花形が印象的。花つきがよく次々と咲く花を楽しめます。濃い紫と淡いラベンダー色のコントラストが美しく、すっきりとした花色と形で他の草花とも合わせやすいです。 花選びのキーワード「春を印象づける小花」 バコパ・コピア ふんわり、という言葉がぴったりな春。その空気感をまとう小花は優しく、他の草花をつないだり、全体のボリューム感をアップさせてくれる効果もあります。白や淡い花色を選べば、より優しい印象になります。 一般的なバコパよりも大輪の花で、株一面に花を咲かせます。よく枝分かれした株を選べば、小花ながらも見応えがあるシーンに。ふんわりと広がるので、花壇の縁取りに植えると、固い枠をカバーしてナチュラルな印象になります。
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寄せ植え・花壇
小さな花壇で育てる冬~春の花5選
冬に楽しむ草花は、耐寒性があるものをチョイス 最も寒さが厳しい1~2月でも、花咲くガーデンはつくれます。そこで大切なのが、寒さに強い丈夫な品種を選ぶことです。ポット苗に添えられた札に「耐寒性」の表記があるものを選びましょう。外気温が0℃以下になっても枯れない性質なので、屋外で冬越しができます(関東以西の温暖地が基準)。この時期に植え込む植物は、耐寒性がある性質の苗であっても、暖かな温室で育てられている場合があるので、苗を購入したらまずは軒下で2〜4日慣らしてから植え付けるとよいでしょう。 冬を彩る白花の魅力 きりっとした寒さの中で、いっそう純白の花が輝いて見える季節です。白花は、清楚で凛とした美しさを感じさせ、特に女性に好まれる花色です。白花だけを集めたホワイトガーデンは、カラーガーデンの中でも特に清らかさを感じさせます。 白一色、そして黒を加えたモノトーンなど、極力花色を絞ってみると、また違った草花の魅力を発見できますよ。 草姿の美しい植物を選ぶ 「ローダンセマム・アフリカンアイズ」 草花を選ぶとき、花の美しさに目がいきがちですが、茎や葉、そして全体の株の姿から受ける印象も大切です。植え込んだ後の成長を見越して植え場所を決めるためだけでなく、隣り合う植物には、草姿や花、葉形が異なるものを合わせることを意識してみましょう。写真中央付近、淡いチューリップの左下に咲くのが、オススメのローダンセマム・アフリカンアイズです。 長い花茎を真っ直ぐに立ち上げるローダンセマムは、凛とした美しさをいっそう強く感じます。そして、茎葉がシルバーで、花色をより美しく見せてくれる効果もあります。ローダンセマムのなかでもアフリカンアイズは、名前の通り、濃いブラウンのしべが純白の花を引き締めて見せてくれます。咲き進むにつれて、だんだんとしべが盛り上がってくる頃が、花がら摘みのタイミングです。 白い小花がまとめ役になる 「宿根イベリス」 いろんな草花を楽しみたくても、狭くてスペースが限られる花壇では、たくさんの花色を入れてしまうと、にぎやかな反面、ごちゃごちゃとまとまりがない印象になりがちです。そこに白い小花を加えると、色同士のつなぎ役となって、全体をすっきりと見せてくれます。 宿根イベリスは、小花ながら花がまとまって咲くとボリュームを感じさせてくれます。深いグリーンの葉が、より白花を際立たせ、株まとまりもよく、冬花壇に欠かせないパンジーやビオラとも合わせやすい草花です。 ボリューム感をアップする 「スーパーアリッサム」 冬の花を植え込んでみたものの、何かもの足りないと思ったときは、白い小花を加えてみましょう。全体の色合いや雰囲気を崩さずに、花のボリュームをアップできるうえ、明るく華やかな印象にしてくれます。 栄養系のスィートアリッサムのスノープリンセスは、成長すると1株で50㎝ほどの株張りになります。立ち上がった花壇では枠際に植え込むと、枝垂れる姿を楽しめます。 斑入り葉をポイントに 「斑入りアラビス」 さらに斑入り葉の小花を選べば、カラーリーフとしても楽しめます。花の少なくなる冬のシーズンは、葉の美しいものを選ぶことも大切です。 斑入りアラビスは、細かい花と緑葉に入る斑模様が美しい植物です。地面を覆うように横に広がるので、花壇の手前にグラウンドカバーとして使うこともできます。また、ステップの隙間や、ほかの植物を植え込みにくい傾斜地にもオススメです。春になると細い花茎を立ち上げ、浮かぶように可憐な白い小花が楽しめます。 変化を楽しめる草花 「ハナカンザシ」 冬の花は、低温の中で花が開くので、花もちがよいものが多いのですが、さらに蕾のうちから可愛らしい姿を見せる草花を選ぶと、変化を楽しむことができます。写真の花壇の手前と奥で緑の中に浮かんでいる白い粒がハナカンザシのつぼみです。 ハナカンザシは、かさかさとした質感の白い花が爽やかですが、小さく丸いつぼみの頃は、ガクに包まれて濃いピンクに見えるのも魅力です。写真手前の花の中央が明るいイエローの花がハナカンザシです。細かな葉も美しく、株姿もドーム状にこんもりときれいにまとまります。写真中央付近で花茎を立ち上げて咲くのが、先にご紹介したローダンセマム・アフリカンアイズ。 今回ご紹介した冬に咲く白花は夏越しが難しいものが多いので、6月になったら抜き取って、夏の花に植え替えるとよいでしょう。スーパーアリッサムは、暑さに強く花期が長いので、夏以降も花壇の彩りに活躍します。
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寄せ植え・花壇
小さな花壇で育てる一年の花サイクル【初めてのガーデニング】
まずは花壇の場所選びと毎日のお手入れ 植物が好む場所を選び、石やレンガで敷地を仕切った花壇を設け、土づくりをして整えたら、組み合わせる植物の選択と植え込むタイミングを逃さないこと。植え終わったら、水やりと花がら摘みなどの日常のお手入れを続けることで、きれいな花壇を長く楽しむことができます。小さな花壇の場合は、限られたスペースを有効に使うために、草花選びには3つのポイントがあります。 選ぶポイント1「株まとまりのいい植物が簡単維持への近道」 スペースが限られているので、サイズオーバーにならないことが大切。株が暴れず、草丈が高すぎないコンパクトなものを選びます。高さがなく、よく枝分かれしてまとまるものは、ピンチ(摘心)の回数が少なくても、美しい姿を楽しめます。 上写真は、淡いピンク花「キンギョソウ」が主役の春花壇。手前には、ビオラ、デージー、奥に見えるブロンズ色の葉はヒューケラ。撮影は4月中旬。 選ぶポイント2「長期間育つ=開花期が長い、葉も美しい植物」 いつも眺めていたい花壇づくりには、花のある期間が長くて、花つきがよい植物を選ぶことが大切。また、葉も美しい植物なら、カラーリーフとして花の咲く前後も楽しめます。 写真は、冬花壇に欠かせないパンジー&ビオラと一緒に咲く、シレネ。4月中旬撮影。草丈が高くならず、こんもりとした姿で横に広がって、葉も美しい植物です。 選ぶポイント3「丈夫な植物をベストなタイミングで植える」 常にきれいな状態を楽しむには、暑さ寒さに強い丈夫な植物を選ぶことが大切です。また、夏や冬の厳しいシーズンに耐えて、よりよい状態を保つために、植えつけは春や秋の穏やかな気候のころに行い、夏や冬がくる前に株を充実させておくことも大切です。 上写真の木製の鉢に寄せ植えた、色鮮やかな濃いピンクの花「セロシア」が主役の秋花壇。左右にはピンクのジニア・プロフュージョンに、メタリックなリーフが美しいヘミグラフィス・アルテルナータを。撮影は9月下旬。 植え込み、植え替えのガーデン作業は年2回 長く楽しむためには、冬花壇を彩る草花のグループ(主に秋~春、10~4月に開花)と、夏花壇を彩る草花のグループ(主に初夏~秋、5~11月に開花)の2グループを組み合わせます。関東以西の温暖地の植え替え時期は、冬花壇は10月中旬~11月、夏花壇は5~6月に行うことで、植物をよい状態で長く楽しむことができます。この年2回の植え替えで花は長く楽しめますが、3月や9月など、季節の変わり目に寒さや暑さに強い草花を部分的に加えると、季節変化をプラスできます。 上写真は、初夏から秋に休まず赤い花が咲くペンタスが彩りを添える階段。ステップの間に茂るダークリーフはアジュガ。門へ向かう小道やステップのサイド、芝生と小道の間などに植え付けると景色が華やかになりますね。撮影は10月上旬。 季節ごとの花壇にオススメの草花5種類 ここからは、各季節に見頃になる、花壇にオススメの5種類をご紹介。どれも見ごたえのある花や葉が魅力です。ぜひ、育ててみてください。 <春の花壇>キンギョソウ‘トゥイニー’ 【チャームポイント】広がった半八重の花びらがボリューム感あるキンギョソウ。ピンク~アプリコット~ブロンズと柔らかな色合いが充実して花形と相まってとても美しい。キンギョソウの中では草丈30~40㎝の中性。高さがほどよい草丈で、ビオラなどの草花とも組み合わせやすい。小さいスペースでは主役にもなります。数株合わせて植え込むと、柔らかな色合いの自然なグラデーションが楽しめるうえ、ボリューム感もアップして見ごたえが増します。 【植え込み時期】秋の10~11月に植え込むと株が充実して春には見事な花つきに。パンジーやビオラが咲き終わる頃の5~6月が抜きどき。 <初夏の花壇>ペンタス‘サマースター’ 【チャームポイント】夏の暑さにも強く、初夏から晩秋にかけて、休まず咲き続けてくれるペンタスはサマーガーデンに欠かせない花。‘サマースター’は明るいグリーンにランダムに入る斑も美しく、カラーリーフとしても楽しめるほど。隣に異なるリーフを合わせると、より葉の印象がアップします。真っ赤な花が咲くとリーフとのコントラストでいっそう華やかに。思いきり夏らしくしたい場所に鮮やかさを演出してくれます。 【植え込み時期】ベゴニアやトレニアなどの夏花壇を彩る草花と合わせて5月に植え込みます。パンジー、ビオラを植え込む11月が抜きどき。 <夏の花壇>トレニア‘カタリーナ・ブルーリバー’ 【チャームポイント】夏スミレと呼ばれるトレニア。すっきりとした花形とブルーの花色が涼を感じさせ、石材や木材で縁取られた花壇の景色を和らげてくれます。‘カタリーナ・ブルーリバー’は栄養系のトレニアで、よく分枝して、節々にびっしりと花を咲かせる花つきのよさも魅力。地面を覆うように旺盛に広がり、立ち上がった花壇なら、枝垂れる姿も楽しめます。レンガなどで囲まれた花壇に枝垂れる草花を部分的に入れると、固い印象の植えマスが柔らかく、ナチュラルな景色になります。明るい半日陰でも耐えるので、幅広い環境で楽しめます。 【植え込み時期】夏花壇を彩る草花と合わせて5月に植え込みます。夏も花を休めず、初夏~晩秋まで長く楽しめます。11月が抜きどき。 <秋の花壇>セロシア‘ホットトピック’ 【チャームポイント】鶏冠の花形が目を引くセロシアですが、矮性タイプで草丈だけでなく、花も小ぶりなのが特徴です。ほどよいサイズで花壇にも加えやすいのが魅力。スプレー咲きで花つきもよく、ピンクやオレンジ、レッドなど、ハッと目を引く鮮やかな色合いで、夏の花壇を秋らしく印象づけるのに効果的。他の草花にはない花形なので、ポイントとなる場所に加えて。花にインパクトがあるのでリーフと合わせるとすっきりと見えます。 【植え込み時期】夏花壇に秋らしさをプラスする9月に植え込みます。アルテルナンテラやアキランサスなどのカラーリーフとも相性がいいので組み合わせて、秋らしいシーンを楽しんでみて。冬花壇へ植え替える11月が抜きどき。 <冬の花壇>シレネ‘ドレッツバリエガータ’ 【チャームポイント】秋にパンジー、ビオラの植え込みと合わせて植えてほしいのが、シレネ‘ドレッツバリエガータ’。クリーム色の外斑の小葉は、一株加えるだけで、周りの草花を明るく見せてくれます。そして、どんな草花や花色とも合わせやすいのも魅力。高さはあまり出ず、こんもりとした姿で横に広がります。花壇の縁取りに使うと、こぼれるような愛らしい姿に。 【植え込み時期】冬花壇の草花と合わせて11月に植え込みます。春にはぷっくりと膨らんだガクがユニークな白い花も咲き、秋~早春まではリーフ、春には花と、変化が楽しめるのも魅力。秋植えして株を育てると、春の花つきがよくなります。ちょっとした隙間に植え込むと、こぼれ咲いたようなシーンが出来上がります。夏花壇に植え替える6月が抜きどき。 芝生をくり抜いた花壇や石材で縁取った花壇を華やかにしよう 一年の植え替えのタイミングや植物の種類の選び方のポイントを押さえておけば、花壇の維持は簡単にできるようになります。ここでは、花が多く、長く咲く種類を中心にご紹介しましたが、花壇づくりの基本が抑えられれば、一年草に限らず、宿根草やハーブなどのセレクトにも応用でき、自分好みの花壇づくりができるようになります。ぜひ、チャレンジしてみてください。 草花選びのポイントを押さえたら、レンガや木材、石材などを使った花壇の縁取りにもこだわるとガーデニングはグンと楽しくなりますよ。芝生をくり抜いた花壇づくくりもオススメです。花壇のデザインの記事はこちら。