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バルコニーや小さな庭で! 省スペースで失敗せずに楽しむガーデンアイデア

バルコニーや小さな庭で! 省スペースで失敗せずに楽しむガーデンアイデア

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

「スペースがないからガーデニングは難しい…」と諦めている方はいませんか? でもどんな家でも、植物を育てられる場所は見つかります。小さなカップで種子を1粒育てるだけでも、植物は喜びを与えてくれますよ。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、春の植物にまつわるエピソードと、省スペースのガーデニングのポイントやおすすめの食べられるハーブをご紹介します。

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ガーデンシーズンの到来!

初夏
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

皆さんは、春は好きですか? 私は大好きな季節の一つです。

生き物たちはぐんぐんと成長し、どこを見ても新緑や花々が目を楽しませてくれます。桜の季節や木々に咲く花の量には、時に圧倒される思いがするほど。道端やガーデンの奥でひっそりと咲く小さな花には、周囲に咲き誇る花々に押されてなかなか気がつかないかもしれません。熱心なガーデナーでなくても、花と緑に満ちたこの季節を愛する人々は多いことでしょう。

春
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一斉に開花が進む春は、大量の花粉が飛び交う季節でもあります。ミツバチなど多くの昆虫にとっては朗報ですが、いまや国民病ともいえる花粉症の人にとっては災難です。花粉によって目の痛みやかゆみ、鼻水、頭痛に悩まされることは想像もしていませんでしたが、これからは友人に花束を買うときも花粉については気をつけなければなりませんね。洋服に付着すると落ちづらく、シミが残ってしまうという問題もありますが、より深刻なのは花粉症のほう。近年アレルギーを持つ人は多いので、誰かにプレゼントを贈るときは、よく考えて選ぶ必要があります。

ガーデンやバルコニーの恵みをプレゼント

プレゼント
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

プレゼントといえば、自分が大切に育てたものを友人や知人に贈るのは、とてもスペシャルなこと。ヨーロッパ諸国では、花やハーブなどガーデンの恵みを贈り合うのはよくあることです。例えばお隣さんと話している間に庭の花を摘んで、花束をフェンス越しに渡したり、手作りのソースやチャツネ、サラダ菜やハーブミックスを塩とハーブドレッシングで味付けした自家製サラダなどをプレゼントしたり。中には趣味として養蜂する人もいて、訪れた後には地球でもっとも美味しいものの一つ、ハチミツがたっぷり詰まった瓶をいただくこともあります。

これは昨年オランダの友人を訪ねた際の私の体験談。キラキラとした自家製ハチミツは、その後半年にわたって楽しめました。ただの美味しいハチミツというだけでなく、食べる度に、オランダで過ごした素敵な時間を思い出させてくれた宝物。できるだけ長持ちするようほんの少しずついただきました。

ハチミツ
Victoria Kondysenko/Shutterstock.com

こうした喜びを感じさせてくれるのが、ガーデンの持つ役割。リラクゼーションや新鮮な空気、心の安らぎを与え、人を幸せな気持ちにさせて笑顔をくれる場所です。ガーデンの喜びを周囲と共有すれば、より元気に得られるはずです。

ガーデニングは小さなスペースでOK

マメ
Malshak/Shutterstock.com

先日、小学生の子どもたちが私の特別教室に参加してくれました。そのとき彼らが一様に持ってきたのが、20mlサイズの小さなプラスチックカップに半分ほど土を入れ、マメの種子を播いたもの。すでに10cmほどまで成長していました。連休前に学校からマメを持ち帰る日だったようで、目を輝かせながら「カップの中の小さな宝物」を見せてくれました。

このように、何か植物を育てるのに、狭すぎるということはありません。植物でも、小さな種子1つでも、栽培すればたくさんの喜びを与えてくれます。

バルコニーガーデン
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

リビングやダイニング、キッチンや玄関前など、身の回りのちょっとしたスペースに植物を育てて楽しんでみてはいかがでしょうか? アパート内の窓枠または窓の隣の棚も活用できます。家の中には、植物を育てるのに十分な場所が必ずありますよ。

数年前から、ショッピングモールのおしゃれなお店やホームセンターなどで、ミニガーデンや、土と種子が栽培容器とセットになったポットセットなど、ますます小さなスペースに向くガーデン商品も並ぶようになりました。こうしたミニ商品があれば、ほかに何も用意する必要がないため、ガーデニングをスタートする大きな助けになります。使いかけの土や種子が中途半場に余ることもないので、収納スペースも必要ありません。

省スペースガーデニングのチェックポイント

ガーデニング
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植木鉢1つからでも、緑を育てていれば立派な「ガーデン」。でも、いざガーデニングを始める前に、次のような項目をチェックしておきましょう。

ガーデンの目的

最初のステップは、何をメインに楽しみたいのかを考えること。屋外か室内か、育てたい植物の種類などもそれによって変わってきます。

植物の栽培が可能か

賃貸住宅の場合、各マンションなどによりルールが異なるため、管理人さんに植物を育てたり、バルコニーや玄関前にコンテナを置いても問題ないかを確認しておく必要があります。

コンテナの重量

植物を植え込んだコンテナがどれぐらいの重さになるかも確認しましょう。特に水やり後にたっぷり水を含んだ土は重くなります。重量制限がある建物もありますし、あまり重いと台風のときなどに室内に取り込むのも大変なので、軽いコンテナを選ぶとよいでしょう。

日当たり

栽培する場所には、どれくらいの光が入るでしょうか? 例えば野菜の多くは、最低でも1日6~8時間の日照を必要とします。環境に合った植物を育てるのが、失敗しないポイントです。

ご近所に迷惑をかけないか

野菜や花は鳥獣や虫を引き付ける場合があるため、ご近所に迷惑をかけないよう注意する必要があります。

昨年の冬に、我が家で起こったトラブルを一つご紹介しましょう。ガーデンに野鳥の餌台を設置したところ、毎日のようにメジロが訪れて目を楽しませてくれたのですが、すぐにもっと大きなムクドリがやってくるようになり、メジロも来なくなりました。毎日やってくるムクドリたちは、餌台を除いて空っぽの場合は大きな声を上げるのです。ムクドリは鳴き声が大きいですし、もちろんフンをすることもあり、私の庭でも汚れが問題になりました。隣家と我が家の庭の間には十分にスペースがありますが、隣家のごみ収集スペースは餌場近くでしたし、こうしたことがもっと小さな場所で起きれば、ご近所さんとのトラブルにもなりかねません。

省スペースでもエディブルエリアを

エディブルガーデン
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先日、野菜を切らして冷蔵庫に大根しかなく、でも買い物に行く余裕もなかったので、今夜は庭の野菜のメニューにしよう! と思い立ちました。窓の外を見れば、エンドウマメが可愛く育っていますし、小さな前庭にもニラが茂っています。まだ赤さび病も出ていないきれいな状態だったので、すぐに収穫。帰宅した娘がそれを見て喜び、ニラをたっぷり使ったチヂミを作ってくれました。

ニラはドイツではほとんど知られていませんが、代わりに春にはワイルドガーリックとも呼ばれるラムソン(ドイツ語ではBärlauch)をたくさん食べます。森の中に自生するラムソンは、春には可憐な白い花を咲かせてくれます。

チャイブ
花も可愛いチャイブ。Andrejs Marcenko/Shutterstock.com

また別の日には、よく育ったチャイブを切ってトッピングに。ドイツでは、チャイブのパンやプレッツェルが一般的。ドイツパンやプレッツェルにバターを塗り、その面に小さく切ったチャイブをまぶすようにしていただきます。ビールや、ビールとスプライトなどのレモネードを同量で割ったドリンクによく合いますよ。木陰のピクニックやベランダごはんにぴったりのメニューです。ドイツでは簡単な夕食としてもよく食べます。

ニラやチャイブはとても育てやすく、どんなバルコニーボックスや植木鉢でも大丈夫。切れば切るほどよく伸びるので、キッチンの近くなど、毎日目に付くところで育てるとよいでしょう。

イタリアンパセリ
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ほかにおすすめのハーブはイタリアンパセリ。今年は我が家のイタリアンパセリもよく育ち、早春からすでにたくさん収穫できているので、一部は生育が衰える暑い季節のために冷凍しています。ポテトサラダやバターソースをかけたジャガイモなどと相性抜群。ベシャメルソースにたっぷり入れても美味しいですよ。また、イタリアンパセリはビタミンCやβカロチン、ビタミンE、ビタミンK、鉄などが豊富なことでも知られています。健康面からもおすすめなので、ぜひ自宅で育てて、食べる習慣を作ってほしいハーブです。日本でパセリというと一般的な、葉が縮れるパセリは、ドイツではレストランでの添え物としてしか見たことがありませんでした。母もこのタイプのパセリは香りが弱いと言って、使ったことがありません。

じつは2023年、パセリはドイツ・ハンブルク州ヴァンツベック区の植物園が選ぶ「2023年の有毒植物」に選ばれました。ちなみに2024年はフジが選ばれています。

なぜハーブなのに有毒植物として選ばれたのでしょうか? じつは二年草のイタリアンパセリは、開花後にアピオールという成分が10倍ほどにまで高まるのです。一般的な摂取量では問題ないとされていますが、開花後は収穫しないほうがよいでしょう。毎年新しい株を育てるのが、一番安全に楽しむ方法です。

私はパセリの花やシードヘッドの愛らしい姿も大好き。爽やかな緑の葉を切って花瓶に活け、キッチンやダイニングに飾っても素敵です。

このように、食べられるハーブや野菜を育てれば、日々の食事や暮らしに活用できて、満足度もアップ! さまざまなハーブを、原点に戻ってもっと楽しみましょう。

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