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冬のガーデンをもっと楽しもう! 庭の防寒装備&植物を寒さから守る「コールドフレーム」

冬のガーデンをもっと楽しもう! 庭の防寒装備&植物を寒さから守る「コールドフレーム」

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Behr, Daniela

寒い冬が訪れても、ガーデンでの外仕事はやめられないのがガーデナー。この時期にやりたい剪定や翌年の準備、冬から早春に咲く花の楽しみなど、庭に出る用事はいくらでもあります。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ=ツェルナーさんに、冬のガーデンで快適に過ごすための装備のコツと、植物を寒さから守るシステム「コールドフレーム」、そして冬の癒やし、バードフィーディングについて教えていただきました。

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冬の到来

クリスマスローズ
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

「寒いですね…」が合言葉になる季節がやってきました。気温が低下し、枯れ姿が目立つ冬にも、クリスマスローズやエリカ・ダーリーエンシスなど、美しい花を咲かせてくれる植物はあります。チェッカーベリーはその赤い実の美しさから、ドイツでも秋から冬にかけて販売されています。草花のほか、ビバーナム・ボドナンテンセ、マンサク、ジュウガツザクラ、オウバイ、サザンカといった低木や樹木もあり、冬から早春にかけて庭を彩る植物たちはいくつもあります。

ガーデナーの防寒装備

ガーデナーであれば、こうした植物を愛でたり、庭仕事をするため、冬であっても外に出て作業する機会は多いですね。冬の庭仕事を楽しむためには、ガーデンウェアも大切。きちんと服装を選べば、寒さの中の外作業も大丈夫です。私の冬の基本装備は、長袖のアンダーウェアと、首元にはスカーフ、そして屈んでも背中をしっかり覆う長いコート。お気に入りのパンツは、茶色のダンガリー(オーバーオール)です。背中を覆って暖かく、ベルト不要でポケットも充実。Tシャツなどのインナーにタートルネックを合わせると、全身暖かく保てます。

保温性の高い素材も大切です。ガーデナーになるための修行時代、何時間、何日、時に何週間も、非常に寒いドイツの冬の屋外で働くことを心配した母が、アンゴラウール製品を買ってくれました。その頃は、アンゴラウールが寒さから身を守るための究極の素材。ウサギの毛から作られた高級品です。品質がよく、今日までずっと愛用しています。

冬に欠かせないガーデングローブとラバーブーツ

ガーデングローブ
S.O.E/Shutterstock.com

風の穏やかな晴れた日は、外仕事も楽しいもの。分厚くても使いやすいガーデングローブが、庭仕事のお供です。庭仕事に適したグローブは、作業ごとにそれぞれ異なります。例えば、濡れたものを扱うときはゴム手袋が便利ですが、寒い日にゴム手袋だけだと指先がかじかんで動かしにくくなり、うまく作業を進めることができません。私は冬は綿の手袋をはめ、その上から厚手のゴム手袋をつけています。二重にすることで生まれる薄い空気の層が、保温性のポイント。ゴム手袋には薄手のものから厚手のものまであり、サイズもいろいろですが、自分に合ったものを選ぶと、より作業がしやすくなります。綿の手袋は、内側に着用するのであまり汚れませんが、使用後は毎回洗濯しましょう。ただ寒いだけで、乾いたシチュエーションであれば、革製か半分ゴムで覆われたものがおすすめです。

自分にぴったりの手袋が見つかるまで、いろいろ試してみましょう。また、お気に入りが見つかった時のために、それぞれの手袋を購入したお店を覚えておくようにしましょう。

ガーデンブーツ
Natalia Lebedinskaia/Shutterstock.com

庭作業の際に履くラバーブーツは、厚手のしっかりとしたものを。冬は、時に靴下を3足重ねて履くこともあるので、ぴったりしすぎないブーツがよいでしょう。私は、最初に薄い綿のもの、次に厚手の靴下を重ねて、最後に自家製のウール100%の靴下を履きます。温かさをキープするのに素材は非常に重要で、ウール100%ならとても温か。こちらも、薄い空気の層を作ることがポイントです。ニーウォーマーやプロテクターは、「コールドフレーム」の手入れの際に欠かせません。

冬のガーデンを活用する「コールドフレーム」

コールドフレーム
AC Rider/Shutterstock.com

「コールドフレーム」とは、地面をやや掘り込んで作った温室のようなもの。寒さや悪天候から植物を守るミニチュア温室として使われます。基本的にガラスの屋根や窓がつき、冬はプリムラやビオラなどをその中で栽培・管理します。

コールドフレーム
lbrix/Shutterstock.com

ドイツでは、こうしたコールドフレームに類する、冬や早春に野菜を育てるためのものがとてもポピュラーです。例えば、キッチンや庭のアクセスしやすい場所に設置される底面がないボックス。高さはあまりなく、上面は透明になっていて光が入ります。植物を厳しい寒さや強風から守り、ガーデニングシーズンをより長く、地域によっては一年中野菜が栽培できるようにしてくれます。

保温ボックス
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

もちろん、日々の手入れは欠かせません。冬の間も空気の入れ替えや、ときに水やりも必要ですし、日々様子を確認する必要があります。というのも、晴れた日にはコールドフレームの中の温度はかなり上昇し、耐寒性のある植物にとっては暑すぎる状態になりかねないためです。ですが、たとえ数枚でも、冬にサラダ菜やチャイブの葉を収穫できるのはとても嬉しいことです。それに、寒い季節であっても外に出て、休眠中の庭を眺める理由になりますね。真冬の間は、コールドフレームの屋根は大抵雪で覆われ、天然の断熱材となってくれます。

コールドフレーム
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

このコールドフレーム、ドイツ語では「MISTBEET」といいますが、これは英語の「MANURE BED」、つまり「肥やしベッド」の直訳です。昔から使われていた表現がそのまま生き残っているのですが、現在では「FRÜHBEET(生育促進ベッド)」のほうが近い意味になるでしょうか。「MANURE BED」は、かつては熱を発生させるために馬ふんが使われていたことに由来する言葉です。ドイツでは、馬を牧草地で飼うことが盛んなので、馬ふんを手に入れるのはさほど難しくありません。私もドイツにいた頃は乗馬を趣味にしていたぐらいです。もっとも、今では園芸店やホームセンターなどであらゆる種類の肥料が売られているので、馬ふんを手に入れる必要もなくなりました。

私は寡聞にして知りませんが、日本にもこうしたコールドフレームのようなシステムはあるのでしょうか?

コールドフレームの作り方

コールドフレーム
Paul Maguire/Shutterstock.com

コールドフレームの一番簡単な設置方法は、既製のキットを購入すること。ドイツでは、沈床式にせず、木枠に馬ふんを入れ、その上に土を入れるプラスチックの窓で覆われたタイプのものが販売されています。馬ふんにより内部は暖かく、植物の生育に必要な温度を保つことができます。コールドフレームを活用すれば、冬の間もノヂシャやクレイトニア・ペルフォリアータ、ガーデンクレス、ラムソン、ホウレンソウなどの野菜を植えたり、種まきしたりできます。

馬ふんを熱源とせず、太陽光で温めるのみというタイプもあります。我が家のコールドフレームもそのタイプ。フレームは木製で、庭の日の当たる場所に設置してあります。屋根はプラスチック製で、より多くの日光が差し込むよう、手前を低くする傾斜をつけました。寒さと北風をできるだけ避けるため、北が高くなるよう、南向きに設置しました。コールドフレームはある程度スペースが必要なので、もっと小さなスペースには、ミニ温室もおすすめです。

ミニ温室
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / House of Pictures / Brandt, Kira

冬の庭の楽しみ バードフィーディング(野鳥の餌やり)

野鳥
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Wothe, Konrad

野鳥たちの食糧が不足する寒い季節は、鳥たちが貴重なエネルギーを得て健康に過ごすために、野鳥の餌場を設置するのもおすすめです。野鳥たちが餌をついばむ可愛い姿は、冬の庭の潤いになりますよ。我が家は、冬のメジロたちの日々の訪問をとても楽しみにしています。時にはヒヨドリもやってきて、なんでも食べ尽くしてしまうことも。どちらかといえばメジロのほうが可愛いのですが、空腹なのはどの鳥も一緒ですね。

餌を設置するにあたっては、まず、あなたの庭によく遊びに来る野鳥はどんな鳥か、観察してみましょう。鳥は種類によって好みが異なります。すでに庭に訪れている鳥たちが好むものからスタートするのがおすすめです。

「ファットボール」(MEISENKNÖDEL)の作り方

ドイツでは、餌場となる場所に、油脂や植物の種子をまとめたファットボールを設置するのが主流です。オーソドックスなファットボールの作り方は、次のとおりです。

【材料】

  • ラード(豚または牛由来の油脂) 200g
  • ドライシードとドライフルーツ(ヒマワリの種など) 200g
  • 菜種油 少々
  • ヨーグルトポット、紐(麻紐など)

【作り方】

  1. ラード以外の材料をすべてボウルに入れて混ぜます。
  2. ラードを鍋で溶かし、1を加えます。
  3. 溶けたラードがすべてドライシードやドライフルーツに吸収され、ひとまとまりになるまでよくかき混ぜます。
  4. ヨーグルトポットの底に穴をあけ、紐を通して結び、3をポットに詰めて出来上がり。

ファットボールにはさまざまなタイプがありますが、今回は一番シンプルで手早く作れるものをご紹介しました。ファットボールは、ネットに入れたり、型に詰めてオーナメントのようにしても。餌場のデコレーションも人によって異なり、面白いですよ。

野鳥の餌やり
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

さて、手作りしたファットボールは、ダイニングやキッチンからよく見える木や低木に吊しましょう。愛らしい野鳥の友人たちがそばにいてくれるのはとても幸せですし、心に大きな安らぎを与えてくれます。個人的に「バードウォッチング・セラピー」と呼んでいますが、ストレス解消とリラックスにとても効果を感じます。

みなさまが、忙しい年末にもリラックスできる素敵なひとときを過ごし、そして幸せで健康な新年を迎えられますように。

クリスマスローズ
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich
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