埼玉県熊谷市にある私の活動拠点『花音の森』には、エアコンがありません。熊谷といえば、あの日本一暑い街。さまざまな工夫をして過ごし、3年目の夏を終えました。今年は猛暑になりそうといわれていましたが、6月下旬には記録的な暑さや、最短で終わった梅雨など、かなり衝撃が連続した3年目の夏でした。今年の様子をまとめていきます。
目次
エアコンに頼らず暮らそうと思った理由は?
日本一暑い街・熊谷で生まれ育った私。年々暑くなっていることを実感する日々の中、エアコンを使うことが当たり前で、これまで「エアコンなしで、暮らせるわけがない」と思って歳を重ねてきました。
しかし、年齢とともに、一日中冷房の効いた部屋にいると、体が冷えて不快に感じるように。体調の面でも、あまりエアコンに頼らないほうが私には合っているのかもと思い、花音の森を作る時に、『日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らす』という野望を掲げました。家の設計や素材を選ぶことに加え、植物の持っている力を上手に利用することで、快適に暮らせるかもしれないと思ったからです。
花音の森の成長記録は、こちらをご覧ください。
花音の森の大事な木。落葉樹のコナラが暑さを防ぐ!
日本一暑い街で冷房に頼らず暮らすために考えたことは、屋根・壁・窓に直射日光が当たらないようにすること。そのために、落葉広葉樹・コナラをぐるりと家を取り囲むような配置にしました。ちなみに木が1本もない更地の状態からの施工でした。
植えたばかり(2020年1月)の様子がこちら。

植物たちは順調に育ってくれて、エアコンがない夏もそこまで辛いことはなく、楽しみながら過ごせました。3年目の初夏(2022年6月)の様子がこちら。

角度によっては、建物の壁面が見えない状態になってきました。木々に覆われたことにより、今年5月には室内に入ってくる日差しがだいぶ遮られ、部屋が暗いな、と感じるほどに。ということは、今年の夏は涼しいのかも! と期待していました。
雹に猛暑…2022年の夏の出来事まとめ
「木が大きくなれば、年々涼しくなる」。そんな期待が見事に裏切られることになった、今年の夏。出来事をまとめてみます。
6月上旬には雹が降って、被害が出た
6月2日夕方、埼玉県北部では雷を伴った激しい雨と雹が降り、風も強く吹きました。近所では物置が飛ばされたり、最寄り駅では車が雹でボコボコになっていたり、熊谷のお隣・深谷市の植物生産者の方のハウスは屋根が壊れたり…と、相当な被害が。
この日、私は花音の森にいましたが、「コツン」という音はしたものの、こんなことになっているとは全く知らず、翌朝のニュースで初めて知りました。我が家はウッドデッキに設置した蚊帳が破れ、大きな穴があいてしまったのと、一部植物の葉が傷ついているくらいの軽傷で済みました。
この日は、熊谷で1時間に18mmの降雨があったそう。こういう突発的な天候の変化も、視野に入れておかねばなりませんね。
6月下旬にいきなり気温40℃が1週間続く! 猛暑の夏
6月25日から、40℃近くの最高気温予報日が続く、いきなりの異常事態。

毎年気温40℃というのはありますし、この日が来たか、くらいの感覚で、そこまでしんどいことは今までなかったのですが、身体がまだ暑さに慣れていないところに、いきなり40℃、そしてこれが1週間も続く…そんな6月下旬でした。
あまりの暑さに屋外用の冷風機を設置することに。そして6月27日には梅雨明け(のちに7月23日頃に修正されました)という最短の梅雨と、6月としては記録的な暑さとなりました。
ここでは、1年を通じて室内・屋外の気温を記録しています。少々見にくいですが、ピンクの線が室内の気温、黄色の線が屋外の気温で、その日の最高と最低気温が記録されている図です。

いきなりの梅雨明けで記録的な暑さとなった6月末(気温図*1)。この夏一番暑かった日は、6月30日15:50、40.9℃でした。室内温度が30℃を超えなければ、そこまで暑さを感じることはなく、室温と屋外気温の差が+5度ほどで推移するこの気温帯は、エアコンがなくても十分過ごせます(気温図*2)。その後は、35~38℃くらいで推移していき(気温図*3)、8月上旬には急に秋を感じるような涼しい日が出てきます(気温図*4)。こうなると、気温が連続して上がることも少なく(気温図*5)、冷風機の出番もなくなり、心からホッとしました。
コガネムシとの闘い
今年は、コガネムシが大量発生しました。去年は豊作だったブドウが、コガネムシに葉をほとんど食べられ、今年は数房しか収穫ができなかったですし、ユーカリの葉も穴だらけに。
コガネムシの成虫は葉を食べ、幼虫は根を食べます。害虫かどうかは、人間が決めているだけのことであって、私は、基本的に薬剤散布はせず、刺されて痛いものや被害が出るものは捕殺して、あとは放置することが多いです。
でも、こんな数のコガネムシは初めて! 恐ろしいほどでしたが、毎晩、光に寄ってくるコガネムシを退治しまくりました。というのも、成虫に産卵されると、来年厄介なことになるのです。土の中もチェックしつつ、来年はあまり出ないことを願うばかりです。
お助けアイテム・草刈りロボさん導入
花音の森には「草は友達ルール」があります。草は抜かず、上体部を刈るだけ。根を抜こうと思うと大変な雑草管理ですが、これなら楽です。根を残すことで、土は硬くならずふかふかですし、雨を保水してくれる効果もあり、水たまりや土がぬかるむのも防いでくれますよ。

また、ゲリラ豪雨のような強い雨が降ると、土がえぐられて土砂となり、道路や河川に流れていきます。自宅の庭でできることは少ないですが、なるべく土砂を自宅から出さない工夫は、立派な環境保全にも繋がっています。ぜひ、草は大切にしてみませんか?
花音の森の草が生える部分は170坪。2年間草刈り機でカットしてきましたが、今年は心強い味方が登場!

それがこちらのスウェーデン・ハスクバーナ社のロボット草刈り機。暑い中、草刈りをする手間が省け、なにより、緑の草じゅうたんがとてもキレイ! こちらはまた改めて、ご紹介しようと思います。
エアコンなし暮らし3年目が終わって思うこと
お盆の時期を過ぎると、秋の虫が鳴き始め、季節の移り変わりを感じます。もう、コナラからドングリがいっぱい落ちてきていますし、次は紅葉と落ち葉を楽しむ季節がやってきますね。

ここに来るお客様からは、「エアコンがないなんて嘘でしょ? 涼しい!」と言われる日もあります。皆さん、内心ドキドキで来られるんでしょう(笑)。
植物を通して入ってくる風は本当に心地よく、エアコンなしの暮らしになってから、毎日グランピング気分というか、日々の何気ない暮らしを楽しんでいるような実感もあり、スイッチひとつで涼しくなる快適さでは得られない何かを、日々感じています。
また花音の森での暮らしをお伝えしていきますので、引き続き、一緒に楽しんでいただけたら幸いです。
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