気温と湿度が高い夏の間、どうしても庭や家庭菜園をきれいに手入れするのは難しいもの。今回は、そんな夏の家庭菜園を、暑さに強い夏花と花咲く夏野菜で彩りよく保つアイデアを、ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ=ツェルナーさんがご紹介します。エルフリーデさんが今年の家庭菜園で育てたジャガイモ&タマネギの収穫レポートもお届けします。

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真夏のガーデニングは難しいもの

夏のガーデン
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

今年も暑い夏がやってきました。東京や、私が住む湘南の夏の、うだるような熱と湿気の中では、よく手入れの行き届いた菜園やガーデンを維持するのは至難の業です。なにもかもがどんどん成長し、1週間ほどちょっと目を離したすきに、虫や病気、風、雨、または強すぎる日差しによって、植物が傷んでしまうことも多いものです。

夏の夜は、暖かい(というより暑いといったほうが適切かもしれませんが)ナイトガーデンも楽しいものですが、みなさん同様、この湿度は体にこたえます。熱中症や虫刺されも気になりますね。

家庭菜園
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

前回の記事の後半でも、夏の庭仕事を乗り切るための私なりのヒントをいくつかご紹介しました。この異常なほどの暑さの季節には、自分の体の声によく耳を傾け、庭仕事を頑張りすぎて疲れ切ってしまわないようにすることが大切です。

夏の風景を彩るおすすめ夏花

さて、こんな都市部の暑さから逃れようと、先日山を上がって長野県の野尻湖の近くに数日滞在しました。美しい景色を堪能し、特に湖に浮かぶ愛らしい小さな島が素晴らしかったです。平地から遅れてこの季節にようやく満開を迎えたアジサイとともに、ギボウシやクロコスミア(ヒメヒオウギズイセン)、ルドベキア、コレオプシスなどが鮮やかな花を咲かせています。基本的に私が見たガーデンは、あぜ道沿いや野菜畑の端などにありました。野菜と花が交じり合っているという訳ではなく、畑の周囲を取り囲んでいたり、一角がガーデンになっていたりするのです。

クロコスミアとアナベル
クロコスミアとアジサイ‘アナベル’、タデの風景。Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Goldbach, Karin

さまざまな夏花の中でも、最も印象的だったのは、1.2mほどまで大きく成長し、深いオレンジレッドの花を咲かせるクロコスミア。周囲の緑との対比が美しく映えていました。

個人的に、このような華やかな色合いを持つクロコスミアは、もっとガーデニングで使われてよいと思います。アイキャッチャーとしてコンテナに植えてもいいですね。もっとも、大きく成長するのでスペースが必要ですし、非常に丈夫でよく茂るので、地域によっては外来生物として栽培が制限されている場合もあることに注意しましょう。私の庭では1.4mほどの高さになっていますが、切り戻しをすればもっとコンパクトになり、秋まで夏中ずっと咲いてくれます。

クロコスミア
花穂を伸ばして鮮やかな花を咲かせるクロコスミア。Delia_Suvari/Shutterstock.com

サルビアもまた、非常にバリエーション豊かなので、さまざまな花色や姿のものを試して楽しみたい、夏のおすすめプランツです。

サルビア・ファリナセア
夏に咲くサルビア・ファリナセア。Sonia Bonet/Shutterstock.com

夏花と花咲く夏野菜を組み合わせて家庭菜園を彩り豊かに

夏の寄せ植え
白い花を咲かせるディルを組み合わせた夏の寄せ植え。Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

私のおすすめの夏の家庭菜園アイデアは、これらの夏花を、花が咲く野菜、特にセリ科のものと組み合わせること。セリ科にはたくさんのハーブも属しています。

例を挙げると、

  • キャラウェイシード
  • チャービル
  • ニンジン
  • パセリ
  • コリアンダー
  • フェンネル
  • ディル
  • クミン
  • アニス
  • ラべージ

など。

コリアンダーの花
コリアンダーの花。Friedrich Strauss Gartenbildagentur / NouN

これらはどれも、色の違いはあれど同じような印象の花を咲かせます。なので、花として見る分にはどれを選んでも構いません。葉も可愛らしいですよ。それぞれ香りや味わいなどが異なるので、キッチンで使いたいものを選んで育てましょう。

セリ科の植物で嬉しいのは、開花中はもちろんですが、シードヘッドも可愛いこと。来年用に種子を採取するのはコスト的にもお得ですし、翌年以降も幅広い種類の植物を楽しめることにつながります。種子を貼ったポストカードなどを友達に送るのもいいですね。庭仕事が少なくなる冬の楽しみになりますよ。

私は今、パセリの種子を採種して保存用に乾燥中。また来年の楽しみになります。

アレンジ
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich
リース
愛らしいセリ科野菜の花は、アレンジなどに活用するのも素敵。Friedrich Strauss Gartenbildagentur / House of Pictures / Mercke Schmidt, Minna

ジャガイモの袋栽培に挑戦!

ジャガイモ

植物たちが大きく成長する夏を前に、私はいろいろなことにチャレンジしていました。その一つが、ポテトバッグ。ジャガイモを袋に入れて栽培するものです。今回は、サンドバッグ(土嚢)とプラスチック袋で挑戦しました。サイズや土の量、水やりや肥料のタイミングなどは同じに揃えて栽培します。

店頭で見かけるサンドバッグは白いものがほとんどですが、茶色っぽいナチュラルな色合いのものもありました。袋は丈夫なポリプロピレン(PP)製です。基本的にはガーデンでの人工製品はなるべく避けていますが、まだこれに関してはよい代替案がありません。一度、コーヒー屋さんでコーヒー豆の袋を1袋100円で手に入れたことがあり、これで袋栽培を試してみたところ、数週間のうちにぼろぼろになり、袋の周りに驚くほどたくさんの虫がついてしまいました。ひと夏でも持てば私にとっては合格でしたが、結局夏は越せませんでした。オーガニック製品は素晴らしいですが、それぞれの目的に適したものを探すのがちょっと難しいですね。

このオリジナルのポテトバッグのほか、地元のホームセンターでジャガイモの袋栽培セットも購入。2種類の製品があり、一つは有名なポテトチップメーカーの製品でした。この栽培セットは、必要な量の土や肥料をすべて含んでいます。外装には穴を開ける場所のマークもあって、至れり尽くせり。もちろん、排水性と保水性を兼ね合わせた、10cmほどの高さのちょうどいい場所にマークされていましたよ。では種イモは? こちらは別途購入となっていました。

このジャガイモの袋栽培セットは、4月初めに購入し、3カ月ほど育てて6月に収穫しました。かかった金額はトータルで1,000円ほどです。

ジャガイモ袋栽培

栽培方法はとても簡単。20ℓバッグの上部を切り、種イモを土の中にセットして、袋に穴を開けて水をやるだけ。日当たりのよい場所に置き、新芽が顔をのぞかせるまで待ちましょう。私の購入したセットは、細かい解説が、分かりやすいイラストと共に書いてあり、とても簡単に始められましたよ。

この栽培セットに加え、20ℓのプラスチック袋やサンドバッグにオーガニックの土を入れた自作の栽培袋もいくつか用意。いろいろな種類の種イモを購入し、トライアルをスタートしました。

ジャガイモ袋栽培

初めはどのジャガイモも勢いよく成長し、毎日チェックするのが楽しみでした。収穫できる大きさまで成長すると、葉が黄色っぽくなって見た目は段々汚くなってしまいます。これが収穫のサイン。この頃になると、早く袋を処分したくなってしまいます!

購入したジャガイモ栽培セットの袋では、収穫できた量はかっきり645g。キタアカリ系の品種のイモでした。オリジナルの土と種イモを使った自作の袋栽培も、たくさん収穫できましたよ。

ジャガイモの収穫
今年収穫できたジャガイモ。

自分で栽培したイモはとても美味しく、小さめのイモは蒸してバターと一緒に、大きめのものはマッシュポテトにしてソーセージに添えていただきました。手作りコロッケもたくさん作れましたよ。

友人の一人が、ジャガイモを皮付きのまま塩ゆでしてからオリーブオイルと刻んだローズマリーを絡め、オーブンで焼いた料理を作ってくれました。とっても美味しかったので、みなさんもぜひお試しを!

収穫を分け合う喜び

家庭菜園

この袋栽培以外にも、家庭菜園ではジャガイモをたくさん育てています。今年は生育がよくて、大豊作になりました。我が家だけで食べきるには多すぎたので、友人たちにお裾分け。とても喜んでもらえました。

市民農園を借りてジャガイモを栽培していた人もいますが、残念ながら病気にやられてしまい収穫できなかったそう。土が合わなかったか、何かウイルスが潜んでいたのかもしれません。自分の庭を持つことのメリットの一つは、土の性質や昨年何を植えたかを把握できることです。

目下の私の悩みは、このたくさん穫れたジャガイモたちを、どうやって長期保存していくかということ。我が家ではどこが一番保存に適しているか、いろいろな場所を実験中です。

タマネギ

6月には、タマネギもびっくりするほどたくさん収穫できました。植え付けは昨秋の10月で、砂地に植え付けました。他のことにかまけてほったらかしにしていたのですが、勝手に成長してくれたのです。3月に、ちょっと生育が悪そうだったので、有機肥料を与えただけで、ぐんぐん育って6月に見事な収穫をもたらしてくれました。

その当時、タマネギやジャガイモは高騰していたので、タマネギ栽培は結果的にとてもよい投資となりました。自分で育てた以外にも、播きすぎたという他のガーデナーさんから苗をいただいたりもしました。

友人の中には、植物を育てられるスペースや土を持つ人は多くありません。単に、時間や興味がない人も多いです。

そんな人たちも、一度自分で育てた野菜を味わう楽しみを知れば、きっと病みつきになるはず。有機野菜などには興味があるようなので、いつか野菜栽培にはまってくれるといいなと思っています。

Credit

ストーリー・写真(記載外)/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood

取材/3and garden 

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