ドライフラワーを使った繊細でオリジナリティのある作品で人気の「deuxR/デュエール」。その渡部裕美先生の教室に毎月通っている千葉県在住の橋本景子さん。この春、金沢で「deuxR/デュエール」の里帰りワークショップが行われるのを機に、花教室・食・名所など、橋本さんのアンテナに引っかかった場所を巡る2泊3日の旅の様子をレポートします。
目次
レッスン前日は地元観光へ
市場や生産者さんから直接仕入れた新鮮なバラや季節の花を乾燥させたり、生産地から厳選して取り寄せてリースやドライフラワーの教室が、とても人気の「deuxR/デュエール」。毎月教室に通ってはいるものの、今回渡部裕美先生の里帰り講座が春の金沢で開催されると聞き、即日参加を決めた受講生の私たち。
4月某日、羽田から早朝の飛行機で小松空港に飛び立ちました。

旅は、早朝、快晴のフライトからスタート。窓から見えるのは、まだたくさんの雪が残る日本アルプスの峰々。

レッスンの前日に到着した私たちは、ホテルに荷物を預けて、まず近江町市場を目指しました。
金沢の中心地、武蔵ヶ辻にある近江町市場は金沢市民の台所として藩政時代から約300年の歴史を持ち、入り組んだ小路に170軒もの小さなお店がひしめき、新鮮な野菜や海の幸などが豊富に並ぶ、観光客にもとても人気の観光スポットです。
まずは、みんなで金沢の味で腹ごしらえです(笑)。


腹ごしらえが終わり、お店のお兄さんにたくさんの情報をいただいたので、いざ観光へ。

まずは、市場から歩いて数分の加賀藩祖・前田利家公と正室お松の方を祀る由緒ある尾山神社へ。和漢洋の3つの建築様式を取り入れた珍しい形の「神門」は、カラフルなステンドグラスや赤煉瓦を用い、東洋と西洋の文化が融合された不思議な佇まいでした。
尾山神社と桜

尾山神社の境内で目を引いたのは、2本の「菊桜」。
これは加賀前田藩が京都御所から江戸時代に授かった、由緒正しき天然記念物の「ケンロクエン キクザクラ」の子孫とされるもので、1935年に積雪のために折れた枝から接ぎ木され、大切に育てられた株です。一つの花に数百枚の花弁がつく様子が菊に似ていることから名づけられました。花色は、真紅から薄紅、最後は白色に変化していき、ソメイヨシノが終わった後に楽しめる桜です。

尾山神社から最近復元された鼠多門橋(ねずみたもんばし)を渡り、鼠多門へ。
金沢城公園は、明治以降終戦までは陸軍の拠点として、その後平成7年までは金沢大学のキャンパスとして利用されていたところ。広大な敷地の整備が順次進められています。
兼六園の必見スポット



金沢城公園に隣接する兼六園では、桜はすっかり散り始めていましたが、兼六園のシンボルとして必ず登場する徽軫灯籠(ことじとうろう)や、2mほどの高さまで50本近くの根がせり上がった見事な根上松(ねあがりまつ)など、ほかにもたくさんの必見ポイントが、約11.7ヘクタールの広大な回遊式の日本庭園に点在しています。水戸偕楽園や岡山後楽園と並ぶ日本三名園の一つですから、一度は訪れたい場所です。
次回は、雪吊りを見に、ぜひ雪の時期に行きたいと思います。
ウィリアム・モリスにまつわる金澤モリス教会

翌朝も快晴です。
この日開催される裕美先生のレッスンの会場である、金澤モリス教会へ向かいます。
犀川のほとりにある金澤モリス教会は、イギリスでのアーツ・アンド・クラフツ運動の創始者であり、植物をモチーフにした壁紙やステンドグラスなどでも有名なウィリアム・モリスが、妻と新婚生活を送ったレッドハウスを忠実に復元した教会です。赤レンガの外観やウィリアム・モリスデザインの壁紙、美しいステンドグラスなど、クラシックで重厚な印象を受けました。



裕美先生のワークショップを受けられるだけでも素敵な時間が過ごせるのに、こんな美しい教会が会場になるなんて、とってもテンションが上がりました。
「deuxR/デュエール」渡部裕美先生の春のワークショップ


会場に到着すると、パーテーションで区切られた机には、すでに材料が配置されていました。では、少し制作過程をご紹介しましょう。

土台になるオアシスを、モスで周りを包むように巻き、アジサイを散りばめます。


ドライの花を配置したら、仕上げに入ります。

このパターンは、花材の違うもので以前作ったことがあるので、今回は復習するつもりで制作しました。
「菫色のタルト」は、そのネーミングの通り、紫のバラやラナンキュラスをメインに、薄ピンクやグリーンなどを合わせた、裕美先生ならではのセンスを感じるもの。記憶に残る素晴らしいワークショップでした。


数々の花が詰まった作品「菫色のタルト」完成

ドライのライムなどの細かいパーツを最後に追加し、ピンクのリボンを巻いたら、シーリングスタンプで飾りをつけて完成です。
作品が完成したら、教会内のあちこちで撮影タイムです。ウィリアム・モリスの壁紙やアンティーク家具と作品がぴったり合って、どの場所でも写真映えしました。


金澤モリス教会は、現在、金沢の老舗料亭「つば甚」さんが結婚式場として利用しながら、伝統ある建築物を守っています。この日、そのつば甚さんのお弁当をランチとして準備していただきました。
尾頭つきの鯛をはじめ、たくさんの食材が使われた豪華なお弁当。目にもお腹にも至福でした。
近江市場で見つけた春の山菜を土産に


ワークショップがあった日も1泊。最終日は、金沢ならではの美味しいものをたくさんいただきつつ、美術館を巡り、武家屋敷を歩き、最後はもちろん近江市場でお買い物をして……。という楽しい旅でした。

旅の締めくくりに市場に寄ると、この時期並ぶ山菜の中からカタクリを見つけてビックリ! 思わず「カタクリは咲くまで8年もかかるんですよ! 金沢の方たちはそれを食べるのですか?」と問い詰める私。八百屋のおじさんは「山で採ってくるわけじゃないよ、栽培しているんだ」と教えてくれました。ですが、こんなに美しく貴重な山野草を食べるということが、私にはやっぱり想像しづらいのでした。

「天ぷらにすると花が開いてきれいだよ」と教えてもらいつつ、カタクリのパックを買って帰りました。でも、もちろん食べずに観賞用に。
Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.9万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
YouTube 「Kay garden」
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
Credit
写真&文 / 橋本景子
はしもと・けいこ/千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも5.2万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
YouTube 「Kay garden」
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