花の女王、バラ。バラには野山に自生する性質そのままに栽培される野生種のほか、交配という栽培の技により生み出された無数の園芸品種があります。新しいバラがこの世に生まれるまでには、長い時間と、これまでにないバラを夢見て一輪に情熱を注ぎ続ける人々の存在があります。ここでは、新しいバラを生み出す世界中の育種家とバラのブランドヒストリーをご紹介していきます。
目次
京成バラ園芸によって作出、発表された第一号のバラ
1964年の東京オリンピックにちなみ、発表された一つのバラをご存じでしょうか。白地にローズピンクの覆輪がにじみ、咲き進むにつれて花弁に紅色が広がる大輪のこのバラは、‘聖火’という名を与えられ、ニュージーランド国際コンクールで金賞を受賞するなど海外でも高い評価を受けました。現在でも多くの人に愛されるバラ‘聖火’は、京成バラ園芸によって作出、発表された第一号のバラです。京成バラ園芸は、オリジナルブランドのバラを育種するとともに、世界中の多くのナーセリーと代理店契約を結んで、素晴らしいバラを日本に紹介しています。

1959年の創立以降、バラの育種と生産、販売を通じ、日本のバラ文化の普及に大きく貢献してきた京成バラ園芸。その京成バラ園芸の初代育種家が、「ミスター・ローズ」と呼ばれた鈴木省三です。1938年、わずか24歳にして東京都に「とどろきばらえん」を開園し、戦時下においても約300種のバラを守り続けました。その後、京成バラ園芸の園芸研究所長に就任。数々のバラを生み出し、その中には国際コンクールで金賞を受賞したものもあります。日本のバラを語るうえで欠かせない人物です。数多ある作出品種の中でも、香りのバラの代名詞として名高い‘芳純(ほうじゅん)’は、サーモンピンクの整った花から素晴らしく優雅な香りが漂う香り高いバラ。現代バラの香りを持つ香水を目指す資生堂により、「ばら園」シリーズのフレグランスのモデルとなりました。約1,000種類のバラの中から選び抜かれたこの‘芳純’の香りをもとに生まれた同名の香水は、ガーデナーのみならず多くの女性に愛されました。
京成バラ園芸のバラ

日本にバラ文化を普及し、多くの人にバラを楽しんでほしいという思いをもって創立された京成バラ園芸は、日本のバラブランドとして、日本人の感性や気候風土、庭の広さに合った育てやすいバラを多く作出しています。千葉県にある本格的な整形式庭園「京成バラ園」を訪ねれば、種類ごとの花の美しさはもちろん、花の数、樹の大きさや枝ぶりといった要素も大切に展示されているために、バラの特徴がよく分かります。京成バラ園がつくり出すバラは、美しい色合いと香りに加え、‘しのぶれど’や‘恋結び’など、和歌や古典に由来する情緒豊かな和名を持つものが多く、名前を見るだけでもイメージが膨らみます。このように、先人の育種家たちの技術を受け継ぎ、京成バラ園芸は現在でも新たな歴史を切り開いています。そうして生まれたバラは、日本国内はもちろん海外でも高く評価されています。
華やかな京成バラ園芸のバラ
‘しのぶれど’

青みを帯びた淡い藤色のしっとりした花色と丸みのある花形が、和の雰囲気を強く感じさせます。花名は平兼盛の和歌より取られたもの。ダマスクモダンにティーが混じる香りを放ちます。
‘快挙’

明るく爽やかなレモンイエローの大輪のバラ。ロゼット咲きになるクラシカルな花の中心部が、ひときわ鮮やかな黄色に染まります。ローマバラ国際コンクールにて金賞を受賞。
‘ローズうらら’

目の覚めるようなローズピンクの花弁がとても華やか。ガーデンがパッと明るくなるようなクリアな花色に発色します。花つきがよく、春から秋まで絶え間なく花を咲かせ、丈夫で育てやすい品種。
‘杏奈(あんな)’

明るく柔らかなアプリコットオレンジの花が、3~5輪の房咲きになります。コンパクトに生育するので、ベランダでの栽培にもオススメです。繰り返しよく咲き、丈夫で育てやすい品種。
‘恋結び’

すらりとした枝の先に、高芯咲きのボリュームのある大輪の花を咲かせます。咲き進むにつれて次第に濃い色がのる花弁は、あたたかなピンク色。フルーティーな香りも魅力です。
‘春乃(はるの)’

紀貫之の和歌より名づけられた香り高いバラです。中心に向けて色を増す花弁は、和の心を感じさせる桜色。株いっぱいに花を咲かせ、春爛漫のような雰囲気をつくりだします。花もちがよいので切り花としても。
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Credit
記事協力/京成バラ園芸
ご紹介した品種のバラ苗は、京成バラ園芸にてお買い求めいただけます。

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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