埼玉県熊谷市にある『花音の森』には、170坪ほどの庭があります。2019年12月に木がまったくない更地から、植物を植えて庭を作り、2年目の晩秋を迎えています。今回のお話は、落ち葉について。落葉樹は掃除をするのが大変だから…と敬遠されがちですが、落葉樹は芽吹きから紅葉、落葉まで、さまざまな表情の変化を楽しめるのが魅力! それに、落ち葉はゴミではありません。貴重な資源です。資源として生かす方法を知れば、植物との関わりももっと楽しいものになるかもしれません。
目次
花音の森とは?
私の活動拠点「花音の森」では、植物のある暮らしで健康寿命を延ばす自然療法“ガーデンセラピー”をコンセプトに、植物の楽しみ方があれこれ学べるレッスンと、庭づくりを行っています。
加えてもう一つ、ここで『日本一暑い街・熊谷でエアコンに頼らず暮らす』実験をしています。家の性能と植物をうまく活用することで、夏は冷房なしでも過ごせ、冬は薪ストーブで暖かく暮らせる環境を考えて作りました。
日本一暑い街の夏は、年々過ごしにくくなっていることを肌で体感できるほど…。どうやったら冷房に頼らず心地よく暮らせるか考え、屋根・壁・窓に直射日光が当たらないことが大事だという結論に。そのために、ぐるりと家を囲むようにコナラを配植しました。ゆくゆくは屋根を覆って、もっと涼しくなるだろうと期待しています。
春夏秋冬コナラが大活躍!
一方、冬の寒さ対策についても考えなければなりません。コナラは落葉樹。夏は葉が茂っていますが、冬は葉を落とし、屋根・壁・窓に直射日光を届けてくれるのです。このおかげで、晴れた日なら冬の午前中は部屋が暖かく、薪ストーブはつけずに過ごせます。
エアコンがなかった昔は、暮らしの質を向上させるために庭があり、室内の快適性も考慮して樹種選びをしたのだろうな、とも感じます。
落葉樹は、一年を通して、芽吹きから新緑、紅葉、落葉までさまざまな表情の変化を楽しめるのが魅力! 特にコナラの葉の色が変わっていく様子は、本当に植えてよかったと思うほど、お気に入りです。
今年はコナラのどんぐりが大量に落ちてきて、庭中、あちこちに転がっています。そんな様子にも、なんだかほっこり。花音の森にいらっしゃる生徒さんも、嬉しそうにどんぐり拾いを楽しんでいました。
そんなコナラは、ただいま紅葉の真っ最中で、もう少し経つとすべての葉が落ち、落ち葉のじゅうたんが楽しめます。
落ち葉は、陸の豊かさを守るための資源になる
最近、よく「サステナブル」という言葉を耳にするようになりましたね。サステナブルは、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉で、「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があります。
現在、国連が世界共通の目標として取り組み始めているのが「持続可能な社会」の実現。英語では、Sustainable Development Goals。この頭文字をとって、SDGs〈エスディージーズ〉と呼ばれます。SDGsでは、貧困、環境問題、経済成長やジェンダーなどの課題に対して17の目標が掲げられています。
その中の一つに、陸の豊かさを守ろう(陸上資源)があります。
落ち葉は、植物の栄養となる、非常に大事なものです。
地上に落ちた葉は次第に細かくなり、腐りながら分解されて土へと変わっていきます。自分の葉を足元に落とし、循環させ、それが植物たちの成長の源になっていくのです。裏を返せば、落ち葉を人間がゴミとして捨ててしまうと、木の栄養が足りない・土ができない、ということになるのです。
落ち葉が陸の豊かさを守るための資源になるということを知ると、その価値が上がり、葉っぱ1枚1枚が愛おしく思えてきませんか?
庭づくりをする時、「落葉樹は落ち葉が出るから避けたい」と言われることがあります。また、花音の森を見て「落ち葉を拾うのも大変そう」とも言われます。確かに落ち葉は出ますが、これをゴミととらえるか、資源ととらえるかで、大きく気持ちが変わります。
庭を維持管理するのに、大変だと思うことを無理して続けていくと、いつかやりたくなくなってしまいます。逆に、自分の庭で、ラクに楽しめることだったら長く続けられますよね。なおかつそれが環境にもよい影響を与え、次世代にバトンタッチできるなら、さらに庭仕事にも意義があります。私はそんな気持ちで植物と接しています。
庭でSDGsを実践しよう! 落ち葉はゴミにしない
というわけで、花音の森では落ち葉は捨てずに、木々の足元に戻しています。また、風で飛んで行ってしまうこともありますので、水やりの時に落ち葉にも水をかけ、重さを加えていますよ。
植物を育てている人は、ぜひお庭でSDGsにチャレンジ! 落ち葉はゴミにせず、資源として大切にリサイクルしてくださいね。
新着記事
-
ガーデン&ショップ
「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」 ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート!
第3回目となる「東京パークガーデンアワード」が、東京・世田谷区にある都立砧公園でキックオフ! 作庭期間は、2024年12月中旬に5日間設けられ、書類審査で選ばれた5名の入賞者がそれぞれ独自の手法で、植物選びや…
-
宿根草・多年草
花束のような華やかさ! 「ラナンキュラス・ラックス」で贅沢な春を楽しもう【苗予約開始】PR
春の訪れを告げる植物の中でも、近年ガーデンに欠かせない花としてファンが急増中の「ラナンキュラス・ラックス」。咲き進むにつれさまざまな表情を見せてくれて、一度育てると誰しもが虜になる魅力的な花ですが、…
-
ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園で始動
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に、いよいよスタートしました。2024年12月には、…