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南国を想起させる温泉リゾート ドイツ「ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート」

南国を想起させる温泉リゾート ドイツ「ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート」

Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort

ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ=ツェルナーさんが、海外旅行に行きたいけれども行けないという皆さんをご案内する空想旅行第4弾。今回は、寒さが本格的になってきたこの季節に恋しい温泉と南国を求め、近年ドイツにオープンしたズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート(SIEBENQUELL GesundZeitResort)をご案内します。ドイツでの冬の思い出とともに、南国風のインテリアにおすすめの観葉植物も併せてご紹介します。

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冬の訪れ

11月も終わりになると、誰もが寒い寒いと口にするようになります。冬の訪れです!

ネガティブにとらえられがちな冬ですが、私は「どんな服装をするか、そして何を見るかによって寒い季節の受け止め方は変わる」と考えています。実際、私は冬が好き。特に、凍り付いたような冬景色や、柔らかい純白のパウダースノーが大好きです。北海道生まれの人は、私が今暮らしている神奈川の湘南や、四国や沖縄などの温暖な地域で生まれ育った人とは、冬や寒さについて全く違う見方をしているかもしれませんね。

冬の光景
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

南ドイツで生まれ育った私にとって、冬はとても楽しい季節。外に出た時に感じる寒さは心地よいものです。子ども時代を過ごしたドイツで、初雪と同じくらい嬉しかったのが、その年最初の凍った水たまり。かかとでひびを入れて、氷が割れる音を聞くのは本当に楽しいものです。大人になった今でも、こうした小さな氷を見つけると、思わず割らずにはいられません。

暖かい冬服に身を包み、冬用のブーツと手袋、たっぷりしたスカーフをすれば、凍えた場所を歩くときも暖かくしていられます。すべてがひっそりと動きを止め、植物も冬の間は成長を止めます。一度雪が降れば、辺りの景色は白に覆われ、とても美しい光景に。特にまだ誰も足を踏み入れていない早朝の雪景色の美しさは格別です。

雪の朝
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

雪といえば、こんな思い出もありました。父と私、そして当時7歳ほどだった私の娘を連れて、ベッドに入る前にパジャマに裸足で雪の中に足を踏み入れてみたことがあります。娘は今でもその時の雪の体験をよく覚えています。気温はマイナス5℃ほど、フワフワの雪を楽しんだ後は、ゆっくりと眠ることができました。

このような寒い季節の喜びを友人たちに伝えるのは、なかなか難しいものです。冬は寒くて憂鬱な季節だという彼らにとっては信じられないことのようです。

冬に恋しい南国の景色と温泉

ガーデン
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

寒い冬は、南国風の植物への憧れが募る季節です。湘南に暮らしていると、毎日のようにオーシャンビューや公園のヤシの木を眺めることもできます。ヤシの木は、ドイツではほぼ植物園でしか見ることができません。冬に植物園を訪れるのは楽しいものですが、普通は年に1回行くか行かないか。熱帯や亜熱帯の植物とともに植栽されていますが、植物の間には細い道があるだけなので、座ってリラックスしたり、ランチを楽しんだりといったことはできません。植物園の目的は、世界中のさまざまな種類の植物を展示するということですからね。近所の公園では、穏やかな気温の中でランチを楽しんだり、一日ゆっくりリラックスしたりと、まったく異なる形でエキゾチックなヤシの木を楽しむことができるのは嬉しいものです。

温泉
RossHelen/Shutterstock.com

もう一つ、寒い時期になると恋しくなってくるものといえば、温泉。ドイツには約400カ所の温泉があるのをご存じですか? そのおよそ2/3はバイエルンとバーデン=ヴュルテンベルクの南部に集中しています。ドイツと日本の温泉の大きな違いは、比較的小規模な日本の温泉に対し、大規模なものが多いこと。また、ドイツの温泉文化では、水着を着て入ることです。

私は温泉という言葉を聞くと、南太平洋やタイ、インドネシアで過ごす休日のような、大きなプールにガラスハウスなどが思い浮かびます。もちろん、南国風な植物たちも忘れてはいけません。まるで室内プールのようですが、もっとずっとラグジュアリーで、一日中でも退屈せず過ごせます。ほとんどの場合ホテルが併設されていて、屋外プールやガーデンもあります。例えば屋外の大きなチェス盤でプレーしたり、夏の間は芝生のデッキチェアで涼んだりといったアクティビティも楽しめますよ。人によっては、1週間以上の休暇を温泉地で過ごすこともあるため、中にはキャンプ場が隣接されていることも。キャンプカーで滞在しながら毎日温泉に入り、時に近隣エリアに小旅行に出かけるのです。冬ならスキーやスノーシューを履いてのトレッキング、夏ならセーリングやハイキングのようなレジャーを楽しむことができます。

近年、南国と温泉、その2つの要素を満たすスパリゾートがドイツにオープンしました。今回はその「ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート(SIEBENQUELL GesundZeitResort)」についてご紹介したいと思います。来年にはもっと旅行に行きやすくなることを願っていますが、それまではもうしばらく我慢の時。幸い日本にはたくさんの温泉がありますので、日本の温泉を楽しむのもいいですね。

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート(SIEBENQUELL GesundZeitResort)

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort
ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort

2016年、南ドイツの森林エリアにオープンしたのが、今回ご紹介する温泉リゾート「ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート」。日本語にするなら、7つの泉を持つ健康スパリゾートといったところでしょうか。

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort

このスパは標高630m、ヴァイセンシュテッター湖(Weißenstädter See)のすぐ近くにあります。100以上の客室を備えた4つ星ホテルで、地下約2,000mから湧き出す源泉には硫化物とフッ素化合物が豊富に含まれ、リウマチ改善、健康とリラクゼーションに効果がある泉質とされています。

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort

屋内と屋外が連結した温泉プールはほぼ1,000㎡の広さがあり、プール内では泳いだり軽い運動も許されています。温度は32~34℃。1つだけ、38℃の熱いお湯につかれるプールもあります。日本の温泉に慣れているとぬるく感じますが、動いているとこのぐらいの温度がちょうどいいのです。

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort

温泉プールの後は、8種のサウナも楽しめます。それぞれにテーマがあり、例えば「木の工房」や「マツの木」など。サウナはテーマに沿った内装になっていて、温度が80℃になる「木の工房」のサウナでは、ブナの枝や抽出物が使用されています。「マツの木」のサウナで使われているのは、もちろんマツ。ほかに地域のハーブも使用されていて、サウナの温度は65℃に設定されています。熱すぎるサウナが苦手な私にとっては、素晴らしい場所です。クールダウンに用意されているのは、Schneekammer、つまり雪室。一年中本物の雪が貯蔵されていて、熱いサウナの後の火照りを沈めるのに役立ってくれます。

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort
ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort

スパは内装も素敵で、大きなヤシの木にワシントンヤシ、ビロウヤシ、アレカヤシ、マニラヤシにフィカスの仲間など、エキゾチックな植物が屋内に植栽されています。まるで本当のビーチに育つヤシの木の下、ビーチチェアでくつろいでいるかのような気分が味わえる演出になっています。

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート
Photo/SIEBENQUELL GesundZeitResort

ズィーベンクヴェル ゲズントツァイトリゾート SIEBENQUELL GesundZeitResor
https://www.siebenquell.com/

南国風の演出にぴったりの観葉植物

ヤシの鉢植え
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

手に入りやすく、南国の雰囲気を持つ観葉植物を鉢植えで育てれば、自宅でもリゾート気分を味わうことができますよ。観葉植物の多くは一定以上の気温が必要なので、屋内での栽培が基本となりますが、人気があるのでほとんどのガーデンセンターや花屋さんで手に入ります。ミニチュアから樹木らしいサイズまで、さまざまな大きさの苗がありますよ。いわゆるハイドロカルチャーやセラミス植えにしても手入れが簡単です。土の代わりの粒が水をしっかりキープし、水分量も見えるので、次の水やりがいつ必要か分かりやすく、過湿や根腐れを防ぐことができます。南国風の演出ができるおすすめの観葉植物を3つご紹介しましょう。

アレカヤシ

アレカヤシ
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

アレカヤシは、ドイツではGoldfruchtpalme(金の果実のヤシ)やSchmetterlingspalme(蝶のヤシ)とも呼ばれます。マダガスカル原産で、長い羽根のような葉が上に向かって弧を描くように伸び、軽やかで魅力的な株姿になります。楕円形の果実はオレンジ色で、中には種子が1粒。この実からドイツ語の別名は名づけられました。とても人気の高い観葉植物で、世界中のリビングやオフィスで栽培されています。日当たりがよい場所で、冷たい空気が出入りする通気口の側を避けて育てましょう。

マニラヤシ

マニラヤシ
Ilya Images/Shutterstock.com

フィリピン原産で、英語ではクリスマスヤシとも。枝の根元にはしばしば鮮やかな赤色の実がぶら下がっています。果実は主に晩秋から冬にかけて実り、まるでクリスマスに向けて飾り付けをしているかのよう。しっかりとした幹から、硬く長い葉をアーチ状に伸ばします。

フィカス・ベンジャミン

フィカス・ベンジャミン
左奥がフィカス・ベンジャミンの斑入り品種。Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

インドおよび北オーストラリア原産。コンパクトな常緑植物で、光沢のある葉が特徴。フィカス属は種類も多く、さまざまな形の苗が販売されています。

これらのエキゾチックな植物をデコラティブな鉢に植え、浴室に置いてバスタブにつかりながら眺めれば、ドイツの温泉リゾートにいるかのような気分を味わえるかもしれません。ドイツの浴室は日本で一般的なユニットバスに比べて広いため、窓枠や床に、アレカヤシの鉢植えがよく置いてあります。小さな鉢ならば、省スペースでも楽しめますね。

コラム:ガーデニングのココが気になる! Part3
野鳥の餌台

野鳥の餌台
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

今までガーデニングでの危ない点や気になる点をお伝えしてきたこのコラムですが、今回は私が個人的に興味のあることについて、皆さんに聞いてみたいと思います。

ドイツでは、ガーデンやバルコニーやベランダなどの窓の前に、野鳥の餌台を置くことがよくあります。餌台はさまざまな形があり、バードハウスのようになっていたり、鳥の餌を吊すだけだったり。ガーデンセンターやホームセンターでは、バリエーション豊かな鳥の餌と餌台が並ぶ大きなコーナーもあり、学校によっては工作の授業で餌台を作ることもある、とても身近な存在です。私もドイツでは、野鳥に餌をやるのが朝食前の習慣でした。

さて、日本では、このように餌台を庭に設置するのは一般的なことでしょうか? もしそうなら、どんな餌を置くのかも興味があります。いろいろな地域で、野鳥たちはどんな食事をしているのでしょう? 冬が近づく今、ちょっと気になっていることです。

バードフィーダー
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Wothe, Konrad

Credit

ストーリー/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood、SIEBENQUELL GesundZeitResort

取材/3and garden 

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