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日本が可愛い花であふれかえる⁈ Junk sweet Garden tef*tef*による、おしゃれ楽しい園芸業界プロジェクト発進!

日本が可愛い花であふれかえる⁈ Junk sweet Garden tef*tef*による、おしゃれ楽しい園芸業界プロジェクト発進!

センス抜群の花セレクトと寄せ植えで、カリスマ的人気を誇る「Junk sweet Garden tef*tef*」。ネット上の園芸セレクトショップとして開店以来、10年以上右肩上がりの成長を続けているショップの代表、槇谷桜子さんが、日本の園芸業界をさらにおしゃれに楽しくすべく、新しい取り組みを始めました。日本が可愛い花であふれかえってしまうかも!!

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世界中でガーデニングブーム再燃中

今、世界的にガーデニングが流行していることをご存じですか? 新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増えたため、昨年からガーデニングを始めたという人がたくさんいます。ただし、ガーデニングに注目が集まっているのは、ただ「時間が増えた」ことだけが理由ではないようです。興味深いことに、社会情勢が不安定になると、ガーデニングに脚光が当たるという歴史があります。不安を感じると、それを解消する手立てとして、人は緑を求めるのです。緑には、人を健やかに導く効果があることは、古くから経験則として知られていましたが、近年の研究で血圧やホルモン数値の変化といった目に見える形で実証され、ガーデニングは新しい価値と可能性を大きく広げています。

カリスマショップが園芸業界向け有料オンラインサロンを開始

そんななか、日本の園芸界に新たな潮流が生まれようとしています。Junk sweet Garden tef*tef*の代表をつとめる槇谷桜子さんは、自社で培ってきた経験や知識、情報、経営哲学を他の園芸店へも広めるため、昨年末、園芸業界向け有料オンラインサロンを開始しました。良質な花苗の普及拡大によって、園芸ファンを増やし、園芸業界全体の発展へつなげようと考えたのです。

Junk Sweet Garden tef*tef*
槇谷さんの感性と独自のテクニックで生み出されるJunk sweet Garden tef*tef*の寄せ植え。植え込み直後から美しく、さらにここから生育し姿が変化していく様子も楽しめるよう作られている。「TEFNIQUE(テフニーク)」と命名。

Junk sweet Garden tef*tef*は、花苗や園芸グッズのセレクトWEBショップです。「花が好き」という極めてシンプルな理由で、12年前に槇谷さんが自宅で一人で立ち上げたのがその始まり。槇谷さんの感性で選ばれた植物や、それらを使って作られた寄せ植えは、繊細な色合いと造形で、ファンを多数獲得。リピーター率9割という数字は、一過性ではない園芸ファンの増加に大きく貢献していることを示すとともに、何よりも顧客満足度の高さを物語っています。

槇谷さんのセンスによるセレクトが人気のtef*tef*のオンラインショップ。左上から時計回りに/フロックス・ドラモンディ 「クリームブリュレ」/八重咲きアネモネ「アンアリス」/tef*tef*で育種をしたオリジナルパンジー「ラグジュアリーセレクション オールドクラシカル」。群馬県の有名生産者「タカザワフラワーファーム」が生産/人気の多肉植物生産者「いとうぐりーん」のエケベリア「レインドロップス」。

「繁忙期は月に3,000件出荷することもあります。お客様の欲しいという声にお応えするために、場所を拡大しハウスを増やし、従業員も30名まで増やしましたが、それでも出荷が追いつかないのが現状です。sold outの表示を減らそうといろいろ工夫しましたが、tef*tef*だけではお客様の希望にお応えするのに限界を感じると同時に、園芸業界全体が潤うシステムを作らなくては、という思いが近年強まっていきました」

その第一歩としてスタートさせたのが、オンラインサロンです。サロンメンバーには、同じ園芸店、育種者、生産者、市場関係者、園芸雑貨メーカーなど、園芸業界のさまざまな人々が参加しており、彼らが一つのグループとなることで、拡大する需要に合わせ安定供給を行い、ユーザーの満足度を高めるとともに、園芸業界全体の発展を目指しています。

Junk Sweet Garden tef*tef*の花
埼玉県「花日和」作出の八重咲きペチュニア「ホイップマカロンシリーズ」。tef*tef*では商品アップ後、即完売になる大人気品種だが、広くユーザーに届けるために、サロンメンバーでプロジェクトを進行中。

徹底した品質管理で感動のバトンをつなぐ

そもそもコロナ前の園芸業界は、一時のガーデニングブームが去って以降、総体的に見れば低迷を続けており、そのなかでJunk sweet Garden tef*tef*の人気と成長ぶりは異常ともいえる事態。その快進撃の理由はさまざまありますが、最も大きいのは、花への愛情から生まれるクオリティでしょう。

「私、本当に単純に花が好きなんですよ。毎日毎日、これだけ花に接していても、飽きたり慣れたりすることなく、いちいち可愛いなぁと思って、しみじみ感動するんですよね(笑)。この感動をお客様にもそのまま届けたいし、そうするのが私の使命やと思うんです。この花を生み出してくれた育種者さん、苗を生産してくれる生産者さん、流通を担ってくれる仲買人の方や市場の方というふうに、たくさんのバトンが繋がれて、私たち園芸店は最後にお客様にバトンを届ける重要な役目を担っているわけです。感動のバトンをきちんと届けるために、考えうる工夫と努力はすべてする。私にとっては当たり前のことですが、それがクオリティに繋がり、お客様からも評価をいただいてきた理由なんだと思います」

ピンセット
花苗の手入れに使っているピンセット。ショップでも購入可。

例えば、tef*tef*では仕入れた苗をそのまま出荷することはありません。一苗一苗の様子を確認し、花がらや黄変した葉は一つたりとも残さぬようピンセットで株の中まで丁寧に掃除し、必要に応じて肥料を与えたり、薬品を施します。

「花苗の種類によって特有の病気があるので、お客様のもとに届いてからも病気が発生しないよう、こちらであらかじめ予防を施しておきます。また、市場での仕入れから、お客様にお届けするまでにはインターバルがあるので、お客様の手元に届いた時に最高の状態になるよう時間を逆算して、ピンチしたり追肥を施したりもします」。

Junk Sweet Garden tef*tef*の寄せ植え
寄せ植えもギュッと詰め込まれているように見えるが、株元が蒸れないような工夫がされており、届いてからも成長を見守りながら長く楽しめる。

手間も時間もかかりますが、ピンチした分、苗は枝数が増え、花がたくさん咲き、病害虫対策も施されているため、園芸初心者でも困惑することなく、どんな花も上手に育てられるのです。つまり、同じ品種の花であっても、どのような管理がなされているかで花のパフォーマンスはまったく異なり、花数も、開花を楽しめる期間も変わってくるのです。さらに、丁寧な梱包に感動しファンになるガーデナーも多く、ブログや動画などで届いた梱包の様子を伝えてくださる方もいるほど。運送中に花を傷めない養生はもちろん、花とお客様との初対面を感動的なものにしたいと、段ボール内での花の配置にもこだわりを持っています。

作り手とともに人気品種を生み出し、生産者を応援

また、希少種や新品種、オリジナル品種などの個性的な花苗が並ぶのもtef*tef*の人気の秘密。そうした品種はそもそも市場への出荷がなかったり、極端に少ないことも多いのですが、槇谷さんは育種者や生産者と密接に繋がり、作り手とともに人気品種を多数生み出してきた仕掛け人でもあります。

Junk Sweet Garden tef*tef*の花
埼玉県「花日和」作出のパンジー「シエルブリエ」。槇谷さんのアドバイスを経て大人気品種となり、生産量が10倍以上に伸びた。

「ときには育種者さんがそれほどでもないなぁと思っている花を私がすごく気に入って、ぜひそれを作ってほしいとお願いすることがあります。tef*tef*はネットショップなので、惚れ込んだお花に対し、写真や言葉や寄せ植えの実例などでその魅力を惜しみなくショップ内で宣伝し、人気品種に押し上げてきたという実績があります。要するに、お花のブランディングですよね。これって生産者さんでも同じで、先ほどもお話ししたように同じ花でも、誰が生産したかで、その品質って全然違うんですよ。発色がすごく綺麗だったり、どうかしたら育て方がうますぎて、生みの親である育種者さんも知らない本来の性質が出てくることもあるくらい(笑)。だから、tef*tef*では、誰が育種し、誰が生産した花かというのを丁寧に伝え、価格にも反映させ、それを作り手さんにもフィードバックしてきました」

オステオスペルマム
繊細な色が魅力の長野県「ゲブラナガトヨ」作出のオステオスペルマム。同社とは育種の過程で相談を受ける関係。

良質な苗を適正価格で売るのがポリシー

tef*tef*のショップには、のぞけばいつも名花が並ぶ。左上から時計周りに/ジャパンフラワーセレクションで優秀賞を受賞した岐阜県の名花フランネルフラワー「フェアリーホワイト」渡邉祐一氏・生産 /有名育種者・生産者として知られる高知県「見元園芸」オリジナル白花多葉クローバー「天使のドレス マリッジ」 /埼玉県の生産者「横田園芸」作出の芳香宿根ネメシア・ネシア「トロピカル」/奈良県の生産者「北島園芸」作出のニチニチソウ 「フリンジビンカ フェアリーチーク」。

tef*tef*の苗は一般的な園芸店より高めに設定されていますが、槇谷さんはそれを誇りだと話します。

「比較すれば高いかもしれませんが、私は適正価格だと思っています。叡智と技術、工夫と努力が積み重ねられたものは、それだけの価値があり、価格は最も分かりやすい品質の表明です。だから、安さを売りにしないのが私のポリシー。価値あるものを見極める目を磨き、伝える努力をし、感動をお客様に届ける花苗管理を徹底することに労力をかけたいんです。そうやって適性価格を貫き、作り手さんたちに利益をフィードバックすれば、さらにユニークでよりよい花を生み出してもらえ、もっとお客様に喜んでいただけます」

槇谷さんが作り手を大切にする訳は、彼らへのリスペクトと、日本の花農家が置かれている高齢化・減少化といった厳しい現実への危機感があります。減少化の理由の一つは、販売価格。園芸店に置かれる花苗のほとんどは、市場を通して全国に流通しています。市場にはセリの制度があり、セリでは生産者は自分で価格を決めることができないため、想定した価格よりはるかに安価に売買され、種代をようやく確保できるほどにしかならないケースもあります。そうなれば生産者は土の量を減らしたり、肥料を減らしたりせざるを得なくなり、結果的に粗悪な苗が出回ることにもなりかねません。

群馬県の生産者「k_plants」のハボタン「ヴィンテージベイン」。浮き上がる葉脈が芸術的。

「ただし、良質な苗を作る生産者さんの苗やユニークな品種は、“先取り”でどんどん売れてしまいます。“先取り”というのは、セリにかけられる前に生産者さんの希望価格で注文を受ける市場の卸売システムで、注目が高い苗は早い者勝ちで、すごいスピードで売れていきます。ですから、いい苗を仕入れるには、良質な苗を作る生産者さんの名前を覚えたり、最新品種の名前に敏感である必要がありますし、週2回の仕入れに備えてリサーチや準備が大切。そして、たとえ仕入れた苗の品質が低くても、リカバリーできる腕さえあれば、失敗も怖くないし、勉強の機会になります」

Junk Sweet Garden tef*tef*の花
希少品種の仕入れは、園芸店の腕の見せ所でもある。左上から時計回りに/兵庫県の生産者「花芳」作出のオリジナル八重咲きペチュニア「ジュリエットモダンシリーズ」/群馬県の生産者「はなせきぐち」作出の希少クレマチス「貴婦人のたしなみ」/愛知県の生産者「広野園芸」のオリジナルヘデラ「雪ほたる」/埼玉県の生産者「塩原花園」作出のアジサイ「クイーンズブラック」。

市場関係者の協力を得て全国に高品質の花が行き渡る流通を整備

tef*tef*では日本最大級の花市場である愛知県の豊明花きを利用していますが、ここには全国から年間7,400万鉢、1万5千品種の花苗が揃います。市場から花を仕入れるには市場との売買契約が必要で、個人で営む園芸店などにとっては参買権の取得や市場との物理的な距離がハードルとなり、仕入れに悩むケースも見られました。そこで、豊明花きでは、より多くの園芸店に仕入れの門戸を開くために、インターネットの売買システムを展開し、既に契約を結んでいる仲卸業者を通すことで、個々の園芸店でも市場から仕入れられるサービスを設けています。

Junk Sweet Garden tef*tef*の多肉
全国から植物が集まる市場を利用し、花苗だけでなく多肉や観葉植物など幅広い仕入れをしている。

tef*tef*でもこのサービスを利用して仕入れを行っており、仲卸業者や市場と長年にわたり信頼関係を築いてきました。オンラインサロンには、こうした市場関係者も参加しており、サロンメンバーの園芸店に対しても、市場のサービスが利用できる道筋を作ったり、鮮度の高い花を届けられるよう市場からの直送を行ったりなど、仕入れや流通に関して大きな協力を得ています。

「ただし、地元の市場でまかなえるものは、地元で仕入れようとメンバーさんにはアドバイスしています。そのほうが仕入れの際の競争も避けられますし、鮮度もいいし、地元の市場や生産者さんの利益にもつながります。園芸業界はいろいろな人が関わって成り立っているので、自分だけの利益ではなく、業界全体のことを考えて動くことが大事だということもサロン内でお話しさせていただいています」

サロンは勉強し、高め合い、個性を見つけられる場

Junk Sweet Garden tef*tef*の寄せ植え
“大人かわいい”がキャッチコピーのtef*tef*。シックな色合いでまとめつつ、植物一つひとつの個性が際立つ寄せ植えが魅力。

前述のように、サロンメンバーの中には、生産者や育種者もおり、品種の特性や手入れの仕方、病害虫対策などを丁寧に解説しています。じつは園芸店が直接、作り手から話を聞ける機会はこれまでにあまりありませんでした。ですから、園芸店メンバーにとってサロンは、より花を学ぶための勉強会の場にもなっています。園芸店メンバーが熱心に質問し、仕入れた苗の品質向上に努めている一方、生産者メンバーは園芸店メンバーを通してユーザーの声を聞くことで、新たな生産や育種の方向性を見つけることができます。

また、園芸店同士の横のつながりもtef*tef*オンラインサロンの大きな特徴で、例えば寒冷地での苗の特別な養生の仕方などを、経験豊富な園芸店が、これから園芸店を始めるという同じ地域の人に教えるというコミュニケーションも行われています。

「ただし、サロンは“みんな一緒”というイメージではなく、知識や経験は共有するけれども、それを個々に生かしていくのが理想だと思っています。tef*tef*のセレクトは売れるので、私たちの仕入れのラインナップもサロンメンバーさんに共有していますが、それをそのまま仕入れればいいというより、あくまで参考にしてほしいと思っています。そもそも、園芸は気候と密接に関わっているので、店舗を構える園芸店さんは地域特性を捉える必要がありますし、地元のお客様の傾向なども重要な要素です」

Junk Sweet Garden tef*tef*のリース型寄せ植え
「TEFNIQUE(テフニーク)」の中でも人気が高いリース形の器の寄せ植え。生きた絵画のようで、見入ってしまう精巧な美しさ。

そうした特性を上手に生かし、それぞれが個性をもち、お互いに刺激を与え合い、成長し合える場にするのがサロンの目指す方向です。さらに、個々に強みを持った園芸店や関係者がメンバーとしてつながることは、問題やトラブルに際しても、協力し解決に導くことができると話します。

「実際、あるアクシデントがあり、売り先に困ってしまった花苗が市場で発生したことがありました。そこで、tef*tef*でお取り引きがある仲卸さんがどうにかしたいとそれを全部引き取って、私も限界までそれを仕入れて販売し、ほかの園芸店さんにも声をかけて売ってもらい、みんなで協力して廃棄を防いだということがありました。それが素晴らしい苗だったからこそできたことですが、力を持ったメンバー同士が密接につながることで、今問題になっているフラワーロスをなくすことにも貢献できます」

日本のユニークな花文化を世界へ

このサロン立ち上げの同線上の未来に、槇谷さんが見据えるのは、日本の園芸業界が1チームとなって、世界に進出することです。

「果物やお米の食味レベルが世界に類を見ない高いレベルを誇るのと同様に、日本の花生産も独自の感性と技術力で、ものすごくレベルが高くユニークです。じつはSNSの普及で世界が日本の花に驚嘆し始めており、実際、海外ではtef*tef*の写真を無断使用した偽ショップが蔓延していて、早く本物が登場して事態を収束してくれと言われ、海外進出の計画も進んでいます。皮肉ですが、偽物が蔓延するほど世界は寄せ植えを含めた日本の花文化に価値を見いだしているということです。ですから、世界的なガーデニングブームの高まりがある中で、日本の園芸業界が1チームとなれば、このユニークな花文化は世界に打って出られると私は本気で思っています」。

たった1人のWEBショップから、年商2億を超す勢いで伸び続け、業界の発展、世界進出、という壮大な構想を抱くまでに会社を成長させてきた原動力を尋ねると、

「だって、可愛い花を見て嫌な気持ちになる人っていないでしょう。可愛い花に囲まれていたら、どんな時も穏やかに暮らしていけると思うんですよね」と槇谷さん。極めてシンプルかつ分かりやすいポリシーで、日本の園芸業界を爽やかに牽引してくれることを期待せずにはいられません。

GARDEN STORYでは、今後、Junk sweet Garden tef*tef*のメンバー園芸店や生産者を取材し、ご紹介していく予定です。皆さんのお住まいの近くで、素敵な花に出会える日も近いかもしれません。

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