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ガーデンセラピーが体験できる施設「花音の森」ができてからVol.4 1人ではできないことはみんなでやろう! コミュニティ発足レポート

ガーデンセラピーが体験できる施設「花音の森」ができてからVol.4 1人ではできないことはみんなでやろう! コミュニティ発足レポート

埼玉県熊谷市にある、ガーデンセラピーを学べる施設『花音の森』では、現在植物を介した3つの取り組みが行われています。1つは、ガーデンセラピーの価値や意義を体感できる環境を提供すること。2つめは、日本一暑い街・熊谷市でエアコンなしで暮らすこと。そして3つめが、コミュニティ活動をすること。今回は、花音の森でコミュニティ活動をするに至った経緯や目的、初めてのイベント開催までをレポートします。

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繋がりがないことは、タバコを吸うより体に悪影響を及ぼす!

昔からPTAやご近所の繋がり、というのはあったものの、最近は単身世帯の増加・在宅時間の減少・コミュニティ自体の減少などが原因となり、周りの人と繋がる機会が少なくなったといわれています。個人的にも、これはすごく実感するところで、意識をしなければ、地域や社会から取り残されそうな気もしてきます。

長生きの秘訣
※出典:Holt-Lunstad J, Smith TB, Layton JB (2010) Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review. PLoS Med 7(7): e1000316. doi:10.1371/journal.pmed.1000316

こんなデータを見つけました。「繋がりがないこと」が「肥満」よりも公衆衛生上、脅威である可能性を示したもので、喫煙のリスクにも匹敵するとの研究結果もあるそうです。

つまり、長く健康に生きるためには、周りと積極的に繋がることが、とても大事だということ。これを知って、花音の森が繋がりを提供できる場になればいいと考え、2019年12月に花音の森で一定のコースを修了した生徒さんを対象にコミュニティを発足させました。

コミュニティの目的は何か?

さて、「繋がり」を第一の目的に発足したコミュニティですが、有意義な「繋がり」とするためには、集まる「目的」を最初に決める必要があります。そんな時、長く通ってくれている生徒さんから、『カフェやパン教室をやりたいけど、場所もないし、どうやるのかも分からない』と言われたことを思い出しました。

そこで、花音の森を生徒さんの夢の実現の場として提供し、1人ではちょっと難しいこともコミュニティメンバー同士でお互いに助け合い、それぞれがやりたいことを応援できたらいいな、と考えました。

また、花音の森の維持管理を一緒に楽しんでもらいたいという希望もありましたので、目的は「自分や誰かの夢に向かって互いに協力すること、そして夢をかなえる場として、花音の森を共に育てていくこと」としました。

ですから、集まる目的は1つではなくて、みんなの夢の数だけ無限です。夢の実現や新しいチャレンジには苦労や不安がつきものですが、「花音の森」という場があり、支えてくれるメンバーがいれば、一歩を踏み出せる人も多いのではないかと期待しています。

花音の森

ただ、人が集まれば楽しいことの一方で、煩わしさも生まれることにも配慮しなければと考えました。

そこで共通認識として、「コミュニティは仲良しの人と集まる場ではない」としました。目的はあくまでも、花音の森で誰かのやりたいことを応援したい・応援してもらいたいということなので、頑張って仲良くしなきゃ、とは思わないことがポイントです。ちょっとドライに聞こえるかもしれませんが、無理はせず、長く続けられることのほうが重要だと思ったからです。

コミュニティを機能させるには、主体性が大切

このような考えのもと、一定のコースを修了した生徒さんに声をかけ、賛同してくれた方9名と共に、2020年から毎月1回のミーティングを始めました。次にここでどんなことをしていくのかを、話し合います。コミュニティの運営は、主宰者の私が決めるのではなく、ルールややりたいことは、コミュニティで決めることとしました。花音の森でどんなことをしたいか、それぞれ個人が考え、主体性を持って動くことを大切にしています。

月1回のミーティング

例えば、この会で大切にしたいこと、これからやってみたいことを出し合う日には、

○1人では難しいことに挑戦したい

○やらない後悔よりやって後悔したい

○みんなのやりたいを応援できる共同体にしたい

○農業したい

○マルシェしたい

○花音の森をもっと知ってもらいたい

などが挙げられました。コミュニティが『自分のこととして捉えられるかどうか』、主体性があるかどうかは、続けていく上で、とても大事な気がします。

「秋のオープンガーデンin花音の森」を開催!

9月の定例ミーティングの際に、「文化祭みたいなものがやりたい」という声があがりました。

また、メンバーは日頃レッスンに通っているので、「レッスンで作った○○がすごくよかったから、販売したい」「いい時期の花音の森を体感してもらいたい」と、あっという間にオープンガーデン+ハーブマルシェをすることが決定。その後、2カ月の準備期間を経て、コミュニティメンバーで行う初めてのイベント『オープンガーデンin花音の森』を開催し、おかげ様でたくさんの方に喜んでいただけました。

オープンガーデンin花音の森

芝生の上でストレッチ、マスクにおすすめのアロマスプレー作り、といったプチレッスンも開催。

ラベンダー・カモミールのブールドネージュ(クッキー)

ラベンダー・カモミールのブールドネージュ(クッキー)を参加の皆さまへ。コミュニティで育てたフレッシュハーブを使ったブレンドハーブティーと共にお出ししました。

オリジナルブレンドハーブティーやラベンダーサシェ

オリジナルブレンドハーブティーや、ラベンダーサシェ(香り袋)なども販売しました。

前日は準備でほとんど寝られず、本当に文化祭を思い出しましたが、1人ではできないことでも、志のある仲間が集まれば達成でき、大きな価値を生むことができるのだと、実感できたイベントになりました。

コミュニティを発足したおかげで、花音の森での活動の幅はぐんと広がり、これらかますますユニークな学びの場や楽しいイベントを提供できそうです。

夏の草刈り隊、とても助かりました

また、私自身も花音の森を維持していくうえで、コミュニティの存在にとても助けられています。

花音の森は、草地を大切にしていて、根は抜かずに上体部を刈るだけの簡単管理を実践しています。しかし、草地の面積は170坪ありますし、夏はせっせと草取りをしても1週間もすると元通りに…。草刈り機を使ってはいるものの、植栽地の中は手作業が必要で、やってもやっても追いつかない(笑)。

そんな私を助けてくれたのも、コミュニティのメンバーでした。早朝からコミュニティメンバーが“草刈り隊”となって手伝ってくれたおかげで、無事夏を越せました。作業後のハーブかき氷が心にも沁みます。

ハーブかき氷

コロナ禍において、どういう形にせよ、人との繋がりが大切だと感じる昨今。植物を介した人との繋がり方の1つの形として、花音の森コミュニティ活動を、引き続き楽しんでいきたいと思っています。

Credit

写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)

花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。

生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/

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