クリスマスシーズン限定のスイーツが魅力的。『リッツ パリ』|パリ発、季節の花だよりVol.12
フランス人にとって、一年でいちばん大切な日はクリスマス。敬虔なクリスチャンも、そうでない人も、この日は家族全員が集まってごちそうを囲むのが伝統です。ちょうど日本のお正月のよう。今回は、多くの著名人を顧客にしている超高級ホテル『リッツ パリ』のクリスマスを紹介します。
目次
ラグジュアリーホテルのお迎え花は、赤~ピンクが定番
『リッツ パリ』のエントランスは、専属フローリストのこだわりから、赤をベースにピンクから赤紫色が定番カラー。この日も写真のような印象的な組み合わせで、ゲストを迎えてくれました。そして、クリスマスシーズンになると、館内を飾るクリスマスツリー。さまざまな表情で、来た人の気分を盛り上げてくれます。
現代的な要素を取り入れ、2016年にリニューアルオープンをした『リッツ パリ』。新しい顔となっているひとつが、「サロン・プルースト」です。ここは、本連載のVol.9でも紹介したとおり、マドレーヌと紅茶のフランス流ティータイムのために生まれた、特別なサロン。『リッツ パリ』を愛した作家マルセル・プルーストの名を冠し、内装は落ち着く書斎風です。
中央のテーブルには、いつもボリュームたっぷりの赤い花がいけてあります。訪れた日も、赤一色のアレンジ。グラデーションなしの深紅の花たちは、重厚な雰囲気の「サロン・プルースト」によく似合います。
パティシエのこだわりが詰まった、クリスマススイーツ
毎年恒例のクリスマスの楽しみが、『リッツ パリ』のクリスマスケーキ。今回ご紹介するのは、2018年の『リッツ パリ』でお披露目された、フランス南西部のピレネー地方のハチミツを使用した、黄金色に輝くビュッシュ・ド・ノエルです。日本では、ブッシュ・ド・ノエルと書いたほうが、ピンとくるかもしれませんね。
ビュッシュ・ド・ノエルは、フランス伝統のクリスマスケーキです。薪を模したロールケーキが基本の形で、最近はさまざまなタイプが登場しています。デザイナーとのコラボ作品も多く、毎年、テレビや雑誌で話題に。パティシエにとっては、一年でいちばんの腕の見せどころかもしれません。
「叔父が趣味でハチミツ作りをしていたことから、僕は小さな頃からハチミツに親しんできました。いまではハチミツを求めて旅をするほど、好きな素材です。ピレネー地方の生産者と出会い、ミルキーなテクスチャーとアーモンドの風味をもったハチミツを知って、2018年はこれを使おう!と、決めたのです」と、シェフパティシエのフランソワ・ペレさん。
彼はフランスのテレビ番組にも出演する、人気パティシエです。気さくなかたなので、『リッツ パリ』で見かけたら声をかけてみてください。「J’aime votre travail ! (ジェイム・ヴォートル・トラヴァイユ! あなたの作るものが大好きです)」とひと言伝えれば、きっと歓迎してくれますよ。
ビュッシュ・ド・ノエルに使われた、ピレネー地方のハチミツは、色は黄金がかった乳白色で、テクスチャーはとてもクリーミー。ほのかに、マツの木に似た爽やかな香りがします。口に含むとさらりとした食感で、風味ははっきりしていますが、しつこい後味は一切なし。強い風味であっさりしている、不思議なハチミツです。
ビュッシュ・ド・ノエルには、このハチミツの特徴が最大限に生かされています。ロールの中心に入っているムースに、ハチミツが使われています。
ほかに、クリスマスシーズンを彩るお菓子たちには、下の写真のドライフルーツがぎっしり詰まった焼き菓子や、ジンジャーが効いたクッキー、チョコレートのシュケット(シュー生地を焼いたもの)などがあります。
フランス人にとって、クリスマスのお菓子のイメージはチョコレートであり、オレンジ(みかん)であり、クローブやシナモンなどのスパイスであり、ジンジャーであり…。『リッツ パリ』では、クリスマスの要素をたっぷりと盛り込んだ、焼き菓子たちが用意されています。
クリスマスシーズンのこの時期、一年でいちばん輝きを放つのは、ホテルやレストランの花やスイーツだけではありません。パリの街自体が、いつもよりさらに一層、華やかさを増しています。今年は海外旅行は難しいと思いますが、ぜひ、いつか、足を運んでみてください。
リッツ パリ Ritz Paris
ホームページ/https://fr.ritzparis.com/fr-FR
住所/15, place Vendome, 75001 Paris
Credit
角野恵子 Keiko SUMINO-LEBLANC
在仏日本人ジャーナリスト、コーディネーター。日本の企業に就職後、東京在住フランス人ジャーナリストのアシスタントを経て、1997年よりパリに移住し、在仏歴21年に。食とライフスタイルを中心に、日仏の雑誌およびwebで活躍中。共著に「DIYでつくるパリのインテリア」(エクスナレッジ)「パリでうちごはん そして、おいしいおみやげ」(小学館)など。プライベートでは、ふたりのパリジェンヌの母。
HP
Instagram
新着記事
-
宿根草・多年草
花束のような華やかさ! 「ラナンキュラス・ラックス」で贅沢な春を楽しもう【苗予約開始】PR
春の訪れを告げる植物の中でも、近年ガーデンに欠かせない花としてファンが急増中の「ラナンキュラス・ラックス」。咲き進むにつれさまざまな表情を見せてくれて、一度育てると誰しもが虜になる魅力的な花ですが、…
-
ガーデン&ショップ
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園で始動
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に、いよいよスタートしました。2024年12月には、…
-
ガーデン&ショップ
都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」全国から選ばれた…
2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園に続き、3回目となる今回は、東京都立砧公園(世田谷区)で開催されます。宿根草を活用して「持続可能なロングライフ・ローメ…