今回は、パリでいちばん高い丘に建つ、18区の「モンマルトル美術館」から。暑い夏、避暑するのにぴったりな庭があるここは、かつて芸術家たちが集っていたモンマルトルにたたずむ、小さな美術館です。周辺にはパリで唯一のブドウ畑が広がり、古きよきパリの雰囲気が残っています。丘の頂上にそびえるサクレ・クール寺院の前に立てば、オペラ座からエッフェル塔まで、パリを一望できます。
目次
芸術家たちが集ったモンマルトルの丘

白亜のサクレ・クール寺院、フレンチカンカンで有名なムーラン・ルージュ、画家の集まるテルトル広場などがある、モンマルトルの丘。ルノワール(1841-1919)やデュフィ(1877-1953)、ユトリロ(1883-1955)をはじめ、数多の芸術家たちを魅了し、その暮らしの場となった街です。
芸術家たちが暮らした当時の様子を再現したガーデン
モンマルトルの丘に、その名もずばり「モンマルトル美術館」が誕生したのは、1960年のことでした。ルノワールやデュフィ、ユリトロらが暮らした一軒家兼アトリエを、美術館として解放したのです。残念ながら、彼らが創作活動を行ったアトリエは残っていませんが、2012年に完成した庭園、ジャルダン・ルノワールは、印象派の巨匠ルノワールが描いた絵画をもとに、当時の様子を再現したもの。アトリエの窓からの眺めを描いた風景が、元になっているのだそうです。

画家ルノワールは、この美術館で、モンマルトルを題材にしたさまざまな名画を残しました。そのなかの1枚『ブランコ』(1876)は、ちょうどこの庭で描かれたもの。当時の風景を再現した一角は、現在では撮影スポットになっています。

初夏から秋にかけて美術館の庭は、木々の葉が緑色に輝き、パラダイスさながらの美しさになります。庭のないアパルトマンに暮らす近所のパリジャン、パリジェンヌたちが、入場料を払って、ここに集います。白いガーデンテーブルと、カジュアルなカフェ・ルノワールを併設した庭は、友人とのアペリティフ(軽く食前酒をいただくこと)に理想的。本を1冊持参して、ちょっと贅沢なひと休みもいいですね。

ブドウ畑、ワークショップなどここならではの魅力も
ジャルダン・ルノワールのほかに、もうひとつ見逃せない庭(?)があります。それは、モンマルトルのブドウ畑! なんと、中世から続いている畑なのだそう。ここで収穫されるブドウは、夏が過ぎると収穫され、ワインになります。希少価値の高いパリ産ワイン! ただ味はいまひとつ…とか!? いちどは味わってみたいですね。

モンマルトル美術館は、常設展、企画展ともに、モンマルトルゆかりの芸術家たちの作品を展示する、個性的な美術館です。ルーブル美術館やオルセー美術館と違って、鑑賞するための列ができることはありません。規模もちょうどよく、自分のペースで芸術鑑賞を楽しめます。

訪れる日によっては、エディブルフラワーのアトリエに遭遇できるかもしれません。ジャルダン・ルノワールのハーブ園を担当する、ジェシカさんによるアトリエです。
フランスでは伝統的に、スミレやニワトコ、カプシーヌなど、たくさんの花を料理に使います。加えて、自然な香りと色を添えてくれる花やハーブは、昨今のヘルシーブームとピタリと合い、人気です。


今回の写真は、7月のある日、19時30分から21時にかけて撮影しました。パリの夏は日が長く、街を満喫するのにうってつけです。

モンマルトル美術館 Musée de Montmartre
ホームページ/http://museedemontmartre.fr
住所/MUSÉE DE MONTMARTRE 12, RUE CORTOT 75018 PARIS
電話/ +33 (0) 1 49 25 89 39
開館時間/10〜19時(4〜9月)、10〜18時(10月〜翌3月)*7・8月の木曜日は22時まで開館
定休日/なし
※新型コロナウイルスの影響により、開館時間などに変更が生じています。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
Credit

角野恵子 Keiko SUMINO-LEBLANC
在仏日本人ジャーナリスト、コーディネーター。日本の企業に就職後、東京在住フランス人ジャーナリストのアシスタントを経て、1997年よりパリに移住し、在仏歴21年に。食とライフスタイルを中心に、日仏の雑誌およびwebで活躍中。共著に「DIYでつくるパリのインテリア」(エクスナレッジ)「パリでうちごはん そして、おいしいおみやげ」(小学館)など。プライベートでは、ふたりのパリジェンヌの母。
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