都会の庭で、母と一緒に小さなローズガーデンを丹精する女優のサヘル・ローズさん。がれきの除去から始まり、土壌改良をし、一本一本植え付けたバラは、今では120株にもなりました。バラを我が子のように可愛いがるサヘル・ローズさんの庭から、5月中旬の様子をレポートいただきました。
『今年もありがとう』
この言葉を、一年で最も多く耳にする季節があります。
それが5月です。そう、花咲く5月。
暖かい太陽の日差しを浴びて、ターコイズブルーの大空の下で娘たちが眼を覚まし、ドレスに着替え踊り出す季節。
娘とは、バラさんたちのこと。不思議な感覚なのですが、バラは私にとって妹のような存在です。
わがままな妹であり、鮮やかな自慢の妹たち。
そして、私の母にとっては娘たち。だから、我が家は大家族なのです。
そのバラたちが紡ぎ出すコトバ。それに重なるように地元の方々からいただくコトバ。それは『今年もありがとう』。
この言葉を聞くと、とても励みになります。
今年も美しく空に向かって、咲き誇っています。
凛と、光の中へ。
背筋を伸ばした妹たち。
今年はアナタたちにとって世界はどんな風に映っていますか?
このコロナウイルスが長引くにつれ、人々の表情や瞳に影が広がっていく。
だからといって、「頑張っていきましょう」とは、言えない。
みんな、今を耐えている。いろんな感情を呑み込みながら、家族の明日を考えながら。不安で、怖くても笑っていようとする人々。
もちろん、私もよ。強くないよ、私も。
でも、今年は今までで一番、この季節を濃密に感じています。
こうして時間ができた分、自然に触れている時間が長くなっています。
そこには、土の香りや庭の変化、妹たちの身長が伸びたこと。
中には、散髪したいと思うくらい伸び放題になった、たくさんの枝。
バラたちは、いつの間にか大きくなっていた。
これまで、忙しくて気づけなかった新しい多くのことを発見できて、本当にいい学びになりました。
だからね、不安にかられても、お庭に行くたびに今年は特に励まされる。
妹たちがね、「こらーーー!! なに下ばかり見とるんだ!」って、上品さをかなぐり捨てて私を叱るのです。
私がバラを愛でる時、一番好きな時間帯が16時。自分好みの色彩と夕日がかなり幻想的になるのです。
花弁から透ける太陽のぬくもり。朝方にはさまざまな香りが交差していく。
水やりでは、なるべく葉っぱや花びらを濡らさないように。
でも、水滴が時々、バラ色に染まっていく。お庭中が宝石箱のように美しく輝きだすのです。
バラの楽しみ方はさまざま。見る時間帯でも表情が異なります。
アナタの好みの時間帯をぜひ探してみてはいかがでしょうか?
そうそう、昨日は夜中に母と懐中電灯を持ってお庭へ行きました。
素晴らしいバラの香りが、ひんやりとした空気の中で泳いでいるようだった。
夜の楽しみ方も発見。
朝が少女で、昼がお母さんで、夜は女性的。
バラの一生を見ることができます。
しかし、美しい妹たちには虫がつき始めました。泣きたい。いいえ、もう泣いています。黒点病とアブラムシ。さらには、アイツが今年もやってきたのです。
バラをいじめるチュウレンジハバチ。
でも、負けません。妹たちは私が守ります。
そう、来年も美しく咲いて欲しいから。
私からも咲いてくれた妹たちへ
『今年もありがとう』と伝えたい。
●サヘル・ローズさんが語るガーデニングへの思いについてはこちらのシリーズもご覧ください。
Credit
写真&文 / サヘル・ローズ - タレント/女優/コメンテーター -
1985年イラン生まれ。7歳までイランの孤児院で過ごし、8歳で養母とともに来日。高校生の時から芸能活動を始め、舞台『恭しき娼婦』では主演を務め、映画『西北西』や主演映画『冷たい床』はさまざまな国際映画祭で正式出品され、イタリア・ミラノ国際映画祭にて最優秀主演女優賞を受賞。映画や舞台、女優としても活動の幅を広げている。また、第9回若者力大賞を受賞。芸能活動以外にも、国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で親善大使を務めている。世界中を旅しながら難民キャンプや孤児・ストリートチルドレンなど子どもたちに寄り添っている。
YouTube『サヘル・ローズチャンネル』
https://www.youtube.com/channel/UCE3h8QRgs4GS_ClgReaAMVA
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