都会の庭で、母と一緒に小さなローズガーデンを丹精する女優のサヘル・ローズさん。瓦れきの除去から始まり、土壌改良をし、一本一本植え付けたバラは、今では120株にもなりました。バラを我が子のようにかわいがるサヘル・ローズさんの庭から、5月初めの庭の様子をレポートしてもらいました。

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サヘル・ローズさんの庭 サヘル・ローズさんのバラ

一年で一番の楽しみがこの季節です。

心を込めて育てたバラさんたちが、

『お母さん、おはよう』と声をかけてきてくれます。

えっ、バラは喋らない?

いいえ、しっかりこちらが声をかけてあげれば、バラたちも言葉を返してくれます。

サヘル・ローズさんのバラ

もちろん、それは人の言葉ではありません。けれども、力強い芽吹きは私を励ましてくれていますし、硬かったつぼみがフワッとほどける瞬間、甘美な香りでバラが語りかける言葉を、私は確かに聞くことができます。

だから今、このStay Homeの難局にあっても、ちっとも寂しくはないのです。どうか平穏な日々が戻りますようにと祈る私を、バラたちは美しい花を開いて励ましてくれます。

サヘル・ローズさんのバラ サヘル・ローズさんのバラ

その一方で、正直、うちの子たちはワガママなのです。

甘えん坊なのです。だからこそ、私はバラに夢中になってしまいます。

サヘル・ローズさんの庭

バラは育てるのが難しいとよく言われますが、ある意味正解であり、不正解でもあります。バラにはたくさんの品種があり、色や咲き方、枝の伸び具合など見た目に豊かな個性があると同時に、病気や害虫、寒さ、暑さの苦手具合にも差があります。だから、ほとんど手をかけなくても、わんさか花を咲かせてくれる丈夫で元気いっぱいの品種もありますし、病虫害対策をして、手をかけないと枯れてしまう品種もあります。

バラ栽培が難しいと言われるのは、そうした品種の個性次第ですが、私はそれを「難しい」とは思っていないのです。だって、人間みたいだと思いませんか。病気になったり怪我をしたり(虫に食べられたり)、暑くて夏バテしたり。私はそのたびに大慌てになって、大きな噴霧器を背負って消毒や殺虫作業に追われ、一苦労。「お母さんが、助けてあげるからね!」という気持ちで必死です。

サヘル・ローズさんのバラ

肥料を施していても弱い品種は病気になります。おかげで、私はよく図書館に行ってはバラの本を借りています。

何の虫なのかしら? どこから来るの? どうして病気にかかるのかしら? 何をしてあげたらいい?

知りたいことは次々に出てきて、知れば知るほどバラの世界、植物の世界、自然界、この世界が神秘に満ちていることに気づき、面白くて仕方がありません。

ここ数年、図書館で借りた本の履歴を振り返ってみると、バラか植物の本ばかり。

時々、目当ての本が見つけられず、そんな時は知り合いに写真を送って、アドバイスをもらったりもしています。

サヘル・ローズさんの庭

我が家のバラは2月ぐらいから2週間に1度、殺虫剤を噴射しているのですが、ちょうど今の時期、5月から虫さんたちがつぼみや葉っぱの裏側にひそみ始めます。

サヘル・ローズさんの庭

ここからが戦いです。

我が子たちを守る戦いです。

バラのつぼみや新芽を食べるバラゾウムシ、ハバチの幼虫たち、コガネムシ、テッポウムシ、黒点病、ウドン粉病。バラ栽培も長くなると、これらとの戦い方も、だんだんと上手になってくるものです。

夏には照りつける太陽からも、台風からも守ってやらなければなりません。去年は台風によってアーチが2つ折れてしまい、仕方なく模様替えをしました。

クレマチス

また、クレマチスが大きくなり、ツルが伸びていくので、それをバラとうまく絡ませて誘引するようにしているのですが、この瞬間が一番痛いのです。

バラのトゲ攻撃。なるべく革の手袋をするようにはしているのですが、ヒモを結んだりする細かな作業があり、ついつい手袋をとってしまいます。

おかげで撮影現場では『猫を飼ってるの?』と聞かれるほど傷だらけ。

トゲにも個性があって、それほどトゲがない子もいるし、荒々しいトゲだらけの剛毛(笑)タイプもいます。トゲに刺された時も、私は「ちょっと!痛いじゃない!」とバラに文句を言いながら作業をしています。

刺されて痛いものの、バラとそうやってお話ししながら作業をするのはとっても楽しいです。

バラ

愛しい我が子がつぼみから花開いた瞬間、

美しく、香り豊かで、目はウルウル。

お世話の甲斐あって美しい花を咲かせてくれたとき、私はバラと心が通ったのだと感じ、しみじみ嬉しくなります。

思わず、『今年も生まれてきてくれてありがとう』といいます。

サヘル・ローズさんの庭 サヘル・ローズさんの庭

バラ栽培や園芸は、私たちが植物を育てているのではなく、

いつのまにか私たちの心が育っていくのです。

花や植物に育てられている。

私はそう感じています。

サヘル・ローズさんの庭

毎日、水やりをしたり

季節の花の花がら摘みをしたり、

雑草抜きをしたりと、庭の手入れを母と一緒にしています。

庭仕事は私にとっても母にとっても生き甲斐です。

皆さまとも園芸を通して交流ができれば幸いです。

サヘル・ローズさんの庭

バラの見頃まであと少しです。

ワクワク。

 

待っていてくださいね。

サヘル・ローズさんの庭

バラが咲き始めた春の優しい日差しが降り注ぐ、私の小さなバラの庭をご案内します。

●サヘル・ローズさんが語るガーデニングへの思いについてはこちらのシリーズもご覧ください。

Credit

サヘル・ローズ

1985年イラン生まれ。7歳までイランの孤児院で過ごし、8歳で養母とともに来日。高校生の時から芸能活動を始め、舞台『恭しき娼婦』では主演を務め、映画『西北西』や主演映画『冷たい床』はさまざまな国際映画祭で正式出品され、イタリア・ミラノ国際映画祭にて最優秀主演女優賞を受賞。映画や舞台、女優としても活動の幅を広げている。また、第9回若者力大賞を受賞。芸能活動以外にも、国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で親善大使を務めている。世界中を旅しながら難民キャンプや孤児・ストリートチルドレンなど子どもたちに寄り添っている。
YouTube『さっチャンネル』
https://www.youtube.com/channel/UCE3h8QRgs4GS_ClgReaAMVA

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