世界中を見渡すと、多様なスタイルの庭があり、数多くの園芸家がいることが分かります。今回は、世界の庭文化と日本国内の庭文化について、専門家からきいたこぼれ話をみなさんにも少しだけお話しましょう。
目次
海外の庭文化
イギリスのブリティッシュガーデンやアメリカの広々とした芝生、そして中国や日本の庭園など、様式はそれぞれに違いがありますが、庭は人の生活には欠かせないものであることがうかがえます。
ガーデンセンターも国によって違いがあります。世界で10本の指に入るといわれるオーストラリア・シドニーの「イーデン・ガーデンセンター」は、植物を中心にした庭で、豊かに幸せに暮らすための提案をしてくれる空間があります。客はそれらを眺めながら、ゆったりと自然を感じて楽しめる場所になっています。そのほかにも、シドニーでいちばん腕がよいといわれているシェフのいるレストランまであるそうです。ガーデンという言葉は、旧約聖書の「囲われた楽園」からきているといわれていますが、このガーデンセンターはまさにその楽園を感じさせるものがあります。
オーストラリアやヨーロッパは、道路に面しているところには比較的地味なファサードの建物が多くなっています。観光で訪れた印象では、どこにそんな庭があるのだろうと思われるかもしれません。しかし裏に一歩入れば、しっかり塀で囲まれた中に庭があり、リビングガーデンやリゾートガーデン、ボタニカルガーデンなど、スタイルの違う庭を見ることができます。好きな植物や子どもたちの成長に合わせて庭を変化させる文化が根付いています。室内の延長に屋外があり、緑や風、光、水、音などを楽しむ生活をしているのです。
日本の庭文化
日本では「日本庭園」と呼ばれる、眺めて楽しむスタイルの庭が伝統的に多く、盆栽や燈籠とともに日本の植物が設計されています。飛鳥時代に中国の影響を受けて始まったものといわれており、「人工なのに自然に見える」ことを大切にする趣があります。哲学や宗教の考え方も反映されており、眺めながら想像したり物事を感じ取ったりするスタイルには、豊かな文化や発想があります。
世界にある庭でも、日本の伝統的な庭でも、共通するのは生活者が快適だと感じ、自然を楽しみながら豊かに過ごせる空間であることです。しかし近年、日本ではガーデンメーカーとお客様の求めるもの間に、ミスマッチが生まれています。生活者が望んでいるのは、さまざまなライフスタイルに合わせた庭ですが、メーカーは自社商品を販売したいため、提案にミスマッチが生まれています。住宅メーカーがそこに住む人の幸せな暮らしを提供するように、ガーデンメーカーもお客様と対話し、望まれているビジョンやテーマを盛り込んだ提案をしていくべきです。
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