自然からの恵みを受け続けることができる社会とはどのような形なのか・・・。
人間は自然と共存するためには、どのようなことができるのでしょうか。
今回は、少しでも自然と共生していくために海外・国内で取り組まれている活動や文化について、専門家からきいたこぼれ話をみなさんにも少しだけお話しましょう。

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自然と共に暮らすさまざまな形

生き物はすべて自然と共存し、その恵みを受けて生きています。もちろん、人の暮らしもすべての生き物に関係していて、人間も一つの命です。地球に生きるすべての生物が共に暮らすことができ、自然からの恵みを受け続けることができる社会。そんな暮らし方を探すなら、自然に問いかけ、自然に学ぶことが一番の近道かもしれません。

生き物に優しい空間を人里につくる

写真/Arto Hakola /Shutterstock

ドイツでは「ビオトープ法」というものがあり、生き物の生きる空間を考え、木の実のなる樹木を必ず意識的に植えて、冬場に多くの野鳥が木の実を食べにやってきます。それがなくなると「バードフィーダー」という餌台に鳥たちが集まります。そもそもドイツは1976 年に連邦自然保護法として「自然保護および景観保全に関する法律」が制定されていて、自然保護や景観保全については国が保護し、体系的に守ることを義務づけているのです。

また日本の京都にも桂坂という有名な町があり、この町の公道に面した植栽の部分(土地は個人のもの)は、配列を整え、植えた木々も必ず実を実らせるものを一部に入れて、野生の鳥を呼び込んでいます。当然、公道からの美しい緑のフェンスは、人の目も楽しませくれます。もっとも感動的だったのは、桂坂野鳥公園から飛んでくる鳥たち。90種類もの野鳥が集まるこの公園は、鳥が好む樹木や草地、崖などが整えられ、中央には人工池があります。そこに水鳥や生き物を安定させるため、開設当初から3年間はネットを張り、野犬や猫、人が入れないように配慮して自然形態を再現しました。今この町の庭にやってくる鳥たちは、京都の山や水辺を持ったビオトープのある公園から飛んできます。

自然の恵みを有効活用する

写真/Jurga Jot/Shutterstock

アメリカでは「レインガーデン」という言葉が大変な広がりをみせています。人工増加に伴う水資源の不足や干ばつ対策として、主に海外で編み出されたもので、降雨時に雨水を一時的に貯留し、時間をかけて地下へ浸透させる方法です。家庭では庭に傾斜をつくり、雨水をほかへ流してしまうのではなく、庭の土に浸透させるやり方です。この手法だと水が地面を保湿し、夏の暑さを少しでも下げて、植物も水を取り込みやすく、当然水やりの回数も少なくて済みます。これにはヒートアイランド現象を防ぐ効果も期待されています。

日本では夏の風情として「水うち」をすることで、自然の風を起こし、少しでも過ごしやすい夏を演出してきました。庭にはできるだけ土の部分を残し、水はけも良くして、必要な部分に落葉樹を植栽し、壁を常緑で覆います。すると夏には庭に日影をもたらし、冬はしっかりと太陽光を取り込んでくれます。これを「メンテナンスが面倒だから」と取り除いてしまうと、セメントやタイル、石などを敷き詰めた庭やアプローチが、地獄のような猛暑をもたらし、目隠しのため造った塀が、風を通さず温度を上昇させます。

季節の移ろいは世界がうらやむ日本の財産。面倒だから…という理由で排除してしまうには、あまりにももったいない話。できれば少しでも自然から生き物や植物の営みを学び、庭から考える家づくりを実践してみてはいかがでしょう。

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