[ROSE LABO通信 Vol.12]“バラのことばかり考えた365日”〜2019年を振り返って
食用の花“エディブルフラワー”の中でも、バラに着目し、“食べられるバラ”の栽培から、バラを使った食品やコスメの販売までを行うROSE LABO(ローズラボ)株式会社代表取締役の田中綾華さんがお届けする連載「ROSE LABO通信」。今回は、2019年を季節ごとに振り返りながら、他社とのコラボ企画や、秋にオープンした念願の直営店での売れ筋商品などをご紹介いただきました。
目次
2019年のROSE LABOの振り返り
こんにちは、ROSE LABO株式会社の田中綾華です。2019年も全速力で駆け抜け、気が付けば、もう一年が終わるなぁ、と少し寂しくもあり、達成感で満ち溢れてもいます。
今年は日照時間や気温が足りず、昨年の半分しかバラが収穫できなくて、とても苦労をしました。やはり天候や天災と農家は、切っても切れない関係です。
そんな厳しい一年でしたが、今年を季節ごとに振り返ってみます。
春
昨年の剪定のおかげで大きなツボミが付きましたが、例年よりスタートダッシュは遅く、5月中旬頃に開花し始めました。やはり春になって咲き始めたバラに出会うと、冬の間会えなかった分、感動が大きいです! 美しく香り豊かで、本当に癒されます。
また6月2日には、念願の「天然由来成分100% 食べられるバラのリップ美容液」が発売になりました。今では売り上げ本数No.1の人気商品です。食べられるバラだからこその口元専用美容液として、皆さんに安心してご使用いただいています。リップクリームでは体感できない、こっくりとした重みのあるテクスチャーが唇の縦ジワに入りこみ、しっかりと保湿して、乾燥による荒れを予防してくれます。
唇は顔で唯一表に出ている粘膜なので、しっかりとケアすることが大切だと私自身も改めて体感しています。
夏
梅雨が長く、なかなか晴れてくれない…。本気で「てるてる坊主をみんなで作ろうか!」と神頼みしながら夏を迎えました。
この夏は気温差が激しく、バラがツボミのまま開花しないこともあり、普段は開花予測と出荷を連動させて管理しているのですが、予測通りになかなか咲いてくれなくて苦労しました…涙。
結局、花の納品日を調整したり、予約制にするなど、いつもとは異なるスケジュールでしたが、お客様にも臨機応変にご対応いただき助かりました。やはり天候と隣り合わせの仕事なので、これからは「もし咲かなかったら?」などのリスクを踏まえた対策が大切だと痛感しました。
その後、徐々に晴れて気温が上がっていくと、ハウス内が満開の花でいっぱいになるほど立派に咲いてくれました。
私たちの食用バラは、たくさんのお店に卸していますが、その一つが『koe doughnut』さん。ナイフとフォークで食べる高級ドーナツに、バラの花びらをふんだんに使用していただきました。さらに、私たちのCONFITURE ROSE(ローズジャム)もドーナツの間に挟んであるので、バラの香りがとても豊かでチョコレートとも相性抜群!
一日限定20食での展開だったのですが、行列が絶えず、毎日完売になるほどの人気でした。またドーナツに使用されているローズジャムなどの加工食品の物販もしました。
秋
夢だった直営店舗と東京支店を南青山に構えました。農業の新しい形として、青山、表参道、代官山付近に直営店を持つことは、起業当初からの私の夢でした。いつかお店を持てるように一生懸命頑張ろうと、直営店展開は日々の支えでもあり、目標の一つでもあったので、本当に嬉しかったです。思いが強い分、店内レイアウトや壁紙の色一つにも、とてもこだわりました。
「Garden Storyを見ました!」と言って来店してくださるお客様もいらっしゃって、とても嬉しかったです。
ローズラボの商品売上額No.1は、「ローズマルチミスト」です。オイルイン化粧水なので、しっかりと保湿もできるし、髪やデコルテにも使用できるマルチなところが人気の秘密です。天然由来成分99%なので、その豊かな香りに癒されながら、美容タイムを過ごしていただけます。そして、売上額No.2は、僅差で先ほどご紹介した「ローズリップ美容液」でした。
秋はバラがしっかり咲くのですが、例年より春夏の収穫量がガクンと少なくなったため、予約注文で今年の出荷は終了しました。
出荷は、一輪一輪丁寧に複数の人の目でWチェックをして行っています。お客様の喜ばれる顔を想像しながら選別作業をしていると、思わず笑みがこぼれるほど嬉しい気持ちになります。休憩時間にはスタッフたちと「私たちが育てたバラがどういう形に変化してお客様に出されるんだろう?」とワクワクしながら盛り上がります。
冬
剪定作業を行ったり、栽培計画を練るなどして、来春にまた美しくバラが咲くように下準備の真っ最中です。冬の期間は冷凍保存をしている食用バラの販売や、加工したローズジャムやローズティー、ローズマルチミストやリップ美容液など化粧品の販売に回ります。クリスマスの時期には百貨店でもよく催事を行います。
栽培に割く時間が減る時期なので、来年のバラが待ち遠しくなります。初詣でには、「バラが綺麗に咲きますように」願ってしまうほど、24時間365日、本当にバラのことばかり考えている私です。
2020年への豊富
2020年は、天候不順による収穫量減など、今年の反省を十分に活かせるように遮光カーテンの開け閉めの時間帯や肥料の灌水回数などを再度見直し、2019年よりもっと多くのバラを咲かせたいと意気込んでいます。
また、さまざまなジャンルの方とコラボレーションしたり、新しい加工品のアイテムもできる予定なので、今からとても楽しみです。
少し早いですが、皆様の新たな年が、充実した豊かなバラ色の一年になりますように!
Credit
文 / 田中綾華 - ROSE LABO株式会社代表取締役 -
たなか・あやか/農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000平方メートル)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。https://www.roselabo.jp/
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