[ROSE LABO通信 Vol.11]“食べられるバラ”産地の秋から冬の管理
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食用の花“エディブルフラワー”の中でも、バラに着目し、“食べられるバラ”の栽培から、バラを使った食品やコスメの販売までを行うROSE LABO(ローズラボ)株式会社代表取締役の田中綾華さんがお届けする連載「ROSE LABO通信」。今回は、食べられるバラの秋から冬にかけての管理方法やこの時期に行うバラのケア、台風対策などについてご紹介いただきました。
目次
秋~冬にかけて、食べられるバラの栽培地の管理方法
もうしっかりと寒さが感じられて、冬を意識する気温になりました。
そろそろバラのシーズンも落ち着き始め、バラの花数や成長スピードも落ちていきます。
私たちROSE LABOが栽培している「食べられるバラ」は、土も農薬を使用せずに、ロックウールと呼ばれるスポンジのようなものを土台にして、ビニールハウスで育てています。
今回は、秋から冬にかけて私たちが行っている管理方法をご紹介します。お庭やベランダで土を使ってガーデニングのように栽培するのとは、ひと味違うのですが、ぜひ「こういう方法もあるんだ〜」と気軽に読んでいただけると嬉しいです。

今から実践できる秋冬のバラのケア
バラを毎年きれいにバランスよく咲かせるために欠かせない作業の一つが剪定です。どのバラをどうやって咲かせるか。次はどんな品種を植えるか。この時期は、計画することが非常に大切になります。
また、だんだん寒くなるこの時期は、バラの休眠が近づくので、落ち葉が目立ちます。毎日のように落ちるので掃除が非常に大変ですが、落ち葉を放置したままにすると虫や病気が発生する原因になったり、その落ち葉の中で虫が冬眠してしまうこともあるので、いつもきれいにしておく必要があります。
私たちのハウスも、毎日ほうきで掃き掃除を行って清潔に保っています。

春夏にバラをきれいに咲かせることができる秘密
なぜ剪定をするのでしょう?
剪定することで余分な枝などを整え、たくさん蕾がつくようにするのです。また、余分な枝を切り落とすと、病害虫の被害も少なくなるので、とても大事な作業です。剪定をすることで株への負担が軽減されるので、株の寿命も伸びるのです。枯れた枝などを整理してスッキリさせると、栄養成分が株全体に行きわたり、美しい大輪の花を咲かすことができます。
バラを強くし、美しく開花させるためにも、剪定はとても重要な作業になります。
こちらの写真は、2018年の剪定作業の様子です。

バラは手をかけたらかけた分だけ応えてくれるお花です。まだバラを栽培したことがない方も、この機会にぜひ、育ててみてはいかがでしょうか?
また、もうすでにバラをお庭やベランダで栽培しれている方々は、この冬場が来春に向けた勝負の時期になりますね。どうか美しい大輪の花が一輪でも多く咲きますように。私たちも素敵な花に出会えるよう、バラたちのお手入れを一生懸命していきます。
台風被害の予防策
2019年10月22日に、千葉県にある京成バラ園さんにて、ヘッドガーデナーの村上敏さんとトークショーをさせていただきました。そこで話題になったのが、最近多く発生する「台風被害の予防策」です。

先日は大きな台風15号、19号が上陸し、たくさんの被害がありました。特に農家は天候に左右されることがとても多いので、台風が上陸するという予報を聞くと、とても不安になります。一般的にビニールハウスで栽培している農家が行う予防策は、主に2つあります。
1. ビニールを全て剝がす
ビニールを張ったままにすると風に抵抗する形になり、ビニールハウスを支えるアーチパイプが湾曲することがあります。最悪の場合、ビニールハウスが吹き飛んでしまい、作物はもちろんですが、近隣の方々へご迷惑をおかけすることもあります。
2. ビニールハウスを補強する
簡単に分かりやく説明すると、頑丈な鉄パイプのタイバーをビニールハウスを支えるアーチパイプに付け加えて補強力を高めます。また、ビニール部分が風にあおられてバタバタしないように押さえるハウスバンドを施して補強します。強風で最も破損しやすいビニールハウスの肩の部分へ浮き上がり防止のアンカーを設置することもあります。
このように補強することで、基礎の強度を高めるというわけです。
露地でバラを栽培されている京成バラ園さんでは、塩害対策として水撒きを行ったり、枝が折れないように固定するそうです。また、絶対に来年も元気に咲いてほしいバラの花茎を切って、風の抵抗を受けないようにする場合もあるそうです。
私自身もとても参考になりました。皆さんのバラがどんな天候の時でも美しく咲き誇るように願っています。台風襲来の際は、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
Credit

文/田中 綾華(たなか あやか)
ROSE LABO株式会社代表取締役。
農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000平方メートル)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。
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