植物は、同じ季節になればいつも通りに花を咲かせます。そんな当たり前のことを、不思議に思ったことはありますか? 私たちと違い、目を持たない植物はどのようにして季節の変化を感じ取り、花を咲かせているのでしょうか。その答えを探しに行ってみましょう。

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植物の季節の変化の見分け方

植物が花を咲かせるためには、花の元になる花芽が形成されなくてはいけません。この花芽を形成するために必要なポイントは大きく二つ。日照時間の長さと気温の変化です。ここでは、日照時間の長さと花芽形成の関係についてみてみましょう。

1. 光周性

昼夜時間の長さが植物の花芽形成に影響する性質のことを「光周性(こうしゅうせい)」と呼びます。光周性には「長日性(ちょうじつせい)」と「短日性(たんじつせい)」の2つがあります。この昼夜の長さの変化を感じ取っているのは、植物の葉です。

昼夜の長さの時間変化で重要になってくるのは、実は日照時間の長さではなくて夜の時間の長さです。つまり、植物は光が当たらない時間の長さの変化を感じ取ることで花芽を形成するための有効物質をつくっているのです。この、花芽形成に最低限必要な暗闇の時間のことを、「限界暗期(げんかいあんき)」と呼びます。限界暗期より、暗闇の時間が長くなると花をつける植物が「短日植物」、暗闇の時間が短くなると花をつける植物が「長日植物(ちょうじつしょくぶつ)」です。この暗闇の時間の途中に光を当てた場合、長日植物は花芽を形成しますが、短日植物は花芽をつくらなくなります。その他、日照時間の長さに関係なく花をつける「中日植物(ちゅうじつしょくぶつ)」というものもあります。

2. 長日植物と短日植物

長日植物、つまり、夜が短くなると花をつける植物の代表例はスミレやペチュニア、菜の花、コムギなど冬至を過ぎてから初夏にかけて咲く花。一方の短日植物は、アサガオやコスモス、キクなど、夏至を過ぎてから冬に向かって咲く花が多いです。このように、光の長さによって植物は季節の変化を感じ取り、四季に合わせて花を咲かせています。

長日植物 菜の花・ペチュニアなど
長日植物 菜の花・ペチュニアなど
短日植物 朝顔・菊・コスモスなど
短日植物 アサガオ・キク・コスモスなど

3. 光中断(ひかりちゅうだん)

先に触れたとおり、植物の花芽を形成するためには暗闇の長さが重要。その暗闇の時間の間に、人口的に強い光を当てたらどうなるでしょうか。その答えは、暗闇の時間がリセットされる、です。短日植物の場合、夜の間に光を5分間当てるだけでも花芽の形成が阻害されます。夏以降に咲く植物の場合、街灯の明かりなどに気をつけると、花芽がつきやすいかもしれません。一方、長日植物ならば、夜の時間が長くても、光を当てることで花芽を形成させることができます。

夏至を過ぎれば日が短く、冬至を過ぎれば日が長くなる。そんな季節の変化を感じ取り、植物はつぼみをつけ、花を咲かせ、一年を過ごしています。もっとも、実際の環境においては日長の変化だけではなく、気温や降雨量など、様々な要因が絡み合って花を咲かせている場合も多く、一概にいうことはできません。けれど、開花が緻密な仕組みの上に成り立っていることを知ると、よりその美しさが際立つように思いませんか? これを機に、ぜひ身近な植物をじっくり眺めてみてください。今まで気づかなかった新たな発見があるかもしれません。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/1,6)Mia Stern/2)Khajonwit Somsri/3)Subbotina Anna/4)AN NGUYEN/5)Hemerocallis/7)Meaw story/Shutterstock.com

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