2019年7月16日から8月20日まで、夏真っ盛りに開催した【Instagram 夏花フォトコンテスト2019】。この時期に撮影した“お気に入りの夏の花”、“心を打たれた夏の花”にまつわる写真を、約1万500件ご投稿いただきました。ご参加くださった皆様、誠にありがとうございました!⠀ここでは、受賞者18名様の素敵な写真を「ガーデンストーリー」編集部のコメントとともにご紹介いたします。
目次
最優秀賞「koyuki.secret」さん
南国のゆったりとした時間の流れや穏やかな空気感を想像させ、都会のオフィスで写真を見ている編集部にも、夏休みのリラックスしたムードを運んでくれました。一枚の花の写真からその場の空気感を伝えたり、見る人の想像を刺激する表現力を評価し、最優秀賞に選ばせていただきました。もちろん、その表現力は確かな撮影テクニックに支えられていることが、光の捉え方や絵画的な構図の作り方からも分かります。特に、不規則な軌道で飛翔する蝶をはっきりと捉えられており、2匹のバランスも絶妙。花風景の印象をより深めるアクセントとして、効果的な位置に配置されています。
写真には「明日も素敵な一日になりますように」というメッセージが添えられています。そんな撮影者の思いが伝わる、共鳴力のある一枚です。
最優秀賞のkoyuki.secretさんには、ガーデンショップ「Lovely Garden」オーナーの安酸友昭さん制作の寄せ植えをお送りいたします。おめでとうございます!
優秀賞「2__umbrellas」さん
ヒマワリの明るく太陽のようなイメージと、女性4人の弾ける笑顔がこれ以上なくマッチした写真です。お揃いの麦わら帽子にリュックにカメラという姿から、写真を撮影するためにこのヒマワリ畑にやってきて、素敵な一枚を撮るためにいろいろとアイデアを絞ったことが想像できます。写真教室か、愛好家のグループでしょうか。きっと「せーのっ!」と声を揃えて帽子を投げたのでしょう。写真を撮った後の笑い声まで聞こえてくるようです。‘インスタ映え’という言葉にはもはや食傷気味ですが、よりかっこよく、より素敵で、より美しい写真よりも、より楽しく撮ることを教えてくれる一枚です。
優秀賞「oshanpo_alice」さん
飛び交う蛍の光に青い紫陽花が微かに浮かび上がる幻想的な風景です。夜の花風景はとても新鮮。何かしらの光源がなければ夜景は撮影できませんが、それが無数の蛍であることが貴重です。蛍が発する小さな光の中で、このように鮮明な写真を撮るには三脚が必要です。決して偶然の出会いではなく、夜にカメラと三脚を持ってここへ撮影に行ったのでしょう。一枚の写真のためのその労力と情熱に敬意を表したいと思います。
優秀賞「blue_contrail」さん
大分県九重、猪の瀬戸湿原に広がるオオキツネノカミソリの群落に感激して写した一枚とのこと。自然が作り出した美は、時として立ち尽くしてしまうような圧倒的な感動をもたらしますが、撮影者の心が動いた瞬間がよく分かる写真です。花の美しさはもちろんですが、背景の苔むした森の緑の濃淡も悠久の時を感じさせます。オオキツネノカミソリはヒガンバナ科で、ヒガンバナと同様に花が咲いているときは葉っぱがないため、花の色が地上を覆うように埋め尽くして目を見張るような花風景となります。この美しい景色が絶えないように、山の手入れをしている方々がいらっしゃるはずです。美しい風景に出合ったら、自然やそれを守る人々にも感謝したいですね。
優秀賞の2__umbrellasさん、oshanpo_aliceさん、blue_contrailさんには編集長がイギリスで選んだ「キュー・ガーデン 2019年オリジナルバッグ&ティータオルセット」をお送りします。おめでとうございます!
特別賞「tetsu0911natsu」さん
‘カメラ散歩’で見つけたワンシーンとのこと。インパチェンスとオキザリスが植えられた小さな花壇。その縁に置かれた土付きのシャベル。雨粒。その状況から、突然の雨でガーデニングを途中でやめた人を想像した撮影者さん。慌てて家に駆け込んだ誰かは、どんな人かな。風邪をひかないといいな。この後の花壇はどうなるのかな。と、この一枚からストーリーが紡がれる写真です。劇的な美しさや驚きではなく、日常の一コマの小さなストーリーに目をとめる撮影者の眼差しが温かです。もしかしたら、カメラのファインダーを通すと、これまで気づかなかったものが見えてくるのかもしれませんね。
特別賞「moonsnowice」さん
北海道美瑛町の展望花壇「四季彩の丘」。北海道ならではのスケール感で大地を花のパレットにしたカラフルな風景です。手前に赤い花を大きく斜めに入れ、遠くに青い山の峰と空とを入れた構図が、ダイナミックさを伝えてくれます。それにしても本当に鮮やか! 思わず行ってみたくなるポスターのような写真ですね。
特別賞「classi5zr0g9pci」さん
青空に向かって勢いよく枝を伸ばす柱サボテン。花をたくさん咲かせ、生命力に溢れています。露地植えでこんなに大きく育っていますから、どこか南国でしょうか、その土地ならではの写真です。インパクトがあり、どこかユーモラス、そして自由でのびのびした雰囲気が心地いいですね。
特別賞「r.k.900118」さん
ヒマワリの花粉を集める2匹のミツバチが、まるで寄り添うようで可愛らしいですね。太陽に透けた花びらが黄色の濃淡を描いているのもとてもきれいです。マクロレンズを使用し撮影されたそうですが、2匹の蜂が同時に静止している瞬間を撮るのは難しかったとのこと。確かに、自然の写真ではただひたすらその瞬間を待つ忍耐力が必要になることが少なくありません。でも、それはとても能動的な待ち時間ですね。きれいな瞬間を待つ。ガーデニングにも似ています。
特別賞「acer_spp」さん
画面一面が黄昏色に染まった印象的な一枚。ヒマワリというと、夏の青空の下で元気いっぱいに咲くイメージですが、切なく美しい映画のワンシーンのようなまとめ方が素敵です。多くのガーデンカメラマンが早朝か夕方の光を待って庭を撮るように、この写真も光がすべて。太陽の光の入れ方をとても上手にコントロールして、おそらく、目で見るよりも美しくドラマチックに風景を見せてくれている写真だと思います。
特別賞のtetsu0911natsuさん、moonsnowiceさん、classi5zr0g9pciさん、r.k.900118さん、acer_sppさんにはボタニカルアーティストとコラボしたメルヴィータの限定デザイン「ビオオイル タッチオイル」をお贈りします。おめでとうございます!
佳作「kako8208」さん
マツムシソウ科のスカビオサ‘ブルーバルーン’の接写です。「薄紫色の花火みたいですよね。小さい花がいっぱい寄せ集まっています。」というコメント通り、頭状花(とうじょうか)という形態で咲く花です。一つ一つの花から飛び出した雄しべが本当に花火の火花のようです。写真を撮ると、きれいだな、という印象からさらに視点が深まり、花の精緻な作りに感動したり、気づかなかった点を発見したり、興味がどんどんふくらみますね。
佳作「route_du_soleil」さん
緑濃い美しい夏の庭のワンシーン。夏の間のガーデニングはとても大変です。暑いし、蚊は襲ってくるし、雑草取りには追われるし…。そんななか、写真におさめられるほどとてもきれいに庭を維持されていて、素晴らしい! 手前の緑の花はルドベキア‘アーバンサファリ フォレストグリーン’だそうです。花が少なくなる夏に、よく咲いてくれる花です。花だけでなく、葉も上手に組み合わせられており、夏の庭づくりの参考になりますね。
佳作「guchy_m」さん
一見、モノクロ写真のように見えましたが、カスミソウの群花でした。まるで煙ったように咲く花が素敵ですね。フラワーショップでは一年中おなじみの花ですが、庭では夏にこんな美しい姿で活躍してくれます。撮影者さんの妹さんのお庭だそうです。「好きな花を育てて 好きなお花をご仏壇へ 妹らしいお花を供える お義父さんお義母さんへ 白い花…」とありました。そしてドライフラワーにしても楽しむそうです。素敵な妹さんですね。
kako8208さん、route_du_soleilさん、guchy_mさんには英国グレート・デクスターのオリジナル麻ひもをお送りします。おめでとうございます!
佳作「1121momiji」さん
一面に咲く友禅菊の淡紫色の花の中に、白馬がたたずむ風景。まるで昔話の中に迷い込んだようなロマンチックな花風景ですね。この友禅菊は「北山友禅菊」といい、京都府左京区最北端の「久多」という地域でしか見ることのできない品種だそうです。友禅菊と白馬、どちらもフォトジェニックなモデルですね。
佳作「healing.heart.ya0505」さん
レンゲショウマの透明感や繊細さに心を惹かれる写真です。華奢な茎の先に涼しげな花をうつむきがちに咲かせる姿は、なんともいえない情緒と品を感じさせます。逆光気味で撮影し、花の風情を上手に表現されていますね。「夏の花」としてこの花を投稿されるということは、とても植物がお好きか、山歩きがお好きな方なのでしょうね。レンゲショウマは日本固有の一属一種の植物で、山の薄暗い場所に咲きます。そんな空間の様子もうかがえる写真です。
佳作「mitsukotaguchi」さん
朝顔の薄く透き通るような花びらの質感が伝わってきます。朝顔というとパッと丸く開いた元気そうな姿を想像しますが、控えめにうつむき加減の花を選び、余白を生かして詩的な風情を醸し出しています。ご自身の世界観を写真という手法で表現し、楽しんでいらっしゃるのが分かります。
佳作「kaji1818」さん
高層ビルを背景に咲く夜のヒマワリが新鮮です。大名古屋ビルヂングのスカイルーフガーデンで行われている夏のイルミネーションのようです。都会の人たちを楽しませてくれる素敵な演出ですね。背景に写っているのは名古屋駅のツインタワー。下からあおり気味に撮影しているため、ツインタワーがしっかり全部入り、ヒマワリも迫力のある面白い構図です。都会らしいですね。
佳作「fumikazu_suzuki」さん
富士山を背景にしたヒマワリの景色。夜明けでしょうか、スポットライトを浴びているかのように浮かび上がる一輪の花が印象的です。山に光るキラキラの正体は山頂を目指す登山者たちのヘッドライトで、夏の富士山の風物詩的な景色です。ピンクや紫やブルーが複雑に織り混ざった光がとても美しいですね。刻一刻と変わる時の色や季節の色をよくご存じなのだろうと思いました。写真を始めると、そういうことにも敏感になり、日常がより美しく感じられますね。
佳作「__mi_ru_te__2」さん
水に浮かぶ睡蓮の花。水面が鏡のように花を映し、風がそよとも吹かない静けさを伝えています。アングルが水面とほぼ平行に見えるので、どんな体勢で撮影されているのか気になります。そういえば、イギリスの一流ガーデンフォトグラファーは、「僕の仕事はたいてい地面に這いつくばっているか、木に登っているかだ」と言っていましたが、__mi_ru_te__2さんも同じでしょうか。こんな可愛い被写体を前にすると、汚れるのも気にせず這いつくばってしまいそうです。
1121momijiさん、healing.heart.ya0505さん、mitsukotaguchiさん、kaji1818さん、fumikazu_suzukiさん、__mi_ru_te__2さんにはガーデニングアイテム専門サイトの青山ガーデンより電池式キャンドルライトをお送りします。おめでとうございます!
Garden Storyでは今後も季節の花風景をテーマにしたフォトコンストを開催予定です。皆様の素敵な写真を楽しみにしています!
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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