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文/田中 綾華(たなか あやか)
ROSE LABO株式会社代表取締役。
農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000平方メートル)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。
食用の花“エディブルフラワー”の中でも、バラに着目し、“食べられるバラ”の栽培から、バラを使った食品やコスメの販売までを行うROSE LABO株式会社が、このたび初の直営店をオープンしました。今回は、ROSE LABO代表取締役の田中綾華さんに、店舗オープンに至ったストーリーをご紹介いただきました。
目次
今夏もまだまだ酷暑の様相ですが、この異常気象に対し、農業・園芸界もいろいろな課題と挑戦に向き合っている最中かと思います。
私たちROSE LABOの“食べられるバラ”は埼玉県深谷市のビニールハウスで栽培しているため、この暑さの中ではハウス内の気温が50℃近くになってしまいます。また、農薬不使用で栽培しているため、ハウス内の衛生状態も維持しなければならず、お客様やお取引先様をご招待することが難しいという側面もあります。そこで、どこか別の場所に、お客様と直接コミュニケーションをとる場を設けたい! と常々考えてきましたが、その夢が叶い、8月1日(木)に初の直営店を南青山にオープンしました。
私たちが店舗オープンに至ったストーリーと、そのミッションをお伝えします。
私たちにとって、店舗のオープンは長年の夢でした。
実際の計画よりも早めにオープンできたことを、とても嬉しく思っています。私たちが日頃ROSE LABOの事業を展開していく上で、店舗を持つことの必要性と、お客様とのコミュニケーションの大切さを身をもって実感していたからです。
これは農業や園芸関係者“あるある”だと思うのですが、私たちは、お客様が生産物や商品を手に取る瞬間に、ほぼ居合わすことができないのです。なぜなら、基本的に私たち農業従事者は、栽培地で作業に取り組んでおり、商品は市場に卸す流れになっていたり、私たちの場合でいえば、オンラインショップでの販売が主だからです。直接お客様とコミュニケーションを取れる場所といえば、ポップアップと呼ばれる百貨店や商業施設での催事など、その機会はとても限られたものでした。
でも、農業や園芸関係者が自身の「売り場」を持つことには大きなメリットがあります(もちろんメリットだけでなく、課題もたくさんあります! が、それは次回以降で……)。
Garden Storyの読者の方々は、お花好きの方がほとんどかと思います。皆様は花の「何」に癒されますか? その色や形もさることながら「香り」と答える方が多いのではないでしょうか? 特にバラの香りから癒し・活力を得る方や、特別な想いを持っている方も多いかと思います。
私たちも「食べられるバラ」を栽培するブランドとして、その「香り」を実際に感じていただける場所が必要だと思いました。ROSE LABOの店舗では、私たちが新品種として開発した女性ホルモンにアプローチするためのバラ「24」(トウェンティ―フォー)の香りが漂っています。その空間の中で香りを感じながら、商品をゆっくり見ていただければと思っています。
皆様は、6次産業という言葉をお聞きになったことがありますか? 私たちROSE LABOは、栽培から販売までのプロセスを一貫して行っている、まだ新しいアグリビジネスモデルを実践しています。下の図を見てください。
私たちROSE LABOで説明すると、深谷での”食べられるバラ”の栽培が1次産業となります。そしてそのバラを原料として、ジャムなどの加工食品や化粧品を生み出す部分が2次産業で、最後に自分たちが生み出した商品を販売する部分が3次産業となります。
この一連の過程の数字の部分を掛け算してみると、このように「(1)次産業×(2)次産業×(3)次産業=(6)次産業」と、「6」という数字が導き出されましたね。私たちはこの「6次産業」をビジネスモデルにする上で、直営店を持つことの必要性を最も痛感しました。
なぜなら私たちがROSE LABOを運営する上で、その肝としているのが「食べられるバラ」を使った商品開発です。私たちは商品開発の中で、以下のことを大切にしています:
「誰に」・・・・自分のためなのか、贈り物なのか?
「目的」・・・バラが大好き! or 誕生日?手土産? などのシチュエーション
「どんな」・・・「目的」に合わせた商品のカタチ
「予算」・・・どのくらいの予算の範囲で探しているのか?
上の4つの情報を得て商品づくりに活かすために、私たちは今まで百貨店や商業施設での催事(ポップアップ)、そしてオンラインで寄せられるご意見を元にしてきました。
しかし、もっとお客様が何を求めていらっしゃるのかを知り、理解する必要があるのでは? と感じ、さらに多くの声にゆっくりと深く寄り添うための場所として、この直営店を作りました。ここにはROSE LABOすべての商品を展示していますので、ゆっくりご試食をしていただいたり、コスメをお試しいただいたりすることができます。
またギフトとしてご購入される方も多く、ギフトボックスを「実際に見てみたい」という声も大変多かったので、店舗にはギフト商品を手に取っていただけるコーナーも設けました。
ROSE LABOのギフトボックスには、深谷の栽培地の写真が使われています。大変華やかなデザインなので、バラ好きの方には最適な贈り物となるでしょう。
栽培地での作業や、東京支店での営業業務など、時間に追われているスタッフ一同。私たちにとって、お客様とのコミュニケーションは、日々の業務のモチベーションとなります!
実際に接客をさせていただく中で、多くの気づきと同時に、たくさんの温かいお言葉をいただくことが多々あるROSE LABO。社員にとってお客様との時間は大変貴重でもあり、大きな支えや励みともなります。
そんなわけで、直営店オープンは、ROSE LABOの大きな原動力の一つとなりました。
実は店舗をオープンすると同時に、私たちはそこにオフィススペースも設けたんです!(それはそれは大変な引っ越しでした…。)
オフィスの商談スペースには手作りの一面バラ(造花)の壁があり、そこをイベントスペースとして使用することもできます。そこで、私たちは月1回「ファンミーティング」というイベントを開催し、ROSE LABOを深く知っていただく会を実施しています。
ぜひこの活動をROSE LABO通信でもお伝えできればと思っています。
写真はGarden Story の編集部の方が開店のお祝いに駆けつけてくださった時のものです。バラの壁の前で記念撮影をさせていただきました。
私たちROSE LABOは、この店舗をROSE LABOのコミュニケーションの中心地として、栽培地とお客様をつなぐ役割を持たせていく予定です!
ぜひ東京近郊にお住まいの方だけでなく、遠くの方も、東京にいらっしゃった際はお立ち寄りください。
商品をお試しいただきながら「食べられるバラ」のお話をさせていただきたいと思っています。
住所:〒107-0062東京都港区南青山3-3-6 クアルソ南青山 1F
TEL:03-6277-8755
営業時間:月~金 10:00 ~19:30/土日祝休
文/田中 綾華(たなか あやか)
ROSE LABO株式会社代表取締役。
農林水産省農林女子プロジェクトメンバー。世界56カ国から世界一の学生起業家を決めるGSEA2016日本代表。SNB女性起業家賞受賞。埼玉県深谷市にある約1,000坪(約3,000平方メートル)のビニールハウスで、無農薬の“食べられるバラ”を栽培している。栄養も摂りながら、五感で楽しめる加工食品やコスメなど、オリジナル商品の生産・販売も行う。
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